JP2017106985A - 光コネクタ製造方法、光コネクタ組立キット及び組立工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制する光コネクタ製造方法、光コネクタ組立キット及び組立工具を提供する。【解決手段】挿入穴を備えた工具本体71と、工具本体の挿入穴の側とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部72とを有する組立工具70の挿入穴に、内蔵光ファイバを有するフェルール部材の円筒形状のフェルール本体を挿入する。工具本体に形成された工具側係合部71Bと、フェルール部材に形成されたフェルール側係合部22Aとを係合させて、組立工具とフェルール部材との回転方向の位置合わせを行う。組立工具を取り付けたフェルール部材の内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続する。融着接続点を補強スリーブで覆い、組立工具と前記光ケーブルとの回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブを加熱収縮させる。【選択図】図4

Description

本発明は、光コネクタ製造方法、光コネクタ組立キット及び組立工具に関する。
光ファイバの端面同士を突き合わせることによって光ファイバを接続する装置として、例えば現場組立型光コネクタが知られている。現場組立型光コネクタは、光ファイバ敷設現場において光ケーブルの端末に容易に組み立て可能な構造の光コネクタである。組立前の光コネクタのフェルールには、工場にて予め内蔵光ファイバが取り付けられており、フェルールの端面には予め研磨処理が施されている。このような現場組立型光コネクタとして、メカニカルスプライス型現場組立型光コネクタや融着型現場組立光コネクタが知られている。融着型現場組立光コネクタの場合、内蔵光ファイバの端部は、光ケーブルから口出しされた光ファイバの端部と融着接続される。この融着接続点は、補強スリーブにて補強され、補強スリーブとともに光コネクタのハウジングに収容されることになる。
特許文献1〜3には、フェルールを保持して融着接続機に載置するホルダや、補強スリーブ(熱収縮スリーブ、保護スリーブともいう)を加熱収縮させて融着接続点を補強すること等が記載されている。
特開2011−107211号公報 特開2011−95410号公報 特開2011−95411号公報
従来、光コネクタの組立時の作業性を考慮して、光ケーブルに対するフェルールの回転方向(光ファイバの光軸を軸とする回転方向)の位置関係は制約されていなかった。しかし、補強スリーブの加熱収縮後に光ケーブルとフェルールとの回転方向の位置関係が捻れていると、光コネクタの故障の原因になることがある。
本発明は、補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
挿入穴を備えた工具本体と、前記工具本体の前記挿入穴の側とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部とを有する組立工具の前記挿入穴に、内蔵光ファイバを有するフェルール部材の円筒形状のフェルール本体を挿入すること、
前記工具本体に形成された工具側係合部と、前記フェルール部材に形成されたフェルール側係合部とを係合させて、前記組立工具と前記フェルール部材との回転方向の位置合わせを行うこと、
前記組立工具を取り付けた前記フェルール部材の前記内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続すること、
融着接続点を補強スリーブで覆い、前記組立工具と前記光ケーブルとの回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブを加熱収縮させること、
前記補強スリーブを加熱収縮させた後に、前記フェルール部材から前記組立工具を取り外すこと、及び
前記補強スリーブで補強された前記融着接続点をハウジングに収容すること
を行う光コネクタ製造方法である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制できる。
図1Aは、フェルール部材20と組立工具70の斜視図である。図1Bは、フェルール部材20に組立工具70を取り付けた様子の斜視図である。 図2A〜図2Cは、組立工具70を取り付けたフェルール部材20をホルダ80に収容する様子の斜視図である。 図3は、本実施形態の光コネクタ10の組立手順(製造方法)のフロー図である。 図4は、作業者が加熱機に補強スリーブ30をセットするときの様子の説明図である。 図5A及び図5Bは、別の組立工具70の斜視図である。 図6は、本実施形態の光コネクタ10の断面図である。 図7A及び図7Bは、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係の説明図である。図7Aは、両者の位置関係が適切な状態の説明図である。図7Bは、両者の位置関係が捻れている状態の説明図である。
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
挿入穴を備えた工具本体と、前記工具本体の前記挿入穴の側とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部とを有する組立工具の前記挿入穴に、内蔵光ファイバを有するフェルール部材の円筒形状のフェルール本体を挿入すること、
前記工具本体に形成された工具側係合部と、前記フェルール部材に形成されたフェルール側係合部とを係合させて、前記組立工具と前記フェルール部材との回転方向の位置合わせを行うこと、
前記組立工具を取り付けた前記フェルール部材の前記内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続すること、
融着接続点を補強スリーブで覆い、前記組立工具と前記光ケーブルとの回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブを加熱収縮させること、
前記補強スリーブを加熱収縮させた後に、前記フェルール部材から前記組立工具を取り外すこと、及び
前記補強スリーブで補強された前記融着接続点をハウジングに収容すること
を行う光コネクタ製造方法が明らかとなる。
このような光コネクタ製造方法によれば、補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制できる。
前記補強スリーブを加熱収縮させる際に、前記延出部の扁平面の向く方向と、前記光ケーブルの断面の長辺を構成する面の向く方向とを合わせた状態で、前記補強スリーブを加熱機にセットすることが望ましい。これにより、延出部と光ケーブルとの回転方向の位置合わせが容易になる。
前記フェルール部材の前記内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続する際に、前記組立工具と前記光ケーブルとの前記回転方向の位置合わせをした状態で、融着接続機にセットすることが望ましい。これにより、融着接続点に捻回力が加わらずに済む。
前記融着接続機のホルダは、前記工具本体を収容する収容部を有し、前記ホルダに前記工具本体を収容させることによって、前記光ケーブルに対する前記回転方向の位置合わせをした状態で、前記組立工具が前記融着接続機にセットされることが望ましい。これにより、光ケーブルに対する組立工具及びフェルール部材の回転方向の位置合わせが容易になる。
