JP2017031404A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形加工時の発生ガスや含有塩素が低減された高品質と、溶融加工時の高い流動性を両立するポリアリーレンスルフィドを提供する。
【解決手段】少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2を行った後、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を行い、工程3で分離した固形分(3)から重量平均分子量が2,500以上20,000以下のポリアリーレンスルフィドを単離するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2を行った後、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を行い、工程3で分離した固形分(3)から重量平均分子量が2,500以上20,000以下のポリアリーレンスルフィドを単離するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明はポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。より詳しくはポリアリーレンスルフィド樹脂として渇望されている、金属不純物や含有ハロゲンが低減された高品質と、溶融加工時の高い流動性を両立するポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
近年のRoHS規制、REACH規制など国際的な化学物質規制が高まっている中、電気電子部品分野では環境に対する取り組みとして低ハロゲン化への動きが活発化している。例えば汎用樹脂では難燃性を付与させるためにハロゲン系難燃剤を用いることが多いが、低ハロゲン化の流れから、ハロゲン系難燃剤なしでも十分な難燃性が得られる樹脂が注目されている。中でもポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略する場合もある)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下PASと略する場合もある)樹脂は、ハロゲン系難燃剤を用いずとも高い難燃性を有していると同時に、耐薬品性、耐湿熱性、バリア性、電気絶縁性など優れた特性を有しているため、ハロゲン系難燃剤レスの樹脂として注目されている。
ジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を原料とする一般的なPAS製造方法として、重合反応物を高温高圧の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ溶媒回収と同時に重合体を粉粒状にして回収するフラッシュ法が知られており、この方法では不揮発成分であるオリゴマー成分を含むPASを回収する(例えば特許文献1)。
それに対し、重合反応物を高温高圧の状態から徐々に冷却して反応系内のPAS成分を析出させ、金網分離によりオリゴマー成分を除去してPASを得るクエンチ法が知られている。(例えば特許文献2)。
また、上記のごとき従来のポリアリーレンスルフィドの製造方法で、例えば特許文献3には塩素原子含有量が1,500〜2,000ppmのポリアリーレンスルフィド樹脂(A)が開示されている。また、例えば特許文献4には塩素含有量1200〜1600ppmのポリアリーレンスルフィド(a)が開示されている。
ハロゲン含有量の抜本的な低減を実現する方法として、原料としてジハロゲン化芳香族化合物と共にモノハロゲン化芳香族化合物やチオール化合物を併用する方法が提案されている(例えば特許文献5〜7参照)。
低分子量で且つ高品質なポリアリーレンスルフィドを製造する方法として、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とを有機極性溶媒中で接触させて反応させて得られる、少なくともポリアリーレンスルフィド、オリゴアリーレンスルフィド、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機極性溶媒を含む反応混合物からポリアリーレンスルフィドを回収する方法であって、(a)反応混合物においてポリアリーレンスルフィドが溶解するに足る温度で反応混合物を第1の固液分離に処することでポリアリーレンスルフィド、オリゴアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む濾液成分を得て、(b)次いで、前記濾液成分をポリアリーレンスルフィドが溶解しない温度とした後に濾液成分を第2の固液分離に処することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法が開示されている(例えば特許文献8)。
また、特許文献9及び10に代表される環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法においては、その原料として用いる線状ポリアリーレンスルフィドの製造方法として、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをスルフィド化剤のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上の有機極性溶媒を用いて、加熱して反応させて得られた環式ポリアリーレンスルフィドと線状ポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィド混合物から、環式ポリアリーレンスルフィドを分離することによって線状ポリアリーレンスルフィドを得ることが開示されている。
同じく環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法として特許文献11では、原料であるジハロゲン化芳香族化合物を2段階に分けて仕込む方法が開示されている。本特許文献においては、環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法で得られた反応生成物を固液分離して、PAS成分を、湿潤状態のPASとして分離し、環式PASの製造原料として活用することが示されている。
ポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、ハロゲン化アルキルを用いる方法が開示されている。例えば特許文献12ではポリアリーレンスルフィド樹脂を解重合した後、ハロゲン化アルキルを反応させてポリアリーレンスルフィドの末端にアルキル基を導入している。また、例えば特許文献13ではポリアリーレンスルフィドの精製において少量のハロゲン化アルキルを共存させている。
前記の一般的なPAS製造方法においてジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を原料とする場合には、ジハロゲン化芳香族化合物に由来するハロゲンが任意の割合で分子鎖末端に存在するため、PAS樹脂自体が高いハロゲン含有量を示す。また、重合反応終了後のPAS回収方法もハロゲン含有量に影響を与える。一般的に、PAS製造の際に同時に生成するオリゴマー成分は高いハロゲン含有量を示す。
ここで、例えば特許文献1に開示されるフラッシュ法では分子量の低いPASを回収することが可能であるため、溶融加工時の流動性に優れるPASが得られる傾向にあるが、他方でオリゴマー成分を含有しているがゆえに5000ppm程度の高いハロゲン含有量を示す。
それに対し、例えば特許文献2に開示されるクエンチ法ではフラッシュ法に比較して低いハロゲン含有量を示す。しかし、クエンチ法ではオリゴマー成分を除去するが故に、高分子量PASにその製造が限定される傾向にあり、流動性に劣るPASとなる傾向が強かった。
また、例えば特許文献3や特許文献4ではハロゲン(塩素)含有量を低減したポリアリーレンスルフィド樹脂が開示されているが、特許文献3に開示されているポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は分子量25000〜30000であり、また、特許文献4に開示されているポリアリーレンスルフィド(a)は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が200〜2000ポイズのリニア型ポリフェニレンスルフィドであり、通常、溶融粘度200ポイズ以上のPPSの分子量は2万を大きく超えるものである。すなわち、いずれも分子量2万以下の流動性に優れるポリアリーレンスルフィドは得られていなかった。
上記のように、PAS製造における従来技術では、ハロゲン量の低減と、成形加工時の良流動性(低分子量)にはトレードオフの関係があり、ハロゲン含有量の低減と低分子量を両立するPPSを得ることは困難であった。
これら従来技術における課題の中で、例えば特許文献5〜7のようなハロゲン含有量の抜本的な低減を実現する方法が提案されており、これらの手法では併用したモノハロゲン化芳香族化合物やチオール化合物が、生成するポリアリーレンスルフィドの末端に導入されることで、ポリアリーレンスルフィドのハロゲン含有量の低減が期待される。しかしながらこれら方法では、主たる原料であるジハロゲン化芳香族化合物とは反応性が異なるモノハロゲン化芳香族化合物やチオール化合物を効率よく共重合させることが必要になる。したがってこれらの方法では、ジハロゲン化芳香族化合物が一定量反応した段階でモノハロゲン化芳香族化合物やチオール化合物を追加して更に反応させるといった厳密な反応制御が必要であるのと同時に、反応後に未反応物として残留するジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化芳香族化合物やチオール化合物をそれぞれ分離回収するための複雑な製造プロセスが必須となるといった課題がある方法であった。
また、これら特許文献1〜7に代表される、ポリアリーレンスルフィドの含有ハロゲン低減法による高品質化方法では、溶融加工時の高い流動性を維持すること、即ち低分子量PASの製造と品質の両立を達成することは実現されていなかった。
これらに対し、例えば特許文献8に開示されている方法では、2種の固液分離により金属不純物とオリゴマー成分を除去することでPASの高品質化を図っており、PAS製造の条件の選択によって低分子量PASを提供することにも成功している。しかしながら、PASの製造において、原料であるジハロゲン化芳香族化合物がスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり1モルであるため、ハロゲン含有量が多いPASしか製造することができなかった。
また、特許文献9及び10に代表される環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法においては、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とをスルフィド化剤のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上の有機極性溶媒を用いているため、再現性良くまた簡便な方法で分子量が低いPASを製造することが実現可能である。しかしながら、これらの方法では、前記特許文献8と同様に原料であるジハロゲン化芳香族化合物がスルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり1モル以上であるため、ハロゲン含有量が多いPASしか製造することができなかった。またこれらの発明では環式PASの製造が目的で有り、PAS成分は原料としての活用以外には述べられておらず、高品質化に関しても何ら言及されておらずその示唆もない。
同じく特許文献11においても環式PASの製造が目的であるため、PAS成分は原料としての活用以外には述べられておらず、高品質化に関しても何ら言及されておらずその示唆もない。また、本特許文献においては、環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法で得られた反応生成物を固液分離して、PAS成分を、湿潤状態のPASとして分離し、環式PASの製造原料として活用することが示されている。しかしこの湿潤状態のPAS成分は、反応で用いた有機極性溶媒を過半として含むものであり、その特性に関しては何ら触れられておらず、ここから単離したPASに関しては何ら記載もされていなかった。
特許文献12の方法ではポリアリーレンスルフィド樹脂を解重合するため、得られるポリアリーレンスルフィドは原料よりも低分子量化することが期待できる。しかし、解重合の原料に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂はα−クロロナフタレン溶液(濃度0.4g/dl)、206℃における対数粘度が0.1〜0.5(dl/g)のポリフェニレンスルフィドであり、通常、この粘度領域のPPSの分子量は2万を大きく超えるものであり、かつ解重合に用いるアルカリ金属硫化物の量が少ないため、ハロゲン化アルキルと反応後に得られるポリアリーレンスルフィドの分子量も2万超であり、溶融加工時の流動性は不十分と推測される。また、原料のポリアリーレンスルフィド樹脂のハロゲン量を特段低減しない限り、得られるポリアリーレンスルフィドのハロゲン量は前記の一般的なポリアリーレンスルフィドと同程度で高い水準にあると推測される。
特許文献13の方法では少量のハロゲン化アルキルを含む非プロトン性極性溶媒で洗浄する操作を採用するため、不純物が少なく熱安定性にも優れる高品質な得られるポリアリーレンスルフィドが得られると期待できる。しかしながら、得られるポリアリーレンスルフィドの分子量は約2万〜4万であり、溶融加工時の流動性には劣るものであった。
上記従来技術に対し本発明はポリアリーレンスルフィドの製造方法、より詳しくはポリアリーレンスルフィド樹脂として渇望されている、金属不純物やハロゲン量が低減された高品質と、溶融加工時の高い流動性を両立するポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。
