JP2017076791A - ダイシング用シートおよびその製造方法およびダイシング処理方法 - Google Patents
ダイシング用シートおよびその製造方法およびダイシング処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられる新規なダイシング用シートを実現する。【解決手段】ダイシング用シートは、複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シートであって、少なくとも一方の表面は、粘着性を有するとともに、MEMS構造物に相当する部分OPは非粘着性であり、シート面に平行な方向へ伸びることが可能である。【選択図】図2
Description
この発明は、ダイシング用シートおよびその製造方法およびダイシング処理方法に関する。
近来、種々のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造物が実用化され、普及しつつある。
MEMS構造物は、一般に、「シリコンウエハ等(以下、単に「ウエハ」と言う)」に、複数のMEMS構造物を配列形成し、これらをダイシング処理により個々のMEMS構造物にチップ化して製造する。
ダイシング処理は、複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの片面にダイシング用シートを粘着力により貼り付け、他方の面から個々のMEMS構造物の分割を行う。この分割後、ダイシング用シートを引き延ばすことにより、個々のMEMS構造物を分離する。しかる後に、分離した個々のMEMS構造物を独立して取り出す。
「ダイシング用シートを引き延ばして、個々のMEMS構造物を分離する工程」は「エキスパンド工程」と呼ばれる。エキスパンド工程後の「分離した個々のMEMS構造物を独立して取り出す工程」は「ピックアップ工程」と呼ばれる。
また「個々のMEMS構造物を分割する工程」は「ダイシング工程(あるいは単に「ダイシング」)」と呼ばれる。
ダイシング工程を実行する方法としては、ダイヤモンドソー等の「ダイシングソー」を用いて切断する方法、レーザビームを用いる「レーザダイシング」や「ステルスダイシング」等、種々の方式のものが広く知られている。
ダイシング工程を実行する方法としては、ダイヤモンドソー等の「ダイシングソー」を用いて切断する方法、レーザビームを用いる「レーザダイシング」や「ステルスダイシング」等、種々の方式のものが広く知られている。
従来のダイシング方式では、ダイシング用シートは、ウエハの裏面側、即ち「MEMS構造物の形成されていない面」に貼り付けられて用いられている(特許文献1等)。
しかし、MEMS構造物は、ウエハの両面に形成されることもあるし、MEMS構造物が「ウエハを貫通する部分」を有して形成されることもある。
このような場合、従来方式の如く「ダイシング用シートをウエハの片面に張り付ける」と、ダイシング用シートはMEMS構造物に直接的に粘着してしまう。
そうすると、エキスパンド工程やピックアップ工程において、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用し、MEMS構造物の機能低下の原因となったり、場合によっては、MEMS構造物が破壊されたりすることがある。
このような場合、従来方式の如く「ダイシング用シートをウエハの片面に張り付ける」と、ダイシング用シートはMEMS構造物に直接的に粘着してしまう。
そうすると、エキスパンド工程やピックアップ工程において、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用し、MEMS構造物の機能低下の原因となったり、場合によっては、MEMS構造物が破壊されたりすることがある。
このようなMEMS構造物の機能低下や破壊は、MEMS構造物のチップ製造の「歩留まり」に影響する。
この発明は、ウエハに配列形成された複数のMEMS構造物を、個別のチップに分割するダイシングに用いられる新規なダイシング用シートの実現を課題とする。
この発明のダイシング用シートは、複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シートであって、少なくとも一方の表面は、粘着性を有するとともに、前記MEMS構造物に相当する部分は非粘着性であり、シート面に平行な方向へ伸びることが可能である。
この発明によれば、新規なダイシング用シートを実現できる。
以下、実施の形態を説明する。
ダイシング用シートについて説明する前に、ウエハとMEMS構造物について、例を挙げて説明する。
図1(a)において、符号100はウエハを示す。ウエハ100は「シリコンウエハ」で、薄い円板状であり、図示の如く多数のMEMS構造物MSが配列形成されている。
多数のMEMS構造物MSは、同一構造である。
図1(a)は、ウエハを説明するための説明図であり、描かれた「MEMS構造物MSの個数や、形状、大きさ」は実際のものとは必ずしも一致しない。
MEMS構造物MSは種々の構造が可能で、特に限定されないが、1例として「2軸偏向型の偏向ミラー」を説明する。
ダイシング用シートについて説明する前に、ウエハとMEMS構造物について、例を挙げて説明する。
図1(a)において、符号100はウエハを示す。ウエハ100は「シリコンウエハ」で、薄い円板状であり、図示の如く多数のMEMS構造物MSが配列形成されている。
多数のMEMS構造物MSは、同一構造である。
図1(a)は、ウエハを説明するための説明図であり、描かれた「MEMS構造物MSの個数や、形状、大きさ」は実際のものとは必ずしも一致しない。
MEMS構造物MSは種々の構造が可能で、特に限定されないが、1例として「2軸偏向型の偏向ミラー」を説明する。
図1(b)に符号MSにより、1個の2軸偏向型の偏向ミラーを示している。
偏向ミラーMSは、小型のミラーMLを互いに直交する2軸を搖動軸として搖動させ、ミラーMLに照射される光ビームを「2次元的に偏向」させるものであり、ヘッドアップディスプレイ等の「画像表示部」に向けて光を偏向する手段として用いられる。
図1(b)に示す偏向ミラーMSを簡単に説明すると、小型のミラーMLは軸j1により内枠CAに連結し、内枠CAは軸j2により外枠CBに連結している。
ミラーML、軸j1、j2、内枠CA、外枠CBは、半導体プロセスにより、ウエハ100に「同一構造のMEMS構造物MS」として多数配列形成されている。
図1(a)の如く配列形成された多数のMEMS構造物MSを、後述するダイシング処理により個々のMEMS構造物に分離してチップ化したものが、例えば、図1(b)に示す如き偏向ミラーである。
偏向ミラーMSは、小型のミラーMLを互いに直交する2軸を搖動軸として搖動させ、ミラーMLに照射される光ビームを「2次元的に偏向」させるものであり、ヘッドアップディスプレイ等の「画像表示部」に向けて光を偏向する手段として用いられる。
図1(b)に示す偏向ミラーMSを簡単に説明すると、小型のミラーMLは軸j1により内枠CAに連結し、内枠CAは軸j2により外枠CBに連結している。
ミラーML、軸j1、j2、内枠CA、外枠CBは、半導体プロセスにより、ウエハ100に「同一構造のMEMS構造物MS」として多数配列形成されている。
図1(a)の如く配列形成された多数のMEMS構造物MSを、後述するダイシング処理により個々のMEMS構造物に分離してチップ化したものが、例えば、図1(b)に示す如き偏向ミラーである。
図1(b)に例示する偏向ミラーは「軸j1を除くミラーMLと内枠CAの間」、「軸j2を除く内枠CAと外枠CBの間」が、ウエハ100を厚み方向に貫通している。
即ち、説明中の例では、MEMS構造物MSが「ウエハを貫通する部分」を有して形成されている。
即ち、説明中の例では、MEMS構造物MSが「ウエハを貫通する部分」を有して形成されている。
以下、図1に即して説明した例に即して説明する。
図2に即して、ダイシング用シートの実施の1形態を説明する。
この発明のダイシング用シートは「2種以上のフィルムが重なって単一のシートとして一体化」した構造を有する。
以下には、2種のフィルムを一体化した構造のものを実施の形態例として説明する。
図2に即して、ダイシング用シートの実施の1形態を説明する。
この発明のダイシング用シートは「2種以上のフィルムが重なって単一のシートとして一体化」した構造を有する。
以下には、2種のフィルムを一体化した構造のものを実施の形態例として説明する。
図2(a)は、ダイシング用シートを構成する2種のフィルムのうち「表側フィルム」を示し、同図(b)は「裏側フィルム」を示している。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLとは重なり合い、一体化してダイシング用シートを構成する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLとは重なり合い、一体化してダイシング用シートを構成する。
表側フィルムFU、裏側フィルムFLは、種々のものが使用可能である。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLが一体化した単一のシートは、シートの片面が表側フィルムFUの面で、他方の面が裏側フィルムFLの面である。これらシートの両面のうち、表側フィルムFUによる面は「ウエハに貼り付けられる面」であり、この面の側を「表側フィルムFUの表面側」と呼び、表側フィルムFUの表面側と逆の側は「裏面側」と呼ぶ。
