JP2017080835A - バイト切削装置 - Google Patents

Abstract

【課題】加工不良の発生を抑制すること。【解決手段】被加工物Ｗを第一保持面４５または第二保持面１５３で保持するチャックテーブル３０、１３０と、第一保持面４５または第二保持面１５３と直交し回転するスピンドル２１の先端に装着されチャックテーブル３０、１３０に保持された被加工物Ｗを切削する切刃２５を有するバイトホイール２２を含むバイト切削手段２０と、を備えるバイト切削装置１、１００であって、チャックテーブル３０、１３０は、被加工物Ｗを吸引保持する第一保持面４５または第二保持面１５３と、第一保持面４５または第二保持面１５３の周囲に形成され、第一保持面４５または第二保持面１５３の周縁から外周に向かって切刃２５と離間する方向へ傾斜する傾斜面４２または傾斜面１５２を備え、傾斜面４２または傾斜面１５２は、第一保持面４５または第二保持面１５３の周囲にはみ出す被加工物Ｗの端材Ｅを支持する。【選択図】図１

Description

本発明は、バイト切削装置に関する。

保持面を有するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物の表面を切削する切刃を装着したバイトホイールを有する切削ユニットとを備えるバイト切削装置が知られている（例えば、特許文献１、特許文献２参照）。特許文献１、特許文献２に記載された技術は、チャックテーブルを水平方向に移動させながら、回転するバイトホイールの切刃を被加工物の表面に作用させることにより、被加工物の表面側全面を切刃で切削する。特許文献１、特許文献２に記載された技術は、切刃によって表面を切削することができるように、複数のピンが立設されたピンチャックテーブルで被加工物を保持する。

特開２００９−０１２１０５号公報 特開２０１０−０３６３２１号公報

バイト切削装置は、半導体デバイスの表面に数１０μｍから数１００μｍの突起状の電極を形成し、その電極を合成樹脂で形成されたアンダーフィル材に埋設した後、アンダーフィル材と電極とを切削して、電極をアンダーフィル材の表面に露出させる際に使用される。バイト切削装置は、金属材や合成樹脂材で形成された基板の表面を平坦化する際に使用される。

特許文献１、特許文献２に記載された技術は、チャックテーブルとしてピンチャックテーブルが使用されている。半導体デバイスを含む硬質の材料に比べて柔軟性を有する金属材や合成樹脂材を含む軟質の材料で形成された被加工物を、チャックテーブルで保持すると、端材部分がチャックテーブルから外周にはみ出して保持されない。このため、端材部分は、切刃に接触するおそれがある。これにより、切刃が損傷するおそれや、端材部分がチャックテーブルから剥離するおそれや、被加工物を平坦に切削することができないおそれがある。このように、バイト切削装置は、加工不良の発生について改善の余地がある。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、加工不良の発生を抑制したバイト切削装置を提供することにある。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のバイト切削装置は、被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該保持面と直交し回転するスピンドルの先端に装着され該チャックテーブルに保持された該被加工物を切削する切刃を有するバイトホイールを含むバイト切削手段と、を備えるバイト切削装置であって、該チャックテーブルは、該被加工物を吸引保持する保持面と、該保持面の周囲に形成され、該保持面の周縁から外周に向かって該切刃と離間する方向へ傾斜する傾斜面を備え、該傾斜面は、該保持面の周囲にはみ出す該被加工物の外周部を支持することを特徴とする。

また、上記バイト切削装置において、該傾斜面は、吸引源と連通する吸引保持部を有する、ことが好ましい。

本願発明のバイト切削装置によれば、被加工物を保持面で保持するチャックテーブルの保持面の周囲に、保持面の周縁から外周に向かって切刃と離間する方向へ傾斜する傾斜面が形成されている。傾斜面は、保持面の周囲にはみ出す被加工物の外周部を支持することができる。このため、バイト切削装置は、傾斜面が被加工物の外周部を支持して、被加工物の外周部がチャックテーブルから外周にはみ出して切刃に接触することを抑制することができる。これにより、バイト切削装置は、加工不良の発生を抑制することができる。

