JP2017081771A - 炭酸リチウム製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 除去に手間取る固着物を反応装置内に生成させることなく、かつ炭酸リチウム製造の所要時間を短縮させることができるメンテナンス性及び生産効率に優れた炭酸リチウムの製造方法の提供。【解決手段】 その製造方法は水とアンモニアと炭酸ガスとを混合して炭酸アンモニウム水溶液を形成し、次いでそれに塩化リチウム鹹水を混合して炭酸化反応を行い、前記炭酸ガスには、石灰石を加熱分解して製造したものを用い、前記アンモニアには、前記炭酸化反応時に副製した塩化アンモニウムと前記炭酸ガス製造時に副製した生石灰又はそれを水和して得られる消石灰とを反応させることにより得られた再生アンモニアを用い、前記炭酸化反応後に生成した固体を固液分離して回収することを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、特に電子材料、光工業材料の原料として有用な炭酸リチウムの製造方法に関するものである。
より詳しくは、本発明は、塩化リチウムを含有する鹹水から、特にリチウム電池材料として使用可能な純度を持つ高純度の炭酸リチウムを効率的に生産する炭酸リチウム製造方法に関する。さらに具体的にいうと炭酸化反応において炭酸化反応装置を運転停止に至る程の固着物を析出させることなく、かつ製造時間を短縮させることができるメンテナンス性及び生産効率に優れた炭酸リチウム製造方法に関する。
炭酸リチウムの利用は、耐熱ガラス、光学ガラス等の配合剤、セラミック材料、携帯電話やノートパソコンのバッテリーに使用されているリチウム2次電池の原料、電解質の材料、半導体レーザー等に使用されるニオブ酸リチウム単結晶やタンタル酸リチウム単結晶等の原料等で多種・多用であり、そのためそれに求められる性質(特性)も多種・多様で用途により異なる。
例えば、炭酸リチウムが上記の電子材料や光工業材料として用いられる場合は、不純物が多いと電気特性や光特性が低下するため不純物の少ない高純度なものであることが求められている。そのリチウム2次電池の原料としては、純度97%以上好ましくは98%以上、より好ましくは純度99%、さらにより好ましくは99.5%以上のものが求められている。
また、用途によっては異種金属やその他の不純物含有量が数ppmレベル、更には1ppm以下の高純度な炭酸リチウムが求められこともある。
その炭酸リチウムは天然に存在するリチウム資源から製造されており、かかるリチウムが高濃度で大量に存在する資源としては、リチウム鉱床と大陸内塩湖における鹹水とがあるが、現状では大陸内塩湖の鹹水を用いて製造するのが大きな割合を占めている(非特許文献1及び2参照)。
また、その鹹水からの製造については、電気自動車の開発の進展と共に駆動力源としてリチウム電池が脚光を浴びており、それを大量消費する際の供給源として改めてリチウム資源としての鹹水が注目されている(非特許文献1及び2参照)。
その鹹水が得られる塩湖は、中国、アメリカ、チリ、アルゼンチン、ボリビア等の限定された地域であり、偏在している。
特に、チリ(アタカマ塩湖)、アルゼンチン(オンブレムエルト塩湖)、ボリビア(ウユニ塩湖)等のアンデス山脈地域の塩湖におけるリチウム埋蔵量は抜きん出ており(非特許文献1)、実際この地域における鹹水をリチウム原料として大量の炭酸リチウムが製造されている(非特許文献2参照)。
それらアンデス山脈中の塩湖の鹹水中におけるリチウム(Li)濃度は0.05〜0.3wt%程度であり、これを6wt%程度まで天日で濃縮した後に前記した炭酸リチウム等の製造に利用している。その際には塩化リチウムの形態のものが炭酸リチウム等の製造に利用されている。
この鹹水中には、リチウム以外に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等が高濃度で含有されており、高純度の炭酸リチウムを製造するには、これら成分を分離除去する必要があるが、従前の技術においても炭酸化反応前あるいは反応後に分離されている。
その炭酸リチウムについては、前記した通り高純度のものが求められており、時には不純物が1ppm以下のものが求められていることも前記したとおりである。
このような高純度の炭酸リチウムの製造方法としては、例えば、粗製炭酸リチウムと二酸化炭素とを反応させて得られる重炭酸リチウムを含有する水溶液を精密濾過した後、該重炭酸リチウムを含有する水溶液を加熱処理して炭酸リチウムを析出させる方法(特許文献1参照)、粗製炭酸リチウムと二酸化炭素とを反応させて得られる重炭酸リチウムを含有する水溶液をイオン交換モジュールで処理した後、該重炭酸リチウムを含有する水溶液を加熱処理して炭酸リチウムを析出させる方法(特許文献2参照)がある。
かかる炭酸リチウムを製造する際には、通常リチウム資源としての鹹水中の塩化リチウムと炭酸化反応原料としての炭酸ナトリウムとが使用されており、そのため、その製造にはリチウム原料である塩化リチウムの使用量に見合う炭酸ナトリウムが必要となる。