即ち、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側に貼り付いている。
裏側フィルムFLは面法線方向に「0または小さい粘着力」を持つ。「小さい粘着力」については後述する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLを一体化する力としては「粘着力」を利用する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLが一体化した単一のシートは、シートの片面が表側フィルムFUの面で、他方の面が裏側フィルムFLの面である。これらシートの両面のうち、表側フィルムFUによる面は「ウエハに貼り付けられる面」であり、この面の側を「表側フィルムFUの表面側」と呼び、表側フィルムFUの表面側と逆の側は「裏面側」と呼ぶ。
即ち、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側に貼り付いている。
裏側フィルムFLは面法線方向に「0または小さい粘着力」を持つ。「小さい粘着力」については後述する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLを一体化する力としては「粘着力」を利用する。
「粘着の態様」としては以下の組み合わせが考えられる。
イ.表側フィルムFUは両面に粘着性を有し、裏側フィルムFLは面法線方向の粘着力が0であり、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側の粘着力により、表側フィルムFUと一体化する。
ロ.表側フィルムFUは両面に粘着性を有し、裏側フィルムFLは面法線方向の粘着力が小さく、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側の粘着力により、表側フィルムFUと一体化する。
ハ.表側フィルムFUは、表面側に粘着性を有し、裏面側には粘着性を持たない(あるいは、粘着力が小さい)。裏面フィルムFLは、面法線方向に弱い粘着力を持ち、この弱い粘着力により、表側フィルムFUに粘着して一体化する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLが単一のシートとして一体化してなるダイシング用シートは「シート面に平行な全方向」へ引き伸ばし可能である。從って、表側フィルム・裏側フィルム共に、フィルム面に平行な全方向に引き伸ばし可能である。
イ.表側フィルムFUは両面に粘着性を有し、裏側フィルムFLは面法線方向の粘着力が0であり、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側の粘着力により、表側フィルムFUと一体化する。
ロ.表側フィルムFUは両面に粘着性を有し、裏側フィルムFLは面法線方向の粘着力が小さく、裏側フィルムFLは表側フィルムFUの裏面側の粘着力により、表側フィルムFUと一体化する。
ハ.表側フィルムFUは、表面側に粘着性を有し、裏面側には粘着性を持たない(あるいは、粘着力が小さい)。裏面フィルムFLは、面法線方向に弱い粘着力を持ち、この弱い粘着力により、表側フィルムFUに粘着して一体化する。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLが単一のシートとして一体化してなるダイシング用シートは「シート面に平行な全方向」へ引き伸ばし可能である。從って、表側フィルム・裏側フィルム共に、フィルム面に平行な全方向に引き伸ばし可能である。
「引き延ばせる程度」は、後述するダイシング処理におけるエキスパンド工程が可能な程度であればよい。
表側フィルムFUと裏側フィルムFLとしては、必ずしも新しい素材を必要とせず、従来から知られている各種のフィルム状素材を組み合わせて用いることができる。
表側フィルムFUとしては、従来から「ダイシングテープ」等の商品名で市販されている各種の素材を用いることができる。これら市販のダイシングテープで、片面のみに粘着性を持つものは、上記「ハ」の組み合わせにおける表側フィルムとして用いることができる。
表側フィルムFUとしては、従来から「ダイシングテープ」等の商品名で市販されている各種の素材を用いることができる。これら市販のダイシングテープで、片面のみに粘着性を持つものは、上記「ハ」の組み合わせにおける表側フィルムとして用いることができる。
また、市販のダイシングテープで、両面に粘着性を持つものは、上記「イやロ」の組み合わせにおける表側フィルムとして用いることができる。
特許文献1には、ポリ塩化ビニル等のシートの片面に、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤や紫外線硬化型粘着剤の層を形成した「ステルスダイシング用粘着シート」が種々開示されている。
特許文献1に開示された種々の「ステルスダイシング用粘着シート」は、この発明のダイシング用シートの「表側フィルム」として好適に使用可能である。
特許文献1には、ポリ塩化ビニル等のシートの片面に、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤や紫外線硬化型粘着剤の層を形成した「ステルスダイシング用粘着シート」が種々開示されている。
特許文献1に開示された種々の「ステルスダイシング用粘着シート」は、この発明のダイシング用シートの「表側フィルム」として好適に使用可能である。
図2(a)に示す表側フィルムFUは、開口部OPを形成されている。開口部OPについては後述する。
図2(b)に示す裏側フィルムFLは、前述の如く、表側フィルムFUの裏面側に粘着して表側フィルムFUと単一のシートとして一体化し、該シートの裏側面をなす。
裏側フィルムFLは、上記の如く「面法線方向の粘着力が0」であるもの(換言すれば、この場合は裏側フィルム自体が全く粘着性を持たない場合である。)や、「面法線方向の粘着力が小さい」ものが使用可能である。
面法線方向の粘着性が0である裏側フィルム(上記「イ」の場合)としては、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム等を適宜用いることができる。
面法線方向に弱い粘着力を持つ裏側フィルム(上記「ロ」、「ハ」の場合)としては、自己粘着テープ、自己粘着シート等の商品名で市販されているもので、面法線方向の粘着力が小さく、「面に平行な全方向」へ引き伸ばし可能であるものを適宜使用できる。
図2(b)に示す裏側フィルムFLは、前述の如く、表側フィルムFUの裏面側に粘着して表側フィルムFUと単一のシートとして一体化し、該シートの裏側面をなす。
裏側フィルムFLは、上記の如く「面法線方向の粘着力が0」であるもの(換言すれば、この場合は裏側フィルム自体が全く粘着性を持たない場合である。)や、「面法線方向の粘着力が小さい」ものが使用可能である。
面法線方向の粘着性が0である裏側フィルム(上記「イ」の場合)としては、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム等を適宜用いることができる。
面法線方向に弱い粘着力を持つ裏側フィルム(上記「ロ」、「ハ」の場合)としては、自己粘着テープ、自己粘着シート等の商品名で市販されているもので、面法線方向の粘着力が小さく、「面に平行な全方向」へ引き伸ばし可能であるものを適宜使用できる。
市販の自己粘着テープの具体的な1例としては「株式会社AKS製の自己粘着テープ」を挙げることができる。該自己粘着テープは、フィルム状のコア層の片面に粘着層、他面に裏面層を形成した構成で、粘着層の側が「面法線方向に粘着力」を有する。
自己粘着テープにおける「粘着層」は粘着剤の層ではなく、「自己粘着性」を有する層であり、粘着・剥離を自在に行うことができ、剥離後に「糊残り」が生じることもない。 面法線方向の粘着力は弱いので、剥離も容易である。また、粘着力は「粘着層の組成・物性等」により調整できることが知られている。
從って、粘着層による「面法線方向の粘着力」を調整することにより、裏側フィルムに要求される「面法線方向の小さい粘着力」を容易に実現できる。
なお、自己粘着テープは、貼り付け面に平行な方向においては「大きな粘着力」を発揮する。
自己粘着テープにおける「粘着層」は粘着剤の層ではなく、「自己粘着性」を有する層であり、粘着・剥離を自在に行うことができ、剥離後に「糊残り」が生じることもない。 面法線方向の粘着力は弱いので、剥離も容易である。また、粘着力は「粘着層の組成・物性等」により調整できることが知られている。
從って、粘着層による「面法線方向の粘着力」を調整することにより、裏側フィルムに要求される「面法線方向の小さい粘着力」を容易に実現できる。
なお、自己粘着テープは、貼り付け面に平行な方向においては「大きな粘着力」を発揮する。
ここで「裏側フィルム」に要求される「面法線方向の小さい粘着力」につき説明すると、この場合の「小さい粘着力」は、ウエハに形成されたMEMS構造物の「機械的な強度」に応じて設定される。
