JP2017109389A - 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法および回復方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法および回復方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した吐出動作を長期間にわたって維持することが可能な液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供する。【解決手段】オリフィスプレート6の表面に、所定の電解質溶液19内で電圧を印加すると溶解する性質を有する材料から成る電圧印加溶解層10を積層し、更にその上層に電圧印加溶解層とは異なる材料の複数の凸部を有する撥水層11を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法および回復方法に関する。
インクジェット記録ヘッドのような液体吐出ヘッドには、所定量の液滴を所定の方向に安定して吐出するために、吐出口面(オリフィスプレート)に撥水加工を施しているものがある。安定した吐出動作を長期間にわたって維持するためには撥水加工部の耐久性が求められるが、インク成分によるケミカルアタック、吐出口表面に対するブレードワイピングによる磨耗、インク成分の固着などによって、撥水加工部の機能が劣化してしまう場合がある。
特許文献1には、上記劣化原因に対抗するため、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボンを撥水膜として用いながら、その表面に図7に示すような凹凸構造700を形成することにより撥水性を向上させた液体吐出ヘッドが開示されている。
特許第5520193号公報
しかしながら、図7に示す特許文献1の構成では、液体吐出ヘッド300に対してブレードワイピングを行う際、凹凸構造700の凹部に付着した液体Lをブレード200が掻き出すことができない場合がある。この場合、残存した液体Lが徐々に蓄積し不揮発成分が固着し、その後の吐出量や吐出方向を変異させ、液体吐出ヘッド300の寿命を短くしてしまったり、画像品位を低下させてしまったりするおそれが生じる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、安定した吐出動作を長期間にわたって維持することが可能な液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することである。
そのために本発明は、液体を吐出する吐出口が形成されたオリフィスプレートを有する液体吐出ヘッドであって、前記オリフィスプレートの表面には、所定の電解質溶液内で電圧を印加すると溶解する性質を有する材料から成る電圧印加溶解層の上に前記電圧印加溶解層とは異なる材料の複数の凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出ヘッドにおいて、安定した吐出動作を長期間にわたって維持することが可能となる。
本発明に使用可能な液体吐出ヘッドの斜視図および断面図である。 液体吐出ヘッド100に対する回復処理を説明するための断面図である。 吐出素子基板にオリフィスプレートを積層するまでの工程を説明する図である。 オリフィスプレート上に撥水層を形成するまでの工程を説明する図である。 吐出口などの液体経路を形成する工程を説明する図である。 実施例2における撥水層を形成する工程を説明する図である。 従来構成の液体吐出ヘッドを示す図である。
<液体吐出ヘッドの構造>
図1(a)および(b)は、本発明に使用可能な液体吐出ヘッドの斜視図および断面図である。液体吐出ヘッド100は、エネルギ発生素子1や液体供給室2を備える吐出素子基板3の上に、吐出口4および流路5が形成されたオリフィスプレート6が積層された構造となっている。
吐出素子基板3をZ方向に貫通しY方向に延在する液体供給室2は、その+Z方向の開口において、オリフィスプレート6に形成された複数の流路5と連結している。ここでは、1つの液体供給室2が、Y方向に配列する2列の吐出口列に共通して液体を供給する構成を示しているが、液体吐出ヘッドはこのような構成に限定されるものではない。オリフィスプレート6には複数の吐出口4が形成されており、それぞれの吐出口4が対向する吐出素子基板3の位置には、エネルギ発生素子1が配備されている。