その結果、その製造を行うには、塩化リチウム鹹水が産出する現地である標高3000mを超える高地のアンデス山中に炭酸ナトリウムを搬送するか、逆に炭酸ナトリウム等の反応原料が入手し易い場所に濃縮鹹水を搬送することが必要となり、いずれにしても、それらの輸送コストが炭酸リチウムの製造コストに大きく影響することになる。なお、後者の濃縮鹹水を搬送する場合には、炭酸ナトリウムを搬送する場合よりも遙かに輸送量が多くなり、より一層高コスト化する。
本発明者等は、前記した問題を鋭意検討し、その課題を解決する製造コストを低減した高純度炭酸リチウムの製造方法の開発に成功し、既に特許出願し、特許も取得した(特許文献3参照)。
その製造方法では、炭酸ナトリウムをアンデス山中の塩湖周辺に搬送することなく、可能な限り現地にある資源を利用し、かつ炭酸化工程で副製した物質を再利用することより輸送コストを低減することに成功した。すなわち、その方法は炭酸ガスとアンモニアとを用いてリチウム含有鹹水の炭酸化反応を行うものであり、炭酸ガスは石灰石、アンモニアは副製物をそれぞれ利用することにより、両原料とも塩化リチウム鹹水が産出する現地で調達可能とすることに成功した。
その製造方法を具体的に示すと以下の通りである。すなわち、その製造方法は、塩化リチウムを含む水溶液にアンモニアと、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)とを混合して炭酸化反応を行い、前記炭酸ガスには、炭酸化反応を行う現地において石灰石を加熱分解して製造したものを用い、前記アンモニアには、炭酸リチウム製造時に副製した塩化アンモニウムと、炭酸ガス製造時に副製した生石灰又はそれを水和して得られる消石灰とを反応させることにより製造したものを用い、前記反応後に生成した固体を固液分離して回収することを特徴とするものである。
特開昭62−252315号公報 特表2002−505248号公報 特許第5406822号公報(特開2012−116681号公報) 特許第5406955号公報(特開2013−193940号公報)
地質ニュース第670号 第22−26頁 「リチウム資源」 地質ニュース第670号 第49−52頁 「アタカマ塩湖におけるリチウムの採取と利用」
本発明者等は、この方法を実用化すべく、その後も多方面から鋭意検討を進めることにし、まず塩化リチウムを含む水溶液である塩化リチウム鹹水とアンモニアと二酸化炭素ガス(炭酸ガス)とを混合する炭酸化反応について検討に着手した。
その炭酸化反応は、気体である炭酸ガスと、気体であるアンモニア又は液体であるアンモニア水と、液体である塩化リチウム鹹水とを反応させる気液接触反応であるから、水溶液への炭酸ガスの吸収、リチウムの炭酸化の反応効率を高めるべく、開口にバブルキャップ(泡鐘)を具備したトレイを複数段設置した反応塔を用いて、炭酸リチウムの製造反応を実施した。
その結果、反応塔内壁、トレイ開口、バブルキャップ、ダウンカマー等の反応塔内各所に固着物が析出することが判明し、その固着物が製造目的物の炭酸リチウムの一部であることも判明した。また、その固着量は反応時間と共に増加し、2昼夜ほど反応を継続すると反応塔内のバブルキャップの開口、トレイの開口、ダウンカマーの開口等を炭酸ガスが通過不可能になるほどの量、すなわち炭酸化反応装置が運転停止に至る程の量であることも判明した。さらにその固着物を洗浄除去するには、反応時間と同程度の時間を要し、それでも完璧に除去することは難しいことも判った。そのようなことから、この方法はメンテナンス性、生産効率の点において満足すべきものではなかった。
前記した通りであるから、本願発明は、炭酸化反応装置内にかかる固着物を生成せず、炭酸リチウム製造時のメンテナンス性、生産効率に優れた製造方法を提供することを解決すべき課題とするものであり、本発明者らは、それに関し各方面から鋭意検討を進めた。
本発明者らが開発した前記特許文献3においては、塩化リチウム鹹水とアンモニアと二酸化炭素ガス(炭酸ガス)との混合については、それら3者を同時に混ぜるか、あるいは前記水溶液にまずアンモニアを添加し、次いで炭酸ガスを添加するかの2者が開示されており、後者が好ましいものとされている。
しかしながら、両混合手順のいずれを採用した場合においても、反応装置内において固着物の生成を回避することはできなかった。そのようなことから、この炭酸化反応について更に検討した。その結果、この反応装置においては前記両手順のいずれにおいても、反応装置内には炭酸ガスと塩化リチウム鹹水の両者が導入されており、それらの共存下において、塩化リチウム鹹水が通過する反応装置内の反応塔内壁、トレイ上面、トレイ開口、ダウンカマー等に固着物が形成されていることに気付いた。すなわち、固着物は、炭酸ガスと塩化リチウム鹹水との共存下において塩化リチウム鹹水が接触する反応装置構造物内表面に形成されていることに気付いた。
