JP6627526B2 - 撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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また、携帯端末用カメラに対する、画質や撮影機能の向上等は、常に要求されることである。
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
また、これらのカメラは、被写体像をより鮮明に撮影できることが求められている。
第1の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(14)と、前記撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシート(11)と、前記レンズシートよりも光の入射側に配置されるカバーシート(20)とを備え、前記レンズシートは、シート面に沿って配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状(112)を有する光透過部(111)と、前記光透過部と交互に配列され、前記レンズシートの厚み方向に沿って延びる光吸収部(113)とを有し、前記カバーシートは、前記レンズシート側の面に、入射した光の反射を抑制する反射抑制層(21)が設けられていること、を特徴とする撮像モジュール(10)である。
第2の発明は、第1の発明の撮像モジュール(10)において、前記反射抑制層(21)は、誘電体の多層膜により形成されていること、を特徴とする撮像モジュールである。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の撮像モジュール(10)において、前記光透過部(111)の屈折率N1と前記光吸収部(113)の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、を特徴とする撮像モジュールである。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの撮像モジュール(10)において、前記光透過部(111)は、柱状に形成され、前記レンズシート(11)のシート面に沿って一方向に配列されており、前記光吸収部(113)は、前記光透過部の長手方向に延在していること、を特徴とする撮像モジュールである。
第5の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの撮像モジュール(10)において、前記光透過部(111)は、前記レンズシート(11)のシート面に沿って複数の方向に配列されており、前記光吸収部(113)は、互いに隣り合う前記光透過部間に、各前記光透過部を囲むようにして設けられていること、を特徴とする撮像モジュールである。
第6の発明は、第4の発明の撮像モジュール(10)において、前記撮像素子部(14)及び前記カバーシート(21)間に前記レンズシート(11、12)を2枚備え、光軸方向から見て、一方の前記レンズシート(11)の前記光透過部(111)の配列方向と、他方の前記レンズシート(12)の前記光透過部(121)の配列方向とは交差していること、を特徴とする撮像モジュールである。
第7の発明は、第6の発明の撮像モジュール(10)において、光軸方向から見て、一方の前記レンズシート(11)の前記光透過部(111)の配列方向と、他方の前記レンズシート(12)の前記光透過部(121)の配列方向とが交差する交差角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とする撮像モジュールである。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかの撮像モジュール(10)を備える撮像装置(1)である。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、本実施形態の撮像モジュール10を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、XYZ直交座標系を適宜設けて示している。この座標系では、撮影者が、撮像装置を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、光軸O方向をZ方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、図1に示すように、筐体30内に撮像モジュール10を備えている。また、このカメラ1は、不図示の制御部、記憶部、シャッタ部、シャッタ駆動部等を備えている。
筐体30には、被写体側からの光を撮像モジュール10へ取り込む開口部31が設けられている。この開口部31には、撮像モジュール10のカバーガラス20(後述する)が配置されている。
レンズシートユニット13及びイメージセンサ14は、矩形状の平板状の部材であり、その幾何学的中心に光軸Oが直交している。
図4は、本実施形態の第1レンズシート11を説明する図である。図4(a)は第1レンズシート11の光透過部111の配列方向(Y方向)及び第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)に平行な断面(YZ断面)の一部を拡大して示し、図4(b)では、図4(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。
図5は、本実施形態の第2レンズシート12を説明する図である。図5(a)は第2レンズシート12の光透過部121の配列方向(X方向)及び第2レンズシート12の厚み方向(Z方向)に平行な断面(XZ断面)の一部を拡大して示し、図5(b)では、図5(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。
レンズシートユニット13は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12が一体に積層されて不図示の支持部材により支持されており、イメージセンサ14に対する左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)、光軸O方向(Z方向)における位置等が決められている。
光透過部111は、光を透過する透明部分であり、イメージセンサ14側(−Z側)に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。第1レンズシート11のイメージセンサ14側(−Z側)の面は、単位レンズ形状112が複数配列されたレンズ形状面11aとなっている。また、第1レンズシート11の被写体側(+Z側)の面(レンズ形状面11aとは反対側の面)である裏面11bは、略平面状となっている。
光透過部111の裏面11b側(被写体側、+Z側)には、シート面に平行な方向に連続しているランド部114が形成されており、各光透過部111がランド部114に接合されている。
