JP6143082B2 - ブレースダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、建物などの構造物にブレースとして設置されるとともに構造物の振動エネルギーを吸収するダンパーとしても機能するブレースダンパーに関する。
地震や強風などに対する構造物の応答性を低減させるために、構造物の要所にダンパーを設置することが行われている。近年の構造物の地震被害では、ブレースの座屈による被害が多く見られることから、その対抗策として、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたブレースダンパーの使用が広く検討されている。
これらに開示されたブレースダンパーは、帯板状の鋼板からなるブレース芯材と、このブレース芯材を両側から挟みこむように配置された一対の溝形鋼(狭持部材)と、溝形鋼のフランジ部同士をブレース芯材を跨いで連結するカバープレート(接続部材)とを備えている。
ブレース芯材の長手方向の中間部には、両端部よりも小さな断面となるように形成された降伏部が形成されている。ブレースダンパーが長手方向に所定以上の力を受けたときに降伏部が降伏することで減衰効果を発揮し、ブレースダンパーに作用する振動エネルギーを吸収することができる。
特開2009−019425号公報 特許第3941028号公報
近年、ブレースダンパーの高性能化に伴い、ブレースダンパーの長手方向における高耐力化が望まれている。ブレースダンパーの高耐力化を実現するためには、芯材の長手方向に直交する面による断面積を大きくする必要がある。この面による断面形状が長方形である芯材の断面積を大きくするには、芯材の板厚を大きくするか、幅を大きくする方法が考えられる。芯材の幅を大きくする場合、ブレースダンパーの外形寸法が大きくなり、意匠上好ましくないうえに、設置スペースも広く必要になるという問題がある。一方で、芯材の板厚を大きくする場合、鋼材を製造する会社であるミルメーカーの規格による制約を受け、芯材の価格が割高となる。特に、芯材に低降伏点鋼を使用する場合には、大臣認定された低降伏点鋼の最大厚さが40mmであり、厚さが40mmを越える場合には対応できない。
芯材の長手方向に直交する面による断面形状を十字状にした場合、芯材の幅を大きくせずに断面積を拡大できる。この場合、芯材と芯材に対して直交する方向に延びる部材とは、溶接により接合することになる。このため、ブレースダンパーの両端部が接合された構造物が振動したときにこの接合部分にひずみや応力が集中し、ブレースダンパーの耐疲労性能が劣化する。
また、芯材を厚さ方向に重ねた場合には、複数の芯材の座屈を拘束するのに必要な力である補剛力が増加する恐れがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、長手方向の耐力を増加させつつ補剛力が増加するのを抑えたブレースダンパーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のブレースダンパーは、長手方向の中央部が板状であって、前記長手方向に直交する断面積が前記長手方向のそれぞれの端部よりも前記長手方向の前記中央部の方が狭く、前記中央部が互いに同一の断面形状に形成されて前記中央部の厚さ方向に重ねられた少なくとも2以上の芯材と、少なくとも2以上の前記芯材の前記中央部を前記厚さ方向に挟むように配置された一対の狭持部材と、一対の前記狭持部材における少なくとも2以上の前記芯材における前記中央部の幅方向の一方の端部同士を少なくとも2以上の前記芯材を跨いで固定するとともに、前記幅方向の他方の端部同士を少なくとも2以上の前記芯材を跨いで固定する一対の接続部材と、を備え、少なくとも2以上の前記芯材は、前記長手方向の一方の前記端部同士が固定されるとともに、前記長手方向の他方の前記端部同士が固定され、少なくとも2以上の前記芯材の座屈モードが同じであることを特徴としている。
また、上記のブレースダンパーにおいて、少なくとも2以上の前記芯材の前記端部における互いに接触する面には、摩擦面処理が施されていることがより好ましい。
また、上記のブレースダンパーにおいて、少なくとも2以上の前記芯材の前記中央部同士は接続されていないことがより好ましい。
また、上記のブレースダンパーにおいて、それぞれの前記芯材は、前記長手方向の位置によらず前記幅方向の長さが等しいことがより好ましい。
本発明のブレースダンパーによれば、長手方向の耐力を増加させつつ補剛力が増加するのを抑えることができる。