前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記ホルダに前記工具本体を収容させようとした場合に、前記延出部が前記ホルダと干渉することが望ましい。これにより、誤装着を抑制できる。
前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ており、前記ホルダは、前記延出部を挿通させるとともに前記収容部の幅よりも狭い溝部を有し、前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記ホルダに前記工具本体を収容させようとした場合に、前記延出部が前記溝部の側面と干渉することが望ましい。これにより、誤装着を抑制できる。
前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ており、前記ホルダは、開閉可能な蓋部を有し、前記蓋部は、前記収容部に向かって突出する突出部を有し、前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記蓋部を閉じようとした場合に、前記延出部が前記突出部と干渉することが望ましい。これにより、誤装着を抑制できる。
前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ていることが望ましい。これにより、組立工具の回転方向の位置を認識し易くなる。
前記融着接続点を前記ハウジングに収容する際に、前記フェルール部材が前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされるとともに、前記光ケーブルが前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされることが望ましい。このような場合に特に有利である。
前記フェルール側係合部が前記ハウジングの係合部と係合することによって、前記フェルール部材が前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされることが望ましい。これにより、フェルール側係合部は、ハウジングの係合部と係合するとともに、工具本体の工具側係合部と係合することになり、兼用できる。
前記フェルール本体の端面は、傾斜端面であることが望ましい。これにより、低反射を実現できる。
前記ハウジングは、前記光ケーブルの外形に適合する挿通穴を有しており、前記挿通穴に前記光ケーブルを挿通させることによって、前記光ケーブルが前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされることが望ましい。これにより、光ケーブルが捻回したときに、その捻回力をハウジングで受けることができる。
前記光ケーブルは、抗張力体を有しており、前記補強スリーブは、前記光ケーブルの外被の端面から突出した抗張力体を覆った状態で、加熱収縮されることが望ましい。これにより、光ケーブルの引っ張りに対する光コネクタの強度を高めることができる。
内蔵光ファイバを保持した円筒形状のフェルール本体を有するフェルール部材と、
補強スリーブと、
前記フェルール部材のフェルール側係合部と係合するとともに、光ケーブルを挿通させる断面矩形状の挿通穴を有するハウジングと、
前記フェルール本体を挿入させる挿入穴と前記フェルール側係合部と係合する工具側係合部とを有する工具本体と、前記工具本体の前記挿入穴とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部とを有する組立工具と
を備える光コネクタ組立キットが明らかとなる。
このような光コネクタ組立キットによれば、補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制できる。
内蔵光ファイバを保持した円筒形状のフェルール本体を挿入させる挿入穴と、前記フェルール本体を有するフェルール部材のフェルール側係合部と係合する工具側係合部とを有する工具本体と、
前記工具本体の前記挿入穴とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部と
を備える組立工具が明らかとなる。
このような組立工具によれば、補強スリーブの加熱収縮後における光ケーブルとフェルールとの間の捻れを抑制できる。
===本実施形態===
<光コネクタ10の基本構造>
図6は、本実施形態の光コネクタ10の断面図である。以下の説明では、光ファイバの光軸方向を「前後方向」とし、光コネクタ10から光ケーブル1の延び出る側を「後」とし、逆側(光コネクタ10のフェルール端面側)を「前」とする。
光コネクタ10は、光ケーブル1の端末に組み付けられた現場組立型光コネクタであり、光ケーブル1から口出しされた光ファイバ3に内蔵光ファイバ7を融着接続させる融着型の現場組立型光コネクタである。光ケーブル1は、断面矩形状の角型ケーブルであり、具体的には、細径インドアケーブルである。角型光ケーブル1は、光ファイバ3及び一対の抗張力体4が外被5で一括被覆された光ケーブルである。一対の抗張力体4は、光ファイバ3を挟むように配置されている。一対の抗張力体4が光ファイバ3を挟む方向が、角型光ケーブル1の断面の長辺方向となる。なお、光ケーブル1の断面の長辺を構成する面には、前後方向に沿ってノッチが形成されている。
光コネクタ10は、フェルール部材20と、補強スリーブ30と、ハウジング50とを有する。
フェルール部材20は、フェルール本体21と、フランジ部22と、筒状部23とを有する。なお、フェルール部材20は、図1Aにも斜視図が示されている。
フェルール本体21は、短尺の内蔵光ファイバ7を保持する部材である。フェルール本体21は、ここでは単心光コネクタに使用される円筒形状のフェルールである。フェルール本体21は内蔵光ファイバ7を保持しており、フェルール本体21及び内蔵光ファイバ7の前側の端面は、予め研磨処理が施されている。
本実施形態では、フェルール本体21の端面は斜め研磨されており、フェルール本体21は、傾斜端面を有する。フェルール本体21の端面を傾斜させることによって、低反射化を実現できる。なお、フェルール本体21が傾斜端面を有するため、フェルール本体21(フェルール部材20)は、ハウジング50に対して回転方向に所定の位置関係になるように、位置合わせされている(後述)。
フランジ部22は、フェルール本体21の後側に固定され、フェルール本体21の外周よりも外側に突出した部位である。フランジ部22は、スプリング55の前端と接触しており、これにより、フェルール部材20が前側に向かって付勢されている。フランジ部22の側面には、フェルール本体21の傾斜端面の向きを示すためのマーク22Cが形成されている。
筒状部23は、フランジ部22の後端面22Bに固定された筒状の部位である。ここではフランジ部22と筒状部23は一体であるが、別体であってもよい。筒状部23には内蔵光ファイバ7が挿通されており、筒状部23よりも後側に内蔵光ファイバ7が延び出ている。筒状部23は、補強スリーブ30の前端に挿入され、補強スリーブ30の前端を固定する。筒状部23の外周面には、補強スリーブ30の位置ずれを抑制するための凹凸が形成されている。
補強スリーブ30は、内蔵光ファイバ7と光ケーブル1から口出しされた光ファイバ3との融着接続点を保護するチューブ状の部材である。補強スリーブ30の中央部は、融着接続点を覆うとともに、内蔵光ファイバ7の端部や、光ケーブル1から口出しされた光ファイバ3の端部を覆っている。補強スリーブ30の前端は、フェルール部材20の筒状部23に装着されている。補強スリーブ30の後端は、光ケーブル1の外被5の端部を覆っている。補強スリーブ30は、ハウジング50の内部に収容されている。
