JP5231050B2 - 塗布フィルム - Google Patents
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Description
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムは、熱可塑性の芳香族ポリエスエルからなる。このポリエステルとして、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタリンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸といった芳香族ジカルボン酸成分と、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールといったグリコール成分とから構成される芳香族ポリエステルを用いることができる。ポリエステルとしては、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタリンジカルボキシレートを用いる。ポリエステルはホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは、50〜250μmであることが好ましい。50μ未満であるとフィルムのこしがなく、250μmを超えると取り扱いが困難となる。
ポリエスエルフィルムのうえの塗布層は、水系塗布層である。水系塗布層であることによって、環境に与える付加が少なく、安全に塗布フィルムを製造することができる。
水系塗布層は、塗布層の組成物100重量%あたりベンゾトリアゾール基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂15〜80重量%およびシリコーン化合物5〜50重量%を含有する。
塗布層は、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含有する。このベンゾトリアゾール基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂の含有量は、塗布層の組成物100重量%あたり15〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。15重量%未満であると紫外線吸収性能が不十分となり、塗布層のうえに他の機能層、例えば近赤外線吸収層を設けるときに、その層との密着性が不足する。80重量%を超えても紫外線吸収性能が飽和するので80重量%を超えて含有する意味がない。
塗布層は、ワックスとしてシリコーン化合物を含有する。このシリコーン化合物は、塗布層の組成物100重量%あたり5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%含有する。5重量%未満であると防汚性が劣り、50重量%を超えると塗膜の上に他の機能層、例えば近赤外線吸収層を設けるときに、その層との密着性が不足する。
本発明において、塗布層には帯電防止剤を含有させることが好ましい。帯電防止剤は、帯電防止性を付与する剤であり、好ましくはカチオンポリマーを用いる。このカチオンポリマーは、好ましくはビニル系重合体からなり、側鎖にカチオン性基を有し、そのカチオン性基が第4級アンモニウム塩である化合物である。第4級アンモニウム塩としては、第4級アンモニウムスルホネート、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートを例示することができる。
塗布層を形成するための塗布液には、塗布層の組成物と化学的に不活性な界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤を配合する場合、塗布層の組成物100重量%あたり、例えば1〜20重量%、好ましくは10〜20重量%配合する。かかる範囲で配合することによって、ポリエステルフィルムへの水性塗布液の濡れを促進し、塗布液の安定性を向上することができる。界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
本発明の塗布フィルムは、波長400nmの光線透過率が80%以上である。波長400nmの光線透過率が80%未満であると透過光が減り明るさが不足し、光学用途への適用が難しくなる。本発明の塗布フィルムは、波長360nmの光線透過率が、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。この範囲の透過率とすることで、紫外線の遮蔽性能に優れ、プラズマディスプレイパネルの反射防止フィルムとして用いるときにフィルムに配合される近赤外線吸収剤の劣化を十分に防止することができる。
スライドガラスのヘーズ変化率(%)
=(加熱後のスライドガラスヘーズ(%)−加熱前のスライドガラスヘーズ(%))
/加熱前のスライドガラスヘーズ(%)
本発明の塗布フィルムの製造方法を以下に説明する。なお、ガラス転移温度をTg、融点をTmという。
本発明においてポリエステルフィルムは、当業者に周知の方法で得ることができる。すなわち、ポリエステルをダイより押出し、未延伸積層シートとし、これをキャスティングドラムで冷却固化して未延伸フィルムとし、これを加熱して縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)〜(Tg+70℃)とするのが好ましい。
なお、縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸方法で製造することもできる。
(1)フィルム厚み
フィルムをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10箇所の厚みを測定し、その平均値をフィルムの厚みとした。
島津製作所(株)製分光光度計UV−3101PCを用い、スキャン速度200nm/秒、スリット幅20nm、サンプリングピッチ1.0nmの条件で、波長360nmと400nmの光線透過率を測定した。
内径10cm、内側の高さ6.5mmの円柱形のシャーレの底に、5cm×5cmの大きさに切り出したサンプルフィルムを置き、その上部の6.5mmの位置に、5cm×5cmのスライドガラスを設置し、シャーレを閉じた。シャーレ全体を230℃の温度に加熱して15分間保持した。スライドガラスのヘーズを、加熱前、加熱後に測定し、スライドガラスのヘーズ変化率を下記式から算出し、下記の基準で評価した。
スライドガラスのヘーズ変化率(%)
=(加熱後のスライドガラスヘーズ(%)−加熱前のスライドガラスヘーズ(%))
/加熱前のスライドガラスヘーズ(%)
なお、ヘーズは、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH―20)で測定した。
サンプルフィルムの塗膜を塗設面に厚さ250μmのポリエステルフィルムを接着剤にて貼り付け、サンプルフィルムの塗膜を塗設していない面の上に紫外線硬化型印刷インキ(東洋インキ製フラッシュドライFDO紅APN)をRIテスター(明製作所製)により印刷した後、中圧水銀灯UVキュア装置(80W/cm、一灯式、日本電池製)でキュアリングを行い、厚み3.0μmのUVインキ層を形成させた。このUVインキ層の上にセロハンテープ(18mm幅、ニチバン製)を15cmの長さに貼り、この上を2kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与えフィルムを固定した後、セロハンテープの一端を90゜方向に剥離した後のUVインキ層を観察した。
UVインキの接着性は下記の基準により評価した。
〇:UVインキ層が全く剥離しない (UVインキ接着性良好)
△:塗膜とUVインキ層間が部分的に凝集破壊状に剥離する
(UVインキ接着性やや良好)
×:塗膜とUVインキ層間が層状に剥離する(UVインキ接着性不良)
△以上が実用性能を有する。
サンプルフィルムの塗布層表面の表面固有抵抗値を測定した。タケダ理研社製・固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%の条件で、1日調湿後、印加電圧100Vで1分間保持した後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。なお、「a+bE」は、a×10bを意味する。
固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.62のポリエチレンテレフタレートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出しして未延伸フィルムを得た。次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、その両面に表1記載の塗剤の固形分濃度が重量3%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布して塗布フィルムとした。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、横方向に120℃で3.7倍に延伸し、230℃で幅方向に3%収縮させ熱固定し、厚さ100μmの塗布フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.5μmであった。これらの評価結果を表2に示す。なお、塗布層の組成は表1の通りであり、得られた塗布フィルムの評価結果は表1のとおりであった。
塗液を塗設しない以外は実施例1と同様にして実施した。評価結果を表2に示す。
フィルムのポリエチレンテレフタレートを下記式(I)に示す紫外線吸収剤(竹本油脂製:CEi−P)1重量%およびポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.62)からなるポリエステル組成物とし、塗液を塗設しない以外は実施例1と同様にして実施した。評価結果は表2のとおりであった。
Claims (3)
- ポリエステルフィルム、およびそのうえに設けられた水系塗布層からなる塗布フィルムであって、波長400nmの光線透過率が80%以上であり、フィルムの上の6.5mmの位置にスライドガラスを設置してフィルムを230℃で15分間加熱して保持したときのスライドガラスのヘーズ変化率が10%未満であり、水系塗布層が、塗布層の組成物100重量%あたりベンゾトリアゾール基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂15〜80重量%およびシリコーン化合物5〜50重量%を含有することを特徴とする塗布フィルム。
- 波長360nmの光線透過率が10%以下である、請求項1記載の塗布フィルム。
- プラズマディスプレイパネルの反射防止フィルムとして用いられる、請求項1記載の塗布フィルム。
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