JP2017101482A - 座屈拘束ブレースダンパー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】座屈拘束材3は、芯材2及び絶縁材4を挟み込むように積層配置され、芯材2の塑性化部21の面外変形を拘束する拘束プレート5と、塑性化部21の面内変形を拘束するカバープレート6と、拘束プレート5に接続し、拘束プレート5と芯材2と絶縁材4を挟み込み全体曲げ剛性を高める補剛材7と、を備え、座屈拘束材3は、軸線方向の一端が固定端部とされ他端が可動端部とされ、芯材2の固定側接合部には、座屈拘束材3の固定端部に隣接し、座屈拘束材3の固定側接合部側への移動を規制するシアキー8が固定され、補剛材7の内側には縦リブ74および横リブ75が設けられ、横リブ75が少なくとも補剛材7の可動端部側に設けられ、各リブ端が拘束プレート5の側面に対して非固着で当接した座屈拘束ブレースダンパーを提供する。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2には、芯材の軸線方向の中央部に設けた凸部と、座屈拘束材の材軸方向中央部の凹部とを係止することで、座屈拘束材に対する芯材の軸線方向の移動(ずれ)を防止する構成について記載されている。
すなわち、芯材の端部に断面十字状の補強リブを設ける構造の場合には、補強リブが座屈拘束材と干渉しないよう座屈拘束材の端部に軸線方向に延びるスリットを設ける必要があり、その結果、大きな補剛力の必要な座屈拘束材の端部の強度を低下させてしまい、十分な拘束効果が得られないという問題があった。
また、特許文献1では、前述の補強リブと同等の面外曲げ剛性を確保するためには相応の板厚が必要となってブレース断面が大型化し、コストが増大することから、その点で改良の余地があった。
さらに、特許文献2には、座屈拘束材の中央に孔開け加工や、芯材中央に凸形の加工が必要となるうえ、座屈拘束材の両端が可動する構造となることから、コストが増大するという問題があった。
このように本発明では、芯材の面外変形、面内変形が拘束され、芯材の座屈を防止し芯材を効率よく塑性変形させることができ、面外方向の開きが抑止されている。
そして、補剛材によって全体座屈ならびに座屈拘束材局部の崩壊を防ぐことができるため、芯材の疲労寿命を延ばすことが可能となり、エネルギー吸収性能を改善させることができる。
また、従来のように芯材の端部をリブで補強する構造ではないため、芯材の塑性化部の軸線方向の長さを大きくとることが可能となり、芯材の疲労寿命が延び、エネルギー吸収性能を改善することができる。
また、拘束プレートの面外方向の開きを防止するため、芯材と、拘束プレート及び絶縁材とを貫通して締結する。
ここで、ブレースダンパー1において、芯材2の軸線O1方向に沿う一端側(ここでは図1及び図2に示す紙面左側)であって、芯材2に対して座屈拘束材3の軸線O1方向への移動を固定する側を固定側といい、その反対側の他端側(図1及び図2に示す紙面右側)であって、芯材2に対して座屈拘束材3の軸線O1方向への移動を許容する側を可動側という。また、芯材2において、図2に示す正面視で軸線O1方向に直交する方向を幅方向Wという。
中央芯材2Aおよび外側芯材2B、2Bは、図3(a)〜(d)、及び図4(a)、(b)に示すように、ブレースダンパー1の軸線O1方向に沿って延設されるとともに一定の幅寸法の平板状で帯状に形成され、振動エネルギーが作用した際に塑性変形してこの振動エネルギーを吸収する塑性化部21と、塑性化部21の両端部側に一体に設けられ、塑性化を期待しない拡幅部22(22A、22B)と、を備えている。
芯材2は、拡幅部においてのみ溶接されている。塑性化部への溶接を伴わないため、芯材の疲労寿命への悪影響を避けることができる。
拡幅部22は、建物の架構に取り付けたガセットプレートなどにボルト接合して架構内にブレースダンパー1を架設するための断面形状がH形の接合部23(23A、23B)の一部(ウェブに相当)を構成し、一面から他面に貫通する第1ボルト孔22aが設けられている。
接合部23は、芯材2の拡幅部22に直交させつつ、拡幅部22の幅方向Wの両端部にそれぞれ一面を部分又は完全溶け込み溶接S1(図3(d)、図7参照)で一体に接合した一対のフランジ部24、24を備えて断面H形に形成されている。
各フランジ部24には、ガセットプレートなどに接合するための複数の第2ボルト孔24aが一面から他面に貫通して形成されている。さらに、この芯材2は、塑性化部21と拡幅部22とを繋ぐ部分が凹円弧状に形成されている。
なお、接合部23を建物の架構に対してボルト接合させずに溶接でブレースダンパー1を架設する場合には、前記ボルト孔22a、24aは不要である。
縦リブ74および横リブ75は、ウェブ71およびフランジ72に溶接により固定されている。補剛材7と拘束プレート5を接合する際には、縦リブ74および横リブ75の幅方向Wで内側を向く内端面7aは、拘束プレート5の外面に対して当接している。これにより、縦リブ74と横リブ75は拘束プレート5と一体となって、芯材2の座屈拘束効果を高めることができる。
また、本実施の形態のように拘束プレート5の可動端に長孔を設ける場合には、大きな座金(図示省略)を使用し、座屈拘束材3と座金との間にポリ4フッ化エチレン樹脂製のシート等の摩擦低減材を挿入することが好ましい。
図1及び図2に示すように、先ず、中央芯材2Aや外側芯材2Bの形状やボルト孔及び接合孔25、26を加工する。続いて、中央芯材2Aの拡幅部22A、22Bにフランジを溶接してフランジ部24を形成する。そして、拘束プレート5の内面に、絶縁材4を例えば両面粘着テープ等で貼着する。その後、拘束プレート5と芯材2を、それぞれのボルト孔や及び接合孔に接合ボルト50を挿通させて固定する。
