JP2008030473A - 感温性遮光資材 - Google Patents

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Takemoto Nakai
壮元 中井
Katsuhiro Fujiwara
克宏 藤原
Takeshi Tashiro
健 田代
Hisao Takeuchi
久雄 竹内
Junichi Oizumi
淳一 大泉
Tomoko Yamakawa
朋子 山川
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】
封入材料として汎用フィルムを使用することができ、0〜80℃の温度範囲において曇点を有し、使用環境によっても曇点がほとんど変化せず、更には、安定的に製造できかつ形状保持性に優れ長期間問題なく使用することができる感温性遮光資材を提供する。
【解決手段】
透明基体の間に相分離に由来する曇点を持つ感温性遮光材を含む層を有し、感温性遮光材を含む層はコンパートメント構造を有しており、感温遮光材の曇点が0〜80℃であることを特徴とする感温性遮光資材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感温性遮光資材に関し、詳しくは、曇点により高温時には不透明となり低温時には透明となる感温性遮光資材に関する。
従来より、農業用ハウスや透明窓を有する室内には、夏期の直射日光で必要以上に内部温度が上昇するのを防止するため、感温性遮光資材の利用が試みられている。
曇点により高温時には不透明となり低温時には透明となる感温性材料としては、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液(特許文献1)、ポリビニルメチルエーテルの水溶液(非特許文献1)等が知られている。
しかしながら、上記の感温性材料は、水及び/又は有機溶媒の溶液であるため、合わせガラス間に挿入し使用することが原理的には可能であるが、封入が困難であるとともに取り扱いが容易ではない。一方、合わせガラスの代わりに2枚の透明フィルム間に挿入し使用した場合は、長期間使用における内部からの溶媒透過蒸発による組成変化に伴う曇点の変化の問題がある。
また、2種以上の高分子を含み実質的に溶媒を含まないポリマーブレンドにおいて、曇点を有する系が存在する。このうち、ポリアクリル酸部分中和物とポリエチレングリコール(重量平均分子量5,000)のポリマーブレンドの曇点は、中和度や組成によって変化し、約40〜130℃であることが知られている(非特許文献2)。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記のポリマーブレンドを透明フィルムに使用した場合、使用環境湿度により含水量が大きく変動し、その結果曇点にも大きな影響を与えるという問題が認められた。
特開平7−242447号公報 D. P. Gundlach and K. A. Burdett, Journal of Applied Polymer Science, 51, 731 (1994) . X. Lu and R. A. Weiss, Macromolecules 28, 3022 (1995).
また、2種以上の高分子を含み実質的に溶媒を含まないポリマーブレンドにおいて、曇点を有する系として、フッ化ビニリデン系重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(以下、アクリル酸またはメタクリル酸を「(メタ)アクリル酸」と表記する)からなる組成物も知られており(特許文献2)、更に、その少なくとも1成分を低分子量化することにより透明/白濁状態変化の応答速度を改善できること(特許文献3)、室温近傍において変化を得るためには少なくとも1成分のガラス転移温度(以下、「Tg」と記す)が50℃以下であることが好ましいこと(特許文献4)等が報告されている。
特開昭61−190546号公報 特開昭61−258853号公報 特開昭63−20363号公報
また、更に曇点を低下させるには、特定の低粘度フッ化ビニリデン系重合体が有効であることが開示されている(特許文献5)。同特許文献では、室温で半液状である特定の低粘度フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体とポリアルキルアクリレートからなる組成物が100℃以下の曇点を有することが開示されている。
特開平6−192525号公報
しかしながら、上記従来技術においては、常温付近に曇点を有し実質的に溶媒を含まない高分子組成物に対して透明/白濁変化を良好に行わせるために、低分子量成分や低Tg成分等を使用するものであり、このような成分は加熱時の変形や流動につながるという問題がある。具体的には、当該高分子組成物を含む感温性遮光材料をフィルム等の基材表面に塗布、或いは2種の基材の間にラミネートした場合、当該材料の流動による液垂れが発生して、所望の積層品等を得ることができない。また、製造時点において一応の積層品が得られたとしても、積層品を斜めにした状態で使用すると、経時的に膜厚の分布が生じる等の原因により外観にムラができてしまうという問題がある。従って、前記の高分子組成物を使用して、安定的に製造でき、かつ長期間問題なく使用することができる遮光資材は未だ得られていない。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、封入材料として汎用フィルムを使用することができ、0〜80℃の温度範囲において曇点を有し、使用環境によっても曇点がほとんど変化せず、更には、安定的に製造できかつ形状保持性に優れ長期間問題なく使用することができる感温性遮光資材を提供することにある。