図１は、第１実施形態に係るバイト切削装置の斜視図である。 図２は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と被加工物とを分解して示す斜視図である。 図３は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と被加工物とを説明する断面図である。 図４は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブルとバイト切削手段とを説明する断面図である。 図５は、第２実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と保持プレートと被加工物とを分解して示す斜視図である。 図６は、第２実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と保持プレートとを説明する断面図である。

以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。

以下の説明においては、ＸＹＺ直交座標系を設定し、このＸＹＺ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一端向をＸ軸方向、水平面内においてＸ軸方向と直交する方向をＹ軸方向、Ｘ軸方向及びＹ軸方向のそれぞれと直交する方向をＺ軸方向とする。Ｘ軸及びＹ軸を含むＸ，Ｙ平面は、水平面と平行である。Ｘ，Ｙ平面と直交するＺ軸方向は、鉛直方向である。

〔第１実施形態〕
図１は、第１実施形態に係るバイト切削装置の斜視図である。図２は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と被加工物とを分解して示す斜視図である。図３は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と被加工物とを説明する断面図である。図４は、第１実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブルとバイト切削手段とを説明する断面図である。

本実施形態に係るバイト切削装置１は、図１に示すように、装置基台１０と、バイト切削手段２０と、チャックテーブル３０とを備える。バイト切削装置１は、チャックテーブル３０をＸ軸方向に移動させるチャックテーブル移動手段６０と、チャックテーブル３０をＺ軸回りに回転させる回転駆動部（不図示）と、バイト切削手段２０をＺ軸方向に移動させるバイト切削手段移動手段７０とを備える。バイト切削装置１は、バイト切削手段２０と被加工物Ｗを保持したチャックテーブル３０とを相対移動させることで、被加工物Ｗの上面を切削して平坦化する。

ここで、被加工物Ｗは、バイト切削装置１により加工される加工対象である。被加工物Ｗは、本実施形態では、図２に示すように、互いに交差する複数の分割予定ラインＬで区画された各領域にデバイスＤが配置されている。本実施形態では、被加工物Ｗは、矩形の板状に形成されている。被加工物Ｗは、約１ｍｍ以下の板厚である。被加工物Ｗは、半導体デバイスを含む硬質の材料に比べて柔軟性を有する合成樹脂材または金属材で構成されている。被加工物Ｗは、バイト切削装置１がチャックテーブル３０とバイト切削手段２０とを相対移動させて、被加工物Ｗの上面に切削加工が施されることで、上面が切削され平坦化される。

装置基台１０は、図１に示すように、本体部１１と、壁部１２とを備える。本体部１１は、直方体形状に形成されている。壁部１２は、本体部１１の後端部から、Ｚ軸方向上側に配置されている。壁部１２には、Ｚ軸方向に沿って一対のガイドレール１２１が配置されている。ガイドレール１２１は、バイト切削手段移動手段７０のＺ軸方向への移動をガイドする。

バイト切削手段２０は、チャックテーブル３０に保持された被加工物Ｗの上面を切削して平坦化する。バイト切削手段２０は、壁部１２に配置されている。バイト切削手段２０は、バイト切削手段移動手段７０によりＺ軸方向に移動自在である。バイト切削手段２０は、スピンドル２１と、バイトホイール２２と、スピンドルハウジング２３と、切刃駆動部２４と、切刃２５（図４参照）とを備える。スピンドル２１は、スピンドルハウジング２３に回転可能に支持されている。スピンドル２１は、切刃駆動部２４の出力軸と伝動連結されている。スピンドル２１は、チャックテーブル本体４０の第一保持面４５と直交し回転する。バイトホイール２２は、スピンドル２１の先端に装着されている。バイトホイール２２は、切刃２５を保持する。スピンドルハウジング２３は、円筒形状に形成されている。スピンドルハウジング２３は、バイト切削手段移動手段７０の支持部７４に支持されている。切刃駆動部２４は、発生した回転力によりスピンドル２１を介して切刃２５を回転駆動する。

チャックテーブル３０は、被加工物Ｗを保持する。チャックテーブル３０は、装置基台１０の本体部１１の上面に配置されている。チャックテーブル３０は、チャックテーブル本体４０を備える。

