JP2017079702A - 穀物外皮加工品、穀物外皮加工品の製造方法、ベーカリー製品の製造方法、ベーカリー製品及びベーカリー製品用ミックス粉 - Google Patents

穀物外皮加工品、穀物外皮加工品の製造方法、ベーカリー製品の製造方法、ベーカリー製品及びベーカリー製品用ミックス粉 Download PDF

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Abstract

【課題】ベーカリー生地に使用したときにベーカリー生地の二次加工適性が良好であり、且つ、得られるベーカリー製品の膨化が十分で、外観や食感、風味が良好な穀物外皮加工品を提供すること。【解決手段】α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である、穀物外皮加工品;乾熱処理により穀物外皮の品温を100〜150℃とした後、穀物外皮100質量部に対して10〜40質量部の水を散水し、前記穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で3分以上維持する熱処理工程を含む、穀物外皮加工品の製造方法;前記穀物外皮加工品を配合することを含むベーカリー製品の製造方法;前記穀物外皮加工品を含むベーカリー製品;及び前記穀物外皮加工品を含むベーカリー製品用ミックス粉を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、穀物外皮加工品、穀物外皮加工品の製造方法、ベーカリー製品の製造方法、ベーカリー製品及びベーカリー製品用ミックス粉に関する。
穀物外皮は、食物繊維やミネラルを豊富に含むことが知られている。例えば、小麦の外皮、即ち小麦ふすまは、食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富な食品素材として近年注目されている。しかし、小麦ふすまは、組織が硬く喫食時に口の中に残ってしまう上、ふすま特有の不快臭を有する。そのため、小麦ふすまを用いた従来の二次加工製品は、食感が悪く、ふすま特有の臭いが残ってしまう問題があった。そこで、食感を改善し、臭いを抑えて食品素材として好適な小麦ふすま加工品を提供する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、(1)原料小麦を粗粉砕する工程、(2)工程(1)で得られた粗粉砕物から小麦ふすまを採取する工程、(3)工程(2)で得られた小麦ふすまを加熱処理する工程、(4)工程(3)で加熱処理した小麦ふすまを微粉砕する工程、(5)工程(4)で得られた微粉砕物から平均粒径が150μm未満〜200μm未満の微ふすま画分を分取する工程を含むことを特徴とする小麦ふすまの製造方法が開示されている。
特許文献2には、(a)糊化度が45〜100%、(b)脂質含有量が3.8質量%以下、(c)含水率が2.5質量%以上、及び(d)粒径が0.1mm以上を満たす小麦ふすま加工品が開示されている。
特開2013−243984号公報 特開2014−140366号公報
しかし、従来品の穀物外皮をパン類や菓子類等のベーカリー製品の原料に配合すると、ベーカリー生地のミキシング耐性が低下し、生地がだれてべたつく場合があった。この場合、手作業により小規模でベーカリー製品を製造することは可能であったが、工業的な大量生産が困難であるという問題点があった。
また、だれた生地を焼成すると、生地が十分に膨化せず、ボリュームのない、硬い食感のベーカリー製品になってしまう場合があった。
そこで、本発明は、ベーカリー生地に使用したときにベーカリー生地の二次加工適性が良好であり、且つ、得られるベーカリー製品の膨化が十分で、外観や食感、風味が良好な穀物外皮加工品を提供することを主目的とする。
本発明者は、穀物外皮を含有するベーカリー生地について、二次加工適性が低下する原因を鋭意検討した。その結果、穀物外皮に残存する酵素活性に着目し、穀物外皮中の酵素を十分に失活させることでベーカリー生地の二次加工適性が良好となり、これによって、得られるベーカリー製品が十分に膨化し、食感が良好となることに加えて、風味も良好となることを見出した。
即ち、本発明は、α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である、穀物外皮加工品を提供する。
本発明の穀物外皮加工品は、粉末状として、平均粒径を20〜60μmとすることができる。
また、本発明の穀物外皮加工品は、前記穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物のアミログラフ糊化最高粘度を370BU以上とすることができる。
本発明の穀物外皮加工品は、小麦ふすま加工品又は大豆皮加工品とすることができる。
また、本発明は、乾熱処理により穀物外皮の品温を100〜150℃とした後、穀物外皮100質量部に対して10〜40質量部の水を散水し、前記穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で3分以上維持する熱処理工程を含む、穀物外皮加工品の製造方法を提供する。
本発明に係る穀物外皮加工品の製造方法は、更に、前記穀物外皮を粉末状に粉砕して平均粒径を20〜60μmとする粉砕工程を含むことができる。
また、本発明は、α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を配合することを含む、ベーカリー製品の製造方法を提供する。
また、本発明は、α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を含む、ベーカリー製品を提供する。
また、本発明は、α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を含む、ベーカリー製品用ミックス粉を提供する。
