JP2017095697A - 環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法 - Google Patents

環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法 Download PDF

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尚人 熊谷
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智幸 小田島
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慎吾 武知
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Abstract

【課題】工業的に有用な環式ポリアリーレンスルフィドを簡易な方法で効率よく高純度で回収する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも環式ポリアリーレンスルフィド(a)及び有機溶媒(b)を含み、環式ポリアリーレンスルフィド(a)の50重量%以上が溶解している混合物(i)に、有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えて混合物(ii)とした後、混合物(ii)を50℃を超え120℃以下の温度で固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)を固形分として回収率50重量%以上で回収する環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、環式ポリアリーレンスルフィドを簡易な方法で効率よく高純度で回収する方法に関する。
芳香族環式化合物はその環式であることから生じる特性に基づく高機能材料や機能材料への応用展開可能性、例えば包接能を有する化合物としての特性や、開環重合による高分子量線状高分子の合成のための有効なモノマーとしての活用等、その構造に由来する特異性で近年注目を集めている。環式ポリアリーレンスルフィド(以下、ポリアリーレンスルフィドをPASと略する場合もある)も芳香族環式化合物の範疇に属し、上記同様に注目に値する化合物である。
環式PASの混合物を製造する方法として、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とを有機極性溶媒中で接触させて環式PASを製造する方法であって、スルフィド化剤のイオウ原子1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上用いて、反応混合物を常圧における還流温度を超えて加熱する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、反応生成物から目的物の環式PASを単離する手法として次の方法が開示されている。すなわち、反応により得られた混合物中に存在する環式PASと線状PASとを含む混合物としてPAS混合物を回収した後に、環式PASをクロロホルムで抽出した後、この抽出液をメタノールに再沈殿する環式PASの回収方法が開示されている。(例えば特許文献1及び2及び3参照)
また、別の方法として、ポリフェニレンスルフィド(以下、ポリフェニレンスルフィドをPPSと略する場合もある)を塩化メチレンで抽出して得られた抽出液の飽和溶液をメタノールに再沈殿することで沈殿物として環式フェニレンスルフィドオリゴマー混合物を得る方法(例えば特許文献4参照)等が開示されている。
さらに、4−ブロモチオフェノールの銅塩をキノリン中の超希釈条件下で加熱することで得られた環式フェニレンスルフィドオリゴマーを含む反応液から溶媒を留去することで生成物の濃厚溶液を得た後、これを含水メタノールに滴下、次いで塩酸水溶液及び蒸留水で精製することで固形分を回収し、この固形分のクロロホルム可溶分をメタノールを用いて再沈殿回収し、酢酸エチルで線状オリゴマーを溶解除去することで環式フェニレンスルフィドオリゴマーを得る方法(例えば特許文献5参照)等も開示されている。
また、上記以外の方法で環式PASを回収する方法としては、架橋タイプのポリフェニレンスルフィド樹脂からクロロホルムを抽出溶媒としてソックスレー抽出を行い、この抽出液を室温まで冷却して再結晶を行うことで、白色析出物として純度99.9%のシクロヘキサ(p−フェニレンスルフィド)を得る方法が開示されている(例えば特許文献6参照)。
さらに、上記のいずれとも異なる方法として、少なくとも環式PAS及び有機溶媒を含む混合物に、その有機溶媒とは異なる溶媒を加えることで、環式PASを固形分として回収する晶析法(例えば特許文献7参照)や、上記晶析法において、溶媒をスプレー状に噴霧して添加する方法(例えば特許文献8参照)が開示されている。
一方、少なくとも環式PAS及び有機溶媒を含む混合物を得る方法としては、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とを有機極性溶媒中で接触させて得られる環式PAS、線状PAS及び有機極性溶媒等からなる反応混合物について、線状PASが溶解し、環式PASが溶解しない温度で固液分離を行うことで、少なくとも環式PAS及び有機溶媒を含む混合物を得る方法が開示されている(例えば特許文献9参照)。
特開2009−030012号公報 特開2007−231255号公報 国際公開第2007/034800号 特開平05−163349号公報 米国特許第5869599号明細書 特開平10−077408号公報 特開2011−132498号公報 特開2014−108921号公報 特開2011−149014号公報
しかしながら、特許文献1から5に示される環式PASの回収方法は、大量の混合溶媒廃液が発生し、操作が煩雑で工程が多く、工業プロセス面で課題を有する方法であった。
また、特許文献6に示される再結晶法は、比較的結晶性の高いシクロヘキサ(p−フェニレンスルフィド)の回収効率は高いものの、他の繰り返し単位数の環式PPSは回収困難で、生産性に劣る方法であった。
また、特許文献7や8に示される晶析法による環式PASの回収方法は、上記の特許文献1から6の方法と比較して、使用する溶媒の種類と量を低減できるためプロセス性に優れる方法であるが、さらなる生産性と得られる環式PASの純度の向上が望まれていた。
さらに、特許文献9では少なくとも環式PAS及び有機溶媒を含む混合物を得る方法が開示されているが、その混合物から環式PASを高純度で効率よく回収する方法については、当該混合物を第2の溶剤と接触させて環式PASを析出させ、公知の固液分離法を用いて固体状の環式PASを回収することが可能である、という程度の説明にとどまり、環式PASを高純度で回収するための詳細な方法については何ら開示されていなかった。
そこで、本発明は上記した従来技術の課題を解決し、環式ポリアリーレンスルフィドを簡易な方法で効率よく高純度で回収する方法を提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するため以下の特徴を有する環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法を提供する。
