JP2017088532A - 冷水病ワクチン及び冷水病の予防方法 - Google Patents

冷水病ワクチン及び冷水病の予防方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アユ、サケ科魚類の冷水病に対する実用的なワクチンを製造すること。【解決手段】フラボバクテリウム サイクロフィラムに由来するコラゲナーゼ又はその抗原性断片を有効成分とする冷水病ワクチン。【選択図】なし

Description

本発明は冷水病ワクチン及び冷水病の予防方法に関する。
アユは日本の代表的な淡水魚であり、重要な産業対象魚である。河川や養魚場においてはアユの大量死亡を引き起こす冷水病が大きな問題となっている。冷水病はフラボバクテリウム サイクロフィラム(Flavobacterium psychrophilum)を原因とする細菌性疾病であり、穴あきや非溶血性の貧血等の症状を呈する。アユ冷水病が発生すると高い死亡率のために生産効率が低下するとともに、穴あき等の外傷のために商品価値が著しく損なわれる。内水面漁業においてアユ冷水病対策は重要な課題である。
一般的に細菌性疾病に対しては、抗菌剤の投与が有効である。アユ冷水病に効果がある抗菌剤としてスルフィソゾールが動物用医薬品としての承認を受けており、冷水病の発生時に使用されている(特許文献1)。しかし、上記治療薬を投与しても死亡が収まらない事例が多く、既に穴あき等の外観症状を呈している個体については痕跡を残すことなく完治させることは困難である。また、アユ飼育水を昇温処理してフラボバクテリウム サイクロフィラムを除菌する方法も開発されている(特許文献2、3)。しかし、殆どの養殖場において数百トン以上の飼育水を数日間加温し続けることは不可能であるので、当該方法が実施できる状況は限られている。これまでに開発された手法では、冷水病対策として完全とは言い難い状況である。
このような背景から、冷水病ワクチンの開発に対する現場からの要望は極めて強かった。アユは海産魚と比べると小型であり、養殖場においては数十万から数百万尾の単位で飼育することから、1尾ずつ注射する手法は現実的でない。また、アユは内臓も食用にされることから、腹腔内にワクチン液を注射することはアジュバントの残留が懸念されるなど、食品衛生の観点から好ましくない。そのため、アユ冷水病ワクチンについては浸漬型を中心に開発が進められてきた。その一つは対数増殖期にあるフラボバクテリウム サイクロフィラムを含む培養液にホルマリンを添加して不活化したホルマリン死菌(Formalin Killed Cells:FKC、以下「FKC」と略する。)ワクチンである(特許文献4)。
FKCワクチンについては各地の水産試験場等がその効果試験を実施してきたが、注射法によっては良好な結果を得られるものの、浸漬法によっては再現性の良い結果が得られない等の問題が残っている。また、ウサギ由来赤血球を組み合わせてアユの免疫系を活性化する剤型の冷水病ワクチンも発明されている(特許文献5)。しかし、いずれのワクチンについても、浸漬法によっては十分な再現性が得られない等の問題によって、現在までに認可されるに至っていない。アユはアユ亜科に属するが、体型や脂鰭を持つ等の特徴がサケ科に類似する。
フラボバクテリウム サイクロフィラムはサケ科魚類においても冷水病を引きおこす原因菌である。サケ科に病原性がある菌(サケ型株)とアユに病原性がある菌(アユ型株)は、同種であるものの菌の性状等に相違がある。また冷水病の症状においても両者に相違がある。サケ型冷水病は主に稚魚期に大量斃死をもたらすことが特徴であり、成長したサケ科魚類では大量斃死に至る場合は希であるが、尾鰭が溶解する等、商品価値が著しく低下してしまうことから、やはりサケ科魚類の養殖場においても冷水病の対策が求められている。これまで、サケ科魚類における冷水病に効果があるワクチンは開発されておらず、ワクチンに対する要望は大きい。
特開2000−191551 特開2005−287303 特開2005−245318 特開2004−210769 特開2004−352690
アユやサケ科魚類における冷水病に効果があるワクチンを提供することを目的とする。
特に、従来型ワクチンでは良好な再現性を得られなかった浸漬法によって、ワクチン効果が得られるものを開発することを目的とする。