[1] 少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2を行った後、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を行い、工程3で分離した固形分(3)から重量平均分子量が2,500以上20,000以下のポリアリーレンスルフィドを単離するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[2] 前記の工程1における原料混合物中のジハロゲン化芳香族化合物(b)の量がスルフィド化剤(a)のイオウ原子1モルあたり0.8モル以上、1.05モル以下である前記[1]に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[3] 前記の工程1における原料混合物中の有機極性溶媒の量が原料混合物中のイオウ原子1モルあたり1.25リットル以上、50リットル以下である前記[1]または[2]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[4] 前記の工程2におけるアルキル化剤がハロゲン化アルキルである前記[1]から前記[3]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[5] 前記の工程2におけるアルキル化剤が炭素数1〜5のハロゲン化アルキルである前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[6] 前記の工程2における温度が有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域である前記[1]から[5]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[1] 少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2を行った後、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を行い、工程3で分離した固形分(3)から重量平均分子量が2,500以上20,000以下のポリアリーレンスルフィドを単離するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[2] 前記の工程1における原料混合物中のジハロゲン化芳香族化合物(b)の量がスルフィド化剤(a)のイオウ原子1モルあたり0.8モル以上、1.05モル以下である前記[1]に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[3] 前記の工程1における原料混合物中の有機極性溶媒の量が原料混合物中のイオウ原子1モルあたり1.25リットル以上、50リットル以下である前記[1]または[2]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[4] 前記の工程2におけるアルキル化剤がハロゲン化アルキルである前記[1]から前記[3]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[5] 前記の工程2におけるアルキル化剤が炭素数1〜5のハロゲン化アルキルである前記[1]から[4]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
[6] 前記の工程2における温度が有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域である前記[1]から[5]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
本発明によれば、高品質(金属不純物量およびハロゲン含有量が少ない)で、且つ溶融加工時の流動性の極めて高いポリアリーレンスルフィドを効率よく製造する方法が提供できる。
以下に、本発明実施の形態を説明する。
(1)スルフィド化剤
本発明で用いられるスルフィド化剤とはジハロゲン化芳香族化合物にスルフィド結合を導入できるものであれば良く、例えばアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明で用いられるスルフィド化剤とはジハロゲン化芳香族化合物にスルフィド結合を導入できるものであれば良く、例えばアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化リチウムおよび/または硫化ナトリウムが好ましく、硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。なお、水性混合物とは水溶液、もしくは水溶液と固体成分の混合物、もしくは水と固体成分の混合物のことをさす。一般的に入手できる安価なアルカリ金属硫化物は水和物または水性混合物であるので、このような形態のアルカリ金属硫化物を用いることが好ましい。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化リチウムおよび/または水硫化ナトリウムが好ましく、水硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を接触させて調製したアルカリ金属硫化物を用いることもできる。これらのアルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物は水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができ、水和物または水性混合物が入手のし易さ、コストの観点から好ましい。
さらに、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめ水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素を接触させて調製したアルカリ金属硫化物を用いることもできる。硫化水素は気体状、液体状、水溶液状のいずれの形態で用いても差し障り無い。
本発明においてスルフィド化剤の量は、脱水操作などによりジハロゲン化芳香族化合物との反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.50モル、好ましくは1.00から1.25モル、より好ましくは1.005から1.200モル、更に好ましくは1.005から1.100モル、また更に好ましくは1.005から1.05モル、最も好ましくは1.005から1.05モル未満の範囲が例示できる。スルフィド化剤として硫化水素を用いる場合にはアルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましく、この場合のアルカリ金属水酸化物の使用量は硫化水素1モルに対し2.0〜3.0モル、好ましくは2.01〜2.50モル、より好ましくは2.04〜2.40モル、更に好ましくは2.01から1.200モル、また更に好ましくは2.01から2.10モル、最も好ましくは2.01から2.10モル未満の範囲が例示できる。アルカリ金属水酸化物の使用量をこのような範囲とすることにより、得られるPASに含まれる窒素含有量がより低減する傾向、すなわちPASに含まれる窒素原子を含有する不純物構造の量が低減でき、より高品質なPASが得られる傾向にある。この理由は明らかではないが、PASを製造する反応においてアルカリ金属水酸化物に起因する副反応が抑制されるため、窒素含有の副生成物が低減することや、窒素を含む不純物がPASに導入される反応が抑制されるため、より純度の高いPASを得やすくなると推測している。
(2)ジハロゲン化芳香族化合物
本発明の実施形態で使用されるジハロゲン化芳香族化合物とは、芳香環の二価基であるアリーレン基と、2つのハロゲノ基とを有する芳香族化合物である。ジハロゲン化芳香族化合物1モルは、アリーレン単位1モルとハロゲノ基2モルを有している。たとえば、アリーレン基としてベンゼン環の二価基であるフェニレン基を有すると共に2つのハロゲノ基を有する化合物として、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、および1−ブロモ−3−クロロベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼンを挙げることができる。さらに、ジハロゲン化芳香族化合物としては、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1−メチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、および3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含む化合物を挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものであり、さらに好ましくは90〜100モル%含むものである。また、環式PAS共重合体を得るために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明の実施形態で使用されるジハロゲン化芳香族化合物とは、芳香環の二価基であるアリーレン基と、2つのハロゲノ基とを有する芳香族化合物である。ジハロゲン化芳香族化合物1モルは、アリーレン単位1モルとハロゲノ基2モルを有している。たとえば、アリーレン基としてベンゼン環の二価基であるフェニレン基を有すると共に2つのハロゲノ基を有する化合物として、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、および1−ブロモ−3−クロロベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼンを挙げることができる。さらに、ジハロゲン化芳香族化合物としては、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1−メチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、および3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含む化合物を挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものであり、さらに好ましくは90〜100モル%含むものである。また、環式PAS共重合体を得るために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
(3)有機極性溶媒
本発明の実施形態ではスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物との反応を行う際や、反応で得られた反応生成物の固液分離を行う際に有機極性溶媒を用いるが、この有機極性溶媒としては有機アミド溶媒が好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、およびN−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類や、N−メチル−ε−カプロラクタムおよびε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類や、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびヘキサメチルリン酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでもN−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。
本発明の実施形態ではスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物との反応を行う際や、反応で得られた反応生成物の固液分離を行う際に有機極性溶媒を用いるが、この有機極性溶媒としては有機アミド溶媒が好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、およびN−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類や、N−メチル−ε−カプロラクタムおよびε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類や、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびヘキサメチルリン酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでもN−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。
(4)アルキル化剤
本発明の実施形態で使用されるアルキル化剤とは、ポリアリーレンスルフィドの末端のチオールまたはチオラートアニオンをアルキル化できるものであれば良い。アルキル化剤の種類としてはハロゲン化アルキルや、硫酸またはスルホン酸のアルキルエステルなどアルキル基と脱離基からなる化合物、あるいはジアゾメタンなどが例示でき、中でもハロゲン化アルキルが好ましい。
本発明の実施形態で使用されるアルキル化剤とは、ポリアリーレンスルフィドの末端のチオールまたはチオラートアニオンをアルキル化できるものであれば良い。アルキル化剤の種類としてはハロゲン化アルキルや、硫酸またはスルホン酸のアルキルエステルなどアルキル基と脱離基からなる化合物、あるいはジアゾメタンなどが例示でき、中でもハロゲン化アルキルが好ましい。
ここでアルキル化剤のアルキル基としては、任意の炭素数が選択でき、中でも炭素数は1〜5が好ましい。また、直鎖状または分岐鎖を有するもの、あるいは環状のいずれでも構わないが、直鎖状または分岐鎖を有するものが好ましく、直鎖状のものがより好ましい。アルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基が例示でき、中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、およびn−ペンチル基を好ましいアルキル基として挙げることができる。また、ハロゲン化アルキルのハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択でき、反応性と汎用性から塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。本発明ではこれらハロゲン原子と前記アルキル基の中から選ばれる任意の組み合わせからなるハロゲン化アルキルをアルキル化剤として好ましく用いることができ、また、異なる2種以上のアルキル化剤を組み合わせて用いることも可能である。
