JP2017095351A - 固体電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】全固体二次電池に適した、高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供する。【解決手段】アルカリ金属元素の少なくとも1つと、リン(P)元素と、硫黄(S)元素と、I,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素と、を少なくとも含み、示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において、150℃〜350℃の範囲に互いに分離した2つの発熱ピークを有する固体電解質ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられるリチウムイオン二次電池の需要が増加している。
上記リチウムイオン二次電池には、電解質として有機系電解液が用いられている。有機系電解液は高いイオン伝導度を示すものの、液体でかつ可燃性であるため、漏洩、発火等の安全性が懸念されている。
リチウムイオン二次電池の安全性を確保する方法として、有機系電解液に代えて無機固体電解質を用いた全固体二次電池が研究されている。しかし、一般的に無機固体電解質は、有機系電解液に比べてイオン伝導度が小さく、全固体二次電池の実用化は困難であった。
無機固体電解質として、例えば、LiNをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックスが報告されている。しかし、このセラミックスは分解電圧が低いため、3V以上で作動する全固体二次電池に用いることはできなかった。
非特許文献1では、高いリチウムイオン伝導性を示す硫化物系結晶化ガラスからなる固体電解質が開示されている。しかし、非特許文献1に記載の電解質は、高価なゲルマニウムを多量に必要とするため、工業的に不利である。
また、特許文献1ではオルト組成を有するイオン伝導体と、LiIとを含有し、ガラス転移点を有するガラス硫化物固体電解質材料において、イオン伝導度が1.0×10−3S/cmまで向上することを開示している。
特開2012−48973号公報
N.Kamayaら、Nature Materials 10、682(2011).
本発明の課題は、全固体二次電池に適した、より高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質等が提供される。
1.アルカリ金属元素の少なくとも1つと、リン(P)元素と、硫黄(S)元素と、I,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素と、を少なくとも含み、示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において、150℃〜350℃の範囲に互いに分離した2つの発熱ピークを有する固体電解質ガラス。
2.前記2つの発熱ピークのピークトップ位置の温度差が20℃以上150℃以下である1に記載の固体電解質ガラス。
3.前記2つの発熱ピークのピークトップ位置の温度差が30℃以上130℃以下である1に記載の固体電解質ガラス。
4.下記式(1)で示す組成を有する、1〜3のいずれかに記載の固体電解質ガラス。
…(1)
(式中、Lはアルカリ金属を示し、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択させる1以上の元素を示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素を示す。
a〜eは、それぞれ下記式を満たす。
0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9)
5.下記(A)、(B)及び(C)を原料とする、1〜4のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M’で表される化合物
(C)M”で表される化合物
(式中、M’はB,Al,Si,P又はGeであり、M”はLi,Na,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示し、XはF,Cl,Br又はIを示す。wは1〜2の整数を示し、m,n,yは1〜10の整数を示す。)
6.前記原料(A)及び(B)を反応させ、その後、原料(C)を加えて前記原料(A)及び(B)の反応物と反応させる工程を含む、5に記載の固体電解質ガラスの製造方法。
7.酸素濃度が19〜21%の雰囲気中で反応させる工程を含む、5又は6に記載の固体電解質ガラスの製造方法。
8.さらに、(D)成分としてLiSOを1〜5モル%添加する、5〜7のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法。
9.上記5〜8のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法により得られる固体電解質ガラス。
10.上記1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラスを、前記2つの発熱ピークの間の温度で熱処理することにより得られる固体電解質ガラスセラミック。
11.イオン伝導度が1×10−3S/cm以上である10に記載の固体電解質ガラスセラミック。
12.上記1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方と、正極活物質と、を含む正極合材。
13.上記1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方と、負極活物質と、を含む負極合材。
14.上記1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方を含有する固体電解質層を備える全固体電池。
15.上記12の正極合材からなる正極層を備える全固体電池。
16.上記13の負極合材からなる負極層を備える全固体電池。
17.前記固体電解質層、正極合材又は負極合材に含まれる固体電解質ガラスの、示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において観測される、150℃〜350℃の範囲の独立した2つの発熱ピークの、発熱ピーク温度の間の温度にて熱処理して得られる、14〜16のいずれかに記載の全固体電池。
本発明によれば、イオン伝導度の高い固体電解質を提供することができる。
実施例1で合成した固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックの示差熱熱重量測定結果を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3で合成した固体電解質ガラスの示差熱熱重量測定結果を示す図である。 実施例9で使用した固体電解質ガラスの製造装置の概略図である。
