JP2017078245A - 人工毛髪用合成繊維 - Google Patents

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【課題】絡んだりもつれたりすることのない、品質の優れた人工毛髪用合成繊維を提供すること。【解決手段】微細孔形成剤を有するポリエステル繊維であって、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が5.0%未満であることを特徴とする人工毛髪用合成繊維。さらには、微細孔形成剤が金属を含有する化合物であることや、単繊維繊度が20〜200dtexであることが好ましい。もう一つの人工毛髪用合成繊維の製造方法は、ポリエステルを紡糸、延伸する人工毛髪用合成繊維の製造方法であって、延伸後に150〜250℃の範囲の収縮熱処理を行うことを特徴とする。さらには、このような本発明の人工毛髪用合成繊維を、減量処理により凹凸を形成し、染色する人工毛髪の製造方法である。特には減量処理がアルカリ溶液であるものや、染色が高温高圧染色であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、人工毛髪用合成繊維に関し、さらに詳しくは、ポリエステル繊維からなる、人間の毛髪的な自然な光沢を有しながら、湾曲の少ない、高品質の人工毛髪に適した人工毛髪用合成繊維に関するものである。
従来、人工毛髪の素材として種々の合成繊維が用いられているが、中でもポリエステル繊維は、抗張力、耐熱性、セット保持性などの特性に優れており、現在では、かつら、ヘヤーウイッグ、エクステンション、ヘヤーバンドなどに用いられる人工毛髪の素材として広く用いられている。
だがポリエステル繊維には、ポリエステル自体の屈折率が高く、表面光沢が強すぎるという問題があった。これらの問題を、その基本的特性として有しているのである。
そこでこのポリエステル繊維に人毛に近い適度な艶消し性を付与するために、種々の技術が適用されてきた。例えば、特許文献1では、特定の断面形状を有し、繊維表面に凹部が存在するポリエステル繊維からなる人工毛髪用繊維が提案されている。特許文献2では、無機粒子を含んだ先細テーパ―状のポリエステル系フィラメントの表面にアルカリ加水分解による浸食痕が存在する人工毛髪が提案されている。
ところでこれらの技術では、高品質の人工毛髪とするために、いずれもアルカリ減量工程及び染色工程が必要である。そして人工毛髪用のポリエステル繊維は比較的繊度の大きい繊維束であるために、ポリエステル繊維をかせ状の繊維束にした後、これらの処理工程に供することが一般的である。
しかし、このようなかせ状の繊維束を用いて特に高圧染色を行った場合には、繊維が絡みやすいという問題があった。アルカリ減量工程や染色工程などの途中工程にて繊維が絡んだりもつれたりするために、人工毛髪用繊維としての品質が大きく損なわれる、という問題があったのである。
特開2006−219795号公報 特開2012−12738号公報
本発明は上記背景のもとになされたもので、絡んだりもつれたりすることのない、品質の優れた人工毛髪用合成繊維を提供することにある。
本発明の人工毛髪用合成繊維は、微細孔形成剤を有するポリエステル繊維であって、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が5.0%未満であることを特徴とする。
さらには、微細孔形成剤が金属を含有する化合物であることや、単繊維繊度が20〜200dtexであることが好ましい。
もう一つの本発明の人工毛髪用合成繊維の製造方法は、ポリエステルを紡糸、延伸する人工毛髪用合成繊維の製造方法であって、延伸後に150〜250℃の範囲の収縮熱処理を行うことを特徴とする。
さらには、このような本発明の人工毛髪用合成繊維を、減量処理により凹凸を形成し、染色する人工毛髪の製造方法である。特には減量処理がアルカリ溶液であるものや、染色が高温高圧染色であることが好ましい。
本発明によれば、絡んだりもつれたりすることのない、品質の優れた人工毛髪用合成繊維が提供される。
本発明の人工毛髪用合成繊維の好ましい断面形状の例。
本発明の人工毛髪用合成繊維は、微細孔形成剤を有するポリエステル繊維であって、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が5.0%未満であるものである。
ここで本発明の人工毛髪用合成繊維に用いられるポリエステル繊維としては、強度等の物性や経済性の観点からは、汎用的に用いられているポリアルキレンテレフタレート繊維であることが好ましい。
このような本発明の合成繊維として最適なポリアルキレンテレフタレート繊維は、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールまたは1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステル、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートであることが特に好ましい。
