JP2017084882A - 半導体製造装置のガス排気方法 - Google Patents

半導体製造装置のガス排気方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマ処理装置において、ガス供給配管に起因した処理室内の汚染を低減する。
【解決手段】処理室106内にガスを供給するガス配管102の内部にハロゲン系ガスを充填して、ガス配管102の内壁に形成されたクロム不動態皮膜とハロゲン系ガスとの反応により反応化合物を形成する工程と、粗引きポンプ110により、ガス配管102に連通するバイパスライン113を介して、反応化合物をハロゲン系ガスと共に排気する工程とを含む。そして、反応化合物を排気する上記工程では、反応化合物が気化する圧力(例えば1.9kPa以下)で、反応化合物およびハロゲン系ガスを排気する。
【選択図】図4

Description

本発明は、半導体製造装置、特に、プラズマ処理装置のガス排気方法に関する。
本技術分野の背景技術として、特開昭59−009171号公報(特許文献1)、特開昭61−052374号公報(特許文献2)、特開昭63−126682号公報(特許文献3)および特開昭63−317680号公報(特許文献4)がある。
特開昭59−009171号公報(特許文献1)には、金属円筒体における内周面への断熱・耐磨性被覆層の形成方法が記載されている。
特開昭61−052374号公報(特許文献2)には、金属基体の表面に硬化したCr酸化物と、ZnとNi、Cr、AlおよびSiOの少なくとも1種とからなる金属混合紛体との強固に結合した被覆層の形成方法が記載されている。
特開昭63−126682号公報(特許文献3)には、化学的に緻密化された皮膜厚さ30〜200μmのセラミックが被覆されたプロジェクション溶接用位置決めピンが記載されている。
特開昭63−317680号公報(特許文献4)には、含浸させる無水クロム酸水溶液中に、クロム酸含有量に対しクロム酸アンモンまたは重クロム酸アンモンを重量で10%以下となるように添加するクロム酸化物皮膜の形成方法が記載されている。
特開昭59−009171号公報 特開昭61−052374号公報 特開昭63−126682号公報 特開昭63−317680号公報
プラズマ処理装置に備わるガス供給配管では、ガス供給配管の基材(例えばステンレス鋼)とガスとの反応を防止するため、基材の表面に硬質皮膜が形成されている。しかし、硬質皮膜を構成する物質が気化、遊離して、プラズマ処理装置に備わる真空容器の内部に配置された処理室内に流入し、処理室内を汚染するまたは半導体ウェハの上面に付着するという問題が生じていた。
上記課題を解決するために、本発明によるプラズマ処理装置のガス排気方法は、処理室内にガスを供給するガス供給配管の内部にハロゲン系ガスを充填して、ガス供給配管の内壁に形成されたクロム不動態皮膜とハロゲン系ガスとの反応により反応化合物を形成する工程と、ガス供給配管に連通する排気配管を介して、反応化合物をハロゲン系ガスと共に排気ポンプによって排気する工程とを含む。そして、反応化合物を排気する上記工程では、反応化合物が気化する第1圧力で、反応化合物およびハロゲン系ガスを排気する。
本発明によれば、プラズマ処理装置において、ガス供給配管に起因した処理室内の汚染を低減することができる。また、これにより、プラズマ処理装置の稼働停止時間を短縮することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例によるマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。 実施例による反応化合物の物性を説明するための、塩化クロミル(CrCl)の蒸気圧と温度との関係を示すグラフ図である。 実施例によるマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブの操作の流れを示すフローチャート図である。 実施例によるマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業におけるガス充填経路を示す概略図である。 (a)は、サイクルパージ実施前のガス配管の内壁に形成された硬質皮膜の表面状態を示す模式図である。(b)は、サイクルパージ実施後のガス配管の内壁に形成された硬質皮膜の表面状態を示す模式図である。
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(課題の詳細な説明)
まず、本発明の実施の形態によるプラズマ処理装置のガス排気方法がより明確となると思われるため、これまで本発明者らによって検討されたプラズマ処理装置のガス供給配管に起因した汚染について説明する。
