JP2017095588A - ハロゲン化ポリオレフィン組成物及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ハロゲン化ポリオレフィンの持つ優れた耐熱性を維持したままに、耐油性が大きく改良されたハロゲン化ポリオレフィン組成物、及びその製造法を提供する。【解決手段】 ハロゲン化ポリオレフィンと、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を含有するハロゲン化ポリオレフィン組成物であって、ハロゲン化ポリオレフィン組成物中に於けるアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体の含有率が20重量%超から75重量%の範囲であり、そのアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率が10/90〜70/30の範囲であるハロゲン化ポリオレフィン組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、ハロゲン化ポリオレフィン組成物に関するものであり、より詳しくは、アクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体を含有するハロゲン化ポリオレフィン組成物に関するものである。
ハロゲン化ポリオレフィンは、クロロスルホン化ポリエチレンや塩素化ポリエチレン等の総称であり、優れた耐熱性、耐候性、耐オゾン性、耐薬品性及び明色性を有することから、各種ホースやホースのカバー材、電線被覆材、パッキン、ガスケット、ロール及びエスカレーターの手摺等の各種用途に使用されている。また、クロロスルホン化ポリエチレンや塩素化ポリエチレン等は塩素基を含有することから、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム及びエチレン・プロピレン系ゴム等の汎用ゴムと比べて耐油性が良好であり、耐油性が要求されるホースやチューブ等にも多く使用されている。
ハロゲン化ポリオレフィンの耐油性を向上する方法としては、ハロゲン量を増大させることが知られているが、この方法で耐油性を向上した場合、得られるハロゲン化ポリオレフィンのガラス転移温度が高くなり、室温付近での硬さが増大し、ゴム材料としての特性を失ってしまう問題が生じる。そのため、各種ホース用途分野に於いてはハロゲン量増大による耐油性の向上には限界があり、高度な耐油性が要求される用途に対しては好ましい方法とは言えない。
自動車向けの燃料系ホースや、建設機械用の特殊な油圧ホース等の高度な耐油性が要求される用途に於いては、ハロゲン化ポリオレフィン単層での適用は困難であり、燃料等が直接接触する内層部分には、耐油性が特に優れたアクリロニトリル・ブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリルゴム、或いはフッ素系材料が使用されており、多層構造とせざるを得ない状況が生じている(例えば特許文献1〜6参照。)。
しかし、昨今の自動車では、エンジンルームの省スペース化やターボ化によってエンジンルーム内の温度が上昇しており、内層材料としてのアクリロニトリル・ブタジエンゴムの耐熱性では限界を超える場合が生じている。このような場合には、アクリロニトリル・ブタジエンゴムより耐熱性に優れた水素添加アクリロニトリル・ブタジエンゴムやアクリルゴム、或いはフッ素系材料が使用されることとなるが、これらの材料はアクリロニトリル・ブタジエンゴムに比べて高価格であり、ホース製品の材料コストを大幅に増大させることとなるため、比較的低価格で、耐油性と耐熱性のバランスに優れたゴム材料が望まれている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的はハロゲン化ポリオレフィンの持つ優れた耐熱性を維持したままに、耐油性が大きく改良されたハロゲン化ポリオレフィン組成物及びその製造法を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、ハロゲン化ポリオレフィン、及びアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体(以下、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体という。)を含有するハロゲン化ポリオレフィン組成物であって、ハロゲン化ポリオレフィン組成物中に於けるアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体の含有率が30重量%から75重量%の範囲であり、そのアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率が10/90〜70/30の範囲であることを特徴とするハロゲン化ポリオレフィン組成物及びその製造法である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、ハロゲン化ポリオレフィンと、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を含有するハロゲン化ポリオレフィン組成物である。
ハロゲン化ポリオレフィンとしては、原料であるポリオレフィンを塩素化、または塩素化及びクロロスルホン化して得られるハロゲン化ポリオレフィンが例示できる。また、必要に応じて臭素やフッ素を含有したハロゲン化ポリオレフィンも使用可能である。原料であるポリオレフィンには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、フッ素含有ポリエチレン等が挙げられる。これらを単独または併用して用いることができるが、良好な物理特性と耐油性を両立させるためには、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。
原料であるポリオレフィンを塩素化、または塩素化及びクロロスルホン化する反応を行う際、溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤や、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フロロベンゼン、ジクロロジフロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロフロロエタン等の塩素系有機溶剤が挙げられ、これらを単独または2種類以上を併用して用いることができるが、塩素化反応に対し不活性な塩素系有機溶剤のみの使用が好ましい。