チャックテーブル本体４０は、被加工物Ｗを第一保持面４５で吸引保持する。チャックテーブル本体４０は、ピンチャック式のチャックテーブルである。チャックテーブル本体４０は、図２、図３に示すように、基台部４１と、外周保持部４２と、吸引凹部４３と、支持ピン４４と、第一保持面４５と、連通溝４６と、吸引手段４７とを有している。

基台部４１は、被加工物Ｗを載置可能な大きさを有する矩形の平板で形成されている。基台部４１は、上面に開口した吸引孔（不図示）が形成されている。吸引孔は、吸引手段４７と連通する。基台部４１は、チャックテーブル移動手段６０上に載置されている。外周保持部４２は、第一保持面４５上に載置された被加工物Ｗの外周部である端材Ｅを下方から支持する。外周保持部４２は、基台部４１の周囲を覆う壁状に形成されている。外周保持部４２は、基台部４１の全周、つまり、矩形の４辺の全てに配置された板状の部材である。外周保持部４２は、基台部４１の上面（面積が最も大きい面）に直交する向きに延在している。本実施形態において、外周保持部４２の上面には、傾斜面４２ａが形成されている。傾斜面４２ａは、吸引凹部４３側から外側に向かうにしたがって、Ｚ軸方向上側からＺ軸方向下側に傾斜している。傾斜面４２ａは、吸引凹部４３側から外側に向かうにしたがって、バイト切削手段２０の切刃２５から離間する方向に傾斜している。傾斜面４２ａの第一保持面４５に対する角度は、数°が好ましく、５°がより好ましい。吸引凹部４３は、基台部４１と外周保持部４２とで囲われた領域である。支持ピン４４は、吸引凹部４３に複数、立設されている。第一保持面４５は、傾斜面４２ａの先端面と複数の支持ピン４４の先端面とによって形成されている。第一保持面４５は、被加工物Ｗを載置した状態で吸引保持する。第一保持面４５には、被加工物Ｗが被加工面（表面）を上にした状態で載置される。第一保持面４５は、切刃２５で切削可能な材料で形成されている。連通溝４６は、傾斜面４２ａを一周する溝状に形成されている。連通溝４６は、吸引手段４７と連通する。吸引手段４７は、真空吸引源である。吸引手段４７は、基台部４１の吸引孔と接続されている。吸引手段４７は、真空吸引源で吸引孔及び連通溝４６を介して吸引することで、第一保持面４５及び傾斜面４２ａに負圧を作用させる。吸引手段４７は、第一保持面４５に載置された被加工物Ｗの被保持面（裏面）を吸引保持する。

図１に戻って、チャックテーブル移動手段６０は、チャックテーブル３０をＸ軸方向に移動させる。チャックテーブル移動手段６０は、加工動作の開始指示があった場合、チャックテーブル３０を矢印Ａ１で示すようにバイト切削手段２０の下方に進入させる。チャックテーブル移動手段６０は、加工動作の終了指示があった場合、チャックテーブル３０を矢印Ａ２で示すようにバイト切削手段２０の下方から退避させる。

バイト切削手段移動手段７０は、バイト切削手段２０を一対のガイドレール１２１に沿ってＺ軸方向に移動させる。バイト切削手段移動手段７０は、雄ねじロッド７１と、パルスモータ７２と、移動基台７３と、支持部７４とを備える。雄ねじロッド７１は、壁部１２の前面に配置され、Ｚ軸方向に延在する。雄ねじロッド７１は、その上端部及び下端部が壁部１２に取り付けられた軸受部材７５、７６によって回転自在に支持されている。雄ねじロッド７１は、パルスモータ７２の出力軸と伝動連結されている。パルスモータ７２は、雄ねじロッド７１を回転駆動するための駆動源である。パルスモータ７２は、上側の軸受部材７５に配置されている。移動基台７３は、一対のガイドレール１２１に沿ってＺ軸方向に移動する。移動基台７３は、後面両側にＺ軸方向に延びる一対の脚部７３１が配置されている。一対の脚部７３１には、一対のガイドレール１２１と摺動可能に係合する被案内溝が形成されている。支持部７４は、移動基台７３の前面に突設されている。支持部７４には、スピンドルハウジング２３が配置されている。

制御手段は、バイト切削装置１を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御する。制御手段は、被加工物Ｗに対する切削動作をバイト切削装置１に行わせる。なお、制御手段は、例えばＣＰＵ等で構成された演算処理装置やＲＯＭ、ＲＡＭ等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されている。制御手段は、各種の情報を表示する表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力手段などと接続されている。