吐出素子基板3は、シリコン基板7、絶縁層12、電気配線および保護膜9がこの順番にZ方向に積層されて構成されている。絶縁層12の表面には、エネルギ発生素子1のほか、これに電力を供給するための電極パッド8や不図示の配線が形成されている。エネルギ発生素子としては、TaSiN、TaNから成る電気熱変換素子を用いることができる。また、電極パッド8や配線の素材としては、アルミニウム、銅、ニッケル、金、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、クロム等の少なくとも1つ以上を用いることができる。保護膜9はSiO、SiN、タンタル等を用いることができ、電気配線全体を保護するように積層されている。
不図示のタンクから液体供給室2を経て流路5に供給された液体は、個々のエネルギ発生素子1よりエネルギが付与されることにより、対応する吐出口4から+Z方向に吐出される。実際に吐出動作を行う際には、エネルギ発生素子1に対し電圧パルスが印加され、エネルギ発生素子1が急激に発熱し、これに接触する流路5内の液体に膜沸騰が生じ、生成された泡の成長エネルギによって流路5内の液体が吐出口4から吐出される。なお、以上ではエネルギ発生素子として電気熱変換素子を例示したが、エネルギ発生素子は、吐出口4から液体を吐出するためのエネルギを発生可能であれば、エネルギ発生方法は特に限定されるものではない。体積変化によりインクに圧力を与える圧電素子などを用いることもできる。
オリフィスプレート6の表面であって吐出口4が形成されていない領域には、電圧印加溶解層10と撥水層11がこの順番に積層形成されている。電圧印加溶解層10は、金、イリジウム、ルテニウム、銀、ビスマス、パラジウム、オスミウムの少なくとも1つ以上の材料を含んで構成されている。そして、液体吐出ヘッド100の通常使用温度においては固体である性質、電圧を印加しない状態でインクと接触した場合に溶解しない性質、電圧を引加した状態で接液した場合に溶解する性質、を有している。より具体的には、大気圧下(1気圧下)で100℃の環境において固体である性質、電圧を印加しない状態で所定のPH領域の液体と接触しても溶解しない性質、電圧を印加した状態で上記所定のPH領域の液体と接触すると溶解する性質、を有している。
電圧印加溶解層10の表面に撥水層11が積層されることにより、オリフィスプレート6の表層には多数の凹凸構造が形成される。撥水層11は単層構造でも多層構造でも良く、その組成は有機、無機を問わず異種材料の使用が可能である。なお、ここで言う凹凸構造とは便宜上の表現であり、撥水性向上の効果を有する範囲内であれば、寸法や配置ピッチは様々に調整可能であり、凹部や凸部の形状も制限されるものではない。また、凹凸構造を形成する領域も、吐出口が配置されていない全領域である必要は無く、吐出口の近傍に部分的に形成されても良い。また、オリフィスプレート6と電圧印加溶解層10の間や電圧印加溶解層10と撥水層11の間には、これらの密着性を向上させるためにタンタル等から構成される密着層を設けることもできる。
以上のような撥水層11を設けておけば、吐出動作に伴ってミストが発生したり液体の跳ね返りが生じたりしても、オリフィスプレート6の表面における液体の付着は抑制され吐出動作を安定させることができる。但し、凹部に微細なミストが進入した場合には、吐出口表面に対してブレードワイピングを行っても、これを完全に除去することは難しい。そして、残存した液体が徐々に蓄積し不揮発成分が固着してしまうと、その後の吐出量や吐出方向を変異させ、記録ヘッドの寿命を短くしてしまったり画像品位を低下させてしまったりするおそれが生じる。このため、液体吐出ヘッド100は、適時、以下に説明するような回復処理が施される。
図2は、液体吐出ヘッド100に対する回復処理を説明するための断面図である。回復処理を行う際、液体吐出ヘッド100のオリフィスプレート6側の面は電気分解層21が+Z方向から覆い被される。電気分解層21の内部は電解質溶液19で満たされており、オリフィスプレート6の吐出口面と対向する位置には対向電極20が設置されている。