フラボバクテリウム サイクロフィラムに属する菌株を培養することにより、又は遺伝子工学的手法を用いることにより、そのコラゲナーゼ、金属プロテアーゼ又はその抗原性断片を大量に取得する。コラゲナーゼ、金属プロテアーゼ又はその抗原性断片を含む溶液にアユ、サケ科魚類を浸漬することにより、冷水病トキソイドワクチンとして利用する。また、トキソイドワクチンとフラボバクテリウム サイクロフィラムのFKCワクチン又はフラボバクテリウム サイクロフィラム菌体を可溶化した(Solubilized Flavobacterium psychrophilum:SFP、以下「SFP」)ワクチンを併用したり、適切なアジュバントを添加することで、トキソイドワクチンの効果を高めることができる。更には、これらのワクチンで2回以上繰り返し処理することで、ワクチン効果をさらに高めることができる。とりわけSFPワクチンは従来型のFKCワクチンと比較するとホルマリンの使用量が少ないことから、魚に対する毒性を大幅に低減することができ、ワクチン液に浸漬する時間を引き延ばすことができる。そして、浸漬時間を長くすることで、抗原の取込量も向上させることができるので、ひいてはワクチン効果の向上に資することができる。本発明は、以下の冷水病ワクチン及び冷水病の予防方法を提供するものである。
項1. フラボバクテリウム サイクロフィラムに由来するコラゲナーゼ、金属プロテアーゼ又はそれらの抗原性断片を有効成分とする冷水病ワクチン。
項2. アユに対する冷水病ワクチンであり、有効成分がコラゲナーゼ又はその抗原性断片である、項1に記載の冷水病ワクチン。
項3. サケ科魚類に対する冷水病ワクチンであり、有効成分が金属プロテアーゼ又はその抗原性断片である、項1に記載の冷水病ワクチン。
項4. 項1に記載の冷水病ワクチンを含む溶液にアユ又はサケ科魚類を浸漬することを特徴とする、アユ又はサケ科魚類の冷水病の予防方法。
項5. フラボバクテリウム サイクロフィラムのホルマリン死菌(FKC)ワクチン又はフラボバクテリウム サイクロフィラム菌体の可溶化(SFP)ワクチンをアユ又はサケ科魚類にさらに作用させる、項4に記載のアユ、サケ科魚類の冷水病の予防方法。
本発明により冷水病ワクチンとして高い効果が得られ、浸漬法によってもアユ、サケ科魚類に冷水病菌に対する獲得免疫を持たせることが可能となる。
A) コラゲナーゼ発現枯草菌の増殖曲線 培地に植菌した後、約24時間37℃で培養し、その後15℃に変更した際にコラゲナーゼ発現量が最大となった。37℃で培養を続けた場合、O.D.620値が1.0前後で増殖が止まったことから、当該コラゲナーゼは枯草菌に対して強い細胞毒性を有すると考えられる。そのため、15℃にしてコラゲナーゼ活性を低減した場合に、枯草菌の増殖が続いたと予想される。また楕円形の破線で囲った培養時間のサンプル(137、161及び216h)は以下のb)においてゼラチンザイモグラフィーに供した。B) ゼラチンザイモグラフィーによるコラゲナーゼ活性の確認 枯草菌培養液(137、161及び216h培養したもの)をゼラチンザイモグラフィーに供した(10%ゲル、0.1%ゼラチン含有)。電気泳動後のゲルを24℃×1hインキュベートしてゲルに含まれるゼラチンの分解を行わせ、CBB染色により可視化した。 ELISA法を用いた冷水病耐過アユ血清に含まれる特異的抗体の確認 冷水病耐過アユは、冷水病菌菌体に加え、冷水病菌が産生するコラゲナーゼを特異的に認識して結合する抗体を産生していた。 トキソイドワクチン試験における累積死亡率 両試験区とも2水槽(1水槽あたり25尾)ずつワクチン試験を実施した。図の数値は、2水槽の死亡率の平均値を示す。ワクチン区の方が、対照区(ワクチンを含まない水層で同様に処理)に比べ低い死亡率に留まった。 トキソイドワクチンとFKCワクチンを併用した場合における累積死亡率 両試験区とも2水槽(1水槽あたり20尾)ずつワクチン試験を実施した。縦軸(累積死亡率)の数値は、2水槽の死亡率の平均値を示す。併用区の方が、対照区に比べ著しく低い死亡率に留まった。 トキソイドワクチンとSFPワクチンを併用した場合における累積死亡率。
両試験区とも2水槽(1水槽あたり25尾)ずつ攻撃試験を実施した。ワクチン処理から3週間後(A)、および5週間後(B)に行った攻撃試験における累積死亡率の推移を示す。ワクチン区の方が、対照区に比べ低い死亡率に留まった。
本明細書において、コラゲナーゼ、金属プロテアーゼの抗原性断片は、サケ科魚類、アユに抗コラゲナーゼ抗体、抗金属プロテアーゼ抗体を産生させることができるポリペプチドを意味し、コラゲナーゼもしくは金属プロテアーゼの少なくとも1つのエピトープを含むものである。本明細書において、「コラゲナーゼ又はその抗原性断片」の意味で「コラゲナーゼ」と記載する場合がある。また、金属プロテアーゼ又はその抗原性断片」の意味で「金属プロテアーゼ」と記載する場合がある。コラゲナーゼ又はその抗原性断片は、特にアユの冷水病のワクチンとして有効であり、金属プロテアーゼ又はその抗原性断片は特にサケ科魚類のワクチンとして有効である。金属プロテアーゼとしては、好ましくはFPP1、FPP2が挙げられる(Secades et al., Appl. Environ. Microbiol., 67(2001) 2436-2444; Secades et al., FEMS. Microbiol. Lett., 226(2003) 273-279)。
