JP2017084460A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】単位体積当たりの吸熱量が大きな吸熱層を備えた電池を提供する。【解決手段】無機水和物や無機水酸化物ような硬度が高い材料を用いて、吸熱層中に空隙が発生して緻密度が低くなり、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく低下することを利用した吸熱層を備える電池である。吸熱層が、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含む。好ましくは、無機水和物は60℃以上250℃以下のいずれかの温度で水和水の少なくとも一部を失なうものであり、有機吸熱材料は融点が60℃以上250℃以下のものである。【選択図】図8

Description

本発明は、吸熱層を備えた電池に関する。
電池は短絡等によって急激に発熱する場合がある。この場合、電池の一部に吸熱層を設けることで熱を適切に吸収することができる。電池の吸熱層を構成する材料としては、硫酸カルシウム・ニ水和物等の無機水和物や水酸化アルミニウム等の無機水酸化物が知られている(特許文献1、2)。無機水和物や無機水酸化物は、理論吸熱量が大きく、電池の吸熱層を構成する材料として好適である。
特開2009−266402号公報 特開2010−053196号公報
無機水和物や無機水酸化物は硬度が高い。本発明者らは、このような硬度が高い材料を用いて吸熱層を構成する場合、吸熱層中に空隙が発生して緻密度が低くなり、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく低下することを知見した。
そこで本発明は、単位体積当たりの吸熱量が大きな吸熱層を備えた電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。すなわち、
本発明は、吸熱層を備える電池であって、吸熱層が、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含むことを特徴とする。
本発明において「吸熱層」とは、短絡等によって電池の異常な発熱が生じた場合に、吸熱反応によって当該発熱を吸収する層をいう。
本発明において「吸熱層を備える電池」とは、電池からの発熱を吸熱層によって吸収可能とされていればよく、吸熱層は電池のどこに設けられていてもよい。電池ケースの外壁、電池ケースの内部(電池ケースの内壁の表面のほか、電池ケースの内部に収容された何らかの部材の表面や電池ケースの内部に収容された素電池の表面)等、本発明では吸熱層を電池の様々な箇所に設置可能である。ただし、後述するように、電池ケースの内部に吸熱層を備えることが好ましい。
本発明において「無機水和物」は、電池の異常発熱が生じた場合に、水和水を放出することによって熱を吸収するものである。
本発明において「糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料」は、電池の異常発熱が生じた場合に、融解することによって熱を吸収するものである。
尚、電池の通常時(短絡等によって電池の異常発熱が生じる前、例えば常温時)において、吸熱層は一定の形状を保持した固体の層である。言うまでもないが、「無機水和物」並びに「糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料」のいずれも、電池の通常時、固体として存在する。
本発明において、上記の無機水和物は60℃以上250℃以下のいずれかの温度で水和水の少なくとも一部を失うものであり、上記の有機吸熱材料は融点が60℃以上250℃以下のものであることが好ましい。
本発明において、上記の有機吸熱材料は糖アルコールであり、糖アルコールはマンニトールであることが最も好ましい。
本発明において、無機水和物は硫酸カルシウム・二水和物であることが最も好ましい。
本発明において、吸熱層は、上記の有機吸熱材料と上記の無機水和物との合計を基準(100質量%)として、上記の有機吸熱材料を50質量%以上又は、10mg/cm以上含むことが好ましい。
本発明において、吸熱層はさらにバインダーを含んでいてもよい。
本発明において、電池ケースの内部に上記の吸熱層と少なくとも一つの素電池とを備えることが好ましい。
この場合、素電池が全固体電池であり、吸熱層と素電池とが接触していることが好ましい。
この場合、全固体電池は正極集電体と正極層と固体電解質層と負極層と負極集電体とをこの順に備え、正極集電体の正極層とは反対側の表面、及び、負極集電体の負極層とは反対側の表面、のうちの少なくとも一方の表面に、吸熱層を備えることが好ましい。