(5)ポリアリーレンスルフィド
本発明におけるポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーであって、その構造は線状であることが好ましい。ここでArとしては下記の式(A)〜式(L)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーであって、その構造は線状であることが好ましい。ここでArとしては下記の式(A)〜式(L)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
(ただし、式中のR1,R2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、ハロゲン基以外が好ましい。また、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(M)〜式(P)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
また、本発明におけるPASは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいPASとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)の他、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられる。
ここで、ジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を原料とする一般的なポリアリーレンスルフィドは末端構造としてハロゲンおよび/またはアルカリ金属チオラートを有しており、これらがポリアリーレンスルフィドのハロゲン量やアルカリ金属不純物量に影響する。
本発明におけるポリアリーレンスルフィドは、後述の工程2においてアルキル化剤を添加するため、少なくとも一部の末端にアルキル化剤に由来するアルキル基が導入されていることが特徴である。ここでポリアリーレンスルフィドの全末端に対するアルキル基の比率の下限としては50%以上が例示でき、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上がよりいっそう好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が殊更好ましい。前記アルキル基の比率が高いほど、すなわち、アルキル化剤添加前の末端のアルカリ金属チオラート構造が多いほどポリアリーレンスルフィドの塩素量は低減する傾向にあり、また、その他の末端も少ない、高純度のポリアリーレンスルフィドが得られるため好ましい。ここで、前記アルキル基の比率は、ポリアリーレンスルフィドの固体NMR分析にて検出される末端のアルキル基とアリーレン単位の積分値の比と、別途分析可能な分子量との関係からを見積もることができる。
本発明におけるPASの溶融粘度に特に制限は無いが、本発明の方法によれば、溶融粘度が低く流動性に優れるPASが得られる傾向にある。具体的には、300℃における溶融粘度が0.01〜10Pa・sの範囲が例示でき、0.05〜7Pa・s、特に好ましくは0.1〜5Pa・sの極めて流動性の高いPASが得られる傾向にある。ここでPASの溶融粘度は動的粘弾性測定法によって測定することができ、例えば平行円板型(直径25mm)であって下部プレートにカップ(内径約28mm)を具備したジオメトリーを具備する回転型動的粘弾性測定装置(レオメーター)にて、窒素気流下、角周波数3.1/秒で100℃から320℃まで5℃/分で昇温した際の、300℃における粘度である。なお、従来製法で得られる一般的なPASの溶融粘度は数百Pa・sであり、本発明のPASは従来製法のPASよりも大幅に低粘度であり流動性に優れる。また、従来製法で特殊な製造条件を設定することで数十Pa・sのPASが得られることも知られているが、この場合のPASの分子量が低く、末端量が増加するのに伴い、ハロゲンおよび/または金属不純物量の増加傾向や溶融時の発生ガスが著しく増大するといった課題が有り、工業的に活用可能なPASでは無かった。一方で従来のPAS製法において、溶融時の発生ガス量を低減する手法として、酸化性雰囲気下で加熱処理する手法(キュアリング)が知られているが、この手法ではガスの低減と同時にPASの溶融粘度の著しい増大が進行するため、本発明のPASよりも溶融粘度の高いPASしか得られないという課題があった。
また、本発明では分子量の低いPASを得やすい傾向に有り、その分子量は重量平均分子量で2,500〜20,000であり、5,000〜18,000が好ましく、5,000〜16,000がより好ましい。一般に重量平均分子量が前記範囲のPASは、極めて高い流動性の発現と、機械強度や耐薬品などの特性の発現を両立するものとなる。また、後述するPASとオリゴアリーレンスルフィドの分離操作を行う条件下において、この様なPASは有機極性溶媒中で固形分として存在しやすくなるため、オリゴアリーレンスルフィドとの分離性が著しく向上する傾向にあるため、本発明においては特に好適であるといえる。
本発明のPASは、従来のPASと比べて品質面で優れており、特にPASの特性として重視される、ハロゲン量や金属不純物量が少ないという特徴を有する。
本発明のPASがハロゲンを含有する場合、その総量の好ましい上限は5,000ppm以下であり、より好ましくは3,500ppm以下、更に好ましくは2,500ppm以下、より一層好ましくは2,000ppm以下であり、一方、好ましい下限は10ppm以上、より好ましくは30ppm以上、更に好ましくは50ppm以上であり、この範囲ではPASの電気特性や滞留安定性がより良好となる傾向にある。
PASに含有されるハロゲンは、前述したとおりPASの末端構造として存在していると推測される。ここで従来技術によるPASであって本発明のPASと同等の分子量を有する従来PASのハロゲン量は、先に示した本発明のPASのハロゲン量よりも大幅に多い。本発明の好ましい製造法によって得られるPASはこれら従来技術とは異なり、後に詳述するとおりチオール基を末端に有するポリアリーレンスルフィドが生成しやすい条件を経て製造するために低いハロゲン量と低分子量の両立が可能となったと推測している。
なお、本発明の好ましい実施形態において、ジハロゲン化芳香族化合物およびアルキル化剤としてそれぞれ塩素化体を用いた場合にはPASに含有されるハロゲンは実質的に塩素のみとなることもある。この場合には上記ハロゲンの総量は塩素量に相当し、極めて低塩素のPASといえる。
なお、本発明の好ましい実施形態において、ジハロゲン化芳香族化合物およびアルキル化剤としてそれぞれ塩素化体を用いた場合にはPASに含有されるハロゲンは実質的に塩素のみとなることもある。この場合には上記ハロゲンの総量は塩素量に相当し、極めて低塩素のPASといえる。
また、本発明のPASの金属不純物は前記の通り末端のアルキル金属チオラートにも由来するアルカリ金属であり、後述の工程2でアルキル化剤を添加してアルキル金属チオラートと反応させ、低減することにより金属不純物量が低減できる。このアルカリ金属含有量の好ましい上限は8000ppm以下が例示でき、6000ppm以下がより好ましく、5000ppm以下がよりいっそう好ましく、3000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が殊更このましい。また、回収方法によってはアルカリ金属含有量を更に低減することも可能であり、実質的にアルカリ金属を含まないことが理想で最も好ましい状態である。この範囲では特にPASの電気特性がより良好となる傾向にある。なお、本発明のアルカリ金属含有量は、試料を電気炉で灰化し、灰化物を濃硝酸で溶解後に希硝酸で定容した液をICP重量分析法およびICP発光分光分析法にて分析して得た分析値である。
(6)オリゴアリーレンスルフィド
本発明におけるオリゴアリーレンスルフィドとは式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。また、一部の末端には前記のアルキル化剤に由来するアルキル基が導入されていることもある。Arとしては前記式(A)〜式(L)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
本発明におけるオリゴアリーレンスルフィドとは式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。また、一部の末端には前記のアルキル化剤に由来するアルキル基が導入されていることもある。Arとしては前記式(A)〜式(L)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
また、本発明におけるオリゴアリーレンスルフィドは前記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。これらの代表的なものとして、オリゴフェニレンスルフィド、オリゴフェニレンスルフィドスルホン、オリゴフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいオリゴアリーレンスルフィドとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を80モル%以上、特に90モル%以上含有するオリゴフェニレンスルフィドの他、オリゴポリフェニレンスルフィドスルホン、オリゴフェニレンスルフィドケトンが挙げられる。
本発明における各種オリゴアリーレンスルフィドの平均分子量は前述のPASよりも低いものと定義でき、一般的なオリゴアリーレンスルフィドの重量平均分子量としては200〜5,000が例示でき、200〜2,500が好ましく、300〜2,000がより好ましい。本発明者らはPASおよびオリゴアリーレンスルフィドの特性の違いを詳細に検討した結果、重量平均分子量が前記範囲のオリゴアリーレンスルフィドは前述のPASと比べて各種溶剤への溶解性にすぐれる傾向にあることを見出した。特に、オリゴアリーレンスルフィドは有機極性溶媒への溶解性が高く、この点で前述のPASとは特性が大きく異なることを見出した。すなわち、後述するPASとオリゴアリーレンスルフィドの分離操作を行う条件下において、PASは有機極性溶媒中で固形分として存在しやすく、一方でオリゴアリーレンスルフィドは有機極性溶媒に溶解しやすいため、簡易な固液分離操作により分離性よくPASとオリゴアリーレンスルフィドを分離できることを見出し本発明の完成に至った。この観点から、本発明においてオリゴアリーレンスルフィドの重量分子量は前述の範囲が特に好適であるといえる。
また、本発明のオリゴアリーレンスルフィドの構造に特に制限はなく、線状構造、分岐構造、グラフト構造、環状構造など各種構造、およびこれらの混合物が許容できる。この中でも線状および/または環状のオリゴアリーレンスルフィドが好ましく、これら構造体を得るためには厳密な反応制御や分岐構造を導入するための第三成分を必要としないという利点がある。
(7)ポリアリーレンスルフィドの製造方法
本発明の実施の形態では、少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1と、工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2と、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を経て得られた反応生成物から、ポリアリーレンスルフィドを単離することが特徴であり、これにより、前記(5)項で示したような優れた特性を有するポリアリーレンスルフィドを製造することが可能である。
本発明の実施の形態では、少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1と、工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2と、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を経て得られた反応生成物から、ポリアリーレンスルフィドを単離することが特徴であり、これにより、前記(5)項で示したような優れた特性を有するポリアリーレンスルフィドを製造することが可能である。
以下、工程1から工程3の各工程について詳述する。
(8)工程1:ポリアリーレンスルフィドの製造
本発明の実施形態では、上記原料成分を含む原料混合物を工程1で用いる。工程1では、原料混合物に含まれる少なくともスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とが反応することで目的物であるポリアリーレンスルフィドの生成が進行する。
本発明の実施形態では、上記原料成分を含む原料混合物を工程1で用いる。工程1では、原料混合物に含まれる少なくともスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とが反応することで目的物であるポリアリーレンスルフィドの生成が進行する。
ここで、工程1で用いる原料混合物における、原料混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の下限値は、0.80モル以上が例示でき、0.82モル以上が好ましく、0.87モル以上がより好ましく、0.90モル以上が更に好ましく、0.92モル以上がよりいっそう好ましく、0.94モル以上が殊更好ましい。また、上記アリーレン単位の上限値は、1.05モル以下が例示でき、1.02モル以下が好ましく、1.005モル以下がより好ましく、1.00モル未満がさらに好ましく、0.995モル以下がよりいっそう好ましく、0.990モル以下が殊更好ましい。