本発明によれば、ベーカリー生地に使用したときにベーカリー生地の二次加工適性が良好であり、且つ、得られるベーカリー製品の膨化が十分で、外観や食感、風味が良好な穀物外皮加工品を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<穀物外皮加工品>
まず、本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品について説明する。
本実施形態に係る穀物外皮加工品は、α−アミラーゼ力価が150mU/g以下である。アミラーゼ力価は低い方が好ましく、好ましくは110mU/g以下であり、より好ましくは90mU/g以下であり、更に好ましくは60mU/g以下である。穀物外皮加工品のアミラーゼ力価が150mU/g超であると、ベーカリー生地に使用したときに、ミキシング耐性が低下し、だれてべたついた生地になり、二次加工適性が劣るおそれがある。
ここで「α−アミラーゼ力価」とは、α−アミラーゼの活性の程度を表す指標であり、AACC Method 22−02.01に従って測定することができる。また、市販の測定キットを使用して測定してもよい。市販の測定キットとしては、例えば、α−Amylase Assay Kit(Megazyme社製)を使用することができる。
また、本実施形態に係る穀物外皮加工品は、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満である。中性プロテアーゼ力価は低い方が好ましく、より好ましくは10U/g未満である。穀物外皮加工品の中性プロテアーゼ力価が20U/g以上であると、ベーカリー生地に使用したときに、ミキシング耐性が低下し、だれてべたついた生地になってしまい、二次加工適性が劣るおそれがある。
ここで「中性プロテアーゼ力価」とは、中性プロテアーゼの活性の程度を表す指標であり、数値が高いほど活性が高いことを示す。カゼイン(乳製)を基質とし、38℃、pH6.0において、反応初期の1分間に1μgのL−チロシンに相当する非たん白性のフェノール試薬呈色物質の増加をもたらす活性を1U(単位)とする。
中性プロテアーゼ力価は、例えば、一般財団法人日本食品分析センターがウェブ上で公開している「分析簡易フローチャート」(http://www.jfrl.or.jp/bunsekiflow/index.html)の「酸性,中性及びアルカリ性プロテアーゼ力価」の項に記載された測定方法や、「第四回改正国税庁所定分析法注解」(日本醸造協会)に従って測定することができる。
更に、本実施形態に係る穀物外皮加工品は、L値が31以上である。L値の下限値は好ましくは50以上、より好ましくは60以上である。L値の上限値は好ましくは80以下であり、より好ましくは77以下、更に好ましくは75以下である。
ここで「L値」とは、公知の手法を用いて色差計により測定された穀物外皮加工品の明度を示す値をいう。L値は0から100までの数値で表され、L値0は黒、L値100は白を意味する。色差計としては、例えば、分光測色計CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いることができる。
本実施形態に係る穀物外皮加工品は、詳細は後述するが、穀物外皮を加熱処理すること等により製造することができる。穀物外皮加工品の製造工程において過剰に加熱すると、穀物外皮の表面が焦げて黒くなり、穀物外皮加工品のL値が31未満になる場合がある。この場合、当該穀物外皮加工品を使用したベーカリー製品は、風味が悪くなるおそれがある。
また、穀物外皮加工品のL値が80以下となるように加熱処理を行うことで、穀物外皮中に残存する酵素の活性を抑制する効果がより高まり、ベーカリー生地に使用した際に、生地の二次加工適性がより良好となる。加えて、より好ましい焙煎の風味を付与することができるため、ベーカリー製品に使用した際に風味がより良好となる。
本実施形態に係る穀物外皮加工品は、a値が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ここで「a値」とは、公知の手法を用いて色差計により測定された穀物外皮加工品の色度(色相と彩度)を示す値をいう。a値は、プラスの値が大きくなるほど赤味が強いことを意味し、マイナスの値が大きくなるほど緑味が強いことを意味する。a値は前述のL値と同様に、例えば分光測色計CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定することができる。
a値は、加熱処理に起因する穀物外皮加工品の焦げを定量的に判断する際の指標となり、a値のプラスの値が大きく赤みが強い穀物外皮加工品ほど、加熱処理による焦げが強いと判断することができる。穀物外皮加工品のa値が10以下となるように加熱処理を行うことで、焦げの発生を防ぎ、焦げ臭や苦みをより効果的に抑制することが可能である。
本実施形態に係る穀物外皮加工品の平均粒径は、好ましくは20〜60μmであり、より好ましくは20〜50μmであり、更に好ましくは20〜40μmである。平均粒径をこのような範囲とすることで、ベーカリー生地に使用した際に、作業性がより良好となる。また、得られるベーカリー製品のボリュームがより大きくなって、食感がよりソフトになる。上記平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて乾式で測定することができる。
また、本実施形態に係る穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物のアミログラフ糊化最高粘度は、好ましくは370BU以上であり、より好ましくは390BU以上である。アミログラフ糊化最高粘度の上限値は、好ましくは500BU以下であり、より好ましくは460BU以下である。このような範囲にすることで、本実施形態に係る穀物外皮加工品を使用したベーカリー生地の二次加工適性をより向上させることができる。
