JP3616889B2 - 制振ダンパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル等に用いて好適な制振ダンパーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、近年、ビル等の建築物の躯体には高い耐震性が要求されており、このために制振性能や免震性能を得るための各種装置や構造が多種開発され、実用化されている。
【0003】
このようなもののうち、特に、制振ダンパーを、躯体の壁、柱や梁の一部、あるいは屋上や基礎部分に組み込み、地震や強風等によって躯体に入力される振動エネルギーを吸収しようとする建築物の制振構造が多数提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の建築物の制振構造および制振ダンパーには、以下のような問題が存在する。
まず、従来の制振ダンパーは、前記したように建築物の内外に組み込むものが大多数であり、これらを組み込むためにスペースが必要となり、これが建築物の設計時に制約を受けることとなったり、また施工時に制振・免震装置を組み込むために別途手間がかかるという問題もある。
さらに、大地震等が発生して制振効果を発揮した後においては、制振ダンパーに変形や劣化が生じるものもあるが、このような場合、その性能を元通りに復帰させるには、制振ダンパーの一部または全部を交換する必要がある。しかし、制振ダンパーを組み込む場所によっては、交換が非常に困難あるいは不可能である場合もあり、地震発生後に速やかに建築物を使用することができないこともある。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、スペースを犠牲にすることなく、また施工時にも余計な手間がかからずに高い制振性能を得ることができ、さらには地震発生後に速やかに復旧を図ることのできる制振ダンパーを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、架構を構成する部材として組み込まれる制振ダンパーであって、一方の端部側で前記架構に固定される第1の構成材に、他方の端部側で前記架構に固定される第2の構成材と、前記第1の構成材に一体に連結された第3の構成材とが、少なくとも一層以上にわたって交互に積層され、かつ互いに向かい合う前記第1の構成材と前記第2の構成材との間、及び前記第2の構成材と前記第3の構成材との間には、それぞれそれらの面に沿った方向の相対変位を減衰する減衰部材としての粘弾性体が介装されてなり、前記第1の構成材は断面視ロ字状の鋼管からなり、前記第2の構成材は前記第1の構成材の各面の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第3の構成材は前記第2の構成材の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第1の構成材の隅部から外側に突出させたガセットプレートに前記第3の構成材の縁部に取り付けた接合プレートを重ね合わせてボルト締結することにより、それら第1の構成材と第3の構成材とを一体化するとともに第3の構成材を全体として断面視ロ字状に組み立て、前記第2の構成材の縁部に取り付けた接合プレートどうしを相互に重ね合わせてボルト締結することにより、これら第2の構成材を第1の構成材と第3の構成材の間において全体として断面視ロ字状に組み立ててなることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、架構を構成する部材として組み込まれる制振ダンパーであって、一方の端部側で前記架構に固定される第1の構成材に、他方の端部側で前記架構に固定される第2の構成材と、前記第1の構成材に一体に連結された第3の構成材とが、少なくとも一層以上にわたって交互に積層され、かつ互いに向かい合う前記第1の構成材と前記第2の構成材との間、及び前記第2の構成材と前記第3の構成材との間には、それぞれそれらの面に沿った方向の相対変位を減衰する減衰部材としての粘弾性体が介装されてなり、前記第1の構成材は断面視ロ字状の鋼管からなり、前記第2の構成材は前記第1の構成材の各面の