本明細書中では、フラボバクテリウム サイクロフィラム由来コラゲナーゼのことを「当該コラゲナーゼ」と称することがある。「当該コラゲナーゼ」の意味するところには、以下に記載の方法でフラボバクテリウム サイクロフィラムに属する微生物を培養して得られるものと、遺伝子工学的手法で得られるものの両方が含まれる。
フラボバクテリウム サイクロフィラムに属する微生物は独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)に寄託された株の分与を受けることができる。アユの冷水病に関係するフラボバクテリウム サイクロフィラムとしては、WA−1株(NBRC108951)、WA−2株(NBRC109952)、SG−1株(NBRC111643)株が挙げられ、サケ科魚類の冷水病に関係するフラボバクテリウム サイクロフィラムとしては、WB−1株(NBRC108952)が挙げられる。フラボバクテリウム サイクロフィラムの培養はMCY(蒸留水1L中にペプトン2g、イーストエクストラクト0.5g、酢酸ナトリウム0.2gを含む)固形又は液体培地で行うことができる。これに適宜、培地1L当たり肉エキス0.5g、塩化カルシウム0.2g、馬胎児血清10%(v/v)を添加しても良い。その他、1/2CGY(1L当たりバクトカシトン2.5g、ゼラチン1.5g、イーストエクストラクト0.5g、1mM塩化カルシウムを含む)培地等の培地を用いても良い。
フラボバクテリウム サイクロフィラムの培養液からコラゲナーゼ、金属プロテアーゼを得る場合は、コラゲナーゼ、金属プロテアーゼは培地中に分泌されるので、その培養液から以下の方法により回収できる。フラボバクテリウム サイクロフィラムの後期対数増殖期を過ぎた後、5日程度、望ましくは約48時間経過した時に遠心分離(6,000rpm×10分)等によって菌体を除去する。また、培地中に塩化カルシウム又はゼラチンが含まれる場合、コラゲナーゼ、金属プロテアーゼの発現量が低下するため、これらを培地に含めないことが望ましい(Nakayama et al., Biosci. Biotech. Biochem. (2015), Sep1:1-10, ePub ahead of print)。
培養液中のコラゲナーゼは以下の方法により精製及び濃縮することが可能である。遠心分離等により菌体を除去した培養液に50%硫酸アンモニウムを添加し、4℃で2時間程度混和した後に、遠心分離(20,000g×30分)によって、コラゲナーゼを沈殿させることができる。一方、当該コラゲナーゼは硫酸アンモニウム濃度が20%では、遠心分離(6,000g×15分)によって沈殿しないことを確認している。必要に応じて50%硫酸アンモニウム分画を実施する前に、20%硫酸アンモニウム分画を実施しコラゲナーゼ以外の夾雑蛋白質を沈殿させ、コラゲナーゼが含まれる上清断片を回収することで夾雑蛋白質を除去することができる。更には、50%硫酸アンモニウム分画後の沈殿断片を適切なバッファー(50mMトリスpH8.0、5mM塩化カルシウム)に懸濁した後に、カラムクロマトグラフィーにより精製することができる。またコラゲナーゼ断片は限外濾過(10kDaカットオフ)によって濃縮することができる。
上記の培養液中のコラゲナーゼの精製及び濃縮方法及び公知技術を参考にして、当業者であれば金属プロテアーゼについても同様に精製及び濃縮することができる。
本発明でワクチンに使用するフラボバクテリウム サイクロフィラム由来のコラゲナーゼの1例は、配列番号1で示され、ワクチンとして使用する場合、その抗原性断片においてN末端又はC末端の一部の配列は欠失していてもよい。具体的には、配列番号1のアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端の配列が、各々の末端から1、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19、20、21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49又は50個欠失したポリペプチド(コラゲナーゼ)は、ワクチンに使用できる。従って、N末端から50個、C末端から50個の合計100個のアミノ酸が欠失した抗原性断片は、本発明のワクチンに使用できる。また、エピトープが残存している限り、コラゲナーゼの内部(非末端)の少なくとも1つのアミノ酸が置換、付加、欠失していてもよい。