本発明者らは、前述の溶媒透過による組成変化や使用環境湿度による曇点変化、更に感温性遮光材料の変形や流動の問題を解決して優れた感温性遮光資材を見出すべく検討を重ねた結果、透明基体の間に特定の感温性遮光材からなる層を設け、当該層にコンパートメント構造を形成させることにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
すなわち、本発明は、(1)透明基体の間に相分離に由来する曇点を持つ感温性遮光材からなる層を有し、感温性遮光材からなる層にコンパートメント構造が形成されており、感温性遮光材の曇点が0〜80℃であることを特徴とする感温性遮光資材を提供するものである。
更に、本発明は、
(2)コンパートメント構造が、透明基体の間にスペーサー部材を配置することにより形成されていることを特徴とする(1)に記載の感温性遮光資材、
(3)感温性遮光材の曇点が10〜50℃である(1)又は(2)に記載の感温性遮光資材、
(4)感温性遮光材がLCST特性を有する2種以上の重合体成分を含む(1)〜(3)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(5)透明基体が透明樹脂フィルム又は透明樹脂塗膜である(1)〜(4)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(6)透明基体と感温性遮光材層との間に接着材層又は粘着材層を有する(1)〜(5)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(7)感温性遮光資材の端面がシールされている(1)〜(6)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(8)外界湿度の変化による曇点の変動が20℃以下である(1)〜(7)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(9)感温性遮光材のガラス転移温度が100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である(1)〜(8)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、
(10)感温性遮光材が少なくとも2種の重合体を含み、感温性遮光材に含まれる最も高分子量の重合体の重量平均分子量をMH、最も低分子量の重合体の重量平均分子量をMLとした場合に、MH/ML>3かつML<10,000であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1に記載の感温性遮光資材、及び
(11)透明基体の水蒸気透過率が5.0g/m・日以下である(1)〜(10)のいずれか1に記載の感温性遮光資材を提供するものである。
本発明によれば、使用環境に関わらず感温遮光性を保持できる感温性遮光資材が提供される。透明基体に汎用フィルムを使用した本発明の感温性遮光資材の場合、夏期は充分な遮光資材、冬季は透明資材となる。本発明の感温性遮光資材は、使用環境によっても曇点がほとんど変化せず、形状保持性に優れ長期間問題なく使用できることから、屋外又は屋内で使用される各種の資材に適用でき、例えば、農業用フィルム、窓やエクステリア等に用いる建材用フィルム、車両用フィルム、標識や宣伝等に用いる意匠フィルム等の資材として使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
本発明の感温性遮光資材は、透明基体の間に特定の感温性遮光材からなる層を有し、当該感温性遮光材層にコンパートメント構造が形成されていることに大きな特徴がある。
透明基体
本発明に使用することができる透明基体としては、各種の透明樹脂フィルムやシートの他、ガラス等が挙げられる。樹脂の種類は熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、その種類としては、透明フィルムやシートとして使用されるものであれば、特に制限はない。熱可塑性樹脂の非限定的例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの他、ポリカーボネート系樹脂、ナイロン系樹脂などの所謂エンジニアプラスチック等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂の非限定的例としては、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。本発明で使用することができる透明樹脂フィルム又はシートは、押出し、カレンダー、射出、中空、圧縮成形等の公知の方法で製造することができる。また、本発明における透明基体には、所謂、透明フィルム・透明シートのみならず、透視性があるフィルム・シート等も含まれる。従って、透視性のある、半透明フィルム・シート等、エンボス加工(凹凸、溝)が施されたフィルム・シート等、透視性のある着色フィルム・シート等や、予め模様・印刷等の処理がされたフィルム・シート等も本発明における透明基体に含まれる。
また、本発明においては、透明基体が透明樹脂塗膜であってもよい。透明樹脂塗膜の例としては、アクリル系塗膜、ウレタン系塗膜、フッ素系塗膜、エポキシ系塗膜等が挙げられる。
本発明の感温性遮光資材は、2つの透明基体を有するが、それらは同じ材料のものであっても異なる材料からなるものであってもよい。従って、例えば、一方の透明基体が、ポリオレフィン系樹脂からなるプラスチックフィルムで、他方の透明基体がアクリル系樹脂塗膜である場合も本願発明の一態様である。
また、透明基体の厚みに特に制限はないが、一般に、透明樹脂フィルム又はシートでは10μm〜5000μm、透明樹脂塗膜では1〜500μm、ガラスでは0.1〜50mmである。