この状態で、電圧印加溶解層10と対向電極20との間に電圧印加溶解層10が陽極となるような電圧を印加すると、電解質溶液内に直流電流が発生し、電解質溶液19内に露出し凹部の底部分に相当する電圧印加溶解層10の表面の一部が溶解する。その結果、当該表面上に蓄積するブレードワイピングで除去できなかった固着物Lもオリフィスプレート6から剥離することができる。具体的には、2.5〜20Vの電圧を80秒程度印加すれば電圧印加溶解層10は3nm以上溶解し、インク固着物を除去することができる。なお、この際、撥水層11の凸部を形成する部分の直下においても、電圧印加溶解層10の溶解は数nmオーダーで進行する。しかし、撥水層11が数μmオーダーで形成されていることを考慮すれば、このような溶解は大きな問題にはならない。
以上説明したように、オリフィスプレート6上に電圧印加溶解層10と撥水層11を積層した液体吐出ヘッドを用い、これに対し上記回復処理を適宜行うようにすれば、液体吐出ヘッドのオリフィスプレート6は使用頻度によらず清浄な状態を保つことができる。結果、長期にわたって安定した吐出動作を維持することが可能となる。以下、液体吐出ヘッド100について2つの実施例とその製造方法を説明する。
(実施例1)
本実施例では、撥水層11を1種類の無機材料、具体的にはフッ素含有ダイヤモンドライクカーボン(F‐DLC)を含む単層で構成する液体吐出ヘッドとその製造工程について説明する。図3〜5は、本実施例の液体吐出ヘッド100の製造工程図である。図3(a)〜(f)は、吐出素子基板3にオリフィスプレート6を積層するまでの工程を示している。
まず、図3(a)に示すような吐出素子基板3を用意する。吐出素子基板3は、シリコン基板7、SiO2のから成る絶縁層12、TaSiNから成るエネルギ発生素子1およびアルミニウム電気配線、SiNから成る保護膜9、がこの順番に+Z方向に積層されている。シリコン基板7のZ方向の面における結晶の面方位(面方向)は<100>である。保護膜9は、ドライエッチングによってパターニングされている。
次に、図3(b)に示すように、吐出素子基板3の+Z方向側の面にポリイミド(日立化成デュポンマイクロシステムズ社製のPI2611)を厚み6μmで塗布し、ポリイミド層13aを形成する。更に、ポリイミド層13aのZ方向上方に感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布し、露光および現像することで図3(c)に示すような型材形成用のエッチングマスク16を作製する。その状態で、反応性イオンエッチングを行うことによりポリイミド層13aの非マスク部分をエッチングし(図3(d))、更にエッチングマスク16を剥離することにより、図3(e)に示すような型材13を形成する。型材13は、後に流路5の領域となる。
次に、型材13を覆うように、+Z方向上面からプラズマCVD法によってSiCあるいはSiCNを成膜することにより、後にオリフィスプレート6となる層を図3(f)のように形成する。SiCを用いる場合、SiH4ガス流量を80sccm〜1000sccm、CH4ガス流量を10sccm〜5000sccmの範囲で調整する。また、HRF電力を250W〜900W、LRF電力を8W〜500W、圧力を310Pa〜700Pa、温度を300℃〜450℃の範囲で調整する。すなわち、上記範囲の下、オリフィスプレート6に必要とされる厚みやケイ素と炭素の含有割合に応じて上記パラメータを調整すれば良い。
一方、SiCを用いる場合、SiH4ガス流量を80sccm〜1000sccm、NH3ガス流量を14sccm〜400sccm、N2ガス流量を0sccm〜10000sccm、CH4ガス流量を10sccm〜5000sccmの範囲で調整する。また、HRF電力を250W〜900W、LRF電力を8W〜500W、圧力を310Pa〜700Pa、温度を300℃〜450℃の範囲で調整する。すなわち、上記範囲の下、オリフィスプレート6に必要とされる厚みやケイ素と炭素と窒素の含有割合に応じて上記パラメータを調整すれば良い。
図4(a)〜(f)は、オリフィスプレート6上に撥水層11を形成するまでの工程を示す図である。まず、オリフィスプレート6の+Z方向上面に、図4(a)のように第1の密着層14を形成する。第1の密着層14は50nmのタンタル層であり、DCマグネトロンスパッタを用い、DCパワー密度1.4W/cm2、圧力0.6Pa、温度150℃の下で形成することができる。
