JP2017099079A - 空気圧縮機 - Google Patents

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直人 一橋
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Abstract

【課題】空気圧縮機の動力源である電動モータの冷却効果を高める。
【解決手段】エアコンプレッサは、動力源としてのブラシレスモータと、ブラシレスモータと対向する冷却ファンと、を備える。ブラシレスモータは、ステータコアと、ステータコアの径方向内側に配置されたロータと、ステータコアの軸方向一端側に配置された第1インシュレータ91と、ステータコアの軸方向他端側に配置された第2インシュレータ92と、ステータコアのティース95に、第1インシュレータ91および第2インシュレータ92を介して巻き付けられたステータコイル96と、を有する。ステータコアとステータコイル96との間に、ティース95に沿って伸びてステータコアの径方向内側と径方向外側とに連通する空気流路102a,102b,102cが、第1インシュレータ91および第2インシュレータ92によって形成されている。
【選択図】図9

Description

本発明は、空気圧縮機に関するものであり、特に、空気工具の駆動源となる圧縮空気の生成に好適な空気圧縮機に関するものである。
空気圧縮機の1つであるレシプロ型空気圧縮機は、動力源と、動力源から出力される駆動力によって往復駆動されるピストンと、ピストンを往復動可能に収容し、ピストンの往復動に伴って容積が変化するシリンダと、を含む。動力源には、回転駆動力を出力する電動モータが用いられることがあり、この場合、電動モータから出力される回転駆動力は、変換機構によって往復駆動力に変換されてピストンに伝達される。
シリンダ内のピストンが上死点から下死点に移動すると、シリンダの容積が拡大してシリンダ内が負圧になり、シリンダ内に空気が導入される。シリンダ内に導入された空気は、シリンダ内を下死点から上死点に移動するピストンによって圧縮され、圧力が高められる。圧縮された空気(高圧空気)は、所定の配管を介して空気タンクに送られ、該空気タンクに貯留される。
上記のようなピストンおよびシリンダを2組以上備える多段式の空気圧縮機もある。かかる空気圧縮機では、一方のシリンダ内で圧縮された空気が配管を介して他方のシリンダに送られてさらに圧縮される(特許文献1)。すなわち、空気が段階的に圧縮される。
特開2015−59503号公報
空気圧縮機の運転中には各部の温度が上昇する。例えば、空気圧縮機の運転中、動力源である電動モータや電動モータの制御回路の温度は、負荷電流に起因するジュール熱によって上昇する。また、空気圧縮機の運転中には、圧縮熱によってシリンダの温度が上昇する。よって、電動モータがシリンダの近傍に配置されている場合、シリンダから発せられる熱によっても電動モータの温度が上昇する。そこで、多くの空気圧縮機は、電動モータに冷却風を供給する冷却ファンを備えている。
冷却ファンによる電動モータの冷却効果を高めるためには冷却風の風量を増大させる必要がある。そして、冷却ファンを大型化したり、冷却ファンの数を増やしたりすれば、容易に冷却風の風量を増大させることができる。
しかし、冷却ファンの大型化や複数化は、空気圧縮機全体の大型化や重量化、コスト増加などを招く。一方、可搬型の小型の空気圧縮機については、作業者の利便性などの観点から、空気圧縮機全体の小型化や軽量化が求められている。
本発明の目的は、冷却ファンを大型化したり複数化したりすることなく、電動モータに対する冷却効果を高めることである。
本発明の空気圧縮機は、ブラシレスモータによって駆動される圧縮空気生成部と、前記ブラシレスモータと対向する冷却ファンと、を備える。前記ブラシレスモータは、ステータコアと、前記ステータコアの径方向内側に配置されたロータと、前記ステータコアの軸方向一端側に配置された第1インシュレータと、前記ステータコアの軸方向他端側に配置された第2インシュレータと、前記ステータコアのティースに、前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータを介して巻き付けられたステータコイルと、を有する。そして、前記ステータコアと前記ステータコイルとの間に、前記ティースに沿って伸びて前記ステータコアの径方向内側と径方向外側とに連通する空気流路が、前記第1インシュレータと前記第2インシュレータの少なくともいずれか一方によって形成される。