また、本発明においては、透明基体の水蒸気透過率が、5.0g/m・日以下であることが好ましく、1.0g/m・日以下であることが更に好ましく、0.2g/m・日以下であることが特に好ましい。透明基体の水蒸気透過率をかかる範囲に低減することにより、感温性遮光資材の非常に長期(数年)に亘る使用においても曇点の変化を低いレベルに抑えることが可能となる。このような透明基体としては、上記した透明樹脂フィルム又はシートに、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーティング層や、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けることにより得ることができる。また、両面の透明基体が何れも上記範囲の水蒸気透過率を有することがより好ましい。
本発明の感温性遮光資材は、2つの透明基体の間に特定の感温性遮光材からなる層(以下、「感温性遮光材層」ともいう)を有する。
感温性遮光材
高濁度
本発明で使用する感温性遮光材は500μm以下の膜厚に対して、曇点以下から曇点より20℃高い温度に昇温した時にヘーズが10以上、より好ましくは20以上変化することが好ましい。これより濁度変化が小さい場合、所望の遮光機能を得るための遮光性資材の膜厚が厚くなりすぎることがあるため、好ましくない。
無溶媒
本発明で使用する感温性遮光材は、2種以上の重合体成分からなり、相分離に由来する曇点を有する組成物であることが好ましい。かかる組成物のうち、その曇点の発現に関し実質上水や溶剤を必要としない組成物が好適に用いられる。但し、製造上水や溶剤が残存することもあり得るため、本発明の効果を妨げない範囲で混入していてもよい。係る含有量は任意であるが、通常、重量で10%以下であることが望ましい。これより含有量が高くなると液垂れの点でより不利となる。
低曇点
本発明で使用する感温性遮光材の曇点は、0〜80℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは10〜40℃である。ここで、曇点が0℃より低いと低温時の透明性が十分でなく、曇点が80℃より高いと高温時の遮光性が不足するという問題がある。
低湿度依存性
本発明で使用する感温性遮光材を20℃、20%RHのデシケーター内に水平状態で1週間保持した後にインキュベーターで6℃/1時間の速度で昇温した時の曇点と、30℃、95%RHの恒温恒湿機に水平状態で1週間保持した後、同様に昇温した時の曇点の差が好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下である。当該曇点の差が20℃より大きいと、環境湿度の違いにより同じ温度でも感温遮光機能が大きく異なるという問題があり好ましくない。
低吸湿性
本発明で使用する感温性遮光材の30℃、95%RH環境における平衡吸湿量は、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。感温性遮光材の30℃、95%RH環境における平衡吸湿量が10重量%より大きいと、環境湿度の違いによる曇点の変動が大きくなるという問題がある。当該平衡吸湿量は、真空乾燥直後からの経過時間と吸湿による重量変化曲線により決定される。
低ガラス転移温度(Tg)
本発明で使用する感温性遮光材のTgは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。以上のTgの上限を超える感温性遮光材を用いると、可逆性が損なわれる危険性が高くなるため好ましくない。
分子量
本発明の感温性遮光材が2種以上の重合体を含む場合、最も高分子量の重合体の重量平均分子量をMH、最も低分子量の重合体の重量平均分子量をMLとした場合に、MH/ML>3 かつ ML<10,000である。例えば重量平均分子量300,000の重合体と、10,000の重合体の混合組成物を用いれば、300,000/50,000>3という分子量の条件を満たすことになる。これにより、感温変化において良好な応答速度を得ることができる。MHが大きくなると状態変化が遅くなるため、MHは大きくとも1,000,000である。なお、本発明の効果を損なわない範囲において化学的架橋を含む場合は、この限りではない。
混合組成
本発明で使用する感温性遮光材は、上記したように2種以上の重合体成分からなることが好ましく、その混合組成は曇点、濁度、応答速度の観点から調整される。上記のMHに該当する重合体(ないしはMLに該当する重合体)の混合組成は、濁度の観点からは1%(ないしは99%)〜99%(ないしは1%)であるが、良好な濁度を得るためには、5%(ないしは95%)〜95%(ないしは5%)、より望ましくは10%(ないしは90%)〜90%(ないしは10%)である。かかる範囲外では相対的に高温時の濁度が低くなり、好ましくない。
重合体構造
本発明の感温性遮光材に含まれる重合体は、線状の高分子であっても、分岐状の高分子であっても構わない。さらにこれらを架橋した構造であっても構わない。重合体が共重合体の場合は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体と慣用の高分子構造をとりうる。これらの構造の重合体は、慣用の重合技術により任意に入手可能である。
ポリマーブレンド具体例
本発明で使用される感温性遮光材としては、上記の要件を有するポリマーブレンドであれば特に限定されないが、特に以下のポリマーブレンドが好適に使用される。