上記の反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の下限値として、より低い下限値を選択するほど、低分子量でハロゲン量が低いポリアリーレンスルフィドが得やすくなる傾向にある。また、より高い下限値を選択するほど、高分子量で不純物の生成量を低減できる傾向にある。特に0.94モル未満の下限値を選択した場合にはポリアリーレンスルフィドのハロゲン量が殊更に低減できる傾向が強く、一方で0.94モル以上の下限値を選択した場合には不純物の生成を顕著に抑制できる傾向が強い。
ここで工程1では反応混合物中のスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物が反応することでアリーレンスルフィドユニットが逐次的に形成してポリアリーレンスルフィドが生成する。ここでスルフィド化剤に対してジハロゲン化芳香族化合物が過剰の場合、即ち反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の比が高いほどハロゲノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドが生成し易くなる。逆にスルフィド化剤に対してジハロゲン化芳香族化合物が不足する場合、即ち反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の比が低い場合には、チオール基を末端に有するポリアリーレンスルフィドが生成する傾向となる。
ここで後者、即ちスルフィド化剤に対してジハロゲン化芳香族化合物が不足する方が、生成するポリアリーレンスルフィドは末端ハロゲノ基が少なくなる傾向となるが、ジハロゲン化芳香族化合物が不足しすぎる場合には、生成するPASの分子量が極端に低下し、またPASの溶融加工時の安定性も低下する傾向にある。この様なスルフィド化剤に対するジハロゲン化芳香族化合物のモル比の関係から、前述した好ましい範囲を採用することでポリアリーレンスルフィドのハロゲン量の低減とオリゴマー量の低減を両立しやすくなる。
反応混合物に含まれるアリーレン単位とは、原料として仕込んだスルフィド化剤(a)とジハロゲン化芳香族化合物(b)との反応が全く進行していない段階においては、アリーレン単位を含む原料がジハロゲン化芳香族化合物(b)のみの場合は、反応混合物に含まれるジハロゲン化芳香族化合物(b)に由来するアリーレン単位をさす。
また、反応混合物中のアリーレン単位の量は、ジハロゲン化芳香族に由来するアリーレン単位および反応系内に存在するアリーレンスルフィド化合物の量をそれぞれ定量して求めることも可能である。ここで反応混合物中のジハロゲン化芳香族化合物量は後述するガスクロマトグラフ法を用いる方法で求めることができる。また、反応混合物中のアリーレンスルフィド化合物の量は、反応混合物の一部を大過剰の水に分散させて水に不溶な成分を回収し、回収した成分を乾燥して得られる固形分の量を測定することにより求めることが可能である。
ここで本発明の実施形態では、工程1における反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位が0.80モル以上1.00モル未満といった、イオウ成分に対するアリーレン単位が不足する条件を好ましく設定することが可能である。従来、このような範囲では後で詳述する工程3のようにポリアリーレンスルフィドの回収を行う際の固液分離を行う際の分離性が極めて低く、効率的に目的物が得られにくいといった課題があった。しかしながら本発明の実施形態では、工程1に引き続き工程2を行うことを特徴とするため、このような範囲で反応を行っても問題なく目的物が得られ、さらにポリアリーレンスルフィドの品質も向上するといった効果があることを見出し、本発明の実施形態を完成させるに至った。
工程1では上記組成の反応混合物を加熱して反応を行う。この反応における温度は、常圧下における反応混合物の還流温度を越える温度が望ましい。この望ましい温度は反応に用いるスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒の種類、量によって多様化するため一意的に決めることはできないが、通常120℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは225℃以上とすることができる。また、350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは310℃以下、さらに好ましくは300℃以下とすることができる。
この好ましい温度範囲ではスルフィド化剤(a)とジハロゲン化芳香族化合物(b)の実質の反応消費が速やかに進行してポリアリーレンスルフィドが生成し、短時間で反応が進行する傾向にある。なおここで常圧とは、大気の標準状態近傍における圧力のことであり、大気の標準状態とは、約25℃近傍の温度、絶対圧で101kPa近傍の大気圧条件のことである。また、還流温度とは、反応混合物の液体成分が沸騰と凝縮を繰り返している状態の温度である。本発明の実施形態では反応混合物を常圧下の還流温度を超えて加熱することが望ましいことを前述したが、反応混合物をこのような加熱状態にする方法としては、例えば反応混合物を、常圧を越える圧力下で反応させる方法や、反応混合物を密閉容器内で加熱する方法が例示できる。また、反応は一定温度で行なう1段階反応、段階的に温度を上げていく多段反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもかまわない。
工程1における反応時間は使用する原料の種類や量あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。ここで、後述するように工程1に次いで工程2を行うにあたっては、工程1において反応混合物中のスルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物を十分に反応消費してから工程2を行うことが好ましいが、前述の好ましい反応時間とすることで、これら原料成分を十分に反応消費できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限は無いが、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
工程1における圧力に特に制限はなく、また圧力は、反応混合物を構成する原料、その組成、および反応温度等により変化するため一意的に規定することはできないが、好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.05MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上が例示できる。なお、本発明の実施形態の好ましい反応温度においては反応物の自圧による圧力上昇が発生するため、この様な反応温度における好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.25MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上を例示できる。また、好ましい圧力の上限としては、10MPa以下、より好ましくは5MPa以下が例示できる。
この様な好ましい圧力範囲では、スルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物を接触させて反応させるのに要する時間が短くできる傾向にある。また、反応混合物を加熱する際の圧力を前記好ましい圧力範囲とするために、反応を開始する前や反応中など随意の段階で、好ましくは反応を開始する前に、後述する不活性ガスにより反応系内を加圧することも好ましい方法である。なお、ここでゲージ圧とは大気圧を基準とした相対圧力のことであり、絶対圧から大気圧を差し引いた圧力差と同意である。
また、反応混合物には、前記必須成分以外に反応を著しく阻害しない第三成分や、反応を加速する効果を有する第三成分を加えることも可能である。
また、本発明では原料成分としては線状ポリアリーレンスルフィドを用いることができる。ここで用いる線状PASの製造方法は特に限定はされず、いかなる製法によるものでも使用することが可能である。例えば特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報および特公昭63−3375号公報に代表される、少なくとも1個の核置換ハロゲンを含有する芳香族化合物またはチオフェンとアルカリ金属モノスルフィドとを、極性有機溶媒中で高められた温度において反応せしめる方法により線状PASを製造することができる。また、好ましくは例えば特開平05−163349号公報に代表される、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とを有機極性溶媒中で接触させることによって線状PASを得ることができる。またこれら方法により製造されたPASを用いた成形品や成形屑、あるいはこれら方法により製造されたPAS由来の廃プラスチックやオフスペック品なども幅広く線状PASとして使用することが可能である。
反応を行う方法に特に制限は無いが、撹拌条件下で行なうことが好ましい。なお、ここで原料を仕込む際の温度に特に制限はなく、例えば室温近傍で原料を仕込んだ後に反応を行っても良いし、あらかじめ前述した反応に好ましい温度に温調した反応容器に原料を仕込んで反応を行うことも可能である。また反応を行っている反応系内に逐次的に原料を仕込んで連続的に反応を行うことも可能である。
また、スルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)、及び有機極性溶媒(c)としては、水を含むものを用いることも可能である。ただし、反応開始時点、すなわち反応混合物として仕込んだスルフィド化剤(a)およびジハロゲン化芳香族化合物(b)の実質的な反応消費が進行していない段階における水分量は、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり、0.2モル以上とすることが好ましく、0.5モル以上とすることがより好ましく、0.6モル以上とすることがさらに好ましい。また、上記水分量は、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり、20.0モル以下とすることが好ましく、10.0モル以下とすることがより好ましく、8.0モル以下とすることがさらに好ましい。反応混合物を形成するスルフィド化剤、有機極性溶媒、ジハロゲン化芳香族化合物、及びその他成分が水を含む場合で、反応混合物中の水分量が前記範囲を超える場合には、反応を開始する前や反応の途中において、反応系内の水分量を減じる操作を行い、水分量を前記範囲内にすることも可能であり、これにより短時間に効率よく反応が進行する傾向にある。また、反応混合物の水分量が前記好ましい範囲未満の場合は、前記水分量になるように水を添加することも好ましい方法である。
反応系内の水分量が前記好ましい範囲内(反応混合物中のイオウ成分1モル当たり0.2〜20.0モル)の場合、原料であるスルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物の反応効率が高くなる傾向があり、短時間に効率よくポリアリーレンスルフィドが得られる傾向にある。また、原料の反応効率が高いことは、本発明の実施形態の目的であるポリアリーレンスルフィドの生成反応と競争的に進行する副反応、すなわち不純物の生成反応を相対的に抑制する効果をもたらすと推測でき、好ましい水分量で反応を行なうことで不純物率が低く品質に優れるポリアリーレンスルフィドが得られる傾向となる。
なおここで、ジハロゲン化芳香族化合物の反応消費率は、以下の式で算出した値である。ジハロゲン化芳香族化合物の残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
・ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
反応消費率(%)=[〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の残存量(モル))/〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の過剰量(モル)〕〕×100
・ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で不足に添加した場合
反応消費率(%)=[〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の残存量(モル)〕/〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)〕]×100
・ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
反応消費率(%)=[〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の残存量(モル))/〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の過剰量(モル)〕〕×100
・ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で不足に添加した場合
反応消費率(%)=[〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の残存量(モル)〕/〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)〕]×100
(9)工程2:アルキル化剤の添加
工程2では工程1で得られた反応混合物(1)にアルキル化剤を添加して反応を行い、少なくとも一部の末端がアルキル化されたポリアリーレンスルフィドを含む反応混合物(2)を得る。
工程2では工程1で得られた反応混合物(1)にアルキル化剤を添加して反応を行い、少なくとも一部の末端がアルキル化されたポリアリーレンスルフィドを含む反応混合物(2)を得る。
