本発明は、簡素で安価な構造にてエネルギー吸収量を安定化させることを目的としている。かかる目的を達成するために、本発明では、ステアリングコラムを保持して車体の一部に対して車両前方に所定荷重以上で移動離脱可能に組付けられるブレークアウエイブラケットを備えるとともに、このブレークアウエイブラケットの前端部にガイド部材を介して装着されて前記ブレークアウエイブラケットの前記車体の一部に対する車両前方への移動により扱かれて衝撃エネルギーを吸収するU字状エネルギー吸収プレートを備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記ガイド部材は前記U字状エネルギー吸収プレートが外装されるJ字状形状に形成され、前記ブレークアウエイブラケットは前記ガイド部材および前記U字状エネルギー吸収プレートの装着部が二枚重ねのプレートで構成され、これら両プレートの一方は他方のプレートより前方に突出し、同突出部には前記ガイド部材がそのJ字状短寸側端面を他方のプレートの前端面に対向させるようにして装着されていることに特徴がある。
この衝撃吸収式ステアリングコラム装置では、U字状エネルギー吸収プレートが扱かれて衝撃エネルギーを吸収する際に、ガイド部材を介して荷重を受ける突出部が、ブレークアウエイブラケットの装着部を構成する二枚重ねのプレートの一方を他方のプレートより前方に突出させることにより形成されている。このため、この突出部の形成に際して曲げ加工が不要であり、加工コストの低減を図ることが可能である。
また、上記した突出部は、二枚重ねのプレートの一方を他方のプレートより前方に突出させて形成したものであり、ガイド部材を介して受ける荷重によっては曲げ変形し難いため、衝撃エネルギーを吸収する際のU字状エネルギー吸収プレートは所期の形態にて扱かれて変形する。したがって、U字状エネルギー吸収プレートの変形によって得られるエネルギー吸収量を安定化させることが可能である。
また、この衝撃吸収式ステアリングコラム装置では、二枚重ねのプレートの一方を他方のプレートより前方に突出させて形成した突出部に、ガイド部材がそのJ字状短寸側端面を他方のプレートの前端面に対向させるようにして装着されている。このため、U字状エネルギー吸収プレートの一部を上記した他方のプレートに接触または近接させた状態で沿わせることが可能であり、U字状エネルギー吸収プレートを配置するための上下方向のスペースを小さくすることが可能である。
また、本発明では、ステアリングコラムを保持して車体の一部に対して車両前方に所定荷重以上で移動離脱可能に組付けられるブレークアウエイブラケットを備えるとともに、このブレークアウエイブラケットの前端部にガイド部材を介して装着されて前記ブレークアウエイブラケットの上下にて前後方向に延び前記ブレークアウエイブラケットの前記車体の一部に対する車両前方への移動により扱かれて衝撃エネルギーを吸収するU字状エネルギー吸収プレートを備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記U字状エネルギー吸収プレートの車体と係合する上側プレート部を前記ブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持する位置決め保持手段を設けたことに特徴がある。
この衝撃吸収式ステアリングコラム装置では、U字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部が位置決め保持手段にてブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持される。このため、車体の一部に設けられる係止部とU字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部に形成される係合部間に車両前後方向の空走空間が設定される場合には、ブレークアウエイブラケットが車体の一部に対して車両前方へ移動する際に、位置決め保持手段にてブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持されたエネルギー吸収プレートの係合部を車体の係止部に確実に係合させることが可能である。また、ブレークアウエイブラケットを車体の一部に対して組付ける際に、エネルギー吸収プレートの係合部を車体の係止部に係合させて仮保持する場合には、エネルギー吸収プレートにおける上側プレートのブレークアウエイブラケットに対する位置ずれが起こり難くて、ブレークアウエイブラケットの車体の一部に対する組付作業(例えば、ボルトの締め付け作業)を容易とすることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記ガイド部材は一方が延長されてJ字状とされ、同ガイド部材の延長部には前記位置決め保持手段が設けられていることも可能である。この場合には、ガイド部材の扱き曲率部から離れた位置(延長部)にて、U字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部が位置決め保持手段によりブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持されるため、その位置決め保持精度を高めることが可能である。
この場合において、前記ガイド部材の延長部に前記U字状エネルギー吸収プレートの下側プレート部を保持する保持手段を設けることも可能である。この場合には、コンパクトな構成にてU字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部と下側プレート部を保持することができて、U字状エネルギー吸収プレートのブレークアウエイブラケットに対するガタツキを防止することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記U字状エネルギー吸収プレートの前記上側プレート部を前記ブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持する前記位置決め保持手段は、前記上側プレート部の左右両側に立設された左右一対の保持片を備えていて、これら両保持片の対向部位には上方に向けて幅狭とする傾斜面が形成されていることも可能である。この場合には、エネルギー吸収プレートの荷重チューニングを板厚・板幅で変更する際にも、傾斜面を有する左右一対の保持片にて当該エネルギー吸収プレートを確実に位置決め保持することが可能である。