本発明の一態様では、前記第1インシュレータの一部は、前記冷却ファンと対向する前記ティースの前面に重ねて配置され、前記ティースの前記前面および前記ステータコイルの内面によって囲まれた空間内に、前記第1インシュレータの前記一部によって前記空気流路が形成される。
本発明の他の態様では、前記第2インシュレータの一部は、前記前面と反対側の前記ティースの背面に重ねて配置され、前記ティースの前記背面および前記ステータコイルの内面によって囲まれた空間内に、前記第2インシュレータの前記一部によって前記空気流路が形成される。
本発明の他の態様では、前記空間内に、隣接する2つの前記空気流路が形成される。前記2つの空気流路の一方は、前記ステータコイルの周方向において前記ティースの一側に配置され、前記2つの空気流路の他方は、前記ステータコイルの周方向において前記ティースの他側に配置される。前記2つの空気流路のそれぞれは、前記ティースおよび前記ステータコイルの双方と接する。
本発明の他の態様では、前記空間内に、前記ステータコイルの周方向において前記2つの空気流路の間に配置された第3の空気流路が形成される。前記第3の空気流路は、前記ステータコイルと接する一方、前記ティースとは非接触である。
本発明の他の態様では、前記冷却ファンは、外側ファンと、前記外側ファンの径方向内側に設けられている内側ファンと、を有する。
本発明の他の態様では、前記外側ファンは軸流ファンであり、前記内側ファンは遠心ファンである。
本発明によれば、冷却ファンを大型化したり複数化したりすることなく、電動モータに対する冷却効果を高めることができる。
エアコンプレッサの斜視図である。 エアコンプレッサの水平断面図である。 冷却ファンの斜視図である。 冷却ファンの他の斜視図である。 ステータの分解斜視図である。 モータの断面図である。 モータの他の断面図である。 モータのさらに他の断面図であって、図7中のA−A線に沿った断面図である。 空気流路を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の空気圧縮機の実施形態の一例について説明する。本実施形態に係る空気圧縮機は、電動モータを動力源とする圧縮空気生成部を備えるレシプロ型のエアコンプレッサである。本実施形態に係るエアコンプレッサの用途は特に限定されないが、圧縮空気の圧力によって釘やネジを木材などに打ち込む空気工具に圧縮空気を供給する供給源としての利用に適している。以下、本実施形態に係るエアコンプレッサについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示されるように、エアコンプレッサ1は、フレーム等の骨格部と、該骨格部に連結された互いに平行な2つの空気タンク10a,10bと、を含む基台11を有する。それぞれの空気タンク10a,10bの両端部下面には、台座12が取り付けられており、エアコンプレッサ1は、4つの台座12によって所望の設置場所に置かれる。また、基台11の両端部にはハンドル13が設けられており、作業者は、ハンドル13を把持してエアコンプレッサ1を持ち運ぶことができる。
基台11には、図2に示されるモータ20と、モータ20を動力源とする圧縮空気生成部30と、が搭載されている。通常、モータ20および圧縮空気生成部30は、図1に示されるカバー14によって覆われている。再び図2を参照すると、圧縮空気生成部30は、クランクケース31と、2つのシリンダ(第1シリンダ32a,第2シリンダ32b)と、を含む。
図2に示されるように、モータ20は、ステータ(固定子)21,ロータ(回転子)22,ロータ22に固定された回転軸(モータ回転軸)23およびロータ22の回転位置を検出するホール素子などを有するDCブラシレスモータであって、クランクケース31の外に配置されている。もっとも、モータ20は、クランクケース31に固定されており、クランクケース31と一体化されている。なお、本実施形態におけるモータ20は、ステータ21の内側にロータ22が組み込まれたインナーロータ型のブラシレスモータであるが、モータ20は他の形式のモータ、例えば、アウターロータ型のブラシレスモータに置き換えることもできる。