前述の如く「ダイシング用シートがMEMS構造物に直接的に粘着」する場合、エキスパンド工程やピックアップ工程の際に、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用する。
この粘着力の作用が、MEMS構造物の「機能低下や破壊」を齎すことがあるが、MEMS構造物に作用する「面法線方向の粘着力」を小さくすることにより、このような「機能低下や破壊」を回避できる。
前述の如く「ダイシング用シートがMEMS構造物に直接的に粘着」する場合、エキスパンド工程やピックアップ工程の際に、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用する。
この粘着力の作用が、MEMS構造物の「機能低下や破壊」を齎すことがあるが、MEMS構造物に作用する「面法線方向の粘着力」を小さくすることにより、このような「機能低下や破壊」を回避できる。
この発明のダイシング用シートの裏側フィルムの面法線方向の粘着力が「小さい」とは、以下の如き意味である。
即ち、仮に、裏側フィルムの表面が「MEMS構造物」に直接粘着した場合に、該表面をMEMS構造物から剥離する際に「MEMS構造物の機能低下や破壊を齎すような大きな力」が作用しないという条件が満足される大きさの粘着力である。
図1(b)に即して説明したMEMS構造物MSである「偏向ミラー」は、軸j1、j2等の「応力が集中し易い」部分があり、外部から作用する機械力により変形や破壊が生じやすい。
このような場合、裏側フィルムの有する粘着性は十分に小さく設定する必要がある。
即ち、仮に、裏側フィルムの表面が「MEMS構造物」に直接粘着した場合に、該表面をMEMS構造物から剥離する際に「MEMS構造物の機能低下や破壊を齎すような大きな力」が作用しないという条件が満足される大きさの粘着力である。
図1(b)に即して説明したMEMS構造物MSである「偏向ミラー」は、軸j1、j2等の「応力が集中し易い」部分があり、外部から作用する機械力により変形や破壊が生じやすい。
このような場合、裏側フィルムの有する粘着性は十分に小さく設定する必要がある。
図2(a)に戻ると、表側フィルムFUには、開口部OPが複数形成されている。これら開口部OPは、表側フィルムFUを厚み方向に「貫通」している。
即ち、表側フィルムFUは、裏側フィルムFLの部分まで開口された開口部OPを有する。図2(a)に示す例では、複数の開口部OPは「図の左右方向に長い矩形状」で、互いに平行に配列形成されている。
図2(c)は、表側フィルムFUと裏側フィルムFLを重ねて一体化したダイシング用シートSDを示す。表側フィルムFUに形成された開口部OPが、表側フィルムFUを厚み方向に貫通しているので、開口部OPの部分で、裏シートFLの面が見えている。
即ち、表側フィルムFUは、裏側フィルムFLの部分まで開口された開口部OPを有する。図2(a)に示す例では、複数の開口部OPは「図の左右方向に長い矩形状」で、互いに平行に配列形成されている。
図2(c)は、表側フィルムFUと裏側フィルムFLを重ねて一体化したダイシング用シートSDを示す。表側フィルムFUに形成された開口部OPが、表側フィルムFUを厚み方向に貫通しているので、開口部OPの部分で、裏シートFLの面が見えている。
図2(d)と(e)に、ダイシング用シートの構造の2例を示す。図2(d)、(e)は何れも、図2(c)の「D−D断面」を示す図である。
図2(d)は、上記「ハ」の粘着態様の例であり、表側フィルムFUは、表面側に粘着性を有し、裏面側には粘着性を持たない。裏面フィルムFLは、面法線方向に弱い粘着力を持ち、この弱い粘着力により、表側フィルムFUに粘着して一体化している。
表側フィルムFUは、具体的には、例えば「ポリ塩化ビニル等のシートの片面に、粘着剤の層を形成した構成」のものであり、裏面側は接着力を持たない。
図2(d)は、上記「ハ」の粘着態様の例であり、表側フィルムFUは、表面側に粘着性を有し、裏面側には粘着性を持たない。裏面フィルムFLは、面法線方向に弱い粘着力を持ち、この弱い粘着力により、表側フィルムFUに粘着して一体化している。
表側フィルムFUは、具体的には、例えば「ポリ塩化ビニル等のシートの片面に、粘着剤の層を形成した構成」のものであり、裏面側は接着力を持たない。
裏側フィルムFLは、表側フィルムFUに粘着する側が「法線方向に小さい粘着力」を有し、この法線方向の小さい粘着力により表側フィルムFUに粘着している。
この場合の裏側フィルムFLは、具体的には、上に説明した自己粘着テープを用いることができる。図示の如く、表側フィルムFUに形成された開口部OPは、裏側フィルムFLの部分まで開口されている。この開口部OPの底面をなす裏側フィルムFLの表面の部分は「法線方向に小さな粘着力」を有するのみである。
この場合の裏側フィルムFLは、具体的には、上に説明した自己粘着テープを用いることができる。図示の如く、表側フィルムFUに形成された開口部OPは、裏側フィルムFLの部分まで開口されている。この開口部OPの底面をなす裏側フィルムFLの表面の部分は「法線方向に小さな粘着力」を有するのみである。
図2(e)に例を示すダイシング用シートSD1は、表側フィルムFU1と裏側フィルムFL1とを重ねて一体化した構成のものである。
表側フィルムFU1は、フィルム基材BSの表面側に粘着剤層AD2が形成され、裏面側には粘着剤層AD1が形成されている。
裏側フィルムFL1は粘着性を持たず(面法線方向の粘着力が0である。)、表側フィルムFU1の粘着剤層AD1の粘着力により表側フィルムFU1に粘着して一体化している。裏側フィルムFL1は、例えば、ポリ塩化ビニルのシートを用いることができる。
表側フィルムFU1は、フィルム基材BSの表面側に粘着剤層AD2が形成され、裏面側には粘着剤層AD1が形成されている。
裏側フィルムFL1は粘着性を持たず(面法線方向の粘着力が0である。)、表側フィルムFU1の粘着剤層AD1の粘着力により表側フィルムFU1に粘着して一体化している。裏側フィルムFL1は、例えば、ポリ塩化ビニルのシートを用いることができる。
表側フィルムFU1に形成された開口部OPは、図示の如く、表側フィルムFU1の粘着剤層AD2、フィルム基材BS、粘着剤層AD1を貫通している。この開口部OPの底部をなす裏側フィルムFL1の表面は粘着力を持たない。
表側フィルムFU1の芯材フィルムBSの両面に形成された粘着剤層AD1、AD2は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤で形成することができる。また、これら粘着剤層AD1、AD2は「エネルギ線硬化性」のものを粘着剤として形成することもできる。
即ち、図2に即して説明したダイシング用シートSD、SD1は、複数のMEMS構造物MSが配列形成されたウエハ100の、MEMS構造物MSを個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シートであって、2種以上のフィルムが重なって単一のシートとして一体化し、シートの一方の面をなす表側フィルムFUは、表面側がウエハに粘着する粘着性を有し、シートの他方の面をなす裏側フィルムFLは、面法線方向の粘着力が0または小さく、表側フィルムFUは、MEMS構造物に相当する部分が、裏側フィルムFLの部分まで開口され、シート全体として、シート面に平行な全方向へ引き伸ばし可能である。
また、図2(d)に示すダイシング用シートSDは、表側フィルムFUと裏側フィルムFLとの2枚のフィルムが重なって単一のシートに一体化し、表側フィルムFUは、フィルム基材の表面側に粘着剤層を有し、裏側フィルムFLは自己粘着性であり、自己粘着性により表側フィルムFUの裏面に弱く粘着して表側フィルムFUと一体化している。
図2(e)に示すダイシング用シートSD1は、表側フィルムFU1と裏側フィルムFL1との2枚のフィルムが重なって単一のシートに一体化し、表側フィルムFU1は、フィルム基材BSの両面に粘着剤層AD1、AD2を有し、裏側フィルムFL1は粘着性がなく、表側フィルムFL1の裏面側の粘着剤層AD1の粘着性により表側フィルムFU1の裏面側に粘着して一体化している。
なお、表側フィルムFU、裏側フィルムFLは、これらが単一層構造であるか複数層構造であるかを問わず、その厚さは、例えば、40〜90μm、好ましくは50〜80μm程度が良い。また「粘着剤層の厚み」は、例えば1〜15μm、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜8μm程度が良い。
図2に即して説明したダイシング用シートSDの製造方法を、以下に、図3を参照して説明する。
ダイシング用シートの製造方法は、図3(e)に示すように開始:S1から終了:S6まで6ステップを有し、開始:S1と終了S6との間に、4つの工程:S2〜S5を有する。これら4工程は、表側フィルム用意工程:S2、開口形成工程:S3、裏側フィルム用意工程:S4、一体化工程:S5である。
表側フィルム用意工程:S2は「表側フィルムFU(図3(a))を用意する工程」である。
ダイシング用シートの製造方法は、図3(e)に示すように開始:S1から終了:S6まで6ステップを有し、開始:S1と終了S6との間に、4つの工程:S2〜S5を有する。これら4工程は、表側フィルム用意工程:S2、開口形成工程:S3、裏側フィルム用意工程:S4、一体化工程:S5である。