この場合において、前記U字状エネルギー吸収プレートは、前記上側プレート部の後端部から上方に屈曲されて前記両保持片より高く延び上端部にて車体と係合可能な係合部を有していて、同係合部における前記両保持片に対応する部位の板幅が前記両保持片間の間隔より小さくされていることも可能である。この場合には、ガイド部材を組付けたブレークアウエイブラケットの前端側から、ガイド部材の両保持片間を通してU字状エネルギー吸収プレートの上方に屈曲された部位(係合部の一部分)を挿通することが可能であり、ガイド部材を組付けたブレークアウエイブラケットにU字状エネルギー吸収プレートを容易に装着することが可能である。
また、これらの場合において、前記上側プレート部の下面は前記ブレークアウエイブラケットの一部または前記ガイド部材の延長部に設けた支持部にて支持されていることも可能である。この場合には、U字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部を、ガイド部材における左右一対の保持片と、ブレークアウエイブラケットの一部またはガイド部材の延長部に設けた支持部にて上下方向にて挟むことが可能であり、上側プレート部の上下方向位置を位置決めすることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記位置決め保持手段は、弾性変形可能部を有したコ字状クリップであり、前記上側プレート部を支持手段との間で上下方向にて弾撥的に挟持していることも可能である。この場合には、U字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部を、上下方向にて弾撥的に位置決め保持することが可能であり、U字状エネルギー吸収プレートをガタ無く組付けることが可能である。また、この場合には、コ字状クリップにおける弾性変形可能部の弾性変形可能量の範囲において、コ字状クリップの構成を変更することなく、U字状エネルギー吸収プレートにおける上側プレート部の板厚を変更することが可能であり、エネルギー吸収プレートの荷重チューニングを板厚で変更する場合において有効である。
また、本発明の実施に際して、前記位置決め保持手段は、締め付け量が可変の締付バンドであり、前記上側プレート部を支持手段との間で締め付け保持していることも可能である。この場合には、U字状エネルギー吸収プレートの上側プレート部を締付バンドにて締め付けて位置決め保持することが可能であるため、U字状エネルギー吸収プレートの板厚・板幅の相違に対しても同一構成にて実施可能であり、部品の共通化を図って低コスト化を図ることが可能である。
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置の第1実施形態を示していて、この第1実施形態においては、ステアリングシャフト10が軸方向にて伸縮可能かつトルク伝達可能なアッパシャフト11とロアシャフト12を備える構成とされ、ステアリングシャフト10を回転自在に支持して軸方向にて伸縮可能なステアリングコラム20がアウターチューブ21とインナーチューブ22を備える構成とされている。
アッパシャフト11は、アウターチューブ21に対して軸受13を介して回転自在かつ軸方向移動不能に支持されていて、図1右端の上端部にはエアバッグ装置を装着したステアリングホイール(図示省略)が一体回転可能に組付けられるようになっている。一方、ロアシャフト12は、インナーチューブ22に軸受14を介して回転自在に支持されていて、図1左端の下端部にて自在継手を介して伸縮可能かつトルク伝達可能な中間軸(共に図示省略)に連結されるようになっていて、中間軸は自在継手を介してステアリングギヤボックス(共に図示省略)に連結されるようになっている。
アウターチューブ21は、下端部にてインナーチューブ22の上端部に軸方向へ摺動可能に嵌合連結されていて、下端部に固着したブラケット21aにてチルトおよびテレスコピック調整可能な上方支持機構Aを介して車体の一部(図示省略)に固着される車体側ブラケット(ステアリングサポートブラケットともいわれる)31に組付けられている。一方、インナーチューブ22は、下端部に固着したブラケット22aにて回動可能な下方支持機構Bを介して車体の一部(図示省略)に傾動可能に組付けられるようになっている。
上方支持機構Aは、アウターチューブ21に固着したブラケット21aを上下方向にて傾動可能(チルト可能)に支持するブレークアウエイブラケット41を備えるとともに、ブレークアウエイブラケット41に対してアウターチューブ21に固着したブラケット21aを固定・解除可能なチルト機構と、アウターチューブ21をインナーチューブ22に対して固定・解除可能なテレスコピック機構を備えている。
チルト機構は、それ自体公知のものであり、ハンドル操作にて固定・解除可能であり、解除状態ではステアリングシャフト10とステアリングコラム20をブレークアウエイブラケット41に対して一体的に上下にチルト調整可能とする。テレスコピック機構は、それ自体公知のものであり、ハンドル操作にて固定・解除可能であり、解除状態ではアッパシャフト11とアウターチューブ21をロアシャフト12とインナーチューブ22に対してコラム軸方向にテレスコピック調整可能とする。
ブレークアウエイブラケット41は、左右に延びる一対のアーム41a,41bを有していて、図5にて示したように、各アーム41a,41bに設けた各スリット孔41a1,41b1にて、各樹脂カプセル42と各金属カラー43を介して、各ボルト44を用いて車体側ブラケット31に組付けられるようになっている。なお、各ボルト44は、車体側ブラケット31に予め固着した各ナット32に螺着固定されるようになっている。