好適なポリマーブレンドの例としては、水素結合性官能基を有する極性単量体を少なくとも1種含む共重合体Aと共重合体Aが有する水素結合性官能基と水素結合可能な極性官能基を有する極性単量体から構成される重合体Bのポリマーブレンド(以下、重合体組成物1と記す)、フッ化ビニリデン系重合体と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(以下、重合体組成物2と記す)、芳香族ポリイミドとポリアルキレンオキシド、芳香環を含有するスルホンとポリアルキレンオキシド(以下、併せて重合体組成物3と記す)である。なお、アクリル酸ないしはメタクリル酸を以下(メタ)アクリル酸と表記する。
重合体組成物1
上記の共重合体Aを構成する水素結合性官能基を有する極性単量体の具体例としては例えば(メタ)アクリル酸及びクロトン酸等のモノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸等のジカルボン酸などが挙げられる。ただし、これらの繰り返し単位のアルカリ金属(Li、Naなど)塩やアルカリ土類金属(Ca、Mgなど)塩を含む高分子では、吸湿による状態変化や相挙動の変化が大きいため、本発明に用いる高分子としては適さない。従って、本発明の高分子組成物としては、実質的に塩を含まない組成物を用いるのが好ましい。但し、不純物としての混入もあり得るため、本発明の効果を妨げない範囲での混入は許容され、通常、塩としての単量体の分子量を用いて算出されるモル含有率が、全重合体中10%以下、より好ましくは1%以下である。また共重合体Aを構成する水素結合性官能基を有する上記以外の極性単量体の具体例としてはビニルアニリン等のアミン;アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド等のアミド;ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する化合物が挙げられる。
以上の極性単量体のうち、より好ましい極性単量体としては、(メタ)アクリル酸及びクロトン酸等のモノカルボン酸;ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する化合物が挙げられる。
また適切な曇点を得るために、共重合体Aは上記極性単量体と上記極性単量体以外の非イオン性単量体の2種以上の単量体から構成されることが好ましく、非イオン性単量体の具体例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜6のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、イタコン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル;メチルビニルケトン、ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン等のカルボニル化合物;スチレン、メチルスチレン等の芳香族化合物などが挙げられる。より高い耐候性が必要とされる場合は芳香族化合物以外の上記単量体から構成されることが好ましい。
共重合体Aの組み合わせの例としては、(メタ)アクリル酸とN−アクリロイルモルホリンの共重合体、(メタ)アクリル酸とメチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸とエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸とプロピル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸とブチル(メタ)アクリレートの共重合、(メタ)アクリル酸と酢酸ビニルの共重合体、(メタ)アクリル酸と安息香酸ビニルの共重合体、(メタ)アクリル酸とメチルビニルケトン、(メタ)アクリル酸とビニルピロリドンの共重合体、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合体等が挙げられる。
重合体Bを構成する単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、N−アクリロイルモルホリン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のエーテル基を有する化合物が挙げられる。さらに好ましい単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどの単独重合体もしくは共重合体であるポリアルキレンオキシドが挙げられる。なお、単独重合体の場合、融点が低い点、および、曇点の湿度依存性が低減される点で、ポリエチレンオキシドよりもポリプロピレンオキシドの方が好ましい。
好適な重合体組成物1の組み合わせとしては、(メタ)アクリル酸とN−アクリロイルモルホリンの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とN−アクリロイルモルホリンの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とメチル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とメチル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とエチル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とエチル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とプロピル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とプロピル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とブチル(メタ)アクリレートの共重合/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