工程2において添加するアルキル化剤の量の上限値は、工程1における反応混合物中のイオウ原子1.0モル当たり2.0モル以下が例示でき、1.5モル以下が好ましく、1.0モル以下がより好ましく、0.75モル以下が更に好ましく、0.5モル以下が殊更好ましい。また、上記アルキル化剤の量の下限値は、工程1における反応混合物中のイオウ原子1.0モル当たり0.01モル以上が例示でき、0.02モル以上が好ましく、0.05モル以上がより好ましく、0.10モル以上が更に好ましい。
アルキル化剤の添加量を上記の範囲として工程2を行うことで、後述する工程3においてポリアリーレンスルフィドを単離回収する際の、固液分離操作における分離性が著しく向上するのみならず、回収されるポリアリーレンスルフィドの品質が極めて高いといった優れた効果が得られやすくなる。
ここでアルキル化剤の添加は、反応混合物中のジハロゲン化芳香族化合物(b)が十分に反応消費した後に実施することが望ましい。具体的には、ジハロゲン化芳香族化合物の50%以上が反応消費するまで反応させた後に行っており、60%以上が反応消費するまで反応させた後に行うことが好ましく、70%以上が反応消費するまで反応させた後に行うことがより好ましく、80%以上が反応消費するまで反応させた後に行うことがさらに好ましく、90%以上が反応消費するまで反応させた後に行うことが殊更好ましい。このようにジハロゲン化芳香族化合物の反応消費を上記範囲まで進めた後にアルキル化剤の添加を行うことは、不純物成分の生成を抑制し、得られるポリアリーレンスルフィドの品質を向上させるために好ましい方法である。なお、ここで本発明の実施形態の方法において、ジハロゲン化芳香族化合物の反応消費率は、前述のガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
工程2における温度は、用いるアルキル化剤により反応性が異なるため一概に規定できないが、上限として350℃以下が例示できる。また、本発明では工程1で採用した温度以下の温度も好ましく採用することができ、有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域であることがより好ましい。具体的には260℃以下が例示でき、より好ましくは200℃以下であり、よりいっそう好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは120℃以下であり、殊更好ましくは100℃以下とすることができる。また、工程2の温度の下限は10℃以上が例示でき、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましく、50℃以上も採用できる。工程2の温度を上記の好ましい温度範囲とすることによりポリアリーレンスルフィドの末端のアルキル化が短時間で進行する傾向にあるのみならず、副反応も抑制できる。
工程2における反応時間は使用するアルキル化剤の種類や量あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、好ましい反応時間の下限としては0.1時間以上が例示でき、0.25時間以上がより好ましい。一方、好ましい反応時間の上限としては、20時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは5時間以内、より好ましくは3時間以内も採用できる。
工程2を行う反応容器は特に制限がなく、工程1に引き続き同一反応容器内で行うことができ、また、反応混合物(1)を別の反応容器に移液してから行っても良い。ここで効率良くアルキル化剤を反応させるためアルキル化剤が系外に揮散しないように密封または還流可能な反応容器を用いることも好ましい方法である。
なお、工程1および工程2の反応においては、バッチ式および連続方法などの公知の各種重合方式、反応方式を採用することができる。また、製造における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、およびアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、経済性および取り扱いの容易さの面からは窒素雰囲気下が好ましい。
(10)工程3:反応生成物の固液分離
本発明の実施形態においては、前記した工程1と工程2を行うことで、目的物であるポリアリーレンスルフィドを含む反応生成物を得る。ここで通常は、工程1及び工程2で用いた有機極性溶媒やオリゴポリアリーレンスルフィドも反応生成物に含まれる。
本発明の実施形態においては、前記した工程1と工程2を行うことで、目的物であるポリアリーレンスルフィドを含む反応生成物を得る。ここで通常は、工程1及び工程2で用いた有機極性溶媒やオリゴポリアリーレンスルフィドも反応生成物に含まれる。
本発明の実施形態では、前記工程1および工程2に次いで工程3として、工程1および工程2によって得られた反応生成物を、有機極性溶媒の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離することで、主としてポリアリーレンスルフィドを含む固形分と、主としてオリゴアリーレンスルフィドと有機極性溶媒を含む濾液を得る工程を実施することが好ましい。反応生成物を用いてこの工程3を行なうことで、反応生成物におけるポリアリーレンスルフィドとオリゴアリーレンスルフィドを簡便に分離することが可能である。
ここで反応生成物の固液分離を行う温度は、有機極性溶媒の常圧における沸点以下が望ましい。具体的な温度については有機溶極性媒の種類にもよるが、200℃以下とすることができ、150℃以下がより好ましく、120℃以下が更に好ましい。また、分離温度の下限としては10℃以上が例示でき、15℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましくいが、より高品質なポリアリーレンスルフィドを製造するためには、50℃以上も採用でき、80℃以上とすることで特段高品質なポリアリーレンスルフィドを得ることが可能となる。上記範囲では、オリゴアリーレンスルフィドは有機極性溶媒に対する溶解性が高く、一方で反応生成物中に含まれるポリアリーレンスルフィドは有機極性溶媒に溶けにくくなる傾向にあるため、このような温度領域で固液分離を行うことは、精度良く品質の高いポリアリーレンスルフィドを固形成分として得るために有効である。
また、固液分離を行なう方法は特に限定されず、フィルターを用いる濾過である加圧濾過や減圧濾過、固形分と溶液の比重差による分離である遠心分離や沈降分離、さらにこれらを組み合わせた方法などを採用可能である。より簡易な方法としては、フィルターを用いる加圧濾過や減圧濾過方式が好ましく採用可能である。濾過操作に用いるフィルターは、固液分離を行なう条件において安定であるものであれば良く、例えばワイヤーメッシュフィルター、焼結板、濾布、濾紙など一般に用いられる濾材を好適に用いることができる。
また、このフィルターの孔径は、固液分離操作に供するスラリーの粘度、圧力、温度、および反応生成物中の固形成分の粒子径などに依存して広範囲に調整しうる。特に、この固液分離操作において反応生成物から固形分として回収されるポリアリーレンスルフィドの粒子径、すなわち固液分離の対象となる反応生成物中に存在する固形分の粒子径に応じてメッシュ径または細孔径などのフィルター孔径を選定することは有効である。なお、固液分離の対象となる反応生成物中の固形分の平均粒子径(メディアン径)は、反応生成物の組成、温度、および濃度などにより広範囲に変化しうるが、本発明者らの知りうる限り、その平均粒子径は1〜200μmである傾向がある。従って、フィルターの好ましい平均孔径としては、0.1μm以上が例示でき、0.25μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。また、100μm以下が例示でき、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。上記範囲の平均孔径を有する濾材を用いることで、濾材を透過するポリアリーレンスルフィドが減少する傾向にあり、効率よくポリアリーレンスルフィドを分離・回収しやすくなる傾向にある。
また、固液分離を行う際の雰囲気に特に制限はないが、接触させる際の時間や温度などの条件によってポリアリーレンスルフィドや有機極性溶剤、オリゴPASが酸化劣化するような場合は、非酸化性雰囲気下で行なうことが好ましい。なお、非酸化性雰囲気とは、気相の酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、更に好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指す。この中でも特に、経済性及び取り扱いの容易さの面からは、窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
固液分離に用いる濾過器の種別としては、ふるいや振動スクリーン、遠心分離機や沈降分離器、加圧濾過機や吸引濾過器などを例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、前記の様に固液分離の好ましい雰囲気である非酸化性雰囲気下で実施するとの観点においては、固液分離操作時に非酸化性雰囲気を維持しやすい機構を有する濾過器を選択することが好ましい。たとえば、濾過器内を不活性ガスにより置換後に密閉した後に濾過操作を行うことが可能な濾過器や、不活性ガスを流しながら濾過操作を実施できる機構を具備する濾過器を用いることが例示できる。前記で例示した濾過器の中でも、遠心分離器、沈降分離器、および加圧濾過器は、このような機能を容易に付加可能であることから好ましい濾過器であるといえ、中でも機構が簡易であり経済性に優れるとの観点から加圧濾過器がより好ましい。
固液分離を行なう際の圧力に制限はないが、より短時間で固液分離を行うために、先に例示した加圧濾過器を用いて加圧条件下で固液分離を行うことも可能であり、具体的にはゲージ圧で2.0MPa以下を好ましい圧力範囲として例示でき、1.0MPa以下がより好ましく、0.8MPa以下が更に好ましく、0.5MPa以下がよりいっそう好ましい範囲として例示できる。一般に圧力が増大するに伴い、固液分離を行なう機器の耐圧性を高くする必要が生じ、そのような機器はそれを構成する各部位に高度なシール性を有するものが必要となり必然的に機器費が増大することになる。上記好ましい圧力範囲では一般に入手可能な固液分離器を使用できる。
なお本発明の実施形態のポリアリーレンスルフィドの製造方法における特徴である工程1及び工程2を行うことで、得られる反応生成物を固液分離した際に極めて効率の良い固液分離が可能であり、固液分離性に優れた効果が得られることも、本発明の実施形態の大きな特長である。ここで固液分離性とは、一定量の反応生成物を固液分離した際に固液分離に要する時間で評価することが可能である。その具体的評価方法としては、たとえば密閉可能な加圧濾過装置に、所定の規格(孔径、材質)であって一定面積の濾材(フィルター)を設置し、ここに所定量の反応生成物を仕込み、一定条件(温度、圧力など)において、所定量の濾液を得るために要した時間を測定することで、重量/(面積・時間)を単位とする濾過速度で比較評価することが可能である。より具体的には、平均孔径10μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて、100℃、0.1MPaの条件下で反応生成物を濾過した際に、所定量の濾液を得るために要する時間を測定することで評価が可能である。一方で本法の特徴である工程1及び工程2を行わない、従来のポリアリーレンスルフィドの製造方法で得られる反応生成物は、このような固液分離性評価において、極めて濾過性・濾過速度面で劣るという課題がある。ここで本発明の実施形態では濾過速度として、50kg/(m2・hr)以上といった極めて高い値が得られる傾向にあり、環式ポリアリーレンスルフィド製造の工程1及び2において前述してきた各種条件において好ましい数値範囲を選択することで、100kg/(m2・hr)以上の極めて高い値や、150kg/(m2・hr)に到達する著しく高い濾過速度を達成することも可能である。
また、反応生成物を固液分離するのに先立って、反応生成物に含まれる有機極性溶媒の一部を留去して反応生成物中の有機極性溶媒量を減じる操作を付加的に行うことも可能である。これにより固液分離操作の対象となる反応生成物量が減少するため、固液分離操作に要する時間が短縮できる傾向にある。
有機極性溶媒を留去する方法としては、反応生成物から有機極性溶媒を分離し反応生成物に含有される有機極性溶媒量を低減できれば、いずれの方法でも特に問題はない。好ましい方法としては、減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する方法、フラッシュ移送により溶媒を除去する方法などが例示でき、なかでも減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する方法が好ましい。また減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する際、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスをキャリアーガスとして用いても良い。
有機極性溶媒の留去を行う温度については、有機極性溶媒の種類や、反応生成物の組成によって多様化するため、一意的には決めることはできないが、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。また、300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。
ここでの固液分離によれば、反応生成物に含まれるオリゴアリーレンスルフィドの大部分を濾液成分として分離可能であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上を濾液成分として分離できる。その為、固形分として回収されるポリアリーレンスルフィドへのオリゴアリーレンスルフィドの残留が低減でき、これによって品質の高いポリアリーレンスルフィドを回収しうる。また、固液分離によって固形分として分離されるポリアリーレンスルフィドに、オリゴポリアリーレンスルフィドの一部が残留する場合には、固形分に対してフレッシュな有機極性溶媒を用いて洗浄することで、オリゴアリーレンスルフィドの固形分への残留量を低減することも可能である。ここで用いる溶剤はオリゴアリーレンスルフィドが溶解しうるものであれば良く、前述した工程1や工程2で用いた有機極性溶媒と同じ溶媒を用いることが好ましい。