[1]少なくとも環式ポリアリーレンスルフィド(a)及び有機溶媒(b)を含み、環式ポリアリーレンスルフィド(a)の50重量%以上が溶解している混合物(i)に、有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えて混合物(ii)とした後、混合物(ii)を50℃を超え120℃以下の温度で固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)を固形分として回収率50重量%以上で回収する環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[2]溶媒(c)を、気相を介さず混合物(i)に加える[1]に記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[3]少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む反応混合物を加熱して反応させ、得られた反応液を固液分離して濾液を得て、次いでこの濾液を混合物(i)として用いる[1]または[2]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[4]混合物(i)中の環式ポリアリーレンスルフィド(a)含有率が5重量%以上50重量%以下である[1]から[3]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[5]混合物(i)に溶媒(c)を加える温度が50℃を超え120℃以下の温度である[1]から[4]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[6]混合物(i)に加える溶媒(c)量が、有機溶媒(b)量と溶媒(c)量の合計に対して5重量%以上50重量%以下である[1]から[5]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[7]溶媒(c)が有機溶媒(b)と混和する[1]から[6]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[8]有機溶媒(b)が非プロトン性極性溶媒である[1]から[7]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[9]溶媒(c)がプロトン性溶媒である[1]から[8]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[10]混合物(i)中の環式ポリアリーレンスルフィド(a)の95重量%以上100重量%以下が有機溶媒(b)に溶解している[1]から[9]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[11]環式ポリアリーレンスルフィド(a)の回収操作を行う際の雰囲気が非酸化性雰囲気である[1]から[10]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
[12]混合物(ii)を固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)が含まれる固形分を得て、次いでその固形分を溶媒を用いて洗浄する[1]から[11]のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
本発明によれば、環式ポリアリーレンスルフィドを簡易な方法で効率よく高純度で回収する方法が提供できる。
より詳しくは、環式ポリアリーレンスルフィドの有機溶媒溶液に異なる溶媒を加えて環式ポリアリーレンスルフィドを析出させ、固液分離して固形分として回収するに際し、良好な濾過性で、かつ高純度で環式ポリアリーレンスルフィドを回収する方法を提供できる。
以下に、本発明実施の形態を説明する。
(1)環式ポリアリーレンスルフィド
本発明における環式ポリアリーレンスルフィドは、式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物であり、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する下記一般式(A)のごとき化合物である。
ここでArとしては式(B)〜式(M)等であらわされる単位を例示できるが、なかでも式(B)〜式(D)が好ましく、式(B)及び式(C)がより好ましく、式(B)が特に好ましい。
(ただし、式中のR1、R2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
なお、環式PASにおいては上記式(B)〜式(M)等の繰り返し単位をランダムに含んでも良いし、ブロックで含んでも良く、それらの混合物のいずれであってもよい。これらの代表的なものとして、環式ポリフェニレンスルフィド、環式ポリフェニレンスルフィドスルホン、環式ポリフェニレンスルフィドケトン、これらが含まれる環式ランダム共重合体、環式ブロック共重合体及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい環式PASとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
を80モル%以上、特に90モル%以上含有する環式PPSが挙げられる。
環式PASの上記(A)式中の繰り返し数mに特に制限はないが4〜50が好ましく、4〜25がより好ましく、4〜20がさらに好ましい。mがこの様な範囲の環式PASは加熱した際に流動化する温度が低くなる傾向にあるため、環式PASを成形加工する際や、他の樹脂と溶融混練する際に加工温度を低くできる観点で有利となる。また、後述するように環式PASを含有するPASプレポリマーを高重合度体への転化する場合には、環式PASが溶融解する温度以上に加熱して行うことが好ましいが、mが大きくなると環式PASの溶融解温度が高くなる傾向にあるため、PASプレポリマーの高重合度体への転化をより低い温度で行うことができるようになる観点でmを上記範囲にすることは有利となる。また、本発明の環式PASは、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環式PASの混合物のいずれでも良いが、異なる繰り返し数を有する環式PASの混合物の方が単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも溶融解温度が低く、融解に要する熱量も小さくなる傾向があるため好ましい。
さらに、本発明で回収できる環式PASは、上記(A)式中のmが4〜15の環式PASの総量を100%とした場合に、mが5〜8の環式PASがそれぞれ5%以上、好ましくは7%以上含まれる環式PAS混合物が得られることが多いが、このような組成比の環式PAS混合物は特に融解ピーク温度が低くなり、かつ融解熱量も小さくなる傾向にあるため、溶融加工性の面で好ましいと言える。