そこで、炭酸リチウム形成時に炭酸ガスを導入しない反応を採用することにより前記固着物の生成を回避できるのではないかと推測した。すなわち、塩化リチウム鹹水の炭酸化と炭酸ガスの導入(吸収)とを分けることにより前記固着物の生成を回避できるのではないかと推測した。この推測を可能にする反応について鋭意検討を進め、その結果、水とアンモニアと炭酸ガスとを混合して炭酸アンモニウム水溶液を形成し、それと塩化リチウム鹹水とを混合することにより炭酸リチウムを製造することを可能とする製造法に到達した。さらに、この2段階反応により反応装置内に前記固着物が形成されないことも確認できた。
また、本願発明では、炭酸アンモニウムの形成反応すなわちアンモニアの炭酸化反応と、塩化リチウムの炭酸化反応とを2段階反応とせしめ、それにより炭酸リチウムの形成反応を円滑に進行させ、その結果炭酸リチウム製造の所要時間を短縮することができ、生産効率を向上せしめることができることをも見出した。すなわち、本願発明では、特許文献3の場合とは異なり、アンモニアと炭酸ガスとを水中で反応させてまず炭酸アンモニウムを生成させ、それと塩化リチウムとを反応させる2段階反応を採用するものであり、それにより2段の反応を円滑に進行させて、短時間で炭酸リチウムを製造することを狙いとするものである。
本願発明の解決すべき課題は、先において既に記載したが、それを改めて記すと以下の通りである。
すなわち、本願発明の解決すべき課題は、炭酸化反応装置内に除去に手間取り、生産性を低下させる固着物を生成させることなく、かつアンモニアの炭酸化反応と塩化リチウムの炭酸化反応とを分けて炭酸リチウムの形成を円滑に進行させることにより炭酸リチウム製造の所要時間を短縮させることができるメンテナンス性及び生産効率に優れた炭酸リチウムの製造方法を提供することにある。
本願発明の炭酸リチウム製造方法は以下のとおりである。
すなわち、それは水とアンモニアと二酸化炭素ガス(炭酸ガス)とを混合して炭酸アンモニウム水溶液(以下、炭酸アンモニウム溶液と略称することもある)を形成し、次いでそれに塩化リチウム鹹水を混合して炭酸化反応を行い、前記炭酸ガスには、石灰石を加熱分解して製造したものを用い、前記アンモニアには、前記炭酸化反応時に副製した塩化アンモニウムと前記炭酸ガス製造時に副製した生石灰又はそれを水和して得られる消石灰(単に「生石灰等」ということもある)を反応させることにより得られた再生アンモニアを用い、前記炭酸化反応後に生成した固体を固液分離して回収することを特徴とするものである。
そして、その本願発明には大きく分けて2つの態様があり、第1の態様は前記した通りのものであり、この態様においては炭酸アンモニウム水溶液の全量を塩化リチウム鹹水と混合して炭酸化反応を行うことになる。
それに対して第2の態様は、炭酸アンモニウム水溶液の一部(少量)を分割し塩化リチウム鹹水とまず混合して第1次炭酸化反応を行って炭酸リチウムを析出させることなく該鹹水中に共存するマグネシウムイオンのみを炭酸マグネシウムとして析出させて固液分離し、次いで残部(多量)の炭酸アンモニウムを前記固液分離後の残液と混合して第2次炭酸化反応を行い、それにより炭酸リチウムを析出させ固液分離により回収することを特徴とするものである。
本願発明では、特許文献3記載の炭酸リチウム製造方法とは異なり、炭酸リチウム形成時に炭酸ガスを導入しない反応を採用しており、これにより前記製造方法で生じた反応装置への大量の固着物の形成を回避することができる。すなわち、本願発明では、特許文献3記載の炭酸リチウム製造時のように塩化リチウムの炭酸化反応時に炭酸ガスの導入を行っておらず、これにより炭酸化反応時における反応装置への固着物の形成を回避することができる。そのため、本願発明では、特許文献3記載の炭酸リチウムの製造方法のように炭酸化反応装置が運転停止に至るようなことを回避でき、メンテナンス性及び生産効率に優れた炭酸リチウム製造方法を提供することができる。
また、本願発明では、アンモニアの炭酸化反応と塩化リチウムの炭酸化反応とを2段階反応としており、それにより炭酸リチウムの形成反応が円滑に進行し、その結果炭酸リチウム製造の所要時間を短縮することができ、生産効率を向上せしめることができる。
すなわち、本願発明では、特許文献3の場合とは異なり、アンモニアと炭酸ガスとを水中で反応させてまず炭酸アンモニウムを生成させ、それと塩化リチウムとを反応させる2段階反応を採用している。その第1段の炭酸アンモニウム生成反応は塩化リチウム不存在下で行われ、3者を同時に反応させる特許文献3の場合に比し反応が円滑に進行し、かつ高濃度の炭酸アンモニウムを短時間で製造することが可能である。また、後段の塩化リチウムの炭酸化反応は液々反応であり極めて短時間で終了する。
本願発明の第1の態様のフローシートである。 本願発明の第2の態様のフローシートである。 アンモニア回収装置の好ましい態様を図示する。すなわち、アンモニア回収装置は、ストリッピング塔と分解反応槽とを具備し、前記塔上部を充填塔、塔下部を棚段塔とし、前記反応槽にて塩化アンモニウムを石灰乳にて分解し、その残液を前記塔中央部に戻す態様を示す。