とブチル(メタ)アクリレートの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸と酢酸ビニルの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸と酢酸ビニルの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸と安息香酸ビニルの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸と安息香酸ビニルの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とメチルビニルケトンの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とビニルケトンの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とビニルピロリドンの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とビニルピロリドンの共重合体/ポリプロピレンオキシド、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸とスチレンの共重合体/ポリプロピレンオキシド等が挙げられる。
さらに好ましい組み合わせは、(メタ)アクリル酸と上記炭素数1〜6のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体/ポリエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸と上記炭素数1〜6のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体/ポリプロピレンオキシドである。
重合体組成物1において、共重合体Aの重量平均分子量がMH、重合体Bの重量平均分子量がMLに相当する。共重合体Aの重量平均分子量は1,000,000以下、より好ましくは500,000以下である。また重合体Bは、重量平均分子量で、約100〜10,000程度のものが一般的に使用できるが、好ましくは、重量平均分子量500〜7,000程度、更に好ましくは、500〜5,000程度のものが推奨される。
重合体組成物2
フッ化ビニリデン系重合体はTgが100℃以下であれば特に限定しないが、具体例としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、或いはフッ化ビニリデンと前記モノマーとの3元共重合体が挙げられる。この中でも特に低粘度フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコール系モノ(メタ)アクリレート、又は前記モノマーの2種以上を任意に組み合わせた共重合体が挙げられる。ここで(ポリ)アルキレングリコール系モノ(メタ)アクリレートとは、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど一般式CH=CRCO(OROR(Rは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜25の整数)で表される化合物等である。上記の中でも、曇点の湿度依存性が小さいことから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、又は前記モノマーの2種以上を任意に組み合わせた共重合体がとりわけ好ましい。
重合体組成物2において(メタ)アクリル酸エステル系重合体の平均分子量がMH、フッ化ビニリデン系重合体の平均分子量がMLに相当する。
本組成物フッ化ビニリデン系重合体の重量平均分子量は10,000以下、より好ましくは5,000以下である。フッ化ビニリデン系重合体の重量平均分子量が高すぎると結晶化により低温時の透明性や可逆性が十分でなくなる。
重合体組成物3
芳香族ポリイミドとしてはTgが300℃以下であれば特に限定しないが、具体例としてはポリアミドイミド、ポリエーテルイミドが挙げられる。
芳香環を含有するスルホンも同様にTgが300℃以下であれば特に限定しないが、具体例としてはポリエーテルスルホンが挙げられる。
ポリアルキレンオキシドの具体例としては、ポリエチレンオキシドが挙げられる。
重合体組成物3において、芳香族ポリイミド、芳香環を含有するスルホンの平均分子量がMHに相当し、ポリアルキレンオキシドの平均分子量がMLに相当する。
重合体組成物3におけるポリアルキレンオキシドの重量平均分子量は10,000以下が好ましい。分子量がこれより大きくなると状態変化が遅くなるため、好ましくない。
上記したポリマーブレンドは液垂れや外観ムラ、加熱時の変形や流動の抑制や、可逆性を高める上で、コンパートメント構造に加え、架橋が有効な場合がある。架橋は化学的架橋でも物理的架橋でもよい。化学的架橋を行う方法として、架橋剤を用いる方法と放射線を照射する方法がある。架橋剤はポリマーブレンドに用いられるポリマーが含有する官能基に応じて適時選択する。例えば、ポリマーブレンドに用いられるポリマーがヒドロキシル基を含有している場合、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基を含有する化合物やグルタルアルデヒド等のアルデヒド基を含有する化合物などが使用可能である。また、ポリマー重合時にエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーを共重合体成分として適量混入させ、架橋する方法もある。さらにベンゾフェノンを有する単量体を共重合体成分として共重合体中にあらかじめ含有させ、製膜後にUV光を照射して化学的架橋を行う方法もある。物理的架橋を行う方法としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基等水素結合形成可能な官能基をポリマーブレンドに含有させる方法などがある。物理的架橋を行う場合、昇温によるポリマーブレンドの状態変化が起こり易くなる傾向があることから、コンパートメント構造と組み合わせることで液垂れや外観ムラ、加熱時の変形や流動の抑制に対し、よりいっそうの効果が期待できる。かかる観点で好適な感温性遮光材は重合体組成物1である。