また、本発明の環式PASは上記式(A)で表される環式PASのみで構成されることが好ましい。すなわち環式PAS以外の不純物を含まないことが望ましく、不純物含有量が少ないほど、言い換えれば純度が高いほど環式PASとしての特性が発現されるようになる。ただし、高純度の環式PASを得るためにはより多大な労力とエネルギーを要する傾向があるため、環式PASを用いる用途によっては不純物の含有が許容される場合もある。よって本発明の環式PASは、ある程度の不純物を含んでいてもよく、好ましくは環式PASを50重量%以上含むもの、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含むものを言う。ここで、本発明における不純物は環式PAS以外の成分を指し、特に限定されないが、例えば、有機物として、線状PAS、環式PASの製造原料、環式PASの製造または回収時に使用した溶媒、またはそれらが環式PAS製造や回収の過程で変性して生じた化合物などが挙げられ、無機物としては、塩や金属といった物質などが挙げられる。本発明の環式PASの回収をより効率的に実施する観点においては、環式PASに含まれる不純物は線状PASであることが好ましい。これは同じくアリーレンスルフィドを構成単位とする化合物である線状PASはその特性において環式PASと類似性を有するため、不純物として含まれていても本発明の主旨を害しない傾向にあるためである。
なお、ここで、環式PAS混合物における環式PASの総量に対する繰り返し数mの異なる環式PASの含有率は、環式PAS混合物をUV検出器を具備した高速液体クロマトグラフィーで成分分割した際に環式PASに帰属される全ピーク面積に対する、所望するm数を有する環式PAS単体に帰属されるピーク面積の割合として求めることができる。なお、この高速液体クロマトグラフィーで成分分割された各ピークの定性は、各ピークを分取液体クロマトグラフィーで分取し、赤外分光分析における吸収スペクトルや質量分析を行うことで可能である。
(2)有機溶媒(b)
本発明における有機溶媒(b)は、環式PAS(a)の回収操作を行うにあたり、環式PAS(a)を溶解する有機溶媒のことである。本発明における有機溶媒(b)は、混合物(i)中に存在する環式PASの50重量%以上を溶解する溶解力を有する必要があるが、有機溶媒の溶解力は、温度、圧力、使用量、環式PASの種類等様々な要因が影響するため一意的には決まらない。それゆえ有機溶媒(b)の種類にも特に制限は無い。ただし、より効率よくかつ簡易な操作で環式PASの回収を実施する観点では、より少量の有機溶媒に多量の環式PASを溶解できることが好ましい。このような特徴を有する有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタム等のカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等に代表される非プロトン性極性溶媒等が例示できる。
また一般に有機溶媒の溶解力は溶解操作に処する温度の上昇に伴って増大する傾向が見られる一方で、温度上昇により有機溶媒の蒸気圧が上昇すると、有機溶媒の大気中への揮散が懸念される。よって、高温条件下で溶解操作を行う際には、同時に密閉条件下での溶解操作が可能で加圧にも耐える容器が必要となり、高コストな設備を用いる必要が生じる。したがって、より簡易な設備を用いて溶解操作を行うためには、有機溶媒の蒸気圧が低い条件で溶解操作を行うことが好ましい。この蒸気圧と関連する指標の1つが有機溶媒の沸点であり、沸点の高い有機溶媒、例えば非プロトン性極性溶媒は、本発明において好ましい選択である。なお、有機溶媒(b)は後述する溶媒(c)、好ましくはプロトン性溶媒と混和することが望ましいが、非プロトン性極性溶媒は一般にプロトン性溶媒と混和しやすいため、この観点からも好ましいと言える。
また、有機溶媒(b)は、PAS成分の分解や架橋等好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましい。
以上の観点より、本発明における好ましい有機溶媒(b)としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム、ε−カプロラクタム等のカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等に代表される非プロトン性極性溶媒が例示でき、中でも安定性に優れ取り扱いが容易なアミド溶媒のN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがさらに好ましい有機溶媒(b)として例示できる。
(3)溶媒(c)
本発明における溶媒(c)は、有機溶媒(b)とは異なる溶媒であり、環式PAS(a)及び有機溶媒(b)を含む混合物(i)に加えることで混合物(i)中の環式PAS(a)の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上を固形分として析出させ、環式PASを固液分離によって回収可能な状態にする溶媒である。よって、溶媒(c)は、有機溶媒(b)よりも環式PASの溶解性が低いことが好ましい。溶媒(c)の環式PASの溶解性が有機溶媒(b)よりも低い場合、後述する(4−2)で混合物(i)に溶媒(c)を加えた際に環式PASが十分に析出し、効率よく環式PASを回収できる傾向がある。この様な性質を有する溶媒(c)は、用いる有機溶媒(b)の種類にもよるため一意的には決まらないが、一般に極性の高い溶媒が例示でき、例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルに代表される酢酸エステル類が例示できる。
また、溶媒(c)は、有機溶媒(b)と混和することが好ましい。溶媒(c)が有機溶媒(b)と混和する場合、溶媒(c)を環式PAS及び有機溶媒(b)を含む混合物(i)に加えた際に、環式PASが均一性の高い状態で析出する傾向がある。そのような溶媒(c)の例としては、本発明の好ましい有機溶媒(b)が非プロトン性極性溶媒である点を考慮すると、それらと混和可能な水、メタノール、エタノールなどが好ましく例示でき、入手性、経済性、取り扱い性の容易さの観点から、水が最も好ましく例示できる。
(4)環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
(4−1)混合物(i)
本発明における混合物(i)は、少なくとも環式PAS(a)及び有機溶媒(b)からなる混合物であり、後述する溶媒(c)を加える直前の段階において、この混合物中に存在する環式PASのうち50重量%以上が溶解している混合物のことである。
混合物(i)中に存在する環式PASの溶解量が50重量%未満である場合、不溶な環式PAS中に不純物が取り込まれることがあるが、この後の回収操作ではこの不純物を除去することが困難であるため、得られる環式PASの純度が低下する傾向がある。よって、混合物(i)中に存在する環式PASのうち50重量%以上が溶解している必要がある。