このランド部114は、光透過部111と同様に、光を透過する透明部分である。ランド部114は、その厚みができる限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さが0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光等を防止し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。なお、本実施形態のランド部114は、光透過部111と一体に形成されている。
本実施形態の光透過部111は、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法等により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラスにより形成されてもよい。
また、単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
本実施形態では、第1レンズシート11の裏面11bは、レンズシートユニット13への光の入射面である。従って、裏面11bに、反射防止層を形成することにより、第1レンズシート11と空気との界面となる裏面11bでの反射を抑制し、入射光量の増加を図っている。
光吸収部113は、図4に示すように、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む形状をいう。
この光吸収部113は、カーボンブラック等の光吸収性を有する材料(以下、光吸収材という)や、光吸収材を含有した樹脂等により形成されている。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20〜230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1は、光透過部111の配列方向において、光透過部111のレンズ形状面11a側の寸法(単位レンズ形状112と、光透過部111の側面M1、M4との境界となる点t1及び点t2間の寸法)であり、約20〜200μmとすることが好ましい。
光透過部111の総厚さTは、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光透過部111の裏面11bから点t3までの寸法であり、約30〜480μmである。
光吸収部113の高さH2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法であり、約20〜470μmとすることが好ましい。
第1レンズシート11は、上記寸法範囲で形成されることによって、その焦点距離が約24〜300μm(空気中の換算値)となる。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有しているが、レンズ形状面12aの向き、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向が、第1レンズシート11とは相違している。
また、図3(b)に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、交差角度αをなしている。本実施形態では、この交差角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向が左右方向(X方向)であり、長手方向が上下方向(Y方向)に延在している。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成される。
第1レンズシート11の製造方法の一例は、以下の通りである。なお、第2レンズシート12についても同様に製造することができる。
まず、図6(a)に示すように、PET樹脂製等の基材用のシート状の部材(以下、基材層という)51を用意し、図6(b)に示すように、その片面にメラミン樹脂やアクリル樹脂等を塗布して硬化させ、剥離層52を形成する。
次に、図6(d)に示すように、光透過部111間の溝部分に、光吸収部113を形成する材料(光吸収材を含有した液状のバインダ)をワイピング(スキージング)して充填し、硬化させて、光吸収部113を形成する。
なお、第2レンズシート12は、上記の第1レンズシート11の製造方法と同様に形成される。すなわち、第2レンズシート12は、光透過部121の形成後、ワイピング等により光吸収部123を形成し、所定の大きさに裁断して、剥離層52ごと基材層51を剥離し、単位レンズ形状122の表面等に反射防止層を形成する等して、形成される。
例えば、基材層51及び剥離層52は、基材層に予め剥離層が形成されている汎用の部材を使用してもよい。また、基材層51は、上記の材料に限らず、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等を用いて形成してもよいし、剥離層52は、上記の材料に限らず、シリコーン系材料やフッ素化合物系材料等を用いて形成してもよい。
また、例えば、基材層51が剥離層52を有しておらず、光透過部111、121及び光吸収部113、123を形成後に、基材層51に相当する部分を削る等により、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を形成してもよい。
また、例えば、光吸収部113、123は、光透過部111間の溝部分に光吸収部113、123を形成する材料を、真空充填等により充填して形成されるようにしてもよいし、毛細管現象を利用した充填方法により形成されるようにしてもよい。
このカバーガラス20には、図1及び図2に示すように、イメージセンサ14側(−Z側)の面となる裏面20bに反射抑制層21が設けられている。
本実施形態の反射抑制層21は、誘電体を有する透明な薄膜を複数層、スパッタリングや、蒸着によって形成される誘電体多層膜により構成されており、カバーガラス20及び反射抑制層21、反射抑制層21及び空気層の各境界面の反射光が打ち消しあって、第1レンズシート側へ反射する光を極力抑制している。反射抑制層21の誘電体多層膜を構成する誘電体多層膜材料としては、酸化チタン(TiO3)や、酸化シリコン(SiO2)等を使用することができる。
なお、カバーガラス20は、第1レンズシート11の単位レンズ形状112が起因となる干渉縞(モアレ)の発生を抑制する観点から、第1レンズシート11との距離が極力小さくなるように配置されるのが望ましい。
接合層15は、粘着剤又は接着剤により形成され、光透過性を有している。この接合層15の屈折率N3は、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1と等しいことが好ましい。
また、イメージセンサ14は、駆動時に発熱し、約40℃前後まで表面温度が上昇する。そのため、イメージセンサ14の発熱によるレンズシートユニット13の反り等の変形を抑制する観点から、接合層15は、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層15としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