次に、本実施形態に係るバイト切削装置１の加工動作を図面に基づいて説明する。バイト切削装置１は、加工動作として、平坦化工程、保持工程、加工工程を行う。

まず、バイト切削装置１は、平坦化工程を行う。制御手段は、チャックテーブル移動手段６０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０で、チャックテーブル３０を加工開始位置まで矢印Ａ１方向に移動する。制御手段は、チャックテーブル移動手段６０、回転駆動部、バイト切削手段移動手段７０、切刃駆動部２４などの動作を制御する。制御手段は、切削水を供給しながら切刃２５で第一保持面４５を切削して平坦化する。第一保持面４５の平坦化の終了後、制御手段は、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０でチャックテーブル３０をバイト切削手段２０の下方から退避して、搬入・搬出位置まで矢印Ａ２方向に移動する。

つぎに、バイト切削装置１は、保持工程を行う。ここで、保持工程に先立ち、図４に示すように、被加工物Ｗがチャックテーブル本体４０の第一保持面４５上に重ねられる。そして、保持工程では、バイト切削装置１は、加工動作の開始指示があった場合、加工動作を開始する。制御手段は、加工動作の開始指示があった場合、吸引手段４７の動作を制御して、吸引手段４７で基台部４１の吸引孔及び連通溝４６から吸引して、第一保持面４５及び傾斜面４２ａに負圧を作用させる。バイト切削装置１は、第一保持面４５及び傾斜面４２ａで被加工物Ｗを吸引保持する。これにより、被加工物Ｗは、端材Ｅが傾斜面４２ａに沿う。被加工物Ｗは、例えば、接着テープ、バネを含む弾性部材、磁石などの吸着部材を含む押さえ部材で端材Ｅが傾斜面４２ａに固定されてもよい。

つぎに、バイト切削装置１は、加工工程を行う。制御手段は、チャックテーブル移動手段６０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０で、第一保持面４５上に被加工物Ｗが載置されたチャックテーブル３０を加工開始位置まで矢印Ａ１方向に移動する。そして、制御手段は、登録されている加工内容情報に基づいて、チャックテーブル移動手段６０、回転駆動部、バイト切削手段移動手段７０、切刃駆動部２４などの動作を制御する。制御手段は、切削水を供給しながら切刃２５で、被加工物Ｗを切削して平坦化する。そして、制御手段は、被加工物Ｗの平坦化の終了後、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０でチャックテーブル３０をバイト切削手段２０の下方から退避して、搬入・搬出位置まで矢印Ａ２方向に移動する。そして、制御手段は、吸引手段４７の動作を制御して、吸引手段４７によるチャックテーブル３０の吸引保持を解除する。このようにして、被加工物Ｗは、第一保持面４５から取り除くことができる。

以上のように、本実施形態に係るバイト切削装置１は、外周保持部４２の上面に傾斜面４２ａが形成されている。傾斜面４２ａは、吸引凹部４３側から外側に向かうにしたがって、切刃２５から離間する方向に傾斜している。吸引手段４７は、第一保持面４５及び傾斜面４２ａに負圧を作用させる。被加工物Ｗの端材Ｅは、自重及び負圧により傾斜面４２ａに沿って吸引保持される。このため、バイト切削装置１は、被加工物Ｗの端材Ｅが傾斜面４２ａからはみ出して、切刃２５に接触することを抑制することができる。これにより、バイト切削装置１は、切刃２５の損傷を抑制することができる。バイト切削装置１は、端材Ｅのチャックテーブル３０からの剥離を抑制することができる。バイト切削装置１は、被加工物Ｗを平坦に切削することができる。このように、バイト切削装置１は、加工不良の発生を抑制することができる。

バイト切削装置１は、被加工物Ｗの端材Ｅを押さえ部材で傾斜面４２ａに位置決めしても、傾斜面４２ａが傾斜しているため、押さえ部材を切刃２５から逃がした位置に配置することができる。このように、バイト切削装置１は、切削時に押さえ部材が切刃２５に接触して損傷することを抑制することができる。

