JP2017087108A - 水素ガス精製システムおよび水素ガス精製方法 - Google Patents

水素ガス精製システムおよび水素ガス精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素ガスの収率が高い水素ガス精製システムを提供する。【解決手段】改質装置2と、温度スイング吸着装置3とを有し、温度スイング吸着装置3は、一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔4A,4Bと、改質装置2から供給される一酸化炭素を含む水素ガスを吸着塔4A,4Bの一端側に供給する改質ガス導入経路L1と、吸着塔4A,4Bの他端側から精製された水素ガスを取り出す製品ガス導出経路L2と、製品ガス導出経路L2から分岐され精製された水素ガスの一部を再生ガスとして吸着塔4A,4Bの他端側に供給する再生ガス供給経路L3と、再生ガス供給経路L3に設けられ再生ガスを加熱する加熱手段5と、吸着剤から脱離した一酸化炭素を含む再生ガスを改質手段2に供給する再生ガス回収経路L4とを備えることを特徴とする水素ガス精製システム1を選択する。【選択図】図1

Description

本発明は、水素ガス精製システムおよび水素ガス精製方法に関する。
燃料電池の燃料として使用される水素ガスは、原料として天然ガスなどの化石燃料(炭化水素含有燃料)を改質して製造する。具体的には、改質装置を用いて、都市ガスの主成分であるメタンガスを水蒸気改質させて水素ガスを製造する。その際、水蒸気改質により一酸化炭素が副生成物として生成されるため、一酸化炭素を変成反応により二酸化炭素に変換してから排気する。しかしながら、この製造方法では、製造後の水素ガス中に、変換しきれなかった微量の一酸化炭素が含まれる。
ここで、水素ガスを燃料電池に適用する場合、水素ガス中の一酸化炭素の濃度は、10ppm未満であることが要求されている。また、水素ガスを水素自動車に適用する場合、水素ガス中の一酸化炭素の濃度は、例えば、ISO規格では、0.2ppm未満であることが要求されている。そのため、改質後の水素ガスから一酸化炭素を除去する必要がある。
水素ガスから一酸化炭素を除去する方法としては、一酸化炭素を吸着剤に吸着させることにより除去する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、吸着剤として、モレキュラーシーブやアルミナを用いて、圧力スイング吸着(PSA;Pressure Swing Adsorption)法により、水素ガス中の一酸化炭素を除去する方法が開示されている。
特開2002−177726号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、減圧下において水素ガスを流すことで吸着剤に吸着した一酸化炭素ガスを脱離し、外部に一酸化炭素ガスとともに水素ガスを排気する必要がある。そのため、水素ガスの一部を外部に排気することにより、水素ガスの収率が低下するといった問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水素ガスの収率が高い水素ガス精製システムおよび水素ガス精製方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
温度スイング吸着法により、水素ガス中から一酸化炭素を除去して水素ガスを精製する水素ガス精製システムであって、
炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する改質装置と、当該改質装置により改質されなかった一酸化炭素を除去するための温度スイング吸着装置と、を有し、
当該温度スイング吸着装置は、
一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔と、
前記改質装置から供給される一酸化炭素を含む水素ガスを、前記吸着塔の一端側に供給する改質ガス導入経路と、
前記吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す製品ガス導出経路と、
前記製品ガス導出経路から分岐され、精製された水素ガスの一部を再生ガスとして前記吸着塔の他端側に供給する再生ガス供給経路と、