ブレークアウエイブラケット41の各スリット孔41a1,41b1は、車両衝突時の二次衝突時にブレークアウエイブラケット41の前方への移動離脱を可能とするものであり、図2に破線で示したように、各アーム41a,41bの略中央から後端に延びて後端にて開口している。各樹脂カプセル42は、各スリット孔41a1,41b1内に嵌合する筒部42aを有していて、各アーム41a,41bの上面に添着固定されており、二次衝突時に所定の荷重にて破壊されるようになっている。各金属カラー43は、各樹脂カプセル42の筒部42aに圧入嵌合されていて、各ボルト44を用いて車体側ブラケット31に組付けられている状態では二次衝突時に各樹脂カプセル42を破壊可能である。
下方支持機構Bは、ステアリングコラム20におけるインナーチューブ22を常に傾動(回動)可能に支持するものであり、インナーチューブ22の下端部に固着したブラケット22aに形成した取付孔22a1に回転自在に嵌合されるカラー51と、このカラー51を車体の一部(図示省略)に固定するボルトおよびナット(図示省略)等によって構成されている。
また、この第1実施形態においては、図1および図2に示したように、アウターチューブ21とインナーチューブ22間に、衝撃エネルギー吸収機構Cが介装されている。衝撃エネルギー吸収機構Cは、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギー等の衝撃エネルギーをステアリングシャフト10とステアリングコラム20の軸方向収縮によって吸収するものであり、エネルギー吸収部材61を備えている。
エネルギー吸収部材61は、ステアリングシャフト10とステアリングコラム20が図1および図2に示した初期状態から設定値L1以上に軸方向収縮することによって剪断または塑性変形されてエネルギー吸収荷重を発生させるものであり、樹脂または軽金属等の軽量素材にて断面略C形で円筒状に形成されていて、インナーチューブ22の外側に一体的に組付けられている。
このエネルギー吸収部材61は、アウターチューブ21の下方部位を軸方向へ摺動可能に支持する薄肉の支持部61aと、この支持部61aの下方外周に一体的に形成されてステアリングコラム20の軸方向収縮時にアウターチューブ21の下端部によって剪断または塑性変形される複数個のリブ61bを有している。また、エネルギー吸収部材61には、インナーチューブ22に設けた取付孔22bに嵌合固定される複数の突起61c(図1参照)が中間部内周に一体的に形成されている。
各リブ61bは、所定の厚みで径外方に向けて所定量突出していて、軸方向に所定量延びており、アウターチューブ21がインナーチューブ22に対して図1および図2の初期状態から前方に設定値L1以上に軸方向移動するとき、アウターチューブ21の下端部によって剪断または塑性変形されて、所定のエネルギー吸収荷重を発生させる。なお、各リブ61bの形状・個数は適宜変更可能である。
また、この第1実施形態においては、図1〜図6に示したように、ブレークアウエイブラケット41の上部で左右方向の略中央部位41cが二枚重ねのプレート41c1,41c2で構成されていて、下方のプレート41c2が上方のプレート41c1より所定量前方に突出しており、この突出部41c3に樹脂製のガイド部材49が装着されている。また、ブレークアウエイブラケット41の略中央部位41cには、衝撃エネルギー吸収部材としてのエネルギー吸収プレート71がガイド部材49を介して装着されている。
エネルギー吸収プレート71は、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーをステアリングコラム20におけるアウターチューブ21の前方移動に伴うブレークアウエイブラケット41の車体に対する車両前方への移動によって吸収する一枚の金属プレートであり、図3〜図6に拡大して示したように、ブレークアウエイブラケット41に相対変位可能に装着されたU字状固定部71aを有するとともに、上部後端に車体側ブラケット31に設けた係止凹部31aに係脱可能なT字状係合部71bを有している。
U字状固定部71aは、ブレークアウエイブラケット41の略中央部位41c前方から両プレート41c1,41c2を上下に挟むようにしてガイド部材49を介して組付けられていて、円弧状の湾曲部分71a1と、これに連なる直線状の上側プレート部71a2および直線状の下側プレート部71a3とによって構成されている。円弧状の湾曲部分71a1は、他の部位に比して細幅に形成されていて、T字状係合部71bと係止凹部31aとの係合初期に設定されたエネルギー吸収荷重の立ち上がり(増大)が緩くなるようにされている。
直線状の上側プレート部71a2は、ガイド部材49の上面およびブレークアウエイブラケット41における上方のプレート41c1の上面に接触した状態(接触しなくて近接した状態であってもよい)にて前方から後方に向けて延在していて、後端にてT字状係合部71bに連なっている。また、この上側プレート部71a2は、前端部位をガイド部材49の左右一対の上方突起49a1,49a2によって左右方向への移動を規制された状態にて保持されるとともに、後端部位をガイド部材49の左右一対の上方保持片49b1,49b2によって左右方向および上下方向への移動を規制された状態にて位置決め保持されている。
直線状の下側プレート部71a3は、ガイド部材49の下面に接触しブレークアウエイブラケット41における下方のプレート41c2の下面に沿って前方から後方に向けて延在していて、ブレークアウエイブラケット41の前方移動によってブレークアウエイブラケット41の前方に装着したガイド部材49の半円形部49fに沿って扱かれて塑性変形することにより二次衝突エネルギーを吸収するようになっている。また、この下側プレート部71a3は、前端部を後方に向けて順次幅広とする形状に形成されていて、T字状係合部71bと係止凹部31aとの係合初期のエネルギー吸収荷重が順次増大するように設定されている。また、この下側プレート部71a3は、中間部位をガイド部材49の左右一対の下方保持片49c1,49c2によって左右方向および上下方向への移動を規制された状態にて位置決め保持されている。
T字状係合部71bは、U字状固定部71aにおける上側プレート部71a2の後端から上方に屈曲されて突片状に形成されていて、ガイド部材49の左右一対の上方保持片49b1,49b2より高く延びており、上端に車体と係合可能な左右一対の係合片71b1,71b2を有している。また、T字状係合部71bは、図4に示したように、ガイド部材49の左右一対の上方保持片49b1,49b2に対応する部位(立ち上がり部)の板幅W1が両保持片49b1,49b2間の間隔W2より小さくされていて、両保持片49b1,49b2に対して前後方向にて抜き差し可能とされている。