半導体デバイスの製造には、プラズマを用いたプラズマ処理装置が広く用いられている。例えばエッチング装置では、まず、真空容器の内部に配置された処理室の室内に備わる台上に半導体ウェハを保持する。続いて、処理室内に半導体ウェハの上面に予め形成された、半導体回路を構成するための薄膜の加工に適した処理用ガスを供給しながら、処理室内に電界または磁界を供給する。これにより、処理用ガスの粒子が励起されてプラズマが形成され、上記薄膜はその上部に配置されたマスクパターンに沿って処理される。
このような半導体ウェハの上面に予め形成された薄膜の処理を行う工程では、処理用ガスに、半導体回路を形成する珪素(Si)化合物またはアルミニウム(Al)合金などに対して反応性の高い物質、例えばハロゲン系ガスが用いられることが多い。このようなガスを処理室内に供給するガス供給配管では、ガスと接する部材に耐腐食性能に優れた材料が用いられる。例えば塩素(Cl)ガスまたはこの化合物を組成の元素として含むガスを供給するガス供給配管では、その内壁にステンレス鋼(SUS316L)が一般に用いられている。
しかし、ステンレス鋼を構成する鉄(Fe)、クロム(Cr)またはニッケル(Ni)の元素は、供給されたガスと相互反応を生起する。このため、反応化合物が処理用ガスの流れに乗って処理室内へ流れ込み、半導体ウェハの上面に付着したり、ガスとしてその上面の周囲に残留したりして、半導体ウェハの上面、半導体ウェハが搬送される部材または搬送用ロボットの表面などが汚染されるという問題が生じていた。
そこで、このような問題に対して、従来のプラズマ処理装置では、ガスが接する部材の表面に硬質皮膜を形成したガス供給配管が用いられている。例えばステンレス鋼の表面にクロム酸化物、すなわちクロム(VI)酸化物(CrO)を化学変化させたクロム(III)酸化物(Cr)の微細な粒子からなるクロム不動態皮膜を形成したガス供給配管が用いられている。このような技術は、例えば前記特許文献1、2、3および4などに記載されている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、ガスが接する部材の表面にクロム不動態皮膜などの硬質皮膜を形成したガス供給配管では、次の点について、考慮が不十分であることが明らかとなった。
すなわち、硬質皮膜は、プラズマ処理装置が運転される際に様々に変化する動作条件の全てに対して十分な耐腐食性能および不動性を有していなかった。一般に、半導体ウェハに対する処理条件、例えば温度および圧力は、半導体ウェハの上面に形成された処理対象である薄膜の材質および構造に応じて変えられるものである。そのため、半導体ウェハに対する一部の処理条件においては、硬質皮膜を構成する物質が気化、遊離して、処理室内に流入し、処理室内を汚染するまたは半導体ウェハの上面に付着するという問題が生じていた。
また、本発明者らの検討によれば、ガス供給配管の内壁に形成された硬質皮膜は、主に新規部材の場合、その表面が粗雑であるため、処理用ガスとして三塩化ホウ素(BCl)または塩素(Cl)などのハロゲン系ガスを用いた場合、汚染量の増大が顕著となることが明らかとなった。このため、ガス供給配管の内壁に形成された硬質皮膜を平滑化することによって汚染量の低下を図る必要がある。しかし、ガス供給配管の内壁に形成された硬質皮膜の平滑化、さらに、真空容器の内部の汚染による処理室内の清掃および部品の交換には、プラズマ処理装置を長時間稼動停止する必要があり、プラズマ処理装置の稼働率の低下の大きな原因となっていた。
本発明の目的は、プラズマ処理装置において、ガス供給配管に起因した処理室内の汚染を低減することである。また、これにより、プラズマ処理装置の稼働停止時間を短縮することである。
本実施例によるプラズマ処理装置のガス排気方法について以下に説明する。
≪処理用ガスの導入機構および排気機構≫
図1は、本実施例による電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance:)方式のマイクロ波プラズマエッチング装置の処理用ガスの導入機構および排気機構を説明する概略図である。
図1に示すように、ガス供給元であるシリンダ101が、ガス配管102に連結されており、処理室106内にガスを供給する経路を備えている。
ガス配管102の経路上には、ガス配管102の内部の流路を開放または遮断するバルブ103およびバルブ105が配置されており、バルブ105は処理室106内での処理の断続に応じてガス配管102の流路を開閉する。
また、ガス配管102の経路上には、バルブ105の上流側で複数のガスの導入経路であるガスライン104を有している。ガスライン104は、ガスライン104−1〜16の16個のガスの経路を含み、各々に異なる元素、または組成(異なる種類)の物質のガスが通流する。ガスライン104−1〜16の複数を流れる互いに異なる種類のガスは合流部において混合された処理用ガスとなってガス配管102の内部を処理室106に向けて通流する。
処理室106に導入された処理用ガスは、真空ポンプ108および粗引きポンプ110の動作によって排気される。排気されるガスの量および速度は、真空ポンプ108の回転数と、回転バルブ107の角度に応じた開口の面積とにより変化する。また、処理室106内の圧力の値および真空度は、処理用ガスの供給の量および速度と、回転バルブ107からの排気の量および速度とのバランスにより調整される。