本発明の第1実施形態のブレースダンパーの要部の側面図である。 図1中の切断線A1−A1の断面図である。 図1中の切断線A2−A2の断面図である。 圧縮荷重を作用させたときの同ブレースダンパーの変形を模式的に示す図である。 圧縮荷重を作用させたときの同ブレースダンパーの変形を模式的に示す図である。 圧縮荷重を作用させたときの比較例のブレースダンパーの変形を模式的に示す図である。 圧縮荷重を作用させたときの比較例のブレースダンパーの変形を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態のブレースダンパーの要部の側面図である。 図8中の切断線A3−A3の断面図である。 図8中の切断線A4−A4の断面図である。 同ブレースダンパーに関連する実験結果を説明する図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係るブレースダンパーの第1実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の厚さや寸法の比率は適宜異ならせてある。
図1から図3に示すように、本実施形態のブレースダンパー1は、板状に形成されて自身の厚さ方向Dに重ねられた2つの芯材10、20と、芯材10、20の長手方向Fの中央部10a、20aを厚さ方向Dに挟むように配置された一対の溝形鋼(狭持部材)31、32と、溝形鋼31、32における芯材10、20の幅方向Eの一方の端部同士、他方の端部同士をそれぞれ固定するカバープレート(接続部材)33、34とを備えている。
芯材10は、板状部材11の長手方向Fの一方側および他方側に、板状部材11に直交するように補強板12(一方の補強板12は不図示。)をそれぞれ固定させて構成されている。
板状部材11は、長手方向Fの位置によらず厚さ方向Dの長さ(以下、単に「厚さ」と称する。)が等しく、かつ、幅方向Eの長さ(以下、単に「幅」と称する。)が等しい。板状部材11は、厚さよりも、長手方向Fの長さ(以下、単に「長さ」と称する。)や幅の方が長い。
補強板12は板状部材11の長手方向Fの一方側および他方側のみに固定されているため、板状部材11の長手方向Fの中央部は、芯材10の中央部10aとなる。
補強板12は、板状部材11の幅方向Eの中央部に長手方向Fに延びるように配置されている。各補強板12と板状部材11の端部11bとは、部分溶込み溶接などによる接続部13によりそれぞれ固定されている(図2参照。)。板状部材11の端部11bおよび補強板12で、芯材10の端部10bを構成する。
各補強板12は板状部材11の幅の範囲内で板状部材11に固定されているため、芯材10は長手方向Fの位置によらず幅が等しい。
このように構成された芯材10は、図3に示す中央部10aにおける長手方向Fに直交する平面による断面積が、図2に示す端部10bの長手方向Fに直交する平面による断面積よりも狭い。中央部10aの断面は板状部材11のみで構成され、端部10bの断面は主に板状部材11および補強板12で構成される。芯材10の中央部10aは、前述の端部10bよりも断面積が狭いことで、端部10bよりも降伏しやすい降伏部となる。
芯材20は、芯材10と芯材20とが接触する面である基準面Pに対して、芯材10に対称(面対称)になるように形成されている。
すなわち、芯材20は、図2および図3に示すように、板状部材21の長手方向Fの一方側および他方側に、板状部材21に直交するように補強板22(一方の補強板22は不図示。)をそれぞれ固定させて構成されている。板状部材21は、板状部材11と中央部および端部がそれぞれ同一の形状に形成されている。補強板22は、補強板12と同一の形状に形成されている。
補強板22は、板状部材21の幅方向Eの中央部に長手方向Fに延びるように配置されている。各補強板22と板状部材21の端部21bとは、部分溶込み溶接などによる接続部23によりそれぞれ固定されている(図2参照。)。板状部材21の長手方向Fの端部21bおよび補強板22で、芯材20の端部20bを構成する。
芯材20では、中央部20aが降伏部となる。
板状部材11、21の端部11b、21bの互いに接触する面11c、21cには、算術平均粗さRaなどの表面粗さを大きくする摩擦面処理が施されていることが好ましい(図2参照。)。
板状部材11、21、および補強板12、22を形成する材料は、例えば、LY100やLY255などの建築構造用低降伏点鋼、SN400などの建築構造用圧延鋼材を好適に用いることができる。
板状部材11、21は、長手方向Fの一方の端部11b、21b同士が、部分溶込み溶接などによる接続部16により固定されている。接続部16は、板状部材11、21の端部11b、21bにおける幅方向Eの両端にそれぞれ設けられている。接続部16が設けられる長手方向Fの範囲は、板状部材11、21の端部11b、21bにおける摩擦面処理された範囲R1(図1参照。)内であることが好ましい。