バイト切削装置１は、被加工物Ｗの端材Ｅの板厚がデバイスＤの板厚より厚くなっていたとしても、傾斜面４２ａが傾斜しているため、端材Ｅを切刃２５から逃がした位置に配置することができる。このように、バイト切削装置１は、切削時に端材Ｅが切刃２５に接触して損傷することを抑制することができる。

〔第２実施形態〕
図５、図６を参照しながら、本実施形態に係るバイト切削装置１００の全体的な構成について説明する。図５は、第２実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と保持プレートと被加工物とを分解して示す斜視図である。図６は、第２実施形態に係るバイト切削装置のチャックテーブル本体と保持プレートとを説明する断面図である。バイト切削装置１００は、基本的な構成はバイト切削装置１と同様である。以下の説明においては、バイト切削装置１と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。

本実施形態に係るバイト切削装置１００は、チャックテーブル１３０がチャックテーブル本体１４０と、保持プレート１５０とを備える点で、バイト切削装置１と異なる。

チャックテーブル本体１４０は、基台部１４１と、外周保持部１４２と、吸引凹部１４３と、支持ピン１４４と、第一保持面１４５と、吸引手段１４６とを有している。

外周保持部１４２は、第一保持面１４５上に載置された保持プレート１５０の外周部を下方から支持する。外周保持部１４２は、その上面が平面である。第一保持面１４５は、外周保持部１４２の上面と複数の支持ピン１４４の先端面とによって形成されている。第一保持面１４５は、保持プレート１５０を載置した状態で保持する。吸引手段１４６は、保持プレート１５０の第二保持面１５３に載置された被加工物Ｗの被保持面（裏面）を吸引保持する。

保持プレート１５０は、チャックテーブル本体１４０に着脱可能に載置される。保持プレート１５０は、チャックテーブル本体１４０に嵌合される構成であってもよい。保持プレート１５０は、チャックテーブル本体１４０に取り付けられた状態で、第一保持面１４５を覆い、第一保持面１４５からのリークが規制される。保持プレート１５０は、平坦部１５１と、枠状部１５２と、第二保持面１５３とを備える。保持プレート１５０は、合成樹脂材または、例えば銅又はニッケルを含む金属材で構成されている。

平坦部１５１は、矩形の平板で形成される。平坦部１５１は、その下面１５１ｂが第一保持面１４５上に重ねられる。枠状部１５２は、平坦部１５１の周囲を覆う枠状に形成されている。枠状部１５２は、被加工物Ｗの端材Ｅが載置される。本実施形態において、枠状部１５２は、平坦部１５１側から外側に向かうにしたがって、Ｚ軸方向上側からＺ軸方向下側に傾斜した傾斜面に形成されている。枠状部１５２は、平坦部１５１側から外側に向かうにつれて、バイト切削手段２０の切刃２５から離間する方向に傾斜している。第二保持面１５３は、平坦部１５１の上面１５１ａである。第二保持面１５３は、被加工物Ｗを載置した状態で保持する。第二保持面１５３には、被加工物Ｗが被加工面（表面）を上にした状態で載置される。第二保持面１５３は、切刃２５で切削可能な材料で形成されている。貫通孔１５４は、平坦部１５１を板厚方向に貫通している。貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの分割予定ラインＬと対応する領域に整列して形成されている。貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物ＷのデバイスＤと対応する領域には配置されていない。貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物ＷのデバイスＤと対応する領域において、分割予定ラインＬと対応する領域より貫通孔１５４の配置密度が疎に設定されていてもよい。貫通孔１５４の第二保持面１５３における配置密度は、支持ピン１４４の第一保持面１４５における配置密度よりも疎である。このため、第二保持面１５３は、第一保持面１４５より、被加工物Ｗを支持する平坦面の面積が大きい。貫通孔１５４は、吸引手段１４６と連通する。連通溝１５５は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの分割予定ラインＬに対応する領域または被加工物Ｗの端材Ｅと対応する領域に形成されており、デバイスＤと対応する領域には配置されていないのが望ましい。連通溝１５５は、貫通孔１５４同士を連結するように形成されている。連通溝１５５は、貫通孔１５４より吸引面積が広い。このため、第二保持面１５３は、十分な吸引力が得られる。本実施形態において、連通溝１５５は、第一連通溝１５６と第二連通溝１５７とを有する。第一連通溝１５６は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの端材Ｅと対応する領域に形成されている。第一連通溝１５６は、枠状部１５２を一周する溝状に形成されている。第二連通溝１５７は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの分割予定ラインＬの中で、被加工物ＷのＸ軸方向中央とＹ軸方向中央に位置する分割予定ラインＬに対応する領域に形成されている。第二連通溝１５７は、平坦部１５１を貫通して形成されている。