モータ回転軸23は、空気タンク10a,10bの長手方向と直交する方向に伸びてクランクケース31を貫通しており、クランクケース31に設けられている軸受によって回転自在に支持されている。クランクケース31を挟んでモータ20と反対側には、モータ20をインバータ制御するための半導体スイッチング素子などが搭載された制御回路基板が配置されている。具体的には、クランクケースカバー31aと対向する位置に基板ケース50が配置されており、この基板ケース50内に制御回路基板が収容されている。
基板ケース50とクランクケース31(クランクケースカバー31a)との間には冷却ファン51が配置されており、この冷却ファン51が生成する冷却風によって制御回路基板が冷却される。このとき、基板ケース50は、制御回路基板との関係でヒートシンクとして機能する。冷却ファン51は、クランクケースカバー31aから突出しているモータ回転軸23の一端に固定されており、モータ回転軸23と一体に回転して冷却風を生成する。
第1シリンダ32aおよび第2シリンダ32bは、クランクケース31の両側に取り付けられており、互いに水平対向している。換言すれば、第1シリンダ32aと第2シリンダ32bとは、モータ回転軸23の回転方向に関して180度異なる位置に配置されている。そして、第1シリンダ32aには第1ピストン33aが往復動可能に収容され、第2シリンダ32bには第2ピストン33bが往復動可能に収容されている。
モータ回転軸23の回転運動を第1ピストン33aの往復運動に変換するために、第1ピストン33aには、第1コネクティングロッドの一端がピン結合されており、第1コネクティングロッドの他端は、モータ回転軸23に装着されている第1偏心カムに回転自在に結合されている。すなわち、第1コネクティングロッドは、クランクケース31と第1シリンダ32aとに跨り、モータ回転軸23と第1ピストン33aとを連結している。また、モータ回転軸23の回転運動を第2ピストン33bの往復運動に変換するために、第2ピストン33bには、第2コネクティングロッドの一端がピン結合されており、第2コネクティングロッドの他端は、モータ回転軸23に装着されている第2偏心カムに回転自在に結合されている。すなわち、第2コネクティングロッドは、クランクケース31と第2シリンダ32bとに跨り、モータ回転軸23と第2ピストン33bとを連結している。そこで、以下の説明では、モータ回転軸23を“クランクシャフト23”と呼ぶ場合がある。モータ20から出力される回転駆動力は、クランクシャフト23,偏心カム(第1偏心カム,第2偏心カム)およびコネクティングロッド(第1コネクティングロッド,第2コネクティングロッド)からなる変換機構によって往復駆動力に変換されてピストン(第1ピストン33a,第2ピストン33b)に伝達される。
ここで、第1偏心カムによって第1ピストン33aが第1シリンダ32aの上室を圧縮する方向に駆動されるとき、第2ピストン33bは第2偏心カムによって第2シリンダ32bの上室を膨張させる方向に駆動される。一方、第2偏心カムによって第2ピストン33bが第2シリンダ32bの上室を圧縮する方向に駆動されるとき、第1ピストン33aは第1偏心カムによって第1シリンダ32aの上室を膨張させる方向に駆動される。
それぞれのシリンダ32a,32bに設けられているシリンダヘッド34a,34bの内部には、それぞれバッファ室が設けられており、シリンダ32a,32bの上室とそれぞれのバッファ室との間には逆止弁が設けられている。第1ピストン33aが第1シリンダ32aの上室を圧縮する方向に駆動され、上室内の空気の圧力が所定圧力よりも高くなると、第1シリンダ32aの上室とバッファ室との間にある逆止弁が開かれる。すると、第1ピストン33aによって圧縮された空気は、第1シリンダ32aと第2シリンダ32bとを連通させている第1配管を介して第2シリンダ32bの上室に送られる。
