JP2017097219A - レンズシート、撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズシート11は、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部111と、光透過部と交互に配列される光吸収部113とを備え、光透過部は、単位レンズ形状の頂点において、20℃の温度下で、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)により、対面角が90°の四角錘型圧子を用いて、押し込み荷重を変化させながら荷重時間10秒間で押し込み、押し込み深さが1μmに到達した後5秒間保持してから、60秒間かけて除荷する条件で測定される押し込み弾性率(EIT)が、150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が、30%以上100%以下である。
【選択図】図2
Description
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
その後の検討において、上記撮像装置や撮像モジュールの組み立て工程や、組み立て後の輸送時や使用時等において、外部からの衝撃によりレンズシート同士が擦れたり、他部材と擦れたりする等して、単位レンズ形状の表面に傷がつく場合があることがわかった。
また、撮像装置や撮像モジュールの組み立て工程や、組み立て後の輸送時や使用時等において、単位レンズ形状が外圧等により隣接するレンズシート等に押し付けられ、潰れて隣接するレンズシートに密着する等により光学密着が生じ、被写体からの光が設計上の光路とは異なる方向へ出射し、画質が低下する場合があることがわかった。
請求項1の発明は、一方の面が光学形状を有する光学形状面であるレンズシートであって、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記光学形状面側に凸状の単位レンズ形状(112)を有する光透過部(111)と、前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記レンズシートの厚み方向に沿って前記単位レンズ形状側から反対側である裏面(11b)側へ延びる光吸収部(113)と、を備え、前記光透過部は、前記単位レンズ形状の頂点において、20℃の温度下で、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)により、対面角が90°の四角錘型圧子を用いて、押し込み荷重を変化させながら荷重時間10秒間で押し込み、押し込み深さが1μmに到達した後5秒間保持してから、60秒間かけて除荷する条件で測定される押し込み弾性率(EIT)が、150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が、30%以上100%以下であること、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズシートにおいて、前記単位レンズ形状(112)は、前記光透過部(111)の配列方向に平行であって該レンズシートの厚み方向に平行な断面における断面形状が円の一部形状であり、その曲率半径が10μm以上80μm以下であること、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、前記光透過部(111)の屈折率N1と前記光吸収部(113)の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、前記光透過部(111)と前記光吸収部(113)との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項5の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)を備えるレンズシートユニット(10)と、を備える撮像モジュールであって、前記レンズシートユニットは、前記レンズシートの前記撮像素子部側に、一方の面が光学形状を有する第2の光学形状面(12a)である第2のレンズシート(12)を備え、前記第2のレンズシートは、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2の光学形状面側に凸状の第2の単位レンズ形状(122)を有する第2の光透過部(121)と、前記第2の光透過部と交互に配列され、前記第2の光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2のレンズシートの厚み方向に沿って、前記の第2単位レンズ形状側から反対側である裏面(12b)側へ延びる第2の光吸収部(123)と、を備え、光軸(O)方向から見て、前記光透過部の配列方向(R11)と、前記第2の光透過部の配列方向(R12)とは、角度αをなして交差し、前記レンズシートと前記第2のレンズシートとが積層されていること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、前記第2のレンズシート(12)の前記第2の光透過部(121)は、前記第2の単位レンズ形状(122)の頂点において、20℃の温度下で、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)により、対面角が90°の四角錘型圧子を用いて、押し込み荷重を変化させながら荷重時間10秒間で押し込み、押し込み深さが1μmに到達した後5秒間保持してから、60秒間かけて除荷する条件で測定される押し込み弾性率(EIT)が、150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が、30%以上100%以下であること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載の撮像モジュールにおいて、前記第2の単位レンズ形状(122)は、前記第2の光透過部(121)の配列方向に平行であって前記第2のレンズシートの厚み方向に平行な断面における断面形状が円の一部形状であり、その曲率半径が10μm以上80μm以下であること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項8の発明は、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項9の発明は、請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、前記各光透過部(111,121)の屈折率N1と前記各光吸収部(113,123)の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項10の発明は、請求項5から請求項9までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、前記各光透過部(111,121)と前記各光吸収部(113,123)との界面が、各レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項11の発明は、請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載の撮像モジュール(20)を備える撮像装置(1)である。
