JP5948724B2 - 熱可塑性エラストマー - Google Patents
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Description
本発明における塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを塩素化して得られる塩素化ポリオレフィンであれば特に限定するものではなく、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン−α−オレフィン共重合体、塩素化α−オレフィン重合体、塩素化α−オレフィン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。これらの塩素化ポリオレフィンは単独、または2種類以上のブレンド体であっても問題なく使用可能である。ここに、塩素化としては、例えば、1,1,2−トリクロロエタン、クロロホルム、塩化ベンゼン、フッ化ベンゼン、四塩化炭素、水等の塩素化反応に不活性な溶剤に溶解又は懸濁させたポリオレフィンを、ラジカル活性剤または紫外線の存在下で、塩素ガスや塩化スルフリル等の塩素化剤で塩素化すること等が挙げられる。
グラフト重合の方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ラジカルグラフト重合として、塩素化ポリオレフィンを溶媒に溶解、又は押出し機などを用いて攪拌しながら、一括又は連続で、マレイミド化合物、及び必要に応じてその他の単量体を添加して、ラジカル発生剤により重合し、所定の重合転化率に到達したところで、酸化防止剤を添加し、必要により溶剤又は未反応モノマーを、洗浄、減圧除去し、乾燥すること等によって、本発明の熱可塑性エラストマーを得ることができる。ラジカル発生剤、及びその他の単量体は、必要に応じて、一括又は連続で添加することができる。
モノマーの重合率は、反応終了時の溶液を少量採取し、重合していないモノマー量を、ガスクロマトグラフィー(G−17A、島津製作所製)を用いて、ガスクロマトグラフィー分析を行うことにより、求めた。
内部標準=デカン
<塩素量>
塩素量の測定は、最初に、吸収液として1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlを入れた燃焼フラスコ内で得られた熱可塑性エラストマー30mgを酸素燃焼法に従い燃焼させ、30分静置した。次に、この吸収液を純水100mlで洗い出し、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量することにより求めた。
N−フェニルマレイミドポリマーはジメチルホルムアミドに可溶であり、塩素化ポリオレフィンはジメチルホルムアミドに不溶であることから、熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドにより抽出処理を行った。熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドにて抽出した。ジメチルホルムアミド抽出量は、得られた熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドによるソックスレー抽出法により、ジメチルアミド溶解した成分の重量から求めた。
引張強さ、伸びはJIS K6251に準拠して、ダンベル状3号形試験片にて500±50mm/minの引張速度にて測定した。
硬さは、JIS K6253に準拠して、デュロメーター硬さ試験タイプDにて測定した。
耐熱性はJIS K6394に準拠し、粘弾性アナライザー((株)上島製作所製VR−7210)にて、−10℃〜200℃、周波数10Hzの測定条件で測定を行い、試験片が切断することにより弾性が発現しなくなった時の温度にて評価を行った。
圧縮永久歪みはJIS K6262に準拠し、100℃で22時間後の圧縮永久歪み率を測定することにより評価した。
プレス成型(230℃×10MPa)にて、試験片を作製した。
上記プレス成型により、厚さ0.3mmの熱可塑性エラストマーのシートを作製し、熱硬化性エポキシ樹脂で包理し、切削ブロックを調整した。これをRuO4蒸気中で一昼夜染色した後、ウルトラミクロトームで超薄切片を調整した。このサンプルの相分離構造を、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM−2000FX(加速電圧160KV))を用いて観察した。
窒素雰囲気下1Lのガラスフラスコに塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製、エラスレン402NA、塩素含有量40重量%)を10.0g(100重量部)、ドデシルメルカプタン0.02g、N−フェニルマレイミド6.0g(60重量部)、1,1,2−トリクロロエタン184gを仕込み、内部を窒素で置換し、116℃に加熱した。その後、ラジカル開始剤0.25g(日油(株)、パーブチル−O、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)を1,1,2−トリクロロエタン87gに溶かした溶液を、8時間かけて滴下して反応を実施した。反応開始より9時間後のN−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた反応液を、濃縮、乾燥し、粗ポリマーを取得した。さらに、得られたポリマーをアセトンで2回洗浄した後、乾燥し、熱可塑性エラストマーを合成した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は25.0重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは62.5重量%であった。
N−フェニルマレイミド9.0g(90重量部)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は21.1重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは52.7重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
N−フェニルマレイミド2.0g(20重量部)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は33.3重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは83.3重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
塩素化ポリエチレンにエラスレン351AE(昭和電工(株)製、塩素含有量35重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は21.9重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは62.5重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
塩素化ポリエチレンにエラスレン351AE(昭和電工(株)製、塩素含有量35重量%)を用いた以外は、実施例2と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は18.4重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは52.6重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