なお、接合層15は、その屈折率N3が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能である。このような接合層15としては、例えば、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、単位レンズ形状112、122がその頂点(点t3)で互いに接した状態、又は、近接した状態で配置されており、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の隙間部分には、空気が存在する形態となっている。
イメージセンサ14を構成する複数の画素は、イメージセンサ14の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ14の画素は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されているものとする。
このようなイメージセンサ14としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態では、このイメージセンサ14として、CMOSが用いられている。
そして、イメージセンサ14の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される。
撮影時、撮像モジュール10により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶され、また、制御部により各種演算等が行われることにより、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して所定の領域内に位置する複数個の画素141(画素群)が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、例えば、図7(a)に示すように、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図7(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
さらに、従来のライトフィールドカメラは、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が必要である。しかし、本実施形態によれば、いずれも不要であるので、ライトフィールドカメラとしても、薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
以下に、レンズシートユニット13の別な形態について説明する。
<各レンズシートのレンズ形状面11a,12aの向きについて>
図8は、第1レンズシート11のレンズ形状面11a、第2レンズシート12のレンズ形状面12aの向きを説明する図である。なお、図8の各図では、理解を容易にするために、レンズシートユニット13を構成する第1レンズシート11及び第2レンズシート12のみを示し、接合層15等は省略して示している。また、図8の各図において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、Z方向において離間している形態を示しているが、実際には、接しているもしくは近接している。
図8の各図に示すように、レンズシートユニット13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ14側(−Z側)であるかは、適宜選択することができる。
また、図8(b)に示すように、レンズシートユニット13を構成する第1レンズシート11、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aがいずれもイメージセンサ14側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
さらに、図8(c)に示すように、第1レンズシート11は、そのレンズ形状面11aが被写体側(+Z側)となるように配置され、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面12aがイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
また、図8(b)、図8(c)に示すように第2レンズシート12のレンズ形状面12aがイメージセンサ14側(−Z側)に位置する場合、接合層15は、その屈折率N3が第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1よりも小さいものとすることが好ましい。このような接合層15としては、シリコーン系粘着剤等が好適である。
このような形態のレンズシートユニット13を使用した場合にも、良好な画質で撮像することができる。
レンズシートユニット13において、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11を左右方向(X方向)とし、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12を上下方向(Y方向)としてもよい。
また、図3(b)に示すように、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R11と、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R12とがなす交差角度αは、90°±10°の範囲、即ち、80°≦α≦100°の範囲内であれば、レンズシートユニット13として所望される光学的機能は維持される。従って、交差角度αは、90°に限定されず、80°≦α≦100°の範囲内としてもよい。
図9は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の別な形態を示す図である。図9(a)は、第1レンズシート11の別な形態を示す図であり、前述の図4(a)に対応する図である。図9(b)は、第2レンズシート12の別な形態を示す図であり、前述の図5(a)に対応する図である。
第1レンズシート11は、図9(a)に示すように、光吸収部113が、裏面11bからレンズ形状面11aの手前まで延びるようにして形成されるようにしてもよい。同様に、第2レンズシート12は、図9(b)に示すように、光吸収部123が、裏面12bからレンズ形状面12aの手前まで延びるようにして形成されるようにしてもよい。
この場合、光透過部111は、レンズ形状部111a、ランド部111b、本体部113cが積層される構成となる。レンズ形状部111a、ランド部111b、本体部111cは、互いに一体に形成されている。
ランド部111bは、レンズ形状部111a及び本体部111c間に設けられた部分であり、隣り合う光透過部111同士を接合する部分である。具体的には、ランド部111bは、厚み方向(Z方向)において、隣り合うレンズ形状部111aの谷部t1と、光吸収部113のレンズ形状面11a側の面との間に設けられている。このランド部111bは、その厚みができる限り薄い方が好ましく、ランド部111bの厚さが0であること(即ち、ランド部111bが存在しない形態)が、迷光等を防止し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