補強スリーブ30は、熱収縮チューブにより構成されている。融着接続点を補強スリーブ30で覆った後、補強スリーブ30を加熱収縮させることになる(但し、図中の補強スリーブ30は、加熱収縮前の状態で図示されている)。補強スリーブ30が加熱収縮することによって、補強スリーブ30で覆われた部分は屈曲しにくくなり、直線状態が維持される。言い換えると、補強スリーブ30が加熱収縮することによって、補強スリーブ30を介して光ケーブル1及びフェルール部材20が強固に接続され、補強スリーブ30を介して光ケーブル1の端部とフェルール部材20とが一体化することになる。以下の説明では、補強スリーブ30の加熱収縮により一体化された光ケーブル1の端部、補強スリーブ30及びフェルール部材20のことを「被収容体40」と呼ぶことがある。被収容体40はハウジング50に収容される。
本実施形態では、補強スリーブ30は、光ケーブル1の口出し部(外被5の端面)から前側に突出した抗張力体4を覆っている。これにより、補強スリーブ30の加熱収縮後に、フェルール部材20が補強スリーブ30を介して光ケーブル1に更に強固に接続されるとともに、光ケーブル1の引っ張りに対する光コネクタ10の強度を高めることができる。
ハウジング50は、被収容体40(光ケーブル1の端部、補強スリーブ30及びフェルール部材20)やスプリング55を収容する部材である。ハウジング50は、前側ハウジング51と後側ハウジング52とを有する。
前側ハウジング51は、被収容体40の前部を収容する部材である。ここでは、前側ハウジング51は、フェルール部材20を収容する部材であり、プラグフレーム511及びカップリング512から構成されている。プラグフレーム511は、カップリング512の内側に配置されている。プラグフレーム511の内側にはフェルール部材20を収容する収容空間が構成されている。プラグフレーム511は、フェルール部材20を後退可能に収容している。プラグフレーム511の前側開口から、フェルール本体21の端面が露出している。プラグフレーム511の内壁面から内側に突出部511Aが形成されており、突出部511Aがフェルール部材20のフランジ部22と接触し、これによりフェルール部材20の前抜けを防止している。なお、プラグフレーム511の内壁面には、フェルール部材20のキー溝22A(図1A及び図7A参照)と係合するハウジング側キー(ここでは不図示:ハウジング側係合部ともいう)が形成されている。このハウジング側キーは、フェルール部材20の回転方向の位置合わせに用いられる。カップリング512の外周面には、キー突起512Aが形成されている。キー突起512Aは、光コネクタ10の挿入口(光アダプタの挿入口)に対して位置合わせするための部位である。
後側ハウジング52は、被収容体40の後部を収容する部材であり、前側ハウジング51の後側に取り付けられる。ここでは、後側ハウジング52は、ストップリングとして機能し、フェルール部材20を前側に付勢するスプリング55の後端と接触している。後側ハウジング52の後部には、光ケーブル1を挿通させる挿通穴52Aが形成されている。
本実施形態では、後側ハウジング52の挿通穴52Aは、断面矩形状の角型光ケーブル1の外形に適合するように、断面矩形状に形成されている。これにより、光コネクタ10よりも後側で光ケーブル1が捻回したときに、その捻回力を後側ハウジング52の挿通穴52Aの内壁で受けることができる。本実施形態のように光ケーブル1が抗張力体4を有する場合には、光ケーブル1の剛性が強いため、光ケーブル1の捻回による力が大きくなり、光コネクタ10の故障を招きやすいので、挿通穴52Aを角型光ケーブル1の外形に適合させて光ケーブル1の捻回力を後側ハウジング52で受けることは、特に有利になる。
<光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係>
図7A及び図7Bは、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係の説明図である。図7Aは、両者の位置関係が適切な状態の説明図である。図7Bは、両者の位置関係が捻れている状態の説明図である。
被収容体40の前側のフェルール部材20(詳しくはフランジ部22)には、キー溝22Aが形成されている。このキー溝22Aは、ハウジング50(詳しくは前側ハウジング51のプラグフレーム511)の内壁面に形成されたハウジング側キー(不図示)と係合し、ハウジング50に対するフェルール部材20の回転方向の位置合わせに用いられる。つまり、フェルール部材20のキー溝22Aをハウジング側キー(不図示)に係合させることによって、フェルール本体21(フェルール部材20)がハウジング50に対して回転方向に所定の位置関係になるように位置合わせされる(これにより、フェルール本体21の傾斜端面の向きが、前側ハウジング51のキー突起512Aに対して所定の位置関係になる)。つまり、被収容体40の前側は、キー溝22Aによってハウジング50に対する回転方向の位置が制約されることになる。
なお、フェルール部材20のキー溝22Aに係合するハウジング50のハウジング側キー(不図示)は、ハウジング50の挿通穴52Aに対して回転方向に所定の位置関係になっている。具体的には、ハウジング側キー(不図示)を有するプラグフレーム511と、挿通穴52Aを有する後側ハウジング52とが回転方向に所定の位置関係になるように接続されることによって、ハウジング側キー(不図示)は、挿通穴52Aに対して回転方向に所定の位置関係になっている。
被収容体40の後側の角型光ケーブル1は、既に説明したように、ハウジング50の挿通穴52Aに挿通されることになる(図6参照)。この挿通穴52Aは、角型光ケーブル1の外形に適合するように断面矩形状に形成されているため(図6参照)、角型光ケーブル1は、挿通穴52Aによって、ハウジング50に対する回転方向の位置が制約されることになる。つまり、被収容体40の後側も、ハウジング50に対する回転方向の位置が制約されることになる。
このため、図7Bに示すように、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が捻れている状態では、ハウジング50の組立時(具体的にはプラグフレーム511と後側ハウジング52との接続時)に、被収容体40の前後に捻回力がかかってしまい、光コネクタ10の故障の原因になるおそれがある。
なお、仮にフェルール部材20のキー溝22Aによる回転方向の制約を無くせば、被収容体40の前後に捻回力がかかることを抑制できる。例えば、フェルール部材20のキー溝22Aに係合するハウジング側キー(不図示)を削除すれば、キー溝22Aによるハウジング50に対するフェルール部材20の回転方向の制約を無くすことができるため、被収容体40の前後に捻回力がかからずに済むことになる。但し、フェルール本体21が傾斜端面を有する場合には、フェルール部材20のキー溝22Aによる回転方向の制約を無くしてしまうと、フェルール本体21の傾斜端面の向きがずれるおそれがある。
そこで、本実施形態では、光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置合わせをした状態で、補強スリーブ30を加熱収縮させている。これにより、図7Aに示すように、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係を適切な状態にし、光コネクタ10の組立時に被収容体40の前後に捻回力がかかることを抑制している。