前記再生ガス供給経路に設けられ、前記再生ガスを加熱する加熱手段と、
前記吸着剤から脱離した一酸化炭素を含む前記再生ガスを前記改質装置に供給する再生ガス回収経路と、を備えることを特徴とする水素ガス精製システムである。
また、請求項2に係る発明は、
前記吸着剤が、陽イオンとして銀イオンを含むZSM5型ゼオライト(Ag−ZSM5)であって、
温度が25℃、圧力が10Paにおける一酸化炭素の平衡吸着量が150mmol/kg以上であることを特徴とする請求項1に記載の水素ガス精製システムである。
また、請求項3に係る発明は、
温度スイング吸着法により、水素ガス中から一酸化炭素を除去して水素ガスを精製する方法であって、
一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔の一端側から、改質装置から供給された一酸化炭素を含む水素ガスを供給し、前記吸着剤に一酸化炭素を吸着させて除去した後、前記吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す、精製工程と、
精製された水素ガスの一部を再生ガスとして前記吸着塔の他端側から供給し、前記吸着剤を100〜400℃に加熱して当該吸着剤から一酸化炭素を脱離させた後、前記吸着塔の一端側から一酸化炭素を含む前記再生ガスを取り出す、再生工程と、
前記再生工程により取り出した再生ガスを前記改質装置に供給し、当該改質装置において改質されたガスを前記吸着塔の一端側に供給する、循環工程と、を含むことを特徴とする水素ガス精製方法である。
また、請求項4に係る発明は、
前記吸着剤が、陽イオンとして銀イオンを含むZSM5型ゼオライト(Ag−ZSM5ゼオライト)であって、
温度が25℃、圧力が10Paにおける一酸化炭素の平衡吸着量が150mmol/kg以上であることを特徴とする請求項3に記載の水素ガス精製方法である。
本発明の水素ガス精製システムは、炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する改質装置と、改質装置により改質されなかった一酸化炭素を除去するための温度スイング吸着装置とを有し、温度スイング吸着装置は、一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔と、改質装置から供給される一酸化炭素を含む水素ガスを吸着塔の一端側に供給する改質ガス導入経路と、吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す製品ガス導出経路と、製品ガス導出経路から分岐され精製された水素ガスの一部を再生ガスとして吸着塔の他端側に供給する再生ガス供給経路と、再生ガス供給経路に設けられ再生ガスを加熱する加熱手段と、吸着剤から脱離した一酸化炭素を含む再生ガスを改質装置に供給する再生ガス回収経路とを備える構成となっている。
そのため、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合することができ、水素ガスの収率が向上する。
また、本発明の水素ガス精製方法は、一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔の一端側から、改質装置から供給された一酸化炭素を含む水素ガスを供給し、吸着剤に一酸化炭素を吸着させて除去した後、吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す精製工程と、精製された水素ガスの一部を再生ガスとして吸着塔の他端側から供給し、吸着剤を100〜400℃に加熱して吸着剤から一酸化炭素を脱離させた後、吸着塔の一端側から一酸化炭素を含む再生ガスを取り出す再生工程と、再生工程により取り出した再生ガスを改質装置に供給し、改質装置において改質されたガスを吸着塔の一端側に供給する循環工程と、を含む構成となっている。
そのため、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合することができ、水素ガスの収率が向上する。