次に、第1の密着層14の+Z方向上面に、図4(b)のように電圧印加溶解層10を形成する。電圧印加溶解層10は50nmのイリジウム層であり、DCマグネトロンスパッタを用い、DCパワー密度1〜4W/cm2、圧力0.2〜1.5Pa、温度50〜450℃の下で形成することができる。
次に、電圧印加溶解層10の+Z方向上面に図4(c)のように第2の密着層15を形成する。第2の密着層15は第1の密着層と等しく50nmのタンタル層であり、DCマグネトロンスパッタを用い、DCパワー密度1.4W/cm2、圧力0.6Pa、温度150℃の条件下でタンタルを50nmの厚みで形成することができる。
さらに、第2の密着層15の+Z方向上面に、図4(d)のように後に撥水層11となる撥水基層11aを形成する。撥水基層11aは、100nm〜2μm程度のフッ素含有ダイヤモンドライクカーボン(F‐DLC)層であり、スパッタを用い、DCパワー密度3〜30W/cm2、圧力0.1〜1.5Pa、温度25〜500℃の条件下で形成する。F‐DLC膜の元素比率は、撥水性の観点から見るとフッ素含有比率が30atom%以上であることが好ましく、硬度や摺動性の観点から見ると水素含有比率が40atom%以下であることが好ましいが、特に限定されるものではない。
次に、撥水基層11aの+Z方向上面に、図4(e)のようなエッチングマスク17を形成する。エッチングマスク17は、感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布し、露光し、現像することによって形成することができる。その後、反応性イオンエッチングを行うことにより、撥水基層11aの非マスク部分を除去し、凹凸構造を形成する。エッチング処理は、CF4、O2、Arの混合ガスを用い、RFパワー650W(13.56MHz)、エッチング圧力0.1〜100Paのもとで行なうことができる。さらに引き続き、条件を変更して反応性イオンエッチングを行うことにより、第2の密着層15の非マスク部分を除去する。この際のエッチング処理は、プラズマソースを誘導結合型プラズマ(ICP)とし、Cl2とArの混合ガスを用い、RFパワー100〜2000W(13.56MHz)、エッチング圧力0.1〜10Paのもとで行うことができる。その後、エッチングマスク17を剥離することにより、図4(f)に示すような凹凸構造を有する撥水層11を完成させる。
図5(a)〜(e)は、層形成が完了した吐出素子基板3およびオリフィスプレート6に対し、吐出口などの液体経路を形成する工程を示す図である。まず、オリフィスプレート6の+Z方向の面に、凹凸構造を被覆するように感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布し、露光し、現像する。これにより、図5(a)に示すような吐出口形成用のエッチングマスク18が形成される。
次に、条件を変えた3回の反応性イオンエッチングによって、電圧印加溶解層10、第1の密着層14およびオリフィスプレート6を段階的にエッチングすることにより、図5(b)に示すように、流路5に接続する吐出口4を形成する。この際、電圧印加溶解層10のエッチングは、プラズマソースを誘導結合型プラズマ(ICP)とし、Cl2とArの混合ガスを用い、RFパワー100〜2000W(13.56MHz)、エッチング圧力0.1〜10Paのもとで行うことができる。密着層14のエッチングは、密着層15のエッチングと同条件で行うことができる。その後、エッチングマスク18を剥離することにより、図5(c)に示すように凹凸構造を有する撥水層11が露出する。
次に、吐出素子基板3内にオリフィスプレート6まで貫通する液体供給室2を形成する。具体的には、関東化学製のTMAH‐25(商品名)を用い、結晶方位が<100>であるシリコン基板7に対して異方性エッチングを施すことにより図5(d)に示す形状の経路を形成した後、イオン反応性エッチングによって保護膜9を除去する。これにより、流路5に接続する液体供給室2が形成される。
最後に、O2ガスを導入しマイクロ波でプラズマを励起する等方性ドライエッチングを施すことにより、型材13を除去し流路5を形成する。これにより、液体供給室2から流路5を経て吐出口4まで連通する液体経路が形成され、液体吐出ヘッド100が完成する。