板状部材11、21の長手方向Fの他方の端部11b、21b同士も、同様に不図示の接続部により固定されている。すなわち、板状部材11、21は、それぞれの端部11b、21b同士は固定されているが、中央部同士は互いに接触しているだけで固定されてはいない。
溝形鋼31は、自身のウェブ部31aが板状部材11、21に対して平行に配置されるとともに、自身のフランジ部31b、31cがカバープレート33、34にそれぞれ固定されている。溝形鋼31のウェブ部31aの長手方向Fの端部には、ウェブ部31aを厚さ方向Dに貫通するとともに長手方向Fに延びる切欠き31dが形成されている。フランジ部31b、31cには、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。
溝形鋼31は、フランジ部31b、31cがウェブ部31aに対して板状部材11とは反対側に配置されている。溝形鋼31のウェブ部31aの幅L1は、板状部材11、21の幅よりも長い。
補強板12の芯材10の中央部10a側の端部は、溝形鋼31の切欠き31d内に配されている(図1参照。)。
溝形鋼32は、前述の基準面Pに対して、溝形鋼31に対称になるように形成されている。すなわち、溝形鋼32は、自身のウェブ部32aが板状部材11、21に対して平行に配置されるとともに、自身のフランジ部32b、32cがカバープレート33、34にそれぞれ固定されている。溝形鋼32のウェブ部32aの長手方向Fの端部には、ウェブ部32aを厚さ方向Dに貫通するとともに長手方向Fに延びる切欠き32dが形成されている(図3参照。)。フランジ部32b、32cには、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。溝形鋼32は、フランジ部32b、32cがウェブ部32aに対して板状部材21とは反対側に配置されている。
溝形鋼31、32は、長手方向Fにおいて芯材10、20の中央部10a、20aが設けられた範囲に配置されている。溝形鋼31、32としては、日本工業規格に規定された既成のものを適宜選択して使用することができる。
この例では、図3に示すように、板状部材11の中央部と溝形鋼31のウェブ部31aとの間に、ゴムシート(弾性部材)41が配置されている。ゴムシート41は、板状部材11と、この板状部材11に対して厚さ方向Dに隣合う溝形鋼31と間に配置されている。板状部材11の中央部とゴムシート41とが接触し、ゴムシート41と溝形鋼31のウェブ部31aとが接触するように配置される。同様に、板状部材21の中央部と溝形鋼32のウェブ部32aとの間に、ゴムシート42が配置されている。板状部材21の中央部とゴムシート42とが接触し、ゴムシート42と溝形鋼32のウェブ部32aとが接触するように配置される。
ゴムシート41、42としては、クロロプレンゴムなどの高分子系材料を適宜選択して用いることができる。ゴムシート41は、例えば、予め溝形鋼31のウェブ部31aに貼付けられた状態で組立てられ、板状部材11と溝形鋼31と間に配置される。
カバープレート33、34は、図1および図3に示すように、板状に形成されている。カバープレート33、34には、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。
溝形鋼31、32のフランジ部31b、32bとカバープレート33とは、フランジ部31b、32bの透孔、およびカバープレート33の透孔に挿通された高力ボルト46により固定されている。溝形鋼31、32のフランジ部31c、32cとカバープレート34とは、フランジ部31c、32cの透孔、およびカバープレート34の透孔に挿通された高力ボルト46により固定されている。
図3に示すように、溝形鋼31、32のウェブ部31a、32aの幅L1が板状部材11、21の幅よりも長く、板状部材11、21よりもウェブ部31a、32aの方が幅方向Eにそれぞれ突出している。すなわち、溝形鋼31、32の幅は芯材10、20の幅よりも長い。このため、板状部材11、21とカバープレート33、34との間に隙間S1、S2がそれぞれ形成されている。カバープレート33、34は、板状部材11、21に接触することなく、板状部材11、21を跨いだ状態で溝形鋼31、32のフランジ部31b、32b、フランジ部31c、32cにそれぞれ固定されている。
なお、本ブレースダンパー1において、ダンパーとしての性能を決定する芯材10、20の断面積は、板状部材11、21の断面積となる。この例では、芯材10、20の端部10b、20bの長手方向Fに直交する平面による断面は、図2に示す十字状になる。