本発明において、電池ケースの内部に複数の素電池を備え、複数の素電池の間に吸熱層が介在していることが好ましい。
本発明によれば、単位体積当たりの吸熱量が大きな吸熱層を備えた電池を提供することができる。
電池における吸熱層の設置箇所を説明するための概略図である。簡略化のため端子等は省略している。 素電池における吸熱層の設置箇所を説明するための概略図である。 シャットダウン効果を説明するための概略図である。 電池における吸熱層の設置箇所を説明するための概略図である。簡略化のため一部の部材を省略している。 電池における吸熱層の設置箇所を説明するための概略図である。簡略化のため一部の部材を省略している。 吸熱シートの作製手順を説明するための概略図である。 マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とを含む吸熱シートの緻密度の測定結果を示す図である。 マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とを含む吸熱シートの単位体積当たりの吸熱量の測定結果を示す図である。 比較例1、2及び実施例3に係る吸熱シートのDSC曲線を示す図である。 無機水酸化物を用いた吸熱シートのDSC曲線を示す図である。 釘刺し試験の条件を説明するための図である。 一種の吸熱材料からなる吸熱シートを備えた電池の釘刺し試験結果(電圧の経時変化)を示す図である。マンニトールからなる吸熱シートにより奏されるシャットダウン効果が確認できる。 釘周りを被覆したマンニトールの様子を示す図である。 実施例1〜3に係る吸熱シートを備えた電池の釘刺し試験結果(電圧の経時変化)を示す図である。実施例3に係る吸熱シートにより奏されるシャットダウン効果が確認できる。 キシリトールと硫酸カルシウム・二水和物とを含む吸熱シートの単位体積当たりの吸熱量の測定結果を示す図である。 種々の材料の吸熱温度と理論吸熱量との関係を示す図である。 硫酸リチウム・一水和物とマンニトールとを用いた吸熱シートのDSC曲線を示す図である。
本発明者らは、電池に備えられる吸熱層に関して鋭意研究を進めた結果、以下の様々な知見を得た。
(1)無機水和物、無機水酸化物は理論吸熱量が大きい。しかしながら、これらは硬度が高く、吸熱層とした場合に空隙が発生して緻密度が低くなり、理論吸熱量に比して、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく低下する。
(2)吸熱層に硬度の低い材料を混合した場合、成形時に材料が塑性変形し、吸熱層の緻密度を向上させることができる。
(3)吸熱層に混合する硬度の低い材料としては、糖アルコールや炭化水素が好ましい。これらは、それ自体が吸熱性能を発揮するためである。すなわち、炭化水素や糖アルコールは、硬度が低い材料であるとともに、電池の異常発熱時に融解することで熱を吸収することができる。特に、糖アルコールが好ましい。
(4)無機水和物及び無機水酸化物のうち、無機水酸化物は、糖アルコールと反応して、吸熱量が逆に低下する場合がある。すなわち、吸熱層を構成する吸熱材料の組み合わせについては、「糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種」と「無機水和物」との組み合わせが最も効果が高い。
(5)糖アルコール及び/又は炭化水素と無機水和物とによって吸熱層を構成した場合は、糖アルコール及び/又は炭化水素のみによって吸熱層を構成した場合や、無機水和物のみによって吸熱層を構成した場合と比較して、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく増大する。すなわち、上記の組み合わせによって、相乗効果を発揮する。
(6)吸熱層に含まれる糖アルコール及び/又は炭化水素の割合を増大させることで、例えば、釘刺し試験時に、釘まわりに融解した糖アルコール及び/又は炭化水素を付着させることできる。この場合、釘刺し時に釘に流れる電流量を低減することができ、結果として電池の異常発熱を抑制する効果が得られる(以下、この効果を「シャットダウン効果」という場合がある)。このような効果は、気化によって吸熱する無機水和物や無機水酸化物では得られない。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、吸熱層を備える電池であって、吸熱層は、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含むことを特徴とする。
1.吸熱層
本発明に係る電池は吸熱層に一つの特徴を有する。吸熱層は、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含んでいる。また、成形性を向上させる観点から、吸熱層は、さらにバインダーを含んでいることが好ましい。