<組立工具70やホルダ80の構造>
まず、光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブ30を加熱収縮させる際に使用される組立工具70とホルダ80について説明する。
図1Aは、フェルール部材20と組立工具70の斜視図である。図1Bは、フェルール部材20に組立工具70を取り付けた様子の斜視図である。図1Aに示すように、光ファイバの光軸方向を「前後方向」とし、フェルール部材20から内蔵光ファイバ7の延び出る側を「後」とし、逆側(フェルール部材20のフェルール端面の側)を「前」とする。なお、図1Aには、ホルダ80(図2A参照)への装着方向に従って定義される「上下方向」及び「左右方向」も記載されている。
組立工具70は、光コネクタ10の組み立て時に用いる工具(治具)である。組立工具70は、フェルール部材20に着脱可能である。組立工具70は、融着接続時や補強スリーブ30の加熱収縮時にフェルール部材20に取り付けられて用いられ、その後、被収容体40をハウジングに収容するときにフェルール部材20から取り外されることになる(後述)。組立工具70は、工具本体71と、延出部72とを有する。
工具本体71は、フェルール本体21を覆う部位である。工具本体71は、挿入穴71Aとキー71B(フェルール側係合部)とを有する。
挿入穴71Aは、フェルール本体21を挿入するために工具本体71に形成された穴である。挿入穴71Aにフェルール本体21を挿入することにより、組立工具70がフェルール部材20に取り付けられる。挿入穴71Aは、円筒形状のフェルール本体21を挿入できるように、断面円形状の穴になっている。挿入穴71Aの内径は、フェルール本体21の外形とほぼ同じである。このため、挿入穴71Aにフェルール本体21が嵌合することによって、組立工具70がフェルール部材20に外れ難い状態で取り付けられる。
キー71Bは、フェルール部材20のフランジ部22のキー溝22Aと係合する部位(係合部)である。図1Bに示すように、組立工具70のキー71Bとフェルール部材20のキー溝22Aとが係合することにより、組立工具70とフェルール部材20(フェルール本体21)との回転方向の位置合わせが行われることになる。ここでは、キー71Bは、挿入穴71Aの開口よりも後側に突出した形状になっているが、この形状に限られるものではない。また、工具本体71は一対のキー71Bを有しているが、組立工具70とフェルール部材20との回転方向の位置合わせができるのであれば、キー71Bの数は1つでも良いし、3つ以上でも良い。
本実施形態では、工具本体71の側面にマーク71Cが形成されている。フェルール部材20(詳しくはフランジ部22)のマーク22Cと工具本体71のマーク71Cとを合わせながら、挿入穴71Aにフェルール本体21を挿入することにより、組立工具70とフェルール部材20(フェルール本体21)との回転方向の位置合わせが行われることになる。但し、工具本体71にマーク71Cが形成されなくても良い。
また、本実施形態では、工具本体71の側面に凹部71Dが形成されている。工具本体71に凹部71Dが形成されることにより、作業者が工具本体71を持ち易くなり、工具本体71へのフェルール本体21の挿抜が容易になる。本実施形態では、凹部71Dが挿入穴71Aに到達するほど深く凹状に形成されている。これにより、作業者の指が凹部71Dに引っ掛かり易くなる。特に本実施形態では、挿入穴71Aの内径がフェルール本体21の外形とほぼ同じであるため、挿入穴71Aにフェルール本体21を圧入させて、挿入穴71Aにフェルール本体21を嵌合させるため、凹部71Dが深く形成されることは特に有利である。但し、工具本体71に凹部71Dが形成されなくても良い。
延出部72は、工具本体71の前側(工具本体71から見てフェルール本体21を挿入する側とは反対側)から延び出た部位である。延出部72は、組立工具70を取り付けたフェルール部材20等の持ち運びや取り扱いを容易にする部位である。例えば、組立工具70を取り付けたフェルール部材20をホルダ80(図2A参照)に装着するとき、延出部72を手で持つことで、フェルール部材20の持ち運びやホルダ80への装着が容易になる。また、融着接続後に組立工具70を取り付けたフェルール部材20をホルダ80から取り外すときや、融着接続後に補強スリーブ30を加熱機に移動させるとき(図4参照)などにも、延出部72を手で持つことで、フェルール部材20等の持ち運びや取り扱いが容易になる。
本実施形態では、延出部72は、断面が扁平状に形成されている。延出部72の断面が扁平状になることにより、作業者が延出部72を摘まみ易くなる。また、延出部72の断面が扁平状になることにより、作業者が延出部72を持ったときに、組立工具70の回転方向の位置を認識し易くなる。また、組立工具70の回転方向の位置を認識し易くなるため、融着接続後に作業者が一方の手で角型光ケーブル1を持ち、他方の手で延出部72を持ったときに(後述:図4参照)、作業者は、角型光ケーブル1に対する組立工具70の回転方向の位置を保持し易くなる。なお、仮に延出部72の断面が円形状だとすると、延出部72が摘まみ難くなるだけでなく、延出部72を持ったときに組立工具70の回転方向の位置を認識し難くなってしまう。この結果、仮に延出部72の断面が円形状だとすると、融着接続後に作業者が角型光ケーブル1及び延出部72を持ったときに、角型光ケーブル1に対して組立工具70を回転させてしまい、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が捻れるおそれがある。
本実施形態では、延出部72の断面は矩形状(長方形状)に形成されている。ここでは、延出部72の矩形状の断面において、左右方向(幅方向)が長辺方向であり、上下方向(厚さ方向)が短辺方向になっている。つまり、延出部72の左右方向の寸法(幅)は、上下方向の寸法(厚さ)よりも大きい。このため、作業者が例えば親指と人差し指で上下方向から延出部72を摘まみやすい。但し、断面が扁平状であれば、矩形状に限られるものではなく、楕円形状などでも良い。また、延出部72の前後方向の全域にわたって断面が扁平状でなくても良く、作業者が摘まむ部位の断面だけが扁平状であっても良い。
また、本実施形態では、延出部72は、工具本体71の端面の中心よりも偏った部位から延び出ている。ここでは、図2Aに示すように、延出部72は、工具本体71の端面の底部(下部)から延び出ている。これにより、作業者が延出部72を持ったときに、組立工具70の回転方向の位置を認識し易くなる。仮に延出部72が工具本体71の端面の中心部から延び出ていると、作業者が組立工具70の上下を逆にして延出部72を持つおそれがある。また、後述するように、延出部72が工具本体71の端面の偏った部位から延び出ることにより、工具本体71を適切な向きにホルダ80(図2A参照)に装着でき、誤装着を防止できるという利点もある。
図2A〜図2Cは、組立工具70を取り付けたフェルール部材20をホルダ80に収容する様子の斜視図である。図2Aに示す「前後方向」は、図1Aに示す「前後方向」と同様である。また、図2Aでは、ホルダ80への着脱方向を「上下方向」とし、収容部82が開口する側を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向及び上下方向に直交する方向を「左右方向」とし、後から前を見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。