本体部111cは、レンズシート11の最も裏面11b側に設けられた部分であり、光透過部111の配列方向(Y方向)において光吸収部113と隣接している。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の層構成、すなわち、レンズ形状部121a、ランド部121b、本体部123cが積層される構成に形成されている。
また、単位レンズ形状112、122が、シート面の法線方向から見た場合に、隣り合う単位レンズ形状112、122と境界t1(t2)において接するので、上述の図4及び図5に示す形態(隣り合う単位レンズ形状間に光吸収部が設けられる形態)に比して、シート面に配列される各光透過部111の開口径を広くすることができる。これにより、レンズシート11に入射する光の利用効率を向上させることができる。
図10は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の別な層構成の一例を示す図である。図10(a)は、第1レンズシート11の別な層構成を示す図であり、前述の図4(a)に対応する図である。図10(b)は、第2レンズシート12の別な層構成を示す図であり、前述の図5(a)に対応する図である。
図10(a)に示すように、第1レンズシート11は、裏面12b側に基材層51が一体に積層された形態としてもよい。同様に、図10(b)に示すように、第2レンズシート12は、光透過部121の裏面12b側に基材層51が一体に積層された形態としてもよい。
撮像モジュール10は、レンズシートユニット13とイメージセンサ14とを接合する接合層15を備えず、第2レンズシート12がイメージセンサ14の受光面上に接して配置され、レンズシートユニット13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12、イメージセンサ14は、それぞれ不図示の支持部材で支持され、所定の位置で固定される形態としてもよい。
このとき、図2、図3及び図8(a)に示す形態のように、第2レンズシート12のイメージセンサ14側(−Z側)の面が、単位レンズ形状122が形成されていない裏面12bである場合、イメージセンサ14の受光面の傷つきを防止したり、イメージセンサ14と第2レンズシート12との光学密着を防止したりする観点から、裏面12bを微細凹凸形状が形成されたマット面とすることが好ましい。
また、接合層15を設けない場合、第2レンズシート12とイメージセンサ14との間にスペーサを配置する等して、イメージセンサ14と第2レンズシート12との光学密着やイメージセンサ14の受光面の傷付き等を防止してもよい。
図11は、撮像モジュール10の別な形態を説明する図である。図11(a)は、撮像モジュールを光の入射側(+Z側)から見た正面図であり、図11(b)及び図11(c)は、図11(a)のb部断面図及びc部断面図である。
図12は、別な形態の撮像モジュール10に用いられるレンズシート11の詳細を説明する図である。図12の各図は、図3の各図に対応する図である。
図13は、撮像モジュール10の更に別な形態を説明する図である。図13(a)は、撮像モジュールを光の入射側(+Z側)から見た正面図であり、図13(b)及び図13(c)は、図13(a)のb部断面図及びc部断面図である。
この場合、撮像モジュール10に使用されるレンズシート11は、例えば、図11及び図12に示すように、略半球状の単位レンズ形状112が複数、シート面に沿って左右方向及び鉛直方向に配列される。この単位レンズ形状112は、図11(a)に示すように、レンズシート11のシート面の法線方向(Z方向)から見た形状が円形状に形成される。ここで、略半球状とは、半球だけでなく、球や、回転楕円体の一部形状を含む形状をいう。また、光吸収部113は、レンズシート11の厚み方向において、互いに隣り合う光透過部111間に、各光透過部111を囲むようにして設けられている。
このような構成としても、撮像モジュール10、カメラ1は、それぞれ、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、1枚のレンズシート11により撮像モジュール10を構成することができるので、撮像モジュールやカメラの薄型化、軽量化を更に図ることができる。
更に、レンズ形状面11a上に配列される単位レンズ形状112が隣り合う単位レンズ形状112に接しているので、図11に示す形態に比して、シート面に配列される各光透過部111の開口径を広くすることができる。これにより、レンズシート11に入射する光の利用効率を向上させることができる。
上述の図11及び図12に示す別な形態の撮像モジュールの説明において、レンズシート11に設けられる単位レンズ形状112は、略半球状に形成される例を示したが、これに限定されるものでない。
図14は、レンズシート11の単位レンズ形状112の別な形態を示す図である。図14(a)は、レンズシート11の厚み方向の被写体側から見た正面図である。図14(b)、図14(c)は、それぞれ図14(a)のb部断面図、c部断面図である。
また、単位レンズ形状112(光透過部111)は、レンズシート11のシート面の法線方向(Z方向)から見た形状が多角形状となる略多角錐形状に形成され、その略多角錐形状がシート面の被写体側(+Z側)に膨らみ、角部(頂部や稜線)が面取りされた形態となるようにしてもよい。
なお、光吸収部113は、図14に示すように、レンズシート11の厚み方向において、レンズ形状面11aから裏面11bの手前までの延びるようにして形成されるようにしてもよく、また、裏面11bからレンズ形状面11aの手前まで延びるようにして形成されるようにしてもよい。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述の実施形態において、反射抑制層21は、誘電体多層膜がスパッタリングや、蒸着の手法によりカバーガラス20の裏面20bに形成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、反射抑制層21は、基材上に誘電体多層膜が形成されたシートを粘着剤等によってカバーガラス20の裏面20bに貼付されるようにしてもよい。このように、反射抑制層21をカバーガラス20に貼付する形態の場合、カバーガラス20をガラス以外の材料(例えば、樹脂)を用いることができ、撮像モジュール10の設計の自由度を向上させることができる。
また、反射抑制層21は、誘電体多層膜により構成される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、反射抑制層21は、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置する構造、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用し、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射抑制を図る構成を適用してもよい。このような微小突起構造は、例えば、ウレタンアクリレート樹脂や、ポリエステル樹脂等を賦形等することにより形成することができる。