本願発明の炭酸リチウム製造方法については、前記した通り2態様があるので、それらについて図1、図2に図示されたフローシートに基づいて具体的に説明する。
図1は、第1の態様のフローシートであり、回収アンモニア(ガス)と炭酸ガスの両ガスは、吸収塔(以下単に炭/安吸収塔という)において水に吸収され、炭酸アンモニウム溶液が形成される。
その炭酸アンモニウム溶液は、炭酸化反応装置において塩化リチウム鹹水(濃縮鹹水)と混合されて下記(1)の反応により炭酸リチウムを生成する。
2LiCl+(NH42CO3 → Li2CO3+2NH4Cl (1)
この生成された炭酸リチウムは析出し固液分離により回収される。それと同時に塩化アンモニウムも生成しており、それは反応残液中に含有されている。
なお、前記炭酸アンモニウム溶液には、アンモニアが水に大量に吸収(水に対する溶解度:水0℃、89.9g/100ml)されることから、水と反応して水酸化アンモニウムとなることなく、そのままの状態、すなわち未反応のアンモニアも含有されており、その結果、副製した塩化アンモニウムを含有する前記炭酸化反応残液(以下単に「反応残液」という)にもアンモニアが残存することになる。
その塩化アンモニウムを含有する前記反応残液からは分解反応によりアンモニアを回収するが、その回収には、分解反応と放散(ストリッピング)処理を行うことができるアンモニア回収装置(以下、単に「回収装置」ということもある)を用いるのがよい。すなわち、その回収装置は、後に詳述し、第3図に図示するようにストリッピング装置(具体的にはストリッピング塔)と分解反応槽とを具備することが好ましい。なお、それと同時にその回収装置においては前記残存するアンモニアも回収することになる。
すなわち、この回収装置では、生成した塩化アンモニウムを後記する炭酸ガス製造時の副産物である生石灰等により分解してアンモニアを形成し、それを前記分解後に残る残液(以下、単に「分解残液」という)から放散させると同時に前記残存するアンモニアも液中から追い出して回収する。これら回収した再生アンモニアは炭酸アンモニウムの製造原料として再利用する。すなわち、回収した再生アンモニアを水に吸収させ、それと同時又はその後炭酸ガスを吸収させることにより炭酸アンモニウムを製造する。
本願発明においては、炭酸リチウムの製造原料となる塩化リチウム鹹水については、リチウムの濃度で2.0wt%〜飽和水溶液であるのがよく、好ましくは4.5wt%〜飽和水溶液、更に好ましくは5.5wt%〜飽和水溶液であるのがよい。かかる高濃度の塩化リチウム鹹水は塩化リチウムを含有する塩湖の鹹水を蒸発池を用いた天日蒸発濃縮することにより製造することができ、それが最も合理的である。このような鹹水が存在する塩湖として、アンデス山脈中に存在するアタカマ塩湖(チリ)、オンブレムエルト塩湖(アルゼンチン)、ウユニ塩湖(ボリビア)等が例示できる。なお、ここにおけるリチウムの濃度とは、いうまでもないことだが、リチウムイオンとしての濃度であって決して塩化リチウムとしての濃度ではない。
これらアンデス山脈中の塩湖の鹹水には、0.05〜0.3wt%のリチウムが含有されており、これを天日で濃縮することによりリチウム濃度で約6wt%の濃縮鹹水が得られるので、高濃度塩化リチウムを製造する鹹水として好ましいものであり、事実これらの鹹水は、前記した通り高純度炭酸リチウム製造原料として、既に利用されている。
高濃度塩化リチウム鹹水を製造する鹹水としては、前記したアンデス山脈中の塩湖の鹹水に限定されるわけではなく、濃縮することにより前記した範囲の高濃度塩化リチウム鹹水が製造できるものであれば特に制限されることなく使用可能である。
これら塩湖の鹹水中には、前記した通り塩化リチウム以外に各種不純物が含まれており、ナトリウム、カリウム等はリチウムより遙かに高濃度で含有されている。これらナトリウム及びカリウムは、濃縮過程で一部結晶化して析出し、リチウムに対する相対濃度は濃縮後は低下する。その塩湖の鹹水中には前記したナトリウム等のアルカリ金属以外にマグネシウム及びホウ素等も含有されている。それらの除去については、従前の方法にしたがって炭酸化反応前に行うことができ、そのことは非特許文献2(第50頁右欄参照)にも記載されている。本願発明の第1の態様はこのように事前にマグネシウムを除去した等のマグネシウム濃度の低い塩化リチウム鹹水に好適に対応できる。なお、マグネシウムの除去については、前記した通り本願発明においても新たな方法を開発しており、その詳細については、後記する第2の態様の説明において記す。
また、塩湖鹹水中には、前記した以外の不純物が存在することも知られており、それには例えば硫酸根(SO4 2-)があり、それを塩化リチウム鹹水濃縮前に分離除去することも既知のことであり、そのことは本出願人が提示した特許文献4にも開示されている。
