JP5142960B2 - 真空ポンプユニット、及びその起動方法 - Google Patents

真空ポンプユニット、及びその起動方法 Download PDF

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Description

本発明は、真空到達圧力が1Pa程度の真空ポンプユニット、及びその起動方法に関するものである。
スパッタリング装置、ヘリウムリークディテクター、SEM等の分析装置等の用途に、真空到達圧力が1Pa程度の排気能力を持つ真空ポンプが用いられている。またターボ分子ポンプ等の高真空ポンプの粗引き用の真空ポンプとして、また、真空乾燥・真空貼り合わせ装置等のように水蒸気等のガスを吸引する目的にも上記排気能力を持つ真空ポンプが用いられている。
この種の真空ポンプの中で、半導体製造用途等で使用される比較的排気速度の大きい(1000L/min以上)真空ポンプとして、従来から多段ルーツ型やスクリュー型等の2軸容積移送式ドライ真空ポンプが使用されている。また、到達真空圧力が1Pa以下の真空排気性能と、さらに大きな排気速度を得るために、メインポンプとブースターポンプの2台のポンプを直列に配管接続して、1つの真空ポンプユニットを構成しているものもある。2軸容積移送式ドライ真空ポンプは、油回転ポンプのようにガス通路に油を使用していないので油汚染が無く、またスクロール型ドライ真空ポンプのようにチップシールを用いずに非接触動作が可能なので、チップシールの摩耗によるパーティクルの発生などもなく、半導体製造などに用いて好適である。
特許文献1には、この種の2軸容積移送式ドライ真空ポンプが開示されている。この2軸容積移送式ドライ真空ポンプは、外気圧側に配置されるメインポンプと、真空側に配置されるブースターポンプとを備え、ブースターポンプとメインポンプは直列に接続され、ブースターポンプはメインポンプより高い排気速度を有し、メインポンプ及びブースターポンプでは、それぞれ一対のポンプロータと、吸気口及び排気口を有するポンプケーシングと、前記一対のポンプロータと一体に回転する一対のマグネットロータとを備えた構成である。
上記特許文献1に記載の真空ポンプユニットの従来の起動方法は、先に外気圧側に配置されたメインポンプを起動してから、真空側に配置されたブースターポンプを起動する方法であった。ところが、このメインポンプ、ブースターポンプを駆動するモータ部は、それぞれ一対のマグネットロータのマグネットカップリング作用によりポンプロータを同期反転させる構成である。そのため、大気側に配置されたメインポンプを先に起動すると、該メインポンプの起動によって生じる気体の流れによって、ブースターポンプの空回転が生じ、起動時に脱調する可能性があり、真空ポンプユニットの起動時の制御の安定性が得られないという問題があった。
特開2007−231935号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、起動時に脱調する恐れがなく、制御の安定性が得られる真空ポンプユニット、及びその起動方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、一対のポンプロータと一体に回転する一対のロータを備えた構成のモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットであって、真空側に配置されたポンプモジュール(以下「ブースターポンプモジュール」という)の吐出口と外気圧側に配置されたポンプモジュール(以下「メインポンプモジュール」という)の吸込口を接続する流路と大気側との間に中抜きチェッキ弁を設け、ポンプ起動時、先ずブースターポンプモジュールを起動させた後、メインポンプモジュールを起動させる制御手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、一対のポンプロータと一体に回転する一対のマグネットロータを備えた構成のDCブラシレスモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットであって、真空側に配置されたポンプモジュール(以下「ブースターポンプモジュール」という)の吐出口と外気圧側に配置されたポンプモジュール(以下「メインポンプモジュール」という)の吸込口を接続する流路と大気側との間に中抜きチェッキ弁を設け、ポンプ起動時、先ずブースターポンプモジュールを起動させた後、メインポンプモジュールを起動させる制御手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、一対のポンプロータと一体に回転する一対のロータを備えた構成のモータ部を有するポンプモジュールを、真空側に配置されるブースターポンプモジュールと、外気圧側に配置されるメインポンプモジュールとを備えた真空ポンプユニットの起動方法であって、先ずブースターポンプモジュールを起動させた後、メインポンプモジュールを起動させ、ブースターポンプモジュールの起動によって生じるブースターポンプモジュールの吐出口とメインポンプモジュールの吸込口を接続する流路を流れる気体を該流路に接続した中抜きチェッキ弁を通して大気に放出することを特徴とする。