また、本発明のポリエステル繊維は、微細孔形成剤を有することが必要である。微細孔形成剤を含有する高分子からなる本発明のポリエステル繊維は、その後の減量処理などにより、凹凸を有し品質に優れた人工毛髪となる。さらには微細孔形成剤としては、シリカゾル、酸化アルミニウムを含有する乾式法シリカ、粒子表面のシラノール基を封鎖した乾式法シリカ、アルミナゾル、微粒子状アルミナ、極微粒子状酸化チタン、微粒子状炭酸カルシウム、有機スルホン酸金属塩化合物などから選ばれるいずれか一つの微細孔形成剤であることが好ましい。またさらに、これらの平均粒径、添加量、アルカリ減量処理条件を適宜選択することにより、人工毛髪の凹部の形状を制御することができる。なかでも、微細孔形成剤が金属を含有する化合物である場合には、汎用的なアルカリ減量処理によって、良好な形状の凹部が形成できるため、特に好ましい。より具体的な金属を含有する化合物としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム−ジカルボン酸マグネシウム等であることが最も好ましい。このような微細孔形成剤の含有量としては0.1〜4.0重量%、特には0.3〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。
また人工毛髪用合成繊維に用いられるポリエステル繊維としては、顔料となる微粒子を含有することが好ましく、中でも酸化チタンを含有することが好ましい。顔料となる微粒子の含有量としては0.02〜0.5重量%、特には0.05〜0.3重量%の範囲であることが好ましい。このような顔料となる微粒子を含有することにより、光沢が抑えられ風合いの良い人工毛髪用合成繊維となる。特に濃色の人工毛髪用に用いる場合に有効である。
そしてこれらのポリエステルには、本発明の目的を阻害しない範囲内、具体的には全酸成分に対して15モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下の共重合成分が共重合されていてもよい。好ましく用いられる共重合成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ブタンジオール、4,4’−ジカルボキシフェノキシメタン、イソフタル酸、リン酸、ホスホン酸などの酸成分、ジエチレングリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド(EO)付加物などのジオール成分を例示することができる。また主となるなかでも、難燃性の点から、リン酸、ホスホン酸などのリン化合物が好ましい。また、少量であればトリメシン酸、トリメリット酸、硼酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官能性化合物を共重合したものであってもよい。
本発明のポリエステル繊維には、改質の目的で他の熱可塑性合成樹脂、例えばナイロン6,ナイロン6・6などのポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマーなどの含フッ素ポリマー類などを、0.5〜50重量%の範囲で混合していてもよい。
さらに上記のポリエステル中には、使用中の人工毛髪の変褪色を防止する目的で公知の紫外線吸収剤を含有させてもよい。好ましく使用される紫外線吸収剤としては、例えば2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ビス(2,2−ジメチルプロピル)−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−ターシャリーブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン30〜50モル%とメタクリル酸メチル70〜30モル%とのランダムコポリマー、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、酸化鉄微粒子などを例示することができる。
なかでも、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、酸化鉄微粒子などは、溶融状態のポリエステルに添加・混合する際の耐熱性が良好で高い耐光性が得られるので好ましい。また、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン30〜50モル%とメタクリル酸メチル70〜30モル%とのランダムコポリマーは、高分子量なのでポリエステル繊維中からのブリードアウトが少なく、安定した耐光性が得られるので好ましい。なお、これらの各種紫外線吸収剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、使用中の火災による危険から人体を守るため、ポリエステル中に、燐系、ハロゲン系、三酸化アンチモンなどの公知の有機または無機質の難燃剤を含ませてもよい。また、繊維の帯電によるまとわり付きや絡まり、あるいは埃の付着を防止する目的で、ポリエステル自体を変性しても、あるいは帯電防止剤をポリエステル中に配合してもよい。