1.1.有機吸熱材料
本発明において、吸熱層は、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料を含んでいる。当該有機吸熱材料は、電池の通常時は固体として存在する一方で、電池の異常発熱時は融解することで熱を吸収する。
本発明者らの知見によれば、糖アルコールや炭化水素はいずれも(I)融解により吸熱する材料であり、(II)無機水和物よりも軟らかく成形時に塑性変形が可能であり、(III)無機水和物と反応し難い。そのため、吸熱層に糖アルコール及び炭化水素のいずれを含ませた場合であっても、吸熱層の緻密度を適切に増大させることができるとともに、上記の無機水和物との相乗効果によって吸熱層の単位体積当たりの吸熱量を大きく増大させることができる。好ましくは、糖アルコール及び炭化水素のうち、吸熱温度(融解温度)が高温であり、且つ、単位体積当たりの吸熱量の大きなものを選択する。本発明者らが確認した限りでは、炭化水素よりも糖アルコールが好ましい。
電池の異常発熱時において、より適切に吸熱できる観点から、有機吸熱材料は60℃以上250℃以下に吸熱開始温度及び吸熱ピーク温度を有するものが好ましい。或いは、有機吸熱材料は、示差走査熱量測定(アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分)によって得られるDSC曲線において、60℃以上250℃以下で吸熱反応が完了するものが好ましい。このような炭化水素としてはヘクタン、アントラセンが挙げられる。一方、糖アルコールとしては、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、ガラクチトール等が挙げられる。最も好ましい糖アルコールはマンニトールである。本発明者らが確認した限りでは、マンニトールは90℃以上200℃以下における吸熱量が他の糖アルコールに比べて大きい。また、マンニトールを用いることで、電池の異常発熱時の発熱温度と吸熱層の吸熱温度とを一致させることができる。
1.2.無機水和物
本発明において、吸熱層には無機水和物が含まれている。無機水和物は、電池の通常時は固体として存在する一方で、電池の異常発熱時は水和水を放出することで熱を吸収する。
電池の異常発熱時において、より適切に吸熱できる観点から、無機水和物は60℃以上250℃以下のいずれかの温度で水和水の少なくとも一部を失うものが好ましい。或いは、無機水和物は、示差走査熱量測定(アルゴン雰囲気下、昇温速度10℃/分)によって得られるDSC曲線において、60℃以上250℃以下に吸熱反応が完了するものが好ましい。このような無機水和物の具体例としては、硫酸カルシウム・二水和物、硫酸銅(II)・五水和物、硫酸リチウム・一水和物、塩化マグネシウム・二水和物、硫酸ジルコニウム(IV)・四水和物が挙げられる。最も好ましい無機水和物は硫酸カルシウム・二水和物である。硫酸カルシウム・二水和物は60℃以上250℃以下における吸熱量が大きい。また、硫酸カルシウム・二水和物を用いることで、電池の異常発熱時の発熱温度と吸熱層の吸熱温度とを一致させることができる。
1.3.バインダー
本発明において、吸熱層にはバインダーが含まれていてもよい。バインダーは、上記の有機吸熱材料と無機水和物とを結着する。バインダーは、有機吸熱材料及び無機水和物に対して化学反応を起こさないものであればよい。ブタジエンゴム(BR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の種々のバインダーを用いることができる。
尚、本発明の効果を阻害しない範囲で、吸熱層には、上記の有機吸熱材料、無機水和物及びバインダー以外の成分が含まれていてもよい。
1.4.吸熱層における各成分の含有量
吸熱層は、上記の有機吸熱材料を5質量%以上95質量%以下、無機水和物を5質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。また、吸熱層は、有機吸熱材料と無機水和物とを合計で98質量%以上含むことが好ましい。一方で、吸熱層がバインダーを含む場合、その含有量は2質量%以下であることが好ましい。
一方で、本発明者らは、鋭意研究により、吸熱層において、質量基準で無機水和物よりも上記の有機吸熱材料が多量に含まれている場合に、吸熱層が所定の両立効果を発揮することを見出した。すなわち、吸熱層は、有機吸熱材料と無機水和物との合計を基準(100質量%)として、当該有機吸熱材料を50質量%以上含む、または、吸熱層が有機吸熱材料を10mg/cm以上含むことが最も好ましい。これにより、吸熱層の緻密度が90%以上に増大するとともに、吸熱層がシャットダウン効果を発揮する。