なお、混合物(i)中で溶解状態にある環式PAS量が多いほど、回収した環式PASに含まれる不純物量を減らすことが可能であるため、混合物(i)中の環式PAS(a)の溶解量の好ましい下限としては、70重量%以上が例示でき、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上がよりいっそう好ましい。一方で、混合物(i)中の環式PAS(a)の溶解量に上限はなく、混合物(i)中に存在する全ての環式PAS(a)が溶解状態にある溶解量100重量%が最も好ましい。混合物(i)中で有機溶媒(b)に溶解している環式PAS(a)量が上記の好ましい範囲にある場合、より高純度で環式PASを回収することが可能である。
ここで、本発明における混合物(i)中に溶解している環式PAS量を定量する方法としては、混合物(i)を所定の温度に加熱し、孔径10μmのメンブレンフィルターで固液分離して不溶成分を回収して乾燥させ、その重量を求めることで定量する。
本発明における混合物(i)中の環式PAS(a)の含有率は5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。混合物(i)中の環式PAS(a)含有率は、高いほど回収できる環式PASの収量が増大して生産性を高めることができる。よって、混合物(i)における環式PAS(a)の含有率の下限としては、5重量%以上が好ましく、6重量%以上がより好ましく、7重量%以上がさらに好ましい。一方、環式PASは各種溶媒に対する溶解性が比較的低いため、含有率を高くし過ぎると不溶成分が生じて不均一な性状となり、回収時に局所的な組成の偏りが生じて環式PAS品質が低下する傾向がある。よって、混合物(i)における環式PAS(a)の含有率の上限としては、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。混合物(i)中の環式PAS(a)含有率が上記の好ましい範囲にある場合、環式PASを効率よく高純度で回収することが可能である。ここで、環式PAS(a)含有率とは、環式PAS(a)の重量と有機溶媒(b)の重量の総和に対する環式PAS(a)の重量分率である。
混合物(i)は環式PAS(a)及び有機溶媒(b)のみから成ることが好ましいが、本発明の本質を損なわない範囲で第3成分を含むことができる。ただし、第3成分の含有量が増大すると、本回収方法により単離回収される環式PASの純度が低下する傾向にあるため、前述した好ましい純度の環式PASを得るためには第3成分の含有量は少ないことが望まれる。
ここで、混合物(i)における環式PAS(a)の含有率をより高めるため、混合物(i)調製時に加熱することも可能である。この加熱温度は(2)項で述べた通り用いる有機溶媒(b)によって異なるため一意的に決めることはできないが、50℃を超える温度が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。一方、上限温度についても一意的に決めることはできないが、用いる有機溶媒(b)の常圧における沸点以下が好ましく、本発明の好ましい形態においては120℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、85℃以下がさらに好ましい。混合物(i)調製時の加熱温度を上記の好ましい範囲とすることで、より簡便な装置で、純度よく環式PASを回収できる傾向がある。
なお、この混合物(i)を調製するにあたり、撹拌や震蕩等の操作を施すことはより均一な状態を保つ観点で好ましいと言える。
ここで、混合物(i)は上記した環式PAS(a)と有機溶媒(b)が含まれる混合物であればよいが、具体的な混合物(i)の調製方法としては、例えば、特許文献1から5に示されるような抽出法等により予め回収しておいた環式PAS(a)を、有機溶媒(b)に溶解させて混合物(i)を調製する方法や、例えば特許文献9に示されるような、少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む反応混合物を加熱して反応させ、得られた反応液を固液分離して濾液を得て、次いでこの濾液を混合物(i)として用いる方法などが挙げられるが、本発明においては、後者がより好ましく採用される。このような方法を採用することで、環式PASの合成から回収までを一貫して実施できるため、効率的な環式PAS製造が可能となる。
また、上記の好ましい方法で得た混合物(i)の環式PAS(a)の含有率が低い場合には、本発明の好ましい環式PAS(a)含有率とするために、濃縮を行うことも可能である。
(4−2)混合物(ii)
本発明における混合物(ii)は、前述の混合物(i)に、有機溶媒(b)と異なる溶媒(c)を加えて、環式PAS(a)を固形分として析出させた混合物のことである。
溶媒(c)を加える温度に制限は無いが、温度が低いほど溶媒(c)を加えた際に、不純物を取り込みやすい粗大な粒子が形成する傾向が高まるため、このような操作上の不都合を回避する観点で50℃を超える温度が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。一方、上限温度としては、系内の組成が変化しないように有機溶媒(b)と溶媒(c)の常圧における沸点以下が好ましいが、本発明実施の好ましい形態においては、120℃以下が好ましく例示でき、110℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。このような好ましい温度範囲で混合物(i)に溶媒(c)を加えることで、より高純度な環式PASを得ることができる。
ここで、混合物(i)に加える溶媒(c)の量は、有機溶媒(b)の量と溶媒(c)の量の合計に対して5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。本発明における溶媒(c)は、有機溶媒(b)よりも環式PASに対する溶解力が低いため、混合物(i)に加える溶媒(c)量が多いほど、得られる環式PASの回収率が高くなる傾向がある。よって、混合物(i)に加える溶媒(c)の量の下限としては、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましい。混合物(i)に加える溶媒(c)の量を上記の好ましい範囲とすることで、より効率よく環式PASを固形分として回収することが可能となる。一方で、混合物(i)に加える溶媒(c)の量の好ましい上限としては、50重量%以下が例示でき、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。混合物(i)に加える溶媒(c)の量を上記の好ましい範囲とすることで、溶媒回収にかかるコストを低減できるのみならず、回収操作を行う反応器をより小型化でき、設備費の低減や操作性の向上も期待できる。
本発明では混合物(i)中に含まれる環式PAS(a)の50重量%以上を析出させて固形分として回収するが、上記した好ましい溶媒(c)の使用量の範囲では環式PAS(a)の80重量%以上を固形分として回収できる傾向があり、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、よりいっそう好ましくは98重量%以上を回収することも可能である。