なお、コラゲナーゼのN末端は、シグナルペプチドが切断されたN末端とシグナルペプチドを含むN末端の両方を意味する。配列番号1で示される1位〜75位のアミノ酸がシグナルペプチドであり、このペプチドは任意の長さで切断されてもよく、さらに76位から125位の50個のアミノ酸が任意の個数で欠失してもよい。
同様に、金属プロテアーゼについてもN末端及び/又はC末端の配列が、各々の末端から1、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19、20、21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49又は50個欠失したポリペプチドをワクチンに使用できる。
コラゲナーゼ、金属プロテアーゼを枯草菌、大腸菌などの細菌で製造するために使用するコラゲナーゼ遺伝子、金属プロテアーゼ遺伝子は、フラボバクテリウム サイクロフィラム由来のコラゲナーゼもしくは金属プロテアーゼをコードする遺伝子である。好ましいコラゲナーゼ遺伝子は、(a) 配列番号1で示されるアミノ酸配列又はその抗原性断片をコードするDNA、(b) 配列番号2で表されるDNA、(c) 上記(a)又は(b)の相補鎖である。
本発明のコラゲナーゼ遺伝子、金属プロテアーゼ遺伝子の一態様は、フラボバクテリウム サイクロフィラムのうちアユ、サケ科魚類から分離された株のゲノムDNA由来の天然型の遺伝子をクローニングすることにより得られる。本発明者らがアユについて実際に行った手順は次の通りである。アユから分離されたフラボバクテリウム サイクロフィラムの培養細胞からゲノムDNAを抽出した。コラゲナーゼ遺伝子を含むDNA断片を増幅できるプライマーセット(F:tttcgctgcaggatccTATACTTTGCCAGTAGTATTTC(配列番号3)、下線部は制限酵素BamHIの認識配列;R:ccggggtaccgaattcTTATTTTTTAATTATTTTTTTAG(配列番号4)、下線部は制限酵素EcoRIの認識配列)を用いたPCR反応によりコラゲナーゼ遺伝子を含むDNA断片を得た。当該DNA断片を用いると、遺伝子組み換え技術によって当該コラゲナーゼを大量に製造することが可能である。すなわち、本発明のコラゲナーゼ遺伝子を適当なベクターに組み込むことにより、宿主細胞を形質転換することができる。これらのベクターに適当なプロモーターや形質発現にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞において本発明のコラゲナーゼ遺伝子を発現することが可能である。宿主細胞としては、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)やバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)やブレビバチルス チョウシネンシス(Brevibacillus chosinensis)を用いることができ、ベクターとしては、エシェリヒア コリ内で複製できるpUC18、pUC19、pBR322、pGEM3、pGEM4など、バチルス ズブチリス内で複製できるpUC110、pE194、pC194など、ブレビバチルス チョウシネンシス内で複製できるpNCMO2、pNY326等のプラスミドが使用できる。
本発明のコラゲナーゼ遺伝子を含むベクターで形質転換された宿主細胞を培養し、培養物からコラゲナーゼを採取することにより、当該コラゲナーゼを製造することができる。宿主細胞の培養は、適当な炭素源、窒素源および微量の金属元素を含む培地中で液体培養することで行なえる(Lecroisey et al., FEBS Lett., 59 (1975) 167-172)。得られた培養物を回収し、例えば、培養上清や可溶化菌体上清を硫安沈澱(50%飽和)処理し、種々のカラムクロマトグラフィー(例えば、DEAEセルロースカラムクロマトグラフィー、ゼラチンセファロースカラムクロマトグラフィー、セファデックスG−100カラムクロマトグラフィー、又はキレートアフィニティクロマトグラフィーなど)を用いて精製することにより、所望のコラゲナーゼが得られる。コラゲナーゼの抗原性断片も同様にして得ることができる。