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第3の構成材は前記第2の構成材の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第2の構成材には軸方向に長い長穴が形成されていて、該長穴内に前記第1の構成材と前記第3の構成材との間の間隔を保持する筒状のセパレータが設けられ、該セパレータ内に挿通されたボルトにより第1の構成材と第3の構成材とが一体に連結されていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る制振ダンパーの第一および第二の実施の形態について、図1ないし図7を参照して説明する。
【0011】
[第一の実施の形態]
図1に示すものは、ラーメン構造からなるビル等の建築物の一部を示すもので、符号1は本発明に係る制振ダンパーを適用した建築物の躯体(架構)、2は躯体1を構成する鉄骨造,鉄骨鉄筋コンクリート造,充填鋼管コンクリート造等からなる柱、3は互いに隣接する柱2,2間に架設されたH型鋼からなる鉄骨造の梁、4は、上方の梁3の中央部と下方の梁3および柱2の接合部との間に、いわゆるK型に架設されたブレースをそれぞれ示している。
【0012】
各ブレース4は、その両端部が、躯体1に固定されたH型鋼からなる端部材5A,5Bによって構成され、これら端部材5A,5B間にこのブレース4の軸線方向の変位を減衰するためのブレースダンパー6が組み込まれている。
【0013】
図2に示すように、ブレースダンパー6は、ダンパー本体(制振ダンパー)7と、このダンパー本体7をその両側の端部材5A,5Bに接続するためのジョイント部材8A,8Bとから構成されている。
【0014】
図2ないし図4に示すように、ダンパー本体7の一番内側には、断面視ロ字状の内部鋼管(第1の構成材,鋼管)10が配置されており、その各側面には、帯状の鋼板からなる中間プレート(第2の構成材)11,外部プレート(第3の構成材)12が、内側から外側に向けて順次積層されている。そして、内部鋼管10と中間プレート11との間、および中間プレート11と外部プレート12との間には、それぞれ粘弾性体(減衰部材)14が介装されている。
【0015】
この粘弾性体14には、ゴムアスファルト系のゴム,高減衰ゴム,超塑性ゴム(エネルギーを吸収し熱に変換する塑性的性質と、大変形への追随性を与えるゴム弾性をともに備えている特殊配合のポリマー複合材;例えば株式会社ブリヂストン製)等、高い減衰性能を有したものが用いられている。
【0016】
図3および図4(a)に示したように、内部鋼管10の各隅部には、その長さ方向において所定間隔ごとに、各隅部から各側面に対して45度の角度をなして放射状に延びるガセットプレート16が隅肉溶接されて一体に設けられている。また、外部プレート12には、その両側の各ガセットプレート16に対応した位置に、接合プレート17が、ガセットプレート16に対応した角度で一体に設けられている。
そして、各ガセットプレート16と、このガセットプレート16を挟んで隣り合う二枚の外部プレート12,12の接合プレート17,17とが、高力ボルト(いわゆるHTB)18によって一体に接合されている。これにより、内部鋼管10と、その四側面に沿う外部プレート12,12,…とは一体に接合された構成となっている。
【0017】
また、図3および図4(b)に示したように、内部鋼管10の四側面にそれぞれ配置されている各中間プレート11の両側には、その長さ方向において所定間隔ごとに、接合プレート19が中間プレート11に対して45度の角度をなすよう隅肉溶接されて一体に設けられている。そして、互いに隣接する中間プレート11,11は、接合プレート19,19どうしが高力ボルト20によって一体に接合されている。これにより、4枚の中間プレート11,11,…は、全体として断面視ロ字状の箱形に一体化された形態となっている。なお、図2および図3に示したように、これら接合プレート19は、前記内部鋼管10のガセットプレート16や外部プレート12の接合プレート17とは干渉しない位置に設けられている。
【0018】
図2に示したように、上記各中間プレート11は、内部鋼管10よりもジョイント部材8B側に所定寸法突出するよう設けられている。
【0019】