ポリオレフィンの塩素化、または塩素化及びクロロスルホン化を行う反応工程はラジカル発生剤を触媒として、塩素、または塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリルを、溶剤に溶解または懸濁したポリオレフィンと反応させる。また、臭素化のために塩素の一部又は全部を臭素に変更することも可能である。クロロスルホン化反応を行う場合には必要に応じて助触媒としてピリジン、キノリン等のアミノ化合物が添加させる。反応温度は塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行する範囲であれば特に限定するものではなく、例えば40〜150℃であり、適度な塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行するためには好ましくは60〜130℃の範囲である。反応圧力は塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行する範囲であれば特に限定するものではなく、例えば、0〜1.0MPaであり、適度な塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行するためには好ましくは0〜0.7MPaである。
原料であるポリオレフィンを塩素化、または塩素化及びクロロスルホン化する反応を行う際に使用するラジカル発生剤は、塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行するものであれば特に限定するものではなく、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、α,α‘−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t−ブチル、過安息香酸t−ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ系化合物であり、適度な塩素化反応、または塩素化反応及びクロロスルホン化反応が進行するためには、特に好ましくはα,α‘−アゾビスイソブチロニトリルである。
塩素化、または塩素化及びクロロスルホン化を行う反応工程における、塩素、または塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリルとラジカル発生剤を添加する際の添加方法は、塩素化反応、または塩素化及びクロロスルホン化反応が進行すれば特に限定されないが、明色性のためにはラジカル発生剤を加える前に、塩素、または塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル等を先に添加するのが好ましい。反応工程終了時にはラジカル発生剤の添加停止後、塩素、または塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル等の添加を停止するのが好ましく、これらの添加方法は単独または併用しても良い。
ハロゲン化ポリオレフィン組成物の製造に用いられるハロゲン化ポリオレフィンの塩素量は特に制限はないが、耐油性や機械特性を考慮し、15.0〜45.0重量%の範囲が好ましく、更に低温性を考慮した場合、20.0重量%〜40.0重量%の範囲であることが好ましい。ハロゲン化ポリオレフィンが、ポリオレフィンを塩素化及びクロロスルホン化によって得られるクロロスルホン化ポリエチレンである場合の硫黄量は特に制限はないが、0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。
アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体におけるアクリル系化合物は、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を含有する化合物であれば制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等のアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸系化合物、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸化合物等を例示することができ、これらは単独あるいは2種類以上併用しても良いが、良好な物理特性及び耐油性を維持するためには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸n−ブチルをそれぞれ単独あるいは併用することが望ましい。
また、上記不飽和単量体はアクリロニトリル、アクリル系化合物以外に、本発明のハロゲン化ポリオレフィン組成物としての特性を損なわない範囲で、その他の単量体を含有していても良く、例えばメチルビニルケトン等のアルキルビニルケトン化合物、ビニルエチルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、アリルメチルエーテル等のアリルエーテル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物、メタクリロニトリル等のビニルニトリル化合物、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、アクリルアミド、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、プロピオン酸ビニル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等を例示することができる。これらの上記単量体としては、総不飽和単量体中の20重量%以下の割合で加えることが好ましい。
アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体は、ラジカル重合によって得ることができるが、その方法については特に制限はない。ラジカル重合法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の公知の方法が挙げられる。
溶液重合で使用する溶剤は、特に制限はないが、ハロゲン化ポリオレフィンを合成する際に用いる溶剤、若しくはハロゲン化ポリオレフィンを可溶な溶剤を用いた溶液重合が望ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤や、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フロロベンゼン、ジクロロジフロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロフロロエタン等の塩素系有機溶剤が挙げられ、これらを単独または2種類以上を併用して用いることができる。