表側フィルム用意工程:S2は「表側フィルムFU(図3(a))を用意する工程」である。
開口形成工程:S3は「表側フィルム用意工程:S2で用意された表側フィルムFUに開口部OP(図3(b))を形成する工程」である。
裏側フィルム用意工程:S4は「裏側フィルムFL(図3(c))を用意する工程」である。
裏側フィルム用意工程:S4は「裏側フィルムFL(図3(c))を用意する工程」である。
一体化工程:S5は「開口形成工程:S3で開口部OPを形成された表側フィルムFU(図3(b)と、裏シート用意工程:S4で用意された裏シートFL(図3(c))とを重ねて一体化する工程)」である。
なお、表側フィルム用意工程:S2、開口形成工程:S3、裏側フィルム用意工程:S4は、上記順序に限らず、S2、S4、S3の順で行ってもよいし、S4、S2、S3の順で行ってもよい。
開口部OPについては後述するが、開口形成工程:S3で実施される「開口部OPの形成」は、刃物による切断、金型によるパンチング抜き、レーザカット、ウォータージェットカットなど、既存の適宜の切断法で実施できる。
一体化工程:S5の実施は、開口部OPを構成された表側フィルムFUと裏側フィルムFLを重ねて、適度の圧接力で互いに圧接させ、両フィルムの接触面に作用する粘着力により、両フィルムを一体化するのみで足りる。その結果、図3(d)に示す如きダイシング用シートSDが得られる。
開口部OPについては後述するが、開口形成工程:S3で実施される「開口部OPの形成」は、刃物による切断、金型によるパンチング抜き、レーザカット、ウォータージェットカットなど、既存の適宜の切断法で実施できる。
一体化工程:S5の実施は、開口部OPを構成された表側フィルムFUと裏側フィルムFLを重ねて、適度の圧接力で互いに圧接させ、両フィルムの接触面に作用する粘着力により、両フィルムを一体化するのみで足りる。その結果、図3(d)に示す如きダイシング用シートSDが得られる。
次に、ダイシング処理方法の実施の1形態を、図4を参照して説明する。
ここで説明するのは、図1に即して説明した、偏向ミラーをMEMS構造物として複数のMEMS構造物MSが配列形成されたウエハ100に対し、図2(d)のダイシング用シートSDを用いて、ダイシング処理を行うダイシング処理方法である。
ここで説明するのは、図1に即して説明した、偏向ミラーをMEMS構造物として複数のMEMS構造物MSが配列形成されたウエハ100に対し、図2(d)のダイシング用シートSDを用いて、ダイシング処理を行うダイシング処理方法である。
ダイシング処理工程は、図4(g)に示すように、開始:S11から終了:S18まで
8ステップを有し、開始:S11と終了S18との間に、6つの工程:S12〜S17を有する。これら6工程は、ダイシング用シート用意工程:S12、ウエハ用意工程:S13、ダイシング用シート貼り付け工程:S14、ダイシング工程:S15、エキスパンド工程:S16およびピックアップ工程:S17である。
8ステップを有し、開始:S11と終了S18との間に、6つの工程:S12〜S17を有する。これら6工程は、ダイシング用シート用意工程:S12、ウエハ用意工程:S13、ダイシング用シート貼り付け工程:S14、ダイシング工程:S15、エキスパンド工程:S16およびピックアップ工程:S17である。
ダイシング用シート用意工程:S12は「ダイシング用シートSDを用意する工程」である。
ウエハ用意工程:S13は「複数のMEMS構造物MSが配列形成されたウエハ100を用意する工程」である。
ダイシング用シート貼り付け工程:S14は「用意されたウエハ100のMEMS構造物MSが配列された面に、ダイシング用シートSDを粘着により貼り付ける工程」である。
ウエハ用意工程:S13は「複数のMEMS構造物MSが配列形成されたウエハ100を用意する工程」である。
ダイシング用シート貼り付け工程:S14は「用意されたウエハ100のMEMS構造物MSが配列された面に、ダイシング用シートSDを粘着により貼り付ける工程」である。
ダイシング工程:S15は「ウエハ100の、ダイシング用シートSDを貼り付けられた側と逆の側から、ダイシングを行う工程」である。
エキスパンド工程:S16は「ダイシング工程:S15後にダイシング用シートSDをエキスパンドし、ダイシング用シートSD上で個々のMEMS構造物MSを分離する工程」である。
ピックアップ工程:S17は「ダイシング用シートSD上で、分離したMEMS構造物MSをチップとしてピックアップする工程」である。
エキスパンド工程:S16は「ダイシング工程:S15後にダイシング用シートSDをエキスパンドし、ダイシング用シートSD上で個々のMEMS構造物MSを分離する工程」である。
ピックアップ工程:S17は「ダイシング用シートSD上で、分離したMEMS構造物MSをチップとしてピックアップする工程」である。
なお、ダイシング用シート用意工程:S12、ウエハ用意工程:S13、ダイシング用シート貼り付け工程:S14は、この順序で行う必要は必ずしもない。ウエハ用意工程:S13、ダイシング用シート用意工程:S12、ダイシング用シート貼り付け工程:S114の順で行ってもよい。
ダイシング用シート用意工程:S12で、図4(a)に示す如きダイシング用シートSDが用意され、ウエハ用意工程:S13で、図4(b)に示す如きウエハ100が用意される。
ダイシング用シート貼り付け工程:S14では、用意されたウエハ100にダイシング用シートSDが貼り付けられる。図4(c)は、ダイシング用シート貼り付け工程:S14でダイシング用シートSDが貼り付けられたウエハ100の側から見た状態を示している。
ダイシング用シート用意工程:S12で、図4(a)に示す如きダイシング用シートSDが用意され、ウエハ用意工程:S13で、図4(b)に示す如きウエハ100が用意される。
ダイシング用シート貼り付け工程:S14では、用意されたウエハ100にダイシング用シートSDが貼り付けられる。図4(c)は、ダイシング用シート貼り付け工程:S14でダイシング用シートSDが貼り付けられたウエハ100の側から見た状態を示している。
ダイシング工程:S16は、既存のダイシング装置により行うことができる。ダイシング装置は、種々のものが知られると共に市販され、これら市販のダイシング装置を適宜用いてダイシング処理を行ってよい。市販されているダイシング装置は、ダイシングのみならずエキスパンドやピックアップを行う機能も備えている。
ここでは1例として、市販のステルスダイシング装置(浜松ホトニクス株式会社)を用い、ダイシングを「ステルスダイシング」で行う場合を例として説明する。
ここでは1例として、市販のステルスダイシング装置(浜松ホトニクス株式会社)を用い、ダイシングを「ステルスダイシング」で行う場合を例として説明する。
ステルスダイシングは、すでに公知であるので説明を省略する。
図4(d)は、ステルスダイシング装置のレーザ装置LDAからレーザビームLBを、ダイシング用シートSDを貼り付けた側と逆の側、即ち「ウエハ100の裏面側」から照射してダイシングを行う状態を説明図として示している。
レーザビームLBは、ウエハ100の「厚み方向のウエハ内部」で集光する集束光とされ、集光部においてウエハ100内に「改質部」を形成する。この改質部で個々のMEMS構造物MSを分離する。
ウエハ100には、多数のMEMS構造物MSが配列形成されているが、前述の如く、MEMS構造物(偏向ミラー)MSは「ウエハ100を貫通する部分」を有している。
從って、ウエハ100に形成された多数のMEMS構造物の配列は、上記裏面側から見ても、表面側の配列と同一であり、従って、裏面側からダイシングを行うことができる。
図4(d)は、ステルスダイシング装置のレーザ装置LDAからレーザビームLBを、ダイシング用シートSDを貼り付けた側と逆の側、即ち「ウエハ100の裏面側」から照射してダイシングを行う状態を説明図として示している。
レーザビームLBは、ウエハ100の「厚み方向のウエハ内部」で集光する集束光とされ、集光部においてウエハ100内に「改質部」を形成する。この改質部で個々のMEMS構造物MSを分離する。
ウエハ100には、多数のMEMS構造物MSが配列形成されているが、前述の如く、MEMS構造物(偏向ミラー)MSは「ウエハ100を貫通する部分」を有している。
從って、ウエハ100に形成された多数のMEMS構造物の配列は、上記裏面側から見ても、表面側の配列と同一であり、従って、裏面側からダイシングを行うことができる。
ダイシング工程:S15でダイシングが行われた状態では、前記「改質部」が分離ラインをなして形成されているが、個々のMEMS構造物体はまだ個別に分離していない。
この状態で、ステルスダイシング装置の有するエキスパンド機能により、図4(e)に示すように、ダイシング用シートSDの面に平行な方向にエキスパンド力FEXを作用させる。
エキスパンド力FEXの作用により、ダイシング用シートSDが引き延ばされ、個々のMEMS構造物MSが「改質部により形成された分離ライン」に沿って相互に分離する。
このように「ダイシング用シートSD上で分離したMEMS構造物MS」に対し、ステルスダイシング装置の有するピックアップ機能により、ピックアップ力PFを作用させて、個々のMEMS構造物MSをチップとして取り出す。