第2ピストン33bが第2シリンダ32bの上室を圧縮する方向に駆動され、上室内の空気の圧力が所定圧力よりも高くなると、第2シリンダ32bの上室とバッファ室との間にある逆止弁が開かれる。すると、第2ピストン33bによって圧縮された空気は、第2シリンダ32bと空気タンク10aとを連通させている第2配管を介して空気タンク10aに送られ、貯留される。尚、空気タンク10a,10bは、第3配管を介して互いに連通している。よって、空気タンク10a,10b内の圧力は均一に保たれる。
ここで、図2に示される第1シリンダ32aの上室には外気が導入される。すなわち、第1ピストン33aは外気を圧縮し、第2ピストン33bは、第1ピストン33aによって圧縮された外気(空気)をさらに圧縮する。換言すれば、第1ピストン33aは1段目の低圧用のピストンであり、第2ピストン33bは2段目の高圧用のピストンである。また、第1シリンダ32aは1段目の低圧用のシリンダであり、第2シリンダ32bは2段目の高圧用のシリンダである。このように、本実施形態に係るエアコンプレッサ1は、空気を2段階で圧縮する。具体的には、第1ピストン33aによって1.0[MPa]前後の圧縮空気を生成し、第2ピストン33bによって4.0〜4.5[MPa]程度の圧縮空気を生成する。
図1に示されるように、空気タンク10a,10bの端部上方には、圧縮空気の取り出し口であるカプラ15a,15bが設けられている。さらに、空気タンク10a,10bとカプラ15a,15bとの間には、圧縮空気の圧力を調節する減圧弁16a,16bがそれぞれ設けられている。減圧弁16a,16bによって調節された圧縮空気の圧力は、それぞれの減圧弁16a,16bの近傍に設置されている圧力計17a,17bによって計測され、表示される。
また、図2に示されるように、空気タンク10aには、空気タンク10a,10b内の圧力が所定圧力よりも高くなると自動的に開く安全弁18aが設けられている。一方、空気タンク10bにはドレン排出装置18bが設けられており、ドレン排出装置18bが操作されると、空気タンク10a,10b内の圧縮空気および水分が排出される。図1に示されるように、カバー14の上面には操作パネル19が設けられており、この操作パネル19に設けられている不図示の入力部を介して、モータ20(図2)の起動指令や回転数が入力される。
ここで、エアコンプレッサ1の運転中、ピストン33a,33bの駆動源であるモータ20には負荷電流が生じる。よって、負荷電流に伴うジュール熱によってモータ20の温度が上昇する。また、圧縮工程で発生する圧縮熱によってシリンダ32a,32bやピストン33a,33bの温度が上昇する。さらに、モータ20やシリンダ32a,32bの温度上昇に伴ってこれらと接しているクランクケース31の温度も上昇する。したがって、モータ20および圧縮空気生成部30(クランクケース31、シリンダ32a,32b、ピストン33a,33bなど)の過熱を回避するために、これらを冷却する必要がある。
そこで、図2に示されるように、モータ20を挟んでクランクケース31と反側に冷却ファン60が設置されている。尚、モータ回転軸23の他端に、主に制御回路基板を冷却するための冷却ファン51が固定されていることは既述の通りである。すなわち、本実施形態では、モータ回転軸23の一方の端部に冷却ファン51が設けられ、他方の端部に冷却ファン60が設けられている。換言すれば、対向する2つの冷却ファン51,60の間に、モータ20および圧縮空気生成部30(クランクケース31、シリンダ32a,32b、ピストン33a,33bなど)が配置されている。
冷却ファン60は、モータ20のロータ22から突出しているモータ回転軸23の一端に固定されており、モータ回転軸23と一体に回転する。冷却ファン60が回転すると冷却風が生成され、この冷却風によってモータ20および圧縮空気生成部30が冷却される。
図3,図4は、冷却ファン60の異なる斜視図である。冷却ファン60は、同軸に設けられた2種類の多翼ファンを含んでいる。具体的には、冷却ファン60は、内側ファンとしての遠心ファン70と、外側ファンとしての軸流ファン80と、を含んでいる。軸流ファン80は、遠心ファン70の周囲に設けられており、遠心ファン70を取り囲んでいる。つまり、軸流ファン80は遠心ファン70の径方向外側に設けられており、遠心ファン70は軸流ファン80の径方向内側に設けられている。