ラジカル開始剤としては、パーオキサイド類やアゾ化合物等を用いることができる。パーオキサイド類としては、メチル―エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)吉草酸等のパーオキシケタール類、p−メンタン−ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼン−ハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチル−ハイドロパーオキサイド、クメン−ハイドロパーオキサイド、t−ブチル−ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル−クミル−パーオキサイド、ジ−t−ヘキシル−パーオキサイド、ジ−t−ブチル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、ジイソブチリル−パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイル−パーオキサイド、ジコハク酸−パーオキサイド、ジベンゾイル−パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアジルパーオキサイド類、ジ−n−プロピル−パーオキシジカーボネート、ジイソプロピル−パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチル−パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、クミル−パーオキシネオデカン酸、1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシネオデカン酸、t−ヘキシル−パーオキシネオデカン酸、t−ブチル−パーオキシネオデカン酸、t−ブチル−パーオキシネオヘプタン酸、t−ヘキシル−パーオキシピバル酸、t−ブチル−パーオキシピバル酸、1,1,3,3−テトラメチルブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサン酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシル−パーオキシ−2−エチルヘキサン酸、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサン酸、t−ヘキシル−パーオキシ−イソプロピル−モノカーボネート、t−ブチル−パーオキシ−マレイン酸、t−ブチル−パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸、t−ブチル−パーオキシラウリン酸、t−ブチルーパーオキシイソプロピルーモノカーボネート、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカーボネート、t−ヘキシル−パーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチル−パーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類が挙げられる。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−n−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[n−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等が挙げられる。これらのラジカル開始剤は、単独または併用して用いることができ、場合によっては、硫酸第一鉄等の第一鉄塩、ハイドロサルファイトナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、n−ブチルアルデヒドアミン、三級アミン等の還元剤を添加して共重合を行うこともできる。
上述の不飽和単量体及びラジカル開始剤の添加方法としては特に制限はなく、共重合反応の初期段階に一括で添加する方法、一部の不飽和単量体及び/またはラジカル開始剤を共重合反応の初期段階で添加し、残りの不飽和単量体及び/またはラジカル開始剤を連続注入する方法、すべての不飽和単量体及び/またはラジカル開始剤を連続注入する方法が挙げられる。
また、共重合体の分子量を調整するため、及び分子間架橋を抑制するため、共重合反応時に分子量調節剤を添加しても良い。分子量調節剤としては、例えば、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’−ジチオプロピオン酸、3,3’−ジチオプロピオン酸、4,4’−ジチオジブラン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸などのジスルフィド類、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、6−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸等のメルカプタン類、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、ベンジルジチオベンゾエート、有機テルル化合物、硫黄等が挙げられ、これらを単独または併用して用いることができる。
酸化防止剤としては特に限定するものではなく、ポリマーの酸化防止剤として一般に利用されているもので、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−ビス〔{[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]オキシ}メチル]プロパン−1,3−ジオール、1,3−ビス[3−(t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−オルト−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス〔2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン等のフェノール系酸化防止剤、2,2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル−ベンゾトリアゾール、4,4’−ビス−(2,2−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ビス(1,2,2,5,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオナート等のアミン系酸化防止剤、ジラウリルー3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルー3,3’−ジチオプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等の安定ラジカル系酸化防止剤等が挙げられる。
共重合反応の反応温度及び反応圧力は特に限定するものではないが、反応温度は50〜150℃、反応圧力は0〜1.0MPaの範囲が好ましい。
反応終了後、メタノール等の不溶性溶剤による析出、ドラムドライヤー、ベント付押出し機等を用いた濃縮、乾燥により、目的とするアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体を得ることができる。
アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を乳化重合で合成する場合、以下の方法で合成が可能である。アクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体、並びに、必要に応じて分子量調節剤との混合物を乳化剤水溶液と混合して乳化する。この乳化液に開始剤を添加して共重合することにより、目的のアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を得ることができる。
分子量調節剤としては、特に制限はないが、上記の溶液重合に用いられる分子量調節剤が使用可能である。
乳化剤としては、特に制限はなく、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート等のノニオン系いずれの乳化剤も使用可能であるが、アニオン系とノニオン系の併用が好ましい。
開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の無機あるいは有機の過酸化物、又は上記過酸化物と硫酸第一鉄等の第一鉄塩、ハイドロサルファイトナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)等の還元剤を使用したレドックス系が使用される。
また、必要に応じて、酸化防止剤を添加することも可能である。酸化防止剤としては特に限定されないが、上記の溶液重合に使用される酸化防止剤が例示される。
乳化重合の反応温度は0℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃で行われる。共重合反応時の発熱が大きく、温度の制御が困難な場合は、乳化剤水溶液とアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の混合液を少量ずつ分割あるいは連続で添加しながら共重合することができる。
共重合反応が終了後、得られた乳化反応液を塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩の水溶液と混合することにより、共重合体を析出せしめ、水洗、乾燥することにより目的であるアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体を得ることができる。
共重合反応が終了後、得られた乳化反応液を塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩の水溶液と混合することにより、共重合体を析出せしめ、水洗、乾燥することにより目的であるアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体を得ることができる。
ハロゲン化ポリオレフィン、及びアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体との混合方法としては、特に制限はないが、ロール又はバンバリーミキサー等を用いで混合する方法、ハロゲン化ポリオレフィンとアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体の両方を溶解可能な溶剤に均一溶解した後、メタノール等の不溶性溶剤と混合して析出させて乾燥する方法、または、ハロゲン化ポリオレフィン、及びアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体の両方を溶解可能な溶剤に均一溶解した後、ドラムドライヤー、ベント付押し出し機等を用いた濃縮、乾燥する方法等が挙げられる。尚、ハロゲン化ポリオレフィンと溶液重合によって得られるアクリロニトリル及びアクリル系化合物の共重合体の両方の溶液を均一溶解してハロゲン化ポリオレフィン組成物を得る場合、ハロゲン化ポリオレフィン合成時に得られる反応溶液と、溶液重合で得られるアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体の反応溶液を混合する方法が製造工程において簡便であり好ましい。その際、溶液重合で使用する溶剤は、ハロゲン化ポリオレフィン合成時に用いる溶剤と同一であることが好ましい。
本発明の特徴は、ハロゲン化ポリオレフィンと、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を混合することにより、物理特性と耐油性に優れるハロゲン化ポリオレフィン組成物を得ることができる点である。
本発明のハロゲン化ポリオレフィン組成物中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体の含有率は、ハロゲン化ポリオレフィン組成物としての特性を維持しつつ、優れた物理特性と耐油性を両立させるためには20重量%から75重量%の範囲である。当該のハロゲン化ポリオレフィン組成物中における共重合体の含有率が20重量%未満である場合、十分な耐油性を発現することが困難となる。一方、共重合体の含有率が75重量%を超える場合には、得られるハロゲン化ポリオレフィン加硫物の引張強さ等の力学物性が損なわれる。好ましくは、40重量%から65重量%の範囲である。残りの成分は、ハロゲン化ポリオレフィンである。
本発明のハロゲン化ポリオレフィン組成物中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体におけるアクリロニトリルとアクリル系化合物の重合比率は10/90〜70/30の範囲である。当該の共重合体中におけるアクリロニトリルの重量比率が10%未満の場合、得られるハロゲン化ポリオレフィン加硫物の引張強さが低下する問題が生じる。一方、アクリロニトリルの重量比率が70%を超える場合、得られるハロゲン化ポリオレフィン組成物の粘度が上昇し、成形加工時に不具合が生じる。好ましくは15/85〜60/40の範囲である。
本発明の変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物は、特に耐油性が必要とされる各種ホースや各種シール材、パッキン等に用いることができる。
これらの用途は、本発明のハロゲン化ポリオレフィン組成物の加硫物として使用される。当該ハロゲン化ポリオレフィン組成物の加硫物を得る方法としては、ハロゲン化ポリオレフィン組成物と各種配合剤をロール又はバンバリーミキサー等で配合又は混練した後、プレス加硫、蒸気加硫、高周波(UHF)加硫あるいは電子線加硫等が行われる。各種配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、可塑剤、補強剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤等が挙げられ、必要に応じて用いられる。