なお、環式PASの回収方法として従来採用されてきた再沈殿法では、環式PASの少なくとも一部が溶解した溶液もしくはスラリーを環式PASの貧溶媒に滴下する方法で環式PASを回収するが、一般にこの方法で用いる貧溶媒の使用量は、環式PAS溶液またはスラリーに対して大過剰であるため回収操作において大量の廃液が発生する課題があった。また再沈殿法において、貧溶媒の使用量を低減し、前述した本発明における好ましい溶媒使用量の例示範囲で再沈殿操作を実施した場合、不純物を取り込んだ粗大な粒子が発生しやすく、得られる環式PASの純度が低下しやすい、反応容器に固形分が固着する等様々な不都合が生じる傾向があった。これに対し本発明の環式PASの回収方法はこれら課題を改善できる点でも優れた方法と言える。
なお、混合物(i)に溶媒(c)を加える方法に特に制限は無いが、混合物(i)を撹拌しながら加えることが好ましく、溶媒(c)を、気相を介さず混合物(i)に加えることがより好ましい。インターナル管などを利用して溶媒(c)を気相を介さずに混合物(i)の液中に直接加えることで、不純物を取り込みやすい粗大な粒子の形成を回避できる傾向があり、後述する環式PAS(a)の固液分離性が改善する傾向がある。なお、溶媒(c)を気相を介して加える必要がある場合には、不純物を取り込みやすい粗大な粒子の形成を回避する観点から、溶媒(c)を小さな液滴の状態で滴下するか、もしくは噴霧して加えることが好ましい。
(4−3)環式PAS(a)の固液分離
本発明では、混合物(ii)を50℃を超え120℃以下の温度で固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)を固形分として回収率50重量%以上で回収する。
ここで、固液分離温度は50℃を超え120℃以下である必要がある。固液分離温度が50℃以下である場合、環式PAS(a)だけでなく、不純物(主に低分子量の線状PAS)も同様に析出する傾向があり、固液分離を行った際にこれらの不純物が環式PAS(a)に混入し、得られる環式PASの純度が低下する傾向がある。また、これら不純物の一部は、固液分離温度が50℃以下である場合、細かい粒子の状態で液中に分散して存在しやすく、例えば固液分離の手法に濾過を採用した場合には、ケークの通液性悪化の原因となりうる。また、温度が低いと溶媒の粘度は増大するが、水‐有機溶媒混合系では溶媒分子間に水素結合による相互作用が働くと考えられ、単一溶媒系よりも温度低下による粘度増大の影響が大きいことが推測される。よって、その影響によっても固液分離性が悪化して環式PAS(a)の回収効率低下につながると考えられる。さらに、混合物(i)中の環式PAS(a)濃度を高めることで生産性の向上を試みると、今度は混合物(ii)の粘度が著しく増大して流動性が低下するため、固液分離が極めて困難となる。固液分離温度を50℃未満とする特許文献7に示される従来技術では、上記の理由により環式PASの純度向上と生産性の両立についての改善が望まれていたが、本発明では、固液分離温度を50℃を超える温度としたことで、低分子量の線状PASの溶解状態が維持できることを見出し、純度と固液分離性を両立することが可能となった。
なお、環式PASをより高純度化し、かつ固液分離性を高めるためには、混合物(ii)の固液分離温度の下限は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。上記した好ましい温度以上では、低分子量の線状PASがより溶解しやすい傾向があり、固液分離の際にそれらが除去されて環式PASの純度が向上する傾向がある。また、環式PASケークの通液性悪化に寄与する細かい粒子の状態で液中に分散して存在する低分子量の線状PASが溶解しやすくなることで、固液分離性が改善する傾向がある。さらに、水‐有機溶媒混合系では、ある温度以上で溶媒分子間の水素結合による相互作用が弱まって粘度が低下しやすくなると推測され、その影響によっても固液分離性が改善すると考えられる。
一方で、固液分離温度が120℃を超える場合、環式PAS(a)が十分に析出しないため、固液分離時に環式PAS(a)をロスする傾向があり、純度よく回収率50重量%以上で回収することが困難となる。また、高温では溶媒が揮散して液組成が変化する傾向があるため、密封下で固液分離するには特殊な高圧対応の高価な設備を用意する必要があり、経済的に環式PASを得ることができなくなる。さらに、溶媒(c)の添加量を増大することで回収率の向上を試みると、今度は溶媒(c)の使用量が増大することで、溶媒回収にかかる設備コストが増大して経済的に環式PASを回収することができなくなる。
ここで、混合物(ii)の固液分離温度の上限は、110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。上記した好ましい温度以下では、環式PASの回収率がより高くなり、また、より簡易な設備で環式PAS回収を行うことが可能となる。
なお、上記の固液分離方法は特に限定されず、種々の公知技術、例えば濾過による分離、遠心分離、デカンテーション等を採用することができるが、簡便で効率的なプロセスであるとの観点から、濾過による分離方法が好ましく採用される。
本発明では、上記した条件で固液分離を行うことで混合物(ii)中に存在する環式PASの50重量%以上を固形分として回収することができる。
ここで、混合物(ii)を固液分離して環式PAS(a)が含まれる固形分を得て、次いでその固形分を溶媒を用いて洗浄する操作も、高純度な環式PASを得るための好ましい操作として付加的に行うことができる。固液分離によって得られた固形分中には、目的物の環式PAS(a)だけでなく、混合物(ii)の母液成分も含まれるが、この母液成分中には環式PAS(a)の純度低下につながる不純物が含まれる場合がある。よって、固形状の環式PASを各種溶媒を用いて洗浄し、母液成分を低減してこれら不純物を除去することで、より高純度な環式PASを回収することが可能となる。洗浄に用いる溶媒としては環式PASの溶解性が低い溶媒であれば特に制限はなく、本発明で用いる有機溶媒(b)や溶媒(c)と同じ溶媒でも良いし、それらとは異なる溶媒を用いても良いが、例えば溶媒(c)が好ましく例示でき、より好ましくは、有機溶媒(b)と溶媒(c)の混合溶媒が例示できる。このような好ましい洗浄溶媒を用いて付加的な洗浄操作を行うことで、より高純度な環式PASを得ることが可能である。上記の洗浄方法としては固形分ケークが堆積した分離フィルター上に洗浄溶媒をかけ流して洗浄する方法や、固形分ケークに洗浄溶媒を加えてスラリー化した後に再度固液分離する方法が好ましく例示できる。
ここで、本発明における環式PAS純度評価は、「不純物率」と「環式PAS純度」を用いて行う。不純物率とは、HPLC検出成分の全ピーク面積に対する環式PAS以外のピーク面積の占める割合であり、一方、環式PAS純度とは、固形分中に含まれる環式PASの割合であり、HPLCの定量値から求められる。