このように構成されたブレースダンパー1において、本実施形態では構造物に接合するときに、ブレースダンパー1の長手方向Fの端部を予め以下のように処理している。なお、この例においては、図1に示すように、構造物Wは厚さ方向Dに重ねられた2つの板材W1(一方の板材W1は不図示。)で構成されている。なお、構造物Wを1つの板材で構成してもよい。
板状部材11、21の端部11b、21bにおける補強板12を幅方向Eに挟む位置に、厚さ方向Dに貫通する不図示の透孔を形成する。補強板12、22に、幅方向Eに貫通する不図示の透孔を形成する。
2つの板材W1における各補強板12、22に対応する位置(長手方向Fに見たときに各補強板12、22に重なる位置。)に、長手方向Fに延びる一対の第2の補強板W6を2つの板材W1を厚さ方向Dに挟むように配置し、固定する(一方の第2の補強板W6は不図示。)。これらの第2の補強板W6には、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。2つの板材W1における第2の補強板W6を幅方向Eに挟む位置には、厚さ方向Dに貫通する不図示の透孔が形成されている。
なお、構造物Wが2つの板材W1からなる場合には、2つの板材W1の互いに接触する面の長手方向Fにおける範囲R2内は、摩擦面処理されることが好ましい。
図1および図2に示すように、板状部材11、21の端面と2つの板材W1の端面とを対向させるとともに、補強板12、22の端面と第2の補強板W6の端面とを対向させる。
板状部材11、21の端部11b、21bと2つの板材W1の端部とを厚さ方向Dに挟むように一対の芯材側連結板W11を配置する。
各芯材側連結板W11に形成された不図示の透孔、および板状部材11、21の端部11b、21bの透孔に挿通された高力ボルトW12により、板状部材11、21に一対の芯材側連結板W11を固定する。同様に、各芯材側連結板W11に形成された透孔、および2つの板材W1の透孔に挿通された高力ボルトW12により、2つの板材W1に一対の芯材側連結板W11を固定する。
板状部材11、21の端部11b、21bは、一対の芯材側連結板W11を介して高力ボルトW12により接合され、厚さ方向Dに圧縮荷重を受ける。このため、摩擦面処理を施された面11c、21cにより、板状部材11および板状部材21が相対的に幅方向Eや長手方向Fに移動するのが防止される。すなわち、摩擦接合される。
補強板12、22と第2の補強板W6とを幅方向Eに挟むように一対の補強側連結板W13をそれぞれ配置する。
各補強側連結板W13に形成された不図示の透孔、および補強板12、22の透孔に挿通された高力ボルトW12により、各補強板12、22に一対の補強側連結板W13を固定する。同様に、各補強側連結板W13に形成された透孔、および第2の補強板W6の透孔に挿通された高力ボルトW12により、第2の補強板W6に一対の補強側連結板W13を固定する。
このように、連結板W11、W13、および高力ボルトW12により、構造物Wにブレースダンパー1における芯材10、20の長手方向Fの一方の端部10b、20b側を接合する。ブレースダンパー1における芯材10、20の長手方向Fの他方の端部10b、20b側も、不図示の構造物Wに同様に接合する。
両端部が構造物Wに接合されたブレースダンパー1は、芯材10、20が厚さ方向Dにおいて溝形鋼31、32に挟まれているため、溝形鋼31、32が芯材10、20の座屈を有効に防止することができ、座屈強度に優れたものとなっている。また、ブレースダンパー1が長手方向Fに引張りまたは圧縮の変動荷重を受けたときに、芯材10、20の中央部10a、20aが長手方向Fに変形して降伏することで減衰効果を発揮し、中央部10a、20aが鋼材ダンパーとして機能する。
板状部材11の中央部と溝形鋼31との間、板状部材21の中央部と溝形鋼32との間にはゴムシート41、42がそれぞれ配置されている。このため、芯材10、20に対して溝形鋼31、32が長手方向Fに相対的に滑るように移動することができる。
このように、ブレースダンパー1は、ブレースとしての機能とダンパーとしての機能を併せ持つものである。ブレースダンパー1を構造物Wに設置することで、構造物Wに対する優れた補剛効果と振動エネルギーの吸収効果とを同時に発揮することができる。
次に、以上のように構成されたブレースダンパー1の作用について、ブレースダンパー1に長手方向Fの圧縮荷重を作用させた場合の変形のモデルで説明する。ここでは、芯材が2つの場合の例について説明する。なお、以下の図4から図7においては、芯材のみを模式的に示す。