(11)その他の後処理
本発明においては前記工程3の固液分離を実施の形態の具体例として、固形分としてPASを得ることができ、かくして得られた固形成分は極めて品質が高いPASであり、公知の方法で得られるPASと比べてハロゲン量が著しく低減され、且つ重量分子量が2,500〜20,000であって溶融加工時の高い流動性の発現も達成した優れたものである。
本発明においては前記工程3の固液分離を実施の形態の具体例として、固形分としてPASを得ることができ、かくして得られた固形成分は極めて品質が高いPASであり、公知の方法で得られるPASと比べてハロゲン量が著しく低減され、且つ重量分子量が2,500〜20,000であって溶融加工時の高い流動性の発現も達成した優れたものである。
ここで固形成分が有機極性溶媒を含む場合は、所望に応じて公知の方法を採用することで有機極性溶媒を除去することも可能である。この有機極性溶媒の除去方法としては例えば蒸留により除去する方法や、有機極性溶媒と混和する各種溶剤で溶剤置換する方法などが例示できる。
蒸留により除去する具体的な方法としては、固形成分を好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、よりいっそう好ましくは150〜200℃に加熱する方法が例示できる。この加熱を減圧条件下や気流下で行うことで効率よく有機極性溶媒の除去を行うことが可能である。なお、加熱する際の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことも可能でありこれによりPASの分解、着色、架橋などを抑制できる傾向にある。一方でPASへの架橋構造の導入や、溶融粘度の上昇、さらには揮発性成分の低減を所望する場合は酸化性雰囲気下を選択することも可能である。なおここで、非酸化性雰囲気とは気相の酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、更に好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が好ましい。一方で酸化性雰囲気とは気相の酸素濃度が5体積%以上、好ましくは10体積%以上の雰囲気を指し、空気を用いることも可能である。
また、このようにして有機極性溶媒を除去したPASを後述する各種溶剤を用いて更に洗浄することも可能であり、これによりPASに残留したイオン性化合物、オリゴアリーレンスルフィド、有機極性溶媒を更に低減できる傾向にある。
各種溶剤で溶剤置換する具体的な方法としては、固形成分を有機極性溶媒と混和する各種溶媒と混合した後に固液分離する方法を例示できる。また所望に応じてこの操作を繰り返すことも可能である。ここで用いる各種溶媒は有機極性溶媒と混和することが重要であり、有機極性溶媒の特性に応じて選択されるが、PASの分解や架橋など好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸オクチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ペンチル、サリチル酸メチル、蟻酸エチル、等のカルボン酸エステル系溶媒および水が例示でき、なかでもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、水が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、酢酸エチル、水が特に好ましく、メタノール、アセトン、水がよりいっそう好ましい。これらの溶媒は1種類または2種類以上の混合物として使用することができる。
固形成分と各種溶剤を接触させる際の雰囲気に特に制限はないが、接触させる際の温度や時間などの条件によってPAS成分や溶剤が酸化劣化するような場合には、非酸化性雰囲気下で行うことが望ましい。固形成分を溶剤と接触させる温度に特に制限はないが、大気圧下でおこなうことが好適であるので、上限温度は使用する溶剤の大気圧下での環流温度以下にすることが望ましく、前述した好ましい溶剤を用いる場合はたとえば20〜150℃、好ましくは30〜100℃を具体的な温度範囲として例示できる。固形成分を溶剤と接触させる時間は、用いる溶剤種や温度等によって異なるため一意的には限定できないが、たとえば1分〜50時間が例示できる。
固形成分を溶剤と接触させる方法は、公知の一般的な手法を用いれば良く特に限定はないが、たとえば固形成分と溶剤を混合し、必要に応じて攪拌した後に前述した固液分離操作を行うことで固形成分を回収する方法、各種フィルター上の固形成分に溶剤をシャワーする方法、ソックスレー抽出法原理による方法などいかなる方法も用いることができる。固形成分と溶剤を接触させる際の溶剤の使用量に特に制限はないが、たとえば固形成分重量に対する浴比で0.5〜100の範囲が例示できる。浴比がこの様な範囲の場合、固形成分と溶剤を均一に混合し易く効率よく有機極性溶媒を固形成分から分離することが可能となる。なお、固形成分と溶剤の接触を繰り返し行う場合は、小さい浴比でも十分な効果を得られる場合が多い。
かくして得られた有機極性溶媒を除去した固形成分は溶剤置換に用いた溶剤を含むので、所望に応じて常圧下および/または減圧下に乾燥することも可能である。かかる乾燥温度としては、50〜280℃の範囲が好ましく、70〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良いが、減圧下で行うことが好ましく、特に常圧下で乾燥を行って大部分の溶剤を除去した後、減圧下で再度乾燥することが好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
本発明において得られたPASは十分に高品質なものであるが、さらに揮発性成分を除去するために、或いは架橋高分子量化するために、130〜260℃の温度で処理することも可能である。架橋高分子量化は抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行う場合、その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%未満、更には1体積%未満とすることが望ましい。減圧乾燥することも好ましい方法の一つである。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間が更に好ましい。架橋高分子量化を目的として乾式熱処理する場合、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。処理時間は、1〜100時間が好ましく、2〜50時間がより好ましく、3〜25時間が更に好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
(12)生成PAS
本発明により得られるPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形用途のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができる。また、本発明により発現する顕著な効果として、PASの含むハロゲン量が公知の方法により得られるPASと比べて著しく低減されるため、電気的特性、特に絶縁特性が重視される用途には特に好ましく用いることが可能である。さらにオリゴマー成分含有量も公知の方法により得られるPASと比べて著しく少ないため、耐薬品性やオリゴマー溶出量が重要視される用途に好ましく用いることが可能である。
本発明により得られるPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形用途のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができる。また、本発明により発現する顕著な効果として、PASの含むハロゲン量が公知の方法により得られるPASと比べて著しく低減されるため、電気的特性、特に絶縁特性が重視される用途には特に好ましく用いることが可能である。さらにオリゴマー成分含有量も公知の方法により得られるPASと比べて著しく少ないため、耐薬品性やオリゴマー溶出量が重要視される用途に好ましく用いることが可能である。
ここで前記(5)項に記したオリゴアリーレンスルフィドもオリゴマー成分であるが、本発明のPASはこのオリゴアリーレンスルフィド含有量が少ない特徴が有り、好ましいオリゴアリーレンスルフィド含有量の上限としては1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.4%以下であり、一方で好ましい下限としては、0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。従来のPASの製法において、オリゴアリーレンスルフィドのごときオリゴマー成分を除去する方法としては、従来技術で特許文献2や5として例示したとおりクエンチ法による手法が知られている。この方法でも確かにオリゴマー成分の低減は可能である反面、本発明の特徴である低分子量PASを得ることは困難であり、低分子量PASであって且つオリゴマー成分含有量が少ないPASが得られるとの点が本発明の優れる特徴である。
なおここでPASのオリゴマー成分含有量は、PASを熱クロロホルムで抽出することで、熱クロロホルム可溶分の重量分率として見積もることが可能である。
また、本発明で得られるPASは、単独で用いてもよいし、所望に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添加することもでき、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、酸無水物基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリイミドなどの樹脂を配合することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。最初に、実施例および比較例のポリアリーレンスルフィドの製造方法で得られる試料の評価方法について説明する。
<ジハロゲン化芳香族化合物の分析>
反応混合物中のジハロゲン化芳香族化合物の定量(p−ジクロロベンゼンの定量)は、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件にて実施した。
装置:島津製作所製 GC−2010
カラム:J&W社製 DB−5 0.32mm×30m(0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
反応混合物中のジハロゲン化芳香族化合物の定量(p−ジクロロベンゼンの定量)は、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件にて実施した。
装置:島津製作所製 GC−2010
カラム:J&W社製 DB−5 0.32mm×30m(0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
<反応生成物の固液分離性評価>
反応生成物の固液分離性の評価は以下の条件で実施した。
反応生成物の固液分離性の評価は以下の条件で実施した。
得られた反応生成物200gを分取し、300mL容のフラスコに仕込んだ。反応生成物をマグネチックスターラーを用いて撹拌すると共に、反応生成物のスラリーに窒素バブリングを行いながら、オイルバスにて100℃に加熱した。
ADVANTEC社製の万能型タンク付フィルターホルダーKST−90−UH(有効濾過面積約45平行センチメートル)に、直径90mm,平均細孔直径10μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターをセットし、タンク部分をバンドヒーターにて100℃に調温した。
100℃に加熱した反応生成物をタンクに仕込み、タンクを密閉後、タンク内を窒素にて0.1MPaに加圧した。加圧後にフィルターホルダーの下部から濾過液が排出され始めた時点を起点として、50gの濾液が排出される間での時間を計測し、単位濾過面積基準の濾過速度(kg/(m2・hr))を算出した。
<ポリフェニレンスルフィドの分子量測定方法>
ポリフェニレンスルフィドの分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学製 SSC−7110
カラム:Shodex UT806M×2
カラム温度:210℃
移動相:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)
ポリフェニレンスルフィドの分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学製 SSC−7110
カラム:Shodex UT806M×2
カラム温度:210℃
移動相:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)
<PASの塩素含有量>
ダイアインスツルメンツ社製自動試料燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、PASー中の全塩素含有量の測定を行った。
ダイアインスツルメンツ社製自動試料燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、PASー中の全塩素含有量の測定を行った。
[実施例1]
<原料混合物の調製>