本発明を適用した一実施形態である水素ガス精製システムの構成を示す系統図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である水素ガス精製システム、およびこのシステムを用いた水素ガス精製方法について、これに用いられる吸着剤およびこの製造方法と併せて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<水素ガス精製システム>
先ず、本実施形態の水素ガス精製システム1について説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態である水素ガス精製システム1の構成を示す系統図である。図1に示すように、本実施形態の水素ガス精製システム1は、改質装置2と、温度スイング吸着装置3と、を有して概略構成されている。また、温度スイング吸着装置3は、2機の吸着塔4A,4Bと、改質ガス導入経路L1と、製品ガス導出経路L2と、再生ガス供給経路L3と、加熱手段5と、再生ガス回収経路L4と、を備えて概略構成されている。本実施形態の水素ガス精製システム1は、温度スイング吸着(TSA;Thermal Swing Adsorption)法により、水素ガス中の一酸化炭素を除去して水素ガスを精製するためのシステムである。
改質装置2は、外部から都市ガス、天然ガスなどの炭化水素含有燃料と、水蒸気が供給されている。また、改質装置2は、再生ガス回収経路L4と接続されており、再生ガス回収経路L4から、吸着塔4A,4Bの一端側から取り出した再生ガス(後述)が供給されている。
改質装置2により、改質装置2に供給された炭化水素含有燃料を水素ガスに改質し、改質したガス(以下、「改質ガス」と記載することがある)を温度スイング吸着装置3に供給する。改質ガスは、主に水素を含むガスである。
ここで、炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、改質装置2の内部に一酸化炭素(CO)やメタンを水蒸気と反応させるための触媒を充填し、下記式(1),(2)の反応により水素(H)と二酸化炭素(CO)とを生成する方法が挙げられる。また、改質装置2において、生成した二酸化炭素吸着剤を用いて吸着除去した後に、除去後のガスを温度スイング吸着装置3に供給してもよい。
CH + 2HO → 4H + CO ・・・(1)
CO + HO → H + CO ・・・(2)
触媒としては、上記式(1)および(2)の反応させるための触媒であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ニッケル系触媒、鉄−クロム系触媒、銅−亜鉛系触媒などが挙げられる。
温度スイング吸着装置3は、改質ガス導入経路L1を介して改質装置2と接続されており、改質装置2から改質ガスが供給される。改質ガスは改質ガス導入経路L1を介して吸着塔4A,4Bに供給される。
吸着塔4A,4Bは、耐熱性及び耐圧性を備えた筒状の反応容器である。容器の形状については、特に限定されるものではない。
吸着塔4A,4Bの内部には、一酸化炭素を吸着するために吸着剤が充填されている。この吸着剤により、水素ガスに含まれる一酸化炭素を吸着除去することができる。また、この吸着剤は、一酸化炭素を吸着することにより吸着能力が低下するが、加熱することにより一酸化炭素を脱離させ、吸着能力を再生することができる。
吸着剤としては、水素ガスに含まれる一酸化炭素を吸着除去することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、陽イオンとして銀イオンを含むZSM5型ゼオライト(Ag−ZSM5ゼオライト)、Liイオンに交換されたX型ゼオライト(Li−Xゼオライト)などを用いることができる。この中でも、Ag−ZSM5ゼオライトは、水素ガス中の一酸化炭素の吸着能力に優れるため好ましい。
ここで、Ag−ZSM5ゼオライトについて説明すると、Ag−ZSM5ゼオライトの銀イオンの交換率の下限値としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、45%が好ましく、65%がより好ましい。交換率が下限値以上であることにより、一酸化炭素の吸着効率を向上させることができる。