窒素雰囲気下1Lのガラスフラスコに塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製、エラスレン402NA、塩素含有量40重量%)を10g(100重量部)、ドデシルメルカプタン0.02g、N−フェニルマレイミド6.0g(60重量部)、スチレン6.0g(60重量部)、1,1,2−トリクロロエタン184gを仕込み、内部を窒素で置換し、110℃に加熱した。その後、ラジカル開始剤0.25g(日油(株)、パーブチル−O)を1,1,2−トリクロロエタン87gに溶かした溶液を、8時間かけて滴下して反応を実施した。8時間後のN−フェニルマレイミドの重合率は100%であり、スチレンの転化率は89%であった。得られた反応液を、実施例1と同様に処理して、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。得られた熱可塑性エラストマーをプレス成型により試験片を調製し、評価を行った。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は18.7重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは46.8重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
スチレン3.0g(30重量部)を用いた以外は、実施例6と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であり、スチレンの転化率は83%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は18.9重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは54.0重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
実施例1と同じ操作で得られた熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドで洗浄し、ジメチルホルムアミドに不溶の熱可塑性エラストマーを、乾燥し、物性評価した。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は32.1重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは80.3重量%であった。分析結果及び評価結果を表1に示す。
実施例4と同じ操作で得られた熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドで洗浄し、ジメチルホルムアミドに不溶の熱可塑性エラストマーを、乾燥し、物性評価した。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は28.6重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは81.7重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。
実施例6と同じ操作で得られた熱可塑性エラストマーをジメチルホルムアミドで洗浄し、ジメチルホルムアミドに不溶の熱可塑性エラストマーを、乾燥し、物性評価した。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は27.4重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィンは68.5重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。
30リッターのグラスレイニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを28kgと、メルトインデックス3.8g/10分、密度0.963g/ccの高密度ポリエチレンを1.96kg仕込んだ。
窒素雰囲気下1Lのガラスフラスコに、N−フェニルマレイミド24.1g、1,1,2−トリクロロエタン184gを仕込み、内部を窒素で置換し、110℃に加熱した。その後、ラジカル開始剤0.17g(日油(株)、パーブチル−O)を1,1,2−トリクロロエタン87gに溶かした溶液を、8時間かけて滴下して反応を実施した。反応の進行に伴い反応液の粘度は増大し、8時間後のN−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた反応液を、濃縮、乾燥し、ポリマー(1)を取得した。
窒素雰囲気下1Lのガラスフラスコに塩素化ポリエチレン(昭和電工(株)製、エラスレン402NA、塩素含有量40重量%)を10g(100重量部)、ポリマー(1)を6.0g(60重量部)、ポリスチレン(アルドリッチ製、分子量3.5万)を6.0g(60重量部)、1,1,2−トリクロロエタン184gを仕込み、比較例1と同様な操作にて熱可塑性エラストマーを取得し、プレス成型により評価を行った。熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造は見られず、より大きなマクロ相分離がみられた。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は18.2重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィン45.4重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。熱可塑性エラストマーは、強度が実施例に対して低かった。熱可塑性エラストマーの物性は、モジュラス、伸びが小さく、実勢例に対して劣っていた。
N−フェニルマレイミド1.0g(10重量部)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は36.4重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィン90.9重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。熱可塑性エラストマーの物性は、強度が実施例に対して低かった。
N−フェニルマレイミド35.0g(350重量部)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は8.9重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィン22.3重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。熱可塑性エラストマーはプレス成型することができず、物性評価用のシートを得ることができなかった。
N−フェニルマレイミド15.0g(150重量部)、スチレン15.0g(150重量部)を用いた以外は、実施例7と同様に反応を行い、熱可塑性エラストマーを取得した。反応の進行に伴い、反応液の粘度が増大し、ガスクロマトグラフィーにより反応液中のN−フェニルマレイミドが減少し、また熱可塑性エラストマーのTEM観察においてミクロ相分離構造が見られたことから、グラフト重合体が得られたと判断した。N−フェニルマレイミドの重合率は100%、スチレンの重合率は93%であった。得られた熱可塑性エラストマーの塩素含量は9.0重量%であり、塩素含量から求めた熱可塑性エラストマー中の塩素化ポリオレフィン25.7重量%であった。分析結果及び評価結果を表2に示す。熱可塑性エラストマーはプレス成型することができたものの、脆く、シート中に異物が多く、物性評価できなかった。
Claims (3)
- 塩素化ポリオレフィンが、塩素化ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー。
- グラフト重合がラジカルグラフト重合であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性エラストマー。
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