JP2018154930A - 人工毛髪用繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱寸法安定性に優れながら、人毛に近い風合いを有する人工毛髪用繊維を提供すること。【解決手段】 20dtex以上の単繊維繊度を有する人工毛髪用繊維であって、ポリエステル系樹脂から構成され、面指数(010)の結晶配向度が70〜90%であるとともに、広角X線回折測定から得られた結晶化度が30〜50%である人工毛髪用繊維。さらには、顔料を含有する原着繊維であることや、ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。または、ポリエステル系樹脂からなる40dtex以上の未延伸繊維を、60〜100℃の温水中にて2から6倍の倍率で延伸し、次いで80〜125℃の温度範囲でオーバーフィードを行いながら熱処理する人工毛髪用繊維の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、人工毛髪用繊維に関し、さらに詳しくは、ポリエステル繊維からなる人工毛髪用繊維に関するものである。
従来、かつら、ヘヤーウイッグ、エクステンション、ヘヤーバンドなどに用いられる人工毛髪の素材として、種々の合成繊維が用いられてきた。しかしながら、汎用的に使用されているポリビニルクロライド繊維は強度が低いため、ウェービング処理を施して整毛するなどの僅かなひっかかりで、切れやすいという問題があった。またこのポリビニルクロライド繊維は加熱セットに対する耐久性も低く、入浴、シャワー、サウナ、太陽光下などの条件下で、カールやウェーブが消滅しやすいという問題があった。
このような人工毛髪を、特に部分的に着用した場合には、人工毛髪の部分にだけ変色が生じ、人工毛髪であることが一見して判別された。また整毛する際には、摩擦で静電気が発生しやすく、逆毛を生じたり、ほこりが付着しやすいという問題があった。
このような問題を解消するため、抗張力、耐熱性などの特性に優れた、芳香族ポリエステルからなる繊維が種々検討されている。そして、芳香族ポリエステル樹脂からなる繊維において耐熱性を得るために、高い温度で熱処理を施し、繊維の結晶化度を上げることで、熱収縮率を抑制することが一般的に行われている。
例えば特許文献1では、紡糸して得た原糸を所定の条件で延伸した後、150℃での緊張熱処理を施すことで、熱寸法安定性を向上させている。だがこのような熱処理によって熱収縮率を抑制することが可能であるものの、同時に繊維の剛性が高まり、人工毛髪用繊維としての風合いが硬くなりすぎるという問題があった。そして、そのままの繊維では人工毛髪用として供することが難しいため、後処理としてアルカリ減量等の処理を行うことが一般的であった。このような後処理が必要であることに加え、それ以前の高温の熱処理を実施するためにも高圧蒸気や誘導加熱による加熱ローラー等の追加的な設備を設置する必要があり、いずれにせよ設備制約やコストアップに繋がるという問題があった。
特開2007−146306号公報
本発明は上記背景のもとになされたもので、熱寸法安定性に優れながら、人毛に近い風合いを有する人工毛髪用繊維を提供することにある。
本発明の人工毛髪用繊維は、20dtex以上の単繊維繊度を有する人工毛髪用繊維であって、ポリエステル系樹脂から構成され、面指数(010)の結晶配向度が70〜90%であるとともに、広角X線回折測定から得られた結晶化度が30〜50%であることを特徴とする。
さらには、顔料を含有する原着繊維であることや、ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
またもう一つの本発明の人工毛髪用繊維の製造方法は、ポリエステル系樹脂からなる40dtex以上の未延伸繊維を、60〜100℃の温水中にて2から6倍の倍率で延伸し、次いで80〜125℃の温度範囲でオーバーフィードを行いながら熱処理することを特徴とする。
本発明によれば、熱寸法安定性に優れながら、人毛に近い風合いを有する人工毛髪用繊維が提供される。
本発明の人工毛髪用繊維は、20dtex以上の単繊維繊度を有する人工毛髪用繊維であって、ポリエステル系樹脂から構成され、面指数(010)の結晶配向度が70〜90%であるとともに、広角X線回折測定から得られた結晶化度が30〜50%であるものである。
ここで本発明の人工毛髪用繊維を構成するポリエステル系樹脂としては、芳香環を有する芳香族ポリエステルであることが好ましい。より具体的には、芳香族ポリエステルとして、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主たる二官能性カルボン酸とし、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールまたは1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルであることが好ましい。たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートなどを好ましく挙げることができる。