本願発明の第1の態様においても、この硫酸根については、前記した通り回収装置底部に残留する分解残液を用いて塩化リチウム鹹水濃縮前に除去することができ、これを採用することが好ましい。すなわち、前記分解残液には塩化アンモニウムの分解に使用された生石灰等からもたらされたカルシウム成分が残留しており、これを用いて石膏を形成し、前記鹹水を脱硫することができる。また、このように前記分解残液を前記脱硫に利用することにより前記残液中に存在する塩化リチウムを回収できる利点もある。
前記した炭/安吸収塔に導入する炭酸ガスは、世界中の各地に存在し、ありふれた資源である石灰石を焼成することにより下記(2)の反応により製造でき、その石灰石はアンデス山中にも存在するので、それを焼成して製造することにより塩化リチウム鹹水が産出する現地においても調達可能である。
CaCO3 → CaO + CO2 (2)
すなわち、炭酸ガスは他地域から搬入することなく調達可能であり、更に他の製造原料も現地において調達可能であるから、現地において本願発明により炭酸リチウムを製造することも可能である。
その際には塩化リチウム鹹水を産出する現地において焼成炉を設置し、焼成は常法にしたがい800℃〜1500℃で焼成するのがよい。焼成炉としては、ベッケンバッハ炉、メルツ炉あるいはロータリーキルン炉等が例示できるが、それについては現地の周囲環境や製造規模によって選択する。
炭酸アンモニウム溶液の作製反応時には、水とアンモニアと炭酸ガスとが混合されるが、それらは図1に図示するように炭/安吸収塔に同時に導入して混合してもよいが、まず水とアンモニアとを混合してアンモニア水を生成させ、次いで炭酸ガスを導入して炭酸アンモニウム水溶液を形成する2段階反応としてもよく、後者が望ましい。
そのアンモニアについては、前記した通り副製した塩化アンモニウムを分解し、ストリッピングすることにより回収したものを再利用する。
この炭/安吸収塔においては、水とアンモニア及び/又は炭酸ガスとの気液接触反応がなされることなることから、気液接触効率の高い装置を用いるのがよく、それにはバルブトレイ塔、バブルキャップトレイ(泡鐘)塔、多孔板塔、充填塔等が例示できる。
この炭/安吸収塔において使用する水については、地下水あるいは現地に存在する河川から採取したものでよく、必要があればそれらを浄化してもよい。その際の浄化手段としてはイオン交換、限外ろ過、逆浸透、あるいは活性炭等による吸着等が利用可能である。
塩化リチウム鹹水の炭酸化反応に使用する炭酸アンモニウム水溶液の濃度については25wt%〜飽和溶液がよく、40wt%〜飽和溶液が好ましい。また反応温度については40〜70℃がよく、55〜65℃が好ましい。塩化リチウム鹹水を炭酸化する反応は液・液反応であり、その反応は速やかに進行するので、炭酸アンモニウム作製時のように接触効率に関し特に配慮する必要はなく、各種形態の反応装置が使用可能であり、それには、撹拌翼付設反応装置、送液ポンプ付設反応装置等が例示できる。なお、この反応では炭酸リチウムが結晶として析出し固液分離により回収することになるので、各種晶析装置も勿論使用可能である。
本願発明においては、前記した通り副製した塩化アンモニウム水溶液から分解反応と放散処理とを行うことによりアンモニアを回収し、これを炭酸アンモニウムの製造原料として再利用するものである。そのアンモニア回収では、塩化アンモニウムの分解と、その結果生成したアンモニアを溶存する分解残液からアンモニアを放散させるストリッピング処理を行うものであり、両者の機構は全く相異することになる。そのようなことから、アンモニア回収装置は、図3に図示するようにストリッピング塔に分解反応槽を付設した構造とし、それを用いて塔上部で未反応のアンモニアをストリッピングした後の反応残液を塔中央部から分解反応槽に取り出し、そこにおいて生石灰等を供給して塩化アンモニウムの分解反応を行い、その結果生成したアンモニアを溶存する分解残液をストリッピング塔に戻すのが好ましい。
このようにすることにより、アンモニア回収装置内では、反応残液中の未反応アンモニアのストリッピングと、塩化アンモニウムの分解と、前記分解により生成したアンモニアのストリッピングとが効率的に行われて、アンモニアはストリッピング塔の頂部に順次移行し、上部のトレイに行くに従いアンモニア濃度は高くなり、最上段のトレイでは分解残液中のアンモニアの大部分は塔頂部から放出されることになる。その結果、頂部から取り出された気体には高濃度のアンモニアが含有されており、それ以外に水蒸気、炭酸ガスも含有されている。
この回収装置においては、前記した通りストリッピング塔の塔頂からアンモニア、水蒸気、炭酸ガスが流出するが、水蒸気が凝縮器(コンデンサー)で凝縮されて液体の水となり、その結果アンモニアの一部は生成した水に吸収されアンモニア水が形成されることになる。前記凝縮器で水に吸収されなかった残る多くのアンモニアは、炭酸ガスと共に回収され回収後炭/安吸収塔に導入されリサイクル利用される。