芯材10と芯材20とは基準面Pに対して対称に形成されているため、柱状物の座屈しやすさを表す細長比が芯材10と芯材20とで等しくなる。荷重X1を作用させたときに幅方向Eに見て、座屈モードに応じて、図4に示すように芯材10、20が同様に変形する場合と、図5に示すように基準面Pに対して線対称に変形する場合とがあるが、芯材10、20の座屈モードはいずれの場合も同じものとなる。したがって、安定した振動エネルギーの吸収性能が得られ、芯材10、20の補剛力X2が増加することが抑えられる。
これに対して、比較例のブレースダンパー101、102に圧縮荷重を作用させた場合の変形のモデルを図6および図7に示す。
図6に示すブレースダンパー101には、1つの芯材106のみが備えられている。この場合には、前述のように芯材の価格が割高となったり、厚さが40mmを越える場合には対応できなくなるという問題がある。
図7に示すブレースダンパー102には、3つの芯材106、107、108が備えられている。ただし、芯材106、107、108の厚さ(厚さ方向Dの長さ。)は互いに異なる。このため、芯材106、107、108の座屈モードが互いに異なり、ブレースダンパー102全体としての座屈モードが複雑になり、安定した振動エネルギーの吸収性能が得られない。また、本実施形態のブレースダンパー1に比べて、高次の座屈モードとなって不図示の溝形鋼31、32との接触箇所が増えるため、補剛力X2が増加する。
以上説明したように、本実施形態のブレースダンパー1によれば、長手方向Fに直交する断面積は、芯材10の端部10bよりも中央部10aが狭く、芯材20の端部20bよりも中央部20aが狭い。そして、互いに同一の形状に形成された中央部10aおよび中央部20aを厚さ方向Dに重ねている。このため、芯材10、20を低降伏点鋼で形成する場合でも、芯材10、20の中央部10a、20aを全体として厚く構成することができ、ブレースダンパー1の長手方向Fの耐力を増加させることができる。また、芯材10、20の座屈モードが同じになるため、芯材10、20の補剛力が増加するのを抑えることができる。
狭持部材が溝形鋼31、32であるため既成のものを使用することができ、ブレースダンパー1の製造コストを抑制するとともに、ブレースダンパー1の強度を高めることができる。
ブレースダンパー1は、ゴムシート41、42を備えている。このため、芯材10、20と溝形鋼31、32とが長手方向Fに相対的に移動するのを容易にし、芯材10、20を安定して降伏させることができる。
芯材10は長手方向Fの位置によらず幅が等しいため、長手方向Fの位置によらず厚さと幅が等しい板状部材11に補強板12を固定することで、芯材10を構成することができる。板状部材11には既成の板材を使用することができるため、板状部材11の歩留まりが向上し、ブレースダンパー1の製造コストをさらに抑制することができる。
芯材10、20を端部10b、20b同士のみにおいて、部分溶込み溶接などによる接続部16により固定している。したがって、降伏部である芯材10、20の中央部10a、20aの近傍に溶接による接続部が無く、この溶接による接続部からブレースダンパー1が疲労などにより破損するのを防止することができる。
芯材10、20の端部10b、20bが高力ボルトW12により接合されるだけでなく前述のように摩擦接合されるため、接続部16にひずみや応力が集中することを緩和することができる。芯材10、20の端部10b、20bが摩擦接合されるため、溶接により発生させる必要がある接合力を小さくすることができる。これにより、接続部16の長さを短くすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8から図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8から図10に示すように、本実施形態のブレースダンパー2は、第1実施形態のブレースダンパー1に対して、芯材50、60の形状、芯材50、60の端部50b、60b同士が固定されている態様、および溝形鋼31、32に切欠き31d、32dが形成されていないことのみが異なる。
芯材50は、板状に形成されている。芯材50は、長手方向Fの中央部が幅方向Eの両側が切欠かれることで中央部50aが形成されている。芯材50は、長手方向Fの位置によらず厚さが等しい。芯材50は、図10に示す中央部50aにおける長手方向Fに直交する平面による断面積が、図9に示す端部50bの長手方向Fに直交する平面による断面積よりも狭い。
芯材60は、芯材50と同一の板状に形成されている。すなわち、芯材60には芯材50の中央部50aと同一形状の中央部60aが形成されている(図10参照。)。芯材50、60は、厚さ方向Dに重ねられている。芯材50、60は、第1実施形態の芯材10と同一の材料で形成することができる。
