JP2019071255A - 電気化学デバイス及び電気化学デバイスパック - Google Patents

電気化学デバイス及び電気化学デバイスパック Download PDF

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Abstract

【課題】異物の混入による内部短絡や過充電によって蓄電部が発熱した場合でも、外部の温度上昇を緩やかにすることができる電気化学デバイスを提供する。【解決手段】蓄電部10と、蓄電部10の少なくとも一部を覆う被覆体20と、被覆体20の少なくとも一部を覆う吸熱部材40と、を含む電気化学デバイス1である。吸熱部材は、セパレータ13のシャットダウン温度より高い温度で、かつ、セパレータの融点より低い温度で吸熱する材料で構成される。【選択図】図3

Description

本発明は、電気化学デバイス及び電気化学デバイスパックに関するものである。
蓄電池(リチウムイオン二次電池)や蓄電器(キャパシタ)などの電気化学デバイスは、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの電子機器や電気自動車の電源として利用されている。特に、大型の電子機器や電気自動車の電源としては、複数個の電気化学デバイスを組み合わせた電気化学デバイスパックとして利用されている。
また、電気化学デバイスは、一般に、電気エネルギーを充放電するための蓄電部と、この蓄電部を覆う被覆体とを有する。電気化学デバイスでは、異物の混入による内部短絡や過充電によって、蓄電部が発熱し、高温になることがある。特に、電気化学デバイスパックでは、1個の電気化学デバイスが高温になると、連鎖的に他の電気化学デバイスも高温となることがある。このため、電気化学デバイスでは、蓄電部にて発生した熱を効率よく外部に放出させることが検討されている。
特許文献1には、蓄電部で発生した熱を外部に放出させるための伝熱部材を備えた電気化学デバイスが開示されている。この特許文献1に開示されている伝熱部材は、被覆体(ラミネート外装材)の内部に収容されており、蓄電部(電極積層体)から電気絶縁されている本体部と、この本体部から延伸してこの被覆体から少なくとも一部が突出している伝熱端子部とをもつ。この特許文献1によると、蓄電部にて発生した熱は、伝熱部材を通じて被覆体の外部へ導出されるので、蓄電部を効率よく放熱できるとされている。
特開2014−203792号公報
上記特許文献1に開示されている伝熱部材を備えた電気化学デバイスでは、蓄電部にて発生した熱を外部に効率よく放熱できる。しかしながら、電気化学デバイスの外部に放熱された熱によって、その電気化学デバイスを電源とする電子機器や自動車の内部の温度が急激に上昇し、電子機器や自動車の誤作動や故障の原因となるおそれがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、異物の混入による内部短絡や過充電によって蓄電部が発熱した場合でも、外部の温度上昇を緩やかにすることができる電気化学デバイス及び電気化学デバイスパックを提供することである。
本発明の発明者は、電気化学デバイスの蓄電部を覆う被覆体の少なくとも一部を吸熱部材で覆って、その吸熱部材に蓄電部にて発生した熱を吸熱させて、電気化学デバイスの外部に放出される熱量を低減させることによって、蓄電部が発熱した場合でも、外部の温度上昇を緩やかにさせることが可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様にかかる電気化学デバイスは、蓄電部と、前記蓄電部の少なくとも一部を覆う被覆体と、前記被覆体の少なくとも一部を覆う吸熱部材と、を含む。
(2)前記電気化学デバイスにおいて、前記蓄電部は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に配置されているセパレータと、を有する充放電可能な蓄電素子を含んでいてもよい。
(3)前記電気化学デバイスにおいて、前記吸熱部材は、前記セパレータのシャットダウン温度より高い温度で、かつ前記セパレータの融点より低い温度で吸熱する材料で構成されていてもよい。
(4)前記電気化学デバイスにおいて、さらに、前記吸熱部材の少なくとも一部を覆う外装体を有していてもよい。
(5)前記電気化学デバイスにおいて、前記吸熱部材は炭酸カリウム水溶液であってもよい。
(6)本発明の一態様にかかる電気化学デバイスパックは、前述の電気化学デバイスを含む。
本発明によれば、異物の混入による内部短絡や過充電によって蓄電部が発熱した場合でも、外部の温度上昇を緩やかにすることができる電気化学デバイス及び電気化学デバイスパックを提供することが可能となる。
第1実施形態にかかる電気化学デバイスの正面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 第2実施形態にかかる電気化学デバイスの正面図である。 図2のV−V線断面図である。 第3実施形態にかかる電気化学デバイスパックの正面図である。
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる電気化学デバイスを、添付した図1〜3を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかる電気化学デバイスの正面図であり、図2は、図1のII−II線断面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図である。
