JP2010000634A - インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力配線部とノズル形成部材との間に高い密着性を得ることができると共に、配線部とインクとの接触による配線部の腐食、電解などの発生を低減することが可能なインクジェット記録ヘッド用基板を提供する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッド用基板は、基板101の表面に発熱抵抗体103と、発熱抵抗体に電力を供給する電力配線130と、電力配線の表面に形成した有機層111と、を備える。電力配線130に接する有機層111との間には、電力配線130より化学的安定性の低い金属からなる密着層110を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、インク滴を吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッド用の基板、及びインクジェット記録ヘッドに関する。詳しくはインク滴を吐出するための熱エネルギを発生する発熱抵抗素子への電力供給を行う電力配線とインク滴を吐出する吐出口を形成する吐出口形成部材との密着性向上に関するものである。
近年、記録技術の進展と共に、インクジェット記録装置においても記録の高速化・高画質化が要請されている。この要請を実現するためには、記録ヘッドの印字幅をより長くすることに加え、記録ヘッドの構成要素であるインクジェット記録ヘッド用基板において、ノズル(吐出口ともいう)をより高密度に配列することが必要である。そのため、インクジェット記録ヘッド用基板の上に形成される発熱抵抗素子数の増加、及び狭ピッチ化が図られている。また、これに伴い、発熱抵抗素子に電力を供給する電力配線では、各発熱抵抗素子に安定かつ均一な電力を供給するために電力配線の低抵抗化を図ることが必要となる。このため、従来は、低抵抗材料による配線形成に加え、基板上の配線の厚膜化が検討されてきた。
こうした配線の厚膜化を図る技術として、特許文献1に開示されているインクジェット記録ヘッド用基板がある。このインクジェット記録ヘッド用基板では、めっき法により厚膜の金(Au)で電力配線を形成し、低抵抗化を実現している。
特開2005―199701号公報
一般に、インクジェット記録ヘッド用基板に形成される電力配線層には、耐腐食性が要求されるため、その素材には金(Au)等の貴金属が用いられると共に、その電力配線層をインクから保護するために上層には絶縁保護膜を形成している。この保護膜の形成方法としては、SiNやSiO等の無機膜を真空成膜技術等により形成する方法がある。しかし現在では、ポリイミド等の有機膜や、ノズル形成部材の密着向上層であるポリエーテルアミド等の樹脂をスピンコート法を用いて塗布することにより絶縁保護膜を形成することも考えられている。ここで、絶縁保護膜として有機材料を用いる理由を説明する。
インクジェット記録ヘッドでは、基板上にインク流路やインク吐出口を形成するためのノズル形成部材を形成する過程において、基板上に有機膜や樹脂層を積層している。従って、基板に形成される電力配線層の上に有機材料で膜を形成すれば、この膜を絶縁保護膜とノズル形成部材とに兼用することが可能になり、記録ヘッドの製造工程の簡略化・材料コストの低減を図ることが可能になる。
しかしながら、貴金属材料で形成された電力配線は化学的安定性を有していることから、有機材料との密着性が乏しい。このため、有機材料で形成されたノズル形成部材と電力配線との密着性は両者の界面において低いものとなる。さらに、有機材料を電力配線層の絶縁保護膜とする場合、基板表面に設けられた有機材料からなる絶縁保護膜がインクに曝されて膨潤したり、発熱抵抗素子の加熱によって生じる応力を受けたりして基板から剥れ易い。このため、絶縁保護膜として有機材料を用いたインクジェット記録ヘッドにあっては、ノズル形成部材と電力配線層との間を通過して配線部へとインクが浸入し、そのインクによって配線部に腐食や電解が生じるという問題がある。
本発明は、電力配線部とノズル形成部材との間に高い密着性を得ることができると共に、配線部とインクとの接触による配線部の腐食、電解などの発生を低減することが可能なインクジェット記録ヘッド用基板及びインクジェット記録ヘッドなどの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
本発明の第1の形態は、電気エネルギを熱エネルギに変換する発熱抵抗体、及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を表面に備える基板と、該電力配線の表面を覆う有機層とを備えたインクジェット記録ヘッド用基板であって、前記電力配線に接する樹脂層との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を備えることを特徴とする。
本発明の第2の形態は、電気エネルギを熱エネルギに変換する発熱抵抗体、及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を表面に備える基板と、該電力配線の表面に形成した有機材からなるノズル形成部材とを備え、前記発熱抵抗体から発生させた熱によって前記ノズル形成部材に形成された吐出口からインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、前記電力配線とノズル形成部材との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を備えることを特徴とする。
