JP5212388B2 - ステアリングコラムの支持装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車用操舵装置を構成するステアリングコラムを車体に対し、二次衝突時に前方への離脱を可能とした状態で支持する、ステアリングコラムの支持装置の改良に関する。具体的には、前記ステアリングコラムを前記車体に対し支持する作業の容易化を図るものである。
自動車用の操舵装置は、図6に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持されている。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、図示の例は、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節する為のチルト機構と、前後位置を調節する為のテレスコピック機構と、電動モータ10を補助動力源として前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動式パワーステアリング装置とを組み込んでいる。このうちのテレスコピック機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を、アウタコラム11とインナコラム12とをテレスコープ状に伸縮自在に組み合わせた構造とし、前記ステアリングシャフト5を、アウタチューブ13とインナシャフト14とを、スプライン係合等により、トルク伝達自在に、且つ、伸縮自在に組み合わせた構造としている。
上述の様な操舵装置を組み込んだ自動車が他の自動車等に衝突する衝突事故の際には、他の自動車等に衝突する一次衝突に続いて、運転者の身体が前記ステアリングホイール1に衝突する、二次衝突が発生する。この二次衝突の際に運転者の身体に加わる衝撃を緩和する為に、前記ステアリングコラム6を車体に固定した支持板15に対し、前方に向いた大きな力が加わった場合に脱落する様に、支持用カプセル16及びボルト17を介して支持している。この部分の従来構造に関しては、例えば特許文献1〜4に記載される等により、従来から広く知られている。先ず、前記部分の従来構造の1例に就いて、図7〜9により説明する。
図7〜9に示した構造は、ステアリングシャフト5の後端部でステアリングコラム6aの後方に突出した部分に固定したステアリングホイール1(図6参照)の高さ位置を調節可能とした、チルト機構を組み込んでいる。この為に、前記ステアリングコラム6aの中間部を支持ブラケット18に対し、チルトボルト19を介して支持し、この支持ブラケット18を前記支持板15(図6参照)に、前方に向いた大きな力が加わった場合に脱落する様に支持している。前記支持ブラケット18は、鋼板等の金属板を曲げ形成して成るもので、それぞれが上下方向に設けられた左右1対の支持板部20、20と、これら両支持板部20、20の上端部から前記ステアリングコラム6aの両側方に突出する状態で、互いに反対方向に設けられた1対の取付板部21、21とを有する。前記両支持板部20、20の下端縁同士は連結部22(後述する先発明に係る構造を示す、図13参照)により連結して、前記支持ブラケット18を一体としている。
前記両取付板部21、21には切り欠き23、23を、それぞれこれら両取付板部21、21の後端縁に開口する状態で設けている。これら両切り欠き23、23の形状は、後述する先発明に係る構造を示す図14〜15に示す様に、前方(奥側)に向かう程幅寸法が小さくなる、略台形である。そして、前記両切り欠き23、23の内側に、それぞれ支持用カプセル16、16を組み付けている。これら両支持用カプセル16、16は、合成樹脂を射出成形する事により、或いは軽合金をダイキャスト成形する事により造ったもので、それぞれの左右両側面に係止溝24、24を有する。これら左右両側面に形成した1対の係止溝24、24の溝底同士の間隔は、前記両切り欠き23、23の幅に合わせて、前方に向かう程狭くしている。言い換えれば、前記両係止溝24、24は、前方に向かう程深くしている。
この様な両支持用カプセル16、16は、それぞれの係止溝24、24と、前記両取付板部21、21の一部で前記両切り欠き23、23の両側部分とを係合させる事により、これら両取付板部21、21に対し支持している。又、これら両取付板部21、21の一部で前記両切り欠き23、23の両側部分に形成した小通孔25、25(先発明に係る構造を示す図14〜15参照)と前記両支持用カプセル16、16に形成した小通孔26、26とを整合させた状態で、これら各小通孔25、26に掛け渡す様に合成樹脂製又は軽合金製の係止ピンを設置(これら各小通孔25、26内に射出成形又は圧入)する。この状態で前記両支持用カプセル16、16が前記両取付板部21、21に対し、大きな衝撃荷重が加わった場合にのみ後方に脱落する状態で支持される。尚、前記各小通孔25、26の数、形成位置は、種々異なるものが存在する。
