JP2019155712A - インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印字品位に影響する増粘(固着)されたインク残滓を減らし良好な印字品位を保持するインクジェット記録ヘッドを提案する事【解決手段】 液体を吐出するエネルギーを発生する記録素子と、液体を吐出する吐出口が形成された無機材料からなるオリフィスプレートと、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記オリフィスプレートの少なくとも吐出口周辺上に電気化学的に溶解可能な金属膜を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。【選択図】 図2
Description
本発明は、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置には、電気熱変換素子が発生する熱エネルギーにより生ずる液体の発泡等を利用して液体を吐出する方式のインクジェット記録装置がある。このような方式のインクジェット記録装置において、液体吐出後のオリフィスプレート面には、インクミストや印刷物からのインク跳ね返りにより印刷に不要なインク残滓が付着する。
このインク残滓が吐出口近傍にある場合に吐出されたインク滴がインク残滓に引っ張られて正しい吐出ができなくなる(ヨレが発生)。
このオリフィスプレート上のインク残滓に対する対策として回復と呼ばれる動作を実行する。特許文献1には、クリーニングブレードにてオリフィスプレート面を擦る(ワイピング)する際に、クリーニングブレードとして特定のエーテル系ポリウレタンゴム弾性体を使用することを提案している。
このインク残滓が吐出口近傍にある場合に吐出されたインク滴がインク残滓に引っ張られて正しい吐出ができなくなる(ヨレが発生)。
このオリフィスプレート上のインク残滓に対する対策として回復と呼ばれる動作を実行する。特許文献1には、クリーニングブレードにてオリフィスプレート面を擦る(ワイピング)する際に、クリーニングブレードとして特定のエーテル系ポリウレタンゴム弾性体を使用することを提案している。
インクの増粘(凝固)によりワイピング等の一回の回復動作でインク残滓が解決しないケースにおいて、印字品位の低下につながる残滓は、多回数のワイピングによって回復が図られる。しかし、オリフィスプレート面にダメージを与える事に起因する印字品位の低下に結びつく可能性がある。
本発明は印字品位に影響する増粘(固着)されたインク残滓を減らし良好な印字品位を保持するインクジェット記録ヘッドを提供する事を目的とする。また、本発明は、このインクジェット記録ヘッドに対してインク残滓を除去する手段を有するインクジェット記録装置及びインク残滓を除去する工程を含むインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明は印字品位に影響する増粘(固着)されたインク残滓を減らし良好な印字品位を保持するインクジェット記録ヘッドを提供する事を目的とする。また、本発明は、このインクジェット記録ヘッドに対してインク残滓を除去する手段を有するインクジェット記録装置及びインク残滓を除去する工程を含むインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、液体を吐出するエネルギーを発生する記録素子と、液体を吐出する吐出口が形成された無機材料からなるオリフィスプレートと、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記オリフィスプレートの少なくとも吐出口周辺上に電気化学的に溶解可能な金属膜を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド、に関する。
また、本発明の別の態様は、上記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備え、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置に関する。
本発明のさらに別の態様は、上記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置におけるオリフィスプレート面に付着したインク残滓の除去を含むインクジェット記録方法であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備えており、前記オリフィスプレート面の金属膜に該キャップ内の液体を接触させた状態で、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加することで、前記金属膜を電気化学的に溶解するのと同時に、該金属膜上に付着したインク残滓を除去することを特徴とするインクジェット記録方法、に関する。
また、本発明の別の態様は、上記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備え、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置に関する。
本発明のさらに別の態様は、上記のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置におけるオリフィスプレート面に付着したインク残滓の除去を含むインクジェット記録方法であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備えており、前記オリフィスプレート面の金属膜に該キャップ内の液体を接触させた状態で、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加することで、前記金属膜を電気化学的に溶解するのと同時に、該金属膜上に付着したインク残滓を除去することを特徴とするインクジェット記録方法、に関する。
本発明によれば、印字品位に影響する増粘(固着)されたインク残滓を減らし良好な印字品位を保持するインクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供できる。
本発明を実施する液体吐出ヘッド、インクジェット記録装置及びと液体吐出ヘッドの製造方法について以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<インクジェット記録ヘッド>