また、T字状係合部71bは、ブレークアウエイブラケット41が車体に対して車両前方へ移動していない組付状態のとき、車体側ブラケット31に設けた係止凹部31aとの係合位置(図1および図4の仮想線で示した位置)から車両後方に所定間隔L2だけ離れて位置し、係止凹部31aとの間に所定の空走空間が設定されている。なお、T字状係合部71bの両係合片71b1,71b2は、車体側ブラケット31の係止凹部31aに係合したとき、剪断荷重を受けて支持される。
車体側ブラケット31の係止凹部31aは、車両後方側を開放側とする凹形状に形成されていて、その開口幅はT字状係合部71bの立ち上がり部の板幅W1より僅かに大きくされていて、T字状係合部71bが係止凹部31aと係合する際にT字状係合部71bの移動方向を規定するガイド手段としても機能する。なお、係止凹部31aの開口側端部には、T字状係合部71bの係合(嵌合)を円滑とするための導入傾斜面が形成されている。
ガイド部材49は、図1〜図9にて示したように、U字状エネルギー吸収プレート71が外装されるJ字状形状(側面視の形状)に形成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2を位置決め保持するための左右一対の上方突起49a1,49a2および左右一対の上方保持片49b1,49b2と、U字状エネルギー吸収プレート71の下側プレート部71a3を位置決め保持するための左右一対の下方保持片49c1,49c2とを有している。
また、ガイド部材49は、ブレークアウエイブラケット41の突出部41c3に組付けるための凹部49dおよび係止突起49eと、U字状エネルギー吸収プレート71の下側プレート部71a3を扱いて塑性変形するための半円形部(扱き曲率部)49fを有していて、図3にて示したように、下方が後方に向けて延長されてJ字状とされ、その短寸側端面(上側端面)がブレークアウエイブラケット41の上方のプレート41c1の前端面に対向するようにしてブレークアウエイブラケット41に装着されている。
左右一対の上方保持片49b1,49b2は、ガイド部材49の下方延長部に一体的に形成されていて、ブレークアウエイブラケット41に形成した連通孔41dを通して上方のプレート41c1の上方に突出してU字状エネルギー吸収プレート71における上側プレート部71a2の左右両側に立設されている。また、これら両上方保持片49b1,49b2の対向部位には、上方に向けて幅狭とする傾斜面S1,S2が形成されていて、これら両傾斜面S1,S2とブレークアウエイブラケット41における上方のプレート41c1の上面間にて、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2が上下方向および左右方向に位置決め保持されている。
左右一対の下方保持片49c1,49c2は、ガイド部材49の下方延長部に一体的に形成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71における下側プレート部71a3の左右両側に立設されている。また、これら両下方保持片49c1,49c2の対向部位には、下方に向けて幅狭とする傾斜面S3,S4が形成されていて、これら両傾斜面S3,S4とガイド部材49の延長部下面間にて、U字状エネルギー吸収プレート71の下側プレート部71a3が上下方向および左右方向に位置決め保持されている。
上記のように構成したこの第1実施形態においては、車両の衝突時に、二次衝突によってブレークアウエイブラケット41が車体側ブラケット31に対して車両前方に所定荷重以上で移動離脱することにより、ブレークアウエイブラケット41の前方移動に伴ってエネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aに嵌合して係合する。
また、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aに係合した後には、ブレークアウエイブラケット41の更なる前方移動に伴ってエネルギー吸収プレート71におけるU字状固定部71aの直線状下側プレート部71a3がブレークアウエイブラケット41の前方に装着したガイド部材49に沿って順次扱かれて変形する。このため、エネルギー吸収プレート71のU字状固定部71aはブレークアウエイブラケット41の上下両面に沿って変形し、エネルギー吸収プレート71の変形によるエネルギー吸収が得られる。
また、ステアリングシャフト10とステアリングコラム20が図1および図2に示した初期状態から設定値L1以上に軸方向収縮する、具体的には、アッパシャフト11とアウターチューブ21がロアシャフト12とインナーチューブ22に対して前方に設定値L1以上に軸方向移動することによって、エネルギー吸収部材61のリブ61bが剪断または塑性変形されて二次衝突エネルギーが吸収される。
また、この第1実施形態においては、エネルギー吸収プレート71のU字状固定部71aと車体側ブラケット31の係止凹部31a間に所定の空走空間(L2)が設定されていて、二次衝突初期にエネルギー吸収プレート71におけるU字状固定部71aの空走空間内での空走を許容することが可能である。このため、ブレークアウエイブラケット41が車体から離脱する際の荷重発生タイミングに対して、エネルギー吸収プレート71のU字状固定部71aがブレークアウエイブラケット41によって扱かれて変形する際の荷重発生タイミングを遅らせることができる。したがって、これらが略同時に発生する場合に比して、二次衝突初期の発生荷重を低くすることが可能である。また、上記した空走空間をチューニングすることにより、エネルギー吸収プレート71のU字状固定部71aがブレークアウエイブラケット41によって扱かれて変形する際の荷重発生タイミングを自由に設定することが可能である。