上記方法により得たコラゲナーゼを含む溶液を地下水等で適宜希釈した溶液を作製し、この溶液を冷水病ワクチン液として使用することができる。ブレビバチルス チョウシネンシスを用いて発現させたコラゲナーゼ溶液の場合は、1倍から20倍程度の希釈が望ましく、適切なアジュバントを添加しても良い。この溶液に、フラボバクテリウム サイクロフィラムに感染していないことを確認したアユを浸漬することで抗原提示を行う。エアストーン等を用いてエアレーションを行いつつ、アユをワクチン液に5分以上浸漬することとし、アユが生存している限り浸漬時間を長くするほど良い。
コラゲナーゼを用いた上記ワクチンに引き続いて、或いは、上記ワクチンの前にフラボバクテリウム サイクロフィラムのFKCワクチン又はSFPワクチンを併用することで、ワクチン効果を向上させることができる。また、これらのワクチン処理を、2週間程度の間隔を開けて2回以上実施することで、ブースター効果によってワクチン効果を更に向上させることができる。
アユに対する上記コラゲナーゼワクチン及びその製造法の記載は、サケ科魚類に対する金属プロテアーゼワクチンに応用することができる。サケ型冷水病菌が産生する種類の金属プロテアーゼは、アユに対するコラーゲンと同様に毒素として機能すると考えられることから、サケ科魚類に対する冷水病ワクチンにおいては、コラゲナーゼの代わりに金属プロテアーゼを用いることで本発明を実施することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[フラボバクテリウム サイクロフィラムからのゲノムDNAの抽出]
冷水病により死亡したアユから分離したフラボバクテリウム サイクロフィラムWA−1株(NBRC108951)を、MCY寒天培地(1L当たりペプトン2g、イーストエクストラクト0.5g、酢酸ナトリウム0.2g、塩化カルシウム0.2g、寒天15g)に塗布し、18℃で約3日間静置培養すると、やや透明な黄色のコロニーを生じた。当該コロニーを、更にMCY液体培地に植菌し、18℃で約3日間旋回培養(120rpm)すると濁りを生じるので、その培養液を遠心分離(6,000rpm×15分)に供し、菌体を沈殿させた。当該菌体から常法により全ゲノムDNAを単離した。微生物DNAの単離法としては、例えば、サイトウ・ミウラ法等が挙げられる(Saito et al., Biochem. Biophys. Acta, 72 (1963) 619-629)。
[コラゲナーゼ遺伝子のクローニング]
プライマーセット(F:tttcgctgcaggatccTATACTTTGCCAGTAGTATTTC(配列番号3)、下線部は制限酵素BamHIの認識配列;R:ccggggtaccgaattcTTATTTTTTAATTATTTTTTTAG(配列番号4)、下線部は制限酵素EcoRIの認識配列)の組合せで、上記実施例1にて抽出したWA−1株のゲノムDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(KOD Dash、TOYOBO)を用いてPCR増幅を行った(熱変性:96℃×30秒、アニーリング:50℃×15秒、伸張:72℃×3分)。当該PCR産物を1%アガロースゲル電気泳動に供することで、約3.0kbのPCR産物が増幅されていることを確認した。
次に、当該PCR産物及びクローニングするためのpNY326ベクターを制限酵素BamHI及びEcoRIで消化し(37℃×1時間)、その消化産物を1%アガロースゲル電気泳動に供して、コラゲナーゼ遺伝子のORFを含むDNA断片及び直鎖化したpNY326ベクターを切り出し精製した。精製後のコラゲナーゼ遺伝子のORFを含むDNA断片を含む溶液2μLと直鎖化したpNY326ベクター1μLを混合し、3μLのライゲース(Mighty Mix,Takara)を加え、16℃×20時間インキュベートした。当該反応産物をマニュアルに従って、ブレビバチルス チョウシネンシスのコンピテントセルに導入し、形質転換後の菌液をネオマイシンを含む2SY(以下、「2SYNm」と略する。)寒天培地に塗布し37℃×40時間培養した。クローニングしたフラボバクテリウム サイクロフィラム由来コラゲナーゼ遺伝子の細胞毒性のためか、生じたコロニー数は極めて少なくプレート1枚当たり〜10個以内であった。当該コロニーを滅菌した白金耳等でピックアップし、2SYNm培地に植菌し、24℃で40時間培養した。培養後の菌液を遠心分離(6,000rpm×15分)で集菌し、その菌体からプラスミド抽出キット(日本ジーン)を用いてプラスミドDNAの抽出を行った。抽出したプラスミドを鋳型として、ジデオキシ法(F.Sanger et al., Proc.Nat.Acad.Sci.USA, 74 (1977) 5963-5967)により適切なプライマーを用いて塩基配列を決定し、正しい位置にフラボバクテリウム サイクロフィラム由来の成熟型コラゲナーゼ遺伝子が連結されていることを確認した。