ガスライン104−1〜16の各々の経路上には、内部を流れるガスの流量および速度を可変に増減する調節器であるマスフローコントローラ104−1b〜16bが配置され、その前後に、ガスライン104−1〜16の各々を開放または遮断するバルブ104−1a〜16aおよびバルブ104−1c〜16cが各々配置されている。さらに、ガスライン104−1〜16の各々は、上流側においてガス供給元であるシリンダ101に連結されている。
また、ガス配管102の経路上のガスライン104−1〜16またはガスライン104が合流する合流部と、バルブ105との間にバイパスライン112が連結されており、バイパスライン112は、粗引きポンプ110の入口と一端部が連結されたバイパスライン113との連結部を備えている。さらに、バイパスライン112の経路上には、内部の流路を開放または遮断するバルブ111を備えている。ガスライン104−1〜16の各々は、バイパスライン113に連結されたガスのパージ用の経路であるパージ用ラインを備えており、パージ用ラインの各々の経路上には内部の流路を開放または遮断するバルブ104−1d〜16dを備えている。
粗引きポンプ110は、通常、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプ108の排気口と連結された排気ポンプである。ターボ分子ポンプでは、排気の効率が低く、排気できない相対的に高い圧力の範囲でのガス配管102、ガスライン104または処理室106内の排気を行うことができない。そこで、真空ポンプ108と粗引きポンプ110の入り口とを連結するラインの経路上であって、バイパスライン113が連結する連結部よりも真空ポンプ108側に、内部の流路を開放または遮断するバルブ109を配置する。そして、このバルブ109で流路を遮断することによって、バイパスライン113からガス配管102、ガスライン104または処理室106内を、大気圧から、ターボ分子ポンプが使用できる高い真空度の減圧状態まで効率的に排気することができる(処理室106の粗引きラインは図示せず)。なお、バイパスライン113の経路上に、バイパスライン113の内部の流路を開放または遮断するバルブ114が配置されている。
≪汚染物の特定≫
本実施例では、汚染物の発生要因となるガスを特定するため、ガスライン104−1〜13(104−14〜16のガス種は重複)の各ライン単独に、処理室106内へガスを導入し、ガスライン初期使用時の処理室106内の汚染度確認試験を実施した。試験は、アルゴン(Ar)、三フッ化窒素(NF)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、四塩化珪素(SiCl)、塩素(Cl)、六フッ化硫黄(SF)、三塩化ホウ素(BCl)、四フッ化炭素(CF)、窒素(N)、水素(H)およびトリフルオロメタン(CHF)の計12種類で実施した。その結果、ハロゲン系ガスである塩化珪素(SiCl)、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)および臭化水素(HBr)による処理室106内の汚染が確認された。
表1に、ガスライン初期使用時の汚染度確認試験(サイクルパージ実施前)の結果を示す。
Figure 2017084882
汚染度確認試験の結果、ガスライン初期使用時はハロゲン系ガスである塩化珪素(SiCl)、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)および臭化水素(HBr)での処理室106内の汚染が確認された。特に、三塩化ホウ素(BCl)において32.9(E10 atom/cm)の高い汚染度が確認された。以上の結果から、前記4種類のガスを処理室106内の汚染原因と推定した。なお、汚染原因と推定したガスの処理室106への導入と処理室106からの排気とを継続することにより、汚染度の低下が確認されている。
ところで、本実施例において処理用ガスとして用いられる三塩化ホウ素(BCl)と、処理室106にガスを供給するガス配管102の内壁に形成された硬質皮膜、例えばクロム酸化物(Cr)とは、以下のような化学反応を起こすと推定される。
3Cr(solid)+2BCl(gas) ⇒
3CrCl(liquid)+B(solid) 化学反応式(1)
このような化学反応式(1)から、三塩化ホウ素(BCl)を供給した場合は、ガス配管102の内壁にはクロム酸化物(Cr)の塩化物である塩化クロミル(CrCl)の液体が生成することが分かる。
図2は、化学反応式(1)で示した、クロム酸化物(Cr)の塩化物である塩化クロミル(CrCl)の蒸気圧と温度との関係を示すグラフ図である。縦軸に塩化クロミル(CrCl)の蒸気圧、横軸に系の温度を示す。