本発明の第3の形態は、基板の表面に発熱抵抗体及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を形成する工程と、有機材からなるノズル形成部材を前記電力配線の表面に設ける工程と、インク吐出口と該インク吐出口にインクを供給するインク流路とを形成する工程と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記電力配線と樹脂層との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、基板表面に電力配線部が配置されると共に、ノズルを構成する樹脂層が前記電力配線部の保護膜を兼ねる構成であるインクジェット記録ヘッド用基板において、電力配線と樹脂層との密着性を向上させることができる。しかも、本発明によれば、電力配線と樹脂層との間等に形成される密着層が電力配線などから剥離する可能性も低減することができる。このため基板からの樹脂層の剥離や、インクの浸入による配線部の腐食を低減することが可能になり、耐久性、信頼性の高いインクジェット記録ヘッド用基板およびインクジェット記録ヘッドの提供が可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るインクジェット記録ヘッド用基板の構造を示す図である。
図1において、シリコン基板101上には、記録ヘッドに電力を供給する電力配線130、この電力配線130と外部とを電気的に導通させるための第1の電極パッド120、及び電力配線130の表面(図では上面)を覆う保護膜140が形成されている。また、保護膜140と電力配線130との間には、電力配線130と保護膜140とを密着させるための密着層として電力配線より化学的安定性の低いニッケルめっき層110が形成されている。なお、化学的安定性とは、その化合物が容易に分解せず、また、他の化合物と反応しない性質を指す。また、この密着層(ニッケルめっき層)110は、電極パッド120上には形成されていない。つまり、保護膜140と対向する位置(図では保護膜140の下)にある電力配線の表面にのみ密着層110が形成されている。これは、第1の電極パッド120と、これに接続される配線基板(フレキシブルプリント基板TABリード等)などの接合の信頼性を良好に保つためである。すなわち、ニッケルめっき層110が電極パッド120に形成されていた場合、電極パッド120と不図示の電気配線基板とは、ボンディング等の方法を用いて電気的に接合されることとなる。この際、電極パッド120上にニッケルめっき層110が設けられていると、電気配線基板と電極パッド120との接着性が低下し、電気的接合の信頼性が損なわれる虞があるためである。なお、本明細書において、下層とは、ある対象となる層に対し、それより基板の表面(図では上面)側に近い層を指す。逆に上層とは、ある対象となる層に対し、それより基板の表面から離れる位置にある層を指すこととする。
上述のように本実施形態では、保護膜140より下層において電力配線表面にのみニッケルめっき層110を形成している。このため、第1の電極パッド120の電気的な接合の信頼性を損なうことなく、電力配線130と後述の有機層である樹脂層との間の密着性を向上させることができ、樹脂層の剥れを抑えることが可能となる。その結果、外部から電力配線130へのインクの浸入を低減することができ、配線部の腐食を低減することが可能になり、信頼性の高いインクジェット記録ヘッド用基板を提供するこができる。
ここで、図1に示したインクジェット記録ヘッド用基板100の構造を図2に基づいてより詳細に説明する。なお、図2は図1に示したインクジェット記録ヘッド用基板の断面図であり、(a)は図1のA−A線断面図であり、電極パッド近傍の断面構造を示し、(b)は図1のB−B線断面であり、ノズル付近の断面構造を示している。
図2(a)において、基板101の表面(図における上面)には、蓄熱層102が形成されており、この蓄熱層102の表面には、アルミニウム配線層104が設けられている。このアルミニウム配線層104の表面には、拡散防止層106を介してメッキ用導体107が形成され、さらに、メッキ用導体107の表面には電力配線130及び電極パッド120が設けられている。この電力配線130は、メッキ用導体107と電気的に接続されている。
また、アルミニウム配線104及び蓄熱層102の表面と拡散防止層106の裏面(図における下面)との間には、保護層105が設けられている。さらに、電力配線130の上層には、密着層110を介してポリエーテルアミド系樹脂からなる樹脂層111が積層され、この樹脂層111の表面には、インク吐出口115及びインク流路114を形成するノズル形成部材112が設けられている。また、図2(b)に示すように、シリコン基板101上には、SiO2からなる蓄熱層102及び、電気エネルギを熱エネルギに変換する発熱抵抗体層103が形成されると共に、その上層としてアルミニウム配線層104、及びその保護膜105が形成されている。
