JP2017075400A - 上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法 - Google Patents

上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素ガス吹き付けによる脱炭反応を伴う真空脱ガス処理において、高い真空度下でスプラッシュの発生量を低減することができる上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法を提供すること。
【解決手段】真空脱ガス装置1で用いられ、真空脱ガス装置1の真空槽4内の溶鋼3に酸素ガスを噴射する上吹きランス9であって、スロート径d1が10mm以上30mm以下、出口径d2が40mm以上80mm以下、スロート長さLが30mm以上、且つ傾角αが7度以上16度以下の複数のラバール型のノズル92a,92bを先端に備える。
【選択図】図2

Description

本開示は、上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法に関する。
製鉄の製鋼プロセスでは、転炉等で一次精錬処理された溶鋼の成分を調整するために、RH法や、DH−AD法、LVD法等の各種真空脱ガス方式を用いた二次精錬処理が行われる。このうち、RH法では、真空槽内で高真空に曝した溶鋼に対してArガスを吹き込み、溶鋼を還流・攪拌することで、主に溶鋼中のガス成分が除去される(真空脱ガス処理)。さらに、RH法では、真空脱ガス処理中の溶鋼に対して、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けることにより、溶鋼中の炭素が除去(脱炭)されるため、高品質な鋼を製造することができる。
このRH法では、近年、二次精錬プロセスの効率化や処理速度の向上を目的とした様々な取り組みが行われている。例えば、特許文献1には、真空脱ガス処理中の溶鋼に対して、上吹きランスから酸素と燃料ガスとを噴出させ、燃焼させることにより、溶鋼の温度上昇を図る方法が記載されている。また、特許文献2には、真空脱ガス処理中の溶鋼に対して、複数のランスから酸素を吹き付けることにより、脱炭反応を促進させる方法が開示されている。
特許第2759021号公報 特開2002−294329号公報
ところで、RH法では、溶鋼から水素や窒素等のガス成分を除去する際、真空槽中の真空度を高めることにより、脱ガス反応が促進されることが知られている。しかし、例えば50Torr以下の高い真空度下において、特許文献1,2に記載の方法のように上吹きランス等から酸素を溶鋼に吹き付けて脱炭処理を行う場合、吹き付ける酸素の体積が増大することで吹き付け流速が増大し、浴面動圧が高まることにより、スプラッシュの発生量が増大することが問題であった。スプラッシュは、溶鋼が表面のガス流動によって飛散する現象であり、これが生じると装置壁面や上吹きランスへの地金付着により操業が困難となる。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、酸素ガス吹き付けによる脱炭反応を伴う真空脱ガス処理において、高い真空度下でスプラッシュの発生量を低減することができる上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであって、以下の特徴を有している。
[1]真空脱ガス装置で用いられ、前記真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼に酸素ガスを噴射する上吹きランスであって、スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備えることを特徴とする上吹きランス。
[2]50Torr以下の真空度で溶鋼を真空脱ガス処理する真空槽と、前記真空槽内の溶鋼に酸素ガスを噴射する上吹きランスとを備え、前記上吹きランスは、スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備えることを特徴とする真空脱ガス装置。
[3]真空脱ガス装置の真空槽内で真空脱ガス処理される溶鋼に、上吹きランスから酸素ガスを噴射することで前記溶鋼を脱炭する際に、50Torr以下の真空度で前記溶鋼を真空脱ガス処理し、スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備える前記上吹きランスを用いることを特徴とする真空脱ガス処理方法。