そして、前述の図6に示した様に、前記両支持用カプセル16、16の中央部に設けた通孔27(図8〜9参照)を下方から挿通したボルト17(図6参照)により、これら両支持用カプセル16、16を前記支持板15(図6参照)に対し支持固定する。この為に、この支持板15には、直接、或いは上面に溶接等で固定したナットにより、前記ボルト17を螺合させる為のねじ孔を設けている。前記両支持用カプセル16、16と前記両取付板部21、21とは、前記両切り欠き23、23の両側部分と前記各係止溝24、24との係合、並びに、前記各小通孔25、26に掛け渡された、合成樹脂、アルミニウム合金等の、裂断し易い材質製の係止ピンにより、或る程度大きな強度及び剛性で結合されている。従って、通常時には、前記支持ブラケット18が車体に対し、しっかりと支持される。
衝突事故の際、先ず、一次衝突に伴って車体の前部が潰れ、前記ステアリングコラム6aが後方に押される状態では、前記両支持用カプセル16、16と前記両切り欠き23、23との係合状態は維持されて、前記ステアリングコラム6aが後方に変位する事を阻止する。従って、一次衝突に伴って前記ステアリングホイール1が運転者の身体に向け、後方に突き出される事はない。これに対して、二次衝突時に、このステアリングホイール1から前記ステアリングコラム6aに対し、前方に向いた強い力が加わると、前記各小通孔25、26に掛け渡された係止ピンが裂断し、前記両支持用カプセル16、16が前記両切り欠き23、23から後方に抜け出る(実際には、これら両支持用カプセル16、16がそのままの位置に止まったまま、前記両取付板部21、21が前方に変位する)。そして、前記ステアリングホイール1の前方への変位を許容して、このステアリングホイール1に衝突した運転者の身体に加わる衝撃を緩和する。
上述の様な構造を有する操舵装置の組立時には、前記支持ブラケット18を構成する左右1対の取付板部21、21を、車体に固定した前記支持板15に対し、前記1対のボルト17により支持する必要がある。この作業は、予め前記ステアリングシャフト5及び前記ステアリングコラム6、6aと組み合わせた前記支持ブラケット18を、前記支持板15に対し所定の位置に保持しつつ行う必要がある。この様な作業を一人の作業員で行う場合、一方の手で或る程度の重量を支えつつ、他方の手で前記両支持用カプセル16、16の通孔27、27に前記ボルト17を挿通し、更にこのボルトを前記ねじ孔に螺合させなければならない。この様な作業は面倒で、作業員の負担が大きい為、改良が望まれる。
特許文献5には、車体に対するステアリングコラムの組み付け性向上を意図した構造及び組み付け方法が記載されている。但し、前記特許文献5に記載された従来構造は、特殊形状の締結用ブラケットを必要とする等、構造が複雑で、コストが嵩むものと考えられる。又、図6〜9に記載した様な、従来から一般的に実施されている操舵装置に適用する事はできず、操舵装置の基本構造を新たに設計し直し、構成部品の多くも新たな形状のものを造る必要がある等、コストを抑える面からは不利である。
この様な事情に対応して考えられたステアリングコラムの支持装置として、特願2008−176121に係る構造がある。本発明は、この先発明に係る構造に改良を加えたものであり、この先発明に係る構造と共通する点が多いので、この先発明に係る構造に就いて、図10〜15により説明する。
この先発明に係る構造の場合、1対の支持用カプセル16a、16aの後端部で、支持ブラケット18を構成する1対の取付板部21、21への組み付け時に、これら両取付板部21、21の後端縁よりも後方に突出する部分の上面に、保持溝28を形成している。この保持溝28の両端は、前記両支持用カプセル16a、16aの両側面に開口している。この様な両支持用カプセル16a、16aを前記両取付板部21、21に形成した切り欠き23、23(図14〜15参照)の内側に組み付けた状態で、前記保持溝28に、1対のエネルギ吸収部材29、29の基部30を係止している。