[コラゲナーゼ発現株の選別]
上記実施例2により、インサートを確認できたプラスミドを用いて、再度、ブレビバチルス チョウシネンシスのコンピテンとセルに導入し、同様の方法により、〜10個のコロニーを得た。これらのコロニーを1つずつ、別々の2SYNm液体培地を入れた試験管に植菌し、24℃×5日間培養し、その培養液を遠心分離(6,000rpm×15分)に供することで培養上清を得た。その培養上清をゼラチンザイモグラフィーに供して、活性を指標として、コラゲナーゼ発現量が多い発現株を選別した。ゼラチンザイモグラフィーは、0.1%ゼラチンを含有する10%ポリアクリルアミドゲルを作製し、培養上清を2×ローディングバッファーと等量混合したサンプルを電気泳動した。電気泳動後のゲルを洗浄バッファー(50mMトリスpH8.0、0.1%Tween20)で2回洗浄し、インキュベーションバッファー(50mMトリスpH8.0、0.1%Tween20、5mM塩化カルシウム)中で24℃×20時間培養することで行った。それによって、コラゲナーゼ周辺のゼラチンが分解され、当該ゲルをCBB染色することで、染色されないクリアゾーンの面積の広さで、大凡のコラゲナーゼの量を推定することができる。コラゲナーゼの発現量が多かったクローンについては、上記液体培養の一部に20%グリセロール(終濃度)を添加し、−80℃で冷凍保存した。
[コラゲナーゼを含むワクチン液の調整]
上記実施例3で、良好なコラゲナーゼ発現が確認されたクローンのグリセロールストックから、1Lの2SYNm液体培地に植菌し、37℃×24時間旋回培養した。その後、15℃に温度を下げ、更に8日間培養した(図1)。37℃で培養を続けると、フラボバクテリウム サイクロフィラム由来コラゲナーゼの細胞毒性のためか、宿主菌の増殖が止まることを確認している。培養後の菌液を遠心分離(6,000rpm×15分)に供することで培養上清を得た。その上清を−20℃で冷凍し、ワクチン処理の時まで保存した。
[冷水病感染耐過アユの血清の採取]
抗冷水病抗体を有するアユ血清の調整:冷水病に罹患し感染耐過したアユの尾柄部から1mL容の注射器を用い採血を行った。採血した血液は4℃で一晩静置し、遠心分離(1,500×g、10分間)に供して、血清を回収した。血清はELISA試験を実施するまで−20℃で保存し、ELISA試験実施時には室温で放置することによって溶解した物を用いた。
[アユ血清に含まれる特異的抗体の検出]
抗原でウェルをコーティング:ELISA試験で抗原として用いる冷水病菌をコーティングバッファー(蒸留水1L中、NaCO:1.59g、NaHCO:2.93g、NaN:0.2g、HClでpHを9.6に調整)に懸濁した(菌体10mg/mL)。また上記実施例4で取得したコラゲナーゼ溶液を上記コーティングバッファーで10倍希釈した。また、対照としてPBSバッファーを用いた。これらの溶液をELISA用96穴マイクロプレート(マキシソープ、ヌンク)に50μLずつ入れ、25℃×1時間静置し、プレート表面を各抗原でコーティングした。
コーティングされなかった抗原の洗浄除去:抗原溶液を廃棄した後、洗浄バッファー(蒸留水1L中、Tris:2.4g、NaCl:8.0g、KCl:0.2g、NaN:0.2g、Tween20:0.5mL、HClでpHを7.4に調整)を200μLずつ各ウェルに添加して、廃棄する操作を4回繰り返した。
ブロッキング:1%ブロックエース(DSファーマバイオメディカル製)溶液を200μLずつ各ウェルに添加して、25℃×1時間静置した。
ウェルの洗浄:ブロッキング溶液を廃棄した後、洗浄バッファー(蒸留水1L中、Tris:2.4g、NaCl:8.0g、KCl:0.2g、NaN:0.2g、Tween20:0.5mL、HClでpHを7.4に調整)を200μLずつ各ウェルに添加して、廃棄する操作を4回繰り返した。
一次抗体反応:上記実施例5で採取した血清を洗浄バッファーで10倍に希釈し、各ウェルに50μLずつ添加して、25℃×1時間静置した。
一次抗体の洗浄:一次抗体溶液を廃棄した後、上記洗浄バッファーを200μLずつ各ウェルに添加して、廃棄する操作を4回繰り返した。
二次抗体反応:二次抗体(Anti−Ayu IgM、Mouse,mono、AQD社)を上記洗浄バッファーで2,000倍に希釈し、各ウェルに50μLずつ添加して、25℃×1時間静置した。