A.固体電解質ガラス
本発明の固体電解質ガラスは、後述する固体電解質ガラスセラミックの前駆体であって、アルカリ金属元素の少なくとも1つと、リン(P)元素と、硫黄(S)元素と、I,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素と、を少なくとも含む硫化物系ガラスである。
そして、示差走査熱量測定において、150℃〜350℃の範囲に互いに分離した2つの発熱ピークを有することを特徴とする。
ここで、示差走査熱量測定の測定条件は、乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで20〜600℃とする。例えば、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を使用し、固体電解質約20mgで測定できる。
「互いに分離した2つの発熱ピーク」とは、重複部のない2つのピーク、又は、重複部が存在しても、2つのピーク間にそれぞれのピークの最大値(高さ)の20%以下の値を示す領域が存在している場合を意味する。
ピークの高さは、ベースラインを基準としたときの高さを意味する。ベースラインは、75−150℃の範囲を直線に近似し、外挿したラインである。ただし、結晶化に伴うピークやガラス転移による曲りが75-150℃にある場合は、それ以外の範囲を直線に近似し、外挿した直線をベースラインとする。
本発明は、分離した2つの発熱ピークを有する硫化物系ガラスを、ピーク間の温度で加熱してガラスセラミック化した場合に、得られるガラスセラミックのイオン伝導度が向上することを見出したものである。
例えば、特許文献1の電解質を熱分析したところ、上記の温度領域に発熱ピークは1本しかない。このように、発熱ピークが1本しかない場合や、後述する比較例のように、2つの発熱ピークを有していても、2つのピークが重複して存在している場合は、ピーク間温度やピーク付近の温度でガラスセラミック化しても、得られるガラスセラミックのイオン伝導度は、本発明の固体電解質セラミックよりも低くなる。
ガラスセラミックでは、イオン伝導度を高めるために、準安定相を生じさせるような熱処理をすること有効であるが、発熱ピークが1本しかない場合や、2つのピークが重複している場合は、主として準安定相のみを生じさせることが困難である。
本発明の固体電解質ガラスでは、2本の発熱ピークの間、即ち、準安定相ピークから安定相ピークの間の温度で、一定時間保持することができるため、イオン伝導度が高くなる。
尚、本願においてガラスとは、X線回折測定の結果、結晶に起因するピークが観測されないか、又は結晶に起因するピークが観測されたとしてもピーク強度が低い場合(対象物が主に非晶質からなる)を意味する。一方、ガラスセラミックとはX線回折測定の結果、結晶に起因するピークが観測される場合を意味する。ガラスセラミックには非晶部が含まれていてもよい。即ち、ガラスセラミックにはガラスとガラスセラミックの混合体も含まれる。
本願では、熱処理前の固体電解質を固体電解質ガラスと表記し、熱処理後の固体電解質を固体電解質ガラスセラミックと表記する。
本発明の固体電解質ガラスは、例えば、酸素を除く各元素が、下記式(1)で示す組成を有するものが好ましい。固体電解質ガラスに含まれる全元素が、下記式(1)で示す組成を有するものがさらに好ましい。
…(1)
(式中、Lはアルカリ金属を示し、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択させる1以上の元素を示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素を示す。
a〜eは、それぞれ下記式を満たす。
0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9)
本発明の固体電解質ガラスは、例えば、下記の原料(A)、(B)及び(C)を用いて合成できる。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M’で表される化合物
(C)M”で表される化合物
(式中、M’はB,Al,Si,P、Ge,M”はLi,Na,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示し、XはF,Cl,Br又はIを示す。wは1〜2の整数を示し、m,n,yは1〜10の整数を示す。)
原料(A)としては、LiS(硫化リチウム)、NaS(硫化ナトリウム)が挙げられる。なかでも硫化リチウムが好ましい。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特願2009−238952に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特願2009−238952)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号及び特開平9−283156号に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
原料(B)としては、P(三硫化二リン)(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、Al(硫化アルミニウム)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)等を用いることができる。好ましくはPである。尚、原料(B)は2種以上混合して使用してもよい。
は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
ハロゲン元素を含む化合物(C)としては、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI4、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられる。好ましくはM”がリチウム又はリンである化合物である。具体的に、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
上記原料(A)〜(C)の他に、原料(D)としてガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO3、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
また、上記原料(A)〜(D)のほか、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)、NaS(硫化ナトリウム)、NaBO(メタホウ酸ナトリウム)、NaAlO(アルミン酸ナトリウム)、POCl,POBr等も用いることができる。
