JP2017074701A - 保護フィルム - Google Patents

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【課題】タッチパネルなどの表面に容易に貼ったり剥がしたりを繰り返し行うことができ、フィルム表面に傷が残り難く、かつ曲面に追従して貼り付けることができる保護フィルムの提供。【解決手段】セパレーターA、シリコーン吸着層、アンカー層、エラストマー基材、ウレタン系傷修復層、セパレーターBを順次積層した保護フィルム。さらには、前記エラストマー基材がウレタンエラストマー基材であり、前記エラストマー基材の厚みが50μm〜200μm、かつ、前記エラストマー基材の破断時伸び率が120%を超える保護フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネルなどの表面に貼り付けて、当該表面を保護するために使用される保護フィルムに関し、特に、曲面に追従して貼り付けることができる保護フィルムに関する。
基材上にシリコーン層を設けた機能性フィルムは、ウィンドウ等の表面に容易に貼ったり剥がしたりを何回もできるので、基材に印刷を施すことにより装飾用フィルムなどとして利用されている。(特許文献1)また、基材及び又は積層に特定機能を付与することにより各種の機能性フィルムとなり、特に、シリコーン層の反対面の基材上にハードコート層を設けたものは、液晶画面に貼着して画面の保護フィルムとして利用されている。
近年、液晶画面が使用されているスマートフォンなどの携帯端末は、多様なデザイン性が要求されるようになっており、タッチスイッチが曲面上に設けられたスマートフォンなどが販売されている。このような携帯端末でタッチスイッチが設けられたタッチパネルを保護するためには、曲面に貼り付けることができる保護フィルムが必要となるが、PETのような硬い基材上にハードコート層を設けた保護フィルムは硬く柔軟性がないため、曲面に追従して貼り付けることができなかった。
表面に傷が残らない保護フィルムを曲面に追従して貼り付けるためには、表面に傷が付き難いハードコート層のような硬い層ではなく、表面に傷が付いても回復する柔軟性のある層を設ける必要がある。このような層としては、自己修復層が挙げられる。ハードコート層が硬く傷がつき難いのに対して、自己修復層は容易に表面状態が外力によって変化するが、一定の時間で元の状態に自己修復することによって、表面に傷を残り難くする層である。このような自己修復層を設けた保護フィルムとして、特許文献2の表面基材が提案されている。しかしながら、特許文献2には曲面追従性に関する示唆は無く、特許文献2の表面基材は厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に自己修復層が設けられたものであり、表面基材全体では硬いものとなり、曲面に沿って貼り付けることができる性能、すなわち曲面追従性は十分なものではなかった。
実公平6-21711号公報 特開2009-255492号公報
本発明は、前記の問題を解決するものであって、タッチパネルなどの表面に容易に貼ったり剥がしたりを繰り返し行うことができ、フィルム表面に傷が残り難く、かつ曲面に追従して貼り付けることができる保護フィルムを提供することである。
第1発明は、セパレーターA、シリコーン吸着層、アンカー層、エラストマー基材、ウレタン系傷修復層、セパレーターBを順次積層した保護フィルムである。
第2発明は、前記エラストマー基材が、ウレタンエラストマー基材であることを特徴とする第1発明に記載の保護フィルムである。
第3発明は、前記エラストマー基材の厚みが50μm〜200μm、かつ、前記エラストマー基材の破断時伸び率が120%を超えることを特徴とする第1又は第2発明に記載の保護フィルムである。
第4発明は、前記アンカー層が酸価7〜100mgKOH/gの範囲にあるポリエステル系樹脂よりなる水性塗液を塗工することにより設けられていることを特徴とする第1〜第3発明のいずれかに記載の保護フィルムである。
第5発明は、前記ポリエステル系樹脂がアクリル変性ポリエステル系樹脂であることを特徴とする第4発明に記載の保護フィルムである。
第6発明は、前記ウレタン系傷修復層がポリオール成分とイソシアネート化合物を主成分とする塗液を塗工乾燥および硬化してなることを特徴とする第1〜第5発明のいずれかに記載の保護フィルムである。