ところで、この第1実施形態においては、ガイド部材49とU字状エネルギー吸収プレート71を装着するためのブレークアウエイブラケット41の装着部、すなわちブレークアウエイブラケット41の略中央部位41cが二枚重ねのプレート41c1,41c2で構成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71が扱かれて衝撃エネルギーを吸収する際に、ガイド部材49を介して荷重を受けるブレークアウエイブラケット41の突出部41c3が、下方のプレート41c2を上方のプレート41c1より前方に突出させることにより形成されている。このため、この突出部41c3の形成に際して曲げ加工が不要であり、加工コストの低減を図ることが可能である。
また、上記した突出部41c3は、二枚重ねのプレート41c1,41c2の一方を他方より前方に突出させて形成したものであり、ガイド部材49を介して受ける荷重によっては曲げ変形し難いため、衝撃エネルギーを吸収する際のU字状エネルギー吸収プレート71は所期の形態にて扱かれて変形する。したがって、U字状エネルギー吸収プレート71の変形によって得られるエネルギー吸収量を安定化させることが可能である。
また、この第1実施形態では、二枚重ねのプレート41c1,41c2の一方を他方より前方に突出させて形成した突出部41c3に、ガイド部材49がそのJ字状短寸側端面を上方のプレート41c1の前端面に対向させるようにして装着されている。このため、U字状エネルギー吸収プレート71の一部すなわち上側プレート部71a2を上記した上方のプレート41c1に接触(または近接)させた状態で沿わせることが可能であり、U字状エネルギー吸収プレート71を配置するための上下方向のスペースを小さくすることが可能である。
また、この第1実施形態では、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2をブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持する位置決め保持手段として、左右一対の上方突起49a1,49a2および左右一対の上方保持片49b1,49b2をガイド部材49に一体的に設けた。このため、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2がブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持される。
したがって、この第1実施形態のように、車体側ブラケット31に設けた係止凹部31aとU字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に連続して形成されるT字状係合部71b間に車両前後方向の空走空間(L2)が設定されている場合であっても、ブレークアウエイブラケット41が車体側ブラケット31に対して車両前方へ移動する際に、ブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持されたエネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bを車体側ブラケット31の係止凹部31aに確実に係合させることが可能である。
また、この第1実施形態においては、ガイド部材49が下部を後方に向けて延長されてJ字状とされ、同ガイド部材49の延長部には左右一対の上方保持片49b1,49b2が一体的に設けられている。このため、ガイド部材49の扱き曲率部すなわち半円形部49fから離れた位置(延長部)にて、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2が左右一対の上方保持片49b1,49b2によりブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持されるため、その位置決め保持精度を高めることが可能である。
また、この第1実施形態においては、ガイド部材49の延長部にU字状エネルギー吸収プレート71の下側プレート部71a3を保持する左右一対の下方保持片49c1,49c2も一体的に設けられている。このため、コンパクトな構成にてU字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2と下側プレート部71a3を保持することができて、U字状エネルギー吸収プレート71のブレークアウエイブラケット41に対するガタツキを防止することが可能である。
また、この第1実施形態においては、ガイド部材49の延長部に設けた左右一対の上方保持片49b1,49b2の対向部位に上方に向けて幅狭とする傾斜面S1,S2が形成されている。このため、図10に例示したように、エネルギー吸収プレート71の荷重チューニングを板厚・板幅で変更する際にも、傾斜面S1,S2を有する左右一対の上方保持片49b1,49b2にてエネルギー吸収プレート71を確実に位置決め保持することが可能である。なお、ガイド部材49の延長部に設けた左右一対の下方保持片49c1,49c2の対向部位には、下方に向けて幅狭とする傾斜面S3,S4が形成されているため、この部位でも同様の作用効果が得られる。
また、この第1実施形態においては、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bにおいて、ガイド部材49の左右一対の上方保持片49b1,49b2に対応する部位(立ち上がり部)の板幅W1が両保持片49b1,49b2間の間隔W2より小さくされていて、両保持片49b1,49b2に対して前後方向にて抜き差し可能とされている。このため、ガイド部材49を組付けたブレークアウエイブラケット41の前端側から、ガイド部材49の両上方保持片49b1,49b2間を通してU字状エネルギー吸収プレート71の上方に屈曲された部位(T字状係合部71bの一部分)を挿通することが可能であり、ガイド部材49を組付けたブレークアウエイブラケット41にU字状エネルギー吸収プレート71を容易に装着することが可能である。
上記第1実施形態においては、図3に示したように、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2が、前端部位の下面をガイド部材49と上方のプレート41c1によって下方から支持され、後端部位をガイド部材49における左右一対の上方保持片49b1,49b2によって保持されるように構成して実施したが、図11に示した変形実施形態のように、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2が、前端部位の下面をガイド部材49と上方のプレート41c1によって下方から支持され、中間部位をガイド部材49における左右一対の上方保持片49b1,49b2によって保持され、後端部位の下面を上方のプレート41c1によって下方から支持されるように構成して実施することも可能である。