Ag−ZSM5ゼオライトは、一酸化炭素を吸着することにより吸着能力が低下するが、加熱することにより一酸化炭素を脱離させ、吸着能力を再生することができる。吸着剤を再生する際の加熱温度の上限値としては、400℃が好ましく、300℃がより好ましい。加熱温度が上限値以下であることにより、吸着剤に吸着した一酸化炭素を効率よく脱離することができ、再生後の吸着剤の活性が維持される。加熱温度が上限値以上の場合、ヒーターの電力が増加するため好ましくない。また、バルブ等の部材を劣化させる原因にもなる。
また、Ag−ZSM5ゼオライトを再生する際の加熱温度の下限値としては、100℃が好ましく、200℃がより好ましい。加熱温度が下限値以上であることにより、吸着剤に吸着した一酸化炭素を効率よく脱離することができる。加熱温度が下限値以下の場合、吸着剤から一酸化炭素が脱離する速度が遅くなり、当該脱離が十分に行われない。したがって、再生後の吸着剤の吸着能力が著しく低下する。
Ag−ZSM5ゼオライトの吸着量としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、温度が25℃、圧力が10Paにおける一酸化炭素の平衡吸着量が150mmol/kg以上であるのが好ましく、250mmol/kg以上であるのがより好ましい。
なお、吸着量は、定容式のガス吸着量測定装置を用いて、温度を25℃一定にして行っている。
また、上述したAg−ZSM5ゼオライトは、ZSM5型ゼオライトのイオン交換するイオン交換工程を含む製造方法により製造される。
イオン交換工程は、いわゆるZSM5型ゼオライトに含まれる陽イオンを銀イオンに交換する工程である。本実施形態では、上記ZSM5型ゼオライトとして、プロトンを陽イオンとして含むZSM5型ゼオライト(以下、「H−ZSM5ゼオライト」と記載することがある)を用いた例について説明する。
具体的には、先ず、H−ZSM5ゼオライトを硝酸銀水溶液に浸漬した後、暗室、室温下で撹拌する。これにより、H−ZSM5ゼオライトのプロトンが銀イオンに交換される。
次に、これを吸引濾過することにより、銀イオンに交換されたZSM5型ゼオライト(以下、「Ag−ZSM5ゼオライト」と記載することがある)を回収する。プロトンから銀イオンへの交換率(以下、単に「交換率」と記載することがある)を増加させると、一酸化炭素の吸着能力に優れる吸着剤を製造することができる。交換率を増加させる方法は各種あるが、上述の硝酸銀水溶液の濃度、浸漬時間、撹拌時間、浸漬させる際の溶液の温度、吸引濾過の工程を任意に調整することにより、交換率を増加させることができる。
例えば、浸漬時間を長くすることにより、交換率を増加させることができる。
イオン交換工程に用いるH−ZSM5ゼオライトは、シリカと、アルミナと、を含み構成される。シリカとアルミナのモル比(以下、「シリカ/アルミナモル比」と記載することがある)の上限値としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、50が好ましく、20がより好ましい。シリカ/アルミナモル比が上限値以下であることにより、イオン交換サイトであるアルミナの量が増えるため、イオン交換量が増加する。
また、交換率の下限値としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、45%が好ましく、65%がより好ましい。交換率が下限値以上であることにより、一酸化炭素の吸着効率を向上させることができる。なお、交換率はキレート滴定法などにより測定することができる。
ここで、キレート滴定法とは、金属イオンがキレート試薬と反応して、キレート化合物を生成する反応を利用した滴定法であり、Ag−ZSM5ゼオライトに含まれる銀イオンの量を測定することができる。キレート試薬としては、銀イオンの量を測定可能なものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA;Ethylene Diamine Tetra Acid)などが挙げられる。
以上の工程により、本実施形態の水素ガス精製システム1に用いることが可能なAg−ZSM5ゼオライトを製造することができる。
吸着塔4Aおよび吸着塔4Bの一端側には、改質ガス導入経路L1から分岐した改質ガス導入経路L1AおよびL1Bがそれぞれ接続されている。これにより、改質ガス導入経路L1を介して、改質ガスを吸着塔4A,4Bに供給することができる。