なお、本発明の環式PAS回収において、混合物(i)の調製、混合物(ii)の調製、環式PAS(a)の固液分離の少なくともいずれかの操作を非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、全ての操作を非酸化性雰囲気で行うことが最も好ましい。これらの操作を非酸化性雰囲気で行うことで、環式PASを回収する際の環式PASの架橋反応や分解反応、酸化反応等の好ましくない副反応の発生を抑制できるのみならず、回収操作に用いる有機溶媒(b)や溶媒(c)の酸化劣化等、好ましくない副反応を抑制できる傾向にある。なお、雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましく、中でも経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気がより好ましい。また、回収操作に処する各種成分が接する気相における酸素濃度は5体積%以下が好ましく、2体積%以下がより好ましく、酸素を実質的に含有しないことが最も好ましい。
以上の固液分離操作で得られた環式PAS(a)を含有する固形分は、混合物(ii)の母液成分、または、付加的に洗浄操作を行った場合はその洗浄溶媒を含有するため湿潤状態であるが、乾燥状態の環式PASを得たい場合には、この固形分について、例えば、真空乾燥機による乾燥方法や、密閉用器内に乾燥剤と共に置いて乾燥させる方法など、公知の乾燥方法によって乾燥処理を施しても良い。
(5)本発明の環式ポリアリーレンスルフィドの特性
上記の乾燥処理後に得られた環式PASは、通常、環式PASを50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含む純度の高いものであり、一般的に得られる線状PASとは異なる特性を有する工業的にも利用価値の高いものである。また、本発明の製造方法により得られる環式PASは上記式(A)におけるmが単一ではなく、m=2〜50の異なるmを有するものが得られやすいという特徴を有する。ここで好ましいmの範囲は3〜40、より好ましくは4〜30である。mがこの範囲の場合、後述するようにPASを得るためのプレポリマーとして環式PASを用いる場合に重合反応が進行しやすく、高分子量体が得られやすくなる傾向にある。この理由は現時点判然とはしないが、この範囲の環式PASは分子が環式であるがために生じる結合のゆがみが大きく、重合時に高分子量化が起こりやすいためと推測している。
なお、mが単一の環式PASは単結晶として得られるため、極めて高い融解温度を有するが、本発明で得られる環式PASは異なるmを有する混合物が得られやすく、これにより環式PASの融解温度が低いという特徴があり、このことは例えば環式PASを溶融して用いる際の加熱温度を低く設定できるという優れた特徴を発現することになる。
(6)本発明の環式ポリアリーレンスルフィドを配合した樹脂組成物
本発明で得られた環式PASを各種樹脂に配合して用いることも可能であり、このような環式PASを配合した樹脂組成物は、溶融加工時の優れた流動性を発現する傾向が強く、また滞留安定性にも優れる傾向にある。なお、本発明で得られる環式PASを配合した樹脂組成物を製造する方法には特に制限はないが、例えば特許文献1に示される樹脂組成物の製造方法が例示できる。
(7)環式ポリアリーレンスルフィドの高重合度体への転化
本発明によって製造される環式PASは(5)に述べたごとき優れた特性を有するので、ポリマーを得る際のプレポリマーとして好適に用いることが可能である。なおここでプレポリマーとしては本発明の環式PAS製造方法で得られる環式PAS単独でも良いし、所定量の他の成分を含むものでも差し障り無いが、環式PAS以外の成分を含む場合は線状PASや分岐構造を有するPAS等、PAS成分であることが好ましい。このようなPASプレポリマーをポリマーへ変換する方法に特に制限はないが、例えば特許文献1に示されるPASプレポリマーからポリマーへの変換方法が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
<環式ポリフェニレンスルフィドの組成測定>
環式ポリフェニレンスルフィドに含まれる異なる繰り返し単位数の環式ポリフェニレンスルフィドの比率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定性定量分析を行って算出した。HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム:Mightysil RP−18 GP150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nm)。
また上記HPLC測定により成分分割した各ピークの帰属は、成分分割した成分のマススペクトル分析、分取クロマトにより分割した各成分のMALDI−TOF−MS及びGPCによる分子量情報により行い、繰り返し単位数4から15までの環式PPSを帰属した。帰属した繰り返し単位数4から15までの環式PPSについて、標品による検量線を用いて定量を行い、溶液中の環式PPS濃度や回収した固形分の環式PPS純度を算出した。
なお、本発明における環式PAS純度評価は、「不純物率」と「環式PAS純度」を用いて行う。不純物率とは、HPLC検出成分の全ピーク面積に対する環式PAS以外のピーク面積の占める割合であり、一方、環式PAS純度とは、固形分中に含まれる環式PASの割合であり、HPLCの定量値から求められる。
<濾過速度の算出>
固液分離するスラリー100gを、ADVANTEC社製の万能型タンク付フィルターホルダーKST−90−UH(有効濾過面積約45平方センチメートル)に、直径90mm、平均細孔直径10μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターをセットし、タンク部分をバンドヒーターにて所望の温度に調温。所望の温度に加熱したスラリーをタンクに仕込み、タンクを密閉後、タンク内を窒素にて0.1MPaに加圧した。加圧後にフィルターホルダーの下部から濾過液が排出され始めた時点を起点として、50gの濾液が排出されるまでの時間を計測し、単位濾過面積基準の濾過速度(kg/(m・hr))を算出した。
[参考例1]
ここでは特許文献1に開示されている方法と同様の方法により、環式PPSを製造した例を示す。
<環式PPSの製造>
攪拌機を具備したステンレス製の反応器に水硫化ナトリウム48重量%水溶液を2.34kg(水硫化ナトリウムとして1.12kg、20.0モル)、水酸化ナトリウム48重量%水溶液1.75kg(水酸化ナトリウムとして0.840kg、21.0モル)、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)3.00kg(20.4モル)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)51.3kg(50.0リットル)を仕込んだ。原料混合物の有機極性溶媒量で表す基質濃度はイオウ成分1モル当たり2.50リットルであり、また、アリーレン単位の基質濃度はイオウ成分1モル当たり1.02モルであった。次に、窒素下で密封後に撹拌しながら内温を250℃まで昇温した後、2時間保持して反応させた。反応終了後、常温まで冷却後に反応混合物を回収した。
(参考例2)
ここでは、参考例1で得られた反応混合物について、固液分離操作を行うことで濾液を得て、少なくとも環式PPS及びNMPを含み、環式PPSの50重量%以上が溶解している混合物(i)を得た例を示す。
参考例1で得られた反応混合物を5kg分取し、撹拌機付きのガラス製容器に仕込んだ。この反応混合物を撹拌しながら窒素バブリングを行った後、ヒーターで100℃に加熱した。