請求項12の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)と、を備える撮像モジュール(20)である。
請求項13の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)と、を備える撮像装置(1)である。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、本実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、適宜、XYZ直交座標系を設けて示している。この座標系では、撮影者が、撮像装置を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、携帯端末本体の筐体に相当する。このカメラ1は、さらに、不図示の制御部、記憶部等を備えている。
また、カメラ1は、筐体30をカメラ本体の筐体として備える、一般的な撮像装置としてもよい。この場合、カメラ1は、制御部、記憶部等に加えて、不図示のシャッタ部、シャッタ駆動部等を備える。
開口部31は、被写体側からの光を、カメラ1の撮像モジュール20へ取り込む開口である。この開口部31には、撮像モジュール20への埃やゴミ等の異物の侵入を防止する等の観点から、開口部31を覆うように、透光性を有する保護シート32が配置されている。この保護シート32は、ガラス製としてもよいし、樹脂製としてもよい。
レンズシートユニット10及びイメージセンサ21は、矩形状の平板状の部材であり、その幾何学的中心に光軸Oが直交している。
図4は、本実施形態の第1レンズシート11及び第2レンズシート12を説明する図である。図4(a)では、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示し、図4(b)では、図4(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。また、図4では、第1レンズシート11の符号を示し、括弧内に対応する第2レンズシート12の符号を示している。
レンズシートユニット10は、第1レンズシート11、第2レンズシート12が一体に積層されて不図示の支持部材により支持され、イメージセンサ21に対する上下方向(Y方向)及び左右方向(X方向)、光軸O方向(Z方向)での位置が位置決めされている。
本実施形態の第1レンズシート11では、光透過部111は、その配列方向R11が上下方向(Y方向)に平行であり、その長手方向(稜線方向)が左右方向(X方向)に平行となっている。
光透過部111は、光を透過する部分であり、イメージセンサ21側(−Z側)に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。第1レンズシート11のイメージセンサ21側(−Z側)の面は、単位レンズ形状112が複数配列されたレンズ形状面11aとなっている。また、第1レンズシート11の被写体側(+Z側)の面(レンズ形状面11aとは反対側の面)である裏面11bは、略平面状となっている。
また、単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
光透過部111の裏面11b側(+Z側)には、光透過部111がシート面に平行な方向に連続しているランド部114が形成されている。ランド部114は、その厚みができる限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さが0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光や後述のクロストーク等を抑制し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
また、光透過部111は、その押し込み弾性率(EIT)が150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が30%以上100%以下であることが、単位レンズ形状112表面の傷つきを抑制したり、他の部材と光学密着を抑制したりする観点から好ましい。この光透過部111の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)に関する詳細に関しては、後述する。
このような光透過部111は、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法等により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラスにより形成されてもよい。
光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
また、光吸収部113は、その押し込み弾性率(EIT)が、光透過部111の押し込み弾性率(EIT)の±30%の範囲内の値であり、その復元仕事率(ηIT)が、光透過部111の復元仕事率の(ηIT)の±30%の範囲内の値であることが、第1レンズシート11の反り(カール)を抑制する観点から好ましい。光吸収部113の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)に関する詳細は、後述する。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材として顔料や染料で着色された樹脂粒子を用いる場合には、その樹脂粒子は、アクリル系樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂等により形成されたものが用いられる。
また、光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
このような光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
また、例えば、光吸収部113を形成する材料は、光透過部111間の溝部分に、真空充填により充填してもよいし、毛細管現象を利用して充填してもよい。