1.5.吸熱層の形状
吸熱層の形状は、電池の形状に応じて適宜決定すればよいが、シート状であることが好ましい。この場合、吸熱層の厚みは5μm以上500μm以下であることが好ましい。下限がより好ましくは0.1μm以上であり、上限がより好ましくは1000μm以下である。吸熱層をシート状とすることで、電池に占める吸熱層の体積比を小さくすることができる。尚、本発明に係る吸熱層は、塑性変形が可能な上記の有機吸熱材料が含まれているため、無機水和物からなる吸熱層よりも、成形性に優れるとともに、柔軟性に優れている。すなわち、吸熱層を薄くしたとしても割れ難い。
吸熱層は緻密度が80%以上であることが好ましい。より好ましくは緻密度が85%以上である。本発明では、吸熱層が上記の有機吸熱材料を含むことで、このような高い緻密度を達成できる。緻密度が高い場合、単位体積当たりの吸熱量を増加させることができる。また、電池からの熱を吸熱層内に素早く伝播させることができるため、電池の異常な発熱に対して、速やかに熱を吸収できるという効果も奏する。尚、吸熱層の「緻密度」は以下のようにして算出する。まず、吸熱層の重量と体積を測定し、密度を算出する。算出した密度を真密度で除することで緻密度を算出できる。
1.6.吸熱層の形成・作製方法
本発明では、上記の有機吸熱材料、無機水和物、及び、任意にバインダーを混合して種々の形状に成形して吸熱層とすることができる。成形は乾式であっても湿式であってもよい。例えば、湿式成形の場合、溶媒に上記の各成分を添加してスラリーとし、当該スラリーを基材上に塗布して乾燥し、任意にプレスすることで、上述したようなシート状の吸熱層を得ることができる。溶媒としては、例えば、ヘプタン、エタノール、N−メチルピロリドン、酢酸ブチル、酪酸ブチルを用いることができる。
2.吸熱層以外の電池構成
本発明に係る電池は、上述の吸熱層を備えていること以外は、従来の電池と同様の構成とすることができる。通常、電池は電池ケースの内部に素電池が少なくとも一つ収容されている。
2.1.電池ケース
電池ケースとしては、素電池を収容可能なものであれば材質や形状は特に限定されるものではない。例えば、金属からなる筐体や、金属箔と樹脂フィルムとが積層されてなるラミネートフィルム等を用いて電池ケースを構成することができる。尚、素電池を内包した電池ケースを複数用意し、これをさらに電池ケースに内包することで電池パックとしてもよい。
2.2.素電池
本発明において、電池ケースの内部に収容される素電池は、全固体電池、電解液電池のいずれであってもよいが、特に全固体電池が好ましい。電解液電池の場合、電解液と吸熱層とが反応する虞があることから、電解液と吸熱層との接触を防止するために、電解液電池と吸熱層との間にセパレート層等を設ける必要がある。一方で、全固体電池の場合はそのような必要はない。後述するように全固体電池と接触するように吸熱層を設けることも可能である。全固体電池そのものについては、従来の全固体電池と同様の構成とすればよい。例えば、全固体電池は正極集電体と正極層と固体電解質層と負極層と負極集電体とをこの順に備えている。
以下、素電池としてリチウム全固体電池を例示して説明するが、本発明において素電池として適用可能な電池は、リチウム電池に限定されない。ナトリウム電池としてもよいし、その他の金属イオン電池としてもよい。また、素電池は一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。ただし、電池の異常発熱は、充放電を繰り返して電池を長期間使用する場合に発生し易い。すなわち、本発明による効果がより顕著となる観点から、一次電池よりも二次電池が好ましい。
2.2.1.正極層及び負極層
正極層及び負極層は、少なくとも活物質を含み、さらに任意に固体電解質、バインダー及び導電助剤を含む。活物質は公知の活物質を用いればよい。公知の活物質のうち、リチウムイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を正極活物質とし、卑な電位を示す物質を後述の負極活物質として、それぞれ用いることができる。例えば、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3、負極活物質としてグラファイトを用いることができる。固体電解質は無機固体電解質が好ましい。有機ポリマー電解質と比較してイオン伝導度が高いためである。また、有機ポリマー電解質と比較して、耐熱性に優れるためである。例えば、LiPO等の酸化物固体電解質やLiS−P等の硫化物固体電解質が挙げられる。特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質が好ましい。バインダーは吸熱層に用いられるバインダーと同様のものを用いることができる。導電助剤としてはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。正極層及び負極層における各成分の含有量や正極層及び負極層の形状等は従来と同様とすればよい。