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録用基板の斜視図である。図2は図1で示されるインクジェット記録用基板のX−X’断面斜視図である。
本インクジェット記録用基板は、図1に示すように、シリコン基板3上に半導体製造技術を用いてインクを吐出するエネルギー発生する記録素子1とそれを駆動させる駆動回路(不図示)等が形成されている。記録素子1としては、電気熱変換素子等の熱によりインクを発泡させて吐出エネルギーとする素子が好ましい。また図1に示されるように、インク供給口2が、基板3を基板面に対して垂直な方向に貫通する貫通孔として形成され、基板3の表面及び裏面のいずれにも開口している。
図1では、インク供給口2は、記録素子1の2つの列の間の位置に形成されているが、この位置関係に限定されない。
更に、記録素子1上にはノズル形成部材25により基板の裏面側から供給されたインクを吐出するためのインク吐出口4が形成されている。インクジェット記録ヘッドは、各インク吐出口4に対応した記録素子(電気熱変換素子)1を駆動させ、インクを発泡すること等によりその圧力を利用してインクを吐出させ印字を行うことができる。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録用基板の斜視図である。図2は図1で示されるインクジェット記録用基板のX−X’断面斜視図である。
本インクジェット記録用基板は、図1に示すように、シリコン基板3上に半導体製造技術を用いてインクを吐出するエネルギー発生する記録素子1とそれを駆動させる駆動回路(不図示)等が形成されている。記録素子1としては、電気熱変換素子等の熱によりインクを発泡させて吐出エネルギーとする素子が好ましい。また図1に示されるように、インク供給口2が、基板3を基板面に対して垂直な方向に貫通する貫通孔として形成され、基板3の表面及び裏面のいずれにも開口している。
図1では、インク供給口2は、記録素子1の2つの列の間の位置に形成されているが、この位置関係に限定されない。
更に、記録素子1上にはノズル形成部材25により基板の裏面側から供給されたインクを吐出するためのインク吐出口4が形成されている。インクジェット記録ヘッドは、各インク吐出口4に対応した記録素子(電気熱変換素子)1を駆動させ、インクを発泡すること等によりその圧力を利用してインクを吐出させ印字を行うことができる。
次に、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を、図2のY−Y’の断面図である図3を用いて説明する。
まず、図3(a)に示すように、シリコン等の材料で形成された基板3を用意する。基板3上には、SiO2等の材料からなる絶縁層10が形成されており、絶縁層10上にはアルミニウムの配線(不図示)及び記録素子1が形成されている。記録素子1は例えばTaSiN、TaNに代表される高抵抗材料等で形成されている。また記録素子1は、保護層11で覆われている。保護層11は、例えば、SiN、SiO、Ta等の材料で形成されている。
まず、図3(a)に示すように、シリコン等の材料で形成された基板3を用意する。基板3上には、SiO2等の材料からなる絶縁層10が形成されており、絶縁層10上にはアルミニウムの配線(不図示)及び記録素子1が形成されている。記録素子1は例えばTaSiN、TaNに代表される高抵抗材料等で形成されている。また記録素子1は、保護層11で覆われている。保護層11は、例えば、SiN、SiO、Ta等の材料で形成されている。
次に、図3(b)に示すように、保護層11上に流路の型となる型材7を設ける。型材7は、例えば樹脂で形成する。樹脂が感光性樹脂である場合には、基板3上に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂を露光、現像してパターニングすることで、流路の型となる型材7を形成する。感光性樹脂でない場合には、型材7となる樹脂、例えばポリイミド等の樹脂を厚み2μm〜23μmで塗布し、樹脂層を形成する。その樹脂層上に感光性樹脂を設け、感光性樹脂をパターニングしてレジストを形成し、レジストを用いてRIE等によって樹脂をエッチングすることで、流路の型となる型材7を形成する。また、型材7は樹脂に限らず、アルミニウム等の金属等で形成してもよい。アルミニウムを用いる場合には、基板3上にアルミニウムをスパッタにより成膜し、アルミニウム上に感光性樹脂等でレジストを形成し、レジストを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)等によってアルミニウムをエッチングすることで型材を形成する。
次に、図3(c)に示すように、型材7の上面にオリフィスプレート6となる層を形成する。オリフィスプレート6となる層は、例えばSiC、或いはSiCN等の無機絶縁材料で形成する。オリフィスプレート6となる層は、型材7の上面から型材7を覆うように、さらには、型材7上から延在させて、基板3上や、保護層11が存在する場合には保護層11上にも形成することが好ましい。オリフィスプレート6はどのような方法で形成してもよいが、プラズマCVD法で形成することが好ましい。例えばSiCのプラズマCVD法による成膜は、SiH4ガス流量:80sccm〜1000sccm、CH4ガス流量:10sccm〜5000sccm、HRF電力:250W〜900W、LRF電力:8W〜500W、圧力:310Pa〜700Pa、温度:300℃〜450℃の成膜条件から、オリフィスプレート6となる層の厚み、ケイ素と炭素の含有割合に応じて適宜調整して形成することができる。
またSiCNのプラズマCVD法による成膜は、SiH4ガス流量:80sccm〜1000sccm、NH3ガス流量:14sccm〜400sccm、N2ガス流量:0sccm〜10000sccm、CH4ガス流量:10sccm〜5000sccm、HRF電力:250W〜900W、LRF電力:8W〜500W、圧力:310Pa〜700Pa、温度:300℃〜450℃の成膜条件から、オリフィスプレート6となる層の厚み、ケイ素、炭素及び窒素の含有割合に応じて適宜調整して形成することができる。尚、オリフィスプレートとは、吐出口が形成されるプレートのことである。オリフィスプレートの厚みは、1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。また、2μm以上であることがより好ましく、5μmを超えることが特に好ましい。