そして本発明の人工毛髪用合成繊維に用いられるポリエステル繊維は、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が5.0%未満であるものである。さらに望ましくは0〜4%の範囲であることが、そして180℃乾熱収縮率よりも熱水収縮率の方が小さいことが好ましい。本発明の人工毛髪用合成繊維となるポリエステル繊維の180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差を実現するための手段としては、例えば、紡糸・延伸後に熱セットを施す際の熱セット温度を180℃以上に設定すると共に、熱セット時に繊維を緩和させる方法が例示される。もちろん他の公知の調整方法を用いることも可能である。
本発明の人工毛髪用合成繊維は、その後減量処理により凹凸を形成し、染色に供されて高品質の人工毛髪となる。
このような本発明の人工毛髪用合成繊維は、その単繊維繊度としては20〜200dtexの範囲であることが好ましい。さらには110dtex以下、特に好ましくは30〜90dtexの範囲であることが好ましく、天然様の効果を発現させることが容易となる。また、単繊維繊度は1種類ではなく、例えば、30dtexと70dtexの2種類の単繊維繊度の混合等、数種類の繊維をミックスすることも好ましい。
またこのような人工毛髪用合成繊維は、その後の処理工程では繊維束状態であることが好ましく、繊維束のフィラメント数としては10,000〜100,000フィラメント(本)であることが好ましい。
また、本発明にかかる人工毛髪用合成繊維の断面形状は特に限定されないが、櫛通り性や、良好な風合いのためには、図1に示されるようなメガネ型であってクビレ度が2.5〜8であることが好ましい。クビレ度が小さすぎる場合には櫛通り性が悪く、また光沢もギラツキ感が生じるため好ましくない。逆に大きすぎるとメガネ部が割れやすく実用性に好ましくない。ここでクビレ度とは、図1に示す、くぼみ部径a、短軸径bで特徴づけられるメガネ断面形状において、b/aで表した値である。
このような本発明の人工毛髪用合成繊維は、もう一つの本発明である人工毛髪用合成繊維の製造方法により得ることができる。すなわち、ポリエステルを紡糸、延伸する人工毛髪用繊維の製造方法であって、延伸後に150〜250℃の範囲の収縮熱処理を行う製造方法である。さらには収縮熱処理の温度としては160〜220℃の範囲であることが、熱処理時の収縮率としては2.0〜10.0%の範囲であることが好ましい。さらに収縮熱処理としては加熱ローラーによる熱処理であることが好ましい。繊維に直接加熱された金属が接することにより、熱固定効果がより高くなるためである。
ポリエステルとしては先に述べたように特にはポリアルキレンテレフタレートであることが好ましく、他に第三成分を含有することも好ましい。
また、本発明に用いられるポリエステルは微細孔形成剤を含有する高分子であるが、微細孔形成剤としては、シリカゾル、酸化アルミニウムを含有する乾式法シリカ、粒子表面のシラノール基を封鎖した乾式法シリカ、アルミナゾル、微粒子状アルミナ、極微粒子状酸化チタン、微粒子状炭酸カルシウム、有機スルホン酸金属塩化合物などを例示することができ、これらの平均粒径、添加量、アルカリ減量処理条件を適宜選択することにより凹部の形状を制御することができる。なかでも、微細孔形成剤が金属を含有する化合物である場合には、アルカリ減量処理により良好な形状の凹部が形成できるので特に好ましい。より具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム−ジカルボン酸マグネシウム等であることが好ましい。このような微細孔形成剤の含有量としては0.1〜4.0重量%、特には0.3〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。
またポリエステル中には他の微粒子を含有することが好ましく、中でも酸化チタンを含有することが好ましい。微粒子の含有量としては0.02〜0.5重量%、さらには0.05〜0.4重量%の範囲であることが好ましい。このような微粒子を含有することにより、光沢が抑えられ風合いの良い人工毛髪用合成繊維を得ることが可能になる。特に濃色の人工毛髪用に用いる場合に有効である。ただし微粒子の含有量が多すぎるとくすみが発生する傾向にあるため、濃色に染める場合の微粒子の含有量としては0.1〜0.4重量%の範囲が好ましく、淡色に染める場合の微粒子の含有量としては0.05〜0.1重量%の範囲であることが好ましい。