尚、本発明の固体電解質ガラスは、ガラス化促進剤、酸素を含むハロゲン化合物、実施例の亜硫酸リチウム等で酸素が入る場合には、例えば、酸素を含む各元素の下記式(1’)で示す組成を有する。
…(1’)
(式中、Lはアルカリ金属を示し、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択させる1以上の元素を示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素を示す。
a〜eは、それぞれ下記式を満たす。
0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0<f≦9)
本発明の固体電解質ガラスは上述した式(1)に示す組成を有する硫化物系ガラスであるが、組成は上記原料(A)〜(D)の配合比を調整することにより制御できる。
成分(A)、(B)及び(C)の配合比は、成分(C)のM''がリンであるかリン以外であるかで場合分けされる。
成分(C)のM''がリン以外の場合、例えば成分(A):(B)のモル比は65:35〜85:15であり、好ましくは(A):(B)=67:33〜83:17(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=68:32〜80:20(モル比)であり、最も好ましくは(A):(B)=75:25〜79:21(モル比)である。
また、この時、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=55:45〜97:3(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=60:40〜96:4(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=70:30〜96:4(モル比)である。
成分(C)のM''がリンである場合、例えば成分(A):(B)のモル比は60:40〜90:10であり、好ましくは(A):(B)=70:30〜90:10(モル比)であり、より好ましくは(A):(B)=72:28〜88:12(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=74:26〜86:14(モル比)であり、特に好ましくは(A):(B)=75:25〜85:15(モル比)であり、最も好ましくは、成分(A)が硫化リチウムであり、成分(B)五硫化二リンであって、(A):(B)=77:23〜83:17(モル比)である。
また、この時、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=80:20〜98:2(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=85:15〜98:2(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=90:10〜98:2である。
原料(D)(ガラス化促進剤)の配合量は、原料(A)、(B)及び(C)の合計に対し、1〜10モル%であることが好ましく、特に、1〜5モル%であることが好ましい。
尚、本発明の固体電解質ガラスは、上記原料(A)〜(C)、及び任意に原料(D)から実質的になっていてもよく、また、これらの成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、上記組成物が、主に上記原料(A)〜(C)、及び任意に原料(D)からなること、例えば、上記原料(A)〜(D)が原料全体に対し、95重量%以上、又は98重量%以上であることを意味する。
上記原料(A)〜(C)及び任意に原料(D)を混合し、溶融急冷法、メカニカルミリング法(MM法)、スラリー法、固相法等の方法によりガラス化することにより本発明の固体電解質ガラスが合成できる。以下、各方法について原料(A)としてLiSを、原料(B)としてPを使用した例について説明する。
(ア)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049、WO2005/119706に記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物(原料(C))とを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、固体電解質ガラスが得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(イ)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、例えば、特開平11−134937、特開2004−348972、特開2004−348973に記載されている。
具体的には、PとLiSと原料(C)とを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、固体電解質ガラスが得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の固体電解質ガラスを得ることができるという利点がある。
また、MM法では固体電解質ガラスの製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、特開2010−90003に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、特開2009−110920や特開2009−211950に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをMM処理してもよい。
また、特開2010−30889に記載のようにMM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が、60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
(ウ)スラリー法
スラリー法は、WO2004/093099、WO2009/047977に記載されている。
具体的には、所定量のP粒子とLiS粒子と原料(C)とを有機溶媒中で所定時間反応させることにより、固体電解質が得られる。
原料(C)は、有機溶媒に溶解するか、又は粒子であることが好ましい。
ここで、特開2010−140893に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。
また、WO2009/047977に記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。
また、特願2010−270191に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは、20℃以上60℃以下である。