本ブレースダンパー2は、芯材50、60の端部50b、60b同士が前述の接続部16により固定されていない。芯材50、60の端部50b、60bには、補強板12、22に代えて、長手方向Fに延びる一対の補強板71が端部50b、60bを幅方向Eに挟むように配置されている。
芯材50の端部50bと補強板71、芯材60の端部60bと補強板71は、部分溶込み溶接などによる接続部72によりそれぞれ固定されている(図9参照。)。この例では、芯材50、60および一対の補強板71の長手方向Fに直交する平面による断面は、図9に示すH字状になる。
図9に示すように、芯材50、60の端部50b、60bの互いに接触する面50c、60cには、前述の摩擦面処理が施されていることが好ましい。
このように構成されたブレースダンパー2において、本実施形態では構造物に接合するときに、ブレースダンパー2の長手方向Fの端部を予め以下のように処理している。
芯材50、60の端部50b、60bに、厚さ方向Dに貫通する不図示の透孔を形成する。補強板71に、幅方向Eに貫通する不図示の透孔を形成する。
図8および図9に示すように、2つの板材W1における各補強板71に対応する位置(長手方向Fに見たときに各補強板71に重なる位置。)に、長手方向Fに延びる一対の第2の補強板W21を2つの板材W1を幅方向Eに挟むように配置する。各第2の補強板W21には、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。2つの板材W1と第2の補強板W21とは、図示はしないが部分溶込み溶接などで固定する。
長手方向Fに延びる一対の芯材側連結板W22を芯材50、60の端部50b、60b、および2つの板材W1を厚さ方向Dに挟むように配置する。
各芯材側連結板W22に形成された不図示の透孔、および芯材50、60の端部50b、60bの透孔に挿通された高力ボルトW12により、芯材50、60に一対の芯材側連結板W22を固定する。同様に、各芯材側連結板W22に形成された透孔、および2つの板材W1の透孔に挿通された高力ボルトW12により、2つの板材W1に一対の芯材側連結板W22を固定する。
長手方向Fに延びる補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24を、補強板71および補強板W21を幅方向Eに挟むように配置する。これら補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24には、幅方向Eに貫通する不図示の透孔が形成されている。
補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24に形成された透孔、および補強板71の透孔に挿通された高力ボルトW12により、補強板71に補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24を固定する。同様に、補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24に形成された透孔、および第2の補強板W21の透孔に挿通された高力ボルトW12により、第2の補強板W21に補強側連結板W23および一対の補強側連結補助板W24を固定する。
このように、連結板W22、W23、補強側連結補助板W24、および高力ボルトW12により、構造物Wにブレースダンパー2における芯材50、60の長手方向Fの一方の端部50b、60b側を接合する。ブレースダンパー2における芯材50、60の長手方向Fの他方の端部50b、60b側も、不図示の構造物Wに同様に接合する。
このように構成された本実施形態のブレースダンパー2によれば、長手方向Fの耐力を増加させつつ補剛力が増加するのを抑えることができる。
芯材50、60の端部50b、60bが高力ボルトW12により接合されるだけでなく前述のように摩擦接合されるため、補強側連結板W23および補強側連結補助板W24にひずみや応力が集中することを緩和することができる。芯材50、60の端部50b、60bが摩擦接合されるため、高力ボルトW12により発生させる必要がある接合力を小さくすることができる。これにより、補強側連結板W23および補強側連結補助板W24の長さを短くすることができる。
ここで、本実施形態のブレースダンパーに関連する試験結果について説明する。