加圧濾過器(平均細孔直径10μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターをセット)の内部を窒素置換した後、タンク部分をバンドヒーターにて100℃に調温した。
100℃に加熱した前記反応混合物を加圧濾過器のタンクに仕込み、密閉して窒素置換後、窒素で0.1MPaに加圧した。この加圧状態のまま液取りバルブを開放し、タンク下部から濾液を回収した。
得られた濾液をHPLC測定により分析したところ、環式PPSが0.55重量%の濃度で含まれることがわかった。この濾液についてエバポレーターによる濃縮を実施して環式PPS濃度を15重量%に調整し、以下の実施例における混合物(i)として用いた。
<混合物(i)の不純物率評価>
上記で得られた混合物(i)の一部を大過剰の水に分散させることで水に不溶な成分を回収し、次いで乾燥することで固形分を得た。赤外分光分析による構造解析の結果、この固形分はフェニレンスルフィド単位からなる化合物であることを確認した。
また、上記の混合物(i)をHPLCにより分析し、成分分割した各成分のマススペクトル分析から、繰り返し単位数4から15までの環式PPSを帰属した。その結果、混合物(i)のHPLCによって検出された全ピーク面積に対する環式PPS以外に由来するピーク面積の割合、すなわち本発明の方法で環式PAS回収を行う前の不純物率は3.3%であった。
<混合物(i)中の環式PPS溶解状況>
上記で得られた環式PPS濃度が15重量%の混合物(i)を100g測り取り、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却し、孔径10μmのメンブレンフィルターを装着した耐圧濾過器(ADVANTEC KST−90−UH)(窒素雰囲気下80℃に保温中)内に仕込み、系内を窒素でゲージ圧0.1MPaまで加圧して濾過を行い、フィルター上に残存する固形分を回収した。ここで、フィルター上に残存した固形分について乾燥後に重量を測定して混合物(i)中の環式PPS溶解状況を確認したところ、80℃の条件において50重量%以上が溶解していることを確認した。
(実施例1)
ここでは、参考例2で得られた少なくとも環式PPS及びNMPを含み、環式PPSの50重量%以上が溶解している混合物(i)について、溶媒(c)として水を用いて、環式PPSの回収を行った例を示す。
参考例2で得られた混合物(i)を100g測り取り、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。次いでこの混合物(i)を内温80℃にて撹拌したまま、チューブポンプを用いて水28.3gを25分かけてゆっくりと液中に加えた。この時、チューブは液中に直接セットし、気相を介さない状態で水の添加を行った(本操作により混合物(i)に加えた水の量は、NMPと水の量の合計に対して25重量%となった。)。この際、混合物(ii)中に徐々に固形分が形成され、水の滴下が終了した段階では粗大な固形分の形成は認められず、パウダー状の固形分が分散したスラリーであった。この状態で加熱を継続し、内温80℃に再調整した。
この内温80℃の混合物(ii)100gを、80℃に温調したADVANTEC社製の万能型タンク付フィルターホルダーKST−90−UH(直径90mm、平均細孔直径10μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターをセット)に仕込み、タンクを密閉後、タンク内を窒素にて0.1MPaに加圧することで熱時濾過を行った。50gの濾液が排出されるまでの時間を計測し、濾過時の単位時間・単位有効濾過面積当たりの濾過速度を算出したところ、875kg/(m・hr)であった。濾過後に得られた固形分(母液を含む)を80gの水に分散させ70℃で15分撹拌した後、ガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返して洗浄を行った。最後に得られた固形分を70℃の真空乾燥機で10時間乾燥し、乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式PPSであることが確認でき、環式PPSの回収率は98%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は2.5%であった。また得られた環式PPSをガスクロマトグラフィーにより分析した結果、NMPの含有率は0.1重量%未満であることがわかった。
本発明における好ましい方法で環式PPSの回収を行った場合、簡易な方法で効率よく高純度で環式PPSを得ることができた。
(実施例2)
混合物(i)に水を加える温度を110℃、混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を110℃とした以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は970kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は96%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は2.7%であった。実施例1と比較すると、回収率は微減、不純物率は微増したが、十分に高純度の環式PPSを効率よく得ることができた。
(実施例3)
実施例1と同様にして混合物(ii)の熱時濾過を行った後、ガラスフィルター上の固形分(母液を含む)に対して、重量比をNMP:水=75:25に調整した混合溶媒(80℃)を50gかけ流す洗浄操作を付加的に行い、その後、固形分を実施例1と同様の操作で水洗浄後に乾燥を行ったところ、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は98%、環式PPS純度は87%であり、不純物率は1.9%であった。実施例1と比較すると、溶媒をかけ流す洗浄操作を付加的に行ったことで、さらに高純度の環式PPSを効率よく得ることができた。
(比較例1)
混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を50℃とした以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は215kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は99%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は3.2%であった。実施例1と比較すると、回収率は同等であるものの、濾過速度が低下、また、不純物率は参考例2で得た混合物(i)の結果とほぼ変わらず、十分に高純度の環式PPSを効率よく得ることができなかった。
(比較例2)
混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を30℃とした以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は141kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は99%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は3.3%であった。実施例1と比較すると、回収率は同等であるものの、濾過速度が低下、また、不純物率は参考例2で得た混合物(i)の結果と変わらず、十分に高純度の環式PPSを効率よく得ることができなかった。