またSiCNのプラズマCVD法による成膜は、SiH4ガス流量:80sccm〜1000sccm、NH3ガス流量:14sccm〜400sccm、N2ガス流量:0sccm〜10000sccm、CH4ガス流量:10sccm〜5000sccm、HRF電力:250W〜900W、LRF電力:8W〜500W、圧力:310Pa〜700Pa、温度:300℃〜450℃の成膜条件から、オリフィスプレート6となる層の厚み、ケイ素、炭素及び窒素の含有割合に応じて適宜調整して形成することができる。尚、オリフィスプレートとは、吐出口が形成されるプレートのことである。オリフィスプレートの厚みは、1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。また、2μm以上であることがより好ましく、5μmを超えることが特に好ましい。
次に図3(d)に示すようにオリフィスプレート6の上に、オリフィスプレート6と後述する電圧印加溶解層9との密着性を向上させるために、両者の間に密着層8を設けてもよい。密着層8の素材としては、タンタル等が挙げられる。成膜方法については、DCマグネトロンスパッタ等のスパッタ装置にて成膜する方法が挙げられる。尚、密着層8の厚みは、10nm以上であることが好ましく、500nm以下であることが好ましい。また、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。
次に図3(e)に示すように密着層8の上面に電圧印加溶解層9となる層を形成する。本発明は、この電圧印加溶解層9を設けた点に特徴がある。この電圧印加溶解層9は、電圧印加によりその一部が溶解することで、吐出口付近のインク固着物を除去するという発明の趣旨から、少なくとも吐出口周辺上に、具体的には、吐出口に接している又は前記金属膜で吐出口が形成されている事が好ましい。このような電圧印加溶解層9は、密着層と同様にDCマグネトロンスパッタ等のスパッタ装置によって成膜される。DCマグネトロンスパッタを用いる場合の成膜は、DCパワー密度1W/cm2〜4W/cm2、圧力0.2Pa〜1.5Pa、温度50℃〜450℃の条件で行うことが好ましい。
電圧印加溶解層9としては、電気化学的に溶解可能である金属膜を用いる。この金属膜は、インクジェット記録ヘッドの使用温度において固体である必要性から、1気圧下で100℃の環境において固体である性質を有する事が好ましい。さらに金属膜は、電圧を印加しない状態で所定のpH領域の液体と接触しても溶解しない性質及び電圧を印加した状態で前記所定のpH領域の液体と接触して電気化学的に溶解する性質を有することが好ましい。
液体のpHとしては、7〜10の範囲が好ましく、8〜9の範囲がより好ましい。
このような金属膜としては、金、イリジウム、ルテニウム、銀、ビスマス、パラジウム及びオスミウムからなる群から選択される少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
尚、電圧印加溶解層9の厚みは、10nm以上であることが好ましく、500nm以下であることが好ましい。また、30nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが特に好ましい。
電圧印加溶解層9としては、電気化学的に溶解可能である金属膜を用いる。この金属膜は、インクジェット記録ヘッドの使用温度において固体である必要性から、1気圧下で100℃の環境において固体である性質を有する事が好ましい。さらに金属膜は、電圧を印加しない状態で所定のpH領域の液体と接触しても溶解しない性質及び電圧を印加した状態で前記所定のpH領域の液体と接触して電気化学的に溶解する性質を有することが好ましい。
液体のpHとしては、7〜10の範囲が好ましく、8〜9の範囲がより好ましい。
このような金属膜としては、金、イリジウム、ルテニウム、銀、ビスマス、パラジウム及びオスミウムからなる群から選択される少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
尚、電圧印加溶解層9の厚みは、10nm以上であることが好ましく、500nm以下であることが好ましい。また、30nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが特に好ましい。
次に、図3(f)に示すように、液体を吐出する吐出口4を形成する。吐出口4は、オリフィスプレート6、密着層8及び電圧印加溶解層9を貫通している。吐出口4は、例えばオリフィスプレート6、密着層8及び電圧印加溶解層9をRIEによってエッチングしたり、レーザーを照射したりすることで形成する。吐出口4の直径は、レジストの形状を調整することにより、通常1μm〜15μmの範囲で形成する。
なお電圧印加溶解層9のエッチングには、RIEを採用し、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)、エッチングガスにアルゴンガス(1〜200sccm)、塩素ガス(1〜200sccm)を用いエッチング圧力;0.1〜10Pa、RFパワー;100〜2000W(13.56MHz)の範囲で行うことが好ましい。
なお電圧印加溶解層9のエッチングには、RIEを採用し、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)、エッチングガスにアルゴンガス(1〜200sccm)、塩素ガス(1〜200sccm)を用いエッチング圧力;0.1〜10Pa、RFパワー;100〜2000W(13.56MHz)の範囲で行うことが好ましい。
次に、図3(g)に示すように、基板3にインク供給口2を形成する。インク供給口2は、例えば基板3にレーザー照射や、異方性エッチング等で形成する。基板3上に保護層11が形成されている場合には、インク供給口の開口部分に存在する保護層11をRIE等によって除去することで、基板3にインク供給口2を貫通させる。尚、インク供給口2はこの時点で形成しなくてもよい。例えば図3(a)の段階で基板にあらかじめ形成しておいてもよい。但し、型材7等の成膜性を考慮すると、型材7及びオリフィスプレート6を形成した後で形成することが好ましい。