遠心ファン70の中心にはモータ回転軸23(図2)の端部が挿入される装着穴71が形成されている。本実施形態では、遠心ファン70は、装着穴71に挿入されたモータ回転軸23の端部に固定されてモータ回転軸23と一体化されており、軸流ファン80は、遠心ファン70と一体化されている。すなわち、冷却ファン60は、モータ回転軸23と一体化されている。もっとも、モータ回転軸23の回転に伴って冷却ファン60が回転すればよく、冷却ファン60がモータ回転軸23と一体化されていることは必須ではなく、また、遠心ファン70と軸流ファン80とが一体化されていることも必須ではない。
遠心ファン70は、回転方向に沿って所定ピッチで配置された複数のフィン72を備えている。これらフィン72は図2に示されるモータ20と対向しており、より詳しくはモータ20のロータ22と対向している。
図3,図4に示されるように、遠心ファン70は、フィン72に加えて円板状の仕切板73を備えている。この仕切板73は、それぞれのフィン72を軸方向に区画している。具体的には、それぞれのフィン72は、仕切板73により、該仕切板73よりもモータ側に位置する内側フィン部72aと、仕切板73を挟んで内側フィン部72aと反対側(反モータ側)に位置する外側フィン部72bと、に区画されている。
図3,図4に示されるように、遠心ファン70のフィン72の周囲には、これらを取り囲むファンガイド74が設けられている。それぞれのフィン72は、その一部が仕切板73に連接され、他の一部がファンガイド74の内周面に連接されている。換言すれば、仕切板73とファンガイド74とは複数のフィン72を介して互いに連結されている。さらに換言すれば、ファンガイド74は複数のフィン72によって内側から支持されている。
ファンガイド74は略円筒形状を有しており、装着穴71にモータ回転軸23の端部が挿入されると、ファンガイド74の開口部がモータ20と対向する(図2)。具体的には、ファンガイド74は、図2に示されるモータ20と対向するモータ側開口部74a(図3)と、モータ側開口部74aの反対側に位置する反モータ側開口部74b(図4)と、を備えており、反モータ側開口部74bの直径は、モータ側開口部74aの直径よりも小さい。
図3,図4に示されるように、軸流ファン80を構成する複数のフィン81は、ファンガイド74の外周面上に所定ピッチで配置されている。つまり、ファンガイド74は、軸流ファン80を構成するフィン81が搭載されるベースとしても機能している。本実施形態では、フィン81のベースとしても機能するファンガイド74がその内側から多数のフィン72によって支持され、補強されている。したがって、ファンガイド74の上に多数のフィン81を形成して風量の増大を図ることができる。
ここで、ファンガイド74の反モータ側開口部74b(図4)の直径は、仕切板73の直径よりも小さく設定されている。これにより、フィン72,仕切板73,ファンガイド74,フィン81を含む冷却ファン60を1つの金型で射出成形することができる。
図2に示されるように、冷却ファン60が回転すると複数の気流が生成される。図2中では、冷却ファン60の回転に伴って発生する主な気流を矢印によって模式的に示してある。冷却ファン60が回転すると、軸流ファン80(図3,図4)によって、モータ20の周囲を通って主にシリンダ32a,32bに向かう気流CA1が生成される。同時に、遠心ファン70の外側フィン部72b(図3)によって、主にステータ21に向かう気流CA2が生成される。さらに、遠心ファン70の内側フィン部72a(図3)によって、主にロータ22に向かう気流CA3が生成される。もっとも、気流CA3はロータ22によってその流れが阻害され、気流CA2を加速させるように作用する渦流となる。
本実施形態では、上記気流およびその他の気流によってモータ20がより効率的に冷却されるように、モータ20に空気流路や隙間が形成されている。以下、具体的に説明する。