このようにして、図4(f)の如く、所望のMEMS構造物MSを得ることができる。
この状態で、ステルスダイシング装置の有するエキスパンド機能により、図4(e)に示すように、ダイシング用シートSDの面に平行な方向にエキスパンド力FEXを作用させる。
エキスパンド力FEXの作用により、ダイシング用シートSDが引き延ばされ、個々のMEMS構造物MSが「改質部により形成された分離ライン」に沿って相互に分離する。
このように「ダイシング用シートSD上で分離したMEMS構造物MS」に対し、ステルスダイシング装置の有するピックアップ機能により、ピックアップ力PFを作用させて、個々のMEMS構造物MSをチップとして取り出す。
このようにして、図4(f)の如く、所望のMEMS構造物MSを得ることができる。
ここで、ダイシング用シートの表側フィルムに開口形成された開口部を説明する。
開口部は、表側フィルムの「MEMS構造物に相当する部分」が裏側フィルムの部分まで開口されて形成される。
そして、ダイシング用シートは、ウエハのダイシング処理が行われるとき、ウエハのMEMS構造物が配列された面に「MEMS構造物がダイシング用シートの開口部に合致する」ように粘着力により貼り付けられる。
即ち、ダイシング用シートがウエハに貼り付けられた状態において、ダイシング用シートの表側フィルムの「粘着性を有する部分」、即ち、開口部以外の部分は、MEMS構造物に触れない。換言すれば、貼り付けられたダイシング用シートの「表側フィルムの有する粘着力」は、MEMS構造物には作用しない。
從って、ピックアップ工程において、個々のMEMS構造物を取り出すとき、ダイシング用シートの表面の有する粘着力の作用を受けることがなく、粘着力に起因するMEMS構造物の機能低下や破壊を生じることがない。
開口部は、表側フィルムの「MEMS構造物に相当する部分」が裏側フィルムの部分まで開口されて形成される。
そして、ダイシング用シートは、ウエハのダイシング処理が行われるとき、ウエハのMEMS構造物が配列された面に「MEMS構造物がダイシング用シートの開口部に合致する」ように粘着力により貼り付けられる。
即ち、ダイシング用シートがウエハに貼り付けられた状態において、ダイシング用シートの表側フィルムの「粘着性を有する部分」、即ち、開口部以外の部分は、MEMS構造物に触れない。換言すれば、貼り付けられたダイシング用シートの「表側フィルムの有する粘着力」は、MEMS構造物には作用しない。
從って、ピックアップ工程において、個々のMEMS構造物を取り出すとき、ダイシング用シートの表面の有する粘着力の作用を受けることがなく、粘着力に起因するMEMS構造物の機能低下や破壊を生じることがない。
もっとも、前述の如く、表側フィルムは薄いので、ダイシング用シートをウエハに貼り付ける作業に際に、裏シートの表面(開口部の底部をなす。)がMEMS構造物に触れることはあり得る。
しかし、MEMS構造物が直接、裏側フィルムの表面に触れたとしても、裏側フィルムの表面は粘着力が0であるか、もしくは小さいので、MEMS構造物の機能低下や破壊の原因とはならない。
上記の如く、ダイシング用シートのウエハへの貼り付けは「MEMS構造物がダイシング用シートの開口部に合致する」ように行われる。
このような条件を満たす開口部の形態は種々可能である。開口部の形態の3例を、図5に示す。ウエハおよびMEMS構造物は、図1に即して説明したウエハ100、MEMS構造物MSを想定している。
しかし、MEMS構造物が直接、裏側フィルムの表面に触れたとしても、裏側フィルムの表面は粘着力が0であるか、もしくは小さいので、MEMS構造物の機能低下や破壊の原因とはならない。
上記の如く、ダイシング用シートのウエハへの貼り付けは「MEMS構造物がダイシング用シートの開口部に合致する」ように行われる。
このような条件を満たす開口部の形態は種々可能である。開口部の形態の3例を、図5に示す。ウエハおよびMEMS構造物は、図1に即して説明したウエハ100、MEMS構造物MSを想定している。
図5(a)は、図2に即して説明したダイシング用シートSD、SD1の開口部OPの場合である。開口部OPは、同一形状で、図の左右方向を長辺とする矩形形状であり、図の上下方向に「互いに平行に整列」するように形成されている。
開口部OPの「幅(図の矩形形状の短辺)」は、図の上下方向におけるMEMS構造物MSの配列に合わせられている。このような開口部OPでは、MEMS構造物MSは、開口部OPの内側に位置する。開口部OPは、ウエハ100におけるMEMS構造物MS以外の部分にも開口しているが、この点は特に問題とならない。
図5(b)に、開口形態の別の例として示された開口部OP1は、同一形状で、図の左右方向を長辺とする矩形形状であり、図の上下方向に「互いに平行に整列」するように形成されている。
開口部OP1は、開口部OPよりも幅が大きく、MEMS構造物体の「横方向の配列」が、1個の開口部OP1内に2列配列している。
図5(c)に示す形態例では、開口部OP21、OP22、・・OP27は、図の左右方向を長辺とする矩形状で、図の上下方向に互いに平行に配列形成されている。
これら開口部OP21、OP22、・・OP27は、その長辺の長さが一様ではなく、図の左右方向におけるMEMS構造物MSの配列長さに応じた長さとなっている。
「開口部の形態」は、表側フィルムの開口部以外の部分が、ウエハに形成されているMEMS構造物に接触しなければ良いのであり、図5に示す3例に限らず、種々の変形が可能である。
なお、表側フィルムは一般に「薄い」ので、開口部が複数形成されたままの状態では、開口部間のフィルム部分が「絡まり合う」ことが考えられるが、裏側フィルムを用いることにより、このような「絡まり合い」を有効に防止できる。
なお、表側フィルムは一般に「薄い」ので、開口部が複数形成されたままの状態では、開口部間のフィルム部分が「絡まり合う」ことが考えられるが、裏側フィルムを用いることにより、このような「絡まり合い」を有効に防止できる。
上に説明したダイシング用シートは、ウエハを粘着させる側の面に「開口部」が形成されている。
「開口部」を設ける技術的意義は、前述の如く、ダイシング用シートがウエハに貼り付けられた状態において、MEMS構造物に相当する開口部で、「粘着性を有する部分」がMEMS構造物に触れないようにし、ダイシング処理に際して、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用しないようにすることにある。
即ち、上記「開口部」は、ダイシング用シートをウエハに張り付けた状態において、ウエハのMEMS構造物に相当する部分に、ダイシング用シートの粘着力が作用しないようにしている。「開口部」は、そもそもMEMS構造物に相当する部分に接触しないから、この部分でダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用することはない。
MEMS構造物への粘着力の作用を阻害するには、開口部に限らない。
「開口部」を設ける技術的意義は、前述の如く、ダイシング用シートがウエハに貼り付けられた状態において、MEMS構造物に相当する開口部で、「粘着性を有する部分」がMEMS構造物に触れないようにし、ダイシング処理に際して、ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用しないようにすることにある。
即ち、上記「開口部」は、ダイシング用シートをウエハに張り付けた状態において、ウエハのMEMS構造物に相当する部分に、ダイシング用シートの粘着力が作用しないようにしている。「開口部」は、そもそもMEMS構造物に相当する部分に接触しないから、この部分でダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に作用することはない。
MEMS構造物への粘着力の作用を阻害するには、開口部に限らない。
即ち、ダイシング用シートの「粘着性を有する面」とMEMS構造物が接触状態にあっても、「MEMS構造物に接触する部分が非粘着性」であれば、上記粘着力の作用は阻害される。
ダイシング用シートをウエハに張り付けた状態において、MEMS構造物に相当する部分に、ダイシング用シートの粘着力が作用しないようにするには、上記の如く「開口部」に限らず、MEMS構造物に相当する部分が「非粘着性」であればよい。
「非粘着性である部分」は、上記開口部以外に、例えば「ウエハに粘着する面」の非粘着部とするべき部分に「シート状のマスキング部材」を設けることで実現できる。
このようなマスキング部材としては、市販されている各種の「マスキングテープ」を好適に用いることができる。薄くてよく延びるマスキングテープとしては輸送梱包時の外装保護用途のものが多数存在する。
ダイシング用シートをウエハに張り付けた状態において、MEMS構造物に相当する部分に、ダイシング用シートの粘着力が作用しないようにするには、上記の如く「開口部」に限らず、MEMS構造物に相当する部分が「非粘着性」であればよい。
「非粘着性である部分」は、上記開口部以外に、例えば「ウエハに粘着する面」の非粘着部とするべき部分に「シート状のマスキング部材」を設けることで実現できる。
