JPH04213348A - 耐候性が改良されたフィルムおよびシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、温室、サンルーフ、看
板、標識、防音壁あるいは太陽熱温水器等の被覆材とし
て有用な耐候性が改良されたフィルムおよび当該フィル
ムが積層されたフィルムまたはシートに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】アクリル樹脂はプラスチック材料の中で
最も耐候性の優れる材料の１つとして知られており、メ
チルメタクリレートを主成分とするフィルムはその特徴
を生かし各種プラスチック材料の上に積層して耐候性劣
化を抑える目的で使用されている。

【発明が解決しようとする課題】

【０００３】耐候性を向上させるために添加される紫外
線吸収剤はプラスチック材料に比べると分子量が低いた
め、長時間屋外で使用していると紫外線吸収剤が徐々に
ブリードアウトしてくる。

【０００４】これを改善するためにプラスチック材料の
ポリマー鎖中に紫外線吸収性モノマーを共重合させる方
法が考えられるが、プラスチックの物性を低下させやす
く、また紫外線吸収性成分の動きが拘束されて十分な効
果が得られないことが多い。

【０００５】また、紫外線吸収剤の融点はプラスチック
材料に比べて低いので、フィルム製造時にフィルムが接
するキャスティングロールや引き取りロールなどの表面
に紫外線吸収剤が移行しロール表面だけでなくフィルム
表面自体も汚れてしまい、結果として紫外線吸収剤の濃
度も減少するという問題もある。

【０００６】同様のことは、紫外線吸収剤を混入させた
フィルムを基材樹脂に熱ラミネートする際にも起こり、
紫外線吸収剤がブリードアウトして、紫外線吸収剤の濃
度が減少してしまう。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはこ
のような問題点を解決するために鋭意検討した結果、架
橋ポリメチルメタクリレートからなる球状微粒子中に紫
外線吸収剤を内包させたマイクロカプセルをアクリル樹
脂と混合されたフィルムは、紫外線吸収剤のブリードア
ウトを抑えることができ、屋外での長期使用が可能とな
ることを見いだし、本発明に到達した。

【０００８】即ち、本発明はアクリル樹脂中に、架橋ポ
リメチルメタクリレートからなる球状微粒子に紫外線吸
収剤が内包されたマイクロカプセルが混合されてなる耐
候性が改良されたフィルムである。

【０００９】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
架橋メチルメタクリレートよりなる壁膜で紫外線吸収剤
を包含させたマイクロカプセルを用いることが大切であ
る。即ち、架橋ポリメチルメタクリレートによるマイク
ロカプセルはアクリル樹脂との屈折率差が小さく、透明
性を損なうことがなく、また、球状微粒子は架橋させて
おくことにより、マイクロカプセルからの紫外線吸収剤
のブリードアウトをある程度抑えることができるし、フ
ィルム製造時の耐熱性も付与できる。

【００１０】本発明のマイクロカプセルの製造方法とし
て代表的な方法は、正または負に帯電したポリメチルメ
タクリレート粒子を、単独または混合粉として芯材の表
面に付着させた後、成膜処理を行うものである。従来、
ポリメチルメタクリレートを用いてマイクロカプセル化
することは困難であったが、ドライブレンディング法の
改良により短時間でのマイクロカプセル化が可能になっ
てきている。

【００１１】架橋ポリメチルメタクリレート粒子を製造
するには、メチルメタクリレートとジビニルベンゼン、
エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレートなどの多官能ビニル化合物を
乳化重合する方法が知られており、これらの粒子を用い
て前述の方法でマイクロカプセルの壁膜とすることがで
きる。

【００１２】本発明で使用するマイクロカプセルは、芯
材をある程度の大きさにすることが好ましい。最終製品
に紫外線吸収能を持たせるためにはフィルムを通過する
光がマイクロカプセルを通過することが必要であり、こ
の点ではマイクロカプセルの粒径が大きい方がよいが、
あまり大きいとフィルムの物性が低下してしまうため、
５０μｍ以下が適当である。

【００１３】また、マイクロカプセル中に占める紫外線
吸収剤の割合は、耐候性の点では多い方が望ましいが、
壁膜を作る上からは少ない方が良く、実際には２〜１０
重量％くらいが限界である。例えば、マイクロカプセル
中に占める紫外線吸収剤の割合を１０重量％とした場合
、マイクロカプセルの粒径を１０μｍとすれば、紫外線
吸収剤の粒径は４．６μｍである。

【００１４】マイクロカプセル中に占める紫外線吸収剤
の割合をあまり高くすると、壁膜の強度が落ちたり、紫
外線吸収剤のブリードアウトも大きくなってしまう。従
って、一般の紫外線吸収剤の添加量に合わせることは難
しいが、長時間のブリードアウトの差を見ると実用上の
問題は少ない。