また、本発明は、一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、一対のポンプロータと一体に回転する一対のマグネットロータを備えた構成のDCブラシレスモータ部を有するポンプモジュールを、真空側に配置されるブースターポンプモジュールと、外気圧側に配置されるメインポンプモジュールとを備えた真空ポンプユニットの起動方法であって、先ずブースターポンプモジュールを起動させた後、メインポンプモジュールを起動させ、ブースターポンプモジュールの起動によって生じるブースターポンプモジュールの吐出口とメインポンプモジュールの吸込口を接続する流路を流れる気体を該流路に接続した中抜きチェッキ弁を通して大気に放出することを特徴とする。
本発明によれば、先ずブースターポンプモジュールを起動させた後、メインポンプモジュールを起動させ、ブースターポンプモジュールの起動によって生じるブースターポンプモジュールの吐出口とメインポンプモジュールの吸込口を接続する流路に流れる気体を該流路に接続した中抜きチェッキ弁を通して大気に放出するので、先にブースターポンプモジュールを起動しても、メインポンプモジュールが空回転することがないから、起動時に脱調するという恐れがない。よって真空ポンプユニットの起動時の制御の安定性が向上する。
以下、本願発明の実施形態例をドライ真空ポンプユニットを例に説明する。図1乃至図4は、本発明に係るドライ真空ポンプユニットの構成を示す図で、図1は正面図、図2は上面図、図3は左側面図、図4は右側面図である。図示するように、本ドライ真空ポンプユニット1は、放熱板2を備え、該放熱板2の上に電装部品3、ブースターポンプモジュール4、メインポンプモジュール5を実装した構成である。ドライ真空ポンプユニット1は全体が外装カバー6で覆われ、該外装カバー6の上面の所定の位置には、両手で把持して該ドライ真空ポンプユニット1を使用する場所に移動することができるように、2個の取っ手7が取り付けられている。
放熱板2は下方に突出した多数の放熱フィン11が設けられ、底カバー2a上に取付けられその両側に外装カバー6の下辺が取り付けられている。放熱板2と底カバー2aによって冷却用の空気が通る空気流路13が形成されており、上記多数の放熱フィン11は、長手方向を空気流路13を流れる空気の流れに向けて配置されている。電装部品3はブースターポンプモジュール4やメインポンプモジュール5を駆動する駆動部や制御する制御部を構成する整流器やインバータ等の各種電気器や電子部品であり、該電装部品は放熱板2上に実装されている。14はブースターポンプモジュール4やメインポンプモジュール5を放熱板2に取り付けるための取付台であり、ブースターポンプモジュール4は取付台14を介して水平に取り付けられ、メインポンプモジュール5は取付台14を介して垂直に取り付けられている。
図5に示すように、ドライ真空ポンプユニット1の外装カバー6の左外側面には、空気取り込みフード16が取り付けられ、外装カバー6の右外側面にはファンフード17が取り付けられ、外装カバー6の右内側面には冷却ファン18が取り付けられている。冷却ファン18を回転させることにより、空気取り込みフード16の下端の空気取り込み口16aから流入した冷却空気は、矢印Aに示すように、外装カバー6内の空間19を通って流れ、外装カバー6の右内側面に設けた排出口(図示せず)から、ファンフード17内に流れ込み、下端の空気吐出し口17aから外部に排気されるようになっている。
上記のように放熱板2の上方に外装カバー6で形成された空間19に電装部品3、ブースターポンプモジュール4、メインポンプモジュール5を配置することにより、空間の流れる空気流れの上流側に発熱量の少ない電装部品3及びブースターポンプモジュール4を配置し、下流側に発熱量の多いメインポンプモジュール5を配置したことになる。つまり空間19を流れる空気が温度の低い領域から温度の高い領域へと流れる機器の配置構造となる。なお、空気取り込みフード16の内面、ファンフード17の内面には、スポンジ等の吸音材で構成される吸音層16b、17bが設けられており、ドライ真空ポンプユニット1の運転中に発する騒音を外部に発散させないようにしている。