2.2.2.正極集電体及び負極集電体
後述するように、本発明では、正極集電体や負極集電体の表面(正極層や負極層とは反対側の表面)に、吸熱層を設けることができる。正極集電体及び負極集電体は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。集電体として金属箔を用いた場合、当該集電体の表面に吸熱層を設けたとしても、吸熱層が正極層や負極層と直接接触することがなく、吸熱層と電池材料とが反応することがない。正極集電体及び負極集電体を構成する金属としては、Cu、Ni、Al、Fe、Ti等が挙げられる。
2.2.3.固体電解質層
固体電解質層は、固体電解質と任意にバインダーとを含む。固体電解質は上述した無機固体電解質が好ましい。バインダーは吸熱層に用いられるバインダーと同様のものを用いることができる。
3.吸熱層の設置箇所
本発明に係る電池において、吸熱層の設置箇所は、電池の異常発熱時に熱を適切に吸収できる限り、特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、電池ケース2の内部に素電池3を備えた電池において、吸熱層1は、電池ケース2の外壁に設置されてもよいし(図1(A))、電池ケース2の内部に設置されてもよい(図1(B))。特に、電池ケース2の内部に吸熱層1と少なくとも一つの素電池3とを備える形態が好ましい。発熱源である素電池3の近傍に吸熱層1を備えることで、電池の異常発熱時に、吸熱層1が効率的に熱を吸収することができるためである。
電池ケース2の内部に吸熱層1を設置する場合、素電池3が全固体電池であり、吸熱層1と素電池3とが接触していることが好ましい。特に、図2(A)〜(C)に示すように、正極集電体11と正極層12と固体電解質層13と負極層14と負極集電体15とをこの順に備える全固体の素電池3に対して、正極集電体11の正極層12とは反対側の表面、及び、負極集電体15の負極層14とは反対側の表面、のうちの少なくとも一方の表面に、吸熱層1を備えることが好ましい。これにより、吸熱層1が、電池の異常発熱時により効率的に熱を吸収することができる。また、図3(A)に示すように、素電池3の釘刺し試験時に、釘まわりに融解した有機吸熱材料を付着させることでき、上述の「シャットダウン効果」が得られる。このような効果は上記の有機吸熱材料を含む吸熱層1により奏される特有の効果であり、無機水和物や無機水酸化物からなる吸熱層ではこのような効果は得られない(図3(B))。また、吸熱層1が活物質や固体電解質と接触することがないため、吸熱層1と電池材料とが反応する可能性を排除できる。
尚、電池ケース2の内部には複数の素電池3が備えられていてもよい。この場合、図4に示すように、複数の素電池3の間に吸熱層1が介在していることが好ましい。吸熱層1が、異常発熱を生じた素電池毎に、熱を吸収することができるためである。図4において、素電池3内の正極集電体11と正極層12と固体電解質層13と負極層14と負極集電体15との積層方向は、吸熱層1と素電池3との積層方向と一致していても良いし、交差していてもよい。特に、例えば図5に示すように、素電池3における正極集電体11と正極層12と固体電解質層13と負極層14と負極集電体15との積層方向と、素電池3及び吸熱層1の積層方向とを一致させることが好ましい。この場合、上述の「シャットダウン効果」をより顕著に発揮させることができる。この場合、吸熱層1は、素電池3の正極集電体及び負極集電体のうちの少なくとも一方と接触させることが好ましい。
以上の通り、本発明に係る電池は、吸熱層に糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含ませたことで、吸熱層の緻密度を増大させることができ、有機吸熱材料のみによって吸熱層を構成した場合や、無機水和物のみによって吸熱層を構成した場合と比較して、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量を相乗的に大きく増大させることができる。
1.吸熱シートの作製