このようなダンパー本体7は、内部鋼管10,中間プレート11,外部プレート12がそれぞれ鋼材からなり、これによって鋼材と粘弾性体14とが交互に積層された積層ゴムと同様の形態をなしている。そして、ダンパー本体7は、内部鋼管10,中間プレート11,外部プレート12間に介装された粘弾性体14により、一体化された内部鋼管10および外部プレート12と、中間プレート11との軸線方向の相対変位を減衰してダンパー効果を発揮する構成となっている。
【0020】
上記ダンパー本体7は、前記ジョイント部材8A,8Bを介して端部材5A,5Bに接合されている。
図5に示すように、ジョイント部材8Aは、例えばH型鋼材からなり、フランジ21,21には、両端部に放射状に延出するガセットプレート22,22が隅肉溶接されて設けられている。これらガセットプレート22は、内部鋼管10のガセットプレート16,16,…(図4(a)参照)と対応するようになっている。そして、図2に示したように、ジョイント部材8Aのフランジ21とガセットプレート22とが、ダンパー本体7の内部鋼管10とガセットプレート16(図4(a)参照)とに突き合わせ溶接されている。
一方、ジョイント部材8Bは、ジョイント部材8Aと同様の形状を有しており、各フランジ23と、これに隅肉溶接されたガセットプレート24とから形成されている。各ガセットプレート24は、ダンパー本体7側に延出して、接合プレート19,19間に挟み込まれるようになっている。そして、このジョイント部材8Bは、各フランジ23と、ダンパー本体7の互いに対向する2枚の中間プレート11,11とが突き合わせ溶接され、各ガセットプレート24が、接合プレート19,19間に挟み込まれて高力ボルト20で接合されている。
そして、これらのジョイント部材8A,8Bは、端部材5A,5Bに、それぞれジョイントプレート25,26と高力ボルト27とによって接合されている。
【0021】
これにより、ダンパー本体7は、一方の端部側で、外部プレート12が一体化された内部鋼管10がジョイント部材8Aを介して端部材5Aに接合され、他方の端部側で、中間プレート11がジョイント部材8Bを介して端部材5Bに接合された構成となっている。
【0022】
図1に示したように、上記のような構成からなるブレースダンパー6が組み込まれた建築物の躯体1においては、地震や強風等により躯体1に外力(振動)が入力され、躯体1の変形が生じてブレース4に軸線方向の圧縮力または引張力が作用すると、この力によって、端部材5Aと5Bとが互いに接近または離間する方向の相対変位が生じる。これにより、図2に示したブレースダンパー6のダンパー本体7においては、内部鋼管10およびこれに一体化された外部プレート12と中間プレート11とが軸線方向に相対変位し、これにともなって粘弾性体14,14がせん断変形しつつ変位エネルギーを吸収することによって前記相対変位が減衰される。このようにして、躯体1の振動がブレースダンパー6によって減衰されるようになっている。
【0023】
上述した建築物の制振構造では、ラーメン構造の躯体1にブレースダンパー6が組み込まれ、このブレースダンパー6が、一方の端部側で端部材5Aを介して躯体1に接合された内部鋼管10の外側に、他方の端部側で端部材5Bを介して躯体1に接合された中間プレート11と、ガセットプレート16および接合プレート17を介して内部鋼管10に一体化された外部プレート12とが順次積層され、これら内部鋼管10,中間プレート11,外部プレート12との間にそれぞれ粘弾性体14が介装された構成となっている。
このようなブレースダンパー6により、地震や風等により躯体1に生じる変位や振動を減衰することができ、躯体1の制振性能を高いものとすることができる。さらに、躯体1の制振性能を高めることによって、地震時の応答が小さくなるため、通常の鉄骨構造と比較して躯体1を構成する部材断面を小さくすることが可能となり、コストダウンに貢献することができる。
【0024】
このとき、ブレースダンパー6には、粘弾性体14が、内部鋼管10と中間プレート11との間と、中間プレート11と外部プレート12との間の、2層に設けられた構造となっているため、これを単層とする場合に比較して、ブレースダンパー6を大型化することなく減衰性能を2倍に向上させることができる。
【0025】