ホルダ80は、フェルール部材20を保持して融着接続機に載置するための治具である。ホルダ80は、本体部81と蓋部87とを有する。
本体部81は、フェルール本体21を挿入した工具本体71とフランジ部22とを収容する部位である。本体部81は、収容部82と、第1溝部83と、第2溝部84とを有する。
収容部82は、フェルール本体21を挿入した工具本体71とフランジ部22とを収容する収容空間である。収容部82は、本体部81の内壁面である底面82A(下面)と一対の側面82B(左右の側面82B)とによって囲まれた凹状の収容空間である。収容部82は、工具本体71の外形に適合するように形成されている。言い換えると、底面82A及び一対の側面82Bは、工具本体71の外形に適合するように形成されている。フェルール本体21を挿入した工具本体71が収容部82に収容されると、収容部82の底面82A上に工具本体71が載置されるとともに(収容部82の底面82Aと工具本体71の下面とが接触するとともに)、収容部82の左右の両側面82Bが工具本体71の側面を挟み込む(収容部82の両側面82Bと工具本体71の側面とが接触する)。つまり、フェルール本体21を挿入した工具本体71は収容部82に嵌合する。これにより、組立工具70とホルダ80とが回転方向に所定の位置関係になるように位置合わせされる。また、これにより、フェルール部材20とホルダ80とが回転方向に所定の位置関係になるように位置合わせされる。
なお、収容部82の後側の内壁面82Cにフェルール部材20のフランジ部22の後端面22Bを接触させることによって、ホルダ80に対するフェルール部材20及び内蔵光ファイバ7の前後方向の位置合わせを行うことができる。このように、収容部82の後側の内壁面82Cは、前後方向の位置合わせ面となる。
第1溝部83は、内蔵光ファイバ7(及びフェルール部材20の筒状部23)を挿通させるための溝状の部位である。第1溝部83は、収容部82よりも後側に形成されており、収容部82の後側の壁部を前後方向に貫通して形成されている。つまり、第1溝部83は、収容部82の内壁面(フランジ部22の後端面22Bとの位置合わせ面)からホルダ80の後端面までの間を前後方向に貫通して形成されている。
第2溝部84は、組立工具70の延出部72を挿通させるための溝状の部位である。第2溝部84は、収容部82よりも前側(収容部82から見て第1溝部83の側とは反対側)に前後方向に沿って形成されている。ホルダ80が第2溝部84を有することによって、フェルール本体21を挿入した組立工具70をホルダ80に装着したときに、延出部72が邪魔にならずに済む。延出部72は、第2溝部84よりも長いため、組立工具70をホルダ80に装着すると、ホルダ80から延出部72が延び出る(図2C参照)。
本実施形態では、第2溝部84の幅は、収容部82の幅よりも狭く形成されている。これにより、工具本体71を適切な向きにホルダ80に装着でき、誤装着を防止できる。例えば、組立工具70が90度回転した状態で組立工具70をホルダ80に装着しようとした場合、工具本体71の端面の底部から延び出た延出部72が第2溝部84の側面と干渉するため、作業者は、組立工具70の回転方向の誤りに気づくことができる。
蓋部87は、組立工具70(詳しくは工具本体71)を本体部81との間で挟持するための部位である。蓋部87は、ヒンジ部87Aを介して本体部81に対して開閉可能に形成されている。蓋部87の端部(ヒンジ部87Aとは逆側の端部)には留め部87Bが形成されており、留め部87Bを本体部81の係合穴85に引っ掛けることによって、蓋部87を閉じることができる。蓋部87を閉じると、蓋部87の内面87Cが工具本体71の上面を本体部81の底面82Aに向かって押圧し、工具本体71が蓋部87と本体部81との間で挟持される(図2C参照)。ここでは、蓋部87はヒンジ部87Aを介して本体部81と一体的に形成されているが、蓋部87と本体部81とが別体であってもよい。また、本体部81に組立工具70を収容した状態を保持できれば、蓋部87は無くても良い。
本実施形態では、蓋部87は、突出部87Dを有する。突出部87Dは、収容部82に向かって突出する部位である。工具本体71が180度回転した状態(上下が逆の状態)で収容部82に装着された場合に、蓋部87を閉じようとすると、工具本体71の端面の底部から延び出た延出部72が突出部87Dと干渉する。これにより、作業者は、組立工具70の回転方向の誤りに気づくことができる。
<組立手順>
図3は、本実施形態の光コネクタ10の組立手順(製造方法)のフロー図である。なお、作業者は、予め光コネクタ10を組み立てるための組立キット(光コネクタ組立キット)を準備する。組立キットには、フェルール部材20、補強スリーブ30及びハウジング50とともに、組立工具70が同梱されている。
作業者は、角型光ケーブル1の前処理を行う(S001)。つまり、作業者は、角型光ケーブル1の光ファイバ3を融着機にセット可能な状態にする。具体的には、作業者は、後側ハウジング52、補強スリーブ30及びスプリング55(図6参照)を角型光ケーブル1に予め挿入したり、光ケーブル1の外被5を除去して光ファイバ3(及び抗張力体4)を口出ししたり、光ファイバ3の被覆を除去したり、光ファイバ3の清掃や光ファイバ3の端部のカットなどを行う。
また、作業者は、フェルール部材20に組立工具70を装着する(S002)。このとき、図1A及び図1Bに示すように、作業者は、フェルール部材20のフェルール本体21を工具本体71の挿入穴71Aに挿入する。本実施形態では、作業者は、組立工具70のキー71Bとフェルール部材20のキー溝22Aとを係合させることによって、組立工具70とフェルール部材20との回転方向の位置合わせを行う。作業者は、フェルール部材20(詳しくはフランジ部22)のマーク22Cと工具本体71のマーク71Cとを合わせながら挿入穴71Aにフェルール本体21を挿入すれば、組立工具70とフェルール部材20(フェルール本体21)との回転方向の位置合わせを的確に行うことができる。
次に、作業者は、組立工具70及びフェルール部材20を融着機のホルダ80にセットする(S003)。このとき、図2A〜図2Cに示すように、作業者は、フェルール本体21を挿入した工具本体71をホルダ80の収容部82に収容させる。作業者は、収容部82の後側の内壁面82Cにフェルール部材20のフランジ部22の後端面22Bを接触させながら、フェルール本体21を挿入した組立工具70とフランジ部22とを収容部82に収容させることにより、ホルダ80に対するフェルール部材20及び内蔵光ファイバ7の前後方向の位置合わせを行う。
本実施形態では、延出部72の断面が扁平状であるため、作業者が延出部72を摘まみ易いので、組立工具70を取り付けたフェルール部材20をホルダ80に装着する作業が容易である。また、延出部72の断面が扁平状であるため、作業者は、延出部72を持ったときに、組立工具70の回転方向の位置を認識し易い。加えて、本実施形態では、延出部72が工具本体71の端面の中心よりも偏った部位から延び出ているため、作業者は、延出部72を持ったときに、組立工具70の回転方向の位置を更に認識し易い。
また、本実施形態では、作業者は、工具本体71の端面の底部(下部)から延び出た延出部72が、ホルダ80の第2溝部84の底側(下側)に配置されるように、工具本体71をホルダ80に装着する。仮に作業者が組立工具70を正常な位置から90度回転した状態で組立工具70をホルダ80に装着しようとした場合には、工具本体71の端面の底部から延び出た延出部72が第2溝部84の側面と干渉するため、作業者は、組立工具70の回転方向の誤りに気づくことができる。また、仮に作業者が工具本体71を上下逆に収容部82に装着した場合には、ホルダ80の蓋部87を閉じようとしたときに、組立工具70の延出部72が蓋部87の突出部87Dと干渉するため、作業者は、組立工具70の回転方向の誤りに気づくことができる。