前記両エネルギ吸収部材29、29は、それぞれが、軟鋼製或いはステンレス鋼製等の、塑性変形可能な線材を曲げ形成して成るもので、中央部を前記直線状の基部30としている。又、この基部30の両端部を、それぞれ前方に向け直角に折り曲げる事により、1対の衝撃吸収部31、31としている。これら両衝撃吸収部31、31の中間部はU字形に折り返す事により、それぞれ折り返し湾曲部32、32としている。この様な両エネルギ吸収部材29、29は、前記両支持用カプセル16a、16aと前記両取付板部21、21との間に、図10、11、13に記載した状態に組み付ける。即ち、前記両エネルギ吸収部材29、29のそれぞれの基部30を前記両支持用カプセル16a、16aの後部上面に設けた前記保持溝28に係止すると共に、前記両衝撃吸収部31、31の中間部に設けた前記両折り返し湾曲部32、32を、それぞれ前記両取付板部21、21の前端縁に係合させる。
この様な前記両エネルギ吸収部材29、29は、二次衝突に伴って前記両取付板部21、21が前方に変位する際に、前記両折り返し湾曲部32、32を前記両衝撃吸収部31、31の先端部に向け移動させ(扱き)つつ、前記両取付板部21、21を含む前記支持ブラケット18の前方への変位を許容する。この際、前記両衝撃吸収部31、31の塑性変形に基づき、前記二次衝突に伴って前記支持ブラケット18に加わった衝撃エネルギを吸収し、運転者の身体に加わる衝撃を緩和する。この様な衝撃エネルギの吸収を効果的に行える様にする為に、先発明に係る構造の場合には、前記両取付板部21、21の前端縁で前記両折り返し湾曲部32、32の内周縁と対向する部分に、前面を凸湾曲面とした扱き部33、33を形成している。又、この扱き部33、33の先端縁から下方に向けて折れ曲がった垂下板部34の一部に小通孔35(図13参照)を形成し、この小通孔35に、前記両衝撃吸収部31、31のうちで、前記両折り返し湾曲部32、32よりも先端寄り部分を挿通している。この構成により、二次衝突時に、前記両衝撃吸収部31、31の中間部に形成した前記両折り返し湾曲部32、32が開く(これら両衝撃吸収部31、31の先端が下方に変位する)のを抑えつつ、これら両折り返し湾曲部32、32をこれら両衝撃吸収部31、31の先端に向けて確実に(引っ掛かりなく)扱ける様にしている。
前記両エネルギ吸収部材29、29と共に前記両取付板部21、21に組み付けた、前記両支持用カプセル16a、16aには、それぞれハンガブラケット36、36を組み付けている。これら両ハンガブラケット36、36はそれぞれ、鋼板、ステンレス鋼板等の金属薄板に、所定の打ち抜き加工及び曲げ加工を施して成るもので、上板部37と、下板部38と、連結板部39と、係止爪部40、40と、係止片41とを備える。このうちの上板部37及び下板部38は、上下方向に離隔した状態で互いに平行に設けられ、互いに整合する部分にそれぞれ透孔42、42を形成している。又、前記連結板部39は、前記上板部37の後端縁と前記下板部38の後端縁とを互いに連結している。又、前記両係止爪部40、40は、前記上板部37の前端縁から下方に折れ曲がっている。更に、前記各係止片41、41は、倒立L字形で、前記上板部37の後部から上方に立ち上がり、上端部を前方に向けて突出させている。尚、前記各係止片41、41を設けている位置及び数は、図10〜12に示す構造と図13〜15に示す構造とで、異ならせている。
上述の様な前記両ハンガブラケット36、36は、前記両支持用カプセル16a、16aを、車体に固定した支持板15aに固定するのに先立って、これら両支持用カプセル16a、16aに装着する。即ち、前記両ハンガブラケット36、36を構成する前記上板部37と前記下板部38との間に前記両支持用カプセル16a、16aを挟み込むと共に、前記各係止爪部40、40を、これら両支持用カプセル16a、16aの上面前端縁に係止する。この状態で、前記両ハンガブラケット36、36がこれら両支持用カプセル16a、16aに、不用意に脱落しない状態に係止されると共に、これら両支持用カプセル16a、16aに形成した通孔27、27と、前記上板部37及び下板部38に形成した前記各透孔42、42とが整合する。更に、前記各係止片41、41は、前記両支持用カプセル16a、16aの後部上面から上方に立上った状態となる。
そこで、この状態から、前記両支持用カプセル16a、16aの各係止片41、41を、前記支持板15aの後端縁に係止する。先発明に係る構造の場合、この支持板15aの後端縁に1対の位置決め用切り欠き43、43(図13参照)を、前記両支持用カプセル16a、16aのピッチと同じピッチで形成している。そして、これら両支持用カプセル16a、16aの各係止片41、41を前記両位置決め用切り欠き43、43の奥端縁部に係合させた状態で、前記両通孔27、27及び前記各透孔42、42と、前記支持板15aに形成した1対の取付孔44、44(図13参照)とが整合する様にしている。従って、前記両係止片41、41を前記両位置決め用切り欠き43、43の奥端縁部に係合させた状態では、前記支持ブラケット18を組み付けたステアリングコラム6b等を支持している手を離しても、このステアリングコラム6b等が前記支持板15aに支持(仮保持)された状態で、そのままの姿勢を維持される。そこで、上述の様に互いに整合した、前記両通孔27、27及び前記各透孔42、42に下方からボルトを挿通し、このボルトと図示しないナットとを螺合し更に締め付けて、前記両支持用カプセル16a、16bを前記支持板15aに対し支持固定する。これら一連の作業は、前後して別々に行える為、組み付け作業を容易化して、作業員の負担の軽減を図れる。
