JP2017066326A - 感温性遮光シート及び農業用シート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の感温性遮光シート及びこの感温性遮光シートを含む感温性積層遮光シートは、オレフィン系樹脂に特定の分子量を有するアクリル系樹脂を配合してなる樹脂組成物を用いて、低コストで効率的に製造することができ、得られるシートの機械物性等にも優れる。
なお、以下において、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
本発明に用いるオレフィン系樹脂(A)は20〜60℃での屈折率の温度依存性が大きいものが望ましい。オレフィン系樹脂(A)の20〜60℃での屈折率の差は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上である。前記オレフィン系樹脂(A)の屈折率差をかかる範囲にすることで、より顕著な遮光性を得ることができる。
ここで、オレフィン系樹脂(A)及び後述のアクリル系樹脂(B)の屈折率は、厚み100μmに成形したサンプルについてアタゴ社製アッベ屈折計を用いて、ナトリウムD線(589nm)を光源とし、JIS K7142(2008年)に基づき所定の雰囲気温度で測定した値である。
オレフィン系樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いるアクリル系樹脂(B)は20〜60℃での屈折率の温度依存性が小さいものが望ましい。アクリル系樹脂(B)の20〜60℃での屈折率の差は、好ましくは0.01未満、より好ましくは0.005未満である。前記アクリル系樹脂(B)の屈折率差をかかる範囲にすることで、より顕著な遮光性を得ることができる。
これらの中でも、透明性、機械強度、前記オレフィン系樹脂(A)への分散性、前記オレフィン系樹脂(A)との屈折率差等の観点から、ポリメタクリル酸メチル、または、メタクリル酸メチル・メタクリル酸フェニル共重合体、または、これらの混合物のいずれかであることが好ましい。
前記メタクリル酸メチル・メタクリル酸フェニル共重合体に含まれるメタクリル酸フェニル成分の比率がかかる範囲であれば、機械物性を損なうことなく室温において前記オレフィン系樹脂(A)の屈折率に近づけることができ、室温での透明性と高温時の遮光性に優れる感温性遮光シートを得ることができる。
ここで、アクリル系樹脂(B)の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されたポリスチレン換算の値である。
本発明に係る樹脂組成物中の前記オレフィン系樹脂(A)と前記アクリル系樹脂(B)の比率は、90:10〜60:40質量%の範囲であり、85:15〜65:35質量%の範囲であることが好ましく、80:20〜70:30質量%の範囲であることがより好ましい。
前記樹脂組成物中の前記オレフィン系樹脂(A)と前記アクリル系樹脂(B)の比率がかかる範囲であれば、機械物性や成形性を損ねることなく、室温での透明性と高温時の遮光性に優れる感温性遮光シートが得られる。
本発明の感温性遮光シートは上述の本発明の樹脂組成物を成形して製造される。
本発明の感温性遮光シートは、単層シートでもよいし、耐熱性や耐候性、機械強度の向上を目的として他の樹脂シートと積層した感温性積層遮光シートであってもよい。前記感温性遮光シートに積層する樹脂シートの樹脂としては特に限定されないが、例えば前記オレフィン系樹脂(A)、前記アクリル系樹脂(B)、ポリスチレン、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、環状ポリオレフィン、超高分子量ポリエチレン、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
恒温器(PH−102、エスペック社製)の中にシートサンプルを置き、測光検出器(MCPD−6800、大塚電子社製)を用いて各温度における全光線透過率を測定した。20℃における全光線透過率(T20)と60℃における全光線透過率(T60)の差(T20−T60)が10%以上の場合を合格(○)、10%未満の場合を不合格(×)とした。なお、測定波長は550nmとした。
(A)−1:タフマーA4090S(三井化学、エチレン/1−ブテン=85/15質量%、融点=77℃、屈折率(20℃):1.5149、屈折率(60℃):1.4889)
(A)−2: タフマーA4085S(三井化学、エチレン/1−ブテン=82/18質量%、融点=66℃、屈折率(20℃):1.4981、屈折率(60℃):1.4757)
(A)−3:エバフレックスEV560(三井・デュポンポリケミカル、エチレン/酢酸ビニル=86/14質量%、融点=90℃、屈折率(20℃):1.5025、屈折率(60℃):1.4780)
(A)−4:エバフレックスEV460(三井・デュポンポリケミカル、エチレン/酢酸ビニル=81/19質量%、融点=84℃、屈折率(20℃):1.4979、屈折率(60℃):1.4727)
(B)−1:メタブレンH880(三菱レイヨン、メタクリル酸メチル/メタクリル酸フェニル=80/20質量%、数平均分子量=10,000g/mol、屈折率(20℃):1.5069、屈折率(60℃):1.5022)
(B)−2:アクリペットMD001(三菱レイヨン、ポリメタクリル酸メチル、数平均分子量=43,000g/mol、屈折率(20℃):1.4992、屈折率(60℃):1.4949)
(A)−1と(B)−1を混合質量比75:25の割合でラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて200℃、60回転で5分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を熱プレス機で200℃にてプレスし、厚み1mmのシートを作製した。得られたシートについて、全光線透過率の評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2と(B)−1を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−3と(B)−1を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−4と(B)−1を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2と(B)−1を混合質量比90:10の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2と(B)−1を混合質量比60:40の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2のみを用いてシートサンプルを作製した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−2と(B)−1を混合質量比40:60の割合で混練した所、材料が脆すぎてシートサンプルを採取できなかった。
(A)−2と(B)−2を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
(A)−4と(B)−2を混合質量比75:25の割合で混練した以外は実施例1と同様にサンプル作成及び評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1は、オレフィン系樹脂を単一で用いており、20〜60℃の環境温度変化によって全光線透過率の差がでていないことがわかる。
比較例2は、分子量が低い成分であるアクリル系樹脂の比率が主成分であるため、プレスをした時、厚み均一なシートが得られない。
比較例3、4は、アクリル系樹脂の分子量が高いため、分散性に劣る。従って20〜60℃の環境温度変化により実施例1〜6の場合に生じる各成分の屈折率の間の差が生じにくいため、全光線透過率の差がでていないことがわかる。
Claims (9)
- オレフィン系樹脂(A)90〜60質量%、及び、数平均分子量が1,000〜30,000g/molであるアクリル系樹脂(B)10〜40質量%を含む樹脂組成物からなる感温性遮光シート。
- 前記アクリル系樹脂(B)が、ポリメタクリル酸メチル、または、メタクリル酸メチル・メタクリル酸フェニル共重合体、または、これらの混合物のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の感温性遮光シート。
- 全光線透過率の測定波長を550nmとしたとき、20℃における全光線透過率と60℃における全光線透過率の差が10%以上である請求項1又は2に記載の感温性遮光シート。
- 前記オレフィン系樹脂(A)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体、または、エチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の感温性遮光シート。
- 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体を構成する酢酸ビニルの比率が、10〜40質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感温性遮光シート。
- 前記エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィン成分の比率が、10〜40質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感温性遮光シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の感温性遮光シートを少なくとも1層備えた感温性積層遮光シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の感温性遮光シートからなる農業用シート。
- 請求項7に記載の感温性積層遮光シートからなる農業用シート。
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JP2018172680A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 住友化学株式会社 | フィルム、農業用フィルム及び農園芸用施設 |
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JP2015067756A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 旭硝子株式会社 | 光線制御用フィルムおよび積層体 |
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