図1〜3に示すように、本実施形態の電気化学デバイス1は、1つの蓄電部10と、蓄電部10の少なくとも一部を覆う被覆体20と、被覆体20の少なくとも一部を覆う吸熱部材40とを含む。本実施形態の電気化学デバイスでは、吸熱部材40の少なくとも一部を覆う外装体50を有している。本実施形態の電気化学デバイスでは、蓄電部10と被覆体20とでリチウムイオン二次電池30を構成しており、被覆体20の内部には、電解液(図示せず)が収容されている。
<蓄電部>
蓄電部10は、正極11と、負極12と、前記正極11と負極12との間に配置されているセパレータ13とを有する充放電可能な蓄電素子とされている。また、蓄電部10は、正極11に接続された正極リード線14と、負極12に接続された負極リード線15を備える。
(正極)
正極11は、正極集電体11Aと、その一面に設けられた正極活物質層11Bとを有する。正極集電体11Aは、導電性を有する材料により構成されていればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層11Bに用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、Mは、Al、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
また正極活物質層11Bは、導電材を有していてもよい。導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層11Bは導電材を含んでいなくてもよい。
また正極活物質層11Bは、バインダーを含む。バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
(負極)
負極12は、負極集電体12Aと、その一面に設けられた負極活物質層12Bとを有する。負極活物質層12Bは、負極活物質とバインダーとを含み、必要に応じて導電材を有する。負極集電体12A、導電材及びバインダーは、正極と同様のものを用いることができる。また、バインダーとしては正極に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層12Bに用いる負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、SiO(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ13は、電気絶縁性で、微細な孔を有する多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、あるいはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
セパレータ13は、例えば、異物の混入による正極11と負極12の短絡や過充電によって、蓄電部10の内部温度が上昇した場合には、熱収縮することによって微細な孔を閉塞(シャットダウン)して、リチウムイオンの透過を遮断するように設計されている。セパレータ13のシャットダウン温度は、90℃以上150℃以下の範囲にあることが好ましい。シャットダウン温度を上記範囲内とすることで、短絡や過充電による蓄電部10内での過度な発熱を未然に防ぐことが可能となる。シャットダウン温度が90℃未満であると、電気化学デバイス1の使用環境の温度によってシャットダウンが起こり、電気化学デバイスが使用できなくなるおそれがある。一方、シャットダウン温度が150℃を超えると、短絡や過充電が進み、蓄電部10内の温度が過剰に高温となるおそれがある。
(電解液)
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度は0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
(リード線)
正極リード線14及び負極リード線15は、それぞれアルミニウム等の導電性材料から形成されている。そして、正極リード線14は正極集電体11Aに、負極リード線15は負極集電体12Aにそれぞれ溶接などの公知の方法によって接続されている。
<被覆体>
被覆体20は、その内部に蓄電部10及び電解液を密封し、リチウムイオン二次電池30を形成するものである。被覆体20は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池30内部への水分や異物の侵入等を抑止できるものであれば特に限定されない。
例えば、被覆体20としては、図3に示すように、金属箔21と、金属箔21の内側と外側の両側をコーティングしている高分子膜22とを備える金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔21としては、例えばアルミニウム箔を利用できる。また、外側の高分子膜22の材料としては、融点の高い高分子、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等が好ましい。内側の高分子膜22の材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
<吸熱部材>