最後に、図3(h)に示すように、型材7をエッチングにより除去し、液体の流路5を形成する。エッチングとしては、酸素ガスを導入してマイクロ波でプラズマを励起してエッチングする等方性ドライエッチングや、適当な溶媒を使用する等によって型材を除去するウェットエッチングが挙げられる。このような溶媒としては、例えば、ヒドラジン系溶液、水酸化カリウム+アルコール系溶液、市販品としては東レエンジニアリング製TPE3000液等が挙げられる。
以上の工程によって、本発明のインクジェット記録ヘッドが製造される。
以上の工程によって、本発明のインクジェット記録ヘッドが製造される。
<インクジェット記録装置>
前記の手順にて作製したインクジェット記録ヘッドは、例えば、図9に示されるようなインクジェット記録装置100に搭載される。インクジェット記録装置100は、インクジェット記録装置100の略下半分を形成する下ケース101aと、インクジェット記録装置100の略上半分を形成する上ケース101bとを含むシャーシ101を有している。シャーシ101は、不図示の外装部材内に収納されて、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、インクジェット記録装置の骨格を形成している。上ケース101bおよび下ケース101aを組み合わせることによって、内部に空間を有する中空体構造が形成され、その上面部および前面部には開口が形成される。
インクジェット記録装置100は、記録動作を行うための機構として、記録媒体を装置本体内へ給送する給送部102と、給送部102から送り出される記録媒体を所望の記録位置へと導き、さらに記録位置から排出部106へと導く搬送部103を有する。さらに、記録位置に搬送された記録媒体に液体を吐出して記録を行う記録部104を有する。記録部104は、キャリッジ軸111によって移動可能に支持されたキャリッジ112と、キャリッジ112に対して着脱可能に搭載されるインクジェット記録ヘッド113と、インクジェット記録ヘッド113に供給するインクを貯留する複数のインクタンク114とを有する。インクジェット記録ヘッド113としては、例えば、図9に示すように、キャリッジ112に対して着脱可能なカートリッジ方式のものが挙げられる。
インクジェット記録装置100は、記録部104等に対する回復動作が行なわれるエリアである回復部105をさらに有している。 この回復部105には、キャップと呼ばれる液体(インク)が満たされた部材(キャップ部材という)が設けられている。キャップ部材内には、電圧印加溶解層に対向する電極(対向電極という)が設けられており、電圧印加溶解層と対向電極に通電すると、液体を介して電気化学的反応により電圧印加溶解層が溶解される。つまり、電圧印加溶解層と対向電極間の電位差によって、電気化学的に陽極となる電圧印加溶解層が液体中に溶解する。その結果、吐出口付近に付着するインク残滓(固着物)が残らず良好な印字品位を保持する事が出来る。
使用する液体としては、主に水であり、電圧印加により電圧印加溶解層と対向電極間に電流が流れるように、特に、導電率500〜3000μS/cmの範囲の液体を用いることが好ましい。
また、液体として、インクジェット記録ヘッド113から吐出されるインクと同様の液体を用いることもできる。このとき、インクの混色を避ける観点からは、主成分はインクと同様であり、色材が添加されていない透明なインクを用いることが好ましい。インクジェット記録ヘッド113から回復動作の予備吐出で吐出されるインクを用いることもできる。
対向電極には、電圧を印加して通電しても溶解しない材料、例えば、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)等の金属材料を用いることができる。対向電極は電圧印加溶解層と同様に1気圧下で100℃の環境において固体である性質を有し、電圧の印加如何に関わらず、所定のpH領域の液体と接触しても溶解しない性質であればよい。
インク残滓を除去するには、電圧印加溶解層の表面を3nm以上溶解させれば良く、そのためには、DC2.5V〜20Vを80秒以上印加させれば十分である。なお、電圧は液体が電気分解されない電圧であることが好ましい。
前記の手順にて作製したインクジェット記録ヘッドは、例えば、図9に示されるようなインクジェット記録装置100に搭載される。インクジェット記録装置100は、インクジェット記録装置100の略下半分を形成する下ケース101aと、インクジェット記録装置100の略上半分を形成する上ケース101bとを含むシャーシ101を有している。シャーシ101は、不図示の外装部材内に収納されて、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、インクジェット記録装置の骨格を形成している。上ケース101bおよび下ケース101aを組み合わせることによって、内部に空間を有する中空体構造が形成され、その上面部および前面部には開口が形成される。
インクジェット記録装置100は、記録動作を行うための機構として、記録媒体を装置本体内へ給送する給送部102と、給送部102から送り出される記録媒体を所望の記録位置へと導き、さらに記録位置から排出部106へと導く搬送部103を有する。さらに、記録位置に搬送された記録媒体に液体を吐出して記録を行う記録部104を有する。記録部104は、キャリッジ軸111によって移動可能に支持されたキャリッジ112と、キャリッジ112に対して着脱可能に搭載されるインクジェット記録ヘッド113と、インクジェット記録ヘッド113に供給するインクを貯留する複数のインクタンク114とを有する。インクジェット記録ヘッド113としては、例えば、図9に示すように、キャリッジ112に対して着脱可能なカートリッジ方式のものが挙げられる。
インクジェット記録装置100は、記録部104等に対する回復動作が行なわれるエリアである回復部105をさらに有している。 この回復部105には、キャップと呼ばれる液体(インク)が満たされた部材(キャップ部材という)が設けられている。キャップ部材内には、電圧印加溶解層に対向する電極(対向電極という)が設けられており、電圧印加溶解層と対向電極に通電すると、液体を介して電気化学的反応により電圧印加溶解層が溶解される。つまり、電圧印加溶解層と対向電極間の電位差によって、電気化学的に陽極となる電圧印加溶解層が液体中に溶解する。その結果、吐出口付近に付着するインク残滓(固着物)が残らず良好な印字品位を保持する事が出来る。