このようなマスキング部材としては、市販されている各種の「マスキングテープ」を好適に用いることができる。薄くてよく延びるマスキングテープとしては輸送梱包時の外装保護用途のものが多数存在する。
勿論、シート状のマスキング部材により「非粘着性の部分」を形成したダイシング用シートも、シート全体として「シート面に平行な方向へ延びること」ができる必要があるから、マスキング部材自体にも、シート面方向に平行な方向へ延びることが可能である必要がある。
即ち、上に説明した「開口部」と「シート状のマスキング部材」とは「非粘着性である部分の具体的な2態様」である。
即ち、上に説明した「開口部」と「シート状のマスキング部材」とは「非粘着性である部分の具体的な2態様」である。
シート状のマスキング部材により「非粘着性である部分を形成するシート」としては、従来から市販されている種々のダイシング用シートを用いることができる。
あるいは、市販のベースシートに接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層上に市販のマスキングテープを張り付けて「非粘着性である部分」としてもよい。
あるいは、市販のベースシートに接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層上に市販のマスキングテープを張り付けて「非粘着性である部分」としてもよい。
このような場合のダイシング用シートの実施の1形態を、図6を参照して説明する。
図6(a)がダイシング用シートSD1を示す平面図であり、そのB−B断面図を図6(b)に示す。図6(c)はダイシング用シートSD1にウエハ100を粘着させた状態を示し、このときのダイシング用シートとウエハ100の関係を部分的な説明図として図4(d)に示す。
図6(a)がダイシング用シートSD1を示す平面図であり、そのB−B断面図を図6(b)に示す。図6(c)はダイシング用シートSD1にウエハ100を粘着させた状態を示し、このときのダイシング用シートとウエハ100の関係を部分的な説明図として図4(d)に示す。
図6に示すダイシング用シートSD1は、その断面図を示す図6(b)のように、ベースフィルムBFの片面に粘着剤を塗布して粘着剤層ALを形成し、粘着剤層ALの上に、シート状のマスキング部材MTを貼り付けて「非粘着性である部分」としたものである。
マスキング部材MTはテープ片状であり、マスキングテープをテープ片に切断したものである。
マスキング部材MTはテープ片状であり、マスキングテープをテープ片に切断したものである。
ダイシング用シートSD1の粘着剤層ALが形成された側に、図6(c)のようにウエハ100を載置すると、図6(d)に示すように、ダイシング用シートSD1の粘着剤層ALの、マスキング部材MT(非粘着性である部分)以外の部分がウエハ100に粘着するが、ウエハ100に形成されているMEMS構造物は、マスキング部材MTにより「粘着層ALへの粘着」が阻害される。
ダイシングおよび剥離、ピックアップに必要なエキスパンド性、粘着強度、ダイシング用シートの強度等々の各仕様は、ベースフィルムBF、粘着剤層ALを構成する粘着剤、マスキング部材MTとして使用する材料の仕様を適正化することで対応できる。
ダイシングおよび剥離、ピックアップに必要なエキスパンド性、粘着強度、ダイシング用シートの強度等々の各仕様は、ベースフィルムBF、粘着剤層ALを構成する粘着剤、マスキング部材MTとして使用する材料の仕様を適正化することで対応できる。
マスキング部材MTの伸縮性を、それ以外の部分(ベースフィルムBFと粘着剤層ALで構成される部分)の伸縮性より大きく(伸縮し易く)することにより、ウエハ100のダイシング後のエキスパンド工程の、エキスパンド特性が上記「それ以外の部分」のみでマスキング部材MTが存在しないときと略同一になるように調整することができる。
図6には、マスキングテープのテープ片による「短冊形状のマスキング部材MT」により非粘着性の部分を形成する場合を示したが、「非粘着性である部分の形状」は、これに限らず、開口部を非粘着性である部分とする例として図5に例示したものや、そのほかにも、種々の形状が可能である。
図7には、別の例を示す。
図7に示す例では、ウエハに配列形成されたMEMS構造物MS(その一つ一つを「セグメント」と呼ぶ。)の配列に応じて、個々のセグメントに一つずつのマスキング部材MT1を対応させて、セグメントごとに非粘着性である部分(セグメントより一回り大きい)を形成した例である。この場合にも、ダイシング後のエキスパンド特性が、それ以外の部分のみである場合と略同一となるようにできる。
図7には、別の例を示す。
図7に示す例では、ウエハに配列形成されたMEMS構造物MS(その一つ一つを「セグメント」と呼ぶ。)の配列に応じて、個々のセグメントに一つずつのマスキング部材MT1を対応させて、セグメントごとに非粘着性である部分(セグメントより一回り大きい)を形成した例である。この場合にも、ダイシング後のエキスパンド特性が、それ以外の部分のみである場合と略同一となるようにできる。
図7に示すセグメント配列における個々のセグメントを構成するMEMS構造物MSの形状は「長方形形状」であり、短辺方向における配列数が大きい。
このようなセグメント配列において、個々のセグメントをダイシング(例えばステルスダイシング)により分離した後、エキスパンド工程で、個々のセグメントを分離するために、図7(b)に示すようにエキスパンド力FE1、FE2(=FE1)を作用させると、エキスパンドに応じて、個々のセグメントをなすMEMS構造物MS相互の「クリアランス」は、短辺方向(図7(a)の上下方向)において大きく、長辺方向においては小さくなる。
このようなセグメント配列において、個々のセグメントをダイシング(例えばステルスダイシング)により分離した後、エキスパンド工程で、個々のセグメントを分離するために、図7(b)に示すようにエキスパンド力FE1、FE2(=FE1)を作用させると、エキスパンドに応じて、個々のセグメントをなすMEMS構造物MS相互の「クリアランス」は、短辺方向(図7(a)の上下方向)において大きく、長辺方向においては小さくなる。
このとき、個々のセグメントに応じた「非粘着性である部分」を形成するマスキング部材MT1の大きさをセグメントの形状に応じて長方形形状とし、且つ、マスキング部材MT1の伸縮性を粘着部以外の部分の伸縮性より小さく(伸びにくく)する。
そして、マスキング部材の伸縮性を調整することにより、上記短辺方向・長辺方向におけるクリアランスを均等にしたり任意の幅に調整したりすることもできる。
なお、図6、図7に即して実施の形態を説明したダイシング用シートを用いるダイシング処理方法は、図4(g)に示す工程図におけるダイシング用シート用意工程:S12において、マスキング部材による「非粘着性である部分」を形成したダイシング用シートを用意し、このダイシング用シートを、ダイシング用シート貼り付け工程:S14で、ウエハ100に貼りつける点を変更すれば、図4(g)に関する説明がそのまま成り立つ。
従って、ダイシング用シート貼り付け工程は、一般には、用意されたウエハのMEMS構造物が配列された面に、MEMS構造物が前記ダイシング用シートの非粘着性である部分に合致するようにダイシング用シートを粘着により貼り付ける工程となる。
そして、マスキング部材の伸縮性を調整することにより、上記短辺方向・長辺方向におけるクリアランスを均等にしたり任意の幅に調整したりすることもできる。
なお、図6、図7に即して実施の形態を説明したダイシング用シートを用いるダイシング処理方法は、図4(g)に示す工程図におけるダイシング用シート用意工程:S12において、マスキング部材による「非粘着性である部分」を形成したダイシング用シートを用意し、このダイシング用シートを、ダイシング用シート貼り付け工程:S14で、ウエハ100に貼りつける点を変更すれば、図4(g)に関する説明がそのまま成り立つ。
従って、ダイシング用シート貼り付け工程は、一般には、用意されたウエハのMEMS構造物が配列された面に、MEMS構造物が前記ダイシング用シートの非粘着性である部分に合致するようにダイシング用シートを粘着により貼り付ける工程となる。
上述の如く、MEMS構造物は種々の構造が可能で、特に限定されない。上には1例として「2軸偏向型の偏向ミラー」の場合を説明したが、以下、2軸偏向型の偏向ミラーを例として説明を補足する。
図8を参照する。
図8(a)に示すMEMS構造物としての偏向ミラーは、図1(b)に即して説明したものであり、小型のミラーMLが軸j1により内枠CAに連結し、内枠CAが軸j2により外枠CBに連結している。このような偏向ミラーMSが、同一ウエハに複数個、配列形成されている。
図8(a)において、符号DLで示す矩形形状はダイシングによる「分離ライン」であり、この分離ラインDLの内側がMEMS構造物MSであると言うことができる。
図8を参照する。
図8(a)に示すMEMS構造物としての偏向ミラーは、図1(b)に即して説明したものであり、小型のミラーMLが軸j1により内枠CAに連結し、内枠CAが軸j2により外枠CBに連結している。このような偏向ミラーMSが、同一ウエハに複数個、配列形成されている。
図8(a)において、符号DLで示す矩形形状はダイシングによる「分離ライン」であり、この分離ラインDLの内側がMEMS構造物MSであると言うことができる。