反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは、2時間以上14時間以下である。
有機溶媒の量は、原料であるPとLiSと原料(C)とが、有機溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001kg以上1kg以下程度となる。好ましくは0.005kg以上0.5kg以下、特に好ましくは0.01kg以上0.3kg以下である。
有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性の非極性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化合物,ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物、環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又は、混合溶媒として、好適に使用することができる。
炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
(エ)固相法
固相法は、例えば、「H−J.Deiseroth,et.al.,Angew.Chem.Int.Ed.2008,47,755−758」に記載されている。具体的には、PとLiSと原料(C)を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、固体電解質が得られる。
上記溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
固体電解質ガラスの製造法としては、MM法、スラリー法又は固相法が好ましい。低コストで製造可能であることから、MM法、スラリー法がより好ましく、特にスラリー法が好ましい。
溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法のいずれの場合であっても、混合する順番は、最終的な固体電解質ガラスの組成が上記記載の範囲にあればよい。例えば、MM法であれば、原料(A)、原料(B)及び原料(C)を全て混合した上でミリングしてもよく、原料(A)と原料(B)とをミリングした後、原料(C)を加え、さらにミリングしてもよい。また、LiBrとPをミリング後、LiSを加えさらにミリングしてもよく;原料(A)と原料(C)とをミリング後、原料(B)を加えてさらにミリングしてもよい。さらに、原料(A)と原料(C)を混合しミリング処理した混合物と、原料(C)と原料(B)を混合しミリングした混合物を混ぜ合わせた上でさらにミリング処理を行ってもよい。
また、混合処理を2回以上行う場合、2種以上の異なる方法を組み合わせてもよい。例えば原料(A)と原料(B)をメカニカルミリングで処理した上で原料(C)を混合し固相法で処理を行ってもよく、原料(A)と原料(C)を固相法で処理を行ったものと原料(B)と原料(C)とを溶融急冷処理を行ったものを混合し、スラリー法を行うことで固体電解質ガラスを製造してもよい。
本発明では、はじめに原料(A)及び(B)を反応させ、その後、原料(C)を加えて原料(A)及び(B)の反応物と反応させることが好ましい。これにより、2つの発熱ピーク間をより広くすることができる。
また、酸素濃度が19〜21%の雰囲気中で反応させる工程を含むことが好ましい。例えば、ボールミルに乾燥空気を封入することが挙げられる。これにより、2つの発熱ピーク間をより広くすることができる。
本発明の固体電解質ガラスは、上述したように示差走査熱量測定により150℃〜350℃の範囲に互いに分離した2つの発熱ピーク(結晶化ピーク)が観察される。2つの発熱ピークのピークトップ位置の温度差は20℃以上150℃以下であることが好ましく、さらに、30℃以上130℃以下であることが好ましく、さらに、35〜130℃であることが好ましく、特に、40〜120℃であることが好ましい。これにより、準安定相のみを生じさせる熱処理の条件がより緩やかになる。
2つの発熱ピークのピークトップ位置は、例えば、原料の種類や各原料の配合比、製法の種類により調整できる。一例を挙げると、原料(A)と原料(B)を用いて電解質前駆体を予め合成した上で、原料(C)を加えてさらに合成処理を行うことにより各ピークトップ位置が広がる。また、酸素存在下で各工程を行うことによりピークトップ位置が広がる。
また、2つの結晶化ピークは170℃以上330℃以下の範囲にあることが好ましく、さらに、175℃以上320℃以下の範囲にあることが好ましく、特に、180℃以上310℃以下の範囲にあることが好ましい。
B.固体電解質ガラスセラミック
本発明の固体電解質ガラスセラミックは、上述した本発明の固体電解質ガラスを上述した2つの発熱ピークの間の温度で熱処理することにより得られる。
熱処理温度は、高温側の発熱ピーク(Tc2)を超えない範囲において、好ましくは、低温側の発熱ピークのピーク温度(Tc1)以上(Tc+30)℃以下の温度が好ましく、特に、(Tc1+5)℃以上(Tc1+25)℃以下の温度が好ましい。
熱処理前後の各ピークの強度は、低温側の発熱ピークについては、熱処理後の強度は熱処理前のピーク強度に対してほぼゼロになっていることが望ましく、高温側の発熱ピークは熱処理前に比べて7割以上の強度を残していることが望ましい。これにより、十分な量の準安定相が形成できる。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
本発明の固体電解質ガラスセラミックは、イオン伝導度が高く、例えば、1×10−3S/cm以上、より好ましくは、1.5×10−3S/cm以上とすることができる。このようなイオン伝導度を有することにより、本発明の固体電解質ガラスセラミックを用いた全固体電池は、高出力を実現できる。
本発明の固体電解質ガラスセラミックは、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有するため、固体電解質層等、全固体電池の構成材料として好適である。
本発明の固体電解質ガラス及び/又は固体電解質ガラスセラミックは、正極活物質と混合することにより、正極合材とすることができる。また、負極活物質と混合することにより、負極合材とすることができる。
また、本発明の固体電解質ガラス及び/又は固体電解質ガラスセラミックは、全固体電池の固体電解質層の材料としても使用できる。