なお、図2Cに示すように、工具本体71をホルダ80に正常に装着すると、ホルダ80から延び出ている延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)が上下方向を向くことになる。
上記S001〜S003までの処理は、順序を前後しても良い。例えば、作業者が先に図2Cに示す状態まで処理(S002、S003)を行った後に、角型光ケーブル1の前処理(S001)を行っても良い。
次に、作業者は、内蔵光ファイバ7と、角型光ケーブル1から口出しした光ファイバ3とを融着機で融着接続する(S004)。
本実施形態では、作業者は、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面が上下方向を向くように、角型光ケーブル1の光ファイバ3を融着機にセットする。一方、図2Cに示すように、ホルダ80から延び出ている延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)も上下方向を向いている。つまり、作業者は、延出部72の扁平面の向く方向と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面の向く方向とを合わせた状態で、内蔵光ファイバ7と角型光ケーブル1の光ファイバ3とを融着機にセットし、この状態で両者を融着接続する。これにより、角型光ケーブル1に対するフェルール部材20の回転方向の位置合わせが行われた状態で、融着接続を行うことができる。
次に、作業者は、融着機から融着接続点を取り出す(S005)。このとき、作業者は、フェルール部材20をホルダ80から取り出す。ホルダ80から延出部72が延び出ているため、作業者は、延出部72を持ちながら組立工具70をホルダ80から取り外せば、フェルール部材20をホルダ80から取り出すことができる。但し、この段階では、組立工具70はフェルール部材20に取り付けられたままである。
次に、作業者は、融着接続点に補強スリーブ30をセットする(S006)。このとき、作業者は、S001で予め光ケーブル1に挿入させた補強スリーブ30を前側に引き出して、補強スリーブ30の一端をフェルール部材20の筒状部23に被せるとともに、補強スリーブ30の他端を光ケーブル1の外被5の端部に被せることになる(図4や図6も参照)。筒状部23の外周面には凹凸が形成されているため、筒状部23に被せられた補強スリーブ30の位置はずれにくい。光ケーブル1の口出し部(外被5の端面)から前側には抗張力体4が突出しているため、予め光ケーブル1に挿入させた補強スリーブ30を前側に引き出せば、抗張力体4に補強スリーブ30が被せられることになる。このため、抗張力体4に補強スリーブ30を被せる作業は容易である。
次に、作業者は、加熱機に補強スリーブ30をセットする。図4は、作業者が加熱機に補強スリーブ30を移動させるときの様子の説明図である。
本実施形態では、前述のS004の際に、延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)が上下方向を向くとともに、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面が上下方向を向くように、内蔵光ファイバ7及び角型光ケーブル1の光ファイバ3が融着機にセットされている。そこで、作業者は、延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)の向く方向と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面の向く方向とを合わせた状態を保ちながら、一方の手で延出部72を持ち、他方の手で角型光ケーブル1を持ち、加熱機に補強スリーブ30をセットする。組立工具70のキー71Bとフェルール部材20のキー溝22Aとが係合した状態であるため、組立工具70の延出部72と角型光ケーブル1との回転方向の位置関係を保持すれば、角型光ケーブル1に対するフェルール部材20の回転方向を位置合わせした状態で、加熱機に補強スリーブ30をセットすることができる。
なお、延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面とが同じ方向を向くようにすれば、融着接続点に捻回力を加えずに済むという利点もある。
作業者は、延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面とを同じ方向に向けた状態を保持しながら、加熱機のクランプ機構に角型光ケーブル1をクランプさせるとともに、加熱機の別のクランプ機構に延出部72をクランプさせる。これにより、角型光ケーブル1に対するフェルール部材20の回転方向を位置合わせした状態で、加熱機に補強スリーブ30をセットすることができる。なお、加熱機の更に別のクランプ機構が別の部位(例えば補強スリーブ30)をクランプしても良い。
その後、作業者は、加熱機に補強スリーブ30を加熱させて、補強スリーブ30を加熱収縮させる(S008)。これにより、補強スリーブ30を介して光ケーブル1の端部とフェルール部材20とが一体化し、角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が固定される。
本実施形態では、延出部72の扁平面(ここでは断面長方形状の延出部72の長辺を構成する面)と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面とを同じ方向に向けた状態を保持しながら、補強スリーブ30を加熱収縮させることができる。すなわち、角型光ケーブル1に対するフェルール部材20の回転方向を位置合わせした状態で、補強スリーブ30を加熱収縮させることができる。このため、図7Aに示すように、角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が適切な状態で、被収容体40を構成することができる。
次に、作業者は、加熱機から被収容体40を取り出す(S009)。この段階では、加熱収縮した補強スリーブ30を介して光ケーブル1とフェルール部材20とが一体化されているため、角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係は、既に固定されている。
次に、作業者は、組立工具70をフェルール部材20から取り外す(S010)。これにより、フェルール部材20の前側から前側ハウジング51を取り付け可能になる。
次に、作業者は、被収容体40をハウジング50に収容する(S011)。具体的には、S001で予め挿入させた後側ハウジング52と、フェルール部材20の前側から取り付けた前側ハウジング51とを接続して、被収容体40をハウジング50に収容する。前側ハウジング51のプラグフレーム511及び後側ハウジング52は、回転方向に所定の位置関係になるように接続される。
このとき、被収容体40の後側の角型光ケーブル1は、後側ハウジング52の挿通穴52Aによって、ハウジング50に対する回転方向の位置が制約されることになる。また、被収容体40の前側では、フェルール部材20のキー溝22Aがハウジング50のハウジング側キーと係合することによって、ハウジング50に対する被収容体40の回転方向の位置が制約されることになる。但し、本実施形態では、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が適切な状態になっているため、被収容体40の前後に捻回力がかからずに済む。これにより、故障しにくい光コネクタ10を製造できる。