ここで「アミログラフ糊化最高粘度」とは、本実施形態に係る穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物に水を加えて撹拌した懸濁液を、撹拌しながら除々に温度を上げていき、粘度の変化をアミログラフ(ビスコグラフE型、ブラベンダー社製)で測定したときの最高粘度をいう。具体的には、上記混合物に、固形物換算で12質量%となるように水を加えて調製した懸濁液515gをアミログラフの測定容器に入れて装置に設置し、25℃から測定を開始して、1.5℃/分で昇温した後、95℃到達後5分間同温度に保持して、この間の最高粘度をアミログラフ糊化最高粘度とする。単位は「BU」(BrabenderUnit)である。
また、本実施形態に係る穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物は、ファリノグラフにより測定した安定度が、7.0分以上であることが好ましく、より好ましくは8.0分以上である。このような範囲にすることで、本実施形態に係る穀物外皮加工品を使用したベーカリー生地の機械耐性及び二次加工適性をより向上させることができる。
ここで「ファリノグラフにより測定した安定度」とは、ファリノグラフ(ファリノグラフE型、ブラベンダー社製)により測定した生地安定度のことである。具体的には、ファリノグラフのミキサー内に、穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物を入れ、更に当該混合物に対して64質量%の水を加えて捏ね、最大抵抗値に達してから20分間測定を行い、最大抵抗値に達してからその最大抵抗値を維持した時間を「ファリノグラフにより測定した安定度」とする。当該安定度の単位は「分」である。
本実施形態に係る穀物外皮加工品の原料となる穀物外皮としては、例えば、小麦ふすま、大麦ふすま、オート麦ふすま、ライ麦ふすま、米糠、トウモロコシの種皮、大豆皮等が挙げられる。本実施形態に係る穀物外皮加工品は、小麦ふすま加工品又は大豆皮加工品であることが好ましい。
<穀物外皮加工品の製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品の製造方法について説明する。
上述した本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品は、以下に示す穀物外皮加工品の製造方法により得ることができる。
本実施形態に係る穀物外皮加工品の製造方法は、乾熱処理により穀物外皮の品温を100〜150℃とした後、穀物外皮100質量部に対して10〜40質量部の水を散水し、前記穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で3分以上維持する熱処理工程を含む。
熱処理工程では、まず、加熱用の容器に入れた穀物外皮の品温を乾熱処理により100〜150℃とする。これにより、穀物外皮に好ましい焙煎の風味を付与することができる。乾熱処理における品温は、好ましくは100〜130℃である。
ここで「乾熱処理」とは、水分を加えずに加熱することをいう。穀物外皮の熱処理を開始する前又は開始した直後に水を加えて加熱する湿熱処理を行うと、穀物外皮の品温が100℃に達するまで非常に時間が掛かり、穀物外皮内の酵素を十分に失活させるためには長時間加熱し続けなければならず、好ましくない。
乾熱処理において、品温が100℃未満であると、穀物外皮加工品の酵素が十分に失活せず二次加工適性が悪くなるおそれがあり、また、青臭いにおいやえぐ味が残って穀物外皮加工品の風味も悪くなるおそれがある。また、乾熱処理後の品温が150℃超となると、穀物外皮が焦げてしまい、最終的に得られる穀物外皮加工品のL値が31未満となり、苦みや焦げ臭が生じて風味が悪くなるおそれがある。
上記乾熱処理の後、穀物外皮100質量部に対して10〜40質量部の水を散水する。加熱された容器内に散水することで蒸気が発生し、この蒸気により穀物外皮の内部にまで早く均一に熱を加えることができる。そのため、散水せずに加熱した場合と比較して、穀物外皮に残存する酵素の活性を効果的に低下させることが可能である。散水する水の量は、穀物外皮100質量部に対して好ましくは15〜40質量部であり、より好ましくは15〜30質量部であり、更に好ましくは15〜25質量部である。
散水する水の量が10質量部未満の場合、α−アミラーゼ力価を150mU/g以下とするには長時間加熱し続けなければならないため、穀物外皮が焦げて黒くなり、得られる穀物外皮加工品のL値が31未満となるおそれがある。
一方、散水する水の量が40質量部超であると、穀物外皮が加熱容器の壁面に付着したり、ダマが発生したりする場合がある。また、穀物外皮の品温が下がり、穀物外皮中に含まれる酵素を十分に失活できないおそれがある。
更に、水の量が多いほど、加熱時間を長くする必要があるため製造コストの観点からも好ましくない。また、加熱過程でブロック状の塊ができて、熱が均一に伝わらない場合がある。
散水の方法は、水を散らしながら添加することができれば特に限定されない。また、散水される水の形状も特に限定されず、霧状、シャワー状等とすればよい。散水により加水せず、例えば、水を一時に全量加えたり局所的に加えたりすると、ダマが生じて穀物外皮が不均一な状態となるおそれがある。
散水により加水した後の穀物外皮の品温は、90〜150℃の範囲で3分以上維持する。この時間が3分未満であると、穀物外皮内の酵素が十分に失活されない。そのため、最終的に得られた穀物外皮加工品を配合し、製造したベーカリー生地は、だれたりべたついたりするおそれがあり、二次加工適性に劣り、焼成後の膨化が不十分でベーカリー製品の食感や外観が悪くなる場合がある。また、穀物外皮に対する「蒸し」の時間が不十分となって穀物外皮特有のえぐ味が残り、穀物の甘味が付与されず、ベーカリー製品の風味が悪くなる場合がある。また、穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で維持する時間は、3分以上であれば特に限定されないが、製造コストの観点からは50分未満とすることが好ましい。