本発明の正極合材で使用できる正極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、V、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等の酸化物が挙げられる。それ以外の正極活物質としては、例えば、硫化物系では、単体硫黄(S)、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)、硫化リチウム(LiS)、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物、硫黄等が使用できる。好ましくは、高い理論容量を有するS、LiSが使用できる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物を以下に例示する。
Figure 2017095351
式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。
Figure 2017095351
本発明の負極合材で使用できる負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。中でも、高い理論容量を有するケイ素、スズ、リチウム金属が好ましい。
本発明の正極合材、負極合材及び固体電解質層には、必要であれば、バインダー(結着剤)や導電助剤等を添加してもよい。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
導電助剤は、導電性を有していればよく、例えば、導電率は、1×10S/cm以上が好ましく、より好ましくは1×10S/cm以上である。
導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質が好ましい。より好ましくは、導電性が高い炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。これらは単独でも2種以上でも併用可能である。
なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
尚、本発明の正極合材、負極合材及び固体電解質層には、本発明の固体電解質ガラス又は固体電解質ガラスセラミックの他に、使用目的に応じて、他の電解質を含んでいてもよい。
他の電解質としては、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質がある。
ポリマー系固体電解質は、特に制限はない。例えば、特開2010−262860に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマーや、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体、等が挙げられる。
酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
本発明の全固体電池は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、本発明の固体電解質ガラス又は固体電解質ガラスセラミックを含む。各層の製造は、公知の方法により製造することができる。
上述した本発明の固体電解質ガラス又は固体電解質ガラスセラミックが使用されていれば、他の構成には限定はない。例えば、上述した正極合材からなる正極層を備える全固体電池、負極合材からなる負極層を備える全固体電池、固体電解質を備える全固体電池がある。
尚、上述した固体電解質ガラスを用いて正極層、負極層又は固体電解質層を製造する場合には、固体電解質ガラスを含む層を形成後、固体電解質ガラスの、示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において観測される、150℃〜350℃の範囲の互いに分離した2つの発熱ピークの、発熱ピーク温度の間の温度にて熱処理して、本発明の全固体電池を製造することもできる。
尚、正極層は、正極活物質と電解質と導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。正極層において、正極活物質、電解質、導電助剤等の割合は、特に制限は無く公知の割合を用いることができる。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができる。例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
負極層は、負極活物質、電解質、及び導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。形成法や厚さは正極の場合と同様である。
固体電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。ここで、融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の個体電解質粒子と一体化することを意味する。
固体電解質層は、固体電解質の板状体であってもよい。尚、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
本発明の全固体電池は、正極層、固体電解質層及び負極層の他に集電体を使用することが好ましい。集電体は公知のものを用いることができる。例えば、Au、Pt、Al、Ti、又は、Cu等のように、硫化物系固体電解質と反応するものをAu等で被覆した層が使用できる。
本発明の全固体電池は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池等のアルカリ金属系電解質を使用した電池や、マグネシウムイオン等の二価カチオン系電解質等を使用した電池となる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
製造例1[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開公報WO2005/040039A1の実施例と同様に行った。具体的には、下記のとおりである。
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
実施例1[原料比:LiS/P/LiBr=75/25/16.8):MM法]
(1)固体電解質ガラスの合成
製造例1で製造した硫化リチウム0.337g(0.00717mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)をアルゴン雰囲気のグローブボックス中でよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉した。従ってポット内はアルゴン雰囲気である。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。
図1及び図2に、示差熱熱重量測定による分析結果を示す。
また、150℃〜350℃の範囲で観測された発熱ピークの内、低温側を第一ピーク、高温側のピークを第2ピークとしたときの、各ピークトップの位置(Tc1及びTc2)と、各ピーク間温度幅(ΔT)を表1に示す。