以上のように構成されたインクジェット記録ヘッド用基板において、外部より電極パッド120に供給された電力は、電力配線130及びアルミニウム配線層104を介して発熱部113に供給され、発熱部113を発熱させる。この熱により、インク流路内のインクが発泡し、その発泡時の圧力によって吐出口からインク滴が吐出される。
次に、本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの製造方法を図3ないし図14に基づき説明する。
図3に示すように、シリコン基板101上にSiO2からなる蓄熱層102、発熱抵抗体層103(図2(b)参照)、アルミニウム配線層104を順次形成する。この後、蓄熱層102及びアルミニウム配線層104の表面に絶縁保護層105となるSiN膜を真空成膜法等により積層する。そして、フォトリソグラフィ及びドライエッチング技術等により、後述の電力配線130とアルミニウム配線104との間の電気的導通を得るためのスルーホール105aを形成する。これにより、電力配線130から供給された電力をスルーホール105aを通じて、アルミニウム配線104に供給することが可能になり、アルミニウム配線104に接続される発熱部113(図2(b)参照)の部位に熱を発生させることが可能になる。
次に、図4に示すように、絶縁保護層105及びアルミニウム配線層104の表面に拡散防止層106(バリアメタル)を形成する。これは、例えばチタンタングステン等の高融点金属材料を真空成膜等によって全面成膜することにより行う。
次に、図5に示すように、配線用金属として優れているめっき用導体107を真空成膜等によって拡散防止層106の表面に全面成膜する。本実施形態では、導体金属として金(Au)を用いた。また、この時、拡散防止層106とめっき用導体層107との密着性を向上するために、逆スパッタ等を施すことで酸化膜を除去することが望ましい。
次に、図6に示すように、めっき用導体107の表面に、フォトレジスト108をスピンコート法により塗布する。このとき、形成しようとする電力配線の130の厚さよりも厚くなるようにフォトレジスト108を塗布する。例えば、電力配線130のめっき厚を15μmに形成する場合は、フォトレジスト108の膜厚が20μmとなるような条件でフォトレジストの塗布を行う。
その後、電力配線を形成する部位のめっき用導体の金層を露出させるべく、塗布したフォトレジスト108のうち、図6の二点鎖線にて示す部分を除去する。この除去工程では、まず、フォトリソグラフィ法にてレジスト露光・現像を施し、次いで、電力配線130を形成する部位のめっき用導体107の表面が露出するようにフォトレジストを除去する。この際、残存するフォトレジストを、次の工程において塗布されるめっきの型材となるような形状に形成する。
次に、電解めっき法により、亜硫酸金塩の電解浴中で、めっき用導体130となる金に所定の電流を流し、フォトレジスト108で覆われていない所定の領域に金109を析出させる(図7参照)。
ここで、図8に示すように、再びフォトレジスト108をスピンコート法によって電力配線130の表面に塗布する。その後、塗布したフォトレジスト108のうち、図8の二点鎖線にて示す部分を除去し、ニッケルめっきを形成する部位に対応する金層を露出させる。この除去工程では、まず、フォトリソグラフィ法にてレジスト露光・現像を行い、次に、密着層としてのニッケルめっき層110を形成する部位の電力配線130の表面が露出するようにフォトレジスト108を除去する。この際、残存させるフォトレジスト108を、次の工程において塗布されるめっきの型材となるような形状に形成する。また、電極パッド120には密着層としてのニッケルめっき層110が形成されないようにフォトレジスト108で被覆しておく。さらに、この第1の実施形態においては、密着層としてのニッケルめっき層110を、電力配線130より内側に入り込んだ領域に形成している。すなわち、図1、図2(a)、図9〜図13に示すように、ニッケルめっき層110の短辺側の端部110aは、電力配線130の短辺側の端部130aより内側に位置している。また、ニッケルめっき層110の長辺側の端部110bも、図2(b)に示すように電力配線130の長辺側の端部130bからβだけ内側に位置している。このβは、この後のめっき用導体107及び拡散防止層106のエッチングの工程において電力配線130の端部が除去されることを想定した距離より大きく設定されている。実際には、電力配線130はエッチングしようとするめっき用導体107及び拡散防止層106に比べて厚いため、これらの層107,106が除去される範囲に比べれば、電力配線130がエッチングによって除去される範囲は僅かである。また、ニッケルめっき層110の面積は、樹脂層111(図2参照)と電力配線130との密着性を向上させるという目的からすれば、大きな面積を持たせることが望ましい。このため、βの値は必要最小源に定めることが望ましい。また、めっき用導体107及び拡散防止層106のエッチング工程において電力配線130の端部が殆ど除去されない場合には、ニッケルめっき層110を、電力配線層の端部と同一の位置に設けても良い。
次に、電解めっき法により、スルファミン酸の電解浴中でめっき用導体である電力配線130に所定の電流を流し、前工程で析出させためっき用導体である電力配線130の表面にニッケル110(Ni)を析出させる(図9参照)。この後、ニッケル110を積層させた図9に示す積層体を、所定の時間に亘ってフォトレジスト108の剥離液に浸漬させることによりフォトレジスト108の除去を行う。これにより、図10に示すように、拡散防止層106を含む基盤上層のめっき用導体金(Au)層を露出させる。