これらの本発明で用いられるポリエステルには、本発明の目的を阻害しない範囲内、具体的には全酸成分に対して15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下の共重合成分が共重合されていてもよい。好ましく用いられる共重合成分としては、4,4’−ジカルボキシフェノキシメタン、イソフタル酸、リン酸、ホスホン酸などの酸成分、ジエチレングリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド(EO)付加物などのジオール成分を例示することができる。なかでも、難燃性の点から、リン酸、ホスホン酸などのリン化合物が好ましい。また、少量であればトリメシン酸、トリメリット酸、硼酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官能性化合物を共重合したものであることが好ましい。
また、これらのポリエステルには、改質の目的で他の熱可塑性樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6などのポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマーなどの含フッ素ポリマー類などを混合してもよく、混合する場合には0.5〜50重量%の範囲で混合することが好ましい。
また、本発明で使用する芳香族ポリエステルの極限粘度としては、0.40〜0.70dl/gであることが好ましく、さらには0.45〜0.60dl/gが好ましい。特にポリエステルテレフタレートはこのような数値範囲であることが好ましく、極限粘度が小さすぎると、人工毛髪としたときの強度が不足する傾向にある。逆に大きすぎると、得られる繊維の剛性が高くなりすぎ、人毛らしい風合いから離れる傾向にある。
また上記のポリエステル中には、使用中の人工毛髪の変褪色を防止する目的で、公知の紫外線吸収剤を含有させることも好ましい。好ましく使用される紫外線吸収剤としては、例えば2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ビス(2,2−ジメチルプロピル)−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−ターシャリーブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン30〜50モル%とメタクリル酸メチル70〜30モル%とのランダムコポリマー、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、酸化鉄微粒子などを例示することができる。なかでも、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、酸化鉄微粒子などは、溶融状態のポリエステルに添加・混合する際の耐熱性が良好で高い耐光性が得られるので好ましい。また、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン30〜50モル%とメタクリル酸メチル70〜30モル%とのランダムコポリマーは、高分子量なのでポリエステル繊維中からのブリードアウトが少なく、安定した耐光性が得られるので好ましい。なお、これらの各種紫外線吸収剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、使用中の火災による危険から人体を守るため、芳香族ポリエステル中、燐系、ハロゲン系、三酸化アンチモンなどの公知の有機または無機質の難燃剤を含ませてもよい。また、繊維の帯電によるまとわり付きや絡まり、あるいは埃の付着を防止する目的で、芳香族ポリエステル自体を変性しても、あるいは帯電防止剤を芳香族ポリエステル中に配合してもよい。
さらに本発明にかかるポリエステル繊維は、その繊維表面に凹凸を有することも好ましい。ポリエステル繊維表面に凹凸部を形成する方法は特に限定されず、従来公知のブラスト加工、アルカリ減量加工法など任意の方法を採用することができる。なかでもポリエステル中に微細孔形成剤を含有させた繊維をアルカリ減量処理することにより、繊維表面に微細孔を形成させる方法、有機系及び/又は無機系の微粒子を添加する方法が好ましく例示される。
本発明にかかる芳香族ポリエステル繊維の断面形状は特に限定されず、丸型断面、扁平断面、メガネ型断面、中空断面等を適宜選択することができる。
このような本発明の人工毛髪用繊維は、その単繊維繊度としては20dtex以上の繊度を有することが必要である。上限としては110dtex以下、好ましくは30〜90dtexの範囲であることが、天然様の効果を発現させる点から望ましい。また、単繊維繊度は1種類ではなく、例えば、30dtexと70dtexの2種類の単繊維繊度の混合等、数種類の繊維をミックスすることも好ましい。
このような本発明に用いられるポリエステル繊維は、着色していることが好ましい。着色方法としては、先に述べた原着以外に、染色することも好ましい態様である。染色時の染料としては分散染料を用いることもできるが、使用中の人工毛髪の変褪色の点からは、耐光堅牢度が5級以上の染料を使用することが好ましい。染色の方法としては、公知の染色キャリアー剤を併用してもよいが、染色キャリアー剤を必要としない高圧染色法がより好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル繊維としては、顔料を含有する原着繊維であることが好ましい。顔料となる微粒子としては、カーボンブラックなどの各種顔料を挙げることができ、染色時の染料が節約できるばかりでなく、用途によっては染色を行う必要がなくなるので、コストダウン、及び、リードタイム短縮の面で特に好ましい。顔料となる微粒子の含有量としては0.01〜5重量%、特には1〜3重量%の範囲であることが好ましい。このような顔料となる微粒子を含有することにより、光沢が抑えられ風合いの良い人工毛髪用繊維となる。特に濃色の人工毛髪用に用いる場合に有効である。