尚、示差走査熱量測定は、乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで20〜600℃で実施した。示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)を使用し、固体電解質ガラス約20mgで測定した。
(2)固体電解質ガラスセラミックの合成
得られた固体電解質ガラスをアルゴン雰囲気下において二つの発熱ピークの間の温度(230℃)で2時間熱処理した。
熱処理後の示差熱分析の結果を図1に示す。
熱処理の結果、低温側のピークが消失し、高温側の第二ピークのみになっていることがわかる。
示差熱分析測定において、熱処理前の第一ピークの積分強度をHc1p、第二ピークの積分強度をHc2pとし、熱処理後の第一ピークの積分強度をHc1、第二ピークの積分強度をHc2とした際の、熱処理前後のピーク強度比(Hc1/Hc1p及びHc2/Hc2p)を表1に示す。
尚、示差熱分析結果において、ピーク値の積分は、装置付属の解析ソフトにより計算した。具体的には、示差熱分析結果のカーブを重量で規格化した上で、積分範囲を指定し積分をおこなった。ベースラインとしては75−150℃の範囲を直線で近似し、外挿したものを使用した。ただし、75‐150℃の範囲に結晶化ピークやガラス転移点による湾曲が現れていると判断されるものについてはその範囲を除いた範囲で直線を近似し、ベースラインを規定した。積分の範囲は各ピークのピークトップ位置から±20℃の範囲において、(各温度におけるHeat flow値−ベースライン値)の絶対値がピークトップから低温側で最も小さくなるところからピークトップから高温側で最も小さくなるところまでとした。その範囲において解析ソフトにより積分強度を計算した。
ピーク位置Tc1及びTc2、ピーク積分強度Hc1、Hc2、Hc1p、Hc2pを得た。
また、熱処理後に測定したイオン伝導度(σ)を表1に示す。
尚、イオン伝導度の測定方法は以下のとおりである。
・イオン伝導度(σ)
固体電解質ガラスの粉体試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形する。その後、熱処理をしてガラスセラミック化する。
試料片の上下から電極端子を取る。交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
リードの距離は約60cmとして測定した。
比較例1[原料比:LiS/P/LiBr=67/33/17.3):MM法]
原料を硫化リチウム0.264g(0.0056mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.616g(0.00276mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.127g(0.00145mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を270℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
固体電解質ガラスの示差熱分析の結果を図2に示す。
実施例2[原料比:LiS/P/LiBr=77/23/17.3):MM法]
原料を硫化リチウム0.349g(0.0076mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.503g(0.00227mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.148g(0.00171mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を220℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
固体電解質ガラスの示差熱分析の結果を図2に示す。
実施例3[原料比:LiS/P/LiBr=80/20/17.9):MM法]
原料を硫化リチウム0.384g(0.0083mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.460g(0.00207mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.162g(0.00187mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を220℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
固体電解質ガラスの示差熱分析の結果を図2に示す。
比較例2[原料比:LiS/P/LiBr=83/16/18.7):MM法]
原料を硫化リチウム0.422g(0.0091mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.405g(0.00182mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.178g(0.00205mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を180℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
固体電解質ガラスの示差熱分析の結果を図2に示す。
比較例3[原料比:LiS/P/LiBr=86/14/19.0):MM法]
原料を硫化リチウム0.453g(0.0098mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.362g(0.00163mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.191g(0.00220mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
固体電解質ガラスの示差熱分析の結果を図2に示す。
実施例4
[原料比:LiS/P/PBr=80/20/5):MM法]
原料を硫化リチウム0.397g(0.00844mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.467g(0.00210mol)、三臭化リン0.147g(0.00053mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を240℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例1と比べると、第二ピークが高温側にシフトし、ΔTは広がった。
実施例5[原料比:LiS/P/LiBr=75/25/16.8):MM法]
(1)固体電解質ガラスの合成