使用する液体としては、主に水であり、電圧印加により電圧印加溶解層と対向電極間に電流が流れるように、特に、導電率500〜3000μS/cmの範囲の液体を用いることが好ましい。
また、液体として、インクジェット記録ヘッド113から吐出されるインクと同様の液体を用いることもできる。このとき、インクの混色を避ける観点からは、主成分はインクと同様であり、色材が添加されていない透明なインクを用いることが好ましい。インクジェット記録ヘッド113から回復動作の予備吐出で吐出されるインクを用いることもできる。
対向電極には、電圧を印加して通電しても溶解しない材料、例えば、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)等の金属材料を用いることができる。対向電極は電圧印加溶解層と同様に1気圧下で100℃の環境において固体である性質を有し、電圧の印加如何に関わらず、所定のpH領域の液体と接触しても溶解しない性質であればよい。
インク残滓を除去するには、電圧印加溶解層の表面を3nm以上溶解させれば良く、そのためには、DC2.5V〜20Vを80秒以上印加させれば十分である。なお、電圧は液体が電気分解されない電圧であることが好ましい。
<インク残滓の除去方法>
インク残滓を除去する方法について具体的に説明する。
まず、図4(a)に示す様に、基板3の表面に電圧印加用電極パッド13及び電圧印加溶解層と電圧印加用電極パッド13とを接続する配線14を形成する。
配線14は、電圧印加溶解層への電圧低下を避ける為に複数の供給配線を形成する事が好ましい。電圧印加用電極パッド13は、従来の駆動用の電圧印加用の電極パッドと同様にして形成することができる。また、配線14は、電圧印加溶解層を形成する際に形成される金属膜を用いて同時に形成することができる。
次に図4(b)に示す様に、基板3をプレート18に設置し、封止材19にてインクからの防水を行う。基板3が設置されたプレート18は、インクタンクや配線等(不図示)を備えており、インクジェット記録ヘッドとして、図9に示すようなインクジェット記録装置100(プリンタ)に装着される。インクジェット記録装置100は、インクジェット記録ヘッド113のオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材(以下単にキャップという)を備える。
次に図4(c)に示す様にインク廃液ポンプ20と液体(インク)供給配管22を備えたキャップ21に、液体(インク)供給配管22から液体(インク)を供給し、充填した状態にする。液体の供給は、キャップ21を基板に密着させてから行ってもよく、通電中に液体の供給と排出を行うようにしてもよい。キャップ21内にはインクジェット記録ヘッド113の電圧印加溶解層に対向して、対向電極23が設けられている。キャップ21は、インクジェット記録装置100において、インクジェット記録ヘッド113の待避位置、すなわち、通常回復動作が行われるエリアである回復部105に設けられる。
次に図4(d)及び図4(e)に示す様に基板3に対してキャップ21を密着させ、電圧印加溶解層にはインクジェット記録ヘッド側から、対向電極にはキャップ21側から通電(表面印加)される。
また図5(a)に示す様に、基板3の表面に、電圧印加溶解層9をヘッド駆動用の電極パッド部を除く全面に形成する。
次に図5(b)に示す様に、基板3は、図4(b)と同様のプレート18に設置され封止材19にてインクからの防水が行われ、インクジェット記録ヘッドとしてインクジェット記録装置(プリンタ)に装着される。
次に図5(c)に示す様に、インク廃液ポンプ20、液体(インク)供給配管22、対向電極23を備えたキャップ内に、(液体)を充填した状態にする。またキャップ側には、電極端子17が備えられている。
なお、図4及び図5において、キャップ21を固定した状態でインクジェット記録ヘッドを垂直方向に移動させてキャップ21と係合させても、インクジェット記録ヘッドを所定位置に保持した状態でキャップ21を移動させて係合させてもよい。
次に図5(d)及び図5(e)に示す様に、固定されたキャップ21に対し、インクジェット記録ヘッドを移動して密着させると電極端子17がオリフィスプレート外郭の電圧印加溶解層9と接触し、通電可能となる。
図4及び図5において、電圧印加溶解層と対向電極23との間に電圧を印加して、電圧印加溶解層を液体中に溶解させるのと同時に金属膜上のインク残滓が除去される。その後、液体はインク廃液ポンプ20を介して排出される。
次に電圧印加溶解層への通電後の動作として、吸引回復、ワイピングなどのヘッドの回復作業が行われる。なお、図4及び図5に示すキャップ21は吸引回復を行うキャップ部材と併用しても構わない。電圧印加溶解層への通電は、通常、回復動作が必要となるタイミング、すなわち、吸引回復、ワイピング、予備吐出などのヘッド回復作業が行われるタイミングで行えばよい。例えば、キャップ21に充填される液体として予備吐出で吐出したインクを使用し、電圧印加溶解層への通電を行った後、インク廃液ポンプ20により液体の除去と吸引動作を同時に行うことができる。
また、キャップ21内には液体を保持するための多孔質体を有してもよい。多孔質体としては、電気絶縁性を有する材料であり、液体に溶解せず、電圧印加溶解層への通電を阻害しない材料であればよい。多孔質体を有することで、液体の飛び散りを防止することができる。
インク残滓を除去する方法について具体的に説明する。
まず、図4(a)に示す様に、基板3の表面に電圧印加用電極パッド13及び電圧印加溶解層と電圧印加用電極パッド13とを接続する配線14を形成する。
配線14は、電圧印加溶解層への電圧低下を避ける為に複数の供給配線を形成する事が好ましい。電圧印加用電極パッド13は、従来の駆動用の電圧印加用の電極パッドと同様にして形成することができる。また、配線14は、電圧印加溶解層を形成する際に形成される金属膜を用いて同時に形成することができる。
次に図4(b)に示す様に、基板3をプレート18に設置し、封止材19にてインクからの防水を行う。基板3が設置されたプレート18は、インクタンクや配線等(不図示)を備えており、インクジェット記録ヘッドとして、図9に示すようなインクジェット記録装置100(プリンタ)に装着される。インクジェット記録装置100は、インクジェット記録ヘッド113のオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材(以下単にキャップという)を備える。