このように、散水開始後の穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で3分以上維持する必要があるため、加熱効率の観点から、散水中も加熱を継続して品温を90℃以上に維持することが好ましい。
上記熱処理工程においては、加熱用の容器として開放系容器又は密閉系容器のいずれを用いてもよいが、開放系容器を用いることが好ましい。開放系容器内で散水及び加熱を行うことで、蒸気による「蒸し」と、水分をとばしながら加熱する「焙煎」の両方を行うことができる。これにより、穀物外皮に含まれる酵素をより効率よく失活させつつ、穀物外皮特有の青臭いにおいやえぐ味を取り除いて、好ましい焙煎臭や穀物の甘味といった良好な風味を付与することができる。
熱処理工程における加熱手段としては、焙煎機や乾燥機を用いることができる。焙煎機の例としては、回転式焙煎機(クマノ厨房工業株式会社製)、赤外線振動火入機(山益製作所製)、熱風式焙煎装置(株式会社富士工業製)が挙げられる。乾燥機の例としては、パドルドライヤー(株式会社奈良機械製作所製)、流動層乾燥装置(株式会社大川原製作所製)、トーラスディスク(ホソカワミクロン株式会社製)、二軸間接加熱乾燥機(株式会社栗本鐵工所製)が挙げられる。
また、本実施形態に係る穀物外皮加工品の製造方法は、更に、前記穀物外皮を粉末状に粉砕して平均粒径を20〜60μmとする粉砕工程を含むことが好ましい。当該平均粒径は、好ましくは20〜50μmであり、より好ましくは20〜40μmである。平均粒径をこのような範囲とすることで、得られる穀物外皮加工品を含むベーカリー製品はボリュームがより出易くなり、食感がよりソフトになる。また、得られる穀物外皮加工品をベーカリー生地に使用した場合に、他の原料と穀物外皮加工品に偏りが生じにくくなり、二次加工適性がより向上する。
穀物外皮の粉砕方法は、特に限定されず、ロール式粉砕、衝撃式粉砕、気流式粉砕等公知の方法を用いることができる。上述した粒径の穀物外皮加工品を得るためには、微粉砕が可能な粉砕機を用いることが好ましい。例えば、パルベライザー(株式会社ダルトン製)やジェットミル(株式会社セイシン企業製)が挙げられる。また、分級機を内蔵した衝撃型微粉砕機のACMパルベライザー(ホソカワミクロン株式会社製)を用いてもよい。
穀物外皮の平均粒径の調整方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ロール式粉砕や衝撃式粉砕、気流式粉砕等において通常用いられる粉砕装置を使用して平均粒径が20〜60μmとなるように粉砕してもよく、粉砕後に分級することで平均粒径を調整してもよい。粉砕後の分級により平均粒径を20〜60μmに調整する場合、任意に分級点を設定した気流式分級機にて分取し、回収すればよい。また、平均粒径が20〜60μmとなるような目開きの篩を用いて平均粒径を調整してもよい。平均粒径は、例えば、前述のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて乾式で測定することができる。
前述の熱処理工程及び粉砕工程の順序は特に限定されず、熱処理工程の後に粉砕工程を行ってもよく、粉砕工程の後に熱処理工程を行ってもよい。また、熱処理工程と粉砕工程は必ずしも連続して行う必要はなく、熱処理工程と粉砕工程の間に時間を置いてもよく、他の工程を挟んでもよい。本実施形態に係る穀物外皮加工品の製造方法では、熱処理工程よりも後に粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕工程において穀物外皮の粒度を細かくする前に熱処理工程を行うことにより、熱処理工程で散水した際にダマがより発生しにくくなるため、加熱のばらつきをより効果的に抑制することができる。また、熱処理後の穀物外皮は、水分量が低下しているため、粉砕工程において粉砕しやすく、より細かい粒度の粉砕が可能となる。
本実施形態に係る穀物外皮加工品の製造方法において、原料となる穀物外皮としては、例えば、小麦ふすま、大麦ふすま、オート麦ふすま、ライ麦ふすま、米糠、トウモロコシの種皮、大豆皮等が挙げられる。これらの中でも、小麦ふすま又は大豆皮を用いることが好ましい。
<ベーカリー製品の製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係るベーカリー製品の製造方法について述べる。
本実施形態に係るベーカリー製品の製造方法は、上述した本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品を配合することを含む。上記穀物外皮加工品以外の原料としては、一般的なベーカリー製品の製造方法で使用される原料から目的に応じて選択すればよいが、穀粉を主成分とすることが好ましい。
穀物外皮加工品の含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、穀粉と穀物外皮加工品の合計量を100質量部としたときに、好ましくは5〜30質量部であり、より好ましくは5〜20質量部であり、更に好ましくは10〜20質量部である。このような量とすると、ベーカリー生地の二次加工適性がより良好となり、且つ、穀物外皮由来の食物繊維、ミネラル、ビタミンといった栄養素が豊富なベーカリー製品を得ることができる。
上記穀粉としては、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、とうもろこし粉等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。穀粉以外の原料としては、例えば、水、油脂、でん粉類、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、乳化剤、酵素製剤、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料等が挙げられる。