上述の様な先発明に係るステアリングコラムの支持装置は、従来構造で使用していた多くの部品をそのまま使用する事により低コストで実施でき、しかも、車体への組み付け作業を容易に行えると言った利点がある。但し、部品点数を削減してコスト低減を図る面から、改良の余地がある。即ち、前記ステアリングコラム6b等を前記支持板15aに仮保持する為の、前記両係止片41、41を、前記両ハンガブラケット36、36に設け、これら両ハンガブラケット36、36を構成する前記上板部37と前記下板部38との間に前記両支持用カプセル16a、16aを挟み込んでいる。この為、前記両係止片41、41を設ける為に、これら両支持用カプセル16a、16aとは別体の、前記両ハンガブラケット36、36が必要になる。この結果、これら各部材16a、36の加工の手間及びこれら各部材16a、36を組み合わせる手間が必要になり、前記ステアリングコラムの支持装置の加工コストを低減する面から不利である。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、組み付け作業の容易化を図る為に必要な部材の点数を削減して、組み付け作業の容易化を図れる構造の低コスト化を図れる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリングコラムの支持装置は、前述した従来から広く実施されている操舵装置を構成するステアリングコラムの支持装置と同様に、ステアリングコラムと、支持ブラケットと、1対の切り欠きと、1対の支持用カプセルとを備える。
このうちのステアリングコラムは、筒状(一般的には円筒状であるが、四角筒状等、他の筒形状であっても良い)で、軸方向に挿通したステアリングシャフトを回転自在に支持する。
又、前記支持ブラケットは、前記ステアリングコラムの一部に支持されたもので、取付板部を有する。例えば、操舵装置が、チルト機構、テレスコピック機構等の、ステアリングホイールの位置調節装置を備えたものである場合、前記支持ブラケットは前記ステアリングコラムに対し、このステアリングコラムの一部に固定した変位側ブラケットと、チルトボルト等の杆状結合部材とを介して支持する。これに対して、前記操舵装置が前記位置調節装置を備えない場合には、前記支持ブラケットは前記ステアリングコラムに対し、直接固定する。何れの場合でも、前記取付板部は、このステアリングコラムの両側方に突出する状態で設けられている。但し、この取付板部は、このステアリングコラムの両側方に突出する部分が互いに独立していても、一体(幅広である1枚の取付板部の両端部が前記ステアリングコラムの両側方に突出する構造)であっても良い。
又、前記両切り欠きは、前記取付板部のうちで前記ステアリングコラムの両側方に突出する部分に、それぞれこの取付板部の後端縁に開口する状態で設けられている。
又、前記両カプセルは、それぞれの左右両側面に、前記取付板部の一部でこれら両切り欠きの両側部分を係合させる係止溝を、これら両係止溝の間部分に通孔を、それぞれ設けている。そして、それぞれの係止溝を前記取付板部の一部で前記両切り欠きの両側部分に係合させる事により、この取付板部に係止している。
そして、前記両支持用カプセルの通孔を挿通した1対の杆状部材により前記支持ブラケットを、車体側に設けられた支持板に支持している。これら両杆状部材として一般的には、前記通孔を下方から挿通するボルトを使用する。但し、これら両杆状部材を、前記支持板に固定したスタッドとし、このスタッドを前記通孔に上方から挿通する事もできる。
更に、本発明のステアリングコラムの支持装置の場合には、前記両支持用カプセルの後部上面に、この後部上面から上方に立ち上がり、上部を前方に向けて突出させた係止片を、これら両支持用カプセルと一体に設け、これら両支持用カプセルの係止片を前記支持板の後端縁に係止している。