また、ブレースダンパー6は、工場で製作することができ、現場での組立作業が不要であるため、躯体1の構築時においては、通常の鉄骨ブレースと同様の工程で組み込むことができ、手間を増やしたり工期の長期化を招くことなく高い制振性能を有した躯体1を構築することができる。
【0026】
さらに、ブレースダンパー6を組み込んだ躯体1の外観上の形態は、一般的に用いられているブレース構造と同様であり、構造計画や建築計画上に特別な制約を受けることなく容易に本構造を適用することができる。
【0027】
これに加えて、ブレースダンパー6は、躯体1に端部材5A,5Bを介してボルト接合されているので交換が容易であり、メンテナンスを行う場合,大地震発生時にダンパー本体7を交換する必要が生じた場合,将来制振効果のより高い減衰材料が開発された場合等に、交換作業を容易かつ迅速に行うことができる。特に、大地震発生後等には、復旧を速やかに行うことが可能となる。
しかも、そのボルト接合には高力ボルト27を用いるようにした。高力ボルト27は、施工性が良く品質管理が容易であるので、上記効果はより顕著なものとなる。
【0028】
また、ダンパー本体7には振動を減衰する減衰部材として粘弾性体14が用いられている。粘弾性体14は、粘性とともに弾性剛性を保持しており、地震応答時の残留変形は最大変形に比較して十分小さい。従って、地震発生後においても、躯体1に有害な残留変形を残さず、機能を維持することができる。また、粘弾性体14を使用することで、微少変形や風荷重時にも制振性能を有効に発揮することができ、居住性をも向上させることができる。
【0029】
このように粘弾性体14が用いられたダンパー本体7自体は、従来の積層ゴムとほぼ同様の構造であり、組立に特殊な技術が要求されることもなく、製作を短工期でかつ低コストで行うことが可能となる。また、粘弾性体14を用いたダンパー本体7は、定期点検の必要なオイルダンパーと異なって基本的にメンテナンスフリーであり、しかもダンパー本体7の組立を高力ボルト18,20によるボルト接合とすることで、メンテナンスの必要が発生した場合にも、これを容易に行うことができる。
【0030】
さらに、ブレースダンパー6は、断面視ロ字状の内部鋼管10だけでなく、中間プレート11、外部プレート12についてもそれぞれ断面視ロ字状に組まれた構成となっており、これによってブレースダンパー6が全体として箱形の閉鎖断面となっているので、座屈に対する抵抗を大きなものとすることができる。
【0031】
[第二の実施の形態]
次に、本発明に係る制振ダンパーの第二の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第二の実施の形態において、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
本第二の実施の形態における制振ダンパーは、後述するブレースダンパー6’のダンパー本体(制振ダンパー)30を、図1に示したダンパー本体7に代えて設置するものであり、躯体1に、端部材5A,5Bおよびジョイント部材8A,8Bを介して組み込むという構成は共通である。
【0033】
図6に示すように、ダンパー本体30は、その一番内側に断面視ロ字状の内部鋼管10が配置されており、その各側面には、帯状の鋼板からなる中間プレート(第2の構成材)31,外部プレート(第3の構成材)32が、内側から外側に向けて順次積層されている。そして、内部鋼管10と中間プレート31との間、および中間プレート31と外部プレート32との間には、それぞれ粘弾性体14が介装されている。
【0034】
図6および図7に示すように、内部鋼管10と各外部プレート32との間には、その長さ方向において所定間隔ごとに、所定長の筒状のセパレータ34が設けられている。このセパレータ34は、内部鋼管10と外部プレート32との間隔を所定間隔に維持するものである。そして、各セパレータ34内にはボルト35が挿通され、このボルト35によって内部鋼管10と外部プレート32とが一体に連結されている。
一方、図7に示したように、中間プレート31には、セパレータ34に対応した位置に、ダンパー本体30の長さ方向に所定長を有した長穴36が形成されており、中間プレート31と内部鋼管10および外部プレート32との相対移動が発生した場合に、セパレータ34がダンパー本体30の軸線方向に移動するのを許容するようになっている。