第7発明は、仮支持体フィルム上の前記エラストマー基材に積層した前記アンカー層表面に、前記シリコーン吸着層及び前記セパレーターAを順次積層してシリコーン吸着層積層フィルムを製造し、前記セパレーターBに前記ウレタン系傷修復層を積層してウレタン系傷修復層積層フィルムを製造し、前記シリコーン吸着層積層フィルムの前記仮支持体フィルムを剥離した前記エラストマー基材表面に、前記ウレタン系傷修復層積層フィルムの前記ウレタン系傷修復層を貼り合わせることによって、
前記セパレーターAと前記シリコーン吸着層間の剥離力よりも前記ウレタン系傷修復層と前記セパレーターB間の剥離力の方を大きくしたことを特徴とする第1〜第6発明のいずれかに記載の保護フィルムである。
本発明によれば、タッチパネルなどの表面に容易に貼ったり剥がしたりを繰り返し行うことができ、フィルム表面に傷が残り難く、かつ曲面に追従して貼り付けることができる保護フィルムを提供することができる。
以下に本発明の保護フィルムを、さらに詳しく説明する。
(保護フィルム)
本発明の第1実施形態の保護フィルムXの層構成の模式図を図1に示す。保護フィルムXは、セパレーターA1、シリコーン吸着層2、アンカー層2A、エラストマー基材3、ウレタン系傷修復層4、セパレーターB5の6層で構成されている。
(エラストマー基材)
本発明におけるエラストマー基材3の材料としては、熱可塑性エラストマーが挙げられる。エラストマー基材3は、熱可塑性エラストマー以外に酸化防止剤、帯電防止剤、防黴・防菌剤などの薬剤を含有していてもよい。エラストマー基材3は、従来公知の方法で、すなわち押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどに熱可塑性エラストマー及びその他の成分を投入し溶融混練して混練物(マスターバッチ)を作成し、当該混練物をカレンダー、Tダイなどを通過させることでシート状及至板状に成形することができる。
上記のように、エラストマー基材3はキャスト成膜法などで成膜することも可能である。しかしながら、保護フィルムXにおいては、図2に示すようにエラストマー基材3は仮支持体6上に形成するか、又は仮支持体6上に設けられたエラストマー基材の市販品を使用することが好ましい。エラストマー基材3単体では引張強度が小さく、エラストマー基材3にアンカー層2Aを積層する際にエラストマー基材3が伸びたり切れたりすることがある。このため、仮支持体6に積層した状態のエラストマー基材3にアンカー層2Aを積層することが好ましい。エラストマー基材3の厚みは50μm以上200μm以下であることが好ましく、70μm以上180μm以下であることがより好ましい。エラストマー基材3の厚みが50μm未満になると、保護フィルムとしての十分な性能が得られず、200μmを超えることはコスト的に無駄である。また、エラストマー基材3の破断時伸び率は120%を超えることが好ましく、300%超えることがより好ましい。破断時伸び率が120%未満になると、保護フィルムの柔軟性がなくなり、曲面追従性が低下する。
エラストマー基材3を積層する仮支持体6としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどからなる1層または多層構造のフィルムを使用することができる。仮支持体6の厚みは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜200μmである。
仮支持体6上に熱可塑性エラストマーを溶融した混練物(マスターバッチ)塗工する方法としては、3本オフセットグラビアコーターや5本ロールコーターに代表される多段ロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、バーコーター、エアナイフコーター、Tダイ等公知の方法が適宜使用される。
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーは特に限定されず、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、ポリエチレン系などの熱可塑性エラストマーを使用することができる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうちで、加工性、価格などから、ポリウレタン系(熱可塑性ポリウレタン(TPU))又はポリオレフィン系(熱可塑性ポリオレフィン(TPO))が好ましく、後述するウレタン系傷修復層との接着性からポリウレタン系(熱可塑性ポリウレタン(TPU))がより好ましい。TPUとしては、以下のハードセグメント及びソフトセグメントから構成されたものが挙げられるが、保護フィルムXの曲面追従性の点から、イソシアネートとポリオール成分の配合量を適宜調節して、エラストマー基材3の伸長応力を小さく、破断時伸び率を大きくすることが好ましい。