図2に示されるように、モータ20は、ステータ21と、ステータ21の内側に配置されたロータ22と、ロータ22と相対回転不能に連結されたモータ回転軸23と、を有する。図5に示されるように、ステータ21は、ステータコア90と、ステータコア90の軸方向一端側(正面側)に配置された第1インシュレータ91と、ステータコア90の軸方向他端側(背面側)に配置された第2インシュレータ92と、を含んでいる。
さらに、ステータコア90は、リング部93と、リング部93の内周面から該リング部93の中心に向かって伸びる複数のティース95と、から構成されており、それぞれのティース95の先端には極弧部が設けられている。
図6に示されるように、それぞれのティース95には、第1インシュレータ91(図5)および第2インシュレータ92を介してステータコイル96が巻き付けられている。換言すれば、ステータコア90には複数のスロットが設けられており、それぞれのスロットにステータコイル96が設けられている。尚、図6には、図5に示されている第1インシュレータ91は現れていない。また、ロータ22がステータコア90の径方向内側に配置され、ロータ22の中心にモータ回転軸23が挿通されている。
以上のように、ステータ21は、ステータコア90,第1インシュレータ91,第2インシュレータ92およびステータコイル96から構成されている。そして、隣接するステータコイル96の間には、ステータ21をモータ回転軸23の方向に貫通する隙間97が設けられている。つまり、それぞれの隙間97は、モータ20の正面側と背面側とに連通している。
再び図5を参照する。第1インシュレータ91および第2インシュレータ92には、各ティース95に対応するカバー部98が一体成形されている。以下の説明では、第1インシュレータ91のカバー部98を“外側カバー部98a“と呼び、第2インシュレータ92のカバー部98を”内側カバー部98b“と呼んで区別する場合がある。
第1インシュレータ91はステータコア90の正面側から該ステータコア90に被せられる一方、第2インシュレータ92はステータコア90の背面側から該ステータコア90に被せられる。つまり、ステータコア90は、第1インシュレータ91および第2インシュレータ92によって軸方向両側から挟まれる。すると、第1インシュレータ91のそれぞれの外側カバー部98aが対応するティース95の正面に重なり、ティース95の正面が外側カバー部98aによって覆われる。また、第2インシュレータ92のそれぞれの内側カバー部98bが対応するティース95の背面に重なり、ティース95の背面が内側カバー部98bによって覆われる。このように、それぞれのティース95の正面および背面がカバー部98によって覆われる。尚、ステータコア90のティース95以外の部分も必要に応じて第1インシュレータ91および第2インシュレータ92によって覆われる。
図7,図8に示されるように、それぞれのステータコイル96は、それぞれのティース95に、該ティース95を覆っている第1インシュレータ91(外側カバー部98a)および第2インシュレータ92(内側カバー部98b)を介して巻き付けられている。この結果、図9に示されるように、ティース95の前面95aとこれに対向するステータコイル96の内面96aとの間に、第1インシュレータ91の一部である外側カバー部98aが介在する。また、ティース95の背面95bとこれに対向するステータコイル96の内面96aとの間に、第2インシュレータ92の一部である内側カバー部98bが介在する。換言すれば、第1インシュレータ91の外側カバー部98aは、ティース95の前面95aとステータコイル96の内面96aの一部とによって囲まれた第1の空間Aに配置され、第2インシュレータ92の内側カバー部98bは、ティース95の背面95bとこれに対向するステータコイル96の内面96aの他の一部とによって囲まれた第2の空間Bに配置される。
第1インシュレータ91および第2インシュレータ92のカバー部98は、ティース95に当接する脚部100と、脚部100から二股に分かれ、それぞれがステータコイル96の内面96aに当接する一対の腕部101とからなる略Y字の断面形状を有している。より具体的には、脚部100の底面はティース95の表面(前面95aまたは背面95b)に当接しており、それぞれの腕部101の先端は、ステータコイル96の内面角部に当接している。よって、第1の空間Aが外側カバー部98aよって三分割され、第1の空間A内に、3つの空気流路(第1空気流路102a,第2空気流路102b,第3空気流路102c)が形成されている。これら第1空気流路102a,第2空気流路102b,第3空気流路102cのそれぞれは、ティース95に沿って伸びてステータコア90(図5)の径方向内側と径方向外側とに連通している。