【００１５】本発明でマイクロカプセルに包含できる紫
外線吸収剤は、一般に用いられている紫外線吸収剤から
選択することができる。

【００１６】紫外線吸収剤としてはフェニルサリシレー
ト、ｐ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニルサリシレートなどの
サリシル酸系、２−４ジヒドロキシベンゾフェノン、２
−ヒドロキシ−４−メトキシベンゾフェノン、２−ヒド
ロキシ−４−オクトキシベンゾフェノン、２−ヒドロキ
シ−４−ドデシルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフ
ェノン系、２−（２’−ヒドロキシ−５’−ｔｅｒｔ−
ブチルフェニル）ベンゾトリアゾール、２−（２’−ヒ
ドロキシ−３’，５’−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル
）ベンゾトリアゾール、２−（２’−ヒドロキシ−３’
−ｔｅｒｔ−ブチル−５’−メチルフェニル）−５−ク
ロロベンゾトリアゾール、２−（２’−ヒドロキシ−３
’，５’−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）−５−クロ
ロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、２
−エチルヘキシル−２−シアノ−３，３’−ジフェニル
アクリレート、エチル−２−シアノ−３，３’−ジフェ
ニルアクリレートなどのシアノアクリレート系がある。

【００１７】また、これらの他にニッケルビス（オクチ
ルフェニル）サルファイド、（２，２’−チオビス（４
−ｔｅｒｔ−オクチルフェノラート）−ｎ−ブチルアミ
ンニッケルなどの紫外線吸収剤やビス（２，２，６，６
−テトラメチル−４−ピペリジル）セバケートのような
ヒンダードアミン系光安定剤などから選択しても良い。 これらの紫外線吸収剤は単独で用いることもあるいは２
種以上を混合して用いることも可能である。

【００１８】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
壁膜が架橋メチルメタクリレートであるので、基材樹脂
との屈折率差が小さく透過率が下がることはないが、表
面にマイクロカプセルが浮き出てくると表面での光拡散
が生じて曇価が増大する。

【００１９】本発明において、上述の紫外線吸収剤入り
マイクロカプセル単独で紫外線を完全にカットするには
、マイクロカプセル中の紫外線吸収剤の割合を上げたり
、マイクロカプセルの添加量を増やすことが好ましいが
、紫外線吸収剤入りマイクロカプセルと他の紫外線吸収
剤とを併用することにより、マイクロカプセルの添加濃
度が抑えられ、フィルムの物性を低下させることなくブ
リードアウト性、耐候性を改良することができる。

【００２０】紫外線入りマイクロカプセルと併用できる
一般の紫外線吸収剤は、前記のマイクロカプセルに包含
できる紫外線吸収剤から任意に選択して使用することが
できる。

【００２１】本発明で用いることのできる紫外線吸収剤
入りマイクロカプセルと一般の紫外線吸収剤の添加量は
、フィルムの物性を損なわないために１〜５重量部の範
囲にすることが好ましい。

【００２２】次に、本発明で用いることのできるアクリ
ル樹脂を主成分とするフィルム材料としては、特公昭４
９ー４６１５８号公報、同５９ー３６６４５号公報、特
開昭５７ー１４０１６１号公報、同５８ー６２０４６号
公報、同６３ー７７９６３号公報などに記載されている
ような多層構造重合体から選択されることが好ましいが
、厚みが厚く強度保持ができる場合にはメチルメタクリ
レートを主成分とするアクリル樹脂を用いても良い。

【００２３】一般にフィルム製造時に延伸がかかったり
すると表面にカプセルが浮き出てくるが、他の基材樹脂
に熱ラミネートするとマイクロカプセルはフィルム内部
に押し込まれて表面が平滑透明フィルムとなり、曇価の
低下は全く起こらない。

【００２４】基材樹脂としてはアクリル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチロール樹脂な
どのフィルムまたはシートを用いることができる。これ
らの基材樹脂に本発明のフィルムを熱ラミネートするこ
とにより耐候性を大きく改善させることができる。この
ような基材樹脂は、熱加工してサンルーフ、看板、ドー
ムなどにすることができる。

【００２５】

【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。なお、実施例中の「部」は「重量部」を示す。な
お、全光線透過率と曇価の測定は、ＡＳＴＭ−Ｄ１００
３に準じて測定した。

【００２６】なお、紫外線吸収剤入りマイクロカプセル
としては下記のものを用いた。 （１）マイクロカプセルＡ マツモトマイクロスクェアＥＳＰ（松本油脂社製）紫外
線吸収剤としてパラソール１７８９とエスカロール５０
７を２〜３重量％含有する、壁膜が架橋ポリメチルメタ
クリレートよりなる、平均粒径が４〜２０μｍのマイク
ロカプセル。 （２）マイクロカプセルＢ 紫外線吸収剤としてチヌビンＰ（２−（５−メチル−２
−ヒドロキシフェニル）ベンゾトリアゾールを３重量％
含有する、壁膜が架橋ポリメチルメタクリレートよりな
る平均粒径が７μｍのマイクロカプセル