ハードセグメントとしては、ジイソシアネート及び1,4‐ブタンジオールやジエチレングリコールなどのアルカンジオール又はジアルキレングリコールからなるものなどが挙げられる。
ソフトセグメントとしては、ジイソシアネート、及びポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシブチレン−ポリオキシエチレン、ポリテトラメチレン、又はポリオキシブチレン−ポリオキシエチレン−グリコールなどのポリエーテル系、又はアルカンジオール−ポリアジペートなどのポリエステル系からなるものなどが挙げられる。ここで、ジイソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
TPOとしては、以下のものが挙げられる。
(1)ハードセグメントとしてポリプロピレンを、ソフトセグメントとしてポリエチレンを有するエラストマー、
(2)エチレンと少量のジエン成分を有するエラストマー、
(3)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、
(4)エチレン−プロピレンゴム(EPR)、
(5)ブチルゴムグラフトポリエチレン、
(6)スチレン系エラストマー、
(7)(1)〜(6)の各エラストマー(ゴム)をブレンドしたもの、
(8)有機過酸化物を(1)〜(7)に添加して部分的に架橋したもの、
(9)不飽和ヒドロキシ単量体や不飽和カルボン酸誘導体でグラフト変性されたもの、など。
保護フィルムXのエラストマー基材3には、保護フィルムXの曲面追従性を満足するための柔軟性を損なわない範囲で、熱可塑性エラストマー成分以外に他の成分を含めることができる。その他の成分の例としては、改質剤(加工助剤)、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃助剤、ブロッキング防止剤などが挙げられ、これらは必要に応じて単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(アンカー層)
本発明に係る保護フィルムXでは、エラストマー基材3とシリコーン吸着層2の間にアンカー層2Aを設ける。アンカー層2Aを設ける目的は、エラストマー基材3とシリコーン吸着層2両層との接着力の向上、および被着体から保護フィルムXを剥離する際に、経時により被着体面とシリコーン吸着層2面の密着力が上昇せずスムーズに剥離でき被着体上にシリコーン残りを発生させないことである。
アンカー層2Aに用いる樹脂としては、酸価7〜100mgKOH/gの範囲にあるポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。エラストマー基材3に直接シリコーン吸着層2を積層すると十分な接着力が得られないため、アンカー層2Aを設ける必要がある。本発明では、基材にエラストマーを使用しているため、アンカー層2Aにはエラストマー基材3とシリコーン吸着層2の両方に対する接着性が要求される。本発明者が鋭意検討した結果、アンカー層2Aに酸価7〜100mgKOH/gの範囲にあるポリエステル系樹脂を用いることにより、エラストマー基材3とシリコーン吸着層2との両方に対する接着性が達成されること見出し、本発明に至った。
ポリエステル系樹脂の酸価が7mgKOH/g未満であると、アンカー層2Aとシリコーン吸着層2、アンカー層2Aとエラストマー基材3の接着力が弱くシリコーン吸着層2が、特に経時等によりエラストマー基材3から離脱しやすくなる。また被着体への保護フィルムXの貼着後、保護フィルムXを剥離する際に、経時により被着体面とシリコーン吸着層2面の密着力が上昇しスムーズに剥離できず、かつ被着体上にシリコーン残りが発生しやすくなる。酸価が100mgKOH/gを超えると樹脂皮膜の耐水性が不足する。
(ポリエステル系樹脂)
本発明において使用される酸価7〜100mgKOH/gの範囲にあるポリエステル系樹脂は、常法により、例えば多価カルボン酸成分と多価ヒドロキシ化合物成分とのエステル化反応から作られたポリエステル系樹脂である。該ポリエステル系樹脂は、固形成分を有機溶剤に溶解して、アンカー層塗液としてもよいが、用いる溶剤によってはアンカー層塗液によって、エラストマー基材3が溶剤に侵食されるおそれがある。したがって、アンカー層塗液は水性分散液として用いるのが、好ましい。
