JP6693086B2 - 撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
しかし、赤外線カットフィルタを用いることは、撮像装置の薄型化や組み立て作業の簡略化等への妨げとなっていた。
第1の発明は、撮像モジュールに用いられ、撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシートユニットであって、片面に光学形状が形成された第1光学形状面(11a)を有する第1レンズシート(11)と、前記第1レンズシートよりも光の出射側に配置され、片面に光学形状が形成された第2光学形状面(12a)を有する第2レンズシート(12)と、前記第1レンズシートよりも光の入射側に配置され、その両面が平面状であり、700〜1100nmの波長域の光を遮蔽する赤外線遮蔽シート(13)と、を備え、前記第1レンズシートは、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第1光学形状面側に凸状の第1単位レンズ形状(112)を有する第1光透過部(111)と、前記第1光透過部と交互に配列され、前記第1光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って、前記第1単位レンズ形状側から反対側である前記第1レンズシートの裏面(11b)側へ延びる第1光吸収部(113)と、を備え、前記第2レンズシートは、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2光学形状面側に凸状の第2単位レンズ形状(122)を有する第2光透過部(121)と、前記第2光透過部と交互に配列され、前記第2光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2レンズシートの厚み方向に沿って、前記第2単位レンズ形状側から反対側である前記第2レンズシートの裏面(12b)側へ延びる第2光吸収部(123)と、を備え、シート面の法線方向から見て、前記第1光透過部の配列方向(R11)と、前記第2光透過部の配列方向(R12)とは、角度αをなして交差し、前記第1レンズシートと前記第2レンズシートと前記赤外線遮蔽シートとは、積層されており、前記1レンズシートの前記第1光学形状面と前記第2レンズシートの前記第2光学形状面とが対面するように配置されていること、を特徴するレンズシートユニット(10)である。
第2の発明は、第1の発明のレンズシートユニットにおいて、前記赤外線遮蔽シート(13)は、前記第1レンズシート(11)及び前記第2レンズシート(12)とは別体のシート状の部材であること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のレンズシートユニットにおいて、前記各光透過部(111,121)の屈折率N1と前記各光吸収部(113,123)の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかのレンズシートユニットにおいて、前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかのレンズシートユニットにおいて、前記各光吸収部(111,121)と前記各光透過部(113,123)との界面が、前記各レンズシート(11,12)の厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第6の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される第1の発明から第5の発明までのいずれかのレンズシートユニット(10)と、を備える撮像モジュール(20)である。
第7の発明は、第6の発明の撮像モジュール(20)を備える撮像装置(1)である。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、本実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、XYZ直交座標系を適宜設けて示している。この座標系では、撮影者が、撮像装置を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、携帯端末本体の筐体に相当する。このカメラ1は、さらに、不図示の制御部、記憶部等を備えている。
また、カメラ1は、筐体30をカメラ本体の筐体として備える、一般的な撮像装置としてもよい。この場合、カメラ1は、制御部、記憶部等に加えて、不図示のシャッタ部、シャッタ駆動部等を備える。
開口部31は、被写体側からの光を、カメラ1の撮像モジュール20へ取り込む開口である。この開口部31には、撮像モジュール20への埃やゴミ等の異物の侵入を防止する等の観点から、開口部31を覆うように、透光性を有する保護シート32が配置されている。この保護シート32は、ガラス製としてもよいし、樹脂製としてもよい。
レンズシートユニット10及びイメージセンサ21は、矩形状の平板状の部材であり、光軸O方向から見て、その幾何学的中心に光軸Oが直交している。
図4は、本実施形態の第1レンズシート11及び第2レンズシート12を説明する図である。図4(a)では、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示し、図4(b)では、図4(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。また、図4では、第1レンズシート11の符号を示し、括弧内に対応する第2レンズシート12の各部の符号を示している。
図5は、本実施形態の第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12を説明する図である。
レンズシートユニット10は、光軸O方向(Z方向)において、イメージセンサ21の被写体側(+Z側)に位置している。レンズシートユニット10は、光軸O方向(Z方向)に沿って被写体側(+Z側)から順に、赤外線遮蔽シート13、第1レンズシート11、第2レンズシート12を備えている。
本実施形態では、赤外線遮蔽シート13と第1レンズシート11とは、不図示の接合層により一体に接合されている。また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、接合層を介さずに互いに一体に積層されている。
赤外線遮蔽シート13は、例えば、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽するシートとしてもよいし、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を反射することにより遮蔽するシートとしてもよい。
また、所定の波長域の赤外線を吸収することにより遮蔽する赤外線遮蔽シート13は、PET樹脂やPC樹脂等の樹脂、又は、ガラス粉末に、赤外線吸収特性を有する材料を含有させ、シート状に溶融形成し、硬化させる等によっても形成可能である。
この反射防止層は、例えば、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
本実施形態では、赤外線遮蔽シート13の被写体側の面は、レンズシートユニット10への光の入射面である。従って、赤外線遮蔽シート13の被写体側の面に、反射防止層を形成することにより、赤外線遮蔽シート13と空気との界面での反射を抑制し、入射光量の増加を図ることができる。
光透過部111は、光を透過する部分であり、イメージセンサ21側(−Z側)に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。第1レンズシート11のイメージセンサ21側(−Z側)の面は、単位レンズ形状112が複数配列されたレンズ形状面11aとなっている。また、第1レンズシート11の被写体側(+Z側)の面(レンズ形状面11aとは反対側の面)である裏面11bは、略平面状となっている。