同じく、第2の空間Bが内側カバー部98bよって三分割され、第2の空間B内に、3つの空気流路(第1空気流路102a,第2空気流路102b,第3空気流路102c)が形成されている。これら第1空気流路102a,第2空気流路102b,第3空気流路102cのそれぞれも、ティース95に沿って伸びてステータコア90(図5)の径方向内側と径方向外側とに連通している。
それぞれの空間A,B内における第2空気流路102bおよび第3空気流路102cは、脚部100を挟んで隣接しており、第2空気流路102bはステータコア90の周方向(図9中では左右方向)においてティース95の一側に位置し、第3空気流路102cはステータコア90の周方向においてティース95の他側に位置している。一方、第1空気流路102aは、ステータコア90の周方向において第2空気流路102bと第3空気流路102cとの間に位置している。つまり、中央に第1空気流路102aが配置され、その第1空気流路102aの両側に第2空気流路102bおよび第3空気流路102cが配置されている。
ここで、第2空気流路102bおよび第3空気流路102cのそれぞれは、ティース95およびステータコイル96の双方と接している。一方、第1空気流路102aは、ステータコイル96とは接しているが、ティース95とは接していない。より具体的には、第1の空間A内の第2空気流路102bおよび第3空気流路102cは、ティース95の前面95aおよびステータコイル96の内面96aの双方と接している。また、第2の空間B内の第2空気流路102bおよび第3空気流路102cは、ティース95の背面95bおよびステータコイル96の内面96aの双方と接している。一方、第1の空間A内の第1空気流路102aは、ステータコイル96の内面96aとは接しているが、ティース95の前面95aとは接していない。また、第2の空間B内の第1空気流路102aは、ステータコイル96の内面96aとは接しているが、ティース95の背面95bとは接していない。
以上のように、本実施形態では、モータ20のステータコア90とステータコイル96との間に、ティース95に沿って伸びてステータコア90の径方向内側と径方向外側とに連通する複数の空気流路(第1空気流路102a,第2空気流路102b,第3空気流路102c)が形成されている。したがって、図2に示される冷却ファン60が回転すると、モータ20の径方向外側から内側へ、また、径方向内側から外側へ冷却風が流れるので、モータ20の冷却効果が高まる。ここで、モータ20の周囲では気流CA1の発生より圧力上昇が生じる一方、モータ20の内側では気流(渦流)CA3の発生より吸込み力が生じる。このため、図9に示される第1の空間Aにおいては、第1空気流路102a,第2空気流路102bおよび第3空気流路102cを介してモータ20の径方向外側から内側へ冷却風が流入する(図9の裏面側から表面側へ冷却風が流れる)。一方、第2の空間Bには、隙間97(図6)を通して気流CA2(図2)が流入するので圧力上昇が生じる。よって、第2の空間Bにおいては、第1空気流路102a,第2空気流路102bおよび第3空気流路102cを介してモータ20の径方向内側から外側へ冷却風が流出する(図9の表面側から裏面側へ冷却風が流れる)。このように、モータ20の径方向外側から内側への冷却風の流入と径方向内側から外側への冷却風の流出とがスムーズに行われ、モータ20(特にステータコイル96)が効果的に冷却される。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図9に示される第1の空間Aまたは第2の空間Bのいずれか一方のみに空気流路を形成してもよい。また、第1の空間Aや第2の空間Bに形成される空気流路の数は3つに限られず、任意に増減させることができる。また、上記実施形態における冷却ファン60は種類の異なる多翼ファンを備えていたが、通常の軸流ファンや遠心ファンに置き換えることもできる。