【００２７】実
施例１〜２ 表１に示す割合のフィルム用アクリル樹脂（ハイペット
ＨＢＳ００１：三菱レイヨン（株）製）、紫外線吸収剤
（チヌビンＰ）および紫外線吸収剤入りマイクロカプセ
ルＡを混合して５０〜１００μｍのフィルムを作成した
。得られたフィルムの紫外線吸収性能を図１、図２に示
すが、いずれも３６０〜３７０ｎｍ以下の紫外線が完全
にカットされていることがわかる。

【００２８】次に、得られたフィルムと、これらのフィ
ルムをアクリル樹脂シート（アクリライトＬ＃０００：
三菱レイヨン（株）製）にラミネートしたときの全光線
透過率と曇価の測定結果を表２に示す。

【００２９】表２の結果から、フィルム単体ではマイク
ロカプセルが表層に析出しているため曇価が高いが、ラ
ミネートすることにより表層が平滑になり、曇価はかな
り良いレベルになっていることがわかる。

【００３０】また、実施例１、２の５０μｍのフィルム
を１００℃、２４時間加熱した前後の紫外線吸収性能を
図３、図４に示したが、加熱前後でのブリードアウトが
非常に改善されていることがわかる。

【００３１】

【表１】

【００３２】

【表２】

【００３３】実施例３〜４、比較例１ フィルム用アクリル樹脂、紫外線吸収剤および紫外線吸
収剤入りマイクロカプセルを混合割合を表３のように変
更した以外は実施例１と同様に実験を行った。

【００３４】得られたフィルムの紫外線吸収特性を５図
〜７図に示すが、紫外線吸収剤単独（比較例１）では、
かなりの紫外線吸収性能を示すが、８図に５０μｍのフ
ィルムのブリードアウト性を示したように１００℃、２
４時間の加熱で紫外線吸収剤が飛散し、ブリードアウト
が大きいことが確認された。

【００３５】

【表３】

【発明の効果】本発明のフィルムは、屋外での長時間使
用において紫外線吸収剤のブリードアウトを抑えること
ができ、またフィルム製造時や他の基材樹脂への熱ラミ
ネート時においても紫外線吸収剤のブリードアウトを抑
えることが可能になり、工業上優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１におけるフィルムの紫外線吸
収性能を示す。

【図２】本発明の実施例２におけるフィルムの紫外線吸
収性能を示す。

【図３】本発明の実施例１におけるフィルムのブリード
アウトテストの結果を示す。

【図４】本発明の実施例２におけるフィルムのブリード
アウトテストの結果を示す。

【図５】本発明の実施例３におけるフィルムの紫外線吸
収性能を示す。

【図６】本発明の実施例４におけるフィルムの紫外線吸
収性能を示す。

【図７】本発明の比較例１におけるフィルムの紫外線吸
収性能を示す。

【図８】本発明の比較例１におけるフィルムの加熱後の
ブリードアウト性を示す。

【図９】本発明のフィルムの一部を拡大して示す断面図
である。

【符号の説明】

１　　紫外線吸収剤 ２　　架橋メチルメタクリレート壁膜 ３　　アクリル樹脂系フィルム

【図１０】本発明のフィルムをシートに熱ラミネートし
た積層シートの断面図である。

【符号の説明】

４　　シート

【図１１】図９の積層シートをフリーブロー成形してド
ーム状とした成形品の断面図である。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　アクリル樹脂中に、架橋ポリメチルメ
   タクリレートからなる球状微粒子に紫外線吸収剤が内包
   されたマイクロカプセルが混合されてなる耐候性が改良
   されたフィルム。
2. 【請求項２】　　基材となる合成樹脂フィルム上に、請
   求項第１項記載のフィルムが一体化されてなる耐候性が
   改良されたフィルム。
3. 【請求項３】　　基材となる合成樹脂シート上に、請求
   項第１項記載のフィルムが一体化されてなる耐候性が改
   良されたシート。
4. 【請求項４】　　アクリル樹脂中に、架橋ポリメチルメ
   タクリレートからなる球状微粒子に紫外線吸収剤が内包
   されたマイクロカプセルと、紫外線吸収剤が混合されて
   なる耐候性が改良されたフィルム。
5. 【請求項５】　　基材となる合成樹脂フィルム上に、請
   求項第４項記載のフィルムが一体化されてなる耐候性が
   改良されたフィルム。
6. 【請求項６】　　基材となる合成樹脂シート上に、請求
   項第４項記載のフィルムが一体化されてなる耐候性が改
   良されたシート。