製造例1で製造した硫化リチウム0.337g(0.00717mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)を混合し実施例1と同様にしてボールミルにてメカニカルミリングし硫化物ガラス(前駆体)を得た。
得られた前駆体に臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)を加えよく混合した。さらに上記と同様の条件(回転数:370rpm、20時間)メカニカルミリングし、固体電解質ガラスを得た。
実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。この固体電解質ガラスでは、第一ピーク温度が低下し、実施例1と比べてΔTは広くなった。
(2)固体電解質ガラスセラミックの合成
得られた固体電解質ガラスをアルゴン雰囲気下において二つの発熱ピークの間の温度(220℃)で2時間熱処理した。
実施例1と同様にして固体電解質ガラスセラミックを評価した。結果を表1に示す。
実施例6[原料比:LiS/P/LiI=75/25/16.8):MM法]
原料を硫化リチウム0.316g(0.0067mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.494g(0.00222mol)及びLiI0.200(0.00149mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を210℃とした以外は実施例5と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例7[原料比:LiS/P/PI3=80/20/5):MM法]
原料を硫化リチウム0.369g(0.0078mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.434g(0.00195mol)及びPI3 0.417(0.00050mol)に変更した以外は実施例4と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例8
[原料比:LiS/P/LiBr=75/25/16.8):MM法]
ミルポットへの仕込みを露点−40℃以下の乾燥空気中で行った以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。この時の酸素濃度は約20%であった。結果を表1に示す。実施例1と比べると、第一ピークが低温側にシフトした。
実施例9
[原料比:LiS/P/LiBr=75/25/16.8):スラリー法]
(1)固体電解質ガラスの合成
図3に示す装置を用いた。製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させるビーズミル10と、原料を反応させる反応槽20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなる。撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
ビーズミル10には、ミル10の周りに温水を通すことのできるヒータ30が設けられている。反応槽20は、オイルバス40に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
ビーズミル10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52で連結されている。第1の連結管50は、ビーズミル10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒をビーズミル10内に移動させる。原料等を連結管50,52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)が、第2の連結管52に設けられている。
ビーズミル10として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール444gを仕込んだ。反応槽20として、撹拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。温度保持槽として、撹拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
尚、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエン中の水分量はカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
製造例1の硫化リチウム33.7g(64モル%)、P(アルドリッチ社)53.2g(21モル%)、LiBr(アルドリッチ社)14.1g(15モル%)に、脱水トルエン(和光純薬工業株式会社)1248ml(水分量8.4ppm)を加えた混合物を、温度保持槽及びミルに充填した。原料仕込み及び成品の回収は露点−40℃以下の乾燥空気中で行った。
ポンプにより内容物を480mL/分の流量で温度保持槽とミルの間を循環させ、温度保持槽を80℃になるまで昇温した。
ミル本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速12m/sの条件で運転した。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥し、固体電解質ガラスを粉体として得た。このときの回収率は95%であり、反応器内に付着物はみられなかった。評価結果を表1に示す。
(2)固体電解質ガラスセラミックの合成
得られた固体電解質ガラスをアルゴン雰囲気下において二つの発熱ピークの間の温度(210℃)で2時間熱処理した。
実施例1と同様にして固体電解質ガラスセラミックを評価した。結果を表1に示す。
実施例10
[原料比:LiS/P/LiBr=74.4/25.6/17.3):MM法]
原料を硫化リチウム0.329g(0.0070mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.537g(0.00241mol)及び臭化リチウム0.144(0.00164mol)に変更し、ガラスセラミック化の熱処理温度を220℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例11
[原料比:LiS/P/LiBr/LiSO=74.4/25.6/17.3/1.2):MM法]
原料としてさらに1wt%のLiSO(0.0101g、0.00011mol)を加え、ガラスセラミック化の熱処理温度を220℃とした以外は実施例1と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。尚、LiSOはあらかじめ真空乾燥した。
実施例12
[原料比:LiS/P/LiBr/LiSO=74.4/25.6/17.3/2):MM法]