また、シリカや酸化チタンを含有することも好ましく、特には微細孔形成剤でもある、シリカゾル、酸化アルミニウムを含有する乾式法シリカ、粒子表面のシラノール基を封鎖した乾式法シリカ、アルミナゾル、微粒子状アルミナ、極微粒子状酸化チタン、微粒子状炭酸カルシウム、有機スルホン酸金属塩化合物などを用いることが好ましい。このような微細孔形成剤の含有量としては0.1〜4.0重量%、特には0.3〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。
さてこのような本発明の人工毛髪用繊維は、20dtex以上の単繊維繊度を有するポリエステル繊維であって、その面指数(010)の結晶配向度が70〜90%であるとともに、広角X線回折測定から得られた結晶化度が30〜50%であることが必要である。特に、広角X線回折法で測定した結晶化度が重要であって、30%より小さいと十分な繊維強度が得られなくなり、50%より大きいと繊維が硬くなり好ましくない。また同時に、広角X線回折法で測定した面指数(010)の結晶配向度が、70〜90%であることを満たすことが重要である。
このような結晶配向度と結晶化度を満たすことによって、本発明の人工毛髪用繊維は、20dtex以上との太い繊度の合成繊維であるにも関わらず、熱寸法安定性に優れ、人毛に近い風合いを有する人工毛髪用繊維となった。
このような本発明の人工毛髪用繊維は、もう一つの本発明である人工毛髪用繊維の製造方法により得ることができる。すなわち、ポリエステル系樹脂からなる40dtex以上の未延伸繊維を、60〜100℃以下の温水中にて2から6倍の倍率で延伸し、次いで80〜125℃の温度範囲でオーバーフィードを行いながら熱処理する製造方法である。
ポリエステル系樹脂としては先に述べたものを用いることができ、さらには芳香環を有する芳香族ポリエステルが好ましく、より具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートなどを好ましく挙げることができる。
本発明の製造方法ではそのようなポリエステル系樹脂を、溶融押出機を用いて溶融混錬するなどして紡糸して未延伸繊維を得る。溶融混錬するための装置としては、一般的な溶融押出機を用いることができるが、例えば、一軸押出機、二軸押出機などを挙げることができる。本発明では溶融混錬した混錬物を溶融紡糸法によって、溶融紡糸することなどにより、未延伸原糸を得るのであるが、その繊度としては40dtex以上、好ましくは50〜200dtexの範囲であることが好ましい。
より具体的には上記混錬物を、ギヤポンプで計量した後、所定の温度で加熱した口金から吐出し、溶融紡糸を行なう。紡出した糸条を冷却しながら、50〜1300m/minの速度で巻き取り、未延伸原糸を得る方法である。冷却方法としては、空冷、水冷、又は、両者の組み合わせを用いることができる。
そして本発明の製造方法では次に、得られた未延伸繊維を60〜100℃の温水中にて延伸を行うことが必要である。そしてこの時の延伸倍率は、2.0〜6.0倍の範囲であることが必要である。さらに本発明の製造方法では80〜125℃の温度範囲でオーバーフィードを行いながら熱処理することが重要である。このような処理を行うことにより、結晶配向度を70〜90%の範囲に、結晶化度が30〜50%に制御することが可能となった。
なお本発明では、延伸した後、加熱しながら、オーバーフィードを行うが、オーバーフィードとは、繊維を供給する速度を、繊維を引き取る速度よりも速くすることである。例えば、繊維をローラーと荷重ローラーから成るローラー対で把持して供給、及び、引き取る場合、供給側のローラー対の周速度V1、引き取り側のローラー対の周速度をV2とすると、V1をV2より大きく設定することである。このとき、V2/V1を「ドラフト比」と定義すると、オーバーフィードは、ドラフト比を、1.0より小さくすること、と言い換えることができる。ドラフト比としては、0.98〜0.70の範囲が、さらに好ましくは0.95〜0.80の範囲が好ましい。ドラフト比が大きすぎると、熱収縮率を抑制する効果が小さくなる傾向にある。逆に小さすぎると、繊維が大きく弛み、工程の障害が起き、生産性が低下する傾向にある。
またオーバーフィードを実施する際には、同時に80〜125℃の温度で熱処理をすることが重要である。熱処理温度が80℃より低いと、オーバーフィードに伴う弛みが発生しやすくなる上、製品の熱収縮率が高くなるため、好ましくない。熱処理温度を125℃より高くすると結晶化度が上がり、繊維の風合いが硬くなるため、好ましくない。熱処理を実施する手段自体は特には限定されず、温水やシリコーンオイル等の液体の熱媒体へ浸漬する方法や加熱ヒーターに接触させる、あるいは水蒸気、過熱水蒸気や熱風で非接触加熱する方法などを使用することができる。
オーバーフィードして得た繊維は、所定の仕上げ油剤を付与した後、必要に応じて、さらに乾燥や熱処理を施して、人工毛髪用繊維とする。製品の梱包形態としては、ワインダーで紙管やボビンに巻く形態であっても、繊維束を、ケースに振り込むトウ梱包の形態でもよい。