光透過部111の裏面11b側(+Z側)には、光透過部111がシート面に平行な方向に連続しているランド部114が形成されている。ランド部114は、その厚みができる限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さが0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光や後述のクロストーク等を抑制し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
本実施形態の光透過部111は、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法等により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラスにより形成されてもよい。
また、単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
また、例えば、光吸収部113を形成する材料は、光透過部111間の溝部分に、真空充填等により充填してもよいし、毛細管現象を利用して充填してもよい。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20〜230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1は、光透過部111の配列方向R11において、光透過部111のレンズ形状面11a側の寸法(光透過部111と光吸収部113の最もレンズ形状面11a側の端部との境界となる点t1〜点t2間の寸法)であり、約20〜200μmとすることが好ましい。
この第1レンズシート11の厚みT1は、光透過部111の厚さに等しく、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における裏面11bから点t3までの寸法であり、約30〜480μmである。
光吸収部113の高さH2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法であり、約20〜470μmとすることが好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向(Z方向)となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
また、後述するイメージセンサ21は、駆動時に発熱し、約40℃前後までその表面温度が上昇する。そのため、イメージセンサ21の発熱によるレンズシートユニット10の反り等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有していてもよい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が赤外線遮蔽シート13の屈折率及び光透過部111の屈折率N1よりも小さいものも適用可能である。このような接合層としては、例えば、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と略同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有している。しかし、第2レンズシート12では、凸状の単位レンズ形状122が形成されるレンズ形状面12aの位置、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、第1レンズシート11とは異なる。
また、図5に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向R12が左右方向(X方向)に平行であり、長手方向(稜線方向)が上下方向(Y方向)に平行である。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成される。
なお、第2レンズシート12は、不図示の接合層により、イメージセンサ21と一体に接合されていてもよい。第2レンズシート12とイメージセンサ21とを接合することにより、第2レンズシート12とイメージセンサ21との光学密着やイメージセンサ21の傷つきを抑制できることに加え、撮像モジュール20の組み立て作業をより容易とすることができる。
また、この接合層は、その屈折率が、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差ができる限り小さいことが好ましい。
また、イメージセンサ21の駆動時の発熱によるレンズシートユニット10の反り等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
また、この接合層は、その屈折率が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が適用可能である。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、単位レンズ形状112,122がその頂点(点t3)で互いに接した状態、又は、近接した状態で配置されており、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の隙間部分には、空気が位置する形態となっている。
従って、レンズシートユニット10は、光学的には、マイクロレンズが2次元方向(X方向及びY方向)に配置され、マイクロレンズ間に遮光壁が形成された状態に略等しい。
イメージセンサ21を構成する複数の画素は、イメージセンサ21の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ21の画素は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されているものとする。
このようなイメージセンサ21としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態のイメージセンサ21は、CMOSが用いられている。
そして、第1レンズシート11の単位レンズ形状112により、その配列方向であるY方向(上下方向)において集光され、また、第2レンズシート12の単位レンズ形状122により、その配列方向であるX方向(左右方向)において集光される。また、光透過部111,121内を光軸O方向に対して大きな角度をなす方向へ進む光の少なくとも一部は、光吸収部113,123に入射して吸収される。そして、レンズシートユニット10を透過した光は、イメージセンサ21の受光面で焦点を結ぶ。
そして、イメージセンサ21の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される。
撮影時に撮像モジュール20により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶される。そして、制御部により各種演算等が行われることにより、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して、イメージセンサ21の所定の領域内に位置する複数個の画素211が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図6(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域等に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。
これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの各単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
また、本実施形態によれば、赤外線遮蔽シート13は、最も被写体側(+Z側)に位置しており、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の距離や、第2レンズシート12とイメージセンサ21との間の距離を広げることがなく、クロストークや迷光を低減できる。
また、本実施形態によれば、イメージセンサ21の特性等に応じて、不要であれば赤外線遮蔽シート13を容易に取り外すことも可能であるので、撮像モジュール20としての適用範囲を広げることができる。
また、本実施形態によれば、赤外線遮蔽シート13は、最も被写体側(+Z側)に位置しているので、後述する図7(a),(c)等のように、第1レンズシート11のレンズ形状面11aが被写体側(+Z側)に位置する形態であっても、レンズシートユニット10の最も被写体側(入射側)に所定の波長域の赤外線を遮蔽できる赤外線遮蔽機能を付与できる。
従って、マイクロレンズアレイと隔壁シートとの位置合わせ精度ずれによる歩留りの低下を抑制できる。また、位置合わせが不要となるので、ハンドリングが容易となり、製造が容易に行え、生産コスト低減できる。
さらに、従来のライトフィールドカメラは、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が必要である。しかし、本実施形態によれば、いずれも不要であるので、ライトフィールドカメラとしても、薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
以下、レンズシートユニット10の他の実施形態について説明する。なお、前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
<各レンズシートのレンズ形状面11a,12aの向きについて>
図7は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12のレンズ形状面11a,12aの向きを説明する図である。
なお、図7では、理解を容易にするために、レンズシートユニット10を構成する第1レンズシート11及び第2レンズシート12のみを示し、赤外線遮蔽シート13は省略している。また、図7において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、Z方向において離間している形態を示しているが、実際には、一体に積層され、互いに接して、もしくは、近接して配置されているものとする。
図7に示すように、レンズシートユニット10の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ21側(−Z側)であるかは、適宜選択できる。
また、図7(b)に示すように、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aがいずれもイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
さらに、図7(c)に示すように、第1レンズシート11は、そのレンズ形状面11aが被写体側(+Z側)となるように配置され、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面12aがイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
上述のような形態のレンズシートユニット10を使用した場合にも、良好な画質で撮像することができる。
また、第2レンズシート12とイメージセンサ21との間にスペーサを配置する等して、イメージセンサ21と第2レンズシート12との光学密着やイメージセンサ21の受光面の傷付き等を防止してもよい。
レンズシートユニット10は、第1レンズシート11の光透過部111が左右方向(X方向)に配列され、第2レンズシート12の光透過部121が上下方向(Y方向)に配列される形態としてもよい。
これにより、赤外線遮蔽シート13、第1レンズシート11、第2レンズシート12を一体に積層してレンズシートユニット10として撮像モジュール20を組み立てる際に、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12とのなす角度αを厳密に90°として配置しなくともよく、レンズシートユニット10及び撮像モジュール20の組み立て作業の容易化、作業効率の向上、歩留りの向上を図ることができる。
図8は、レンズシートユニット10の各光透過部111,121の配列方向R11,R12とイメージセンサ21の画素の配列方向G1,G2との関係を示す図である。
前述の実施形態では、図8(a)に示すように、イメージセンサ21の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度β、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γは、いずれも0°である。
このような形態とすることにより、イメージセンサ21とレンズシートユニット10(第1レンズシート11及び第2レンズシート12)との位置合わせが容易となり、製造作業の簡略化や作業時間の短縮、歩留りの向上等を図ることができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、赤外線遮蔽シート13が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12よりも被写体側(+Z側)に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間に配置してもよい。この形態の場合には、所定の波長域(700〜1100nm)の光を反射して遮蔽する赤外線遮蔽シートを用いると、反射された光が迷光となり、ノイズを発生させる可能性があるので、吸収して遮蔽する赤外線遮蔽シートが好ましい。
クロストークを抑制し、良好な画像を表示する観点から、光軸O方向におけるイメージセンサ21の受光面と第2レンズシートの光吸収部113の最もイメージセンサ21側(−Z側)となる端部との間の距離が大きくなることは好ましくない。また、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の距離が広がることも好ましくない。
従って、上述の実施形態のように、赤外線遮蔽シート13は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12よりも被写体側に位置する形態とすることが最も好ましい。
このとき、赤外線遮蔽シート13と第1レンズシート11(光透過部111)との界面での光の反射による光量低下を抑制する観点から、赤外線遮蔽シート13の屈折率と第1レンズシート11の光透過部111の屈折率N1とが等しい、もしくは、両者の屈折率差ができる限り小さいことが好ましい。
また、光学密着を抑制する観点から、赤外線遮蔽シート13の第1レンズシート11側の面、もしくは、第1レンズシート11の裏面11bを、微細な凹凸形状を有するマット面とすることが好ましい。
また、光学密着を抑制する観点から、赤外線遮蔽シート13と第1レンズシート11との間にスペーサを配置する等して空気層(エアギャップ)を有する形態としてもよい。この場合、界面での光の反射による光量低下を抑制するために、第1レンズシート11の裏面11bの表面に反射防止層を形成することが好ましい。