この場合には、エネルギー吸収プレート71における上側プレート部71a2を上記した三箇所にて上下方向に挟むことができて、上側プレート部71a2のブレークアウエイブラケット41に対する支持強度を高めることができるとともに、上側プレート部71a2のブレークアウエイブラケット41に対する上下方向位置を的確に位置決めすることが可能である。
また、上記第1実施形態においては、図3に示したように、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2がガイド部材49における左右一対の上方保持片49b1,49b2によって位置決め保持されるように構成して実施したが、図12に示した第2実施形態のように、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2がコ字状クリップ81によって位置決め保持されるように構成して実施することも可能である。
コ字状クリップ81は、図13に示したように形成された金属プレートであり、中央下面にてエネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2上面に弾撥的に係合する弾性変形可能な湾曲部81aを上端部に有するとともに、エネルギー吸収プレート71の下側プレート部71a3下面に弾撥的に係合する弾性変形可能な左右一対の係止爪81bを下端部に有している。このコ字状クリップ81は、ブレークアウエイブラケット41の略中央部位41cにガイド部材49とエネルギー吸収プレート71を組付けた状態にて、ブレークアウエイブラケット41に形成した連通孔41dを通して上方から差し込むことにより、図12に示したように組付けられている。また、コ字状クリップ81は所定の荷重にて離脱可能であり、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときに離脱するようになっている。
図12に示した組付状態では、コ字状クリップ81の湾曲部81aと左右一対の係止爪81b間に、ガイド部材49の下方延長部に形成した支柱49gを上下方向にて挟むようにしてエネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2と下側プレート部71a3が介在している。また、エネルギー吸収プレート71における上側プレート部71a2の下面がブレークアウエイブラケット41における上方のプレート41c1上面とガイド部材49の支柱49g上面に圧接し、エネルギー吸収プレート71における下側プレート部71a3の上面がガイド部材49の下方延長部下面に圧接していて、ブレークアウエイブラケット41の略中央部位41cにガイド部材49とエネルギー吸収プレート71が一体的に連結されている。
この第2実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2と下側プレート部71a3がコ字状クリップ81によって上下方向にて弾撥的に位置決め保持されている。このため、エネルギー吸収プレート71をブレークアウエイブラケット41の略中央部位41cにガタ無く組付けることが可能である。また、この第2実施形態においては、コ字状クリップ81における湾曲部81aの弾性変形可能量の範囲において、コ字状クリップ81の構成を変更することなく、エネルギー吸収プレート71の板厚を変更することが可能であり、エネルギー吸収プレート71の荷重チューニングを板厚で変更する場合において有効である。また、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときにコ字状クリップ81が離脱するようになっているため、エネルギー吸収プレート71は所期の形態にて扱かれて衝撃エネルギーを吸収する。
図14は、上記した第2実施形態の変形実施形態を示していて、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71における下側プレート部71a3の一部が下方に湾曲した形状に形成されていて弾性変形可能とされていて、この弾性変形可能な湾曲部の下面にコ字状クリップ81の各係止爪81bが弾撥的に係合している。このため、この実施形態においては、上記した第2実施形態に比してエネルギー吸収プレート71の板厚変更可能量を増大することが可能である。
図15は、第3実施形態を示していて、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2が締付バンド91によってブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持されるように構成されている。締付バンド91は締め付け量が可変であり、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2をブレークアウエイブラケット41における上方のプレート41c1に形成した支持片41c1aとの間で締め付け保持している。また、締付バンド91は所定の荷重にて破断可能であり、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときに破断するようになっている。
この第3実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2を締付バンド91にて締め付けてブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持することが可能であるため、エネルギー吸収プレート71の板厚・板幅の相違に対しても同一構成にて実施可能であり、部品の共通化を図って低コスト化を図ることが可能である。また、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときに締付バンド91が破断するようになっているため、エネルギー吸収プレート71は所期の形態にて扱かれて衝撃エネルギーを吸収する。