これらの用途は、本発明のハロゲン化ポリオレフィン組成物の加硫物として使用される。当該ハロゲン化ポリオレフィン組成物の加硫物を得る方法としては、ハロゲン化ポリオレフィン組成物と各種配合剤をロール又はバンバリーミキサー等で配合又は混練した後、プレス加硫、蒸気加硫、高周波(UHF)加硫あるいは電子線加硫等が行われる。各種配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、可塑剤、補強剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤等が挙げられ、必要に応じて用いられる。
本発明の変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物は、良好な難燃性、物理特性と耐油性を両立しており、特に耐油性が必要とされる各種ホースや各種シール材、パッキン等に用いることができる。
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに制限されるものではない。
尚、以下の実施例等で用いた値は、以下の測定法で行ったものである。
<共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率>
アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率は、共重合反応終了後の溶液を少量採取し、未反応の不飽和単量体量をガスクロマトグラフィー(GC−2025、島津製作所製)を用いて測定することにより求めたアクリロニトリル及びアクリル系化合物の反応重量より算出した
アクリロニトリル重量比率
=(反応したアクリロニトリル重量/反応した不飽和単量体重量)×100
アクリル系化合物重量比率
=(反応したアクリル系化合物重量/反応した不飽和単量体重量)×100
<共重合体の含有率>
ハロゲン化ポリオレフィン組成物中に於けるアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する共重合体の含有率は、ハロゲン化ポリオレフィン重量と、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体重量から算出した。
アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率は、共重合反応終了後の溶液を少量採取し、未反応の不飽和単量体量をガスクロマトグラフィー(GC−2025、島津製作所製)を用いて測定することにより求めたアクリロニトリル及びアクリル系化合物の反応重量より算出した
アクリロニトリル重量比率
=(反応したアクリロニトリル重量/反応した不飽和単量体重量)×100
アクリル系化合物重量比率
=(反応したアクリル系化合物重量/反応した不飽和単量体重量)×100
<共重合体の含有率>
ハロゲン化ポリオレフィン組成物中に於けるアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する共重合体の含有率は、ハロゲン化ポリオレフィン重量と、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体重量から算出した。
含有率={共重合体重量/(ハロゲン化ポリオレフィン重量+共重合体重量)}×100
<塩素含有率の測定>
塩素含有率の測定は、最初に、吸収液として1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15.0mlを入れた燃焼フラスコ内で、原料ハロゲン化ポリオレフィンまたは変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物のアセトン抽出物またはアセトン抽出残渣物30.0mgを酸素燃焼法に従い燃焼させ、30分静置した。次に、この吸収液を純水100.0mlで洗い出し、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量することにより求めた。
<塩素含有率の測定>
塩素含有率の測定は、最初に、吸収液として1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15.0mlを入れた燃焼フラスコ内で、原料ハロゲン化ポリオレフィンまたは変性ハロゲン化ポリオレフィン組成物のアセトン抽出物またはアセトン抽出残渣物30.0mgを酸素燃焼法に従い燃焼させ、30分静置した。次に、この吸収液を純水100.0mlで洗い出し、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量することにより求めた。
<硫黄含有率の測定>
硫黄含有率の測定は、最初に、吸収液として3.0重量%の過酸化水素水10.0mlを入れた燃焼フラスコ内で、原料ハロゲン化ポリオレフィンまたはハロゲン化ポリオレフィン組成物のアセトン抽出物またはアセトン抽出残渣物30.0mgを酸素燃焼法に従い燃焼させ、30分静置した。次に、この吸収液を純水約40.0mlで洗い出した後、酢酸1ml、2−プロピルアルコール100.0ml、アルセナゾIII0.47mlを加えた。これを濃度0.01Nの酢酸バリウム溶液で光度滴定法により硫酸イオンを定量することにより求めた。
硫黄含有率の測定は、最初に、吸収液として3.0重量%の過酸化水素水10.0mlを入れた燃焼フラスコ内で、原料ハロゲン化ポリオレフィンまたはハロゲン化ポリオレフィン組成物のアセトン抽出物またはアセトン抽出残渣物30.0mgを酸素燃焼法に従い燃焼させ、30分静置した。次に、この吸収液を純水約40.0mlで洗い出した後、酢酸1ml、2−プロピルアルコール100.0ml、アルセナゾIII0.47mlを加えた。これを濃度0.01Nの酢酸バリウム溶液で光度滴定法により硫酸イオンを定量することにより求めた。
<物理的特性評価>
ハロゲン化ポリオレフィン組成物を表1に記載した所定の配合処方にてJIS−K−6299(2012年度版)に従い混練を行い、得られたサンプルを厚み2mmの金型にて加硫を行った。その後、硬さ(HS)はJIS−K−6253(2012年度版)に従い、23℃の条件で評価し、引張強さ(TB)、破断時伸び(EB)、100%引張応力(M100)はJIS−K−6251(2012年度版)に従い、引張速度500mm/分、23℃の条件にて評価した。
ハロゲン化ポリオレフィン組成物を表1に記載した所定の配合処方にてJIS−K−6299(2012年度版)に従い混練を行い、得られたサンプルを厚み2mmの金型にて加硫を行った。その後、硬さ(HS)はJIS−K−6253(2012年度版)に従い、23℃の条件で評価し、引張強さ(TB)、破断時伸び(EB)、100%引張応力(M100)はJIS−K−6251(2012年度版)に従い、引張速度500mm/分、23℃の条件にて評価した。
<耐油性評価>
得られた加硫物をJIS−K−6258(2012年度版)に従い、試験用潤滑油のNo.3油を用い、100℃で72時間浸漬した後の体積変化率を測定することにより評価した。
得られた加硫物をJIS−K−6258(2012年度版)に従い、試験用潤滑油のNo.3油を用い、100℃で72時間浸漬した後の体積変化率を測定することにより評価した。