攪拌機付きステンレス製オートクレーブに、スルフィド化剤(a)として48重量%の水硫化ナトリウム水溶液28.1g(水硫化ナトリウムとして0.241モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液21.1g(水酸化ナトリウムとして0.253モル)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)としてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)24.5g(0.229モル)、及び、有機極性溶媒(c)としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)600g(6.05モル)を仕込むことで原料混合物を調製した。原料に含まれる水分量は25.6g(1.42モル)であり、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の溶媒量は約2.43Lであった。また、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の、アリーレン単位(ジハロゲン化芳香族化合物として仕込んだp−DCBに相当)の量は0.95モルであった。
<原料混合物の調製>
攪拌機付きステンレス製オートクレーブに、スルフィド化剤(a)として48重量%の水硫化ナトリウム水溶液28.1g(水硫化ナトリウムとして0.241モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液21.1g(水酸化ナトリウムとして0.253モル)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)としてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)24.5g(0.229モル)、及び、有機極性溶媒(c)としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)600g(6.05モル)を仕込むことで原料混合物を調製した。原料に含まれる水分量は25.6g(1.42モル)であり、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の溶媒量は約2.43Lであった。また、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の、アリーレン単位(ジハロゲン化芳香族化合物として仕込んだp−DCBに相当)の量は0.95モルであった。
<工程1>
オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で1.0MPaであった。その後250℃で2時間保持することで原料混合物を加熱し反応させた後、室温近傍まで急冷して、反応生成物(1)として回収した。分析の結果、p−DCBの反応消費率は93%であり、十分に反応消費していることが確認できた。
オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で1.0MPaであった。その後250℃で2時間保持することで原料混合物を加熱し反応させた後、室温近傍まで急冷して、反応生成物(1)として回収した。分析の結果、p−DCBの反応消費率は93%であり、十分に反応消費していることが確認できた。
<工程2>
得られた反応混合物(1)を500g分取して、1L容のフラスコに仕込み、窒素ガスで置換した。次いで反応混合物(1)をマグネチックスターラーで撹拌し、水浴で30℃に温調後、ヨウ化メチル(43.1g、0.409モル)を添加した。30℃で1時間撹拌後、2時間静置し、反応混合物(2)として回収した。なお、工程2で添加したヨウ化メチルは反応混合物中のイオウ原子1モル当たり1.7モルであった。
得られた反応混合物(1)を500g分取して、1L容のフラスコに仕込み、窒素ガスで置換した。次いで反応混合物(1)をマグネチックスターラーで撹拌し、水浴で30℃に温調後、ヨウ化メチル(43.1g、0.409モル)を添加した。30℃で1時間撹拌後、2時間静置し、反応混合物(2)として回収した。なお、工程2で添加したヨウ化メチルは反応混合物中のイオウ原子1モル当たり1.7モルであった。
<工程3>
液切れするまで濾過を継続した以外は上記固液分離性評価と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。また、ここでの固液分離性を評価した結果、濾過速度は205kg/(m2・hr)であった。得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状とした後、70℃で15分撹拌した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して、ポリアリーレンスルフィドとしての乾燥固体を得た。
液切れするまで濾過を継続した以外は上記固液分離性評価と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。また、ここでの固液分離性を評価した結果、濾過速度は205kg/(m2・hr)であった。得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状とした後、70℃で15分撹拌した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して、ポリアリーレンスルフィドとしての乾燥固体を得た。
<ポリアリーレンスルフィドの分析>
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で5200であり、塩素含有量は300ppmであった。
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で5200であり、塩素含有量は300ppmであった。
実施例1の結果から、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法によれば、塩素量の少ない高品質なポリアリーレンスルフィドを効率良く得ることができ、且つ、低分子量のPASとの観点でも両立できることがわかった。
[比較例1]
ここでは実施例1と同様の工程1を行った後、工程2を行わずに工程3を実施した例を示す。
ここでは実施例1と同様の工程1を行った後、工程2を行わずに工程3を実施した例を示す。
<工程3>
本比較例での固液分離性を評価した結果、濾過速度は8kg/(m2・hr)であった。また、実施例1と同様に反応生成物を固液分離したが、濾過には極めて長時間を要し、液切れによる終点判断も不明瞭であった。また、得られた湿潤状態の固形分はペースト状であり実施例1に比べ明らかに含液率が高いものであった。さらに得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状としたが、乳濁して、実施例1と同様にポリアリーレンスルフィドを得るのは困難であった。
本比較例での固液分離性を評価した結果、濾過速度は8kg/(m2・hr)であった。また、実施例1と同様に反応生成物を固液分離したが、濾過には極めて長時間を要し、液切れによる終点判断も不明瞭であった。また、得られた湿潤状態の固形分はペースト状であり実施例1に比べ明らかに含液率が高いものであった。さらに得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状としたが、乳濁して、実施例1と同様にポリアリーレンスルフィドを得るのは困難であった。
比較例1の結果から、工程2を行わない場合には、所望のポリアリーレンスルフィドを効率良く得られないことがわかった。
[比較例2]
ここでは実施例1の工程1と同様の反応を行った後、さらに工程2の代わりにp−ジクロロベンゼン(DCB)を添加して反応させ、工程3を実施した例を示す。
ここでは実施例1の工程1と同様の反応を行った後、さらに工程2の代わりにp−ジクロロベンゼン(DCB)を添加して反応させ、工程3を実施した例を示す。
<工程1>
実施例1の工程1と同様に原料混合物を加熱した後、反応混合物を冷却せずに以下の手順でp−DCBを添加した。すなわち、高圧バルブを介してオートクレーブ上部に設置した100mL容の小型タンクにp−DCBのNMP溶液(p−DCB3.86gをNMP10gに溶解)を仕込んだ。小型タンク内を約1.5MPaに加圧後タンク下部のバルブを開き、p−DCBのNMP溶液をオートクレーブ内に仕込んだ。小型タンクの壁面をNMP5gで洗浄後、このNMPもオートクレーブ内に仕込んだ。本操作により、反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位(仕込んだp−DCBの合計量に相当)は1.10モルとなった。この追加の仕込み終了後、250℃にてさらに1時間加熱を継続して反応を進行させた。
実施例1の工程1と同様に原料混合物を加熱した後、反応混合物を冷却せずに以下の手順でp−DCBを添加した。すなわち、高圧バルブを介してオートクレーブ上部に設置した100mL容の小型タンクにp−DCBのNMP溶液(p−DCB3.86gをNMP10gに溶解)を仕込んだ。小型タンク内を約1.5MPaに加圧後タンク下部のバルブを開き、p−DCBのNMP溶液をオートクレーブ内に仕込んだ。小型タンクの壁面をNMP5gで洗浄後、このNMPもオートクレーブ内に仕込んだ。本操作により、反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位(仕込んだp−DCBの合計量に相当)は1.10モルとなった。この追加の仕込み終了後、250℃にてさらに1時間加熱を継続して反応を進行させた。
<工程3>
実施例1と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は330kg/(m2・hr)であった。
実施例1と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は330kg/(m2・hr)であった。
<ポリアリーレンスルフィドの分析>
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークは検出されなかった。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で12300であり、塩素含有量は1300ppmであった。
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークは検出されなかった。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で12300であり、塩素含有量は1300ppmであった。
本比較例では比較例1とは異なりp−DCBの添加により固液分離性は高まったが、工程2のアルキル化剤の添加をしていないため、実施例1に比べ、塩素量が多いことがわかった。
[比較例3]
ここでは工程1にける反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の量を実施例1の0.95モルから1.075モルに変えて行い、工程2は実施せずに工程3を実施した例を示す。
ここでは工程1にける反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の量を実施例1の0.95モルから1.075モルに変えて行い、工程2は実施せずに工程3を実施した例を示す。
<工程3>
実施例1と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は310kg/(m2・hr)であった。
実施例1と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は310kg/(m2・hr)であった。
<ポリアリーレンスルフィドの分析>
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークは検出されなかった。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で9200であり、塩素含有量は6800ppmであった。
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークは検出されなかった。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で9200であり、塩素含有量は6800ppmであった。
本比較例では実施例1とは異なり、工程2を実施していないのにも関わらず固液分離性が高かったが、実施例1に比べ、塩素量が多いことがわかった。
[参考例1]
ここでは従来技術による線状ポリアリーレンスルフィドの製造例、すなわち、スルフィド化剤と、ジハロゲン化芳香族化合物と、スルフィド化剤のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上の有機極性溶媒とを用いて、加熱して反応させて反応混合物を得て、得られる反応混合物を固液分離することにより環式ポリアリーレンスルフィドと線状ポリアリーレンスルフィドの分離を行い、溶媒を含む固形分として線状ポリアリーレンスルフィドを製造した例を示す。
ここでは従来技術による線状ポリアリーレンスルフィドの製造例、すなわち、スルフィド化剤と、ジハロゲン化芳香族化合物と、スルフィド化剤のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上の有機極性溶媒とを用いて、加熱して反応させて反応混合物を得て、得られる反応混合物を固液分離することにより環式ポリアリーレンスルフィドと線状ポリアリーレンスルフィドの分離を行い、溶媒を含む固形分として線状ポリアリーレンスルフィドを製造した例を示す。
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブ(反応容器)に、48重量%の水硫化ナトリウム水溶液46.75g(水硫化ナトリウムとして0.40モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液35.00g(0.42モル)、NMP1000g(10.1モル)、およびp−ジクロロベンゼン(p−DCB)59.98g(0.41モル)を仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、加圧窒素を用いてゲージ圧で0.3MPaに加圧して密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて反応容器内を昇温した。この段階で、反応容器内の圧力はゲージ圧で0.9MPaであった。次いで200℃から250℃まで約30分かけて反応容器内を昇温した。この段階の反応容器内の圧力はゲージ圧で1.5MPaであった。250℃で2時間保持した後、室温付近まで急冷して、反応容器から内容物を回収した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率は92%であった。また、反応混合物中のイオウ成分が全て環式ポリアリーレンスルフィドに転化すると仮定した場合との比較により求めた環式ポリアリーレンスルフィドの生成率は16.7%であることがわかった。