本発明の一態様によれば、酸素ガス吹き付けによる脱炭反応を伴う真空脱ガス処理において、高い真空度であってもスプラッシュの発生量を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る真空脱ガス装置を示す断面図である。 上吹きランスの先端を示す一部断面図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<真空脱ガス装置の構成>
はじめに、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る真空脱ガス装置1について説明する。真空脱ガス装置1は、RH方式の脱ガス装置であり、取鍋2に収容された溶鋼3に対して脱ガスや脱炭等の精錬処理を行う。溶鋼3は、予め転炉等の精錬装置において、一次精錬処理される。
真空脱ガス装置1は、真空槽4と、上昇側浸漬管5と、下降側浸漬管6と、ダクト7と、副原料投入管8と、上吹きランス9とを有する。
真空槽4は、内面に耐火物が設けられた略円筒容器状の容器であり、上昇側浸漬管5および下降側浸漬管6、ならびに上部にダクト7および副原料投入管8がそれぞれ接続される。
上昇側浸漬管5および下降側浸漬管6は、略円筒状の形状を有し、内面および下端側の外面に耐火物が設けられる。また、上昇側浸漬管5は、不図示のガス供給装置から供給されるガスを内面から吹き込むように構成される。
ダクト7は、不図示の真空排気装置と接続され、真空排気装置によって真空槽4の内部の気圧を低くすることができるように構成される。
副原料投入管8は、不図示の複数のホッパーに接続され、各ホッパーから合金鉄等の各種副原料が送られることで、真空槽4内の溶鋼3に副原料を投入する。
上吹きランス9は、図2に示すように、長手方向(図1,2の紙面に対する上下方向)に酸素供給路91が内部に形成され、下端に一対のノズル92a,92bが設けられる。各ノズル92a,92bは、ラバール型の形状を有し、酸素供給路91側のスロート部におけるスロート径d1が10mm以上30mm以下、下端側の出口径d2が40mm以上80mm以下、スロート長さLが30m以上、且つ傾角αが7度以上16度以下である。スロート径d1が10mm未満または出口径d2が40mm未満となる場合、酸素ガスの動圧が過度に高くなり、スプラッシュの発生量が増大してしまう。一方、スロート径d1が30mm超または出口径d2が80mm超となる場合、酸素ガスの動圧が過度に低くなり、脱炭速度が低下してしまう。なお、スロート径d1と出口径d2とは、噴出流速と動圧とが最大となる適正開口比である必要は無い。これは最適開口比から意図的に外した設計とすることで酸素ガスの噴流が広がり、火点面積の増大が見込めるためである。また、一対のノズル92a,92bのスロート部から出口までの酸素ガス噴射方向の長さであるスロート長さLを70mm以上とすることで、安定した噴流挙動を得ることができるため、酸素ガスの最適な動圧をより確実に確保することができる。傾角αは、上吹きランス9の長手方向(図1に紙面に対する上下方向)と各ノズル92a,92bの噴射方向とでなす角である。なお、各ノズル92a,92bは、上吹きランス9の長手方向に延びる中心軸に対して同心円上に対向して配される。傾角αが6度以下となる場合、各ノズル92a,92bからそれぞれ噴射される酸素ガスの噴流同士が一つに合体する可能性があり、ノズル92a,92bを複数設けたことによる動圧低減および火点面積増大の効果が得られなくなる。一方、傾角αが17度以上となる場合、噴射された酸素ガスが溶鋼3に到達する前に真空槽4の壁面に衝突し、さらに溶鋼3の浴面までの距離が遠くなることで浴面に到達した際に流速が低下し動圧が不足する恐れがある。さらに、上吹きランス9の真空槽4の外に配された上端側は、不図示の酸素供給装置に接続される。このような構成の上吹きランスは、酸素供給装置を介して送られる酸素ガスを、一対のノズル92a,92bから真空槽4内の溶鋼3にそれぞれ噴射する。
<真空脱ガス処理方法>
次に、本実施形態に係る真空脱ガス処理方法について説明する。まず、真空槽4を下降させ、取鍋2内に収容された溶鋼3に上昇側浸漬管5および下降側浸漬管6を浸漬させる。なお、溶鋼3は、炭素濃度が1.5mass%以下のものであればよい。溶鋼3の炭素濃度が1.5mass%超となると脱炭時間が非常に長くなるため、真空脱ガス処理前に炭素濃度を1.5mass%以下まで低減しておくことが望ましい。
次いで、真空槽4内の真空度を50Torr以下とし、真空槽4内の所定の高さまで溶鋼3を吸い上げる。さらに、上昇側浸漬管5の内面からArガスを吹き込むことにより、溶鋼3を還流させる。これにより、溶鋼3中の水素や窒素といったガス成分が除去される。なお、真空度を、真空脱ガス処理の全ての期間にわたって、10Torr以上50Torr以下とすることが好ましい。通常の真空脱ガス装置では、60Torr程度の真空度で脱炭を伴う真空脱ガス処理が行われることが多いが、本実施形態では、真空度を50Torr以下とすることで通常よりも高い脱ガス速度で処理を行うことができる。一方、真空度が10Torr以下になると、ガスの体積膨張が激しくなり、溶鋼3の浴面における酸素ガスの動圧が低くなる可能性があるため、真空度を10Torr以上とすることが好ましい。なお、ここで言う真空度は、絶対圧基準での真空度とする。