図8(b)は、ウエハ100に形成された3つのMEMS構造物MSが隣接して形成された状態を示している。
図8(c)は、図8(b)に示すMEMS構造物の配列に対応したダイシング用シートSDの一部に形成された開口部OPの配列を示している。この例において、開口部OPは、図8(a)に示す偏向ミラーの外枠CBの「外周による矩形の形状」に合致している。従って、図8(c)のダイシング用シートSDをウエハ100に張り付けて、粘着性の部分が「外枠CBの内側の部分」に接触しないようにできる。
図8(c)は、図8(b)に示すMEMS構造物の配列に対応したダイシング用シートSDの一部に形成された開口部OPの配列を示している。この例において、開口部OPは、図8(a)に示す偏向ミラーの外枠CBの「外周による矩形の形状」に合致している。従って、図8(c)のダイシング用シートSDをウエハ100に張り付けて、粘着性の部分が「外枠CBの内側の部分」に接触しないようにできる。
図8(d)は、図5(c)に即して説明した例における開口部OP21の1例であり、開口部OP21は、図8(b)に示す3つの偏向ミラーMSの「外枠CBの内側の部分」に重ならないように形成されている。この場合も、ダイシング用シートSDの粘着性の部分は、偏向ミラーMSの「外枠CBの内側の部分」に接触しない。
上の説明は、開口部(非粘着性である部分)と偏向ミラーとの関係の1例であるが、これに限らない。
例えば、図8(a)に示す例において、外枠CBの外側は分離ラインDLに合致することもできる。この場合には、隣接して形成された偏向ミラーを分離する分離ラインDLが、偏向ミラーMSの外枠の外周となる。このような場合、ダイシング用シートSDの粘着性を有する部分は、外枠CBに接触して粘着してもよい。
ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に影響するのは、ダイシング工程後のエキスパンド工程とピッキング工程であり、特にピッキング工程で粘着力の作用が大きい。
例えば、図8(a)に示す例において、外枠CBの外側は分離ラインDLに合致することもできる。この場合には、隣接して形成された偏向ミラーを分離する分離ラインDLが、偏向ミラーMSの外枠の外周となる。このような場合、ダイシング用シートSDの粘着性を有する部分は、外枠CBに接触して粘着してもよい。
ダイシング用シートの粘着力がMEMS構造物に影響するのは、ダイシング工程後のエキスパンド工程とピッキング工程であり、特にピッキング工程で粘着力の作用が大きい。
実用上の観点からすると、粘着力が「小型のミラーMLに作用しない」ようにすれば、MEMS構造物に対する粘着力の影響を回避でき。この観点からすると、ダイシング用シートの非粘着性である部分は、偏向ミラーのミラーMLの部分に相当する部分であればよい。
以上のように、この発明によれば、以下の如き新規な「ダイシング用シートおよびその製造方法およびダイシング処理方法」を実現できる。
[1]
複数のMEMS構造物(MS)が配列形成されたウエハ(100)の、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シート(SD、SD1)であって、少なくとも一方の表面は、粘着性を有するとともに、前記MEMS構造物に相当する部分は非粘着性であり、シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート(図2、図6、図7)。
複数のMEMS構造物(MS)が配列形成されたウエハ(100)の、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シート(SD、SD1)であって、少なくとも一方の表面は、粘着性を有するとともに、前記MEMS構造物に相当する部分は非粘着性であり、シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート(図2、図6、図7)。
[2]
[1]記載のダイシング用シートであって、2種以上のフィルム(FU、FL FL1、FL2)が重なって単一のシート(SD、SD1)として一体化し、前記シートの一方の面をなす表側フィルム(FU、FU1)は、表面側が前記ウエハに粘着する粘着性を有し、前記シートの他方の面をなす裏側フィルム(FL、FL1)は、面法線方向の粘着力が0または小さく、前記表側フィルムは、前記MEMS構造物に相当する部分が、前記裏側フィルムの部分まで開口された開口部(OP)を有するダイシング用シート(図2)。
[1]記載のダイシング用シートであって、2種以上のフィルム(FU、FL FL1、FL2)が重なって単一のシート(SD、SD1)として一体化し、前記シートの一方の面をなす表側フィルム(FU、FU1)は、表面側が前記ウエハに粘着する粘着性を有し、前記シートの他方の面をなす裏側フィルム(FL、FL1)は、面法線方向の粘着力が0または小さく、前記表側フィルムは、前記MEMS構造物に相当する部分が、前記裏側フィルムの部分まで開口された開口部(OP)を有するダイシング用シート(図2)。
[3]
[2]記載のダイシング用シートであって、前記表側フィルム(FU1)と前記裏側フィルム(FL1)との2枚のフィルムが重なって単一のシート(SD1)に一体化し、前記表側フィルムは、フィルム基材の表面側に粘着剤層(AD2)を有し、前記裏側フィルム(FL1)は自己粘着性であり、該自己粘着性により前記表側フィルムの裏面に弱く粘着して前記表側フィルムと一体化しているダイシング用シート(図2)。
[2]記載のダイシング用シートであって、前記表側フィルム(FU1)と前記裏側フィルム(FL1)との2枚のフィルムが重なって単一のシート(SD1)に一体化し、前記表側フィルムは、フィルム基材の表面側に粘着剤層(AD2)を有し、前記裏側フィルム(FL1)は自己粘着性であり、該自己粘着性により前記表側フィルムの裏面に弱く粘着して前記表側フィルムと一体化しているダイシング用シート(図2)。
[4]
[2]記載のダイシング用シートであって、前記表側フィルム(FU1)と前記裏側フィルム(FL1)との2枚のフィルムが重なって単一のシート(SD1)に一体化し、前記表側フィルム(FU1)は、フィルム基材(BS)の両面に粘着剤層(AD1、AD2)を有し、前記裏側フィルム(FL1)は粘着性がなく、前記表側フィルムの裏面側の前記粘着剤層の粘着性により該表側フィルムの裏面側に粘着して一体化しているダイシング用シート(SD1)(図2)。
[2]記載のダイシング用シートであって、前記表側フィルム(FU1)と前記裏側フィルム(FL1)との2枚のフィルムが重なって単一のシート(SD1)に一体化し、前記表側フィルム(FU1)は、フィルム基材(BS)の両面に粘着剤層(AD1、AD2)を有し、前記裏側フィルム(FL1)は粘着性がなく、前記表側フィルムの裏面側の前記粘着剤層の粘着性により該表側フィルムの裏面側に粘着して一体化しているダイシング用シート(SD1)(図2)。
[5]
[1]記載のダイシング用シートであって、前記ウエハ(100)に粘着する側の面に、シート状のマスキング部材(MT)が一体化して設けられて前記非粘着性である部分をなし、前記マスキング部材(MT)が、シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート(図6)。
[1]記載のダイシング用シートであって、前記ウエハ(100)に粘着する側の面に、シート状のマスキング部材(MT)が一体化して設けられて前記非粘着性である部分をなし、前記マスキング部材(MT)が、シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート(図6)。
[6]
[5]記載のダイシング用シート(SD2)であって、前記マスキング部材(MT)の伸縮性が、前記マスキング部材以外の部分の伸縮性より大きいダイシング用シート。
[5]記載のダイシング用シート(SD2)であって、前記マスキング部材(MT)の伸縮性が、前記マスキング部材以外の部分の伸縮性より大きいダイシング用シート。
[7]
[5]または[6]に記載のダイシング用シートであって、前記マスキング部材(MT)がテープ片状であるダイシング用シート(図6)。
[5]または[6]に記載のダイシング用シートであって、前記マスキング部材(MT)がテープ片状であるダイシング用シート(図6)。
[8]
[2]〜[4]の何れか1に記載のダイシング用シート(SD、SD1)を製造する方法であって、前記表側フィルムを用意する表側フィルム用意工程(S2)と、前記表側フィルムの、前記MEMS構造物に相当する部分を開口して貫通させる開口形成工程(S3)と、前記裏側フィルムを用意する裏側フィルム用意工程(S4)と、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとを重ね、単一のシートとして一体化する一体化工程(S5)と、を有するダイシング用シートの製造方法(図3)。