上記で得られた内容物、すなわち少なくとも環式ポリアリーレンスルフィド、線状ポリアリーレンスルフィド、NMPおよび副生塩としてNaClを含む反応混合物をナスフラスコに仕込み、フラスコ内を十分に窒素置換した後、撹拌しながら約100℃に調温し、加圧窒素を用いた熱時加圧濾過にて前記反応混合物の固液分離を行った。この操作により湿潤状態の固形分を得た。
得られた湿潤状態の固形分の一部を分取して、温水を用いた洗浄を十分に行った後に乾燥し乾燥固体を得た。この乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これは線状のポリフェニレンスルフィドであり、また、重量平均分子量はポリスチレン換算で11,000であることがわかった。また、得られた乾燥固体の重量から、湿潤状態の固形分中の線状ポリフェニレンスルフィドの含有率は約23%であることがわかった。また、前記湿潤状態の固形分の分析を行った結果、NMPおよびNaClの含有率はそれぞれ47重量%、30重量%であった。
[実施例2]
ここでは原料混合物の構成成分として線状ポリアリーレンスルフィドも用いた例を示す。
ここでは原料混合物の構成成分として線状ポリアリーレンスルフィドも用いた例を示す。
<原料混合物の調製>
攪拌機付きステンレス製オートクレーブに、参考例1で得られた湿潤状態の線状ポリフェニレンスルフィドを90.39g((線状ポリフェニレンスルフィド20.79g(イオウ成分、アリーレン単位としてそれぞれ0.192モル相当)、NMP42.48g(0.429モル)、NaCl27.12g(0.464モル))、スルフィド化剤(a)として48重量%の水硫化ナトリウム水溶液5.62g(水硫化ナトリウムとして0.048モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液5.07g(水酸化ナトリウムとして0.061モル)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)としてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)3.85g(0.036モル)、及び、有機極性溶媒(c)としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)600g(6.05モル)を仕込むことで原料混合物を調製した。原料に含まれる水分量は5.56g(0.309モル)であり、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムおよび線状ポリフェニレンスルフィドに含まれるイオウ原子の合計量1モル当たり)の溶媒量は約2.46Lであった。また、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の、アリーレン単位(ジハロゲン化芳香族化合物として仕込んだp−DCBに相当)の量は0.95モルであった。
攪拌機付きステンレス製オートクレーブに、参考例1で得られた湿潤状態の線状ポリフェニレンスルフィドを90.39g((線状ポリフェニレンスルフィド20.79g(イオウ成分、アリーレン単位としてそれぞれ0.192モル相当)、NMP42.48g(0.429モル)、NaCl27.12g(0.464モル))、スルフィド化剤(a)として48重量%の水硫化ナトリウム水溶液5.62g(水硫化ナトリウムとして0.048モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液5.07g(水酸化ナトリウムとして0.061モル)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)としてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)3.85g(0.036モル)、及び、有機極性溶媒(c)としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)600g(6.05モル)を仕込むことで原料混合物を調製した。原料に含まれる水分量は5.56g(0.309モル)であり、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムおよび線状ポリフェニレンスルフィドに含まれるイオウ原子の合計量1モル当たり)の溶媒量は約2.46Lであった。また、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の、アリーレン単位(ジハロゲン化芳香族化合物として仕込んだp−DCBに相当)の量は0.95モルであった。
<工程1>
オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で0.5MPaであった。その後250℃で2時間保持することで原料混合物を加熱し反応させた後、室温近傍まで急冷して、反応生成物(1)として回収した。分析の結果、p−DCBの反応消費率は94%であり、十分に反応消費していることが確認できた。
オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で0.5MPaであった。その後250℃で2時間保持することで原料混合物を加熱し反応させた後、室温近傍まで急冷して、反応生成物(1)として回収した。分析の結果、p−DCBの反応消費率は94%であり、十分に反応消費していることが確認できた。
<工程2>
得られた反応混合物(1)を500g分取して、1L容のフラスコに仕込み、窒素ガスで置換した。次いで反応混合物(1)をマグネチックスターラーで撹拌し、水浴で30℃に温調後、ヨウ化メチル(43.1g、0.409モル)を添加した。30℃で1時間撹拌後、2時間静置し、反応混合物(2)として回収した。なお、工程2で添加したヨウ化メチルは反応混合物中のイオウ原子1モル当たり1.7モルであった。
得られた反応混合物(1)を500g分取して、1L容のフラスコに仕込み、窒素ガスで置換した。次いで反応混合物(1)をマグネチックスターラーで撹拌し、水浴で30℃に温調後、ヨウ化メチル(43.1g、0.409モル)を添加した。30℃で1時間撹拌後、2時間静置し、反応混合物(2)として回収した。なお、工程2で添加したヨウ化メチルは反応混合物中のイオウ原子1モル当たり1.7モルであった。
<工程3>
液切れするまで濾過を継続した以外は上記固液分離性評価と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。また、ここでの固液分離性を評価した結果、濾過速度は190kg/(m2・hr)であった。得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状とした後、70℃で15分撹拌した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して、ポリアリーレンスルフィドとしての乾燥固体を得た。
液切れするまで濾過を継続した以外は上記固液分離性評価と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。また、ここでの固液分離性を評価した結果、濾過速度は190kg/(m2・hr)であった。得られた湿潤状態の固形分に対して、約10倍量のイオン交換水を加えて分散させスラリー状とした後、70℃で15分撹拌した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して、ポリアリーレンスルフィドとしての乾燥固体を得た。
<ポリアリーレンスルフィドの分析>
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で5000であり、塩素含有量は290ppmであった。
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で5000であり、塩素含有量は290ppmであった。
本実施例の結果から、原料成分として線状ポリフェニレンスルフィドを用いても、塩素量の少ない高品質なポリアリーレンスルフィドを効率良く得ることができることがわかった。
[実施例3]
ここでは工程1にける反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の量を実施例2の0.95モルから0.98モルに変えた以外は実施例2と同様に実施した例を示す。
ここでは工程1にける反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の量を実施例2の0.95モルから0.98モルに変えた以外は実施例2と同様に実施した例を示す。
<工程3>
実施例2と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は300kg/(m2・hr)であった。
実施例2と同様の手法にて反応生成物を固液分離して固形分を得た。ここでの濾過速度は300kg/(m2・hr)であった。
<ポリアリーレンスルフィドの分析>
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で9000であり、塩素含有量は330ppmであった。
工程3で単離した乾燥固体の分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、これはポリフェニレンスルフィドであり、また、固体NMR分析よりメチルスルフィドに由来するピークが検出され、末端にメチル基が導入されていることが確認できた。また、重量平均分子量はポリスチレン換算で9000であり、塩素含有量は330ppmであった。
本実施例の結果から、反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位の量を好ましい範囲で調整することにより塩素量が少なく、より高分子量のポリアリーレンスルフィドを効率良く得ることができることわかった。
Claims (6)
- 少なくともスルフィド化剤(a)、ジハロゲン化芳香族化合物(b)および有機極性溶媒(c)を含む原料混合物を加熱する工程1で得られた反応混合物(1)に、次いでアルキル化剤(d)を添加して反応させる工程2を行った後、工程2で得られた反応混合物(2)を有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域で固液分離する工程3を行い、工程3で分離した固形分(3)から重量平均分子量が2,500以上20,000以下のポリアリーレンスルフィドを単離するポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記の工程1における原料混合物中のジハロゲン化芳香族化合物(b)の量がスルフィド化剤(a)のイオウ原子1モルあたり0.8モル以上、1.05モル以下である請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記の工程1における原料混合物中の有機極性溶媒の量が原料混合物中のイオウ原子1モルあたり1.25リットル以上、50リットル以下である請求項1または2のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記の工程2におけるアルキル化剤がハロゲン化アルキルである請求項1から3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記の工程2におけるアルキル化剤が炭素数1〜5のハロゲン化アルキルである請求項1から4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記の工程2における温度が有機極性溶媒(c)の常圧における沸点以下の温度領域である請求項1から5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US12018129B2 (en) | 2021-09-08 | 2024-06-25 | Ticona Llc | Extraction technique for recovering an organic solvent from a polyarylene sulfide waste sludge |
US12024596B2 (en) | 2021-09-08 | 2024-07-02 | Ticona Llc | Anti-solvent technique for recovering an organic solvent from a polyarylene sulfide waste sludge |
-
2016
- 2016-07-28 JP JP2016148384A patent/JP2017031404A/ja active Pending
Cited By (2)
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US12018129B2 (en) | 2021-09-08 | 2024-06-25 | Ticona Llc | Extraction technique for recovering an organic solvent from a polyarylene sulfide waste sludge |
US12024596B2 (en) | 2021-09-08 | 2024-07-02 | Ticona Llc | Anti-solvent technique for recovering an organic solvent from a polyarylene sulfide waste sludge |
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