二次抗体の洗浄:二次抗体溶液を廃棄した後、上記洗浄バッファーを200μLずつ各ウェルに添加して、廃棄する操作を4回繰り返した。
三次抗体反応:三次抗体(Anti−Mouse IgG、Horse、poly、AP−2000、ベクター社)を上記洗浄バッファーで2,000倍に希釈し、各ウェルに50μLずつ添加して、25℃×1時間静置した。
三次抗体の洗浄:三次抗体溶液を廃棄した後、上記洗浄バッファーを200μLずつ各ウェルに添加して、廃棄する操作を4回繰り返した。
基質分解反応:基質(p−ニトロフェニルリン酸六水和物)10mgを、基質溶解液(ジエタノールアミン:97mL、塩化マグネシウム六水和物:0.1g、NaN:0.2gを蒸留水800mLに溶解し、塩酸を添加してpH9.5に調整した。その後、蒸留水で1Lにメスアップした)10mLに溶解した。当該基質溶液を各ウェルに100μLずつ添加して、37℃×30分静置した。
反応停止:上記基質分解反応において十分な発色が見られたとき、反応停止液(2N NaOH)を各ウェルに50μLずつ添加した。
吸光度測定:各ウェルの吸光度(Abs.405nm)をマイクロプレートリーダー(NJ−2300、ヌンク)を用いて測定した。
[冷水病菌SG−1株の培養]
フラボバクテリウム サイクロフィラムの強毒株SG−1株(以下、「SG−1株」と略する。)を、1/2CGY培地(1L当たりバクトカシトン2.5g、ゼラチン1.5g、イーストエクストラクト0.5g、1mM塩化カルシウムを含む)に植菌し、18℃で約2日間旋回しながら後期対数増殖期まで培養した。この菌液をワクチン試験における攻撃菌液又はワクチン作製のための材料として用いた。
[FKCワクチンの作製]
上記実施例6で培養したSG−1株の培養液に終濃度0.1%ホルマリンを添加し、24℃×1時間旋回しながらインキュベートすることで、FKCワクチンを製造した。なお、ワクチンに用いる菌株は、SG−1株である必要はなく、アユから分離された病原性を有するフラボバクテリウム サイクロフィラム株であれば良い。
[コラゲナーゼ溶液を用いたトキソイドワクチン処理]
神奈川県水産技術センターで生産されたアユ人工種苗を、上記実施例4で作製したトキソイドワクチン液に5分間浸漬し、ワクチン処理を行った。一度に処理するアユは、ワクチン液重量の1/10程度の重量とした。当該ワクチン処理から2週間経過後に、上記実施例6の方法で培養したSG−1株の培養液にアユを30分浸漬することで、フラボバクテリウム サイクロフィラムに人為的に感染させた。その後、地下水をかけ流しにした水槽でアユを飼育し、人為的感染から2週間の累積死亡率を調べた(図3)。その結果、トキソイドワクチン単独でのワクチン有効率は約60%であった。なお、ワクチン有効率の算出式は以下の通り。
ワクチン有効率(%)=(1−ワクチン区死亡率/ワクチン非処理区死亡率)×100
[コラゲナーゼ溶液及びFKCワクチンを併用したワクチン処理]
滋賀県・琵琶湖において採捕された琵琶湖産天然アユは、多くの場合、採捕段階でフラボバクテリウム サイクロフィラムの保菌が認められることから、胸腺が形成され獲得免疫を有するまでの時期(体重3gサイズ以下)に28℃×3日間加温することによって、予めフラボバクテリウム サイクロフィラムを除去した集団を作製し、それをワクチン試験に用いた。
まず上記実施例8の手法により、アユをコラゲナーゼ溶液に浸漬し、ワクチン処理を行った。引き続き、上記実施例7で作製したFKCワクチンに5分間浸漬した。ワクチン処理後のアユは地下水をかけ流しにした水槽で飼育を行い、1回目のワクチン処理から2週間後に、再度、同じ手法により2回目のワクチン処理を実施した。
2回目のワクチン処理から3週間後、上記実施例6の方法で培養したSG−1株の菌液(=10CFU)を腹腔内に注射することで、冷水病人為感染を実施した。その後、地下水をかけ流しにした水槽で飼育を行い、攻撃から3週間の累積斃死数を計数した。その結果、トキソイドワクチンとFKCワクチンを併用し、されにそれを合計2回実施した場合、ワクチン有効率は約86%であった(図4)。なお、ワクチン有効率の算出式は上記実施例8と同じ式で行った。
[フラボバクテリウム サイクロフィラムの菌体可溶化ワクチン液の調整]