次に図4(c)に示す様にインク廃液ポンプ20と液体(インク)供給配管22を備えたキャップ21に、液体(インク)供給配管22から液体(インク)を供給し、充填した状態にする。液体の供給は、キャップ21を基板に密着させてから行ってもよく、通電中に液体の供給と排出を行うようにしてもよい。キャップ21内にはインクジェット記録ヘッド113の電圧印加溶解層に対向して、対向電極23が設けられている。キャップ21は、インクジェット記録装置100において、インクジェット記録ヘッド113の待避位置、すなわち、通常回復動作が行われるエリアである回復部105に設けられる。
次に図4(d)及び図4(e)に示す様に基板3に対してキャップ21を密着させ、電圧印加溶解層にはインクジェット記録ヘッド側から、対向電極にはキャップ21側から通電(表面印加)される。
また図5(a)に示す様に、基板3の表面に、電圧印加溶解層9をヘッド駆動用の電極パッド部を除く全面に形成する。
次に図5(b)に示す様に、基板3は、図4(b)と同様のプレート18に設置され封止材19にてインクからの防水が行われ、インクジェット記録ヘッドとしてインクジェット記録装置(プリンタ)に装着される。
次に図5(c)に示す様に、インク廃液ポンプ20、液体(インク)供給配管22、対向電極23を備えたキャップ内に、(液体)を充填した状態にする。またキャップ側には、電極端子17が備えられている。
なお、図4及び図5において、キャップ21を固定した状態でインクジェット記録ヘッドを垂直方向に移動させてキャップ21と係合させても、インクジェット記録ヘッドを所定位置に保持した状態でキャップ21を移動させて係合させてもよい。
次に図5(d)及び図5(e)に示す様に、固定されたキャップ21に対し、インクジェット記録ヘッドを移動して密着させると電極端子17がオリフィスプレート外郭の電圧印加溶解層9と接触し、通電可能となる。
図4及び図5において、電圧印加溶解層と対向電極23との間に電圧を印加して、電圧印加溶解層を液体中に溶解させるのと同時に金属膜上のインク残滓が除去される。その後、液体はインク廃液ポンプ20を介して排出される。
次に電圧印加溶解層への通電後の動作として、吸引回復、ワイピングなどのヘッドの回復作業が行われる。なお、図4及び図5に示すキャップ21は吸引回復を行うキャップ部材と併用しても構わない。電圧印加溶解層への通電は、通常、回復動作が必要となるタイミング、すなわち、吸引回復、ワイピング、予備吐出などのヘッド回復作業が行われるタイミングで行えばよい。例えば、キャップ21に充填される液体として予備吐出で吐出したインクを使用し、電圧印加溶解層への通電を行った後、インク廃液ポンプ20により液体の除去と吸引動作を同時に行うことができる。
また、キャップ21内には液体を保持するための多孔質体を有してもよい。多孔質体としては、電気絶縁性を有する材料であり、液体に溶解せず、電圧印加溶解層への通電を阻害しない材料であればよい。多孔質体を有することで、液体の飛び散りを防止することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより具体的に説明する。
<実施例1>
まず、図6(a)に示すように、シリコンで形成された基板3を用意した。基板3上には、SiO2の絶縁層10が形成されており、絶縁層10上にはアルミニウムの配線(不図示)及びTaSiNの発熱抵抗体からなる記録素子1が形成されている。基板3の絶縁層10が形成されている側の面における結晶の面方位は<100>である。記録素子1はSiNの保護層11で覆われている。
<実施例1>
まず、図6(a)に示すように、シリコンで形成された基板3を用意した。基板3上には、SiO2の絶縁層10が形成されており、絶縁層10上にはアルミニウムの配線(不図示)及びTaSiNの発熱抵抗体からなる記録素子1が形成されている。基板3の絶縁層10が形成されている側の面における結晶の面方位は<100>である。記録素子1はSiNの保護層11で覆われている。
次に、図6(b)に示すように、基板3上にポリイミド(日立化成デュポンマイクロシステムズ社製のPI2611)を厚み20μmで塗布し、ポリイミド層15を成膜した。成膜したポリイミド層15上に感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布した。次に、露光及び現像することで図6(c)に示すようにエッチングマスク16を作製した。そして、図6(d)に示すように、アルバック製NLD5700(商品名)を用いた反応性イオンエッチングによってポリイミドをエッチングし、インク流路の型となる型材(インク流路型材)7を形成した。この後、レジストを剥離し図6(e)に示すように型材7が形成された基板を得た。
次に、図6(f)に示すように、型材7を覆って、基板上にオリフィスプレート6となる層を形成した。オリフィスプレート6となる層は、プラズマCVD法によってSiCNを成膜することで形成した。SiCNの膜厚は5μmである。(SiC膜でもよい)
次に、図6(g)に示すように、オリフィスプレート6となる層の上面に第一の密着層8となる層を形成した。第一の密着層8となる層は、DCマグネトロンスパッタによって、DCパワー密度1.4W/cm2、圧力0.6Pa、温度150℃の条件下でタンタルを厚み50nmに成膜することで形成した。
次に、図6(h)に示すように、密着層8となる層の上面に電圧印加溶解層9となる層を形成した。電圧印加溶解層9となる層は、DCマグネトロンスパッタによって、DCパワー密度1.0W/cm2、圧力0.6Pa、温度200℃の条件下でイリジウムを厚み100nmに成膜することで形成した。
次に、図6(i)に示すように、オリフィスプレート6、密着層8、電圧印加溶解層9、を貫通する、吐出口4を形成した。
吐出口4は、感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))(不図示)を塗布し、レジストを露光、現像した。そして、そのレジストをマスクにRIE装置を用いてオリフィスプレート6、密着層8及び電圧印加溶解層9をパターニングすることにより形成した。なお、吐出口4の直径は、15μmとした。