そして、溶鋼3を還流させた状態で、上吹きランス9から酸素ガスを溶鋼3に吹き込み、溶鋼3中の炭素を酸化除去する。この際、上吹きランス9の下端から溶鋼3の浴面までの高さ(ランス高さ)を3500mm以上5500mm以下、酸素ガスの送酸量を2000Nm/h以上3000Nm/h以下とすることで、一般的なRH方式の真空脱ガス装置1において適用することができる。また、炭素の酸化除去によって生じるCO気泡によってもガス成分が除去される。酸素ガスの吹込みは、所定量の酸素ガスが吹き込まれるまで行われる。酸素ガスの吹込み量は、真空脱ガス処理する前の溶鋼3の炭素濃度および処理後の目標炭素濃度、ならびに処理後の目標温度等によって決定される。
なお、RH方式の真空脱ガス装置1において、ランス高さを3500mm以上とすることで、上吹きランス9への地金の付着を抑えることができ、さらに酸素ガスの噴流が十分に広がった状態で溶鋼3へ到達するため、火点面積が確保され安定した脱炭速度を得ることができる。一方、ランス高さを5500mm以下とすることで、酸素ガスが確実に溶鋼3へ到達するため、脱炭速度を十分に速くすることができる。また、脱炭反応で生じるCOガスによって酸素ガスの溶鋼3への到達が妨げられる可能性があるが、ランス高さを5500mm以下とすることで、COガスの発生量に関わらず酸素ガスを確実に溶鋼3へ到達させることができる。さらに、送酸量を2000Nm/h以上とすることで、十分な脱炭速度を得ることができる。一方、送酸量を3000Nm/h以下とすることで、10Torr程度の高い真空度においても、スプラッシュの発生を防止することができる。
その後、溶鋼3が所定の成分および温度となるまで溶鋼3の還流が行われることで、真空脱ガス処理が終了する。なお、真空脱ガス処理中は、必要に応じて合金鉄や脱酸剤(金属アルミ等)といった副原料が、副原料投入管8から投入される。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、上吹きランス9の先端に一対のノズル92a,92bを設けるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、上吹きランス9の先端には、複数のラバール型のノズルが設けられてもよい。この際、各ノズルは、スロート径d1が10mm以上30mm以下、出口径d2が40mm以上80mm以下、且つスロート長さLが30m以上となる。また、複数のノズルは、上吹きランス9の長手方向に延びる中心軸に対して同心円上に離間して配され、傾角αが7度以上16度以下となるように設けられる。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る上吹きランス9は、真空脱ガス装置1で用いられ、真空脱ガス装置1の真空槽4内の溶鋼3に酸素ガスを噴射する上吹きランス9であって、スロート径d1が10mm以上30mm以下、出口径d2が40mm以上80mm以下、スロート長さLが30mm以上、且つ傾角αが7度以上16度以下の複数のラバール型のノズル92a,92bを先端に備える。
上記構成によれば、複数のノズル92a,92bのスロート径d1、出口径d2、スロート長さLおよび傾角を上記範囲内とすることにより、溶鋼3への酸素ガスの動圧をコントロールすることができる。このため、上記構成の上吹きランス9を用いて、酸素ガス吹き付けによる脱炭反応を伴う真空脱ガス処理を行う際に、50Torr以下の高い真空度下においてスプラッシュの発生量を操業上の問題がない程度に低減することができる。
ここで、通常の真空脱ガス装置にて溶鋼3を真空脱ガス処理する場合、脱ガス反応を促進させるために真空度を高くする必要がある。しかし、真空度が高い程ガスの体積が増加してスプラッシュが発生し易くなるため、高い真空度での真空脱ガス処理中に脱炭を行う場合、吹き込む酸素ガスや発生するCOガスによるスプラッシュの発生が問題となる。このため、例えば50Torr以下の真空度で脱炭反応を伴う真空脱ガス処理をするには、上吹きランスから噴射される酸素ガスの送酸速度を低くする必要があった。送酸速度を低くすることでガス成分の体積が小さくなるため、スプラッシュの発生を抑えることができる。一方で脱炭速度が低くなるため、真空脱ガス処理に掛かる時間が長くなることが問題であった。しかし、上記構成によれば、送酸速度を低くすることなく、高い真空度での真空脱ガス処理を安定して行うことができるようになるため、脱ガス効率および脱炭速度を共に向上させることができる。これにより、高い真空脱ガス処理に掛かる時間を短くすることができ、生産性を向上させることができる。