また、原料の一部として後述するベーカリー製品用ミックス粉を用いてもよい。
本発明のベーカリー製品の製造方法は特に限定されず、一般的なベーカリー製品の製造方法を採用すればよい。例えば、パン類の製造方法としては、直捏法(ストレート法)、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、湯種法、冷凍生地法等が挙げられ、菓子類の製造方法としては、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法等が挙げられる。
<ベーカリー製品>
次に、本発明の一実施形態に係るベーカリー製品について述べる。
本実施形態に係るベーカリー製品は、上述した本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品を含む。ここでいう「ベーカリー製品」とは、穀粉を含む生地を加熱調理して得られるものであれば、特に限定されず、例えば、パン類や菓子類が挙げられる。パン類としては、例えば、食パン、ロールパン、菓子パン、デニッシュペストリー、バラエティブレッド、調理パン、蒸しパン等が挙げられる。菓子類としては、スポンジケーキ、バターケーキ、ビスケット、クッキー、クラッカー等が挙げられる。
<ベーカリー製品用ミックス粉>
最後に、本発明の一実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉について述べる。
本実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉は、上述した本発明の一実施形態に係る穀物外皮加工品を含む。上記穀物外皮加工品以外の原料としては、一般的にベーカリー製品の生地に配合される粉末状の原料を含むことが好ましい。
粉末状の原料としては、例えば、穀粉が挙げられる。当該穀粉としては、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、とうもろこし粉等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。本実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉は、小麦粉を主体とするのが、食感及び風味、二次加工適性がより良好となるので、好適である。小麦粉は、一般に、強力粉、中力粉、薄力粉に分類される。本実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉は、パン類の製造に用いる場合には強力粉を主成分とすることが好適であり、菓子類の製造に用いる場合には薄力粉を主成分とすることが好適である。
他の粉末状原料としては、例えば、でん粉類、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、乳化剤、酵素製剤、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩類、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料等が挙げられる。これらは、目的に応じて単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉は、穀物外皮加工品及び穀粉を含むものであり、使用時に水、牛乳、油脂、卵等の粉末状原料以外の原料と組み合わせることにより、ベーカリー製品の製造の用に供されるものであってもよい。
穀物外皮加工品及び穀粉を含むベーカリー製品用ミックス粉の場合、穀物外皮加工品の含有量は、穀粉と穀物外皮加工品の合計量を100質量部としたときに、好ましくは5〜30質量部であり、より好ましくは5〜20質量部であり、更に好ましくは10〜20質量部である。このような量とすると、ベーカリー生地の二次加工適性がより良好となり、且つ、穀物外皮由来の食物繊維、ミネラル、ビタミンといった栄養素が豊富なベーカリー製品を得ることができる。
また、本実施形態に係るベーカリー製品用ミックス粉は、穀物外皮加工品及びベーカリー製品の粉末状原料の一部を含むものであり、使用時に穀粉や他の原料と組み合わせることにより、ベーカリー製品の製造の用に供されるものであってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
試験例1では、穀物外皮加工品の製造工程における加水量を検討した。
[穀物外皮加工品の製造]
小麦ふすまを回転式焙煎機(クマノ厨房工業株式会社製)に投入し、品温110℃になるまで加熱した後、小麦ふすま100質量部に対して10質量部の水を散水し、小麦ふすまの品温を100〜110℃の範囲で20分維持した。その後、小麦ふすまを、分級機を内蔵した衝撃型微粉砕機のACMパルベライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕し、目開き500μmの篩にかけ、篩下の画分を拐取し、実施例1の小麦ふすま加工品を得た。また、散水する水の量を、小麦ふすま100質量部に対して15質量部、25質量部、40質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例2〜4の小麦ふすま加工品を得た。
また、散水する水の量を、小麦ふすま100質量部に対して0質量部、5質量部、60質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、比較例1〜3の小麦ふすま加工品を得た。
[穀物外皮加工品の特性の測定]