次に、電力配線130をマスクにして、めっき用導体107を、窒素系有機化合物、よう素、よう化カリウムとを含むエッチング液に所定の時間浸漬させることで、電力配線130の最表層とめっき用導体107とがエッチングされて除去される(図11参照)。これにより、TiW等の高融点金属材料からなる拡散防止層106(バリアメタル)が露出する。
その後、電力配線130をマスクにしてTiW等の高融点金属材料からなる拡散防止層106(バリアメタル)をH2O2系のエッチング液に所定の時間に亘って浸漬させる。これにより、露出していた高融点金属材料からなる拡散防止層106がエッチングされて除去される(図12参照)。
次に、インク滴を吐出するノズル及びインク流路を形成するための流路形成層112と電力配線130との密着性の向上を図る機能、及び絶縁膜としての機能を兼ねた樹脂層111を、任意の厚さでスピンコート法により塗布する。ここで、樹脂層111としては、例えばポリエーテルアミド樹脂を任意の厚さでスピンコート法により塗布する。
さらに、前記樹脂層111の上にインク流路に相当する後抜きの型材の上から、流路形成層112を形成するための樹脂材料を任意の厚さでスピンコート法により塗布する。その後フォトリソグラフィ法にて露光・現像を行う。これにより、図2(b)に示すように、インクを吐出する複数個の吐出口115と、該吐出口に連通するインク流路114とが形成されたインクジェット記録ヘッド用基板(図13参照)を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に本発明に係るインクジェット記録基板の製造方法の第2の実施形態を説明する。
この第2の実施形態においても、電力配線となるめっき金層を電解めっき法により成膜するまでの工程(図3〜図7までの工程)を上記第1の実施形態と同様に行う。但し、この第2の実施形態では、図7に示す工程の後、第1の実施形態とは異なる以下の工程を行う。すなわち、上記第1の実施形態では、図7に示すように、電力配線130を形成するめっき金層を電解めっき法により成膜した後、図8に示すようにフォトレジスト108を塗布した。これに対し、この第2の実施形態では、図7に示す電力配線130の形成工程の後、残存しているフォトレジスト180を剥離液によって全て除去し(図14参照)、その後、再びフォトレジスト108を塗布する(図15参照)。次いで、塗布したフォトレジスト108に対し、フォトリソグラフィ法によってレジスト露光・現像を行う。この際、密着層などを構成するニッケルめっき層110を形成する部位の金層(電力配線130、めっき用導体107)を露出させるように部分的に(図15中、二点鎖線にて示した部位から)フォトレジストを除去する。これにより、ニッケルめっき用の型材となるレジストが、電力配線120及びその外側に延出するめっき用導体107の表面に形成される。
次に、電解めっき法により、スルファミン酸の電解浴中で電力配線130及びめっき用導体107の金層に所定の電流を流し、電力配線130及びめっき用導体107の金層の表面に選択的にニッケル(Ni)110を析出させる(図16参照)。
その後、所定の時間にわたって前記フォトレジストの剥離液に浸漬させることによりフォトレジスト108の除去を行い、電力配線130及びめっき用導体107の金層が露出される(図17参照)。
続いて、上記第1の実施形態と同様の工程によりめっき用導体107の除去(図18参照)、及び拡散防止層106の除去(図19参照)を行う。その後、上記第1の実施形態と同様に、スピンコート法によってポリエーテルアミド樹脂を任意の厚さに塗布する。さらに、流路形成層を形成するための材料を任意の厚さでスピンコート法により塗布し、フォトリソグラフィ法によりインクを吐出する複数個の吐出口と、この該吐出口に連通するインク流路とを形成する(図20参照)。これにより、インクジェット記録ヘッドを形成することができる。
上記のように、この第2の実施形態では、電力配線層の形成に用いたフォトレジストを全て除去した後、再度、ニッケルめっき層の形成を行うレジストの塗布・パターニングを行う。このため、電力配線上の領域130に限らず、めっき用導体層上107の領域にも、選択的にニッケルめっきを層110を形成することができる。従って、この第2の実施形態によれば、電力配線部130よりも広い領域にめっき用導体107を形成することができ、このニッケルめっき層110を樹脂層111及びノズル形成部材と、電力配線130との密着層とすることができる。よって、より広い領域に形成された密着層により、電力配線130と樹脂層111との密着性を高めることが可能となり、より確実に樹脂層111及びその上層に形成されるノズル形成部材112を密着、固定することができる。
また、本実施形態では、電力配線と電極パッドが同時に形成され、それらが基板表面で互いに接続されている。しかし、他の実施形態として、図21に示すように、電力配線130及び電極パッド120がそれぞれ独立に形成され、それらが基板下層の異なる金属層により電気的に接続されるように構成することも可能である。