次に、本実施形態に係るバイト切削装置１００の加工動作を説明する。バイト切削装置１００の加工動作は、基本的な構成はバイト切削装置１の加工動作と同様である。

バイト切削装置１００は、平坦化工程では、第一保持面１４５の平坦化につづいて、第二保持面１５３を平坦化する。具体的には、保持プレート１５０がチャックテーブル本体１４０上に位置付けられる。より詳しくは、平坦部１５１の下面１５１ｂが第一保持面１４５上に重ねられるとともに、枠状部１５２が外周保持部１４２に嵌合される。制御手段は、チャックテーブル移動手段６０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０で、保持プレート１５０を取り付けたチャックテーブル１３０を加工開始位置まで矢印Ａ１方向に移動する。制御手段は、チャックテーブル移動手段６０、回転駆動部、バイト切削手段移動手段７０、切刃駆動部２４などの動作を制御する。制御手段は、切削水を供給しながら切刃２５で第二保持面１５３を切削して平坦化する。第二保持面１５３の平坦化の終了後、制御手段は、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０の動作を制御して、チャックテーブル移動手段６０、バイト切削手段移動手段７０でチャックテーブル１３０をバイト切削手段２０の下方から退避して、搬入・搬出位置まで矢印Ａ２方向に移動する。

つぎに、バイト切削装置１００は、保持工程に先立ち、被加工物Ｗが保持プレート１５０の第二保持面１５３上に重ねられる。このとき、被加工物Ｗの分割予定ラインＬや端材Ｅが貫通孔１５４及び連通溝１５５上に位置した状態で、被加工物Ｗが第二保持面１５３上に載置される。そして、保持工程では、バイト切削装置１００は、加工動作の開始指示があった場合、加工動作を開始する。制御手段は、加工動作の開始指示があった場合、吸引手段１４６の動作を制御して、吸引手段１４６で基台部１４１の吸引孔から吸引して、第一保持面１４５に負圧を作用させる。平坦部１５１の下面１５１ｂが第一保持面１４５上に重ねられているため、貫通孔１５４と連通溝１５５とは、吸引孔を介して吸引手段１４６と連通する。これにより、制御手段は、吸引手段１４６で貫通孔１５４及び連通溝１５５から吸引して、第二保持面１５３及び枠状部１５２に負圧を作用させる。バイト切削装置１００は、第二保持面１５３で被加工物Ｗを吸引保持する。被加工物Ｗは、平坦化された第二保持面１５３で吸引保持されているので、その被加工面が平坦である。

以上のように、本実施形態に係るバイト切削装置１００は、チャックテーブル本体１４０上に保持プレート１５０を嵌合する。被加工物Ｗは、保持プレート１５０の第二保持面１５３で吸引保持される。枠状部１５２は、平坦部１５１側から外側に向かうにしたがって、切刃２５から離間する方向に傾斜している。吸引手段１４６は、第二保持面１５３及び枠状部１５２に負圧を作用させる。被加工物Ｗの端材Ｅは、自重及び負圧により枠状部１５２に沿って吸引保持される。このため、バイト切削装置１００は、被加工物Ｗの端材Ｅが枠状部１５２からはみ出して、切刃２５に接触することを抑制することができる。これにより、バイト切削装置１００は、切刃２５の損傷を抑制することができる。バイト切削装置１００は、端材Ｅのチャックテーブル１３０からの剥離を抑制することができる。切バイト削装置１００は、被加工物Ｗを平坦に切削することができる。このように、バイト切削装置１００は、加工不良の発生を抑制することができる。

バイト切削装置１００は、被加工物Ｗの端材Ｅを押さえ部材で枠状部１５２に位置決めしても、枠状部１５２が傾斜しているため、押さえ部材を切刃２５から逃がした位置に配置することができる。このように、バイト切削装置１００は、切削時に押さえ部材が切刃２５に接触して損傷することを抑制することができる。