実施例1
40リットルのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを21.6kg、密度が960kg/cm3、メルトフローレート(MFR)が5.0g/10分の高密度ポリエチレン3kgを添加した後、反応器のジャケットに蒸気を通し、110℃でポリエチレンを均一に溶解した。またこの間、反応器に10.0リットル/分の流速で窒素ガスを導入し、反応器内の空気を除去した。ラジカル発生剤として、5.0gのα,α−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.0リットルに溶解した溶液を4.0ml/分の流量で、6.5kgの塩化スルフリルを25ml/分の流量で、各々別の投入口より反応器へ連続的に添加した。反応中は反応器の圧力を0.2MPaに保った。反応終了後、反応系の圧力を常圧まで低下し、その後常圧下で窒素を吹き込むことによって、溶液中に溶存する塩化水素、亜硫酸ガスを系外に排出した。その後ドラム乾燥機にて生成物を単離し、クロロスルホン化ポリエチレンを得た。
40リットルのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを21.6kg、密度が960kg/cm3、メルトフローレート(MFR)が5.0g/10分の高密度ポリエチレン3kgを添加した後、反応器のジャケットに蒸気を通し、110℃でポリエチレンを均一に溶解した。またこの間、反応器に10.0リットル/分の流速で窒素ガスを導入し、反応器内の空気を除去した。ラジカル発生剤として、5.0gのα,α−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.0リットルに溶解した溶液を4.0ml/分の流量で、6.5kgの塩化スルフリルを25ml/分の流量で、各々別の投入口より反応器へ連続的に添加した。反応中は反応器の圧力を0.2MPaに保った。反応終了後、反応系の圧力を常圧まで低下し、その後常圧下で窒素を吹き込むことによって、溶液中に溶存する塩化水素、亜硫酸ガスを系外に排出した。その後ドラム乾燥機にて生成物を単離し、クロロスルホン化ポリエチレンを得た。
得られたクロロスルホン化ポリエチレンは、35.3重量%の塩素と、0.22重量%の硫黄を含有していた。
次に、窒素雰囲気下4リットルのガラスフラスコに1,1,2−トリクロロエタン2.0kgを仕込み、内部を窒素で置換し、内温を65℃まで加熱した後、アクリロニトリル39.8g、アクリル酸エチル75.1gを添加し、1,1,2−トリクロロエタン144gに溶解したラジカル開始剤(日油(株)製 パーロイルOPP;ジ−2−エチルヘキシル−パーオキシジカーボネート)3.7gを溶解した溶液を5時間かけて滴下して反応を実施した。その後、1時間撹拌を継続し、禁止剤としてイルガノックス1010(BASF社製)1.0gを添加することにより、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体反応溶液を得た。この反応溶液に、上記記載のクロロスルホン化ポリエチレン150gを添加し、添加したクロロスルホン化ポリエチレンが均一に溶解するまで撹拌を継続した。得られた反応溶液をドラム乾燥機にて乾燥することにより、目的のハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体含有率は26.8重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸エチル比率は32/68であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例2
不飽和単量体の仕込量を、アクリロニトリル59.7g、アクリル酸エチル27.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体の仕込量を、アクリロニトリル59.7g、アクリル酸エチル27.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体含有率は27.2重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸エチル比率は54/46であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例3
不飽和単量体を、アクリロニトリル103.9g、アクリル酸エチル196.1gに変更して得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物溶液を、エバポレーター及び減圧乾燥器を用いて溶剤である1,1,2−トリクロロエタン、及び未反応の不飽和単量体を留去することによってハロゲン化ポリエチレン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル103.9g、アクリル酸エチル196.1gに変更して得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物溶液を、エバポレーター及び減圧乾燥器を用いて溶剤である1,1,2−トリクロロエタン、及び未反応の不飽和単量体を留去することによってハロゲン化ポリエチレン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体含有率は51.5重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸エチル比率は32/68であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例4
不飽和単量体を、アクリロニトリル154.4g、アクリル酸エチル145.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル154.4g、アクリル酸エチル145.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体含有率は53.2重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸エチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸エチル比率は52/48であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例5
不飽和単量体を、アクリロニトリル39.8g、アクリル酸2−メトキシエチル97.6gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル39.8g、アクリル酸2−メトキシエチル97.6gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体含有率は29.5重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸2−メトキシエチル比率は31/69であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例6