光透過部111の押し込み弾性率(EIT)がこの範囲よりも低いと、撮像モジュール20及びカメラ1の組み立て工程等において、第1レンズシート11に第2レンズシート12等の他部材を積層した場合に、単位レンズ形状112が外力等により他部材に押し付けられて潰れ、他部材との接触面積が設計以上に増大した状態で密着する光学密着が生じる可能性がある。光学密着は、設計外の好ましくない方向へ光が進む光経路変化を生じさせ、画質の劣化を招き、好ましくない。
光透過部111の押し込み弾性率(EIT)がこの範囲よりも高いと、光吸収部113を光透過部111間に形成するために光吸収部113を形成する材料を塗布してワイピング等を行った場合に、光透過部111の変形量が小さく、十分に光吸収部113を形成する材料を掻きとれず、単位レンズ形状112の裾部分に光吸収部113を形成する材料が残り、好ましくない。
従って、光透過部111の押し込み弾性率(EIT)は、上記範囲を満たすことが好ましい。
光透過部111の復元仕事率(ηIT)が30%未満である場合、撮像モジュール20の組み立て工程時等に第2レンズシート12等を積層すると、単位レンズ形状112が潰れたままその形状が戻らず、光学密着が生じやすい。また、光透過部111の復元仕事率(ηIT)が30%未満である場合、擦れ等による光透過部111の単位レンズ形状112の表面の傷等が生じやすい。
なお、復元仕事率(ηIT)の上限は、100%であり、光透過部111の復元仕事率(ηIT)は、100%となることが理想的である。
本実施形態の光透過部111の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)は、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)による測定装置、例えば、ナノインデンテーションテスター(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製、PICODENTOR HM500)を用いて、以下の測定条件により測定される。
測定点:単位レンズ形状112の頂点t3
圧子:対面角90°の四角錘型
最大押し込み深さ:1μm
荷重時間:10秒
保持時間:5秒
除荷時間:60秒
測定環境:20℃
なお、押込み荷重は、荷重時間10秒後に押込み深さが1μmに到達するように調節する。
復元仕事率(ηIT)は、下記の式(1)により求められる値である。
復元仕事率(ηIT)(%)={弾性変形仕事量(Welast)/全変形仕事量(Wtotal)}×100 ・・・式(1)
ここで、hは押込み深さであり、F1(h)は荷重時の押込み深さ(h)の時の荷重であり、F2(h)は除荷時の押込み深さ(h)の時の荷重であり、heは60秒間かけて除荷した後の押込み深さであり、hmaxは最大押込み深さである。ここでの最大押込み深さhmaxは1μmである。
弾性変形仕事量(Welast)は、除荷時における、押し込み深さhがhe〜hmaxまでの押し込み深さhとそのときの荷重(F2(h))の積の合計である。
また、復元仕事率(ηIT)は、より具体的には、下記式(2)により求められる。
この復元仕事率(ηIT)及び押し込み弾性率(EIT)は、光透過部111の単位レンズ形状112の稜線から任意に選択された5点において測定された測定値の平均値とする。
光吸収部113の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)が、上記範囲外となる、即ち、光透過部111の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)と光吸収部113の押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)との差が大きくなると、第1レンズシート11に反り(カール)が生じやすくなり、第1レンズシート11の平面性が低下し、所望する方向へ光を集光できない。従って、光吸収部113と光透過部111との押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)は、近しいこと好ましく、上記範囲内であることが好ましい。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜80μmとすることが、光学密着を抑制する観点から好ましい。曲率半径Rが、この範囲よりも小さいと、単位レンズ形状112として所望するレンズ効果が得られない。また、曲率半径Rが、この範囲よりも大きいと、単位レンズ形状112が平坦な形状に近くなり、光学密着が生じやすくなる。従って、単位レンズ形状112の曲率半径Rは、上記範囲とすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ高さH1は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光吸収部113のレンズ形状面11a側の面から単位レンズ形状112の最も凸となる点(頂点)t3までの寸法であり、約2〜40μmとすることが好ましい。
この第1レンズシート11の厚みTは、光透過部111の厚さに等しく、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における裏面11bから点t3までの寸法であり、約30〜240μmである。
光吸収部113の高さH2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法であり、約20〜230μmとすることが好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向(Z方向)となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と略同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有している。しかし、第2レンズシート12では、凸状の単位レンズ形状122が形成されるレンズ形状面12aの位置、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、第1レンズシート11とは異なる。
また、図3(b)に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向R12が左右方向(X方向)に平行であり、長手方向(稜線方向)が上下方向(Y方向)に平行である。
第2レンズシート12の裏面12bは、イメージセンサ21との光学密着を抑制する観点から、その表面に微細凹凸が形成されたマット面とすることが好ましい。また、裏面12bをこのようなマット面とすることにより、イメージセンサ21の受光面の傷つきを防止する効果も得られる。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成される。