このような形態に用いられる接合層は、粘着剤又は接着剤により形成され、光透過性を有している。また、界面での光の反射による光量の低下を抑制する観点から、この接合層の屈折率と、第1レンズシート11の光透過部111及び第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1とが等しい、もしくは、両者の屈折率差ができる限り小さいことが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤を用いて形成することが好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が、光透過部111及び光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
さらに、レンズシートユニット10は、上述の各接合層により、赤外線遮蔽シート13と第1レンズシート11と第2レンズシート12とが一体に積層されて接合された形態としてもよい。
第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、クロストーク等を抑制する観点から、光吸収部113,123の裏面側端部から裏面までの厚みが小さい方が好ましい。従って、表面に剥離性を有する基材層を用い、基材層上に光透過部111,121及び光吸収部113,123を成形後に、基材層を剥離することが好ましい。しかし、基材層が十分に薄い場合等には、基材層を積層した形態のままレンズシートとして使用してもよい。
また、基材層が剥離性を有していない場合には、基材層に相当する部分を削る等により、光吸収部113,123の裏面側端部から裏面までの厚みを薄くしてもよい。
なお、このような基材層を有する場合には、各レンズシートのランド部を含む光吸収部113,123の裏面11b,12b側先端から裏面11b,12bまでの寸法は、約1〜60μmとすることが、迷光やクロストーク等を抑制する観点から好ましい。
図9は、レンズシートユニット10の変形形態の一例を示す図である。
レンズシート15は、1枚のシート状の基材層151の両面に、単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121及び光吸収部113,123が形成されている。このレンズシート15は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、基材層151の両面にそれぞれ一体に形成された形態に等しい。
この基材層151は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有している。このような基材層151としては、PET樹脂やトリアセチルセルロース(TAC)製のシート状の部材等が挙げられる。
また、基材層151の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や光の入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
また、基材層151の屈折率は、光透過部111,121の屈折率N1に等しい、もしくは、できる限り屈折率差が小さいことが好ましい。
このとき、例えば、3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向R11,R12に対して、それぞれ45°±10°をなしているものとすることが好ましい。
第3レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
この第4レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
なお、レンズシートユニット10内の第3レンズシート、第4レンズシートの光軸O方向(Z方向)おける位置については、赤外線遮蔽シート13よりもイメージセンサ21側(−Z側)に位置することが好ましいが、特に限定しない。
また、レンズシートユニット10の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ21を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラ1の性能向上を図ってもよい。
10 レンズシートユニット
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
111,121 光透過部
112,122 単位レンズ形状
113,123 光吸収部
13 赤外線遮蔽シート
20 撮像モジュール
21 イメージセンサ
30 筐体
31 開口部
32 保護シート
Claims (6)
- 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも光の入射側である被写体側に配置されるレンズシートユニットと、
を備える撮像モジュールにおいて、
前記レンズシートユニットは、
片面に光学形状が形成された第1光学形状面を有する第1レンズシートと、
前記第1レンズシートよりも光の出射側となる撮像素子部側に配置され、片面に光学形状が形成された第2光学形状面を有する第2レンズシートと、
前記第1レンズシートよりも被写体側に配置され、その両面が平面状であり、700〜1100nmの波長域の光を遮蔽する赤外線遮蔽シートと、
を備え、
前記第1レンズシートは、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第1光学形状面側に凸状の第1単位レンズ形状を有する第1光透過部と、
前記第1光透過部と交互に配列され、前記第1光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って、前記第1単位レンズ形状側から反対側である前記第1レンズシートの裏面側へ延びる第1光吸収部と、
を備え、
前記第2レンズシートは、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2光学形状面側に凸状の第2単位レンズ形状を有する第2光透過部と、
前記第2光透過部と交互に配列され、前記第2光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2レンズシートの厚み方向に沿って、前記第2単位レンズ形状側から反対側である前記第2レンズシートの裏面側へ延びる第2光吸収部と、
を備え、
シート面の法線方向から見て、前記第1光透過部の配列方向と、前記第2光透過部の配列方向とは、角度αをなして交差し、
前記第1レンズシートと前記第2レンズシートと前記赤外線遮蔽シートとは、積層されており、前記1レンズシートの前記第1光学形状面と前記第2レンズシートの前記第2光学形状面とが対面するように配置されていること、
を特徴する撮像モジュール。 - 請求項1に記載の撮像モジュールにおいて、
前記赤外線遮蔽シートは、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートとは別体のシート状の部材であること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1又は請求項2に記載の撮像モジュールにおいて、
前記各光透過部の屈折率N1と前記各光吸収部の屈折率N2とは、N1≦N2を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記各光吸収部と前記各光透過部との界面が、前記各レンズシートの厚み方向となす角度θは、0°≦θ≦10°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
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