前記凝縮器で形成されたアンモニア水については、勿論還流液として回収装置に戻すことになるが、その一部については炭/安吸収塔にアンモニア成分として戻してもよいし、リチウム鹹水との混合に使用してもよい。
前記塩化アンモニウムを含有する前記反応残液の回収装置への導入については、第3図に図示するようにストリッピング塔の頂部から行っている。このようにすることにより反応残液と水蒸気との向流接触行程を長くできアンモニアを効率的にストリッピングすることができ好ましい。生石灰等の回収装置への導入については、ストリッピング塔内から反応残液を塔外に取り出して付設された分解反応槽に導入し、そこにおいて生石灰等を供給するのが好ましいが、勿論ストリッピング塔に直接導入することも可能である。また、ストリッピング塔からの反応残液の取り出し位置については前記した通り塔中央部が好ましい。なお、回収装置に生石灰等を導入する場合の形態については、固体のままではなく石灰乳等の液状化した形態とするのがよい。
そのストリッピング塔の構造については、ストリッピングが繰り返し気液接触を行うものであることから縦長の塔状構造、すなわち前記した通りストリッピング塔を採用するのが好ましい。また、その構造は、塩化アンモニウム分解後の石灰乳等が含有される分解残液が導入されない部分、すなわち塔上部については接触効率に優れ安価なラシヒリング等の充填物を含有する充填塔構造とすることができるが、前記分解残液が導入される位置より下部の塔構造は塔内に石灰乳の存在により固体が付着する恐れがあるので、充填塔構造を採用するのは避けるのがよく、その場合には棚段塔構造を採用するのがよい。
例えば、生成したアンモニアを溶存し石灰乳を含有する分解残液を塔頂から導入する場合には、塔頂から塔底までトレイ構造を採用するのがよく、他方、塔中央部から前記反応残液を導入する場合には、上部は充填塔構造とし、下部は棚段塔構造とするのが好ましく(図3参照)特に後者の態様が好ましい。その際の石灰乳の導入についてはストリッピング塔上部にある充填塔下部から塔内液を取り出して分解反応槽に導きそこで行うのが好ましい(図3参照)。
そのストリッピング塔は、加圧下でも減圧下でも操業可能であり、塔頂から塩化アンモニウムを含有する反応残液を導入し、塔中央部から生石灰等である石灰乳を含有する分解残液を導入する態様について減圧下で操業する場合(図3参照)の塔内の温度管理について例示すると、供給スチーム温度105〜140℃、最下段トレイ液温105〜140℃、分解残液供給トレイ液温85〜95℃、最上段トレイ液温60〜85℃、塔低分解残液液温70〜90℃とするのがよい。その際の塔構造については、前記した通りの構造とするのがよい。すなわち、石灰乳等は塔中央部から導入されることになり、その結果塔上部は固体を析出する恐れがないので接触効率に優れかつ安価な充填塔構造とすることができる。
前記したような装置構造と温度管理をすることにより、塩化アンモニウムはほぼ完全に分解し、また溶存するアンモニアを十分に放散することができるので、アンモニア全回収率は99%〜99.9%とすることができる。なお、回収装置の底部には分解反応の結果副製した塩化カルシウムを含有する分解残液が残留するが、この分解残液を用いることにより塩化リチウム鹹水中に存在する硫酸イオンを硫酸カルシウムとして析出させ固液分離することができる。これを用いることにより塩化リチウム鹹水の硫酸根濃度を低減することができるので、それを濃縮前の低濃度塩化リチウム鹹水の脱硫に採用することが好ましい。
次に、図2を用いて第2の態様について説明する。この説明においては、第1の態様と異なる点を中心に説明し、共通する点については説明を省略する。
図2は、第2の態様のフローシートであり、第1の態様と同様に炭酸ガスと回収アンモニア(ガス)とが炭/安吸収塔において水に吸収され、炭酸アンモニウム溶液が形成される。その炭酸アンモニウム溶液は、一部(少量)が分割され、第1次炭酸化反応装置に導入される。
この第1次炭酸化反応装置において、炭酸アンモニウム溶液は塩化リチウム鹹水(濃縮鹹水)と混合され、前記塩化リチウム鹹水中に混在するマグネシウム化合物と反応し炭酸マグネシウムを析出する。この析出した炭酸マグネシウムは、固液分離により塩化リチウム鹹水から分離除去するが、水酸化マグネシウムに比しろ過性に優れている。その結果、マグネシウム化合物を水酸化マグネシウムとして分離除去する従来技術に比し、塩化リチウム鹹水から短時間で分離でき効率的にマグネシウムを除去(以下脱マグという)した塩化リチウム鹹水を得ることができる。この脱マグ工程の存在が第1の態様との唯一の相違点である。
その第1次炭酸化反応装置に導入されるために分割される炭酸アンモニウム溶液の量は、前記した通り少量であり、その分割量はマグネシウム化合物が炭酸マグネシウムとして析出し、かつ塩化リチウムが炭酸化合物として析出しない範囲のものである。この脱マグされた塩化リチウム鹹水は次いで第2次炭酸化反応装置に供給され、ここにおいて残る炭酸アンモニウム溶液と混合されて炭酸リチウムを析出する。析出した炭酸リチウムは固液分離により最終目的物質として回収される。