本発明における感温性遮光材には、前記したポリマーブレンドに加えて、必要に応じて、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤・防カビ剤等、感温性遮光材の効果を持続させる目的で各種添加剤を加えてもよい。更に、特定の波長の可視光、近赤外線、赤外線を吸収する色素や顔料等の着色剤や無機酸化物微粒子など、更なる機能を付与することを目的として各種添加剤を加えてもよい。更に、曇点を越えた高温時における濁度や反射率を向上させる目的で、各種無機酸化物微粒子などを加えてもよい。また、感温性遮光材層の透明基体との密着性をより高めるために、接着剤成分又は粘着材成分を加えてもよい。
感温性遮光材層の形成には公知の塗布方法または溶融押出方法が適用される。塗布方法の場合、ポリマーブレンドの重合体成分合計固形分濃度(添加剤を加える場合は、添加剤を含む合計固形分濃度)を通常10〜60重量%となるように有機溶媒に溶解させ均一溶液とする。感温性遮光材層の形成には、スプレー処理の他、透明基体の形状に応じて公知の各種の塗布方法が適用される。例えば、ドクターブレードコート法、グラビアロールコート法、エヤナイフコート法、リバースロールコート法、デイプコート法、カーテンロールコート法、スプレイコート法、ロッドコート法、リップダイコート法などの塗布方法が使用される。
塗布方式を採用した場合の溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法などがあるが、乾燥速度や安全性を勘案すれば熱風乾燥法が有利である。この場合、温度条件は30℃〜100℃の範囲とし、乾燥時間は10秒から15分の間で選ぶのがよい。薄膜の厚さは、遮光能力と必要とする遮光程度により調整すればよいが、通常0.5μm〜500μm、好ましくは1μm〜300μmである。
また、感温性遮光材をPETフィルム等の別の担体フィルムに上記何れかの塗布方法で塗布し、これを乾燥して感温性遮光材薄膜フィルムを形成することもできる。当該薄膜フィルムを、担体フィルムをつけたまま(或いは予め引き剥がして)透明基体にラミネートすることにより、透明基体上に感温性遮光材層を形成させることもできる。担体フィルムをつけたままラミネートする場合は、ラミネート後適宜当該フィルムを引き剥がす。また、透明基体として樹脂を使用する場合は、透明基体を押出し等で形成させながら、当該基体上にラミネートする、所謂押出しラミネートの工程を使用することもできる。
なお、上記の薄膜の形成に先立ち、予め透明基体の表面に必要な前処理を施してもよく、斯かる前処理としては、アルコール又は水による洗浄、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、他の塗料の下塗り等が挙げられる。
感温性遮光材層を溶融押出方法により形成させる場合は、押出機で感温性遮光材を溶融混練させた後、ダイからシート・フィルム状に押し出す方法が適用される。例えば、担体フィルム上に感温性遮光材層を形成させる押出コーティング法や、担体フィルムも同時に押し出す多層押出法などの溶融押出方法が使用される。
感温性遮光資材
本発明においては、感温性遮光材層にコンパートメント構造(区画構造)を形成させることにより感温性遮光材層の形状を好適に保持することができ、従来問題となっていた感温性遮光材の流動を防止することができるものである。本発明においてコンパートメント構造とは、感温性遮光材からなる層を所定の形状で区画する構造をいい、コンパートメント構造の形状としては、所定の幅を持つ平行な帯状形状、直線及び/又は曲線がランダムに交差することで形成される不規則な二次元形状、規則的な格子状の形状等があげられる。本発明においては、感温性遮光材層の流動防止や外観の点で格子状形状が好ましい。このようなコンパートメント構造は、2枚の透明基体の間にスペーサーとなる部材を挿入したり、基体にエンボス加工等を施し凹凸又は凹部形状を形成することにより得られるが、感温性遮光材層の形状保持にはスペーサーを挿入する方式がより好ましい。スペーサーとなる部材の例としては、透明樹脂ネット、透明有孔フィルム、フラットヤーン等を挙げることができる。スペーサーとなる部材の材質としては、基体フィルム又はシートを構成する樹脂と同じ樹脂又はこれと適合性のある樹脂であれば特に制限されるものではない。本発明においては、スペーサー自体の強度や外観の点から透明樹脂ネットを好適に使用することができる。ここで、透明樹脂ネットとは、フラットヤーンを2方向以上からクロス加工したものをいい、具体的には、2方向から直交した透明樹脂ネットや3方向から交差した透明樹脂ネットである。
具体的には、透明基体に感温性樹脂溶液を塗布した後に透明樹脂ネットを重ねたり、あらかじめ片側の透明基体に透明樹脂ネットを積層接着させその上に感温性樹脂溶液を塗布してから別の透明基体を積層させることにより、コンパートメント構造を有する感温性遮光材層を得ることができる。この場合、透明樹脂ネットの各格子(ネットの目)がコンパートメント構造となり、感温性遮光材層は各格子により区画される。