図6に示す流れにて正極集電体上に吸熱層を形成した。まず、有機吸熱材料と無機水和物とバインダー(アクリレートブタジエンゴム、ABR)を含む溶媒(ヘプタン)とを準備し(図6(A))、これらを混合し、超音波ホモジナイザーを用いて溶媒中に固形分を分散させてスラリーとした(図6(B))。得られたスラリーをアルミニウム箔上に塗工し(図6(C))、乾燥させ、その後、CIPにより加圧(4t)し(図6(D))、正極集電体上に吸熱層を形成した。吸熱層におけるバインダーの量は1.6質量%であった。
(実施例1〜4、比較例1、2)
有機吸熱材料としてマンニトールを、無機水和物として硫酸カルシウム・二水和物を用い、吸熱層における有機吸熱材料と無機水和物との質量比を変更しつつ、上述の方法にて、実施例1〜4、比較例1、2に係る吸熱シートをそれぞれ得た。実施例1〜4、比較例1、2それぞれについて、有機吸熱材料と無機水和物との合計を基準(100質量%)とした場合における、吸熱シートに含まれる有機吸熱材料と無機水和物との質量比を下記表1に示す。
2.吸熱シートの評価
2.1.緻密度の測定
吸熱シートの質量と厚さ(体積)を測定し、密度を算出した。算出した密度を真密度で除することで吸熱シートの緻密度を算出した。結果を図7に示す。図7に示す通り、吸熱シートにマンニトールを添加することで吸熱シートの緻密度が増大する。特に、硫酸カルシウム・二水和物とマンニトールとの合計を100質量%として、マンニトール添加比率が50質量%以上において、緻密度が約90%以上にまで増大した。
2.2.吸熱量の測定
吸熱シートの吸熱量の測定は、DSC装置(HITACHI社製 DSC7000Xシリーズ)にて実施した。使用したパンは開放系とした。昇温速度は10℃/minとし、アルゴン雰囲気にて、50℃から500℃までの温度領域にて測定した。測定結果を図7に示す。図8に示す通り、マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とによって吸熱シートを構成した場合は、マンニトールのみによって吸熱シートを構成した場合や、硫酸カルシウム・二水和物のみによって吸熱シートを構成した場合と比較して、吸熱シートの単位体積当たりの吸熱量が大きく増大する。すなわち、上記の組み合わせによって、相乗効果を発揮する。
図9に、比較例1、2及び実施例3についてのDSC曲線を示す。図9から明らかなように、マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とを混合した後も、それぞれに由来する吸熱ピークが確認できる。すなわち、マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とは、吸熱シートにおいて互いに化学反応をほとんど起こさないことが分かる。
一方、図10に、参考データとして、マンニトールと無機水酸化物(水酸化コバルト)とから構成される吸熱シートについてのDSC曲線を示す。図10から明らかなように、マンニトールと水酸化コバルトとを混合した場合、水酸化コバルトに由来する吸熱ピークがほぼ消失している。すなわち、マンニトールと水酸化コバルトとは、吸熱シートにおいて互いに化学反応を起こし、吸熱性能が低下(場合によっては喪失)することが分かる。
3.シャットダウン効果の確認
3.1.固体電解質の合成
特開2012−48973号公報に記載された方法にて、硫化物固体電解質である10LiI−90(0.75LiS−0.25P)を合成した。合成した硫化物固体電解質を特開2014−102987号公報に記載の方法にて結晶化及び微粒子化した。
3.2.正極合剤スラリーの作製
LiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業社製、平均粒径(D50)=5μm)にLiNbOをコートして得られる正極活物質52gと、気相法炭素繊維(VGCF)(昭和電工社製)1gと、上記硫化物固体電解質17gと、脱水ヘプタン(関東化学社製)15gとを混合して正極合剤スラリーを得た。LiNi1/3Co1/3Mn1/3へのLiNbOのコートについては、特開2010−73539号公報に記載の方法にしたがった。
3.3.負極合剤スラリーの作製
グラファイト(三菱化学社製)36gと上記硫化物固体電解質25gと脱水ヘプタン(関東化学社製)32gとを混合して負極合剤スラリーを得た。
3.4.素電池の作製
正極集電体としてアルミニウム箔または吸熱層を塗工したアルミニウム箔、負極集電体として銅箔を用意し、それぞれに上述の正極合剤スラリー、負極合剤スラリーを塗工・乾燥し、正極集電体の表面に正極層を有する正極と、負極集電体の表面に負極層を有する負極を得た。正極層と負極層との間に上記の硫化物固体電解質(固体電解質層)を配置し、プレスして一体化して素電池とした。同様の方法にて素電池を複数作製した。
3.5.吸熱層を備えた電池の作製