この炭酸化反応では、炭酸リチウムと同時に塩化アンモニウムも生成しており、それは固液分離後の液体である反応残液中に含有されている。この塩化アンモニウムは、第1の態様と同様に回収装置において、炭酸ガス製造時の副産物である生石灰等により分解されてアンモニアを発生させる。そのアンモニアは回収装置の頂部からアンモニア(ガス)として回収され、回収後炭/安吸収塔に導入され、リサイクル利用される。前記分解残液には塩化アンモニウムの分解に使用された生石灰等からもたらされたカルシウム成分が残留しており、これは前記第1の態様と同様に濃縮前の塩化リチウム鹹水の脱硫に用いるのが好ましい。
以下において、本願発明について実施例及び参考例を用いて説明するが、本発明はこの実施例等によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
本実施例1では、まず炭酸アンモニウム水溶液を調製した。その調製はバブルキャップトレイを有する吸収塔2塔を用いて、第1塔では頂部から水を底部からアンモニアを供給し、第2塔では頂部からアンモニアを吸収した水を底部から炭酸ガスを供給し、水にアンモニアと炭酸ガスとを連続的に吸収することで行った。
それらの吸収に使用した両塔、すなわち第1塔及び第2塔は同一のものを使用しており、それらの構造、容量等は下記の通りである。
塔全体構造:バブルキャップトレイ8段
トレイ構造:ダウンカマー付きトレイにバブルキャップ1個具備
吸収塔の全液体保持容量:10L
この実施例1において炭酸リチウムを製造する際に採用した炭酸アンモニウム中のアンモニア濃度、炭酸ガス濃度、塩化リチウム水溶液のリチウム(Li)濃度、pH等に関しては表1に記載する通りである。
Figure 2017081771
アンモニア、炭酸ガスの濃度等について前記した条件を採用した理由は、それらの吸収量について予め試験を行い、効率的に吸収した場合の最大値が前記した通りであったからである。すなわち、アンモニア、炭酸ガスのそれぞれ原料気体について、塔頂から水等の液体を塔底から前記気体を個別に供給して、それぞれの気泡が塔頂から流出を開始するまで継続する予備吸収試験を行い流出開始時点を求めた結果、それぞれの吸収量が前記表1の通りであったからである。なお、その実施例1において採用した水等の液体供給量、アンモニア等の気体供給量、反応時間及び吸収液中の気体濃度等を下記表2に示す。
Figure 2017081771
次いで、得られた前記炭酸アンモニウム水溶液について、撹拌翼を備えた反応装置中で塩化リチウムと反応させ、炭酸リチウムを連続的に作製した。
これら各吸収操作時間及び各反応時間、並びに炭酸リチウムの回収量、リチウム回収率、固着物生成量、生成した固着物のLi2CO3回収量に対する百分率による比率(本明細書全体を通して単に固着物生成率という)等に関し表3に示す。この炭酸リチウム製造に用いる塩化リチウムにおけるリチウム濃度は70g/l(Li)である。なお、各操作時間及び各反応時間については滞留時間で示した。その理由は、前記した通り各操作及び各反応が連続的に行われており、滞留時間で示すのが合理的であるからである。
Figure 2017081771
[参考例1]
前記した通り、比較のために特許文献3に記載の方法によって炭酸リチウムを調製し、これを参考例1として以下に示す。その炭酸化反応は2段階で異なる装置を用いて行った。すなわち、第1段で実施例1と同一の吸収塔を用いて塩化リチウム水溶液にまずアンモニアを吸収させ、次いで、第2段でバブルキャップトレイを10段具備する炭酸化塔を用いてアンモニアを吸収した塩化リチウム水溶液に炭酸ガスを供給して炭酸化反応を行った。その際には、第1段の吸収塔には頂部から塩化リチウム水溶液を、底部からアンモニアを導入した。また第2の炭酸化塔には頂部からアンモニアを吸収した塩化リチウム水溶液を、底部から炭酸ガスを導入した。
その参考例1で採用した調製条件、すなわち、第1段及び第2段で採用した液体供給量、気体供給量、反応時間(滞留時間)等に関し表4に示した。
この参考例1の試験結果については、実施例1に関し記載する表3に併記した。すなわち、この表3には、反応時間、炭酸リチウム(Li2CO3)回収量、リチウム回収率、固着物生成量、固着物生成率等も併記した。また、この表3には参考例1の反応条件、操作条件等も併記した。なお、この比較実験では、実施例1の結果と参考例1の結果が比較し易いように両者の炭酸リチウム(Li2CO3)回収量、リチウム回収率がほぼ同一になるように反応条件等を選定した。
Figure 2017081771
比較実験の結果は前記した通り表3に記載されており、かつ、その比較実験では前記した通り炭酸リチウム(Li2CO3)回収量、リチウム回収率がほぼ同一になるように反応条件が選択されている。すなわち、実施例1及び参考例1共に炭酸リチウム回収量が528g/hであり、リチウムの回収率が約62%になるような条件の下で炭酸リチウムの製造実験が実施されている。