本発明で使用することができる透明樹脂ネットの形状として、格子(ネットの目)の大きさは1〜50mmにあることが好ましい。格子の大きさがこの範囲外にあると、感温遮光機能が不足したり、感温性遮光材層の形状保持の点で好ましくない。また、透明樹脂ネットのフラットヤーンの太さは、0.2〜10mmにあることが好ましい。フラットヤーンの太さがこの範囲外であると、感温性遮光材の形状保持性が不足したり、感温遮光機能の形状保持の点で好ましくない。また、透明樹脂ネットのフラットヤーンの厚みは、透明基体の厚みや、感温性遮光材層の厚みに応じて適宜決定されるが、一般には、0.01〜1mmである。
本発明で使用することができる透明樹脂ネットの材質は、透明基体を構成する樹脂と同じ樹脂又はこれと適合性のある樹脂であれば特に制限されるものではない。例えば、基体フィルムがポリオレフィン系樹脂の場合には、透明樹脂ネットを構成するフラットヤーン及びラミネートフィルムともポリオレフィン系樹脂が通常使用される。
また、本発明においては、コンパートメント構造を形成している壁の部分(透明樹脂ネットを使用して形成する場合はフラットヤーンの部分)は、上面(或いは下面)の透明基体と全面的に結合していてもよく、又は部分的に結合していてもよい。
また、透明基体と感温性遮光材層との密着性を向上させるため間に接着材層又は粘着材層を形成させても良い。ここで、接着材層や粘着材層として使用することができる接着材や粘着材の種類は基体フィルムの種類によって適宜決定される。透明基体が例えばポリオレフィン系樹脂の場合、粘着剤としてアクリル系粘着材を使用するのが好ましい。
更に、本発明の感温性遮光資材においては、その両端、周縁部は、外界の環境変化の影響を受けにくくするため、熱、接着剤、硬化剤などの公知の手段でシールするのが好ましい。
また、本発明の感温性遮光資材の片面又は両面に感温性遮光以外の機能を付与することができる。このような機能として、防塵性、帯電防止性、親水性、撥水性、紫外線吸収性、意匠性等がある。これらの機能を付与するため、本発明の感温性遮光資材の片面又は両面基体に、赤外線吸収材を添加したり、帯電防止性や親水性等の塗膜を形成したり、印刷フィルムをラミネート等することができる。また、感温性遮光資材を屋外使用する場合、少なくとも外界に接する片面に紫外線吸収剤を添加する等により紫外線吸収性を付与することで曇点の変動を長期間少なくすることができるため好ましい。更に、所望により、本発明の感温性遮光資材の片面又は両面基体に粘着材や接着剤層を設けることにより、本発明の感温性遮光資材を更に別の支持体に積層することもできる。
本発明の感温性遮光資材は、外界湿度の変化による曇点の変動が20℃以下、好ましくは10℃以下である。外界湿度の変化による曇点の変動の尺度としては、例えば、感温性遮光資材を20℃、20%RHのデシケーター内に水平状態で1週間保持した後にインキュベーターで6℃/1時間の速度で昇温した時の曇点と、30℃、95%RHの恒温恒湿機に水平状態で1週間保持した後、同様に昇温した時の曇点の差を用いることができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<透明基体フィルム:ポリオレフィン系ハウス用積層フィルムの調製>
直径100mmの三層ダイ((株)プラ技研製)と、直径30mmの内外層用の2台の押出機((株)プラ技研製)と、直径40mmの中間層用の押出機((株)プラ技研製)とから成る三層インフレーション成形装置を使用し、表1に示す層構成のポリオレフィン系ハウス用積層フィルムを製造した。成形温度は190℃、ブロー比は3.0、引取速度は8m/分とした。
Figure 2008030473
上記で得られた基体フィルムのハウス外層側表面に粘着材(綜研化学(株)SKダイン1717)を10μm厚みで塗工し乾燥後、透明樹脂ネット(ダイヤテックス(株)USクロス201)を基体フィルムに貼り合わせて積層させた。
<感温性遮光資材の調製>
エタノールにオイドラギットL100−55(デグサ製、メタクリル酸とエチルアクリレートの共重合体、分子量は約278,000)と、PPG4000(キシダ化学製、ポリプロピレングリコール、平均分子量4000)を表2に示す重量割合で溶解させて感温性遮光材塗布液を得た。次に、前述の透明樹脂ネットを積層した面にアプリケーターを使用して上記の感温性遮光材溶液を塗布した後、50℃のオーブン中に5分間保持して溶媒のエタノールを除去し、感温性遮光材層を形成した。感温性遮光材層の厚みは80g/mであった。更に、表1の構成と組成を有する基体フィルムを別に用意し、そのハウス内層側表面と感温性遮光材層とが接するように重ね、押圧1kg/cmでラミロールを通すことでサンドイッチ構造を有する感温性遮光資材を得た。
<感温性遮光資材の評価>
1.液垂れ性評価
(1)外観
上記の感温性遮光資材(30cm×30cm)を水平面からの角度30°の架台に設置し、30℃、95%RH環境下で1週間、及び1月保持した後外観を観察した。結果を表2に示す。同表から明らかなように、本発明の感温性遮光資材は液垂れがなく形状保持性が安定している。
(2)曇点測定
上記外観評価試験において95%RH環境下で1週間、及び1月保持した試料を、架台のままインキュベーターに入れ、6℃/1時間の速度で昇温し、10分毎に外観を観察し曇点を測定した。結果を表2に示す。
2.水平状態の曇点
前述の方法で作製した感温性遮光資材を用いて評価を行った。
20℃、20%RHのデシケーター内に水平状態で1月保持した後にインキュベーターで6℃/1時間の速度で昇温し、10分毎に外観を観察し曇点を測定した。また、30℃、95%RHの恒温恒室機に水平状態で1月保持した後、同様に昇温、外観を観察して曇点を測定した。更に、30℃、95%RHの恒温恒湿機に水平状態で12月保持した後、同様に昇温、外観を観察して曇点を測定した。結果を表2に示す。
3.遮光度測定