[2]〜[4]の何れか1に記載のダイシング用シート(SD、SD1)を製造する方法であって、前記表側フィルムを用意する表側フィルム用意工程(S2)と、前記表側フィルムの、前記MEMS構造物に相当する部分を開口して貫通させる開口形成工程(S3)と、前記裏側フィルムを用意する裏側フィルム用意工程(S4)と、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとを重ね、単一のシートとして一体化する一体化工程(S5)と、を有するダイシング用シートの製造方法(図3)。
[9]
複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシング処理方法であって、請求項1〜7の何れか1項に記載のダイシング用シートを用意するダイシング用シート用意工程(S12)と、複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハを用意するウエハ用意工程(S13)と、用意された前記ウエハの前記MEMS構造物が配列された面に、前記MEMS構造物が前記ダイシング用シートの前記非粘着性である部分に合致するように前記ダイシング用シートを粘着により貼り付けるダイシング用シート貼り付け工程(S14)と、前記ウエハの、前記ダイシング用シートを貼り付けられた側と逆の側から、ダイシングを行うダイシング工程(S15)と、該ダイシング工程後に前記ダイシング用シートをエキスパンドして、前記ダイシング用シート上で個々のMEMS構造物を分離するエキスパンド工程(S16)と、前記ダイシング用シート上で、分離したMEMS構造物をチップとしてピックアップするピックアップ工程(S17)と、を有するダイシング処理方法(図4)。
複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシング処理方法であって、請求項1〜7の何れか1項に記載のダイシング用シートを用意するダイシング用シート用意工程(S12)と、複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハを用意するウエハ用意工程(S13)と、用意された前記ウエハの前記MEMS構造物が配列された面に、前記MEMS構造物が前記ダイシング用シートの前記非粘着性である部分に合致するように前記ダイシング用シートを粘着により貼り付けるダイシング用シート貼り付け工程(S14)と、前記ウエハの、前記ダイシング用シートを貼り付けられた側と逆の側から、ダイシングを行うダイシング工程(S15)と、該ダイシング工程後に前記ダイシング用シートをエキスパンドして、前記ダイシング用シート上で個々のMEMS構造物を分離するエキスパンド工程(S16)と、前記ダイシング用シート上で、分離したMEMS構造物をチップとしてピックアップするピックアップ工程(S17)と、を有するダイシング処理方法(図4)。
[10]
[9]記載のダイシング処理方法であって、ダイシング工程をステルスダイシングで行うダイシング処理方法(図4)。
[9]記載のダイシング処理方法であって、ダイシング工程をステルスダイシングで行うダイシング処理方法(図4)。
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、ダイシング用シートは、表側フィルムや裏側フィルムがそれ自体「複数のフィルムの重なり」で構成され、ダイシング用シートが構造上の3層以上のフィルム層で構成されてもよい。
例えば、ダイシング用シートは、表側フィルムや裏側フィルムがそれ自体「複数のフィルムの重なり」で構成され、ダイシング用シートが構造上の3層以上のフィルム層で構成されてもよい。
あるいは、裏側フィルムの「表側フィルムと逆の側」に、例えば「補強用フィルム層」を形成することもできる。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
SD ダイシング用シート
FU 表側フィルム
FL 裏側フィルム
OP 開口部
100 ウエハ(シリコンウエハ)
MS MEMS構造物
FU 表側フィルム
FL 裏側フィルム
OP 開口部
100 ウエハ(シリコンウエハ)
MS MEMS構造物
Claims (10)
- 複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシングに用いられるダイシング用シートであって、
少なくとも一方の表面は、粘着性を有するとともに、前記MEMS構造物に相当する部分は非粘着性であり、
シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート。 - 請求項1記載のダイシング用シートであって、
2種以上のフィルムが重なって単一のシートとして一体化し、
前記シートの一方の面をなす表側フィルムは、表面側が前記ウエハに粘着する粘着性を有し、前記シートの他方の面をなす裏側フィルムは、面法線方向の粘着力が0または小さく、
前記表側フィルムは、前記MEMS構造物に相当する部分が、前記裏側フィルムの部分まで開口された開口部を有するダイシング用シート。 - 請求項2記載のダイシング用シートであって、
前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの2枚のフィルムが重なって単一のシートに一体化し、
前記表側フィルムは、フィルム基材の表面側に粘着剤層を有し、
前記裏側フィルムは自己粘着性であり、該自己粘着性により前記表側フィルムの裏面に
弱く粘着して前記表側フィルムと一体化しているダイシング用シート。 - 請求項2記載のダイシング用シートであって、
前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの2枚のフィルムが重なって単一のシートに一
体化し、
前記表側フィルムは、フィルム基材の両面に粘着剤層を有し、
前記裏側フィルムは粘着性がなく、前記表側フィルムの裏面側の前記粘着剤層の粘着性
により該表側フィルムの裏面側に粘着して一体化しているダイシング用シート。 - 請求項1記載のダイシング用シートであって、
前記ウエハに粘着する側の面に、シート状のマスキング部材が一体化して設けられて前記非粘着性である部分をなし、
前記マスキング部材が、シート面に平行な方向へ伸びることが可能であるダイシング用シート。 - 請求項5記載のダイシング用シートであって、
前記マスキング部材の伸縮性が、前記マスキング部材以外の部分の伸縮性より大きいダイシング用シート。 - 請求項5または6に記載のダイシング用シートであって、
前記マスキング部材がテープ片状であるダイシング用シート。 - 請求項2〜4の何れか1項に記載のダイシング用シートを製造する方法であって、
前記表側フィルムを用意する表側フィルム用意工程と、
前記表側フィルムの、前記MEMS構造物に相当する部分を開口して貫通させる開口形成工程と、
前記裏側フィルムを用意する裏側フィルム用意工程と、
前記表側フィルムと前記裏側フィルムとを重ね、単一のシートとして一体化する一体化工程と、を有するダイシング用シートの製造方法。 - 複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハの、前記MEMS構造物を個別のチップに分割するダイシング処理方法であって、
請求項1〜7の何れか1項に記載のダイシング用シートを用意するダイシング用シート用意工程と、
複数のMEMS構造物が配列形成されたウエハを用意するウエハ用意工程と、
用意された前記ウエハの前記MEMS構造物が配列された面に、前記MEMS構造物が前記ダイシング用シートの前記非粘着性である部分に合致するように前記ダイシング用シートを粘着により貼り付けるダイシング用シート貼り付け工程と、
前記ウエハの、前記ダイシング用シートを貼り付けられた側と逆の側から、ダイシングを行うダイシング工程と、
該ダイシング工程後に前記ダイシング用シートをエキスパンドして、前記ダイシング用シート上で個々のMEMS構造物を分離するエキスパンド工程と、
前記ダイシング用シート上で、分離したMEMS構造物をチップとしてピックアップするピックアップ工程と、を有するダイシング処理方法。 - 請求項9記載のダイシング処理方法であって、
ダイシング工程をステルスダイシングで行うダイシング処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015202368 | 2015-10-13 | ||
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JP2016200177A Pending JP2017076791A (ja) | 2015-10-13 | 2016-10-11 | ダイシング用シートおよびその製造方法およびダイシング処理方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018186246A1 (ja) | 2017-04-07 | 2018-10-11 | 矢崎エナジーシステム株式会社 | 蓄熱システム及びその潜熱蓄熱材の設置方法 |
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-
2016
- 2016-10-11 JP JP2016200177A patent/JP2017076791A/ja active Pending
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