このような接合層は、光透過性を有する粘着剤又は接着剤により形成されている。
また、この接合層は、その屈折率が、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差ができる限り小さいことが好ましい。
また、イメージセンサ21の駆動時の発熱によるレンズシートユニット10の反り等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
また、この接合層は、その屈折率が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が適用可能である。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、単位レンズ形状112,122がその頂点(点t3)で互いに接した状態で配置されており、第1レンズシート11の単位レンズ形状112と第2レンズシート12の単位レンズ形状122との間の隙間部分には、空気が位置する形態となっている。なお、光軸O方向において、単位レンズ形状112の頂点と単位レンズ形状122の頂点とは、わずかに隙間を有し、接していない形態としてもよい。
従って、レンズシートユニット10は、光学的には、マイクロレンズが2次元方向(X方向及びY方向)に配置され、マイクロレンズ間に遮光壁が形成された状態に略等しい。
イメージセンサ21を構成する複数の画素は、イメージセンサ21の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ21の画素は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されているものとする。
このようなイメージセンサ21としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態のイメージセンサ21は、CMOSが用いられている。
そして、第1レンズシート11の単位レンズ形状112により、その配列方向であるY方向(上下方向)において集光され、また、第2レンズシート12の単位レンズ形状122により、その配列方向であるX方向(左右方向)において集光される。また、光透過部111,121内を光軸O方向に対して大きな角度をなす方向へ進む光の少なくとも一部は、光吸収部113,123に入射して吸収される。そして、レンズシートユニット10を透過した光は、イメージセンサ21の受光面で焦点を結ぶ。
そして、イメージセンサ21の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される(後述の図7(a)参照)。
撮影時に撮像モジュール20により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶される。そして、制御部により各種演算等が行われることにより、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して、イメージセンサ21の所定の領域内に位置する複数個の画素211が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図7(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域等に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。
これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの各単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
また、本実施形態によれば、レンズシート11,12内に光透過部111,121(単位レンズ形状112,122)に対応して光吸収部113,123が一体に形成されているので、従来のライトフィールドカメラで必要であった、隔壁シートとマイクロレンズアレイとの高精度の位置合わせが不要となる。従って、マイクロレンズアレイと隔壁シートとの位置合わせ精度ずれによる歩留りの低下を抑制できる。また、位置合わせが不要となるので、ハンドリングが容易となり、製造が容易に行え、生産コスト低減できる。
また、本実施形態によれば、従来のライトフィールドカメラで必要であった、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が不要となり、小型化が困難であったライトフィールドカメラの薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
ここで、本実施形態の第1レンズシート11及び第2レンズシート12の実施例に相当する実施例1〜5のレンズシートと、押し込み弾性率(EIT),復元仕事率(ηIT)、単位レンズ形状の曲率半径Rの少なくともいずれか1つが好ましい範囲を満たさない比較例1〜4のレンズシートを試料Sとして用意し、その耐摺動性や光学密着の発生状況を調べた。
実施例1〜5のレンズシートと比較例1〜4のレンズシートは、光透過部の単位レンズ形状の曲率半径R、押し込み弾性率(EIT)、復元仕事率(ηIT)が異なる以外は、略同様の形態である。
実施例2のレンズシートは、単位レンズ形状の曲率半径Rが10μm、押し込み弾性率(EIT)が3500MPa、復元仕事率(ηIT)が30%である。この実施例2のレンズシートの光透過部は、芳香族ウレタンアクリレート70質量部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA)30質量部と、光開始剤イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1質量部との混合物のUV硬化物により形成されている。
実施例4のレンズシートは、単位レンズ形状の曲率半径Rが40μm、押し込み弾性率(EIT)が750MPa、復元仕事率(ηIT)が53%である。この実施例4のレンズシートの光透過部は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG)30質量部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA)70質量部と、光開始剤イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1質量部との混合物のUV硬化物により形成されている。
比較例2のレンズシートは、単位レンズ形状の曲率半径Rが10μm、押し込み弾性率(EIT)が63MPa、復元仕事率(ηIT)が29%である。この比較例2のレンズシートの光透過部は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG)85質量部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA)15質量部と、光開始剤イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1質量部との混合物のUV硬化物により形成されている。