複数の素電池の間に上述の吸熱シートを介在させるように設置した。このとき、図5に示すように、素電池における正極集電体と正極層と固体電解質層と負極層と負極集電体との積層方向と、素電池及び吸熱シートの積層方向とを一致させた。吸熱シートを介在させた素電池を電池ケース(アルミニウム/樹脂ラミネートパック)内に収容し、吸熱層を備えた電池を得た。
3.6.釘刺し試験
図11に示す条件にて電池の釘刺し試験を行い、釘刺し後の電池電圧の経時変化と最高到達温度とを確認した。
図12に、(i)吸熱層として無機水酸化物(水酸化コバルト)からなる吸熱シートのみを備えた電池、(ii)吸熱層として無機水和物(硫酸カルシウム・二水和物)からなる吸熱シートのみを備えた電池、(iii)吸熱層として有機吸熱材料(マンニトール)からなる吸熱シートのみを備えた電池、のそれぞれについて、釘刺し試験結果を示す。図12から明らかなように、水酸化コバルトからなる吸熱シート或いは硫酸カルシウム・二水和物からなる吸熱シートのみを備えた電池は、釘刺し後、急激に電圧が低下した。釘刺しにより内部短絡が生じたことが分かる。一方、マンニトールからなる吸熱シートを備えた電池は、釘刺し後も電圧が一定時間維持され、その後、徐々に電圧が低下した。釘刺し後の釘の表面状態を観察したところ、図13に示すように、融解したマンニトールが釘の周りを覆っていた。以上の通り、融解により吸熱性能を発揮する有機吸熱材料は、釘刺し試験時に、融解した有機吸熱材料が釘の周りを被覆し、釘に流れる電流を小さくすることができる(シャットダウン効果が得られる)ことが分かる。結果として、電池の異常発熱そのものを抑制できる。
図14に、実施例1〜3に係る吸熱シートを備えた電池について、釘刺し試験結果を示す。図14は釘刺し後の電池電圧の経時変化を示している。図14から明らかなように、吸熱シートが、マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物との合計を基準(100質量%)として、マンニトールを50質量%以上含む場合に、所望のシャットダウン効果が得られることが分かった。或いは、実施例1は吸熱シートにマンニトールを8.4mg/cm含み、実施例2は吸熱シートにマンニトールを9.2mg/cm含み、実施例3は吸熱シートにマンニトールを11.2mg/cm含むものである。この観点で、吸熱シートはマンニトールを10mg/cm以上含む場合に、所望のシャットダウン効果が得られることが分かった。所望のシャットダウン効果によって、発熱量を半分以下にまで抑制できた。
以上の結果から、以下のことが分かった。
第1に、硫酸カルシウム・二水和物は硬度が高く、吸熱層とした場合に空隙が発生して緻密度が低くなり、理論吸熱量(図16参照、1300J/cm程度)に比して、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく低下(700J/cm程度)する。
第2に、吸熱層に硬度の低い材料として、マンニトールを含ませることで、吸熱層の緻密度を増大させることができる。例えば、硫酸カルシウム・二水和物とマンニトールとの合計に対してマンニトールを50質量%以上とすることで、緻密度が約90%以上にまで増大する。
第3に、水酸化コバルトは、マンニトールと化学的に反応してしまうため、これらを組み合わせて吸熱層とした場合、所望の吸熱量が得られない。
第4に、マンニトールと硫酸カルシウム・二水和物とによって吸熱層を構成した場合は、マンニトールのみによって吸熱層を構成した場合や、硫酸カルシウム・二水和物のみによって吸熱層を構成した場合と比較して、吸熱層の単位体積当たりの吸熱量が大きく増大する。すなわち、上記の組み合わせによって、相乗効果を発揮する。
第5に、吸熱層に含まれるマンニトールの割合を増大させることで(例えば、硫酸カルシウム・二水和物とマンニトールとの合計に対して50質量%以上とすることで)、釘刺し試験時に、釘まわりに融解したマンニトールを付着させることできる。この場合、釘刺し時に釘に流れる電流量を低減することができ、結果として電池の異常発熱を抑制する効果が得られる。このような効果は、気化によって吸熱する硫酸カルシウム・二水和物や水酸化コバルトでは得られない。
以上の実験では、有機吸熱材料としてマンニトールを、無機水和物として硫酸カルシウム・二水和物を用いて吸熱シートを構成した場合について例示したが、本発明はこの形態に限定されない。
4.マンニトール以外の有機吸熱材料について
有機吸熱材料としてマンニトールに替えてキシリトールを用い、上述した手順にして吸熱シートを作製し、その吸熱量を測定した。結果を図15に示す。図15から明らかなように、吸熱層にキシリトールと硫酸カルシウム・二水和物を含ませた場合にも、単位体積当たりの吸熱量を相乗的に増大させることができる。すなわち、吸熱層に含ませる有機吸熱材料としては、糖アルコールを好適に用いることができることが分かる。