図16および図17は、上記した第3実施形態の第1変形実施形態を示していて、この実施形態においては、ガイド部材49の下方延長部に締付バンド91を挿通するための取付孔49hが形成されている。このため、この実施形態においては、締付バンド91がブレークアウエイブラケット41の支持片41c1aから後方に抜け落ちることが無くて、締付バンド91による位置決め保持機能を保証することが可能である。
図18は、上記した第3実施形態の第2変形実施形態を示していて、この実施形態においては、ガイド部材49の下方延長部に、締め付け量が可変で所定の荷重にて破断可能な締付バンド91が一体的に形成されている。このため、この実施形態においては、部品点数の低減を図って製作コスト・組付コストの低減を図ることが可能である。
図19は、上記した第3実施形態の第3変形実施形態を示していて、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2とガイド部材49の下方延長部がそれぞれブレークアウエイブラケット41の連通孔41dを越えて後方に延びていて、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2および下側プレート部71a3とガイド部材49の下方延長部が締付バンド91(これも、締め付け量が可変で所定の荷重にて破断可能である)によって共締めされている。このため、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71のブレークアウエイブラケット41に対するガタツキを防止することが可能である。
図20は、上記した第3実施形態の第4変形実施形態を示していて、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2がブレークアウエイブラケット41の連通孔41dを越えて後方に延びていないものの、ガイド部材49の下方延長部がブレークアウエイブラケット41の連通孔41dを越えて後方に延び、かつガイド部材49の下方延長部に支柱49gが一体的に形成されている。また、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2および下側プレート部71a3とガイド部材49の下方延長部および支柱49gが締付バンド91(これも、締め付け量が可変で所定の荷重にて破断可能である)によって共締めされている。このため、この実施形態においても、エネルギー吸収プレート71のブレークアウエイブラケット41に対するガタツキを防止することが可能である。
図21は、第4実施形態を示していて、この実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2がその後端部に形成したU字状屈曲保持部71cによってブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持されるように構成されている。屈曲保持部71cは、ブレークアウエイブラケット41の上方のプレート41c1を挟持していて、所定の荷重にて変形可能であり、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときに変形してブレークアウエイブラケット41の上方のプレート41c1から離れるようになっている。
この第4実施形態においては、エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2をその後端部に形成したU字状屈曲保持部71cにてブレークアウエイブラケット41に対して位置決め保持することが可能であるため、エネルギー吸収プレート71の板厚・板幅の相違に対しても、U字状屈曲保持部71cを形成するといったシンプルな構成にて実施可能であり低コスト化を図ることが可能である。また、エネルギー吸収プレート71のT字状係合部71bが車体側ブラケット31の係止凹部31aと係合してエネルギー吸収プレート71が引っ張られるときに屈曲保持部71cが変形してブレークアウエイブラケット41の上方のプレート41c1から離れるようになっているため、エネルギー吸収プレート71は所期の形態にて扱かれて衝撃エネルギーを吸収する。
図22〜図25は、第5実施形態を示していて、この実施形態においては、第1実施形態と同様に、ブレークアウエイブラケット41の上部で左右方向の略中央部位41cが二枚重ねのプレート41c1,41c2で構成されていて、下方のプレート41c2の中央部が上方のプレート41c1より所定量前方に突出しており、この突出部41c3に樹脂製のガイド部材49が装着されている。
また、この第5実施形態においては、突出部41c3に装着されるガイド部材49が、上方のプレート41c1に設けた左右一対の突起41c4,41c5により左右方向にて位置決め保持されるように構成されている。このため、ガイド部材49がブレークアウエイブラケット41に組付けられた状態での、ガイド部材49のブレークアウエイブラケット41に対する左右方向でのガタを抑えることが可能である。
また、この第5実施形態においては、第1実施形態と同様に、ガイド部材49が、左右一対の上方突起49a1,49a2(この実施形態においては、第1実施形態に比して前方にまで延在するように形成されている)、左右一対の上方保持片49b1,49b2、左右一対の下方保持片49c1,49c2、凹部49d、係止突起49e、半円形部49fを有している。また、この第5実施形態においては、ガイド部材49が、左右一対の係止爪49i1,49i2と左右一対の凸部49j1,49j2を有している。
左右一対の係止爪49i1,49i2は、左右一対の上方保持片49b1,49b2から前方に突出するようにして一体的に形成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に形成した左右一対の切欠71d1,71d2に係合しており、ガイド部材49に前方から挿入されて組付けられたU字状エネルギー吸収プレート71の前方への抜けを防止している。