本発明者らは、以上説明した工程に従って製造した液体吐出ヘッド100を用い、吐出動作および図2で説明した回復処理の耐久試験を行った。具体的には、まず、連続する吐出動作と一般的なブレードワイピングを所定回繰り返すことにより、凹凸構造の凹部にインク滴が溜まり、徐々に固着物が増大して行く状態を確認した。その後、図2で説明した回復処理を施した。すなわち、液体吐出ヘッド100のオリフィスプレート6側の面に電解質溶液19が充填された電気分解層21を+Z方向から覆い被せ、電圧印加溶解層10と対向電極20との間に電圧印加溶解層10が陽極となるように電圧を印加した。この際、電解質溶液19としては硫酸カリウム水溶液を用い、電圧印加溶解層10と対向電極20の間に5.0Vの直流電圧を60秒間印加した。その結果、凹凸構造の内部に形成された固着物はほぼ完全に除去された。その後再び、連続する吐出動作と一般的なブレードワイピングを所定回繰り返したところ、吐出方向のゆがみや吐出量の変動は確認されず、安定した吐出動作を長時間維持することができた。
(実施例2)
本実施例では、撥水層11を2層の樹脂(有機材料)によって構成する液体吐出ヘッドとその製造工程について説明する。吐出素子基板3に第2の密着層15を積層するまでの工程、すなわち図3(a)〜図4(c)までの工程は実施例1と同等である。
図6(a)〜(c)は、第2の密着層15までの層形成が完了した状態より本実施例の撥水層11を形成する工程を示す図である。本実施例では、図6(a)に示す第2の密着層15までが積層された状態に対し、図6(b)のように第2の密着層15の+Z方向上面に撥水下層11b、及び、撥水上層11cをこの順に積層形成する。撥水下層11bは感光性樹脂からなるネガ型レジスト(日本化薬製のSU‐8)を厚み0.1μm〜1.0μmで塗布することによって成膜する。また、撥水上層11cは、フルオロアルキルシラン(ダイキン工業製のオプツールDSX)を厚み0.1μm〜1.0μmで塗布することによって成膜する。このような構成のもと、撥水上層11cの材料は撥水下層11bの材料よりも、表面エネルギが小さくなっている。その後、この2層を露光、現像によってパターニングすることにより、凹凸構造を有する撥水層11を完成させる。以降の工程すなわち吐出口などの液体経路を形成する工程は、実施例1と同等であるので説明を省略する。図5(c)は、完成された本実施例の液体吐出ヘッドを示す。
吐出口面に凹凸構造を有する場合、凹部に付着したインクよりも凸部先端に付着したインクの方が吐出口4からの吐出動作に影響を与えやすい。しかし、本実施例のように凸部先端の表面エネルギを凸部下端の表面エネルギよりも小さくしておけば、凸部先端に付着した液滴を凹部に誘導しやすく、凸部先端に付着するインクの量を実施例1よりも低減することができる。すなわち、本実施例によれば、実施例1に比べて吐出状態を更に安定化させることができる。
本実施例においても実施例1と同様の耐久試験を行ったところ、吐出動作の繰り返しに伴い凹凸構造の凹部にインク滴が溜まり、徐々に固着物が増大して行く状態が確認された。この際、凸部の先端に付着したインクは凹部に誘導されるので、凸部近傍は実施例1よりも清浄な状態を維持することができ、吐出動作も更に安定させることができた。一方、凹部には第1の実施例よりも多くのインクが付着するが、図2で説明した回復処理を施すことにより、凹部に形成された固着物はほぼ完全に除去され、安定した吐出動作を長時間維持することができた。
なお、本発明者らは、上記実施例1および実施例2の構成の液体吐出ヘッド100とは別に図7に示すような液体吐出ヘッド300を比較例として用意し、上記実施例と同様の耐久試験を行った。この場合、連続する吐出動作と一般的なブレードワイピングを所定回繰り返す段階においては、上記実施例と同様、凹凸構造の凹部にインク滴が溜まり、徐々に固着物が増大して行く状態が確認された。しかしながら、その後図2で説明した回復処理を行っても、比較例の液体吐出ヘッド300の凹部には電圧印加溶解層10が露出していないので電解質溶液内に直流電流は発生しない。すなわち、比較例においては、電圧印加溶解層10の溶解に伴って固着物Lを除去することはできず、上記実施例に比べて安定した吐出動作を長時間維持することはできなかった。