バイト切削装置１００は、被加工物Ｗの端材Ｅの板厚がデバイスＤの板厚より厚くなっていたとしても、枠状部１５２が傾斜しているため、端材Ｅを切刃２５から逃がした位置に配置することができる。このように、バイト切削装置１００は、切削時に端材Ｅが切刃２５に接触して損傷することを抑制することができる。しかも、バイト切削装置１は、端材Ｅを余計に切削することを抑制することができる。これにより、バイト切削装置１は、切刃の消耗を抑制することができる。

被加工物Ｗが平坦な第二保持面１５３上に載置されるため、バイト切削装置１００は、被加工物Ｗの硬さによらず、被加工物Ｗの被加工面を平坦にすることができる。このため、バイト切削装置１００は、被加工物Ｗの硬さによらず、被加工物Ｗを平坦に切削することができる。

しかも、貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの分割予定ラインＬと対応する領域に整列して形成されている。連通溝１５５は、第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの分割予定ラインＬに対応する領域または第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗの端材Ｅと対応する領域に整列して形成されている。貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物ＷのデバイスＤと対応する領域には配置されていない。貫通孔１５４は、第二保持面１５３上に載置される被加工物ＷのデバイスＤと対応する領域において、分割予定ラインＬと対応する領域より貫通孔１５４の配置密度が疎に設定されていてもよい。連通溝１５５は、デバイスＤと対応する領域には配置されていない。このような貫通孔１５４及び連通溝１５５の構成により、バイト切削装置１００は、被加工物Ｗをより平坦に保持することができる。このため、バイト切削装置１００は、被加工物Ｗをより平坦に切削することができる。

保持プレート１５０は、チャックテーブル本体１４０に着脱可能であるので、既存のバイト切削装置にも、改修することなく使用することができる。

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。

連通溝４６と貫通孔１５４及び連通溝１５５の配置は、上記に限定されず、連通溝４６又は貫通孔１５４及び連通溝１５５により、第一保持面４５又は第二保持面１５３上に載置される被加工物Ｗを確実に吸引保持することができるものであればよい。このため、例えば、連通溝４６は、傾斜面４２ａの一部に形成されていてもよい。貫通孔１５４は、被加工物Ｗのすべての分割予定ラインＬと対応する領域に形成されていなくてもよい。連通溝１５５は、枠状部１５２の一部に形成されていてもよい。

１ バイト切削装置
２０ バイト切削手段
２１ スピンドル
２２ バイトホイール
２５ 切刃
３０ チャックテーブル
４０ チャックテーブル本体
４２ 外周保持部
４２ａ 傾斜面
４３ 吸引凹部
４４ 支持ピン
４５ 第一保持面（保持面）
４７ 吸引手段（吸引源）
１３０ チャックテーブル
１４０ チャックテーブル本体
１４２ 外周保持部
１４２ａ 傾斜面
１４３ 吸引凹部
１４４ 支持ピン
１４５ 第一保持面（保持面）
１４６ 吸引手段（吸引源）
１５０ 保持プレート
１５１ 平坦部
１５１ａ 上面
１５１ｂ 下面
１５２ 枠状部
１５３ 第二保持面（保持面）
１５４ 貫通孔
１５５ 連通溝（吸引保持部）
Ｄ デバイス
Ｅ 端材（外周部）
Ｌ 分割予定ライン
Ｗ 被加工物

Claims (2)

1. 被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該保持面と直交し回転するスピンドルの先端に装着され該チャックテーブルに保持された該被加工物を切削する切刃を有するバイトホイールを含むバイト切削手段と、を備えるバイト切削装置であって、
   該チャックテーブルは、
   該被加工物を吸引保持する保持面と、
   該保持面の周囲に形成され、該保持面の周縁から外周に向かって該切刃と離間する方向へ傾斜する傾斜面を備え、
   該傾斜面は、該保持面の周囲にはみ出す該被加工物の外周部を支持する、
   ことを特徴とするバイト切削装置。
2. 該傾斜面は、吸引源と連通する吸引保持部を有する、
   請求項１に記載のバイト切削装置。

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