吸熱部材40は、蓄電部10にて発生した熱を、化学反応を伴って、あるいは化学反応を伴わずに吸収する材料で構成されている。吸熱部材40は、蓄電部10のセパレータ13のシャットダウン温度より高い温度で、かつセパレータ13の融点より低い温度で吸熱する材料で構成されている。この場合、吸熱部材40は、蓄電部10のセパレータ13のシャットダウン温度より高い温度となったときに吸熱するので、短絡や過充電などの異常状態によって発生した熱を確実に吸収することができる。また、セパレータ13の融点より低い温度で吸熱するので、セパレータ13が溶融し、消失して、正極11と負極12とが全体的に接触することによって大量の熱が発生する前に、蓄電部10内の熱を吸収することができる。
本実施形態の電気化学デバイス1では、吸熱部材40として、水系消火剤として利用されている炭酸カリウムの水溶液(濃度約40質量%)が用いられている。水系消火剤として用いられる炭酸カリウム水溶液は、水の高い気化潜熱と炭酸カリウムの高い定圧熱容量とにより優れた吸熱剤として作用する。炭酸カリウムは定圧熱容量が高いので、化学変化を伴わずに、蓄電部10内の熱を吸収することができる。
<外装体>
外装体50は、吸熱部材40を外部に漏出させないように密閉状態で収容している。外装体50は、例えば、吸熱部材40に対して化学的に安定な樹脂フィルムで形成されている。外装体50を形成する樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を用いることができる。
本実施形態の電気化学デバイスは、例えば、次のようして製造することができる。
先ず、蓄電部10と電解液とを、金属ラミネートフィルム製の容器に挿入し、その後、金属ラミネートフィルム製の容器を封止して被覆体20を形成する。これによって、リチウムイオン二次電池30が作製される。次いで、被覆体20を樹脂フィルム製の容器に収容し、吸熱部材40を、被覆体20と樹脂フィルム製の容器との間に挿入した後、樹脂フィルム製の容器を封止して、外装体50を形成する。
以上の本実施形態の電気化学デバイス1によれば、リチウムイオン二次電池30の被覆体20は、吸熱部材40で覆われているので、例えば、異物混入による正極11と負極12の短絡や過充電によって、蓄電部10が発熱した場合には、その熱を吸熱部材40が吸収するので、外部に放出される熱量を低減させることができ、これによって、外部の温度上昇を緩やかにすることが可能となる。このため、例えば、電子機器に装着された状態で、リチウムイオン二次電池30の蓄電部10が発熱した場合は、電子機器の内部温度が過剰に上昇する前に、電気化学デバイス1を取り外すことができる。
また、本実施形態の電気化学デバイス1では、吸熱部材40は、セパレータのシャットダウン温度より高い温度で、かつセパレータの融点より低い温度で吸熱する材料で構成されているので、短絡や過充電などの異常状態によって発生した熱を、確実に吸収することができ、また、セパレータ13が溶融し、消失して、正極11と負極12とが全体的に接触することによって大量の熱が発生する前に、蓄電部10内の熱を吸収することができる。
また、本実施形態の電気化学デバイス1では、吸熱部材40を覆う外装体50を有するので、吸熱部材40を漏出させずに、密閉状態で収納することができる。
さらに、本実施形態の電気化学デバイス1では、吸熱部材40として炭酸カリウム水溶液を用いるので、短絡や過充電などの異常状態に発生した熱を効率よく吸収することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態にかかる電気化学デバイスについて、図4〜5を参照して説明する。図4は、第2実施形態にかかる電気化学デバイスの正面図であり、図5は、図4のV−V線断面図である。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4〜5に示すように、本実施形態の電気化学デバイス2は、複数個(8個)のリチウムイオン二次電池30が導電部材63を介して直列に接続している点と、導電部材63に接続していない正極リード線14が正極端子タブ61に接続し、導電部材63に接続していない負極リード線15が負極端子タブ62に接続している点において、第1実施形態の電気化学デバイス1と異なっている。この複数個のリチウムイオン二次電池30が接続している構成は、電気化学デバイスモジュールとも呼ばれる。
正極端子タブ61、負極端子タブ62、導電部材63は、それぞれアルミニウム等の導電性材料から形成されている。そして、正極端子タブ61と正極リード線14、負極端子タブ62と負極リード線15、導電部材63と正極リード線14及び導電部材63と負極リード線15はそれぞれ溶接などの公知の方法によって接続されている。
以上の本実施形態の電気化学デバイス2では、吸熱部材40が複数個のリチウムイオン二次電池30を覆うように配置されている。このため、吸熱部材40のサイズが、第1実施形態の電気化学デバイス1の場合と比較して相対的に大きくなり、吸熱部材40で吸収できる熱量が多くなる。よって、本実施形態の電気化学デバイス2は、複数個のリチウムイオン二次電池30のうちの1個のリチウムイオン二次電池30が発熱した場合には、吸熱部材40によって吸収される熱量が第1実施形態の電気化学デバイス1と比較して相対的に多くなるので、外部の放出される熱量をさらに小さくすることができる。
[第3実施形態]
次に、本実施形態の電気化学デバイスパックについて、図6を参照して説明する。図6は、第3実施形態にかかる電気化学デバイスパックの正面図である。本実施形態にかかる電気化学デバイスパック3では、電気化学デバイスとして、第1実施形態の電気化学デバイス1を1個備えている。このため、第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