そして本発明の人工毛髪用合成繊維は、その後の減量処理により凹凸を形成し、染色することにより、風合いに優れた人工毛髪となる。この繊維表面の凹凸としては、特には2〜20μmの微小な凹凸を有する繊維であることが好ましい。さらにはその繊維表面に、その開口部の最大長(長手方向の径)が2〜20μmの範囲にある凹部を糸表面積100平方μm当たり10〜30個有していることが好ましい。凹部を形成する開口部の最大長が小さすぎる場合には艶消し効果が低下することがある。一方、開口部の最大長が大きすぎる場合には繊維表面のざらつきが肉眼で分かるようになるだけでなく、糸物性も低下する傾向にある。さらには凹部としては特に5〜15μmの範囲であることが好ましい。また、凹部の個数が少なすぎる場合には艶消し効果が減少し、逆に多すぎると艶がなくなりすぎて、いわゆる死毛調となりやすい傾向にある。特には個数としては10〜20個存在することが好ましい。
ここで、開口部の最大長および単位面積当たりの存在個数は、走査電子顕微鏡を用い、該繊維表面を1000倍の倍率で10視野撮影した写真から計測したものの平均値である。本発明の人工毛髪用合成繊維から得られる人工毛髪は、その繊維表面に存在する凹凸の数や大きさを特定の範囲とすることにより、人毛に類似した、より良好な光沢を得ることが可能となる。
ポリエステル繊維の表面にこのような形状の凹部を形成する方法は減量方法であれば特には限定されず、従来公知のブラスト加工等の物理加工や、アルカリ減量加工法などの化学的減量方法を採用することができる。なかでも減量処理としては、ポリエステル中に微細孔形成剤を含有している本発明の人工毛髪用合成繊維を、アルカリ減量処理することが好ましい。アルカリ減量により、繊維表面に微細孔を形成させることが可能となる。微細孔形成剤の種類や、平均粒径、添加量、減量処理条件等を適宜選択することにより、凹部の形状を制御することができる。なかでも、微細孔形成剤が金属を含有する化合物である場合には、アルカリ減量処理により、さらに良好な形状の凹部が形成できるため特に好ましい。
本発明の人工毛髪用合成繊維は、減量処理後の染色として高圧染色法を採用することにより、より風合いの優れた人工毛髪を得ることができる。さらには、これらの処理工程が繊維をかせ状の繊維束状態として行うものである場合に、特に有効である。より具体的には、(1)減量処理が、繊維をかせ状の繊維束状態として行うものである人工毛髪の製造方法(1)染色処理が、繊維をかせ状の繊維束状態として行うものである人工毛髪の製造方法、(2)減量処理及び染色処理が、繊維をかせ状の繊維束状態として行うものである人工毛髪の製造方法、を好ましい態様として挙げることができる。さらには染色処理の条件が高圧染色であって、温度条件としては120〜140℃の範囲であることが好ましい。
本発明で得られた人工毛髪用合成繊維は、その後に減量工程、染色工程等に供されて人工毛髪となるのであるが、通常それらの処理工程はかせ状の繊維束の形状にしてから処理される。人工毛髪用に用いられるポリエステル繊維は比較的繊度の大きい繊維からなる繊維束であるために、そのまま処理すると不均一な処理となるためである。
そして減量処理後の本発明の人工毛髪用合成繊維は、繊維表面に凹凸を有するために、繊維間摩擦が高くなり、かせ状の形態にされた繊維が拘束された状態になる。このように拘束された状態にて、処理工程に供されると、従来は繊維束内の相対的に繊維間の拘束が弱い部分が不均一に収縮し、繊維の湾曲が発生していた。
だが本発明の人工毛髪用合成繊維は、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が小さく抑制されているために、不均一な収縮や繊維の湾曲を抑えることが可能となった。特にかせ状の繊維束を用いて高圧染色を行った場合には、繊維が絡みやすかったのであるが、本発明の人工毛髪用合成繊維はそのような絡みやもつれを抑制し、高品質な人工毛髪を得ることが可能となったのである。特に、かせ状の繊維束をアルカリ沸水条件下で減量処理によって繊維表面に凹凸を付与した後、所望の髪の色を再現するために、130〜140℃の高温条件下で高圧染色処理を施す場合に、本発明の人工毛髪用合成繊維は最適に用いられる。
以上に説明した本発明の人工毛髪用合成繊維は、その後の減量、染色工程において不均一な収縮に起因する繊維の湾曲が発現しにくく、品位に優れるため、かつら、ヘヤーウイッグ、エクステンション、ヘヤーバンドなどの毛髪部または頭部に装着する様々な人工毛髪関係の製品用として、極めて好適に使用することができる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、実施例中の測定項目は下記の方法で測定した。
(1)固有粘度
ポリマーサンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(dl/g)を測定した。
(2)単糸繊度
JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(3)180℃乾熱収縮率
JIS L 1013:1999 8.18.2 A法に記載の方法により測定した。
(4)熱水収縮率