また、吸着塔4Aおよび吸着塔4Bの他端側には、製品ガス導出経路L2から分岐した製品ガス導出経路L2AおよびL2Bがそれぞれ接続されている。これにより、吸着塔4A,4Bにおいて一酸化炭素を除去した改質ガス(以下、「製品ガス」と記載することがある)を、製品ガス導出経路L2を介して、吸着塔4A,4Bから外部に供給することができる。
改質ガス導入経路L1A,L1Bには、それぞれ開閉バルブV1A,V1Bが設けられている。また、製品ガス導出経路L2A,L2Bには、それぞれ開閉バルブV2A,V2Bが設けられている。開閉バルブV1A,V1B,V2A,V2Bの開閉状態を操作することにより、吸着塔4Aおよび吸着塔4Bのうち、どちらか一方にのみ改質ガスを供給することができる。例えば、吸着塔4Aにだけ改質ガスを供給する場合は、開閉バルブV1A,V2Aを開状態にし、開閉バルブV1B,V2Bを閉状態にする。
再生ガス供給経路L3は、一端が製品ガス導出経路L2と接続しており、他端が再生ガス供給経路L3Aと再生ガス供給経路L3Bとに分岐している。再生ガス供給経路L3Aは、製品ガス導出経路L2A上であって、吸着塔4Aの他端側と開閉バルブV2Aの間で接続されている。また、再生ガス供給経路L3Bは、製品ガス導出経路L2B上であって、吸着塔4Bの他端側と開閉バルブV2Bの間で接続されている。
再生ガス供給経路L3には製品ガス導出経路L2から製品ガスの一部(以下、「再生ガス」と記載することがある)が供給されており、再生ガス供給経路L3を介して、再生ガスを吸着塔4Aおよび吸着塔4Bに供給することができる。
再生ガス供給経路L3Aおよび再生ガス供給経路L3Bには、それぞれ開閉バルブV3Aおよび開閉バルブV3Bが設けられている。開閉バルブV3A,V3Bの開閉状態を操作することにより、吸着塔4Aおよび吸着塔4Bのうち、どちらか一方にのみ再生ガスを供給することができる。例えば、吸着塔2Bにだけ再生ガスを供給する場合は、開閉バルブV3Bを開状態にし、開閉バルブV3Aを閉状態にする。
加熱手段5は、再生ガス供給経路L3上に設けられている。加熱手段5は、一次側から再生ガスが供給されており、供給された再生ガスを加熱し、加熱された再生ガスを二次側に供給する。したがって、再生ガス供給経路L3から吸着塔4A,4Bに供給される再生ガスの温度は高い。
吸着塔4Aまたは吸着塔4Bに高温の再生ガスを供給することにより、吸着塔4A,4B内の吸着剤が加熱され、吸着剤から一酸化炭素が脱離する。脱離した一酸化炭素は再生ガスと混ざる。
改質ガス導入経路L1A上であって、吸着塔4Aの一端側と開閉バルブV1Aの間には、再生ガス回収経路L4Aが接続されている。また、改質ガス導入経路L1B上であって、吸着塔4Bの一端側と開閉バルブV1Bの間には、再生ガス回収経路L4Bが接続されている。
再生ガス回収経路L4Aおよび再生ガス回収経路L4Bは途中で接続され、再生ガス回収経路L4となる。再生ガス回収経路L4の他端は、改質装置2に接続されている。再生ガス回収経路L4により、吸着塔4Aおよび吸着塔4Bから取り出した一酸化炭素を含む再生ガスを、改質装置2に供給することができる。
再生ガス回収経路L4Aおよび再生ガス回収経路L4Bには、それぞれ開閉バルブV4Aおよび開閉バルブV4Bが設けられている。開閉バルブV4A,V4Bの開閉状態を操作することにより、吸着塔4A,4Bから取り出した再生ガスを改質装置2に供給することができる。例えば、吸着塔4Bから取り出した再生ガスを改質装置2に供給する場合は、開閉バルブV4Bを開状態にし、開閉バルブV4Aを閉状態にする。
さらに、上述した開閉バルブV1A,V1B,V2A,V2B,V3A,V3B,V4A,V4Bの開閉状態を操作することにより、一方の吸着塔で水素ガス中の一酸化炭素の除去する処理(精製処理)を行うと同時に、他方の吸着塔から吸着剤に吸着した一酸化炭素を再生ガス回収経路L4へ供給する処理(再生処理)を行うことができる。例えば、吸着塔4Aで精製処理を行い、吸着塔4Bで再生処理を行う場合は、開閉バルブV1A,V2A,V3B,V4Bを開状態にし、開閉バルブV1B,V2B,V3A,V4Aを閉状態にする。
<水素ガスの精製方法>
