JP2017087755A - ステアリングコラムの組付構造 - Google Patents
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Abstract
Description
ステアリングコラムの多くは、組立工場の組立ラインを用いて、車体の骨格部材(クロスメンバ)に、人手作業(作業者による)により組み付けられる。具体的にはステアリングコラムは、車両前方側となるステアリングギヤ部側に設けられているチルト支点部(チルト支点となる部位)と、車両後方側となるステアリングホイール側のアッパ部分とを、それぞれクロスメンバに組み付けてあるブラケットに対し位置決めてから、ボルト部材などで固定することで行われる。
図1は、車体(車両)の骨格部材であるフロントのクロスメンバ1(例えばパイプ部材)に、ステアリングコラム3が組み付けられた状態が示されている。また図6には、同ステアリングコラム3の単体(組付前の状態)が示されている。
ステアリングコラム3の構造を説明すると、ステアリングコラム3は、図1に示されるように例えばアッパ側のシャフト部材3a(一部図示)とロア側のシャフト部材3b(一部破線で図示)とをスプライン(図示しない)で軸方向に変位可能に接続したメインシャフト5と、同メインシャフト5の周囲を囲うように設けたコラムチューブ9とを有している。コラムチューブ9は、アッパ側のチューブ部材7aとロア側のチューブ部材7bとを軸方向に変位可能に嵌挿して構成される。つまり、メインシャフト5およびコラムチューブ9共、衝撃吸収機能の確保のため、全長が収縮可能となっている。さらにロア側のチューブ部材7bには、パワーステアリング装置、例えば鋳物製のハウジング10にモータ11を組み付け、同ハウジング10内に、モータ11の駆動力をロア側のシャフト部材3bへ伝える伝達部(例えばギヤ機構;図示はしない)や制御回路部(図示はしない)を収めてなる電動式のアシスト機構部15が設けられている。
またチューブ部材7bをなすハウジング10の外周面には、ステアリングコラム3のチルト支点をなすチルト支点部17が設けられている。チルト支点部17は、図2および図3に示されるように例えばハウジング10の上部、ここでは、最も大径となる大径部10aの上部に設けたブロック部21で形成されている。例えばブロック部21は、大径部10aからハウジング10(チューブ部材7b)の外周面に沿って車両前方側へ所定の間隔で並行に延びる一対の縦壁部21aと、両縦壁部21aとの間に介在された筒部21bとを有して構成される。筒部21bには、両縦壁部21aの端面に渡る通孔、具体的にはシャフト部材3と直交するよう車両幅方向に沿って延びる(貫通される)ボルト挿通孔23(図3に図示)が形成されている。
この仮置き構造には、ステアリングコラム3のチルト支点部17をブラケット29に係止させる構造が用いられている。図1〜図3、図6には、この仮置き構造の具体的な構造が示されている。
すなわち、フック部63は、図1〜図3に示されるようにブロック部21を形成する各縦壁部21aの端面から車両前方側へ突き出た一対の爪状の突起部62から構成される。特に突起部62は、ブロック部21(チルト支点部17)をブラケット29内に嵌挿し易いように、いずれもブロック部21の車幅方向外側面より車幅方向中央側となる車幅方向中央側に寄せた地点から突き出ていている。つまり、図6(b)〜(d)に示されるように一対の突起部62間の外幅寸法X(車幅方向)が、ブロック部21の車幅方向長さYや、ブロック部21が嵌るブラケット29の側壁部33a間の内寸法Zよりも、若干、狭くなるよう構成されている。なお、本実施形態では、突起部62間の外幅寸法Xは一定に形成されているが、車両前方側に向かって次第に外幅寸法Xが狭くなるよう外側面が傾斜する構造であってもよい。
まず、作業者(図示しない)は、図6(a)に示されるように単体のステアリングコラム3、すなわち取付座43やアシスト機構部15やチルト支点部17が付いたステアリングコラム3を抱え、ブラケット29の後側(車両後方側)において、車両前後方向に沿う向きの姿勢に保ち待機する。この状態から、図6(a)中の矢印aに示されるようにロア側に形成されているチルト支点部17の一対の突起部62(フック部63)を、ブラケット29の開口側から開口部64へ向かって差し込む。これにより、チルト支点部17を構成するブロック部21は、C形のブラケット29内に嵌り、突起部62は開口部64に挿通される。
しかも、突起部62や開口部64は、労力の低減に貢献するだけでなく、クロスメンバ1から脱落するステアリングコラム3の姿勢を安定に保つ機能もある。