リアクティブイオンエッチングは、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)を用い、アルゴンガス;30sccm、塩素ガス;70sccm、圧力;0.3Pa、放電条件;500W(13.56MHz)のエッチング条件で行った。
吐出口4は、感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))(不図示)を塗布し、レジストを露光、現像した。そして、そのレジストをマスクにRIE装置を用いてオリフィスプレート6、密着層8及び電圧印加溶解層9をパターニングすることにより形成した。なお、吐出口4の直径は、15μmとした。
リアクティブイオンエッチングは、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)を用い、アルゴンガス;30sccm、塩素ガス;70sccm、圧力;0.3Pa、放電条件;500W(13.56MHz)のエッチング条件で行った。
次に、図6(j)に示すように、基板3にインク供給口2を形成した。インク供給口2は、シリコンからなる基板3を、TMAH溶液を用いて異方性エッチングすることで形成した。基板3のエッチングが開始される面の結晶方位が<100>であるため、図6(j)に示すような形状のインク供給口2となった。インク供給口2上の絶縁層10及び保護層11は、RIEによって除去し、インク供給口2を貫通させた。
最後に、図6(k)に示すように、型材7を、酸素ガスを導入してマイクロ波でプラズマを励起してエッチングする等方性ドライエッチングにより除去し、流路5を形成した。
以上のようにして作製した基板を図5に示すようにヘッドにした後、プリンタに搭載して、途中1万枚毎に電圧印加溶解層への通電をDC20V30secで行いながら10万枚の耐久試験を実施した。その結果、吐出口近傍のインク固着が残らず良好な印字品位を保持する事が出来た。実施例1の形態は、電圧印加溶解層9がオリフィスプレート全面に配置されているので、インク残滓(固着物)に対してムラがなく作用できる点で有効であるといえる。
以上のようにして作製した基板を図5に示すようにヘッドにした後、プリンタに搭載して、途中1万枚毎に電圧印加溶解層への通電をDC20V30secで行いながら10万枚の耐久試験を実施した。その結果、吐出口近傍のインク固着が残らず良好な印字品位を保持する事が出来た。実施例1の形態は、電圧印加溶解層9がオリフィスプレート全面に配置されているので、インク残滓(固着物)に対してムラがなく作用できる点で有効であるといえる。
<実施例2>
以下に具体的に説明するように、実施例1に対して図8に示した電圧印加溶解層9を吐出口4の近傍のみ配置するパターンを形成した。
先ず、実施例1に示した図6(a)から(h)に示される工程までを同様に行い、図7(a)に示した電圧印加溶解層9を成膜した基板を用意した。
次に図7(b)に示すように感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布し、電圧印加溶解層9を吐出口4の形成予定位置の近傍のみに配置する露光マスクを使用して露光、現像した。このようにして、レジストマスク24を作製した。
次に図7(c)に示すようにRIE装置を用いて密着層8及び電圧印加溶解層9をパターニングし、最後にレジストマスク24を剥離した。
RIEは、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)を用い、アルゴンガス;30sccm、塩素ガス;70sccm、圧力;0.3Pa、放電条件;500W(13.56MHz)のエッチング条件で行った。
次に実施例1に示した図6(i)から(k)に示される工程までを同様に行い、基板を形成した。
以上のようにして作製した基板を吐出ヘッドにした後、プリンタに搭載して途中1万枚毎に電圧印加溶解層への通電をDC20V30secで行いながら10万枚の耐久試験を実施した。その結果、吐出口近傍のインク固着が残らず良好な印字品位を保持する事が出来た。実施例2の形態は、電圧印加溶解層9の面積が小さいため、電気的な分散が少なく効率が良い点で有効であるといえる。
図8には、吐出口近傍に電圧印加溶解層9を残す場合のパターン例を示す。それぞれの吐出口列毎に異なるパターンを示しているが、これはこのように別々のパターンを形成するという意味ではなく、どちらのパターンに形成してもよいという意味を示している。また、図8(a)は、図5に示した外部から電圧印加するためのパターンを、図8(b)は図4に示した記録ヘッド側から通電するためのパターンを示している。図8(b)では配線14は、電圧印加溶解層9の一部をパターニングにより残して形成している。
以下に具体的に説明するように、実施例1に対して図8に示した電圧印加溶解層9を吐出口4の近傍のみ配置するパターンを形成した。
先ず、実施例1に示した図6(a)から(h)に示される工程までを同様に行い、図7(a)に示した電圧印加溶解層9を成膜した基板を用意した。
次に図7(b)に示すように感光性樹脂からなるポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))を塗布し、電圧印加溶解層9を吐出口4の形成予定位置の近傍のみに配置する露光マスクを使用して露光、現像した。このようにして、レジストマスク24を作製した。
次に図7(c)に示すようにRIE装置を用いて密着層8及び電圧印加溶解層9をパターニングし、最後にレジストマスク24を剥離した。
RIEは、プラズマソースに誘導結合型プラズマ(ICP)を用い、アルゴンガス;30sccm、塩素ガス;70sccm、圧力;0.3Pa、放電条件;500W(13.56MHz)のエッチング条件で行った。
次に実施例1に示した図6(i)から(k)に示される工程までを同様に行い、基板を形成した。
以上のようにして作製した基板を吐出ヘッドにした後、プリンタに搭載して途中1万枚毎に電圧印加溶解層への通電をDC20V30secで行いながら10万枚の耐久試験を実施した。その結果、吐出口近傍のインク固着が残らず良好な印字品位を保持する事が出来た。実施例2の形態は、電圧印加溶解層9の面積が小さいため、電気的な分散が少なく効率が良い点で有効であるといえる。