4 吐出口
6 オリフィスプレート
10 電圧印加溶解層
11 撥水層
19 電解質溶液
100 液体吐出ヘッド

Claims (11)

  1. 液体を吐出する吐出口が形成されたオリフィスプレートを有する液体吐出ヘッドであって、
    前記オリフィスプレートの表面には、所定の電解質溶液内で電圧を印加すると溶解する性質を有する材料から成る電圧印加溶解層の上に前記電圧印加溶解層とは異なる材料の複数の凸部が形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記電圧印加溶解層は、1気圧下で100℃の環境において固体である性質、電圧を印加しない状態で所定のPH領域の液体と接触しても溶解しない性質、および電圧を印加した状態で前記所定のPH領域の液体と接触すると溶解する性質、を有している請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記電圧印加溶解層は、金、イリジウム、ルテニウム、銀、ビスマス、パラジウム、オスミウムの少なくとも1つ以上を含む請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記凸部は無機材料の単層である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記無機材料は、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボンを含む請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記凸部は2層の有機材料の層である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記2層の有機材料の層のうち、前記凸部の先端に位置する上層の表面エネルギは前記先端から離れた位置の下層の表面エネルギよりも小さい請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記上層はフルオロアルキルシランを含み、前記下層は感光性樹脂を含む請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記電圧印加溶解層は、前記オリフィスプレートの表面および当該表面と対向させた電極を前記所定の電解質溶液で満たした状態で前記電圧印加溶解層が陽極となるように電圧を印加することにより、前記所定の電解質溶液に溶解する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 液体を吐出する吐出口が形成されたオリフィスプレートを有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記オリフィスプレートの表面に、所定の電解質溶液内で電圧を印加すると溶解する性質を有する材料から成る電圧印加溶解層を形成する工程と、
    前記電圧印加溶解層の上面に前記電圧印加溶解層とは異なる材料の撥水基層を形成する工程と、
    前記撥水基層の上面にポジ型レジストから成るエッチングマスクを部分的に塗布する工程と、
    前記エッチングマスクを介して、露光、現像および反応性イオンエッチングを行うことにより、前記撥水基層のうち前記エッチングマスクによってマスクされていない部分を除去して前記オリフィスプレートの上面に凹凸構造を形成する工程と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 液体を吐出する吐出口が形成されたオリフィスプレートの表面に、所定の電解質溶液内で電圧を印加すると溶解する性質を有する材料から成る電圧印加溶解層が積層され、さらに当該電圧印加溶解層の表面に前記電圧印加溶解層とは異なる材料の複数の凸部が形成されて成る液体吐出ヘッドを用意し、
    前記オリフィスプレートの表面および当該表面と対向させた電極を前記所定の電解質溶液で満たし、前記電圧印加溶解層が陽極となるように電圧を印加することにより、前記所定の電解質溶液に前記電圧印加溶解層の一部を溶解させることを特徴とする液体吐出ヘッドの回復方法。
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