なお、上記実施形態では、電力配線130およびめっき用導体を金によって形成したが、化学的安定性(例えばイオン化傾向の高い金属)に優れる金属であれば、金以外の金属を電力配線130およびめっき用導体107に適用することも可能である。また、電力配線130及びめっき用導体107の表面に形成する密着層110を、金よりも化学的安定性の低い金属(卑金属)であるニッケル(Ni)によって形成したが、密着層110を形成する金属は、ニッケル以外の金族であっても良い。例えば、電力配線130が金によって形成されている場合には、その表面に形成される密着層を、ニッケルを含有する金−ニッケル合金層で形成することも可能である。
図22は、金−ニッケル合金膜中のニッケル濃度を変化させた際の、金−ニッケル合金膜と有機膜との密着性の関係を示す図である。シリコン基板上にめっき法により形成した金−ニッケル合金膜上に、有機膜をスピンコート法により形成し、ベークを行った後にクロスカットピールにより密着性の評価を行った。
図22に示されるように、密着層を構成する金−ニッケル合金においてニッケル含有率が大きくなると、密着層と有機膜である樹脂層との密着性が向上する。これは、化学的安定性に秀でる金に、より卑な金属であるニッケルが含有されることで化学的に活性となり、有機膜との密着性が向上するものと考えられる。
本例では、金−ニッケル合金におけるニッケル含有率が1.4wt%以上である場合には、有機膜である樹脂層と密着層との間の密着性は良好なものとなった。また、ニッケル含有率が0.3wt%以下である場合には、樹脂層と密着層との間には十分な密着性が得られなかった。なお、図15において○印は密着性が高い状態を、×印は密着性が低い状態をそれぞれ示している。
以上のように、密着層を構成する金−ニッケル合金が、ある閾値以上のニッケル含有量を有することにより、電力配線とそれを保護する樹脂層間の密着性を改善することが可能となり、樹脂層の剥れを抑えることが可能になる。さらに、本発明によれば、電力配線と樹脂層との間等に形成される密着層が電力配線などから剥離する可能性も低減することができる。このため、インクジェット記録ヘッド用基板及びこれを用いたインクジェット記録ヘッドの信頼性は、大幅に向上する。
本発明に係るインクジェット記録ヘッド用基板の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1に示すインクジェット記録ヘッド用基板の断面図であり、(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。 図1に示すインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法を示す模式的に示す断面図であり、基板上に蓄熱層、アルミニウム配線層及び絶縁保護層を形成した状態を示している。 図3に示したものに拡散防止層を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図4に示したものにめっき用導体を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図5に示したものにフォトレジストを塗布した状態を模式的に示す断面図である。 図6に示したものに電力配線を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図7に示したものにフォトレジストを塗布した状態を模式的に示す断面図である。 図8に示したものに密着層を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図9に示したものからフォトレジストを除去した状態を模式的に示す断面図である。 図10に示したものからめっき用導体を除去した状態を模式的に示す断面図である。 図11に示したものから拡散防止層を除去した状態を模式的に示す断面図である。 図12に示したものに樹脂層及びノズル形成部材を形成した状態を模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態において、図7に示したものからフォトレジストを除去した状態を模式的に示す断面図である。 図14に示したものにフォトレジストを塗布した状態を模式的に示す断面図である。 図15に示したものに密着層を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図16に示したものからフォトレジストを除去した状態を模式的に示す断面図である。 図17に示したものからめっき用導体を除去した状態を模式的に示す断面図である。 図18に示したものから拡散防止層を除去した状態を模式的に示す断面図である。 図19に示したものに樹脂層およびノズル形成部材を形成した状態を模式的に示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッド用基板の他の実施形態における構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態において、金−ニッケル合金膜中のニッケル濃度を変化させた際の、金−ニッケル合金膜と樹脂層との密着性を示す表である。
符号の説明
101 シリコン基板
102 蓄熱層
103 発熱抵抗体層
104 アルミニウム配線層
105 保護膜
106 バリアメタル層
107 めっき用導体
108 フォトレジスト
110 密着層
111 樹脂層
112 ノズル形成部材
113 発熱部
114 インク流路
115 吐出口
120 電極パッド
130 電力配線部
140 樹脂保護膜

Claims (11)