その後、拘束プレート5の幅方向Wの両端のそれぞれにカバープレート6を溶接により接続する。さらに、補剛材7の溝開口側の内側に、図8に示すように、縦リブ74および横リブ75を隅肉溶接S4(図8参照)により所定位置に溶接したうえで、補剛材7を拘束プレート5に軸線O1方向に延設し、隅肉溶接S3(図3(a)、(b)参照)により一体化する。
このとき、座屈拘束材3の一対の拘束プレート5と一対のカバープレート6によって芯材2が囲繞され、さらに縦リブ74及び横リブ75によって補強された一対の補剛材7が一対の拘束プレート5と芯材2と絶縁材4を挟み込むように配設されているので、ブレースダンパー1の軸線O1方向の変形によって座屈拘束材3が確実に両端部で面外方向に開くことを防止することができる。つまり、補剛材7はブレース全体の曲げ剛性を高め、ブレース全体の座屈を抑えると共に、とくに補剛材7の可動端部側には縦リブ74に加えて横リブ75が設けられているので、拘束プレート5と一体になって芯材2の可動側端部の座屈拘束効果をさらに高めることができる。
そして、補剛材7によって全体座屈ならびに座屈拘束材3の局部の崩壊を防ぐことができるため、芯材2の疲労寿命を延ばすことが可能となり、エネルギー吸収性能を改善させることができる。
また、従来のように芯材の端部をリブで補強する構造ではないため、芯材2の塑性化部21の軸線O1方向の長さを大きくとることが可能となり、芯材2の疲労寿命が延び、エネルギー吸収性能を改善することができる。
なお、強度的に可能になる場合には、シアキー8に代えて固定側の接合ボルトを用いても良い。
次に、上述した実施の形態による座屈拘束ブレースダンパーの効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
図9及び図10は、上述した実施の形態のブレースダンパーにおいて、溝形鋼(補剛材)の縦リブ及び横リブ、カバープレートのU字状の凹部、及びシアキーを設けた実施例(試験体−B)と、前記縦リブ及び横リブ、凹部、及びシアキーを設けていない比較例(試験体−A)と、の効果を示した試験結果である。図9及び図10は、横軸に変位(mm)、縦軸に荷重P(kN)とした荷重変位の関係を示している。
試験体−A、Bの芯材は、それぞれ断面形状が矩形であり、SM400Bの3枚の鋼板を重ね合わせたものを使用している。
さらに、本実施の形態では、横リブ75が補剛材7の可動端部側にのみ設けられた構成となっているが、この位置に制限されることはない。横リブ75が補剛材7の軸線O1方向の全体にわたって設けられていてもよい。
2 芯材
2A 中央芯材
2B 外側芯材
3 座屈拘束材
4 絶縁材
5 拘束プレート
6 カバープレート
7 補剛材
7a 開口端
8 シアキー
21 塑性化部
22、22A、22B 拡幅部
23 接合部
24 フランジ部
25 接合孔
26 接合孔
50 接合ボルト
51 接合円孔
52 接合長孔
71 ウェブ
72 フランジ
73 ハンドホール
74 縦リブ
75 横リブ
O1 軸線
S1 部分又は完全溶け込み溶接
S2、S3、S4 隅肉溶接
Claims (5)
- 芯材と、前記芯材の座屈を防止するための座屈拘束材と、前記芯材と前記座屈拘束材の間に配設される絶縁材とを備え、
前記芯材は、軸線方向に沿って延設され、振動エネルギーが作用した際に塑性変形してこの振動エネルギーを吸収する塑性化部と、軸線方向の両端部側にそれぞれ設けられ、建物の架構に接続するための一対の接合部と、を備え、
前記座屈拘束材は、
前記芯材及び前記絶縁材を挟み込むように積層配置され、前記芯材の塑性化部の面外変形を拘束する一対の拘束プレートと、
前記一対の拘束プレートに連結して架設され、且つ前記一対の拘束プレートとともに前記芯材を囲繞するように配設され、前記芯材の塑性化部の面内変形を拘束する一対のカバープレートと、
前記一対の拘束プレートに接続し、前記一対の拘束プレートと前記芯材と前記絶縁材を挟み込むように配設され、全体曲げ剛性を高める溝形鋼からなる一対の補剛材と、
を備え、
前記補剛材の溝開口側の内側には、縦リブおよび横リブが設けられ、
前記横リブが少なくとも前記補剛材の可動端部側に設けられるとともに、前記縦リブ及び横リブのそれぞれのリブ端が前記拘束プレートの側面に対して非固着状態で当接していることを特徴とする座屈拘束ブレースダンパー。 - 前記座屈拘束材は、前記軸線方向の一端が固定端部とされ、前記芯材の一対の接合部のうち一方の固定側接合部に固定されるとともに、前記軸線方向の他端が可動端部とされ、他方の可動側接合部に前記軸線方向に沿って移動可能に設けられ、
前記芯材の固定側接合部には、前記座屈拘束材の固定端部に隣接し、前記座屈拘束材の前記固定側接合部側への移動を規制するシアキーが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の座屈拘束ブレースダンパー。 - 前記拘束プレートの両端には、前記芯材、該拘束プレート、及び前記絶縁材を貫通して締結する接合ボルトが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレースダンパー。
- 前記カバープレートの可動側の端部には可動側に開口する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレースダンパー。
- 前記芯材の可動側接合部は、前記塑性化部よりも幅寸法を大きくした拡幅部を有していることを特徴とする請求項4に記載の座屈拘束ブレースダンパー。
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