比較例4のレンズシートは、単位レンズ形状の曲率半径Rが120μm、押し込み弾性率(EIT)が750MPa、復元仕事率(ηIT)が53%である。この比較例4のレンズシートの光透過部は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG)30質量部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA)70質量部と、光開始剤イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1質量部との混合物のUV硬化物により形成されている。
各実施例及び各比較例のレンズシートの単位レンズ形状の表面の耐摺動性は、学振摩耗試験機60を用いて擦り合わせ試験を行い、評価した。
試料Sである実施例1〜5及び比較例1〜4のレンズシートを試料Sとして、単位レンズ形状が形成されたレンズ形状面側が上向きとなるように学振摩耗試験機60の試験台61の上に置き、片面がマット面であるマットフィルム62(鉛筆硬度:2H、光拡散フィラー:不定形シリカ 平均粒径1.5μm、塗工厚み:2.5μm、ヘイズ:7%)のマット面を、試料Sのレンズ形状面側に向けて配置し、さらにその上に荷重63(荷重面積20mmφ、500g)を配置し、試験台61を水平方向に移動させ(速度33mm/秒、距離50mm×3回(1.5往復))、試料Sとマットフィルム62とを擦り合わせる擦り合わせ試験を行った。
光学密着の発生の有無を評価する装置70は、支持台71の上に、20×20mm四方、高さ10mmにカットした消しゴム72(株式会社トンボ鉛筆 MONO消しゴム)を配置し、その上に、エッジライト型の面光源装置(消しゴム72側から、白反射シート73、導光板74、導光板74側面に複数のLED光源75)、試料S(実施例1〜5及び比較例1〜4のレンズシート)、光拡散フィルム76(株式会社きもと製 ライトアップTM SP6F ヘイズ73%)、液晶パネル77(TN液晶、10.6インチ、WXGA)をこの順に積層して配置した。液晶パネル77の画面の法線方向上側から見て、これらの幾何学的中心は、一致している。そして、液晶パネル77上に、カメラ組み立て時にレンズシートにかかる荷重を想定し、消しゴム72上に均等に荷重300gが掛かるようにおもり78(78a,78b)を配置した。
従って、液晶パネル77の画面において、輝度ムラが観察された場合、試料S(実施例及び比較例の各レンズシート)と導光板74との間で光学密着が生じているとして不可(表1において×と表示)とし、輝度ムラが多少観察されているが大きな表示不良ではない場合、光学密着は生じているが使用可能な範囲内であるとして可(表1において○と表示)とし、輝度ムラが観察されない場合、光学密着は生じていないとして良(表1において◎と表示)とした。
表1に示すように、押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)が好ましい範囲を満たしていない比較例1,2のレンズシートは、耐摺動性及び光学密着の評価が不可であった。また、復元仕事率(ηIT)が好ましい範囲を満たしていない比較例3のレンズシートは、耐摺動性が不可であったが、光学密着に関しては良好であった。また、押し込み弾性率(EIT)及び復元仕事率(ηIT)は好ましい範囲を満たしているが、単位レンズ形状の曲率半径Rが好ましい範囲を満たしていない比較例4のレンズシートは、耐摺動性は良好であったが、使用可能ではあるが弱い光学密着が発生した。
本実施形態によれば、光透過部111,121の押し込み弾性率(EIT)が150〜3500MPaであるので、外力による単位レンズ形状112,122の潰れ等の変形を低減し、光学密着を効果的に抑制できる。
また、本実施形態によれば、光透過部111,121の復元仕事率(ηIT)が30%以上100%以下であるので、外部からの衝撃等による単位レンズ形状112,122表面の擦れ傷等を大幅に抑制でき、かつ、光学密着を効果的に抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、単位レンズ形状112,122の曲率半径Rが約10〜80μmであるので、単位レンズ形状が平坦状ではなく十分な凸形状となり、光学密着を低減できる。
以下、レンズシートユニット10の他の実施形態について説明する。なお、前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
<各レンズシートのレンズ形状面11a,12aの向きについて>
図10は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12のレンズ形状面11a,12aの向きを説明する図である。
なお、図10において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、理解を容易にするために、Z方向(光軸O方向)において離間している形態を示しているが、実際には、一体に積層されている、もしくは、近接して配置されているものとする。
図10に示すように、レンズシートユニット10の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ21側(−Z側)であるかは、適宜選択できる。
また、図10(b)に示すように、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aがいずれもイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
さらに、図10(c)に示すように、第1レンズシート11は、そのレンズ形状面11aが被写体側(+Z側)となるように配置され、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面12aがイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
また、レンズシートユニット10が図10(b),(c)に示す形態である場合にも、第2レンズシート12の単位レンズ形状122とイメージセンサ21の受光面との擦れによる単位レンズ形状122表面の傷つきを抑制し、単位レンズ形状122とイメージセンサ21の受光面との光学密着を抑制する効果を奏する。