図2に示すように、ガス配管102の温度が、常温(20℃)の場合には、ガス配管102の内部の圧力が1.9kPa以下になると、塩化クロミル(CrCl)が気化する。気化した塩化クロミル(CrCl)が、ガス配管102を通り処理室106内に導入されると、処理室106内において塩化クロミル(CrCl)が液化して付着し、その後、クロム(Cr)成分が処理室106内の半導体ウェハの上面に形成された薄膜と相互作用を生起し、化合物が形成されて、半導体ウェハが汚染される虞がある。
さらに、半導体ウェハの上面に堆積された複数の互いに種類の異なる多層膜をエッチングする場合、各膜層を各々互いに異なる条件でエッチング処理する必要がある。そのため、複数のステップを設けて半導体ウェハをエッチング処理する。この際、ステップとステップとの間で、処理室106内およびガス配管102の内部を真空ポンプ108の動作により真空排気して、前ステップで用いた処理用ガスおよび生成物を排気する。この際、処理室106内およびガス配管102の内部の圧力は1.9kPa以下となり、塩化クロミル(CrCl)の液体が気化し、処理室106内が汚染される虞がある。
そこで、このような問題を解決するためには、ガス配管102に起因した汚染物が、処理室106内に導入されないようにすることが必要となる。
≪ガス排気方法および効果≫
次に、本実施例によるプラズマ処理装置のガス排気方法について詳細に説明する。このガス排気方法により、ガス配管102に起因した汚染物の処理室106内への導入を抑制することができる。
図3は、本実施例によるマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業における各バルブ操作の流れを示すフローチャート図である。図4は、本実施例によるマイクロ波プラズマエッチング装置のガス排気方法を説明するための、サイクルパージ作業におけるガス充填経路を示す概略図である。
まず、ガス供給元であるシリンダ101、ガスバルブ103およびガスバルブ104−1aを開けて、マスフローコントローラ104−1bを最大流量にする(ステップ301)。ここで、ガスバルブ104−1cおよび104−1dは閉めている。
次に、シリンダ101およびガスバルブ103を閉めることで、ガス配管102の経路401(図4中、相対的太い線で示す経路)の内部を高圧力のガスで充填する(ステッ302)。
その後、10分以上、充填状態を維持する(ステップ303)。これにより、ガス配管102の経路401の内壁に形成された硬質皮膜(例えばクロム酸化物(Cr))と、ガスとの反応を促進させる。
次に、ガスバルブ109を閉め、ガスバルブ104−1dおよびガスバルブ114を開け、粗引きポンプ110で排気することにより、ガス配管102の経路401の内壁に付着した反応化合物(例えば塩化クロミル(CrCl))を、ガス配管102の経路401の内部に充填したガスと共に排気する(ステップ304)。
排気時のガス配管102の温度は、例えば常温(20℃)、ガス配管102の内部の圧力は、例えば1.9kPa以下とする。なお、排気時のガス配管102の内部の圧力は反応化合物(例えば塩化クロミル(CrCl))が気化、遊離する1.9kPa以下としているが、より低圧であれば効果が期待できる。また、排気時間は反応化合物がほぼ取り除かれたと推定される1分以上とした。
次に、ガスバルブ114およびガスバルブ104−1dを閉め、マスフローコントローラ104−1bを最小流量とし、ガスバルブ104−1aを閉める(ステップ305)。
次に、再度ガスを供給するため、シリンダ101およびガスバルブ103を開ける(ステップ306)。
以上のフローチャートを1サイクルとし、10サイクルを実施した後(ステップ307)、処理室106内の汚染度確認試験を実施した。
表1に、サイクルパージ実施後の汚染度確認試験の結果を示す。
サイクルパージ実施後はハロゲン系ガスである塩化珪素(SiCl)、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)および臭化水素(HBr)の汚染度は、1.0(E10 atom/cm)よりも小さくなり、サイクルパージ実施前(前述したガスライン初期使用時)の汚染度と比較すると、汚染度の低下が見られた。
図5は、本実施例によるプラズマ処理装置に備わるガス配管の内壁に形成された硬質皮膜の模式図を示す。硬質皮膜には、クロム不動態皮膜であるクロム酸化物(Cr)を用いている。
図5(a)は、サイクルパージ実施前のガス配管の内壁に形成された硬質皮膜の表面状態を示しており、粗雑な内壁面501が多く見られ、表1に示した通り、処理室内の汚染度も高い値となった。これに対して、図5(b)は、サイクルパージ実施後のガス配管の内壁に形成された硬質皮膜の表面状態を示しており、平滑な内壁面502が多く見られ、表1に示した通り、処理室内の汚染度も低い値となった。
≪変形例≫