さらに、脱炭反応を伴う真空脱ガス処理では、溶鋼3の炭素濃度が高くなるに従い、処理中に発生するCOガスの発生量が増加する。また高真空下では、発生したCOガスが膨張し、それによって溶鋼3が泡立って跳ね上がるため、スプラッシュの発生量が増大する。このため、高い炭素濃度(特に、0.3mass%以上の炭素濃度)の溶鋼3を脱炭する際にはスプラッシュの発生が問題となる。しかし、上記構成によれば、真空脱ガス装置1で高い炭素濃度の溶鋼3を脱炭する場合でも、スプラッシュの発生を低減することができ、安定して処理を行うことができる。
さらに、上記構成によれば、ノズル92a,92bを複数設けることにより、酸素ガスの動圧を低減しながらも火点面積を増大させることができる。このため、真空槽4の限られた空間内で酸素吹き込まなければならない真空脱ガス装置1においても、スプラッシュの発生を抑えながら、脱炭速度を速くすることができる。
(2)本発明の一態様に係る真空脱ガス装置1は、50Torr以下の真空度で溶鋼3を真空脱ガス処理する真空槽4と、真空槽4内の溶鋼3に酸素ガスを噴射する上吹きランス9とを備え、上吹きランス9は、スロート径d1が10mm以上30mm以下、出口径d2が40mm以上80mm以下、スロート長さLが30mm以上、且つ傾角αが7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備える。
(3)本発明の一態様に係る真空脱ガス処理方法は、真空脱ガス装置1の真空槽4内で真空脱ガス処理される溶鋼3に、上吹きランス9から酸素ガスを噴射することで溶鋼3を脱炭する際に、50Torr以下の真空度で溶鋼3を真空脱ガス処理し、スロート径d1が10mm以上30mm以下、出口径d2が40mm以上80mm以下、スロート長さLが30mm以上、且つ傾角αが7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備える上吹きランス9を用いる。
上記(2),(3)の構成によれば、(1)と同様な効果を得ることができる。また、50Torr以下の真空度でも、脱炭反応を伴う真空脱ガス処理を行うことができるようになるため、脱ガス効率を向上させることができる。さらに、例えば特許文献2の方法のように、動圧を低減させるために複数のランスや付帯設備を設ける必要がなく、上吹きランス自体を変更するだけで一般的な真空脱ガス装置に本発明を適用することができる。このため、設備の導入や維持に掛かるコストを低減させることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、上記実施形態と同様にRH方式の真空脱ガス装置1を用いて、炭素濃度が0.3mass%程度の溶鋼3について、脱炭反応を含む真空脱ガス処理をした。この際、上吹きランス9のスロート径d1や出口径d2、傾角α、ノズル数、真空度、ランス高さ、送酸量といった条件を変え、これらの条件がスプラッシュの発生量や精錬効率に与える影響について確認をした。また、スロート長さLは、全ての条件において30mmとした。なお、実施例では、実操業下で上吹きランス9の交換を頻繁に行うことが困難であったことから、一部の条件については実機の真空脱ガス装置1を用いて処理を行い、その他の条件については実機で得られた結果と数値解析とから評価を行った。数値解析による評価では、上昇側浸漬管5および下降側浸漬管6よりも下側の領域については解析モデルに含めずに、真空槽4内の領域についての解析モデルを用いて数値解析を行い、さらに溶鋼3の浴面よりも上側の領域について各種評価を行った。
表1に、実施例における真空度、ノズル数、スロート径d1、出口径d2、傾角α、ランス高さおよび送酸量の条件と、評価の結果とを示す。実施例では、上記実施形態に係る上吹きランスを用いた真空脱ガス処理の条件として、ノズルの形状や数、真空度、ランス高さ、送酸量の条件を変えた実施例1〜30の30条件で真空脱ガス処理を行った。また、ノズル数、スロート径d1、出口径d2および傾角の条件が上記実施形態と異なる比較例として、比較例1〜10の10条件で真空脱ガス処理を行った。なお、ノズル数が1つとなる比較例1,2の条件においては、ノズルの噴射方向が上吹きランス9の長手方向と同じ方向となるように、ノズルを上吹きランス9の下端に設けた。また、ノズル数が3つとなる実施例29,30の条件においては、上吹きランス9の長手方向に延びる中心軸に対して、3つのノズルを同心円上に等間隔に離間して配した。