上記実施例6の手法により、SG−1株の培養液を250mL分作製した。当該培養液を遠心分離(6,000rpm×15分)に供することで培養菌体を得た。当該菌体を−20℃で、ワクチン処理の前日まで冷凍保存した。ワクチン処理の前日、保存していた菌体を室温で融解し、5mLの0.5%SDS溶液でピペッティングして菌体を溶解した。この溶液にBenzonase Nuclease(シグマ・アルドリッチ)を5μL添加し、24℃×20時間インキュベートした。DNA分解酵素の作用により溶出したフラボバクテリウム サイクロフィラム由来ゲノムDNAは低分子化し、それに起因する粘性は低下して均質な溶液となった。更に、フラボバクテリウム サイクロフィラムを完全に殺菌するため、終濃度0.1%となるようにホルマリンを添加し、24℃×1時間インキュベートした。この溶液を、SFPワクチン原液とし、ワクチンとして使用する際は2.5Lまで地下水を用いて希釈した。当該SFPワクチンは希釈後であってもエアレーションを行うことによって、無数の泡を形成することから、食品添加用の消泡剤KM−72(信越シリコーン)を適量添加した。
[コラゲナーゼ溶液を用いたトキソイドワクチンとSFPワクチンの併用]
和歌山県沿岸で採捕された海産天然アユを28℃×3日間加温することによって、予めフラボバクテリウム サイクロフィラムを除去した集団を作製し、それをワクチン試験に用いた。
まず上記実施例8と同様の手法により、アユをコラゲナーゼ溶液に30分間浸漬し、ワクチン処理を行った。引き続き、上記実施例10で作製したSFPワクチンに30分間浸漬した。ワクチン処理後のアユは地下水をかけ流しにした水槽で飼育を行い、1回目のワクチン処理から2週間後に、再度、同じ手法により2回目のワクチン処理を実施した。
2回目のワクチン処理から3週間後、上記実施例7の方法で培養したSG−1株の菌液(=2.5×10CFU)を腹腔内に注射することで、冷水病人為感染を実施した。その後、地下水をかけ流しにした水槽で飼育を行い、攻撃から2週間の累積斃死数を計数した。その結果、トキソイドワクチンとSFPワクチンを併用し、されにそれを合計2回実施した場合、ワクチン有効率は約50%であった(図5A)。また2回目のワクチン処理から5週間後、同様の冷水病人為感染を実施した。その結果、ワクチン有効率は約66%であった(図5B)。なお、ワクチン有効率の算出式は上記実施例8と同じ式で行った。
[コラゲナーゼ溶液の濃縮]
上記実施例4で得た冷水病菌コラゲナーゼを含むブレビバチルス チョウシネンシスの培養上清を限外濾過膜(ビバスピン20−10kカットオフ、GEヘルスケア)を用いて10倍にまで濃縮を行った。濃縮前と後のサンプルを上記実施例3で示したゼラチンザイモグラフィーに供することで、濃縮具合の確認を行った。
30kカットオフの限外濾過膜を用いた場合、低分子化したコラゲナーゼの一部が透過しており、僅かながらフロースルー断片に活性バンドが確認された。10kカットオフの限外濾過膜を用いた場合は、フロースルー断片において活性バンドは確認されなかった。当該コラゲナーゼをワクチンとして利用する場合、低分子化したコラゲナーゼ蛋白であってもエピトープとしてアユ免疫系に認識される可能性があることから、コラゲナーゼに由来する蛋白質成分は全て回収することが望ましい。従って、当該コラゲナーゼを濃縮する場合には、10kカットオフの限外濾過膜を用いて濃縮することが効率的である。
一方、当該コラゲナーゼは硫安分画によっても濃縮することが可能である。当該コラゲナーゼは20%の硫安濃度ではほとんど沈殿せず、50%以上の硫安濃度では沈殿することを確認している。

Claims (5)

  1. フラボバクテリウム サイクロフィラムに由来するコラゲナーゼ、金属プロテアーゼ又はそれらの抗原性断片を有効成分とする冷水病ワクチン。
  2. アユに対する冷水病ワクチンであり、有効成分がコラゲナーゼ又はその抗原性断片である、請求項1に記載の冷水病ワクチン。
  3. サケ科魚類に対する冷水病ワクチンであり、有効成分が金属プロテアーゼ又はその抗原性断片である、請求項1に記載の冷水病ワクチン。
  4. 請求項1に記載の冷水病ワクチンを含む溶液にアユ又はサケ科魚類を浸漬することを特徴とする、アユ又はサケ科魚類の冷水病の予防方法。
  5. フラボバクテリウム サイクロフィラムのホルマリン死菌(FKC)ワクチン又はフラボバクテリウム サイクロフィラム菌体の可溶化(SFP)ワクチンをアユ又はサケ科魚類にさらに作用させる、請求項4に記載のアユ、サケ科魚類の冷水病の予防方法。
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WO2024048430A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 滋賀県 ワクチン製剤及びその製造方法、並びに魚類細菌感染症の予防方法

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