<小括>
上記の光コネクタ10の製造方法(組立手順)によれば、組立工具70の挿入穴71Aにフェルール部材20の円筒形状のフェルール本体21を挿入するとともに、工具本体71に形成されたキー71B(工具側係合部)と、フェルール部材20に形成されたキー溝22A(フェルール側係合部)とを係合させて、組立工具70とフェルール部材20との回転方向の位置合わせを行い、融着接続後に、組立工具70と光ケーブル1との回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブ30を加熱収縮させている。このとき、組立工具70の延出部72が断面扁平状であり、光ケーブル1が断面矩形状の角型光ケーブル1であるため、延出部72と光ケーブル1との回転方向の位置合わせが容易である。また、組立工具70とフェルール部材20とが係合した状態であるため、組立工具70の延出部72と光ケーブル1との回転方向の位置合わせを行えば、光ケーブル1に対するフェルール部材20の回転方向の位置合わせが容易である。そして、上記の実施形態では、光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブ30を加熱収縮させることができるため、図7Aに示すように、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係を適切な状態にすることができる。
なお、組立工具70は、図1Aに示すものに限られるものではない。例えば図5A及び図5Bに示すように、マーク71Cや凹部71Dの位置を適宜変えても良い。また、キー71Bの数や形状を適宜変えても良い。
また、上記の実施形態では、補強スリーブ30を加熱収縮させる際に、延出部72の扁平面の向く方向と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面の向く方向とを合わせた状態で、補強スリーブ30を加熱機にセットする。このため、作業者は、延出部72と光ケーブル1との回転方向の位置合わせを容易に行うことができる。なお、延出部72の扁平面の向く方向と、角型光ケーブル1の断面の長辺を構成する面の向く方向とを別方向にすることも可能である。但し、この場合、組立工具70の延出部72と角型光ケーブル1との回転方向の位置関係を保持する作業が不便になってしまう。
また、上記の実施形態では、組立工具70と光ケーブル1との回転方向の位置合わせをした状態で、内蔵光ファイバ7と光ケーブル1の光ファイバ3とを融着接続機にセットしている。これにより、融着接続点に捻回力が加わらずに済む。
また、上記の実施形態では、ホルダ80に工具本体71を収容させることによって、組立工具70が融着接続機にセットされる。このため、光ケーブル1に対する組立工具70及びフェルール部材20の回転方向の位置合わせが容易である。
また、上記の実施形態では、ホルダ80に対する工具本体71の回転方向が誤った状態でホルダ80に工具本体71を収容させようとしたときに、延出部72がホルダ80と干渉する(ぶつかる)。これにより、作業者は、組立工具70の回転方向の誤りに気づくことができる。なお、上記の実施形態では、このように誤装着を防止するために、工具本体71の端面の底部(中心から偏った部位)から延出部72が延び出ているとともに、第2溝部84を収容部82の幅よりも狭くしたり、蓋部87に突出部87Dを形成したりしている。但し、他の方法で誤装着時に延出部72とホルダ80とを干渉させても良い。
上記の実施形態では、工具本体71の端面の底部(中心から偏った部位)から延出部72が延び出ている。これにより、作業者が延出部72を持ったときに、組立工具70の回転方向の位置を認識し易くなり、組立工具70を上下逆向きに持ってしまうことを防止できる。
上記の実施形態では、融着接続点をハウジング50に収容する際に、フェルール部材20がハウジング50(詳しくはプラグフレーム511)に対して回転方向に位置合わせされるとともに、光ケーブル1がハウジング50(詳しくは後側ハウジング52の挿通穴52A)に対して回転方向に位置合わせされることになる。このとき、仮に図7Bに示すように被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係が捻れていると、被収容体40の前後に捻回力がかかってしまい、光コネクタ10の故障の原因になるおそれがある。これに対し、上記の実施形態では、図7Aに示すように被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係を適切な状態にすることができるため、光コネクタ10の組立時に被収容体40の前後に捻回力がかかることを抑制できる。このため、上記の実施形態のように、ハウジング50に対してフェルール部材20及び光ケーブル1の回転方向の位置が制約される場合に特に有利である。
上記の実施形態では、ハウジング50に係合するキー溝22A(フェルール側係合部)に、組立工具70のキー71B(工具側係合部)を係合させている。但し、組立工具70のキー71Bが、ハウジング50に係合するキー溝22Aとは別の部位でフェルール部材20と係合しても良い。
上記の実施形態では、フェルール本体21の端面は、傾斜端面である。これにより、光信号の低反射化を図ることができる。但し、フェルール本体21の端面が、光軸に対して垂直であっても良い。この場合、ハウジング50に対するフェルール部材20の回転方向の制約を無くすことが可能である。
上記の実施形態では、ハウジング50は、角型光ケーブル1の外形に適合する挿通穴52Aを有している。これにより、光コネクタ10よりも後側で光ケーブル1が捻回したときに、その捻回力を後側ハウジング52の挿通穴52Aの内壁で受けることができる。
上記の実施形態では、光ケーブル1は抗張力体4を有しており、補強スリーブ30は、光ケーブル1の外被5の端面から前側に突出した抗張力体4を覆った状態で(図6参照)、加熱収縮される。これにより、光ケーブル1の引っ張りに対する光コネクタ10の強度を高めることができる。
上記の光コネクタ10の組立時に予め準備される組立キット(光コネクタ組立キット)は、フェルール部材20と、補強スリーブ30と、フェルール部材20のキー溝22A(フェルール側係合部)と係合するとともに断面矩形状の挿通穴52Aを有するハウジング50と、挿入穴71A及びキー71B(フェルール側係合部に係合する工具側係合部)を有する工具本体71と断面扁平状の延出部72とを有する組立工具70と、を備えている。このような光コネクタ組立キットによれば、図7Aに示すように、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係を適切な状態にする作業が容易になる。
また、上記の組立工具70は、挿入穴71Aとキー溝22Aに係合するキー71B(工具側係合部)とを有する工具本体71と、断面扁平状の延出部72とを備えている。このような組立工具70によれば、フェルール部材20の回転方向の位置合わせが容易になるため、図7Aに示すように、被収容体40の角型光ケーブル1とフェルール部材20との回転方向の位置関係を適切な状態にする作業が容易になる。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
1 光ケーブル、3 光ファイバ、
4 抗張力体、5 外被、