実施例1〜4及び比較例1〜3の小麦ふすま加工品について、平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて乾式で測定した。
また、α−アミラーゼ力価は、α−Amylase Assay Kit(Megazyme社製)を用いて測定した。測定条件はマニュアルに従った。α−アミラーゼ力価の定量下限値は31.3mU/gであり、後記表に示す実施例の結果において「定量下限値未満」とは、α−アミラーゼ力価が31.3mU/g未満であったことを意味する。
中性プロテアーゼ力価は、以下の手順により測定した。
まず、5gの穀物外皮加工品を採取し、2%塩化カリウム溶液50mLを添加し、60分間撹拌抽出した。抽出液を遠心分離後、ろ過したものを試験溶液とした。
次に、カゼイン溶液(pH6.0)5mLに、上記試験溶液1mLを添加し、38℃で60分間反応させ、0.44mol/Lのトリクロロ酢酸溶液5mLを加え、38℃で40分間放置した。その後、ろ過したろ液2mLに、0.55mol/L炭酸ナトリウム溶液5mLとフェノール試薬1mLを加えて38℃で30分間の発色を行い、660nmで吸光度を測定した。穀物外皮加工品から得られた試験溶液を含まない、ブランクのサンプルについても同様に吸光度測定を行い、作成したL−チロシンの検量線から生成チロシン量を求めた。中性プロテアーゼ力価は、反応初期の1分間に1μgのL−チロシンに相当する非たん白性のフェノール試薬呈色物質の増加を示す活性を1U(単位)とした。
なお、定量可能な中性プロテアーゼ力価の下限値は、10U(単位)/gであり、後記表に示す実施例の結果において「定量下限値未満」とは、中性プロテアーゼ力価が10U/g未満であったことを意味する。
L値及びa値は、分光測色計CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。
実施例1の小麦ふすま加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物について、アミログラフ(ビスコグラフE型、ブラベンダー社製)を用いてアミログラフ糊化最高粘度(BU)を測定した。具体的には、上記混合物に、固形物換算で12質量%となるように水を加えて調製した懸濁液515gをアミログラフの測定容器に入れて装置に設置し、25℃から測定を開始して、1.5℃/分で昇温した後、95℃到達後5分間分間同温度に保持して、この間の最高粘度をアミログラフ糊化最高粘度として測定した。
また、当該混合物の安定度(分)はファリノグラフ(ファリノグラフE型、ブラベンダー社製)を用いて測定した。具体的には、ファリノグラフのミキサー内に、穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物を入れ、更に当該混合物に対して64質量%の水を加えて捏ね、最大抵抗値に達してから20分間測定を行った。最大抵抗値に達してからその最大抵抗値を維持した時間を、ファリノグラフにより測定した安定度(分)とした。
[パンの製造]
A.強力粉(キングスター、昭和産業株式会社製)90質量部、実施例1の小麦ふすま加工品10質量部、イースト2質量部、食塩1.5質量部、グラニュー糖3質量部と、水76質量部をボウルに入れた。生地の状態を見ながら水分量を微調整して、混合撹拌機5DM型(株式会社品川工業所製)を用いて低速で2分間、中低速で2分間ミキシングした。
B.Aにショートニング2質量部を加え、更に中低速で2分間ミキシングした。生地の捏上温度は27±0.5℃とした。
C.Bの生地を28℃、湿度80%の条件下で90分間発酵させた後、パンチを行い、更に30分間発酵させた。
D.Cの生地を500gに分割し、丸めを行った後、28℃、湿度80%の条件下でベンチタイムを25分間とった。
E.Dの生地をロール状に成形して型に詰め、38℃、湿度80%の条件下でホイロを40分間とった後、205℃で30分間焼成した。
上記A〜Eの工程により、実施例1の小麦ふすま加工品を含むパンを製造した。
また、小麦ふすま加工品を実施例2〜4又は比較例1〜3の小麦ふすま加工品に変更した以外は上記A〜Eの工程と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜3に係る小麦ふすま加工品含むパンを製造した。
[評価]
上記パンの製造工程において調製したミキシング時、成形時の生地のそれぞれについて、以下の評価基準に従って評価した。3点以上を合格とした。
5:生地に弾力があり、非常に良好
4:生地にやや弾力があり、良好
3:生地の弾力にやや欠けるが、許容できる範囲
2:生地がやや弱い
1:生地が弱く、べたつきがある
また、上記パンの製造工程において調製した成形時の生地の伸展性を評価した。生地を伸ばし、メジャーにより生地の長さを測定して、30cm×14cm以上、33cm×14cm以下の伸展生地を合格とした。生地の長さが30cm未満の生地は硬くて切れやすく、33cm超の生地は緩くてべたつきが生じ、膨らみの悪いパンとなるおそれがある。
製造したパンについては、体積(cc)、重量(g)を測定し、体積を重量で割ることにより比容積(cc/g)を算出した。体積は、3Dレーザー体積測定機「Selnac−WinVM2100」(株式会社アステックス製)により測定した。比容積を求めることにより、パンのボリューム(膨化)を評価した。
また、製造したパンは、5人の専門パネラーが以下の評価基準に従って食感及び風味について評価を行い、その平均値を算出して、小数点第1位を四捨五入した値を評価点とした。3点以上を合格とした。
(食感)
5:ソフトでしっとりし、非常に良好な食感
4:ややソフトでしっとりし、良好な食感
3:ソフトさ、しっとりさにやや欠けるが、許容できる範囲
2:やや硬い食感
1:硬い食感
(風味)
5:甘みがあり、風味が非常に良好
4:やや甘みがあり、風味が良好
3:風味が許容できる範囲
2:苦みと焦げ臭があり、風味がやや悪い、又は、やや穀物外皮特有のにおいがあり、やや風味が悪い