サイクルパージ作業において処理用ガスとして用いられる三塩化ホウ素(BCl)を、図3に示したサイクルパージ作業によりガス配管102の経路401の内部に充填した際のガス配管102の内部の圧力は、シリンダ101のガスの供給圧力である40kMPa以下となる。このような圧力の場合、図2によれば、ガス配管102の温度が87℃であれば、塩化クロミル(CrCl)が気化する。
以上のことから、図3に示したサイクルパージ作業におけるガス配管102のガス充填経路(例えば図4に示す経路401)に温調可能なヒーターを設置することで、ガス充填時の気化、遊離を促進することができ、ガス配管102の内壁の平滑化を加速させることが可能である。なお、ヒーターの温度の制御範囲は常温である20℃以上、かつ90℃以下が効果的であると推定される。
このように、本実施例によれば、ガス配管102の内壁に形成された硬質皮膜から生成される反応化合物を、処理室106内へ導入することなく排気することができるので、処理室106内の汚染を低減することができ、また、半導体ウェハの上面への汚染物の付着を防止することができる。また、ガス配管102の内壁に形成された硬質皮膜を容易に平滑化することができ、また、処理室106内の汚染が低減できることから、処理室106内の掃除および部品の交換などの頻度を低減することができる。これにより、プラズマ処理装置の稼動停止時間を短縮することができるので、プラズマ処理装置の稼働率を上げることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば本実施の形態では、ガス供給配管の基材の表面に形成される硬質皮膜として、クロム不動態皮膜であるクロム酸化物(Cr)を例示したが、これに限定されるものではない。
また、本実施の形態では、プラズマ処理装置、特に、プラズマエッチング装置に適用したガス排気方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置などにも適用することができる。
101 シリンダ
102 ガス配管
103 バルブ
104 ガスライン
104−1〜16 ガスライン
104−1a〜16a バルブ
104−1b〜16b マスフローコントローラ
104−1c〜16c バルブ
104−1d〜16d バルブ
105 バルブ
106 処理室
107 回転バルブ
108 真空ポンプ
109 バルブ
110 粗引きポンプ
111 バルブ
112 バイパスライン
113 バイパスライン
114 バルブ
401 経路
501 ガス配管の内壁面
502 ガス配管の内壁面

Claims (8)

  1. 処理室と、前記処理室内にガスを供給する供給配管と、前記供給配管と連通する排気配管と、前記供給配管の内部および前記処理室内に供給された前記ガスを排気する排気ポンプと、を備えた半導体製造装置のガス排気方法であって、
    (a)前記供給配管の内部に前記ガスを充填して、前記供給配管の内壁に形成された硬質皮膜と前記ガスとの反応により反応化合物を形成する工程、
    (b)前記反応化合物を前記供給配管の内部に充填した前記ガスと共に、前記排気配管を介して前記排気ポンプによって排気する工程、
    を含み、
    前記(b)工程において、前記反応化合物が気化する第1圧力で、前記反応化合物および前記ガスを排気する、半導体製造装置のガス排気方法。
  2. 請求項1記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記ガスは、ハロゲン系ガスである、半導体製造装置のガス排気方法。
  3. 請求項2記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記ハロゲン系ガスは、塩化珪素、塩素、三塩化ホウ素または臭化水素である、半導体製造装置のガス排気方法。
  4. 請求項1記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記硬質皮膜は、クロム酸化物である、半導体製造装置のガス排気方法。
  5. 請求項4記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記反応化合物は、塩化クロミルであり、前記第1圧力は、1.9kPa以下である、半導体製造装置のガス排気方法。
  6. 請求項1記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記供給配管の温度は、20℃以上、かつ90℃以下である、半導体製造装置のガス排気方法。
  7. 請求項1記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記(a)工程において、前記供給配管の内部に前記ガスを充填する時間は、10分以上である、半導体製造装置のガス排気方法。
  8. 請求項1記載の半導体製造装置のガス排気方法において、
    前記(a)工程および前記(b)工程を連続して10回以上繰り返す、半導体製造装置のガス排気方法。
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