また、冷却ファン18を回転させることにより、空気流路13の左側端部の空気取り込み口13aから流入した冷却空気は、矢印Bに示すように、空気流路13内に位置する放熱板2の放熱フィン11に接触しながら流れ、該空気流路13右端部の空気吐出し口(図示せず)から外装カバー6内の空間19内に流れ込み、メインポンプモジュール5をポンプ部21の側部を通ってファンフード17に流れ込み、その下端の空気吐出し口17aから外部に排気されるようになっている。
図1、図2、図4に示すように、ブースターポンプモジュール4のモータ部20の外壁側面には放熱フィン24aを有する放熱板24が取り付けられ、ポンプ部21の外壁側面には放熱フィン25aを有する放熱板25が取り付けられている。また、メインポンプモジュール5のモータ部20の外壁側面には放熱フィン24aを有する放熱板24が取り付けられ、ポンプ部21の外壁側面には放熱フィン25aを有する放熱板25が取り付けられている。
底カバー2aは剛性を有する鋼板で構成され、上記電装部品3、ブースターポンプモジュール4、メインポンプモジュール5を実装する放熱板2は熱伝導性の良いアルミ合金で構成され、ブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5のポンプ部21のポンプケーシングは熱伝導性の良いアルミ合金で構成され、該ブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5を取り付ける取付台14は熱伝導性の良いアルミ合金で構成されている。さらに放熱板24、放熱板25も熱伝導性の良いアルミ又はアルミ合金で構成されている。もしくは放熱板2、取付台14とポンプモジュール4、5は一体材料で構成してもよい。この場合接触部の熱抵抗が小さくなり、モジュール部からの放熱板への熱伝導が良好であり好適である。
上記構成のドライ真空ポンプユニット1において、ポンプ運転中、電装部品3、ブースターポンプモジュール4、及びメインポンプモジュール5で発生した熱は、図5の矢印Cに示すように移動し、放熱板2に伝熱される。ここで冷却ファン18により空気流路13の空気取り込み口13aから流入した冷却空気は、矢印Bに示すように流れ、該空気流路13内に露出する放熱板2の放熱フィン11に接触しながら流れ、放熱板2に集った熱を効率良く放熱する。更にメインポンプモジュール5のポンプ部21の外側壁面に取り付けた放熱板25の放熱フィン25aに接触し、該ポンプ部21を冷却する。また、空気取り込みフード16の下端の空気取り込み口16aから流入した冷却空気は、矢印Aに示すように外装カバー6内の空間19に流れ込み、ブースターポンプモジュール4のモータ部20及びポンプ部21の外壁側面に取り付けた放熱板24、25の放熱フィン24a、25aに接触し、モータ部20及びポンプ部21を冷却し、更にメインポンプモジュール5のモータ部20の外側壁面に取り付けた放熱板24の放熱フィン24aに接触し、該モータ部20を冷却する。上記矢印A、Bに示す空気の流れは、その後ファンフード17内に流れこみ、下端の空気吐出し口17aから外部に排気されるようになっている。
上記のように一台の冷却ファン18の運転により、空気流路13内を流れる空気の流れ、外装カバー6内の空間19を流れる空気の流れが形成される。この空気の流れにおいて、上流側に配置されている電装部品3、ブースターポンプモジュール4のモータ部20やポンプ部21の発熱量は、下流側に配置されているメインポンプモジュール5のモータ部20やポンプ部21の発熱量より少ない。従って、上記空気の流れの上流側の温度上昇は下流側のそれより低いから、冷却空気は温度上昇の低い部分(温度の低い部分)から、温度上昇の高い部分(温度の高い部分)に流れることになり、冷却効率が向上する。即ち、冷却空気流れの上流側に温度上昇の低い電装部品3やブースターポンプモジュール4のモータ部20及びポンプ部21を配置し、下流側にドライ真空ポンプユニット1の空気の圧縮比が一番大きく、発生する熱量も多いメインポンプモジュール5のモータ部20やポンプ部21を配置することにより、効率の良い冷却効果が得られる配置構造となる。
図6に示すように、ブースターポンプモジュール4のポンプ部21の排気口21bとメインポンプモジュール5のポンプ部21の吸気口21aは、取付台14に形成された連絡通路14aで連通されている。ブースターポンプモジュール4のポンプ部21の吸気口21aには吸気管22が接続され(図1乃至図4参照)、メインポンプモジュール5のポンプ部21の排気口21bはチェッキ弁(圧力開放弁)V1を介して取付台14に形成された圧力開放通路14bに接続されている。圧力開放通路14bには排気管23が接続されている。