なお、この場合、夜間撮影時において撮像モジュール10に入射する赤外光が遮蔽されてしまうのを防ぐために、カメラ1には、赤外線遮蔽層を光軸O上から退避させる退避機構等を設ける必要がある。
また、赤外線遮蔽層は、例えば、第1レンズシート11の裏面11b側に配置されるが、これに限定されるものでなく、レンズシートユニット13内であって、イメージセンサ14よりも被写体側であれば、特にその位置を限定されるものでない。
また、赤外線遮蔽層は、赤外線を反射することにより遮蔽する場合、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO、ATO等のスパッタリング膜、蒸着膜等(高屈折率層と低屈折率層の多層誘電膜等)により形成される。
図15は、レンズシートユニット13の変形形態を示す図である。
変形形態のレンズシートユニット13は、図15に示すように、1枚のシート状の基材層131の両面に、単位レンズ形状112、122を有する光透過部111、121及び光吸収部113、123が形成されている。これは、基材層131の両面に前述の第1レンズシート11及び第2レンズシート12を一体に成形した形状に等しい。
この基材層131は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有している。このような基材層131としては、赤外線吸収剤等を含有するPET樹脂製のシート状の部材等が挙げられる。
また、この基材層131は、この基材層131の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
このとき、例えば、3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向に対して、45°±10°をなしているものとすることが好ましい。
また、第3レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ14側(−Z側)であってもよい。
また、第4レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ14側(−Z側)であってもよい。
前述の実施形態では、図16(a)に示すように、イメージセンサ14の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度βと、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γとは、いずれも0°である。
なお、図16(b)では、画素の配列方向G1,G2は、Y方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R11,R12がY方向及びX方向に平行であり、画素の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、画素の配列方向G1,G2及び光透過部111,121の配列方向R11,R12が、角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
また、レンズシートユニット13の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ14を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラの性能向上を図ってもよい。
10 撮像モジュール
11 第1レンズシート
111 光透過部
112 単位レンズ形状
113 光吸収部
12 第2レンズシート
121 光透過部
122 単位レンズ形状
123 光吸収部
13 レンズシートユニット
14 イメージセンサ
20 カバーガラス
21 反射抑制層
30 筐体
31 開口部
Claims (8)
- 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシートと、
前記レンズシートよりも光の入射側に配置され撮影時に最も被写体側に配置される光学部材であるカバーシートとを備え、
前記レンズシートは、シート面に沿って配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、前記光透過部と交互に配列され、前記レンズシートの厚み方向に沿って延びる光吸収部とを有し、
前記単位レンズ形状は、マイクロレンズ又は疑似的なマイクロレンズの少なくとも一部を形成し、
前記マイクロレンズ又は前記疑似的なマイクロレンズの1つに対して複数の前記画素が対応して配置されており、
前記レンズシートと前記カバーシートとの間には、他の光学部材が配置されておらず、
前記カバーシートは、前記レンズシート側の面に、入射した光の反射を抑制する反射抑制層が設けられていること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1に記載の撮像モジュールにおいて、
前記反射抑制層は、誘電体の多層膜により形成されていること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1又は請求項2に記載の撮像モジュールにおいて、
前記光透過部の屈折率N1と前記光吸収部の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記光透過部は、柱状に形成され、前記レンズシートのシート面に沿って一方向に配列されており、
前記光吸収部は、前記光透過部の長手方向に延在していること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記光透過部は、前記レンズシートのシート面に沿って複数の方向に配列されており、
前記光吸収部は、互いに隣り合う前記光透過部間に、各前記光透過部を囲むようにして設けられていること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4に記載の撮像モジュールにおいて、
前記撮像素子部及び前記カバーシート間に前記レンズシートを2枚備え、
光軸方向から見て、一方の前記レンズシートの前記光透過部の配列方向と、他方の前記レンズシートの前記光透過部の配列方向とは交差していること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項6に記載の撮像モジュールにおいて、
光軸方向から見て、一方の前記レンズシートの前記光透過部の配列方向と、他方の前記レンズシートの前記光透過部の配列方向とが交差する交差角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
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