一方、上記の実験結果から、吸熱層に含ませる有機吸熱材料は、以下の要件を満たしていれば、糖アルコールと同様の効果を発揮できると言える。
(I)融解により吸熱する材料である。
(II)無機水和物よりも軟らかく成形時に塑性変形が可能である。
(III)無機水和物と反応し難い。
これらの要件をすべて満たす材料としては、糖アルコール以外に、炭化水素系の吸熱材料が挙げられる。図16に、糖アルコール、炭化水素、無機水和物、無機水酸化物の理論吸熱量をまとめた。図16に示すように、炭化水素は、吸熱温度が糖アルコールよりも低温側に存在するものの、糖アルコールと同程度の理論吸熱量を有する。また、無機水和物よりも明らかに軟らかく、官能基を有さないことから、化学反応性が低く、無機水和物とほとんど反応しないことが推測される。
尚、図16に示すように、無機水酸化物は理論吸熱量が極めて大きい。しかしながら、上記実験結果から明らかなように、無機水酸化物は糖アルコールと化学反応を起こす虞があり、吸熱層に含ませる材料としては好ましくない。ただし、有機吸熱材料として、糖アルコールよりも反応性の低い炭化水素を用いた場合は、有機吸熱材料と無機水酸化物との化学反応を抑制できる可能性がある。この観点から、本発明に係る吸熱層においては、本発明の効果を阻害しない限り、有機吸熱材料及び無機水和物以外に、無機水酸化物を添加できる場合があると考えられる。
4.2.硫酸カルシウム・二水和物以外の無機水和物について
無機水和物として硫酸カルシウム・二水和物に替えて硫酸リチウム・一水和物を用い、上記と同様にしてDSCにて吸熱測定を行った。図17に示すように、マンニトールと硫酸リチウム・一水和物とを混合した後も、それぞれに由来する吸熱ピークが確認できた。すなわち、マンニトールと硫酸リチウム・一水和物とは、吸熱シートにおいて互いに化学反応をほとんど起こさないことが分かる。このことから、硫酸リチウム・一水和物についても、所望の相乗効果が奏されるものと推測される。
以上の通り、糖アルコール及び/又は炭化水素と無機水和物とを含む吸熱層の優位性が示された。すなわち、「吸熱層を備える電池であって、吸熱層は、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含む、電池」とすることで、単位体積当たりの吸熱量が大きな吸熱層を備えた電池を提供することができる。
本発明に係る電池は例えば車載搭載用の電源として好適に利用できる。
1 吸熱層(吸熱シート)
2 電池ケース
3 素電池
11 正極集電体
12 正極層
13 固体電解質層
14 負極層
15 負極集電体

Claims (9)

  1. 吸熱層を備える電池であって、
    前記吸熱層が、糖アルコール及び炭化水素から選ばれる少なくとも一種の有機吸熱材料と、無機水和物とを含む、
    電池。
  2. 前記無機水和物は60℃以上250℃以下のいずれかの温度で水和水の少なくとも一部を失うものであり、前記有機吸熱材料は融点が60℃以上250℃以下のものである、請求項1に記載の電池。
  3. 前記有機吸熱材料が糖アルコールであり、該糖アルコールはマンニトールである、請求項1又は2に記載の電池。
  4. 前記無機水和物は硫酸カルシウム・二水和物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池。
  5. 前記吸熱層は、前記有機吸熱材料と前記無機水和物との合計を基準(100質量%)として、前記有機吸熱材料を50質量%以上含む、または、前記吸熱層は前記有機吸熱材料を10mg/cm以上含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池。
  6. 電池ケースの内部に前記吸熱層と少なくとも一つの素電池とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池。
  7. 前記素電池が全固体電池であり、前記吸熱層と前記素電池とが接触している、請求項6に記載の電池。
  8. 前記全固体電池は、正極集電体と正極層と固体電解質層と負極層と負極集電体とをこの順に備え、
    前記吸熱層は、前記正極集電体の前記正極層とは反対側の表面、及び、前記負極集電体の前記負極層とは反対側の表面、のうちの少なくとも一方の表面に備えられる、
    請求項7に記載の電池。
  9. 電池ケースの内部に複数の素電池を備え、前記複数の素電池の間に前記吸熱層が介在している、請求項7又は8に記載の電池。
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