  1. 電気エネルギを熱エネルギに変換する発熱抵抗体、及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を表面に備える基板と、該電力配線の表面を覆う有機層とを備えたインクジェット記録ヘッド用基板であって、
    前記電力配線に接する有機層との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を備えることを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基板。
  2. 前記密着層は、前記電力配線の端部より内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  3. 前記電力配線は、貴金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  4. 前記密着層は、卑金属により形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  5. 前記密着層は、卑金属と貴金属との合金によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  6. 前記密着層は、ニッケル(Ni)、あるいは、1.4wt%以上のニッケル含有量を有する金−ニッケル合金層をめっき法により形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  7. 前記有機層は、ポリエーテルアミド系樹脂により形成された樹脂層を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  8. 電気エネルギを熱エネルギに変換する発熱抵抗体、及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を表面に備える基板と、該電力配線の表面に形成した有機材からなるノズル形成部材とを備え、前記発熱抵抗体から発生させた熱によって前記ノズル形成部材に形成された吐出口からインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドであって、
    前記電力配線とノズル形成部材との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を備えることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  9. 基板の表面に発熱抵抗体及び該発熱抵抗体に電力を供給する電力配線を形成する工程と、
    有機材からなるノズル形成部材を前記電力配線の表面に設ける工程と、インク吐出口及び該インク吐出口にインクを供給するインク流路を形成する工程と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    前記電力配線と樹脂層との間に前記電力配線より化学的安定性の低い金属からなる密着層を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 前記電力配線を形成する工程は、
    前記基板上に形成されためっき用導体層にフォトレジストを塗布した後、前記電力配線を形成すべき部位に位置するフォトレジストを除去することにより前記基板上に残存するフォトレジストによってめっき用の型を形成する工程と、
    前記フォトレジストによって形成されためっき用の型の中にめっき法によって貴金属を析出させて電力配線を形成する工程と、からなり、
    前記密着層を形成する工程は、
    前記電力配線の表面にフォトレジストを塗布した後、前記ノズル形成部材に対応する部位のフォトレジストを除去することにより前記基板上に残存するフォトレジストによってめっき用の型を形成する工程と、
    前記フォトレジストによって形成されためっき用の型の中にめっき法によって卑金属を析出させて密着層を形成する工程と、
    からなることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  11. 前記電力配線を形成する工程は、
    前記基板上に形成されためっき用導体層にフォトレジストを塗布した後、前記電力配線を形成すべき部位に位置するフォトレジストを除去することにより前記基板上に残存するフォトレジストによってめっき用の型を形成する工程と、
    前記フォトレジストによって形成されためっき用の型の中にめっき法によって貴金属を析出させて電力配線を形成する工程と、からなり、
    前記密着層を形成する工程は、
    前記電力配線が形成された後、前記基板上に残存するフォトレジストを除去する工程と、
    前記基板及び前記電力配線の表面にフォトレジストを塗布した後、少なくとも前記ノズル形成部材に対応する部位のフォトレジストを除去することにより前記基板上に残存するフォトレジストによってめっき用の型を形成する工程と、
    前記フォトレジストによって形成されためっき用の型の中にめっき法によって卑金属を析出させて卑金属の層を形成する工程と、
    からなることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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