次に、上述した水素ガス精製システム1を用いた本実施形態の水素ガス精製方法について説明する。本実施形態の水素ガス精製方法は、吸着塔4Aおよび吸着塔4Bを並列に接続し、一方の吸着塔において改質ガスを精製する精製処理を行い、他方の吸着塔において吸着剤を再生する再生処理を行う。上記精製処理と再生処理を吸着塔4Aおよび吸着塔4Bの間で交互に切り替えることにより、全体として水素ガスを連続精製することができる。
さらに、本実施形態では、再生処理により生成した再生ガス中の一酸化炭素を、改質装置2において改質することで、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合する循環処理を行う。本実施形態では、吸着塔4Aにおいて精製処理を行い、吸着塔4Bで再生処理を行う方法を例として説明する。
(精製処理)
先ず、開閉バルブV1A,V2A,V3B,V4Bを開状態にし、開閉バルブV1B,V2B,V3A,V4Aを閉状態にする。これにより、改質ガス導入経路L1から供給された改質ガスを、改質ガス導入経路L1Aを介して吸着塔4Aに供給する。その後、吸着塔4A内の吸着剤により改質ガスから一酸化炭素を吸着除去し、製品ガスを生成する。その後、生成した製品ガスを製品ガス導出経路L2Aおよび製品ガス導出経路L2を介して外部へ供給する。
(再生処理)
一方、製品ガス導出経路L2から製品ガスを外部へ供給している間、再生ガス供給経路L3を介して製品ガスの一部(再生ガス)を加熱手段5に供給する。加熱手段5は、供給された再生ガスを加熱し、再生ガス供給経路L3および再生ガス供給経路L3Bを介して加熱した再生ガスを吸着塔4Bへ供給する。
次に、吸着塔4Bにおいて、加熱した再生ガスが吸着塔4B内の吸着剤を100〜400℃に加熱することにより、吸着剤から一酸化炭素を脱離させ、吸着剤の吸着能力を再生する。脱離した一酸化炭素は再生ガスに混ざる。その後、吸着塔4Bの一端側から一酸化炭素を含む再生ガスが取り出される。
(循環処理)
次に、再生工程により取り出された再生ガスを、再生ガス回収経路L4Bおよび再生ガス回収経路L4を介して改質装置2に供給する。その後、改質装置2において、炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する。改質したガス(改質ガス)は、改質ガス導入経路L1および改質ガス導入経路L1Aを介して、吸着塔4Aに供給される。
以上の処理により、吸着塔4Aにおいて精製処理を行い、吸着塔4Bにおいて再生処理を行うことができる。また、再生ガスを改質装置2に循環させることで、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合することができ、水素ガスの収率が向上する。
次に、開閉バルブV1B,V2B,V3A,V4Aを開状態にし、開閉バルブV1A,V2A,V3B,V4Bを閉状態にする。これにより、吸着塔4Aにおいて再生処理を行い、吸着塔4Bにおいて精製処理を行うことができる。これを交互に切り替えることにより、全体として水素ガスを連続精製することができる。
以上説明したように、本実施形態の水素ガス精製システム1によれば、炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する改質装置2と、改質装置2により改質されなかった一酸化炭素を除去するための温度スイング吸着装置3とを有し、温度スイング吸着装置3は、一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔4A,4Bと、改質装置2から供給される一酸化炭素を含む水素ガスを吸着塔4A,4Bの一端側に供給する改質ガス導入経路L1と、吸着塔4A,4Bの他端側から精製された水素ガスを取り出す製品ガス導出経路L2と、製品ガス導出経路L2から分岐され精製された水素ガスの一部を再生ガスとして吸着塔4A,4Bの他端側に供給する再生ガス供給経路L3と、再生ガス供給経路L3に設けられ再生ガスを加熱する加熱手段5と、吸着剤から脱離した一酸化炭素を含む再生ガスを改質装置2に供給する再生ガス回収経路L4とを備える構成となっている。
そのため、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合することができ、水素ガスの収率が向上する。