また、図10(c)に示す形態の場合、光学密着を抑制する観点から、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間に、不図示の接合層を設けて、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを一体に接合してもよい。この形態の場合、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを接合する接合層は、その接合層と各レンズシート11,12の裏面11b,12bとの界面での光の反射を防ぐ観点から、その屈折率が、光透過部111,121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差ができる限り小さいものが好ましい。
上述のような形態のレンズシートユニット10を使用した場合にも、良好な画質で撮像することができる。
レンズシートユニット10は、第1レンズシート11の光透過部111が左右方向(X方向)に配列され、第2レンズシート12の光透過部121が上下方向(Y方向)に配列される形態としてもよい。
また、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R11と、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R12とがなす角度αは、90°±10°の範囲、即ち、80°〜100°の範囲内であれば、レンズシートユニット10として所望される光学的機能は維持される。従って、角度αは、90°に限定されず、80°〜100°の範囲内としてもよい。
前述の図3及び図8(a)に示すように、第2レンズシート12のイメージセンサ21側(−Z側)の面が、単位レンズ形状122が形成されていない裏面12bであり、第2レンズシート12とイメージセンサ21とを接合層で接合しない場合、イメージセンサ21の受光面の傷つきを防止したり、イメージセンサ21と第2レンズシート12との光学密着を防止したりする観点から、裏面12bを微細凹凸形状が形成されたマット面とすることが好ましい。
また、第2レンズシート12とイメージセンサ21との間にスペーサを配置する等して、イメージセンサ21と第2レンズシート12との光学密着やイメージセンサ21の受光面の傷付き等を防止してもよい。
図11は、レンズシートユニット10の各光透過部111,121の配列方向R11,R12とイメージセンサ21の画素の配列方向G1,G2との関係を示す図である。
実施形態では、図11(a)に示すように、イメージセンサ21の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度β、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γは、いずれも0°である。
このような形態とすることにより、イメージセンサ21とレンズシートユニット10(第1レンズシート11及び第2レンズシート12)との位置合わせが容易となり、製造作業の簡略化や作業時間の短縮、歩留りの向上等を図ることができる。
なお、図11(b)では、画素の配列方向G1,G2は、それぞれY方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R11,R12がY方向及びX方向に平行であり、画素の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、画素の配列方向G1,G2及び光透過部111,121の配列方向R11,R12が、それぞれ角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)レンズシートユニット10は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12に加えて、他の光学シート等を備えていてもよい。
例えば、第1レンズシート11よりも被写体側(+Z側)に、赤外線、特に、波長が700〜1100nmの領域である近赤外線を遮蔽し、その以外の波長域の光を透過する機能を有する赤外線遮蔽シートを備えていてもよい。
赤外線遮蔽シートは、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽するシートとしてもよいし、所定の波長域の赤外線を反射することにより遮蔽するシートとしてもよい。
なお、この赤外線遮蔽シートは、第1レンズシート11と一体に接合された形態としてもよい。このような形態とすることにより、レンズシートユニット10、撮像モジュール20、カメラ1の組み立て作業を容易とすることができる。
また、イメージセンサ21の発熱による第1レンズシート11及び第2レンズシート12の反り等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有していてもよい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤を用いて形成することが好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が、光透過部111及び光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が好適である。
第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、クロストーク等を抑制する観点から、光吸収部113,123の裏面側端部から裏面までの厚みが小さい方が好ましい。従って、表面に剥離性を有する基材層を用い、基材層上に光透過部111,121及び光吸収部113,123を成形後に、基材層を剥離することが好ましい。しかし、基材層が十分に薄い場合等には、基材層を積層した形態のままレンズシートとして使用してもよい。
なお、このような基材層を有する場合には、各レンズシートのランド部を含む光吸収部113,123の裏面11b,12b側先端から裏面11b,12bまでの寸法は、約1〜50μmとすることが、迷光やクロストーク等を抑制する観点から好ましい。
図12は、レンズシートユニット10の変形形態の一例を示す図である。
レンズシート15は、1枚のシート状の基材層151の両面に、単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121及び光吸収部113,123が形成されている。このレンズシート15は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、基材層151の両面にそれぞれ一体に形成された形態に等しい。
この基材層151は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有している。このような基材層151としては、PET樹脂やトリアセチルセルロース(TAC)製のシート状の部材等が挙げられる。