このような本発明の人工毛髪用繊維は、太い繊度の合成繊維であるにも関わらず、熱寸法安定性に優れ、人毛に近い風合いを有する人工毛髪用繊維となり、かつら、ヘヤーウイッグ、エクステンション、ヘヤーバンドなどの毛髪部または頭部に装着する様々な人工毛髪関係の製品用として、極めて好適に使用することができる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、実施例中の測定項目は下記の方法で測定した。
(1)固有粘度
ポリマーサンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(dl/g)を測定した。
(2)単糸繊度
JIS L1013:2010 8.3.1 A法に記載の方法により測定した。
(3)見掛ヤング率
JIS L 1013:2010 8.10 により、初期引張抵抗度を算出し、
以下の式から見掛ヤング率Ymを算出した。
Ym=1000×ρ×Tri
ここに、Ym:見掛ヤング率(N/mm
ρ:繊維の密度(g/cm
Tri:初期引張抵抗度(N/tex)
なお、ρは、JIS L1013:2010 8.17.2により求めた。
(4)乾熱収縮率
JIS L 1013:2010 8.18.2 A法に記載の方法により180℃で測定した。
(5)結晶化度、結晶配向度
(5−1)広角X線回折測定
測定装置及び測定条件は下記のとおりとした。
リガク株式会社製 測定装置:NANO‐Viewer、発生装置:ultax18、
出力:45kV/60mA、X線源:Cukα線(λ=0.1542nm)、
カメラ長:95mm、測定時間:10分、検出器:イメージングプレート。
サンプル調整としては、サンプルは、30mg/30mmになるよう天秤で秤量し束ね、繊維軸方向が子午方向に水平になるようサンプルホルダーに取り付け、測定した。
(5−2)結晶化度
イメージングプレートで得られた2次元データを2θプロファイルに変換し、ベースライン補正を行なった後、2θ=6〜40°の範囲をピークフィッティングし、角ピークの積分強度を結晶成分、非晶成分でそれぞれ総和をとった。I、Iaから次式に従って、結晶化度Xを求めた。
X={I/(I+Ia)}×100 (%)
X:結晶化度
I:結晶成分積分強度
Ia:非晶成分積分強度
(5−3)結晶配向度
動径方向の(010)面のピークについて、方位角に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅から次式より算出した。
A={(360−ΣWi)/360}×100 (%)
A:配向度
Wi:方位角に対する強度分布の半値幅
(6)人工毛髪用繊維の風合いの評価
繊維サンプル束に直に触れて、その触感を評価し、風合いを判定した。人毛に近い触感を有するものを良好、硬く人毛から隔たった触感のものは不良と判断した。
[実施例1]
極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートチップ97.2質量%と、カーボンブラックを1.8質量%、シリカ(平均粒径2.8μm)0.5質量%からなる樹脂を、290℃でエクストルーダー型混練機、及び、計量ギヤポンプからなる紡糸機を用い、真円形状の紡出孔を70ホール有する紡糸口金より581g/分で溶融吐出し、紡糸口金下30mmの位置で、27℃の冷却風で空冷後、420m/minで巻き取り、繊度13,833dtexの未延伸トウを得た。
この未延伸原糸を52本束ねてトウとし、70℃の温水中で4.14倍に延伸した後、さらに90℃の温水中で、ドラフト比0.85でオーバーフィードを実施し、アルキルホスフェートカリウム塩を主体とする界面活性剤を付与した。得られた延伸トウを、60℃の乾燥機で乾燥し、計算繊度20.4万dtexの延伸トウを採取した。
得られた繊維の単糸繊度は、53.4dtex、結晶化度41.6%、結晶配向度83.8%、見掛ヤング率8,095N/mmであり、その風合いは良好であった。
[比較例1]
実施例1で得た未延伸原糸を、70℃の温水中で3.68倍に延伸し、さらに表面温度170℃のローラー上で緊張熱処理を施した後に、アルキルホスフェートカリウム塩を主体とする界面活性剤を付与し、計算繊度19.5万dtexの延伸トウを採取した。
得られた繊維の繊度52.0dtex、結晶化度55.1%、結晶配向度89.0%、見掛ヤング率9,461N/mm2、及び、風合いは硬く、不良であった。

Claims (4)

  1. 20dtex以上の単繊維繊度を有する人工毛髪用繊維であって、ポリエステル系樹脂から構成され、面指数(010)の結晶配向度が70〜90%であるとともに、広角X線回折測定から得られた結晶化度が30〜50%であることを特徴とする人工毛髪用繊維。
  2. 顔料を含有する原着繊維である請求項1記載の人工毛髪用繊維。
  3. ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1または2記載の人工毛髪用繊維。
  4. ポリエステル系樹脂からなる40dtex以上の未延伸繊維を、60〜100℃の温水中にて2から6倍の倍率で延伸し、次いで80〜125℃の温度範囲でオーバーフィードを行いながら熱処理することを特徴とする人工毛髪用繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022137740A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 株式会社カネカ 人工毛髪用ポリエステル系中空繊維、その製造方法及びそれを含む頭飾製品

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