また、本実施形態の水素ガス精製方法によれば、一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔4A,4Bの一端側から、改質装置2から供給された一酸化炭素を含む水素ガスを供給し、吸着剤に一酸化炭素を吸着させて除去した後、吸着塔4A,4Bの他端側から精製された水素ガスを取り出す精製工程と、精製された水素ガスの一部を再生ガスとして吸着塔の他端側から供給し、吸着剤を100〜400℃に加熱して吸着剤から一酸化炭素を脱離させた後、吸着塔4A,4Bの一端側から一酸化炭素を含む再生ガスを取り出す再生工程と、再生工程により取り出した再生ガスを改質装置2に供給し、改質装置2において改質されたガスを吸着塔4A,4Bの一端側に供給する循環工程と、を含む構成となっている。
そのため、再生ガス中の水素ガスを炭化水素含有燃料と混合することができ、水素ガスの収率が向上する。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述した水素ガス精製システム1は、加熱手段5により加熱した再生ガスを吸着塔4Aもしくは吸着塔4Bに流通することにより、吸着塔4Aもしくは吸着塔4Bに充填された吸着剤から一酸化炭素を脱離させる例について説明した。しかしながら、この実施形態に限られるものではなく、吸着塔4A,4Bに設けた加熱手段により吸着塔4A,4Bを加熱して吸着剤から一酸化炭素を脱離させてもよい。
<実施例1>
実施例1として、Ag−ZSM5ゼオライトを製造し、一酸化炭素の吸着量を評価した。
先ず、イオン交換工程として、シリカ/アルミナモル比が11.9のH−ZSM5ゼオライトを、0.02mol/Lの硝酸銀水溶液に浸漬させ、暗室、室温下で24時間攪拌した。その後、吸引濾過をしてAg−ZSM5ゼオライトを回収した。同様のイオン交換工程を繰り返し1回実施した後、100℃で乾燥させてAg−ZSM5ゼオライトを調製した。
キレート滴定法により、調製したAg−ZSM5ゼオライトの銀イオンの含有量を求めたところ、交換率は約75%であった。なお、キレート試薬としてエチレンジアミン四酢酸を用いた。
以上の工程により、Ag−ZSM5ゼオライトを調製した。
次に、再生温度の異なるAg−ZSM5ゼオライトについて、25℃における一酸化炭素の平衡吸着量を測定した。具体的には、先ず、上述の調製したAg−ZSM5ゼオライトを、再生を目的として真空下において加熱した。昇温速度は50℃/hとし、加熱温度は50℃、100℃、200℃、300℃、400℃、450℃とし、加熱時間は2時間とした。
表1に、平衡圧が10Paのときの一酸化炭素の吸着量を示す。再生温度が50℃の場合は吸着量が24mmol/kgであるのに対し、再生温度が100〜450℃の場合は吸着量が150mmol/kg以上であり、再生温度が100〜450℃の場合は吸着能力が優れていた。
しかしながら、再生温度が450℃の場合、400℃と比較して吸着量は数%増加するが、ヒーターの電力量や、吸着塔などの使用部材の耐熱を考慮すると好ましくない。そのため、Ag−ZSM5ゼオライトの再生温度は、100〜400℃が好ましいことを確認した。
Figure 2017087108
<実施例2>
実施例2として、Ag−ZSM5ゼオライトを吸着剤とする水素ガス精製システムを用いて水素ガスを精製し、製品ガス中の一酸化炭素の残存量、および水素ガスの収率を評価した。
実施例1と同様にして、イオン交換率が75%のAg−ZSM5ゼオライトを作製した。作製したAg−ZSM5ゼオライトを窒素ガス雰囲気下において300℃で加熱し、再生した。
次に、図1に示す水素ガス精製システム1を構築し、吸着塔4A,4Bに充填する吸着剤として上記Ag−ZSM5ゼオライトを用いた。空間速度2780h−1の条件で、一酸化炭素を10ppm含む水素ガス(改質ガス)を通気した。加熱手段5は300℃に設定した。
常温の改質ガスを通気させ、一方の吸着塔により一酸化炭素を除去する精製処理と、この精製処理の一部のガスを脱離用ガスとして、この脱離用ガスを加熱手段5で加熱した後、他方の吸着塔に通気させる再生処理とを行った。精製処理と再生処理とを交互に繰り返すTSA法によって、連続的に改質ガス中の一酸化炭素を除去した。
また、循環処理として、改質装置2に、再生処理により他方の吸着塔から取り出した一酸化炭素を含む再生ガスを1L/min通気し、水蒸気を0.01L/min通気した。改質装置2に供給することで一酸化炭素と水蒸気とを反応させ、水素と二酸化炭素とを生成した。その後、改質装置2で生成したガスを改質ガスとして、一方の吸着塔に供給した。