図8には、吐出口近傍に電圧印加溶解層9を残す場合のパターン例を示す。それぞれの吐出口列毎に異なるパターンを示しているが、これはこのように別々のパターンを形成するという意味ではなく、どちらのパターンに形成してもよいという意味を示している。また、図8(a)は、図5に示した外部から電圧印加するためのパターンを、図8(b)は図4に示した記録ヘッド側から通電するためのパターンを示している。図8(b)では配線14は、電圧印加溶解層9の一部をパターニングにより残して形成している。
1:記録素子
2:インク供給口
3:基板
4:吐出口
5:インク流路
6:オリフィスプレート
7:インク流路型材
8:密着層
9:電圧印加溶解層
10:絶縁層
11:保護層
13:電圧印加用パッド
14:電圧印加溶解層用配線
15:ポリイミド層
16:エッチングマスク(ポジ型レジスト)
17:電極端子
18:プレート
19:封止材
20:廃液ポンプ
21:キャップ
22:液体(インク)供給配管
23:対向電極
24:レジストマスク
25:ノズル形成部材
100:インクジェット記録装置
101:シャーシ
101a:下ケース
101b:上ケース
102:給送部
103:搬送部
104:記録部
105:回復部
106:排出部
111:キャリッジ軸
112:キャリッジ
113:インクジェット記録ヘッド
114:インクタンク
2:インク供給口
3:基板
4:吐出口
5:インク流路
6:オリフィスプレート
7:インク流路型材
8:密着層
9:電圧印加溶解層
10:絶縁層
11:保護層
13:電圧印加用パッド
14:電圧印加溶解層用配線
15:ポリイミド層
16:エッチングマスク(ポジ型レジスト)
17:電極端子
18:プレート
19:封止材
20:廃液ポンプ
21:キャップ
22:液体(インク)供給配管
23:対向電極
24:レジストマスク
25:ノズル形成部材
100:インクジェット記録装置
101:シャーシ
101a:下ケース
101b:上ケース
102:給送部
103:搬送部
104:記録部
105:回復部
106:排出部
111:キャリッジ軸
112:キャリッジ
113:インクジェット記録ヘッド
114:インクタンク
Claims (8)
- 液体を吐出するエネルギーを発生する記録素子と、液体を吐出する吐出口が形成された無機絶縁材料からなるオリフィスプレートと、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記オリフィスプレートの少なくとも吐出口周辺上に電気化学的に溶解可能な金属膜を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 前記金属膜が、1気圧下で100℃の環境において固体である性質、かつ、電圧を印加しない状態で所定のpH領域の液体と接触しても溶解しない性質及び電圧を印加した状態で前記所定のpH領域の液体と接触して電気化学的に溶解する性質を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記金属膜が、金、イリジウム、ルテニウム、銀、ビスマス、パラジウム及びオスミウムからなる群から選択される少なくとも1種で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記金属膜は吐出口に接している又は前記金属膜で吐出口が形成されている事を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備え、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記電圧印加手段が、前記キャップ側に設けられた、前記インクジェット記録ヘッド側の金属膜又は該金属膜に電気的に接続された電極と接する電極である事を特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- オリフィスプレート上の金属膜への通電後の動作が、ヘッドの吸引回復、ワイピング、予備吐出とするタイミングで行なわれるよう配線されている事を特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘッドのオリフィスプレート面に対して相対的に接触、離間可能に設けられたキャップ部材を備えるインクジェット記録装置におけるオリフィスプレート面に付着したインク残滓の除去を含むインクジェット記録方法であって、
前記キャップ部材は、液体と、前記オリフィスプレート上の金属膜と対向する対向電極を備えており、前記オリフィスプレート面の金属膜に該キャップ内の液体を接触させた状態で、前記金属膜と対向電極間に前記液体を介して電圧を印加することで、前記金属膜を電気化学的に溶解するのと同時に、該金属膜上に付着したインク残滓を除去することを特徴とするインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018045168A JP2019155712A (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018045168A JP2019155712A (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019155712A true JP2019155712A (ja) | 2019-09-19 |
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ID=67995453
Family Applications (1)
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JP2018045168A Pending JP2019155712A (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
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Country | Link |
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- 2018-03-13 JP JP2018045168A patent/JP2019155712A/ja active Pending
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