上述の様な本発明のステアリングコラムの支持装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、それぞれが塑性変形可能な線材を曲げ形成して成る、1対のエネルギ吸収部材を備える。そして、これら両エネルギ吸収部材の中央部に設けた基部を、両支持用カプセルの後部上面に設けた保持溝に係止すると共に、この基部の両側から前方に延出した衝撃吸収部の中間部に設けた折り返し湾曲部を、それぞれ取付板部の前端縁に係合させる。
上述の様に構成する本発明のステアリングコラムの支持装置によれば、前述した先発明に係るステアリングコラムの支持装置と同様に、ステアリングコラムを支持する支持ブラケットを車体に組み付ける作業を容易に行える。即ち、操舵装置の組立時には、予めステアリングシャフト及びステアリングコラムと組み合わせた前記支持ブラケットを構成する1対の取付板部に、それぞれ支持用カプセルの後部上面から上方に立ち上がった係止片を、前記車体側に固定した支持板の後端縁に係止する。この状態で、前記ステアリングコラム等を支持している手を離しても、このステアリングコラム等が前記支持板に支持(仮保持)されて、そのままの姿勢を維持される。そこで、前記両支持用カプセルの通孔を挿通した杆状部材により、これら両支持用カプセルを前記支持板に固定すれば、前記ステアリングコラムを前記支持板に対し、これら両支持用カプセルを介して、必要な支持強度で支持できる。
上述の様に本発明のステアリングコラムの支持装置を組み立てる場合に、前記ステアリングコラム等を前記支持板に支持(仮保持)する作業と、前記両杆状部材により前記両支持用カプセルを前記支持板に固定する作業とは、前述した先発明に係る構造と同様に、時間を前後して別々に行える。従来構造の様に、一方の手で前記ステアリングコラム等の重量を支えつつ、他方の手で前記ねじ杆部材による前記両支持用カプセルの支持固定作業を行う(支える作業とねじを螺合させる作業とを同時に行う)必要はない。この為、前記組み付け作業を容易化して、作業員の負担の軽減を図れる。
しかも、本発明のステアリングコラムの支持装置の場合には、前記係止片を、前記両支持用カプセルと一体に設けている。この為、部品製作、部品管理が容易になる事に加えて、従来必要であった、支持用カプセルとハンガブラケットとを組み合わせる作業が不要になる。これらの結果、上述の様にして前記組み付け作業の容易化を図る為に必要な部材の点数及び工数の削減により、組み付け作業の容易化を図れる構造の低コスト化を図れる。
更に、請求項2に記載した発明の構造によれば、1対の杆状部材に支持した1対の支持用カプセルと支持ブラケットとの間に、二次衝突に伴ってステアリングコラムに加わった衝撃エネルギを吸収する構造を設けられる。この為、限られた空間を有効利用して、二次衝突時に運転者の身体に加わる衝撃をより効果的に緩和できる。
本発明の実施の形態の1例の構造に組み込む支持用カプセルを、後ろ斜め上方から見た状態で示す斜視図。 本発明の実施の形態の1例の構造の組み立て途中の状態を、一部を省略して後ろ斜め上方から見た状態で示す斜視図。 ステアリングコラムのチルト中心となる前方支持部の構成部材の一部を取り出して図2と同方向から見た状態で示す斜視図。 支持用カプセルを車体の一部に係止した状態を示す部分側面図。 同じく底面図。 自動車用操舵装置の1例を示す、部分切断側面図。 従来のステアリングコラムの支持装置の1例を説明する為の側面図。 図7の左半部の平面図。 図8のイ部を後ろ斜め上方から見た斜視図。 先発明の実施の形態の1例を、支持板を除いて、後ろ斜め上方から見た状態で示す斜視図。 図10のロ部拡大図。 一部を省略して示す、図11のハ−ハ断面図。 図10のニ部に相当する部分の要部を取り出して、車体側に設けた支持板と共に示す斜視図。 図11に示した部分の分解斜視図。 同じく異なる方向から見た状態で示す分解斜視図。
図1〜5により、本発明の実施の形態の1例に就いて説明する。尚、前述した先発明に係る構造に対する、本例の構造の特徴は、1対の支持用カプセル16b、16bを支持板15aに支持(仮保持)する為の係止片41a、41aをこれら両支持用カプセル16b、16bと一体に形成し、ハンガブラケット36、36(図10〜15参照)を省略した点にある。それ以外の点に就いては、前述した先発明に係る構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の構造の場合には、前記両支持用カプセル16b、16bを射出成形する際に前記両係止片41a、41aを、これら両支持用カプセル16b、16bの本体部分と一体に成形している。即ち、これら両支持ブラケット16b、16bの後部上面から、それぞれ前記両係止片41a、41aを立ち上がらせている。これら両係止片41a、41aの上端部は、それぞれ前方に折れ曲がっている。