JIS L 1013:1999 8.18.1 A法に記載の方法により測定した。
(5)人工毛髪の表面光沢の評価
自然光下において視覚で確認し、人毛に近い表面光沢を有するものを適当(○)、表面反射が大きく、ギラツキ感のあるものを不適当(×)と判断した。
(6)人工毛髪用繊維の湾曲の評価
250gのかせ状の繊維束中に湾曲した部分が3箇所未満の場合(○)、3箇所以上湾曲部を含む場合(×)と判断した。
なお、(5)及び(6)の評価において、○が2個の場合を総合評価○、○が1個の場合を△、○が0個の場合を×とした。
[実施例1]
(合成繊維の製造)
ベンゼンスルホン酸ナトリウム−3,5−ジ(カルボン酸Mg1/2)をポリマー中に0.5重量%分散せしめ、酸化チタンを0.3重量%含有した固有粘度0.60dl/gのポリエチレンテレフタレートチップを真空下160℃で5時間乾燥した。該チップを、290℃でエクストルーダ型混練機、計量ギヤポンプ、を有する紡糸機を用い、図1の形状の紡出孔を30ホール有する紡糸口金より52g/分溶融吐出し、紡糸口金下5cmの所で50℃温水で冷却後、78m/minで巻き取り、未延伸原糸を得た。得られた未延伸糸を70℃の温水中で4.4倍に延伸し、次いで90℃の温水中で、1.07倍で延伸した後、表面温度200℃の加熱ローラーで熱処理を施しながら、0.98倍で収縮させ、3000dtex/30filの延伸糸として巻取り、人工毛髪用合成繊維(延伸糸)とした。得られた人工毛髪用合成繊維の物性を表1に示す。
(後処理1)
得られた本発明の人工毛髪用合成繊維を、束ねて250gのかせ状にした後、加熱した水酸化ナトリウム50g/リットル水溶液中で98℃下、40分処理することにより、18%減量処理を施し、表面に凹凸を有する人工毛髪用合成繊維とした。
さらにその後、ドラム式高温高圧染色機で、130℃で40分高圧染色処理を実施し人工毛髪とした。品質を評価した結果を表1に示す。得られた製品は、湾曲が少なく、人毛様の光沢を有する優れた品質であった。
(後処理2)
後処理1と同じく、得られた人工毛髪用合成繊維を用い、束ねて250gのかせ状にした。ただしその後、水酸化ナトリウムを含まない通常の98℃熱水中で40分処理を施した(減量率0%)。この繊維は、繊維表面に凹凸を有さない平滑な表面の繊維のままであったが、収縮率等の物性は先の繊維と同等であった。
その後、ドラム式高温高圧染色機で、130℃で40分高圧染色処理を実施した。品質を評価した。得られた繊維は、繊維の湾曲は少ないものの、ギラツキ感(繊維表面の光沢)が強く人工毛髪としては不適当なものであった。
この繊維が、同等の熱履歴を経ているにもかかわらず繊維湾曲の発現が少ない理由は、繊維表面に凹凸がなく、繊維間の摩擦が比較的小さいため、染色加工の際の熱収縮において、繊維が相互に自由に動きやすく、均一に収縮が起こるためと推定される。
[比較例1]
実施例1と同等の条件で得た未延伸糸を70℃の温水中で4.4倍に延伸し、次いで90℃の温水中で、1.07倍で延伸した後、表面温度180℃の加熱ローラーで緊張熱処理を施した後に3000dtex/30filの延伸糸として巻取った。得られた延伸糸の物性を表1に示す。このものの180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差は、7.7%と大きなものであった。
得られた繊維を、束ねて250gのかせ状にした後、加熱した水酸化ナトリウム50g/リットル水溶液中で98℃下、40分処理することにより、18%減量処理を施した。
その後、ドラム式高温高圧染色機で、130℃で40分高圧染色処理を実施した。品質を評価した結果を表1に併せて示す。得られた製品には、光沢は優れるものの、繊維束中に多数の湾曲が見られ、人工毛髪としては品質に劣るものであった。
Figure 2017078245
a;くぼみ部径
b;短軸径

Claims (7)

  1. 微細孔形成剤を有するポリエステル繊維であって、180℃乾熱収縮率と熱水収縮率の差が5.0%未満であることを特徴とする人工毛髪用合成繊維。
  2. 微細孔形成剤が金属を含有する化合物である請求項1記載の人工毛髪用合成繊維。
  3. 単繊維繊度が20〜200dtexである請求項1または2に記載の人工毛髪用合成繊維。
  4. ポリエステルを紡糸、延伸する人工毛髪用合成繊維の製造方法であって、ポリエステルが微細孔形成剤を含有する高分子であり、延伸後に150〜250℃の範囲の収縮熱処理を行うことを特徴とする人工毛髪用合成繊維の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の人工毛髪用合成繊維を、減量処理により凹凸を形成し、染色する人工毛髪用合成繊維の製造方法。
  6. 減量処理がアルカリ溶液によるものである請求項5記載の人工毛髪用合成繊維の製造方法。
  7. 染色が高温高圧染色である請求項5または6に記載の人工毛髪用合成繊維の製造方法。
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