前述の20℃、20%RH環境で1月保持した時点(外観:透明)と、その後50℃まで昇温して30分経過した時点(外観:白濁)の感温性遮光資材の小片を採取し、直ちに分光光度計(日立U−3500)で555nm全光線透過率を測定し、両者の透過率の差を遮光度とした。結果を表2に示す。
<感温性遮光材の評価>
前述の感温性遮光材溶液を用いて評価を行った。ガラスシャーレに感温性遮光材溶液を、200g/mとなるように入れ、50℃のオーブン中に30分間保持して溶媒を除去し、感温性遮光材層を形成した。
20℃、20%RHのデシケーター内に開放状態で1週間保持した後にインキュベーターで6℃/1時間の速度で昇温し、10分毎に外観を観察し曇点を測定した結果、35℃だった。また、30℃、95%RHの恒温恒湿機に開放状態で1週間保持した後、同様に昇温、外観を観察して曇点を測定した結果、40℃だった。
実施例2
実施例1の透明基体フィルムのハウス外層側表面に、エタノールにオイドラギットL100(デグサ製、メタクリル酸とメチルメタクリレートの共重合体、分子量は約123,000)とPPG3000(キシダ化学製、ポリプロピレングリコール、平均分子量3000)を表2に示す重量割合で溶解させて得た感温性遮光材塗布液を実施例1に準じて塗布し、塗布面に透明樹脂ネット(ダイヤテックス(株)USクロス209)を積層した後、50℃のオーブン中に5分間保持して溶媒のエタノールを除去し、感温性遮光材層を形成した。感温性遮光材層の厚みは80g/mであった。更に、表1の構成と組成を有する基体フィルムを別に用意し、そのハウス内層側表面と感温性遮光材層とが接するように重ね、押圧1.5kg/cmでラミロールを通すことでサンドイッチ構造を有する感温性遮光資材を得て、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして感温性遮光材の評価を行った結果、20℃、20%RHでの曇点が32℃、30℃、95%RHでの曇点が37℃であった。
実施例3
基体フィルムを、酸化珪素と酸化アルミニウムの二元蒸着フィルム(東洋紡(株)製エコシアール ハイグレード、ベースフィルムはポリオレフィン系樹脂;水蒸気透過率0.2g/m・日)に置き換えた以外は実施例1と同様にして感温性遮光資材を得て、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1の透明基体フィルムにあらかじめPVDC塗布フィルム(ダイセルバリューコーティング(株)製セネシKOP WVZ、水蒸気透過率1.0g/m・日)をラミネート加工した以外は実施例2と同様にして感温性遮光資材を得て、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
透明樹脂ネットを使用せず、ラミロールの押圧を0.1kg/cm以下とした以外は実施例1と同様にして感温性遮光資材を得て評価を行った。評価結果を表2に示す。同表から明らかなように、比較例1の感温性遮光資材は経時で液垂れが発生し、曇点変動があった。
比較例2
透明樹脂ネットを使用せず、ラミロールの押圧を0.1kg/cm以下とした以外は実施例2と同様にして感温性遮光資材を得て評価を行った。評価結果を表2に示す。同表から明らかなように、比較例2の感温性遮光資材は経時で液垂れが大きく、感温性遮光材がほとんど流出したため、曇点が観察できなかった。
Figure 2008030473

Claims (11)

  1. 透明基体の間に相分離に由来する曇点を持つ感温性遮光材からなる層を有し、感温性遮光材からなる層にコンパートメント構造が形成されており、感温性遮光材の曇点が0〜80℃であることを特徴とする感温性遮光資材。
  2. コンパートメント構造が、透明基体の間にスペーサー部材を配置することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の感温性遮光資材。
  3. 感温性遮光材の曇点が10〜50℃である請求項1又は2に記載の感温性遮光資材。
  4. 感温性遮光材がLCST特性を有する2種以上の重合体成分を含む1〜3のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  5. 透明基体が透明樹脂フィルム及び/又は透明樹脂塗膜である請求項1〜4のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  6. 透明基体と感温性遮光材層との間に接着材層又は粘着材層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  7. 感温性遮光資材の端面がシールされている請求項1〜6のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  8. 外界湿度の変化による曇点の変動が20℃以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  9. 感温性遮光材のガラス転移温度が100℃以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  10. 感温性遮光材が少なくとも2種の重合体を含み、感温性遮光材に含まれる最も高分子量の重合体の重量平均分子量をMH、最も低分子量の重合体の重量平均分子量をMLとした場合に、MH/ML>3かつML<10,000であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
  11. 透明基体の水蒸気透過率が5.0g/m・日以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の感温性遮光資材。
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