(比較例3)
混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を130℃とした以外は実施例2と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時に液成分が沸騰し、正常な固液分離操作が行えなかった。
(実施例4)
混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を65℃とした以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は553kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は98%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は2.8%であった。実施例1と比較すると、濾過速度は低下、不純物率は微増したが、比較例1と比較して高純度の環式PPSを効率よく得ることができた。
(実施例5)
混合物(i)に80℃で水を加えた後、冷却するのではなく加熱して混合物(ii)を熱時濾過する際の温度を110℃とした以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は955kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は95%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は2.8%であった。実施例1と比較すると、回収率は微減、不純物率は微増したが、熱時濾過温度が同じ実施例2とは同等の結果を得ることができた。
(実施例6)
あらかじめ混合物(i)にNMPを加えて環式PPS濃度を3重量%に調整した以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は418kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は88%、環式PPS純度は86%であり、不純物率は2.2%であった。実施例1と比較すると、回収率が低下したが、より高純度の環式PPSを効率よく得ることができた。
(実施例7)
あらかじめ混合物(i)にNMPを加えて環式PPS濃度を8重量%に調整した以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は646kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は96%、環式PPS純度は85%であり、不純物率は2.4%であった。実施例1と比較すると、回収率が低下したが、より高純度の環式PPSを効率よく得ることができた。
(実施例8)
混合物(i)に加える水の量を、NMPと水の量の合計に対して15重量%に変更した以外は実施例1と同様に環式PPSの回収を実施した。その結果、濾過時の濾過速度は680kg/(m・hr)、得られた乾燥固体の環式PPS回収率は65%、環式PPS純度は84%であり、不純物率は2.1%であった。実施例1と比較すると、回収率と濾過速度が低下したが、不純物の少ない環式PPSを効率よく得ることができた。

Claims (12)

  1. 少なくとも環式ポリアリーレンスルフィド(a)及び有機溶媒(b)を含み、環式ポリアリーレンスルフィド(a)の50重量%以上が溶解している混合物(i)に、有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えて混合物(ii)とした後、混合物(ii)を50℃を超え120℃以下の温度で固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)を固形分として回収率50重量%以上で回収する環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  2. 溶媒(c)を、気相を介さず混合物(i)に加える請求項1に記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  3. 少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む反応混合物を加熱して反応させ、得られた反応液を固液分離して濾液を得て、次いでこの濾液を混合物(i)として用いる請求項1または2のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  4. 混合物(i)中の環式ポリアリーレンスルフィド(a)含有率が5重量%以上50重量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  5. 混合物(i)に溶媒(c)を加える温度が50℃を超え120℃以下の温度である請求項1から4のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  6. 混合物(i)に加える溶媒(c)量が、有機溶媒(b)量と溶媒(c)量の合計に対して5重量%以上50重量%以下である請求項1から5のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  7. 溶媒(c)が有機溶媒(b)と混和する請求項1から6のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  8. 有機溶媒(b)が非プロトン性極性溶媒である請求項1から7のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  9. 溶媒(c)がプロトン性溶媒である請求項1から8のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  10. 混合物(i)中の環式ポリアリーレンスルフィド(a)の95重量%以上100重量%以下が有機溶媒(b)に溶解している請求項1から9のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  11. 環式ポリアリーレンスルフィド(a)の回収操作を行う際の雰囲気が非酸化性雰囲気である請求項1から10のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  12. 混合物(ii)を固液分離して環式ポリアリーレンスルフィド(a)が含まれる固形分を得て、次いでその固形分を溶媒を用いて洗浄する請求項1から11のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法。
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