また、取付台14には連絡通路14aと圧力開放通路14bを接続する流路14cが形成され、該流路14cに中抜き用チェッキ弁V2が設けられている。つまり、図7に示すように、ブースターポンプモジュール4のポンプ部21の排気口21bとメインポンプモジュール5のポンプ部21の吸気口21aを接続する連絡通路14aと圧力開放通路14bの間に中抜き用チェッキ弁V2が設けられている。ブースターポンプモジュール4のモータ部20とメインポンプモジュール5のモータ部20には、制御部26のモータドライバ27からDCパルス電流が供給され駆動するようになっている。また、冷却ファン18も制御部26により制御されるようになっている。
制御部26は、ドライ真空ポンプユニット1の起動時、真空側に配置されるブースターポンプモジュール4のモータ部20にモータドライバ27からDCパルス電流を供給して、先ずブースターポンプモジュール4を起動し、その後(数秒後)メインポンプモジュール5のモータ部20にDCパルス電流を供給して、メインポンプモジュール5を起動する。そしてブースターポンプモジュール4の起動によって生じる気体の流れは、中抜き用チェッキ弁V2を通して圧力開放通路14bに流す。これにより、先にブースターポンプモジュール4を起動しても、生じる気体の流れにより、メインポンプモジュール5が空回転することがないから、脱調が発生するおそれがなくなる。即ち、従来のようにメインポンプモジュール5を先に起動することによって生じるブースターポンプモジュール5の空回転がないから、脱調が発生することがない。なお、図7において、28はサーキットプロテクタ(回路保護部)である。
また、上記構成のドライ真空ポンプユニット1において、ポンプ待機状態で、冷却ファン18を運転状態とすると、運転騒音を発すると同時に、電力を消費する。また、ドライ真空ポンプユニット1を停止すると同時に冷却ファン18を停止するとドライ真空ポンプユニット1内に多くの熱が残ることになる。そこで制御部26にタイマを設け、ドライ真空ポンプユニット1の起動と同時に冷却ファン18を起動するが、ポンプ停止時に前記タイマを作動し、所定の設定時間後(例えば、15分〜30分後)に、つまりポンプモジュール(特にメインポンプモジュール5)内の熱が十分に放熱され、温度が低下してから、冷却ファン18を停止するようにする。これによりドライ真空ポンプユニット1の停止時の冷却ファン運転によるファン運転騒音と電力消費を低減できる。また、タイマによる設定時間経過後に冷却ファン18を停止するのに限定されるものではなく、ドライ真空ポンプユニット1の各部の温度を検出するセンサ、例えば温度上昇の高いメインポンプモジュール5内の温度を検出する温度センサを設け、該センサの出力を制御部26に出力し、制御部26は温度が所定温度以下になったら冷却ファン18を停止するようにしてもよい。
次に、図8及び図9は上記ドライ真空ポンプユニット1のブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5の構成を示す図である。ブースターポンプモジュール4とメインポンプモジュール5はその構成が同一であるので、ここではメインポンプモジュール5について説明する。なお、ブースターポンプモジュール4及びメインポンプモジュール5は同一の構成である必要はない。メインポンプモジュール5は、モータ部20とポンプ部21で構成され、モータ部20はマグネットカップリング型のDCブラシレス樹脂モールドモータであり、ポンプ部21は一対のスクリューロータを同期反転させ、気体を移送する真空ポンプであり、容積移送式の2軸スクリューポンプである。
ポンプケーシング30の内部に、2本の回転軸31a、31bが平行に配置され、それぞれの回転軸31a、31bは軸受33により支持されている。回転軸31aには右ねじのスクリューロータ(ポンプロータ)32aが、また回転軸31bには左ねじのスクリューロータ(ポンプロータ)32bが夫々固定されている。スクリューロータ32a、32bとケーシング30の内面との間には流体流路36が形成され、この流体流路36の上流側端部に吸気口21aが設けられ、流体流路36の下流側端部に排気口21bが設けられている。スクリューロータ32a、32bは僅かなクリアランスCを保って非接触で相互に反転し、吸気口21aから吸込まれた気体を排気口21bに移送するようになっている。なお、スクリューロータ32a、32bとして、ピッチ線上でのみ接触する軸断面形状を有する一対のスクリューロータを用いてもよい。