また、基材層151の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や光の入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
また、基材層151の屈折率は、光透過部111,121の屈折率N1に等しい、もしくは、できる限り屈折率差が小さいことが好ましい。
このとき、例えば、3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向R11,R12に対して、それぞれ45°±10°をなしているものとすることが好ましい。
第3レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
この第4レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
なお、レンズシートユニット10内の第3レンズシート、第4レンズシートの光軸O方向(Z方向)おける位置については、特に限定しない。
また、レンズシートユニット10の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ21を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラ1の性能向上を図ってもよい。
10 レンズシートユニット
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
20 撮像モジュール
21 イメージセンサ
30 筐体
31 開口部
32 保護シート
Claims (13)
- 一方の面が光学形状を有する光学形状面であるレンズシートであって、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記光学形状面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、
前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記レンズシートの厚み方向に沿って前記単位レンズ形状側から反対側である裏面側へ延びる光吸収部と、
を備え、
前記光透過部は、前記単位レンズ形状の頂点において、20℃の温度下で、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)により、対面角が90°の四角錘型圧子を用いて、押し込み荷重を変化させながら荷重時間10秒間で押し込み、押し込み深さが1μmに到達した後5秒間保持してから、60秒間かけて除荷する条件で測定される押し込み弾性率(EIT)が、150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が、30%以上100%以下であること、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1に記載のレンズシートにおいて、
前記単位レンズ形状は、前記光透過部の配列方向に平行であって該レンズシートの厚み方向に平行な断面における断面形状が円の一部形状であり、その曲率半径が10μm以上80μm以下であること、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、
前記光透過部の屈折率N1と前記光吸収部の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートにおいて、
前記光透過部と前記光吸収部との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、
を特徴とするレンズシート。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートを備えるレンズシートユニットと、
を備える撮像モジュールであって、
前記レンズシートユニットは、前記レンズシートの前記撮像素子部側に、一方の面が光学形状を有する第2の光学形状面である第2のレンズシートを備え、
前記第2のレンズシートは、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2の光学形状面側に凸状の第2の単位レンズ形状を有する第2の光透過部と、
前記第2の光透過部と交互に配列され、前記第2の光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2のレンズシートの厚み方向に沿って、前記の第2単位レンズ形状側から反対側である裏面側へ延びる第2の光吸収部と、
を備え、
光軸方向から見て、前記光透過部の配列方向と、前記第2の光透過部の配列方向とは、角度αをなして交差し、
前記レンズシートと前記第2のレンズシートとが積層されていること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、
前記第2のレンズシートの前記第2の光透過部は、前記第2の単位レンズ形状の頂点において、20℃の温度下で、ナノインデンテーション法(ISO14577−1に準拠)により、対面角が90°の四角錘型圧子を用いて、押し込み荷重を変化させながら荷重時間10秒間で押し込み、押し込み深さが1μmに到達した後5秒間保持してから、60秒間かけて除荷する条件で測定される押し込み弾性率(EIT)が、150〜3500MPaであり、かつ、復元仕事率(ηIT)が、30%以上100%以下であること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5又は請求項6に記載の撮像モジュールにおいて、
前記第2の単位レンズ形状は、前記第2の光透過部の配列方向に平行であって前記第2のレンズシートの厚み方向に平行な断面における断面形状が円の一部形状であり、その曲率半径が10μm以上80μm以下であること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記各光透過部の屈折率N1と前記各光吸収部の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5から請求項9までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記各光透過部と前記各光吸収部との界面が、前記各レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
- 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートと、
を備える撮像モジュール。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートと、
を備える撮像装置。
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