電気化学デバイスパック3は、1個の電気化学デバイス1と、保護回路71と、これらを収容する収容ケース72とを有する。収容ケース72は、正極リード線14と保護回路71を介して接続する正極端子73及び負極リード線15と保護回路71を介して接続する負極端子74が備えられている。保護回路71は、例えば、リチウムイオン二次電池30の電圧を計測し、充電時は、電池電圧が規定値を越えたときに充電電流を遮断して過充電を防止し、一方放電時は、電池電圧が規定値未満となったときに放電電流を遮断して過放電を防止する。
以上の本実施形態の電気化学デバイスパック3は、本実施形態の電気化学デバイス1を用いているので、異物の混入による内部短絡や過充電によってリチウムイオン二次電池30の蓄電部10が発熱した場合でも、収容ケース72内の温度上昇が緩やかになる。このため、例えば、電子機器に装着された状態で、リチウムイオン二次電池30の蓄電部10が発熱した場合は、電子機器の内部温度が過剰に上昇する前に、電気化学デバイスパック3を取り外すことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。各実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能であることに加え、各実施形態における変形例を適宜組み合わせてもよい。さらに、これら実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、本実施形態では、蓄電部10と被覆体20とから構成されたリチウムイオン二次電池30を用いているが、この場合に限定されるものではない。例えば、リチウムイオン二次電池30の代わりに、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタを用いてもよい。
また、本実施形態では、吸熱部材40として、炭酸カリウム水溶液を用いているが、この場合に限定されるものではない。吸熱部材40の材料は、熱を吸収する吸熱性材料であれば、特に制限はない。吸熱性材料としては、例えば、気化反応を伴って吸熱するもの、相転移反応を伴って吸熱するものを用いてもよい。気化反応を伴って吸熱する材料の例としては、硫酸ナトリウム・10水和物が挙げられる。相転移反応を伴って吸熱する材料の例としては、バナジウム含有複合酸化物が挙げられる。
また、吸熱部材40は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、さらに吸熱性材料を含むゲルであってもよい。なお、吸熱部材40が固体あるいはゲルである場合には、外装体50で吸熱部材40を覆う必要はない。
また、本実施形態では、吸熱部材40は、正極リード線14及び負極リード線15と接触しないように被覆体20の一部を覆っているが、この場合に限定されるものではない。例えば、正極リード線14及び負極リード線15を絶縁部材で被覆して、両者が短絡しないようにされていれば、吸熱部材40は正極リード線14及び負極リード線15と接触していてもよい。
また、第2実施形態の電気化学デバイス2では、複数個のリチウムイオン二次電池30を直列に接続しているが、この場合に限定されるものではない。リチウムイオン二次電池30は並列に接続してもよい。
さらに、第3実施形態の電気化学デバイスパック3では、電気化学デバイス1を1個備えた構成であるが、この場合に限定されるものではない。電気化学デバイスパック3は、電気化学デバイス1を複数個備えていてもよいし、複数個のリチウムイオン二次電池30を備えた電気化学デバイス2を1個もしくは複数個備えていてもよい。複数個の電気化学デバイスを備える場合、各電気化学デバイスは、直列で接続してもよいし、並列で接続してもよい。
1、2…電気化学デバイス、3…電気化学デバイスパック、10…蓄電部、11…正極、11A…正極集電体、11B…正極活物質層、12…負極、12A…負極集電体、12B…負極活物質層、13…セパレータ、14…正極リード線、15…負極リード線、20…被覆体、21…金属箔、22…高分子膜、30…リチウムイオン二次電池、40…吸熱部材、50…外装体、61…正極端子タブ、62…負極端子タブ、63…導電部材、71…保護回路、72…収容ケース、73…正極端子、74…負極端子

Claims (6)

  1. 蓄電部と、
    前記蓄電部の少なくとも一部を覆う被覆体と、
    前記被覆体の少なくとも一部を覆う吸熱部材と、を含む電気化学デバイス。
  2. 前記蓄電部は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に配置されているセパレータと、を有する充放電可能な蓄電素子を含む請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 前記吸熱部材は、前記セパレータのシャットダウン温度より高い温度で、かつ前記セパレータの融点より低い温度で吸熱する材料で構成されている請求項2に記載の電気化学デバイス。
  4. さらに、前記吸熱部材の少なくとも一部を覆う外装体を有する請求項1から3のうちいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
  5. 前記吸熱部材は炭酸カリウム水溶液であることを特徴とする請求項4に記載の電気化学デバイス。
  6. 請求項1から5のうちいずれか1項に記載の電気化学デバイスを含む、電気化学デバイスパック。
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