上記回転軸31a、31bはSUS材で構成し、スクリューロータ32a、32bはアルミ合金で構成し、回転軸31a、31bのそれぞれにスクリューロータ32a、32bを焼嵌めして一対のスクリューロータを構成している。スクリューロータ32a、32bの表面にはニッケルメッキ処理を施している。また、スクリューロータ32a、32bは樹脂材で回転軸31a、31bの外周に形成するようにしてもよい。これによりスクリューロータ32a、32bを安価に製作できる。
回転軸31a、31bの吸気側の軸端には、それぞれ同一の構成を有する一対のマグネットロータ34、34が配置され、ブラシレスDCモータとして回転軸31a、31bを反転駆動すると共に、マグネットカップリングにより回転軸31a、31bの同期反転を確保している。図9に示すように、各マグネットロータ34は、磁性材のヨーク34bの外周にリング形状のマグネット34aを周設している。本実施形態例では、マグネットロータ34の外周上には着磁したマグネット34aが周設され、互いのマグネットロータ34、34の異磁極が引き合うように対向して、且つクリアランスCを保って配置されている。なお、マグネットロータ34の極数は4、6、8、・・・などの偶数であり、ここでは6としている。
スクリューロータ32a、32bは、マグネットロータ34、34のマグネットカップリング作用により、同期して反対方向に回転する。これにより、タイミングギヤが無くても安定した2軸同期反転が可能なスクリューポンプが構成される。また、タイミングギヤが無いことは、潤滑油が不要であると共に、2軸の安全な同期機構を含めた非接触回転が可能であり、スクリューポンプの高速運転が可能なことを意味している。即ち、タイミングギヤを用いた接触式の同期機構では、6000〜7000min−1の回転速度であるが6極のマグネットロータ34、34のマグネットカップリングを用いる10000〜30000min−1の同期反転高速回転が安定してできるようになり、これにより真空ポンプを小型にしても、高い到達真空度等の排気性能の向上が達成できる。なお、本実施形態では、ブースターポンプモジュール4の定格回転速度を21000min−1(rpm)、メインポンプモジュール5の定格回転速度を13000min−1(rpm)又は15000min−1(rpm)としている。
各マグネットロータ34の外周面の一部に近接して、鉄心37aと巻線37bから成る三相(U,V,W)のモータステータ37が配置されている。三相のモータステータ37はマグネットロータ34どうしがマグネットカップリングする側とは回転軸に関して反対側に配置されている。これにより、マグネットロータ34どうしが互いに吸引するマグネットカップリング力をマグネットロータ34とモータステータ鉄心37aに作用する吸引力でキャンセルすることができる。また、三相のモータステータ磁極は、マグネットロータ34の磁極数6極に対応し、図8の矢印D、Eに示すようにマグネットロータ34の4極に磁界をかけるようにしている。三相の巻線37bに所要の矩形パルス状波形の直流電流を供給することで、任意の回転数で2本の回転軸31a、31bを同期反転駆動することができる。
上記のようにドライ真空ポンプユニット1は、一台の冷却ファン18で冷却しているので、冷却機構が簡単にでき、その分軽量化が図れる。また、冷却水を使用しないため冷却水設備を必要とすることなく、駆動電源(AC100V、AC200V)があるところであれば、ハンドリングで移動し、設置し、電源を接続するだけで、運転することができる。また、タイミングギヤを使用しないことから、潤滑油を使用することなく、潤滑油の潤滑系、潤滑油の交換も必要なく、更に軽量化(20kg以下)が図れる。
なお、上記実施形態では、スクリュー型真空ポンプを用いる例を説明したが、ルーツ型等の他形式の容積移送型2軸真空ポンプにも、本発明は適用できる。
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