1:苦みと焦げ臭が強く、風味が悪い、又は、穀物外皮特有のにおいがあり、風味が悪い
更に、生地及びパンの評価を総合的に判断して、小麦ふすま加工品を以下の基準に従って評価した。
◎:ベーカリー生地及びベーカリー製品に非常に好適
○:ベーカリー生地及びベーカリー製品に好適
△:ベーカリー生地及びベーカリー製品に適している
×:ベーカリー生地及びベーカリー製品に不適
実施例1〜4及び比較例1〜3の結果を下記表1に示す。なお、以下表中の「小麦ふすまA」は、国内産小麦から調製した。
Figure 2017079702
小麦ふすま加工品の製造工程における加水量を、小麦ふすま100質量部に対して10〜40質量部とした実施例1〜4の小麦ふすま加工品をパン生地に配合した場合、生地はだれやべたつきがなく、二次加工適性(製パン性)が良好であった。また、得られたパンは十分に膨化し、食感が良好で、甘味も感じられ、風味も良好であった。これに対して、加水量が0質量部である比較例1、及び加水量が5質量部である比較例2の小麦ふすま加工品を配合したパン生地は弾力性がやや弱く、得られたパンのボリュームがないため食感が悪かった。また、加水量を60質量部とした比較例3では、製造工程における加水後に、ダマが発生して加熱容器の壁面に小麦ふすまが付着してしまい、小麦ふすま加工品を調製することができなかった。これらの結果から、加水量は10〜40質量部とすることが好適であることが確認された。
<試験例2>
試験例2では、穀物外皮加工品の製造工程における加水後の熱処理温度を検討した。
基本的には、上記試験例1の実施例2と同様の手順により、小麦ふすま加工品の製造、小麦ふすま加工品の特性の測定、パンの製造、評価を行った。但し、小麦ふすま加工品を製造するにあたり、加水後の小麦ふすまの品温を適宜調整した。具体的には、当該品温を、実施例5では90〜100℃、実施例6では120〜130℃、実施例7では140〜150℃、比較例4では60〜70℃、比較例5では160〜170℃とした。
実施例5〜7及び比較例4、5の結果を下記表2に示す。
Figure 2017079702
小麦ふすま加工品の製造工程における加水後の品温を90〜150℃の範囲とした、実施例2(表1参照)及び実施例5〜7(表2参照)の小麦ふすま加工品をパン生地に配合した場合、生地はだれやべたつきがなく、二次加工適性(製パン性)が良好であった。また、得られたパンは十分に膨化し、食感が良く、風味も問題なかった。これに対して、加水後の品温を60〜70℃とした比較例4の小麦ふすま加工品を配合したパン生地は弾力性がやや弱く、得られたパンのボリュームがなく硬い食感で、ふすま臭も感じられ、風味が悪かった。また、加水後の品温を160〜170℃とした比較例5の小麦ふすま加工品を配合したパンは、苦みが強く、焦げ臭があり、好ましいものではなかった。これらの結果から、加水後の品温は90〜150℃の範囲とすることが好適であることが確認された。
<試験例3>
試験例3では、穀物外皮加工品の製造工程において、加水後に所定の温度で熱処理する際の熱処理時間を検討した。
基本的には、上記試験例1の実施例2と同様の手順により、小麦ふすま加工品の製造、小麦ふすま加工品の特性の測定、パンの製造、評価を行った。但し、小麦ふすま加工品を製造するにあたり、加水後における小麦ふすまの品温を100〜110℃の範囲で維持する際の時間を適宜調整した。具体的には、当該時間を、実施例8では3分、実施例9では5分、実施例10では15分、実施例11では30分、実施例12では40分、実施例13では50分、比較例6では1分とした。
実施例8〜13及び比較例6の結果を下記表3に示す。
Figure 2017079702
小麦ふすま加工品の製造工程における加水後の熱処理時間を3分以上とした、実施例2(表1参照)及び実施例8〜13(表3参照)の小麦ふすま加工品をパン生地に配合した場合、生地はだれやべたつきがなく、二次加工適性(製パン性)が良好であった。また、得られたパンのボリュームや食感、風味も問題なかった。これに対して、時間を1分とした比較例6の小麦ふすま加工品を配合したパン生地は弾力性がやや弱く、また、得られたパンは膨化が悪く、青臭さやふすま臭が感じられ、好ましいものではなかった。これらの結果から、加水後の熱処理時間は3分以上とすることが好適であることが確認された。
<試験例4>
試験例4では、穀物外皮加工品の平均粒度について検討した。
まず、上記試験例1の実施例2と同様の条件で小麦ふすまを加熱処理した。その後、実施例2とは粉砕条件を変えて小麦ふすまを粉砕した。これにより、α−アミラーゼ力価、中性アミラーゼ力価、L値及びa値は、実施例2の小麦ふすま加工品と同じであり、平均粒径のみが実施例2と異なる、実施例14〜17の小麦ふすま加工品を得た。平均粒径は、実施例14が24.73μm、実施例15が33.55μm、実施例16が46.31μm、実施例17が57.33μmであった。これらの小麦ふすま加工品を用いて、上記試験例1の実施例2と同様の手順により、パンの製造及び評価を行った。
実施例14〜17及の結果を下記表4に示す。
Figure 2017079702
実施例14〜17の小麦ふすま加工品をパン生地に配合した場合、生地はだれやべたつきがなく、二次加工適性(製パン性)が良好であった。また、得られたパンのボリュームや食感、風味も問題なかった。実施例17と、実施例14〜16とを比較すると、粒度がより細かい実施例14〜16の方が、製パン性や食感が良好な傾向が見られた。これらの結果から、穀物外皮加工品の平均粒径は20〜60μmが好適であることが確認された。
<試験例5>
試験例5では、試験例1〜4とは異なる小麦ふすまBを用いて検討を行った。下記表5に示す加工条件で、試験例1と同様の手順により、小麦ふすま加工品の製造、小麦ふすま加工品の特性の測定、パンの製造、評価を行った。
実施例18〜20の結果を下記表5に示す。なお、「小麦ふすまB」は、外国産小麦から調製した。