7 内蔵光ファイバ、10 光コネクタ、
20 フェルール部材、21 フェルール本体、
22 フランジ部、22A キー溝(フェルール側係合部)、
22B 後端面、22C マーク、23 筒状部、
30 補強スリーブ、40 被収容体、
50 ハウジング、51 前側ハウジング、
511 プラグフレーム、511A 突出部、
512 カップリング、512A キー突起、
52 後側ハウジング、52A 挿通穴、
55 スプリング、
70 組立工具、71 工具本体、
71A 挿入穴、71B キー(工具側係合部)、
71C マーク、71D 凹部、72 延出部、
80 ホルダ、81 本体部、
82 収容部、82A 底面、
82B 側面、82C 内壁面(位置合わせ面)、
83 第1溝部、84 第2溝部、85 係合穴、
87 蓋部、87A ヒンジ部、87B 留め部、
87C 内面、87D 突出部

Claims (15)

  1. 挿入穴を備えた工具本体と、前記工具本体の前記挿入穴の側とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部とを有する組立工具の前記挿入穴に、内蔵光ファイバを有するフェルール部材の円筒形状のフェルール本体を挿入すること、
    前記工具本体に形成された工具側係合部と、前記フェルール部材に形成されたフェルール側係合部とを係合させて、前記組立工具と前記フェルール部材との回転方向の位置合わせを行うこと、
    前記組立工具を取り付けた前記フェルール部材の前記内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続すること、
    融着接続点を補強スリーブで覆い、前記組立工具と前記光ケーブルとの回転方向の位置合わせをした状態で補強スリーブを加熱収縮させること、
    前記補強スリーブを加熱収縮させた後に、前記フェルール部材から前記組立工具を取り外すこと、及び
    前記補強スリーブで補強された前記融着接続点をハウジングに収容すること
    を行う光コネクタ製造方法。
  2. 請求項1に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記補強スリーブを加熱収縮させる際に、前記延出部の扁平面の向く方向と、前記光ケーブルの断面の長辺を構成する面の向く方向とを合わせた状態で、前記補強スリーブを加熱機にセットすることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記フェルール部材の前記内蔵光ファイバと、断面矩形状の光ケーブルの光ファイバとを融着接続する際に、前記組立工具と前記光ケーブルとの前記回転方向の位置合わせをした状態で、融着接続機にセットすることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  4. 請求項3に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記融着接続機のホルダは、前記工具本体を収容する収容部を有し、
    前記ホルダに前記工具本体を収容させることによって、前記光ケーブルに対する前記回転方向の位置合わせをした状態で、前記組立工具が前記融着接続機にセットされる
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  5. 請求項4に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記ホルダに前記工具本体を収容させようとした場合に、前記延出部が前記ホルダと干渉する
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  6. 請求項5に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ており、
    前記ホルダは、前記延出部を挿通させるとともに前記収容部の幅よりも狭い溝部を有し、
    前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記ホルダに前記工具本体を収容させようとした場合に、前記延出部が前記溝部の側面と干渉する
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ており、
    前記ホルダは、開閉可能な蓋部を有し、
    前記蓋部は、前記収容部に向かって突出する突出部を有し、
    前記ホルダに対する前記工具本体の回転方向が誤った状態で前記蓋部を閉じようとした場合に、前記延出部が前記突出部と干渉する
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法であって、
    前記延出部は、前記工具本体の端面の偏った部位から延び出ていることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記融着接続点を前記ハウジングに収容する際に、前記フェルール部材が前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされるとともに、前記光ケーブルが前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  10. 請求項9に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記フェルール側係合部が前記ハウジングの係合部と係合することによって、前記フェルール部材が前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記フェルール本体の端面は、傾斜端面であることを特徴とする光コネクタ製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記ハウジングは、前記光ケーブルの外形に適合する挿通穴を有しており、
    前記挿通穴に前記光ケーブルを挿通させることによって、前記光ケーブルが前記ハウジングに対して前記回転方向に位置合わせされる
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の光コネクタ製造方法であって、
    前記光ケーブルは、抗張力体を有しており、
    前記補強スリーブは、前記光ケーブルの外被の端面から突出した抗張力体を覆った状態で、加熱収縮される
    ことを特徴とする光コネクタ製造方法。
  14. 内蔵光ファイバを保持した円筒形状のフェルール本体を有するフェルール部材と、
    補強スリーブと、
    前記フェルール部材のフェルール側係合部と係合するとともに、光ケーブルを挿通させる断面矩形状の挿通穴を有するハウジングと、
    前記フェルール本体を挿入させる挿入穴と前記フェルール側係合部と係合する工具側係合部とを有する工具本体と、前記工具本体の前記挿入穴とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部とを有する組立工具と
    を備える光コネクタ組立キット。
  15. 内蔵光ファイバを保持した円筒形状のフェルール本体を挿入させる挿入穴と、前記フェルール本体を有するフェルール部材のフェルール側係合部と係合する工具側係合部とを有する工具本体と、
    前記工具本体の前記挿入穴とは逆側から延び出た断面扁平状の延出部と
    を備える組立工具。
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