本発明に係るドライ真空ポンプユニットの構成例を示す正面図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットの構成例を示す上面図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットの構成例を示す左側面図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットの構成例を示す右側面図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットの冷却空気の流れ及び伝熱状態を説明するための模式図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットのブースターポンプモジュールとメインポンプモジュールの配置状態を示す摸式図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットの運転時の排気気体の流れを示す図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットのメインポンプモジュールの構成例を示す断面図である。 本発明に係るドライ真空ポンプユニットのメインポンプモジュールのモータ部の構成例を示す断面図である。
1 ドライ真空ポンプユニット
2 放熱板
2a 底カバー
3 電装部品
4 ブースターポンプモジュール
5 メインポンプモジュール
6 外装カバー
7 取っ手
11 放熱フィン
13 空気流路
14 取付台
16 空気取り込みフード
17 ファンフード
18 冷却ファン
19 空間
20 モータ部
21 ポンプ部
22 吸気管
23 排気管
24 放熱板
25 放熱板
26 制御部
27 モータドライバ
28 サーキットプロテクタ
30 ポンプケーシング
31a 回転軸
31b 回転軸
32a スクリューロータ(ポンプロータ)
32b スクリューロータ(ポンプロータ)
33 軸受
34 マグネットロータ
34a マグネット
34b ヨーク
V1 チェッキ弁(圧力開放弁)
V2 中抜き用チェッキ弁

Claims (4)

  1. 一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、前記一対のポンプロータと一体に回転する一対のロータを備えた構成のモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットであって、
    前記真空側のポンプモジュールの吐出口と前記外気圧側のポンプモジュールの吸込口を接続する流路と大気側との間に中抜きチェッキ弁を設け、
    ポンプ起動時、先ず前記真空側のポンプモジュールを起動させた後、前記外気圧側のポンプモジュールを起動させる制御手段を設けたことを特徴とする真空ポンプユニット。
  2. 一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、前記一対のポンプロータと一体に回転する一対のマグネットロータを備えた構成のDCブラシレスモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットであって、
    前記真空側のポンプモジュールの吐出口と前記外気圧側のポンプモジュールの吸込口を接続する流路と大気側との間に中抜きチェッキ弁を設け、
    ポンプ起動時、先ず前記真空側のポンプモジュールを起動させた後、前記外気圧側のポンプモジュールを起動させる制御手段を設けたことを特徴とする真空ポンプユニット。
  3. 一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、前記一対のポンプロータと一体に回転する一対のロータを備えた構成のモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットの起動方法であって、
    先ず前記真空側のポンプモジュールを起動させた後、前記外気圧側のポンプモジュールを起動させ、
    前記真空側のポンプモジュールの起動によって生じる前記真空側のポンプモジュールの吐出口と前記外気圧側のポンプモジュールの吸込口を接続する流路に流れる気体を該流路に接続した中抜きチェッキ弁を通して大気に放出することを特徴とする真空ポンプユニットの起動方法。
  4. 一対のポンプロータと吸気口及び排気口を有するポンプケーシングとを備えた構成のポンプ部と、前記一対のポンプロータと一体に回転する一対のマグネットロータを備えた構成のDCブラシレスモータ部を有するポンプモジュールを、真空側と外気圧側に配置した構成の真空ポンプユニットの起動方法であって、
    先ず前記真空側のポンプモジュールを起動させた後、前記外気圧側のポンプモジュールを起動させ、
    前記真空側のポンプモジュールの起動によって生じる前記真空側のポンプモジュールの吐出口と前記外気圧側のポンプモジュールの吸込口を接続する流路に流れる気体を該流路に接続した中抜きチェッキ弁を通して大気に放出することを特徴とする真空ポンプユニットの起動方法。
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