Figure 2017079702
実施例18〜20の小麦ふすま加工品を配合したパン生地は、二次加工適性(製パン性)が良好であった。また、得られたパンのボリュームや食感、風味も良好であった。
<試験例6>
試験例6では、小麦ふすまの代わりに大豆皮を用いて検討を行った。下記表6に示す加工条件で、試験例1と同様の手順により、大豆皮加工品の製造、大豆皮加工品の特性の測定、パンの製造、評価を行った。
実施例21〜23の結果を下記表6に示す。
Figure 2017079702
実施例21〜23の大豆皮加工品は、α−アミラーゼ力価及び中性プロテアーゼ力価が定量下限値を下回る値であったため、検出することができなかった。また、実施例21〜23の大豆皮加工品を配合したパン生地は、二次加工適性(製パン性)が良好であり、得られたパンのボリュームや食感、風味も良好であった。
<試験例7>
試験例7では、実施例2、6及び比較例1の小麦ふすま加工品を用いて、実施例24、25及び比較例7のスポンジケーキを製造した。
[スポンジケーキの製造]
A.全卵100質量部をほぐしてから、砂糖75質量部を加えた。
B.生地温度が25℃前後になるように温度を調整しながら、ミキサーを用いて高速で泡立てた後、低速でミキシングして生地を均一にした。
C.篩った小麦粉44質量部と実施例2の小麦ふすま加工品11質量部をBに加えた。
D.牛乳10質量部とバター10質量部を60℃前後の湯煎で溶かし、Cに加えて混ぜ合わせた。
E.Dの生地を型に入れ、175〜180℃で25〜30分間焼成した。
上記A〜Eの工程により、実施例24のスポンジケーキを製造した。
また、実施例2の小麦ふすま加工品を実施例6又は比較例1の小麦ふすま加工品に変更した以外は上記A〜Eの工程と同様にして、実施例25及び比較例7のスポンジケーキを製造した。
[評価]
試験例1と同様の評価基準に従って、スポンジケーキの食感及び風味を評価した。また、5人の専門パネラーが以下の評価基準に従ってスポンジケーキの外観(膨化)について評価を行い、その平均値を算出して、小数点第1位を四捨五入した値を評価点とした。3点以上を合格とした。
(外観(膨化))
5:十分に膨化し、外観が非常に良好
4:均一に膨化し、外観が良好
3:膨化し、許容できる範囲
2:やや膨化に欠け、外観がやや悪い
1:膨化に欠け、外観が悪い
更に、試験例1と同様の評価基準に従って、生地及びスポンジケーキを総合的に評価した。
実施例24、25及び比較例7の結果を下記表7に示す。
Figure 2017079702
実施例24、25のスポンジケーキは、外観(膨化)、食感、風味、総合評価のいずれも非常に良好であった。比較例7のスポンジケーキは、外観(膨化)、食感及び風味のいずれも好ましくなく、総合評価は「×」であった。
<試験例8>
試験例8では、実施例2、6及び比較例1の小麦ふすま加工品を用いて、実施例26、27及び比較例8のパンケーキを製造した。
[パンケーキの製造]
A.ボウルに全卵50gと牛乳200mLを入れて、泡立て器でよく混ぜ、ホットケーキミックス(ホットケーキミックス(昭和産業株式会社製))180gと実施例2の小麦ふすま加工品20gを加えて、ダマがなくなるまで軽く混ぜた。
B.フライパンを熱し、一度ぬれぶきんのうえにのせ、少し冷ました後、Aの生地を流し入れた。
C.弱火で3分間程焼き、表面に泡が出てきたら裏返して2〜3分間焼いた。
上記A〜Cの工程により、実施例26のパンケーキを製造した。
また、小麦ふすま加工品を実施例6又は比較例1に変更した以外は上記A〜Cの工程と同様にして、実施例27及び比較例8のパンケーキを製造した。
評価は、試験例7と同様の基準に従って行った。
実施例26、27及び比較例8の結果を下記表8に示す。
Figure 2017079702
実施例26、27のパンケーキは、外観(膨化)、食感、風味、総合評価のいずれも非常に良好であった。比較例8のパンケーキは、外観(膨化)及び風味が好ましくなく、総合評価は「×」であった。
試験例7、8の結果から、本発明に係る穀物外皮加工品は、菓子類の製造においても好適であることが確認された。

Claims (9)

  1. α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である、穀物外皮加工品。
  2. 粉末状であり、平均粒径が20〜60μmである、請求項1に記載の穀物外皮加工品。
  3. 前記穀物外皮加工品10質量%と強力粉90質量%からなる混合物のアミログラフ糊化最高粘度が370BU以上である、請求項1又は2に記載の穀物外皮加工品。
  4. 前記穀物外皮加工品が、小麦ふすま加工品又は大豆皮加工品である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の穀物外皮加工品。
  5. 乾熱処理により穀物外皮の品温を100〜150℃とした後、穀物外皮100質量部に対して10〜40質量部の水を散水し、前記穀物外皮の品温を90〜150℃の範囲で3分以上維持する熱処理工程を含む、穀物外皮加工品の製造方法。
  6. 更に、前記穀物外皮を粉末状に粉砕して平均粒径を20〜60μmとする粉砕工程を含む、請求項5記載の穀物外皮加工品の製造方法。
  7. α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を配合することを含む、ベーカリー製品の製造方法。
  8. α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を含む、ベーカリー製品。
  9. α−アミラーゼ力価が150mU/g以下であり、中性プロテアーゼ力価が20U/g未満であり、L値が31以上である穀物外皮加工品を含む、ベーカリー製品用ミックス粉。
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