ステアリングコラム6bを、車体に固定の支持板15aに支持固定する際には、図2に示す様に、このステアリングコラム6bの中間部に組み付けた支持ブラケット18に1対の支持用カプセル16b、16bを予め組み付けておく。この状態から、これら両支持用カプセル16b、1bbを前記支持板15aに近づけ、図4〜5に示す様に、これら両支持用カプセル16b、16bの上面の係止片41a、41aを、この支持板15aの後端縁に係止する。ハンガブラケットを省略する代わりに支持用カプセル16b、16bの上面に直接前記両係止片41a、41aを形成した点以外は、前述した先発明の場合と同様である。尚、本発明を実施する場合に、前記支持板15aの後端縁に、前述の図13に示す様な位置決め用切り欠き43、43を形成する事もできる。この様にすれば、これら両位置決め用切り欠き43、43の奥端縁部に前記両係止片41a、41aを係止する事で、前記支持板15aに対し前記支持ブラケット18を仮保持すると同時に、この支持ブラケット18の幅方向に関する位置決めも図れる。
尚、本発明を、チルト式ステアリングコラム装置との組み合わせで実施する場合に、ステアリングコラム6bの前端部は、図2〜3に示す様な揺動支持ブラケット45を介して、車体に対し、揺動変位を可能に支持する。この揺動支持ブラケット45は、車体46側に固定したスタッド47、47により、この車体46に対し支持固定する。又、前記揺動支持ブラケット45の保持孔48の内周縁部には、複数の弾性支持片49、49を設けており、前記ステアリングコラム6bの前端部は、これら各弾性支持片49、49を径方向外方に弾性変形させつつ、前記保持孔48内に押し込む。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5 ステアリングシャフト
6、6a、6b ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 電動モータ
11 アウタコラム
12 インナコラム
13 アウタチューブ
14 インナシャフト
15、15a 支持板
16、16a、16b 支持用カプセル
17 ボルト
18 支持ブラケット
19 チルトボルト
20 支持板部
21 取付板部
22 連結部
23 切り欠き
24 係止溝
25 小通孔
26 小通孔
27 通孔
28 保持溝
29 エネルギ吸収部材
30 基部
31 衝撃吸収部
32 折り返し湾曲部
33 扱き部
34 垂下板部
35 小通孔
36 ハンガブラケット
37 上板部
38 下板部
39 連結板部
40 係止爪部
41、41a 係止片
42、42a 透孔
43 位置決め用切り欠き
44 取付孔
45 揺動支持ブラケット
46 車体
47 スタッド
48 保持孔
49 弾性支持片
特開2004−182216号公報 特開2004−338509号公報 特開2005−53349号公報 特開2005−96731号公報 特許第3931597号公報

Claims (2)

  1. 軸方向に挿通したステアリングシャフトを回転自在に支持する筒状のステアリングコラムと、このステアリングコラムの一部に支持された、このステアリングコラムの両側方に突出する状態で設けられた取付板部を有する支持ブラケットと、この取付板部のうちで前記ステアリングコラムの両側方に突出する部分に、それぞれこの取付板部の後端縁に開口する状態で設けられた1対の切り欠きと、それぞれの左右両側面に前記取付板部の一部でこれら両切り欠きの両側部分を係合させる係止溝を、これら両係止溝の間部分に通孔を、それぞれ設け、それぞれの係止溝を前記取付板部の一部で前記両切り欠きの両側部分に係合させる事により、この取付板部に係止した1対の支持用カプセルとを備え、これら両支持用カプセルの通孔を挿通した1対の杆状部材により前記支持ブラケットを、車体側に設けられた支持板に支持するステアリングコラムの支持装置に於いて、前記両支持用カプセルの後部上面に、この後部上面から上方に立ち上がり、上部を前方に向けて突出させた係止片を、これら両支持用カプセルと一体に設け、これら両支持用カプセルの係止片を前記支持板の後端縁に係止した事を特徴とするステアリングコラムの支持装置。
  2. それぞれが塑性変形可能な線材を曲げ形成して成る、1対のエネルギ吸収部材を備え、これら両エネルギ吸収部材の中央部に設けた基部を、両支持用カプセルの後部上面に設けた保持溝に係止すると共に、この基部の両側から前方に延出した衝撃吸収部の中間部に設けた折り返し湾曲部を、それぞれ取付板部の前端縁に係合させた、請求項1に記載したステアリングコラムの支持装置。
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