【0035】
このようなダンパー本体30を備えたブレースダンパー6’においては、前記第一の実施の形態において図2に示したダンパー本体7と同様、内部鋼管10が端部材5A側に接合され、中間プレート31が前記中間プレート11と同様に端部材5B側に接合された構成となっている。
【0036】
上述したダンパー本体30を備えたブレースダンパー6’を図1に示したブレースダンパー6に代えて躯体1に組み込むことにより、前記第一の実施の形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0037】
なお、内部鋼管10や中間プレート11,31、外部プレート12,32に制振鋼板を用いることによって、さらに制振性能を高めることも可能である。また、ダンパー本体7,30には粘弾性体14を2層に設ける構成としたが、これを2層以上に多層化する構成としても良く、それにより減衰性能をより向上させることが可能である。その場合には、第3の構成材である外部プレート12,32の外側に配設する構成材は、中間プレート11,31に一体に連結する第2の構成材とし、以後第3の構成材と第2の構成材とを交互に配設するようにする。
【0038】
これ以外にも、内部鋼管10と中間プレート11,31との間、中間プレート11,31と外部プレート12,32との間に、それらの軸線方向の相対変位を許容しつつ、これらの間隔を維持するガイドシューを設置するようにしてもよい。このガイドシューは、例えば、内部鋼管10と中間プレート11,31、中間プレート11,31と外部プレート12,32の、それぞれいずれか一方の側に例えばテフロン(登録商標)等からなるガイドシューを取り付け、他方の側には当接させる。そして、このガイドシューを、内部鋼管10と中間プレート11,31、中間プレート11,31と外部プレート12,32が軸線方向に相対移動するときには摺動させるようにする。これにより、内部鋼管10と中間プレート11,31との間、中間プレート11,31と外部プレート12,32との間にそれぞれ介装されている粘弾性体14に圧縮、引張、ねじり変形等が生じるのを防ぎ、せん断変形のみを生じさせて、その減衰機能を有効に発揮させることができる。
【0039】
さらに、上述した第一および第二の実施の形態では、ブレースダンパー6,6’をK型のブレース設置形態で配置する構成としたが、これ以外にもノ型や偏心ノ型、偏心K型等、他のブレース設置形態で設けるようにしてもよい。
また、ダンパー本体7,30を、ラーメン構造の躯体1に組み込む構成としたが、このようなダンパー本体7,30は、その軸線方向の変位を有効に減衰する部材であるので、これ以外にも、トラス架構(架構)のラチス材や、各種形態の架構を構成する部材として組み込むことも可能であり、これによって各種架構の制振性能を高めることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の制振ダンパーによれば、一方の端部側で架構に固定される第1の構成材に、他方の端部側で架構に固定される第2の構成材と、第1の構成材に一体化される第3の構成材とが、少なくとも一層以上にわたって交互に積層され、かつ互いに向かい合う第1の構成材と第2の構成材との間、及び第2の構成材と第3の構成材との間に減衰部材が介装された構成となっている。このような制振ダンパーを、ラーメン構造のブレースやトラス架構のラチス材として組み込むことによって、架構の制振性能を高めることができ、さらに通常の鉄骨構造と比較して架構を構成する部材断面を小さくすることが可能となり、コストダウンに貢献することができる。しかも、このような制振ダンパーは工場で製作することができるので、現場での手間を増やしたり工期の長期化を招くことなく高い制振性能を有した架構を構築することができる。
また、本発明の制振ダンパーは減衰部材として粘弾性体を使用する構成となっている。これにより、地震発生後においても、躯体に有害な残留変形を残さず、機能を維持することができる。また、粘弾性体を使用することで、微少変形や風荷重時にも制振性能を有効に発揮することができ、居住性を向上させることもできる。さらに、ブレースダンパー自体は、従来の積層ゴムとほぼ同様の構造となり、組立に特殊な技術が要求されることもなく、製作を短工期でかつ低コストで行うことが可能となる。また、メンテナンスの容易化を図ることもできる。