表1に示すように、実施例では、スプラッシュの発生量の評価として、真空脱ガス処理後の上吹きランス9への地金の付着量を用いた。つまり、上吹きランス9に付着した地金の量からスプラッシュの発生量を判断した。そして、通常行われている条件となる比較例1に対して地金の付着量が同等または少なければ「○」とし、比較例1に対して地金の付着量が多ければ「×」とした。なお、数値解析による評価の場合、気液二相の解析モデルを用いて解析を行うことでスプラッシュの発生量を推定し、比較例1の条件におけるスプラッシュの発生量と比較することで評価を行った。
また、脱炭速度の評価では、真空脱ガス処理中に発生する排ガス量および排ガス中のCOガス濃度から脱炭速度を測定した。なお、数値解析による評価の場合、実際に真空脱ガス処理を行った条件での脱炭速度と、各条件における計算上の動圧との関係を調べ、得られたこの関係と、数値解析による評価を行う条件での計算上の動圧とから脱炭速度を推定した。例えば、計算上の動圧が同程度である場合、脱炭速度も同程度であるとみなした。
さらに、脱ガス速度の評価では、真空脱ガス処理中の溶鋼3中の窒素濃度および水素濃度をそれぞれ測定し、脱ガス速度として脱窒素速度および脱水速度を算出した。そして、比較例1に対して、脱ガス速度が向上していれば「○」または「◎」とし、特に顕著に向上した場合を「◎」とした。そして、最終的な評価として、スプラッシュの評価が「○」、且つ脱炭速度が比較例1の脱炭速度以上、且つ脱ガス速度の評価が「○」または「◎」であった条件を「○」として、これらの評価のうち少なくとも1つが条件を外れたものについては「×」とした。
Figure 2017075400
実施例の結果、比較例2〜10および実施例1〜30の条件では、50Torr以下の真空度にすることで、比較例1よりも脱ガス速度が速くなることを確認した。特に、真空度を30Torr以下とすることで、より高い脱ガス速度が得られた。
また、上記実施形態の条件と異なり、ノズル数を1つとした比較例2、またはスロート径d1を5mmとした比較例3〜5の場合、スプラッシュの発生量が多くなった。さらに、スロート径d1を35mmとした比較例6〜8、または傾角αを17度とした比較例10の場合、脱炭速度が0.004mass%/min以下となり、比較例1に比べ低下した。さらに、傾角αを6度とした比較例9の場合、スプラッシュの発生量が多くなり、さらに脱炭速度が低下した。つまり、比較例2〜10では、ノズル数、スロート径d1および傾角αの少なくともいずれかの条件が、上記実施形態の範囲を超えることで、スプラッシュの発生量および脱炭速度の少なくともいずれかの評価が悪くなることを確認した。
一方、実施例1〜30の条件では、ノズル数、スロート径d1、出口径d2、傾角α真空度、ランス高さおよび送酸量に関わらず、すべての条件において、スプラッシュの発生量および脱炭速度の評価がよくなることを確認した。つまり、上記実施形態の構成とすることにより、50Torr以下の真空度であっても、操業上問題になるようなスプラッシュの発生が防止され、さらに、脱炭速度および脱ガス速度が向上することを確認できた。
1 真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 真空槽
5 上昇側浸漬管
6 下降側浸漬管
7 ダクト
8 副原料投入管
9 上吹きランス
91 酸素供給路
92a,92b ノズル
d1 スロート径
d2 出口径
L スロート長さ
α 傾角

Claims (3)

  1. 真空脱ガス装置で用いられ、前記真空脱ガス装置の真空槽内の溶鋼に酸素ガスを噴射する上吹きランスであって、
    スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備えることを特徴とする上吹きランス。
  2. 50Torr以下の真空度で溶鋼を真空脱ガス処理する真空槽と、
    前記真空槽内の溶鋼に酸素ガスを噴射する上吹きランスと
    を備え、
    前記上吹きランスは、スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備えることを特徴とする真空脱ガス装置。
  3. 真空脱ガス装置の真空槽内で真空脱ガス処理される溶鋼に、上吹きランスから酸素ガスを噴射することで前記溶鋼を脱炭する際に、
    50Torr以下の真空度で前記溶鋼を真空脱ガス処理し、
    スロート径が10mm以上30mm以下、出口径が40mm以上80mm以下、スロート長さが30mm以上、且つ傾角が7度以上16度以下の複数のラバール型のノズルを先端に備える前記上吹きランスを用いることを特徴とする真空脱ガス処理方法。
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