不飽和単量体を、アクリロニトリル59.7g、アクリル酸2−メトキシエチル48.8gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル59.7g、アクリル酸2−メトキシエチル48.8gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体含有率は27.7重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸2−メトキシエチル比率は45/55であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例7
不飽和単量体を、アクリロニトリル86.9g、アクリル酸2−メトキシエチル213.1gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル86.9g、アクリル酸2−メトキシエチル213.1gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体含有率は52.8重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸2−メトキシエチル比率は31/69であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例8
不飽和単量体を、アクリロニトリル134.8g、アクリル酸2−メトキシエチル165.3gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル134.8g、アクリル酸2−メトキシエチル165.3gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体含有率は48.9重量%であり、アクリロニトリル−アクリル酸2−メトキシエチル共重合体のアクリロニトリル/アクリル酸2−メトキシエチル比率は49/51であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表2に示す。
比較例1
不飽和単量体を、アクリロニトリル79.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル79.6gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル重合体含有率は17.0重量%であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
比較例2
不飽和単量体を、アクリロニトリル119.4gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリロニトリル119.4gに変更した以外は実施例1と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリロニトリル重合体含有率は30.0重量%であった。処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
比較例3
不飽和単量体を、アクリル酸2−メトキシエチル86.8gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリル酸2−メトキシエチル86.8gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリル酸2−メトキシエチル重合体含有率は35.2重量%であった。処方1の配合処方にて混練したが、粘着性が顕著であり、加硫物中に多数の気泡が混入したため、物性評価が困難であった。
比較例4
不飽和単量体を、アクリル酸2−メトキシエチル183.5gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
不飽和単量体を、アクリル酸2−メトキシエチル183.5gに変更した以外は実施例3と同様にしてハロゲン化ポリオレフィン組成物を得た。
得られたハロゲン化ポリオレフィン組成物のアクリル酸2−メトキシエチル重合体含有率は53.1重量%であった。処方1の配合処方にて混練したが、粘着性が顕著であり、加硫物中に多数の気泡が混入したため、物性評価が困難であった。
比較例5
実施例1で得られたクロロスルホン化ポリエチレンを用いて、処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
実施例1で得られたクロロスルホン化ポリエチレンを用いて、処方1の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
比較例6
市販のクロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製 TOSOH−CSM TS−530)を用いて、処方2の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
市販のクロロスルホン化ポリエチレン(東ソー株式会社製 TOSOH−CSM TS−530)を用いて、処方2の配合処方にて物性評価を実施した。評価結果を表3に示す。
Claims (4)
- ハロゲン化ポリオレフィン並びにアクリロニトリル及びアクリル系化合物を含有する不飽和単量体の共重合体(以下、アクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体という。)を含有するハロゲン化ポリオレフィン組成物であって、ハロゲン化ポリオレフィン組成物中に於けるアクリロニトリルとアクリル系化合物共重合体の含有率が20重量%から75重量%の範囲であり、そのアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体中のアクリロニトリルとアクリル系化合物の重量比率が10/90〜70/30の範囲であることを特徴とするハロゲン化ポリオレフィン組成物。
- ハロゲン化ポリオレフィンがクロロスルホン化ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化ポリオレフィン組成物。
- アクリル系化合物がアクリル酸2−メトキシエチルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハロゲン化ポリオレフィン組成物。
- 溶剤に溶解したハロゲン化ポリオレフィン溶液と、溶剤に溶解したアクリロニトリルとアクリル系化合物の共重合体を混合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハロゲン化ポリオレフィン組成物の製造法。
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