さらに、本発明の制振ダンパーは、第1の構成材が断面視ロ字状の鋼管からなり、第2の構成材および第3の構成材が第1の構成材の各面に配設された構成となっている。これによりブレースダンパーが全体として箱形の閉鎖断面となり、ブレース材として座屈に対する抵抗を大きなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振ダンパーを適用した躯体の一例を示す立断面図である。
【図2】前記制振ダンパーの外観およびその一部の断面を示す図である。
【図3】同制振ダンパーのダンパー本体を示す斜視図である。
【図4】図2における断面図であって、(a)イーイ断面図、(b)ローロ断面図である。
【図5】前記制振ダンパーを構成するジョイント部材を示す図であって、その軸線と直交する方向の断面図である。
【図6】本発明に係る制振ダンパーの他の一例を示す図であって、同制振ダンパーの軸線と直交する方向の断面図である。
【図7】同制振ダンパーの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 躯体(架構)
2 柱
3 梁
6,6’ ブレースダンパー
7,30 ダンパー本体(制振ダンパー)
10 内部鋼管(第1の構成材,鋼管)
11,31 中間プレート(第2の構成材)
12,32 外部プレート(第3の構成材)
16 ガセットプレート
17,19 接合プレート
34 セパレータ
35 ボルト
36 長穴
14 粘弾性体(減衰部材)
Claims (2)
- 架構を構成する部材として組み込まれる制振ダンパーであって、
一方の端部側で前記架構に固定される第1の構成材に、他方の端部側で前記架構に固定される第2の構成材と、前記第1の構成材に一体に連結された第3の構成材とが、少なくとも一層以上にわたって交互に積層され、
かつ互いに向かい合う前記第1の構成材と前記第2の構成材との間、及び前記第2の構成材と前記第3の構成材との間には、それぞれそれらの面に沿った方向の相対変位を減衰する減衰部材としての粘弾性体が介装されてなり、
前記第1の構成材は断面視ロ字状の鋼管からなり、前記第2の構成材は前記第1の構成材の各面の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第3の構成材は前記第2の構成材の外側に配設される帯状の鋼板からなり、
前記第1の構成材の隅部から外側に突出させたガセットプレートに前記第3の構成材の縁部に取り付けた接合プレートを重ね合わせてボルト締結することにより、それら第1の構成材と第3の構成材とを一体化するとともに第3の構成材を全体として断面視ロ字状に組み立て、
前記第2の構成材の縁部に取り付けた接合プレートどうしを相互に重ね合わせてボルト締結することにより、これら第2の構成材を第1の構成材と第3の構成材の間において全体として断面視ロ字状に組み立ててなることを特徴とする制振ダンパー。 - 架構を構成する部材として組み込まれる制振ダンパーであって、
一方の端部側で前記架構に固定される第1の構成材に、他方の端部側で前記架構に固定される第2の構成材と、前記第1の構成材に一体に連結された第3の構成材とが、少なくとも一層以上にわたって交互に積層され、
かつ互いに向かい合う前記第1の構成材と前記第2の構成材との間、及び前記第2の構成材と前記第3の構成材との間には、それぞれそれらの面に沿った方向の相対変位を減衰する減衰部材としての粘弾性体が介装されてなり、
前記第1の構成材は断面視ロ字状の鋼管からなり、前記第2の構成材は前記第1の構成材の各面の外側に配設される帯状の鋼板からなり、前記第3の構成材は前記第2の構成材の外側に配設される帯状の鋼板からなり、
前記第2の構成材には軸方向に長い長穴が形成されていて、該長穴内に前記第1の構成材と前記第3の構成材との間の間隔を保持する筒状のセパレータが設けられ、該セパレータ内に挿通されたボルトにより第1の構成材と第3の構成材とが一体に連結されていることを特徴とする制振ダンパー。
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