その実験の結果から、まず実施例1による炭酸リチウム製造方法では特許文献3記載に基づく参考例1に比し短時間で炭酸リチウムが製造できることが判る。
すなわち、実施例1においては炭酸リチウム製造に要する時間は、炭酸アンモニウムを製造する工程と、それを用いて炭酸リチウムを製造する工程との両工程を加えた反応時間(表3における「Li2CO3製造全所要時間」)であり、それは1.06hであるのに対し、参考例1のLi2CO3製造全所要時間は2.92hとなっている。
前記の通りであるから、炭酸リチウムの製造に要する時間は実施例1では約1時間であり、それに対して参考例1では約3時間を要しており、実施例1は、参考例1の1/3の時間で炭酸リチウムを製造できることがわかり、本願発明が非常に生産効率に優れていることが判る。
また、実施例1では、固着物の生成量、同生成率が前記参考例1に比し極めて低いので、特許文献3に基づく参考例1の場合のように固着物の除去操作をほぼ必要とせずメンテナンス性及び生産効率がよく、この点で特に優れていることが判る。すなわち、実施例1における固着物の生成量、同生成率はそれぞれ1.7g/h、0.32%であるのに対し、参考例1ではそれぞれ53.8g/h、10.2%となっており、参考例1は実施例1の約30倍の固着物の生成量、固着物生成率となっており、この点でも本願発明は優れている。しかも、実施例1においては固着物が生成する炭酸化反応装置は、実施例1で使用する吸収塔や参考例1で使用する炭酸化反応塔のようにバブルトレイを8段又は10段程度具備する複雑な構造のものではなく、円筒状容器に攪拌機を具備する簡単な構造のものとなるから、仮に固着物の除去が必要となる場合が生じても、その除去は簡単である。
そして、本願発明、すなわち実施例1では、参考例1とは異なり炭酸リチウム製造工程を気液反応と液々反応とに分けており、それにより後段の炭酸リチウムの形成反応に液・液反応が採用でき、その結果炭酸リチウム形成反応が円滑に進行し製造所要時間を短縮することができ、生産効率を向上せしめることができる。
さらに、前段の第1段の炭酸アンモニウム生成反応は塩化リチウム不存在下で行われ、3者を同時に反応させる特許文献3の場合に比し反応が円滑に進行し、かつ高濃度の炭酸アンモニウムを短時間で製造することが可能である。

Claims (4)

  1. 水とアンモニアと炭酸ガスとを混合して炭酸アンモニウム水溶液を形成し、次いでそれに塩化リチウム鹹水を混合して炭酸化反応を行い、前記炭酸ガスには、石灰石を加熱分解して製造したものを用い、前記アンモニアには、前記炭酸化反応時に副製した塩化アンモニウムと前記炭酸ガス製造時に副製した生石灰又はそれを水和して得られる消石灰とを反応させることにより回収した再生アンモニアを用い、前記炭酸化反応後に生成した固体を固液分離して回収することを特徴とする炭酸リチウム製造方法。
  2. 水とアンモニアと炭酸ガスとを混合して炭酸アンモニウム水溶液を形成し、その一部(少量)を分割し塩化リチウム鹹水と混合して第1次炭酸化反応を行って炭酸マグネシウムを析出させて固液分離し、次いで固液分離後の液体に残部の炭酸アンモニウム水溶液を混合して第2次炭酸化反応を行い、前記炭酸ガスには、石灰石を加熱分解して製造したものを用い、前記アンモニアには、前記炭酸化反応時に副製した塩化アンモニウムと前記炭酸ガス製造時に副製した生石灰又はそれを水和して得られる消石灰とを反応させることにより回収した再生アンモニアを用い、前記炭酸化反応後に生成した固体を固液分離して回収することを特徴とする炭酸リチウム製造方法。
  3. 水とアンモニアと炭酸ガスとを混合して炭酸アンモニウム水溶液を形成する反応は、気液接触効率を向上せしめる部材を内部に具備する上下方向に長い吸収塔を用いて、頂部から水を供給し、底部からアンモニア及び炭酸ガスを供給するものである請求項1又は2に記載の炭酸リチウム製造方法。
  4. 再生アンモニアを得るアンモニアの回収は、気液接触効率を向上せしめる部材を内部に具備する上下方向に長いストリッピング塔と、前記ストリッピング塔内の塩化アンモニウム含有反応残液を取り出して塩化アンモニウムの分解反応を行う分解反応槽とを具備するアンモニア回収装置を用いて、前記ストリッピング塔頂部に前記反応残液を供給し、前記ストリッピング塔の中央部から前記反応残液を取り出して前記分解反応槽にて塩化アンモニウムを分解させ、形成されたアンモニアが溶存する分解残液を前記ストリッピング塔の中央部に戻し、前記ストリッピング塔の底部に水蒸気を供給すると共に、前記頂部から再生アンモニアを回収し、前記底部からカルシウム成分を含有する残液を排出せしめるものである請求項1又は2に記載の炭酸リチウム製造方法。
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