左右一対の凸部49j1,49j2は、左右一対の係止爪49i1,49i2に対応してガイド部材49の下方延長部に一体的に形成されていて、左右一対の係止爪49i1,49i2の下方への所定値以上の曲げ変形を規制しており、ガイド部材49がブレークアウエイブラケット41に組付けられるとき、或いはガイド部材49にU字状エネルギー吸収プレート71が前方から挿入されて組付けられるときに、左右一対の係止爪49i1,49i2が下方へ無理に曲がって折損することを防止している。
また、この第5実施形態においては、ガイド部材49にU字状エネルギー吸収プレート71が前方から挿入されて組付けられるときに、左右一対の上方保持片49b1,49b2が、図25に示したように、左右方向に押し広げられて、ブレークアウエイブラケット41に形成した連通孔41dの壁面に当接するように設定されている。このため、ガイド部材49がブレークアウエイブラケット41に組付けられた状態での、ガイド部材49のブレークアウエイブラケット41に対する左右方向でのガタを抑えることが可能である。
上記した第5実施形態においては、左右一対の係止爪49i1,49i2を、左右一対の上方保持片49b1,49b2から前方に突出するように形成して実施したが、図26および図27に示した第5実施形態の第1変形実施形態のように、左右一対の上方保持片49b1,49b2とは別に形成して実施することも可能である。なお、この変形実施形態においては、左右一対の係止爪49i1,49i2が、図27の矢印で示したように、各凸部49j1,49j2に向けて下方に曲がり得る。
また、上記した第5実施形態においては、左右一対の係止爪49i1,49i2がU字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に形成した左右一対の切欠71d1,71d2に係合することにより、U字状エネルギー吸収プレート71の前方への抜けが防止されるようにしたが、図28および図29に示した第5実施形態の第2変形実施形態または図30に示した第5実施形態の第3変形実施形態のように構成して、U字状エネルギー吸収プレート71の前方への抜けが防止されるようにすることも可能である。
図28および図29に示した第5実施形態の第2変形実施形態では、左右一対の係止爪49i1,49i2に変えて、左右一対の係止突起49k1,49k2が採用されている。左右一対の係止突起49k1,49k2は、左右一対の上方保持片49b1,49b2の傾斜面S1,S2に一体的に形成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71がガイド部材49に前方から挿入されて組付けられることにより、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に形成した左右一対の切欠71d1,71d2に嵌合して、U字状エネルギー吸収プレート71の前方への抜けを防止する。
図30に示した第5実施形態の第3変形実施形態では、左右一対の係止爪49i1,49i2に変えて、左右一対の係止突起49m1,49m2が採用されている。左右一対の係止突起49m1,49m2は、左右一対の上方突起49a1,49a2の対向面に一体的に形成されていて、U字状エネルギー吸収プレート71がガイド部材49に前方から挿入されて組付けられることにより、U字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に形成した左右一対の切欠71d1,71d2に嵌合して、U字状エネルギー吸収プレート71の前方への抜けを防止する。
上記各実施形態においては、車体側ブラケット31に設けた係止凹部31aとU字状エネルギー吸収プレート71の上側プレート部71a2に連続して形成されるT字状係合部71b間に車両前後方向の空走空間(L2)が設定されている実施形態に本発明の位置決め保持手段を実施したが、本発明の位置決め保持手段は、ブレークアウエイブラケットを車体の一部に対して組付ける際に、エネルギー吸収プレートの係合部を車体の係止部に係合させて仮保持するように構成した実施形態においても同様に実施することが可能である。この場合には、エネルギー吸収プレートの上側プレート部が本発明の位置決め保持手段にてブレークアウエイブラケットに対して位置決め保持されているため、エネルギー吸収プレートにおける上側プレートのブレークアウエイブラケットに対する位置ずれが起こり難くて、ブレークアウエイブラケットの車体の一部に対する組付作業(例えば、図5に示したボルト44のナット32への締め付け作業)を容易とすることが可能である。
また、上記各実施形態においては、ステアリングコラム20が車体の一部に対して上方支持機構Aと下方支持機構Bからなる支持機構によって支持される実施形態に本発明を実施したが、本発明はステアリングコラムが車体の一部に対して単一の支持機構によって支持される実施形態にも同様に実施することが可能である。
また、上記各実施形態においては、ステアリングコラム20自体に設けた衝撃エネルギー吸収機構Cにても、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーを吸収可能として実施したが、上記した衝撃エネルギー吸収機構Cと同等の機能を有する他の衝撃エネルギー吸収機構をステアリングコラムと車体間に設けて実施することも可能であり、上記各実施形態に限定されず適宜変更可能である。また、上記各実施形態においては、衝撃エネルギー吸収機構Cを必要に応じて設ければよく、衝撃エネルギー吸収機構Cを設けないで実施することも可能である。
10…ステアリングシャフト、20…ステアリングコラム、31…車体側ブラケット、31a…係止凹部、41…ブレークアウエイブラケット、41c…中央部位(装着部)、41c1…上方のプレート、41c2…下方のプレート、41c3…突出部、49…ガイド部材、49a1,49a2…上方突起、49b1,49b2…上方保持片、S1,S2…上方保持片の傾斜面、49c1,49c2…下方保持片、S3,S4…下方保持片の傾斜面、49d…凹部、49e…係止突起、49f…半円形部(扱き曲率部)、49g…支柱(支持部)、71…U字状エネルギー吸収プレート、71a…U字状固定部、71a1…円弧状の湾曲部分、71a2…上側プレート部、71a3…下側プレート部、71b…T字状係合部、81…コ字状クリップ、81a…湾曲部、81b…係止爪、91…締付バンド