上記実施形態に係るエアコンプレッサは、2組のシリンダおよびピストンを備えた多段式の空気圧縮機であったが、シリンダおよびピストンは1組でも3組以上でもよい。また、形式はレシプロ型に限られず、例えばロータリ型のエアコンプレッサも本発明の範囲に含まれる。
1 エアコンプレッサ
10a,10b 空気タンク
20 モータ
21 ステータ
22 ロータ
23 モータ回転軸(クランクシャフト)
30 圧縮空気生成部
31 クランクケース
32a 第1シリンダ
32b 第2シリンダ
33a 第1ピストン
33b 第2ピストン
50 基板ケース
51 冷却ファン
60 冷却ファン
70 遠心ファン
80 軸流ファン
90 ステータコア
91 第1インシュレータ
92 第2インシュレータ
93 リング部
95 ティース
95a (ティースの)前面
95b (ティースの)背面
96 ステータコイル
96a (ステータコイルの)内面
97 隙間
98 カバー部
98a 外側カバー部
98b 内側カバー部
100 脚部
101 腕部
102a 第1空気流路
102b 第2空気流路
102c 第3空気流路
A 第1の空間
B 第2の空間

Claims (7)

  1. ブラシレスモータによって駆動される圧縮空気生成部と、前記ブラシレスモータと対向する冷却ファンと、を備える空気圧縮機であって、
    前記ブラシレスモータは、
    ステータコアと、
    前記ステータコアの径方向内側に配置されたロータと、
    前記ステータコアの軸方向一端側に配置された第1インシュレータと、
    前記ステータコアの軸方向他端側に配置された第2インシュレータと、
    前記ステータコアのティースに、前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータを介して巻き付けられたステータコイルと、を有し、
    前記ステータコアと前記ステータコイルとの間に、前記ティースに沿って伸びて前記ステータコアの径方向内側と径方向外側とに連通する空気流路が、前記第1インシュレータと前記第2インシュレータの少なくともいずれか一方によって形成されている、
    空気圧縮機。
  2. 前記第1インシュレータの一部は、前記冷却ファンと対向する前記ティースの前面に重ねて配置され、
    前記ティースの前記前面および前記ステータコイルの内面によって囲まれた空間内に、前記第1インシュレータの前記一部によって前記空気流路が形成されている、
    請求項1に記載の空気圧縮機。
  3. 前記第2インシュレータの一部は、前記前面と反対側の前記ティースの背面に重ねて配置され、
    前記ティースの前記背面および前記ステータコイルの内面によって囲まれた空間内に、前記第2インシュレータの前記一部によって前記空気流路が形成されている、
    請求項2に記載の空気圧縮機。
  4. 前記空間内に、隣接する2つの前記空気流路が形成され、
    前記2つの空気流路の一方は、前記ステータコイルの周方向において前記ティースの一側に配置され、前記2つの空気流路の他方は、前記ステータコイルの周方向において前記ティースの他側に配置され、
    前記2つの空気流路のそれぞれは、前記ティースおよび前記ステータコイルの双方と接している、
    請求項2又は3に記載の空気圧縮機。
  5. 前記空間内に、前記ステータコイルの周方向において前記2つの空気流路の間に配置された第3の空気流路が形成され、
    前記第3の空気流路は、前記ステータコイルと接している一方、前記ティースとは非接触である、
    請求項4に記載の空気圧縮機。
  6. 前記冷却ファンは、外側ファンと、前記外側ファンの径方向内側に設けられている内側ファンと、を有する、
    請求項1に記載の空気圧縮機。
  7. 前記外側ファンは軸流ファンであり、前記内側ファンは遠心ファンである、
    請求項6に記載の空気圧縮機。
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