図11は、互いの厚さのみ異なる3枚(3つ)の芯材においてそれぞれの端部同士を固定した芯材セットと、1枚(1つ)の芯材からなる芯材単体とを試験体として用いた試験結果である。芯材セットの各芯材と芯材単体とは、厚さ以外の形状が等しく、材質も同一である。3枚の芯材のうち、中央の芯材の厚さは16mmであり、両側の芯材の厚さはそれぞれ4.5mmである。芯材単体の厚さは、芯材セットの3枚の芯材の厚さの合計に等しく、25mmである。
なお、芯材セットは各芯材の厚さが異なるため、本発明のブレースダンパーの芯材とはなり得ない。また、芯材単体は枚数が1枚であるため、本発明のブレースダンパーの芯材とはなり得ない。
図11において、縦軸は補剛力を表し、横軸は荷重X1を芯材の降伏荷重Xyで除した耐力上昇率βを表す。
鋼材は繰返し振幅を受けると、ひずみ硬化現象によって荷重X1が上昇するため、耐力上昇率βが増加する。芯材セットおよび芯材単体のいずれも、耐力上昇率βが増加するのにしたがって補剛力が増加するが、芯材単体よりも芯材セットの方が補剛力の上昇が早く、補剛力の最大値も大きくなることが分かった。
すなわち、芯材セットと芯材単体とで全体としての形状および材質は同一である。ただし、芯材セットは厚さ方向に3つに分割されていることで、補剛力の上昇が早く、補剛力の最大値も大きくなっている。
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態および第2実施形態では、芯材の数は2つであるとしたが、芯材の数は3以上であるとしてもよい。ただし、芯材の数は2つであることが好ましい。
狭持部材が溝形鋼31、32であるとした。しかし、狭持部材はこれに限定されず、平板を用いてもよい。
芯材と溝形鋼31との間に作用する摩擦力、および芯材と溝形鋼32との間に作用する摩擦力が小さい場合には、ブレースダンパーにゴムシート41、42は備えられなくてもよい。
板状部材11、21の面11c、21c、芯材50、60の面50c、60cや2つの板材W1に、摩擦面処理は施されなくてもよい。このように構成しても、芯材同士、2つの板材W1同士を高力ボルトW12により接合することができるからである。
前記第1実施形態では、ブレースダンパー1の芯材10、20の端部10b、20bと構造物Wとを、連結板W11、W13、および高力ボルトW12により接合した。しかし、この端部10b、20bと構造物Wとを溶接などにより接合してもよい。前記第2実施形態においても同様である。
また、高力ボルトに代えて、狭持部材である溝形鋼31、32と接続部材であるカバープレート33、34とを溶接などにより接合してもよい。
1、2 ブレースダンパー
10、20、50、60 芯材
10a、20a、50a、60a 中央部
10b、20b、50b、60b 端部
31、32 溝形鋼(狭持部材)
31a、32a ウェブ部
31b、31c、32b、32c フランジ部
33、34 カバープレート(接続部材)
41、42 ゴムシート(弾性部材)
D 厚さ方向
E 幅方向
F 長手方向

Claims (4)

  1. 長手方向の中央部が板状であって、前記長手方向に直交する断面積が前記長手方向のそれぞれの端部よりも前記長手方向の前記中央部の方が狭く、前記中央部が互いに同一の断面形状に形成されて前記中央部の厚さ方向に重ねられた少なくとも2以上の芯材と、
    少なくとも2以上の前記芯材の前記中央部を前記厚さ方向に挟むように配置された一対の狭持部材と、
    一対の前記狭持部材における少なくとも2以上の前記芯材における前記中央部の幅方向の一方の端部同士を少なくとも2以上の前記芯材を跨いで固定するとともに、前記幅方向の他方の端部同士を少なくとも2以上の前記芯材を跨いで固定する一対の接続部材と、
    を備え、
    少なくとも2以上の前記芯材は、
    前記長手方向の一方の前記端部同士が固定されるとともに、
    前記長手方向の他方の前記端部同士が固定され、
    少なくとも2以上の前記芯材の座屈モードが同じであることを特徴とするブレースダンパー。
  2. 少なくとも2以上の前記芯材の前記端部における互いに接触する面には、摩擦面処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載のブレースダンパー。
  3. 少なくとも2以上の前記芯材の前記中央部同士は接続されていないことを特徴とする請求項1または2に記載のブレースダンパー。
  4. それぞれの前記芯材は、前記長手方向の位置によらず前記幅方向の長さが等しいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブレースダンパー。
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