このとき、開口部64の形状は、脱落するステアリングコラム3と共に回動変位する突起部62が、チルト範囲を超えると、突起部62と干渉する形状に設定されているため、ステアリングコラム3の脱落時には、突起部62が、開口部64の上縁部と当接して突起部62の動きを規制する(図7)。つまり、開口部64の上縁部が規制部となって、無用なステアリングコラム3の脱落を抑える。これにより、ステアリングコラム3は安定した姿勢に保たれる。
本実施形態は、別途部品を用いた構造で、ステアリングコラム3の脱落時、すなわち突起部62が上下方側へ変位した際に、突起部62(フック部63)の移動範囲を規制可能としたものである。
具体的には、例えば規制部として図8(a)に示されるように板金製の緩衝部材71が用いられる。緩衝部材71は、J字状に曲成してばね性を確保した板金部品で、一端部がブラケット29の端壁部33bの外面、具体的には開口部64上方の外面部分に固定され、曲成した他端部が開口部64(係止孔)へ延びて、開口部64から突き出た突起部62(フック部63)の先端部直上(近傍)に配置される。むろん、緩衝部材71は、チルト範囲内は突起部62と干渉せず、チルト範囲を超えると、突起部62と干渉する位置関係に設けてある。
図9は、本発明の第3の実施形態を示す。
なお、上述した実施形態における各構成およびそれの組合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であることはいうまでもない。また本発明は、上述した実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。例えば上述した実施形態のチルト支点部は、一対の縦壁部でなるブロック部を用いたが、これに限らず、一つのブロック部でなるチルト支点部でも構わない。また実施形態では、パワーステアリング装置が付いたステアリングコラムに本発明を適用したが、もちろんパワーステアリング装置の無いステアリングコラムに本発明を適用しても構わない。
3 ステアリングコラム
17 チルト支点部
29 ブラケット
62 突起部(フック部)
64 開口部(係止孔、係止部、規制部)
71 緩衝部材
73 係合凹部
Claims (5)
- 車両のクロスメンバに設けられたブラケットに、ステアリングコラムを組み付けるステアリングコラムの組付構造であって、
前記ステアリングコラムには、前記ブラケットに回動可能に組み付くチルト支点部を有し、
前記ステアリングコラムは、前記チルト支点部から車両前後方向へ突き出たフック部を有し、
前記ブラケットは、前記フック部と係止可能な係止部を有し、
前記フック部と前記係止部との係止によって、前記ステアリングコラムのチルト支点部を前記ブラケットに仮置き可能とした
ことを特徴とする特徴とするステアリングコラムの組付構造。 - 前記チルト支点部は、前記ステアリングコラムから突き出たブロック部から形成され
前記ブラケットは、車幅方向両側に一対で配設され前記ブロック部を回動可能に支持する側壁部と、これら側壁部の前後方向一方側で側壁部間に配設された端壁部とを有して構成され、
前記フック部は、前記ブロック部の車幅方向両側部より車幅方向中央側から前記端壁部へ向かう方向へ突き出た突起部から構成され、
前記係止部は、前記ブラケットの端壁部に設けられた、前記突起部が挿通される係止孔から構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングコラムの組付構造。 - 前記ステアリングコラムは、車両の前面衝突時、所定以上の衝撃力を受けると、全長が縮み、ステアリングホイール側が前記チルト支点部を支点に前記クロスメンバから脱落するように構成され、
前記クロスメンバあるいは前記ブラケットには、前記係止孔から突き出たフック部と干渉して同フック部の上下方向での移動範囲を規制する規制部が設けられる
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のステアリングコラムの組付構造。 - 前記規制部は、一端部が前記クロスメンバあるいは前記ブラケットに固定され、他端部が前記フック部の先端部近傍に延びる緩衝部材で構成されることを特徴とする請求項3に記載のステアリングコラムの組付構造。
- 前記フック部の先端は、前記規制部と干渉した際に同規制部と係合される係合凹部を有することを特徴とする請求項4に記載のステアリングコラムの組付構造。
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