以上の操作により、水素ガスから一酸化炭素を除去した。一酸化炭素を除去した後の改質ガス(製品ガス)に含まれる一酸化炭素の濃度を、ガス分析装置(トレースアナリティカル社製、RGA5)を用いて測定したところ、10ppb未満であった。水素ガスの収率は97%であった。
一方、比較例として、上述した循環処理を行わなかったこと以外は同様にして、水素ガスから一酸化炭素を除去した。一酸化炭素を除去した後の改質ガス(製品ガス)に含まれる一酸化炭素の濃度を同様に測定したところ、10ppb未満であった。水素ガスの収率は88%であった。
以上の結果より、循環処理を行うことで、水素ガスの収率が向上することを確認することができた。
本発明の水素ガス精製システムおよび水素ガス精製方法を用いることで、水素ガスに含まれる微量の一酸化炭素を除去することができ、燃料電池や水素自動車で求められる一酸化炭素を含まない水素ガスを製造することができる。
1…水素ガス精製システム
2…改質装置
3…温度スイング吸着装置
4A,4B…吸着塔
5…加熱手段
L1,L1A,L1B…改質ガス導入経路
L2,L2A,L2B…製品ガス導出経路
L3,L3A,L3B…再生ガス供給経路
L4,L4A,L4B…再生ガス回収経路
V1A,V1B,V2A,V2B,V3A,V3B,V4A,V4B…開閉バルブ

Claims (4)

  1. 温度スイング吸着法により、水素ガス中から一酸化炭素を除去して水素ガスを精製する水素ガス精製システムであって、
    炭化水素含有燃料を水素ガスに改質する改質装置と、当該改質装置により改質されなかった一酸化炭素を除去するための温度スイング吸着装置と、を有し、
    当該温度スイング吸着装置は、
    一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔と、
    前記改質装置から供給される一酸化炭素を含む水素ガスを、前記吸着塔の一端側に供給する改質ガス導入経路と、
    前記吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す製品ガス導出経路と、
    前記製品ガス導出経路から分岐され、精製された水素ガスの一部を再生ガスとして前記吸着塔の他端側に供給する再生ガス供給経路と、
    前記再生ガス供給経路に設けられ、前記再生ガスを加熱する加熱手段と、
    前記吸着剤から脱離した一酸化炭素を含む前記再生ガスを前記改質装置に供給する再生ガス回収経路と、を備えることを特徴とする水素ガス精製システム。
  2. 前記吸着剤が、陽イオンとして銀イオンを含むZSM5型ゼオライト(Ag−ZSM5ゼオライト)であって、
    温度が25℃、圧力が10Paにおける一酸化炭素の平衡吸着量が150mmol/kg以上であることを特徴とする請求項1に記載の水素ガス精製システム。
  3. 温度スイング吸着法により、水素ガス中から一酸化炭素を除去して水素ガスを精製する方法であって、
    一酸化炭素を吸着する吸着剤が充填された1以上の吸着塔の一端側から、改質装置から供給された一酸化炭素を含む水素ガスを供給し、前記吸着剤に一酸化炭素を吸着させて除去した後、前記吸着塔の他端側から精製された水素ガスを取り出す、精製工程と、
    精製された水素ガスの一部を再生ガスとして前記吸着塔の他端側から供給し、前記吸着剤を100〜400℃に加熱して当該吸着剤から一酸化炭素を脱離させた後、前記吸着塔の一端側から一酸化炭素を含む前記再生ガスを取り出す、再生工程と、
    前記再生工程により取り出した再生ガスを前記改質装置に供給し、当該改質装置において改質されたガスを前記吸着塔の一端側に供給する、循環工程と、を含むことを特徴とする水素ガス精製方法。
  4. 前記吸着剤が、陽イオンとして銀イオンを含むZSM5型ゼオライト(Ag−ZSM5ゼオライト)であって、
    温度が25℃、圧力が10Paにおける一酸化炭素の平衡吸着量が150mmol/kg以上であることを特徴とする請求項3に記載の水素ガス精製方法。
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