原料としてさらに2wt%のLiSO(0.020g、0.00021mol)を加えた以外は実施例11と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例13
[原料比:LiS/P/LiBr/LiSO=74.4/25.6/17.3/5):MM法]
原料としてさらに5wt%のLiSO(0.050g、0.00053mol)を加えた以外は実施例11と同様に固体電解質ガラス及び固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1で得られた固体電解質ガラスを200℃で2時間熱処理した他は、実施例1と同様に固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
比較例5
実施例1で得られた固体電解質ガラスを300℃で2時間熱処理した他は、実施例1と同様に固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例14
実施例1で得られた固体電解質ガラスを250℃で2時間熱処理した他は、実施例1と同様に固体電解質ガラスセラミックを製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017095351
Tc1:低温側の発熱ピークのピーク温度
Tc2:高温側の発熱ピークのピーク温度
ΔT:ピーク間温度(Tc2−Tc1)
Hc1:熱処理後の第一ピークの積分強度
Hc2:熱処理後の第二ピークの積分強度
Hc1p:熱処理前の第一ピークの積分強度
Hc2p:熱処理前の第二ピークの積分強度
σ:イオン伝導度
本発明の固体電解質ガラス及び固体電解質セラミックは、正極層、固体電解質層、負極等、全固体電池の構成材料として好適である。
本発明の全固体電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
1 製造装置
10 ビーズミル
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管
52 第2の連結管
54 ポンプ

Claims (17)

  1. アルカリ金属元素の少なくとも1つと、
    リン(P)元素と、硫黄(S)元素と、
    I,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素と、を少なくとも含み、
    示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において、150℃〜350℃の範囲に互いに分離した2つの発熱ピークを有する固体電解質ガラス。
  2. 前記2つの発熱ピークのピークトップ位置の温度差が20℃以上150℃以下である請求項1に記載の固体電解質ガラス。
  3. 前記2つの発熱ピークのピークトップ位置の温度差が30℃以上130℃以下である請求項1に記載の固体電解質ガラス。
  4. 下記式(1)で示す組成を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質ガラス。
    …(1)
    (式中、Lはアルカリ金属を示し、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択させる1以上の元素を示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上のハロゲン元素を示す。
    a〜eは、それぞれ下記式を満たす。
    0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9)
  5. 下記(A)、(B)及び(C)を原料とする、請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法。
    (A)アルカリ金属硫化物
    (B)M’で表される化合物
    (C)M”で表される化合物
    (式中、M’はB,Al,Si,P又はGeであり、M”はLi,Na,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示し、XはF,Cl,Br又はIを示す。wは1〜2の整数を示し、m,n,yは1〜10の整数を示す。)
  6. 前記原料(A)及び(B)を反応させ、その後、原料(C)を加えて前記原料(A)及び(B)の反応物と反応させる工程を含む、請求項5に記載の固体電解質ガラスの製造方法。
  7. 酸素濃度が19〜21%の雰囲気中で反応させる工程を含む、請求項5又は6に記載の固体電解質ガラスの製造方法。
  8. さらに、(D)成分としてLiSOを1〜5モル%添加する、請求項5〜7のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の固体電解質ガラスの製造方法により得られる固体電解質ガラス。
  10. 請求項1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラスを、前記2つの発熱ピークの間の温度で熱処理することにより得られる固体電解質ガラスセラミック。
  11. イオン伝導度が1×10−3S/cm以上である請求項10に記載の固体電解質ガラスセラミック。
  12. 請求項1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び請求項10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方と、正極活物質と、を含む正極合材。
  13. 請求項1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び請求項10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方と、負極活物質と、を含む負極合材。
  14. 請求項1〜5、9のいずれかに記載の固体電解質ガラス、及び請求項10又は11に記載の固体電解質ガラスセラミックの、少なくとも一方を含有する固体電解質層を備える全固体電池。
  15. 請求項12の正極合材からなる正極層を備える全固体電池。
  16. 請求項13の負極合材からなる負極層を備える全固体電池。
  17. 前記固体電解質層、正極合材又は負極合材に含まれる固体電解質ガラスの、示差走査熱量測定(乾燥窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min、20〜600℃)において観測される、150℃〜350℃の範囲の独立した2つの発熱ピークの、発熱ピーク温度の間の温度にて熱処理して得られる、請求項14〜16のいずれかに記載の全固体電池。
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