前記ポリエステル系樹脂の該多価カルボン酸成分は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物で、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、5−ソジオスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ドデカンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、多価ヒドロキシ化合物成分は、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物で、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などを挙げることができる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステルなどのモノエポキシ化合物を、ポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応させることにより、ポリエステル樹脂に導入しても良い。
アンカー層2Aに使用するポリエステル系樹脂は、水酸基が導入されていてもよく、樹脂のガラス転移温度は0〜75℃であることが好ましい。水酸基が導入されていると、架橋反応剤等を樹脂中に添加することによりアンカー層2Aの改質がしやすくなる。また、ガラス転移温度が0℃未満の場合は皮膜がブロッキングし易くかつ皮膜強度が得られ難く、ガラス転移点が75℃を超えるとエラストマー基材3との密着性が落ちる場合がある。尚、該ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は1,000〜50,000であることが好ましい。
アンカー層2Aに使用するポリエステル系樹脂は、アクリル変性やウレタン変性したポリエステル樹脂であっても良い。特に、アクリル変性ポリエステル樹脂は皮膜特性の観点から好ましい。
アクリル変性ポリエステル樹脂は、例えば、常法により、不飽和ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含む重合性(メタ)アクリルモノマーとをグラフト重合したり、水酸基含有ポリエステル樹脂にアクリル変性脂肪酸などを反応させることにより得られる。
前記ポリエステル系樹脂の水性液は従来公知の方法により作製可能である。
前記ポリエステル系樹脂でアンカー層を形成した場合、環境によっては、アンカー層2Aの表面抵抗率が1013Ω/□を超える場合がある。このような場合、アンカー層2A上にシリコーン吸着層2用塗液を塗工する際に帯電ムラを生じ、シリコーン吸着層2の表面平滑性が損なわれる場合があり、この状態で、シリコーン吸着層2を被着体に貼り付けると、シリコーン吸着層2と被着体の界面において気泡が発生し易くなる場合がある。
したがって、広範囲の環境で、アンカー層2A上にシリコーン吸着層2用の塗液を塗工する際の帯電ムラを防止する目的で、必要に応じて帯電防止剤を添加することが、好ましい。
帯電防止剤を添加する場合、帯電防止剤としては、シリコーン樹脂の硬化の際に、触媒毒となりシリコーン吸着層2の硬化不良が生じるものは好ましくない。また、表示画面用保護フィルムとして透明性が確保されなければならない。この観点から、カーボンナノファイバーや、スメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト等解離性層状ケイ酸塩などが好ましい。水分散系で安価に入手可能である点で、層状ケイ酸塩が特に好ましい。したがって、この観点からも、前記ポリエステル系樹脂よりなる塗液は水性液であることが好ましい。
帯電防止剤を添加する場合の添加量は、用いる帯電防止剤により異なるが、アンカー層2Aの柔軟性の観点から少量で効果があるものが好ましい。
アンカー層2Aの厚みは0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.15〜3μmである。アンカー層2Aの厚みが、0.1μm未満であると熱架橋されたシリコーン吸着層2がアンカー層2Aから離脱し易くなるとともに、アンカー層2Aもエラストマー基材3から離脱し易くなる。一方、アンカー層2Aの厚みが、5μmを超えることは無駄である。
保護フィルムXのアンカー層2A用塗液には、前記の成分の他、エラストマー基材3への濡れ性を改善するために、塗液の分散性を阻害しない範囲内において水と混和性のアルコール等の有機溶媒を添加してもよい。また、その他の方法として、前記付加反応型シリコーン樹脂の架橋反応に対して触媒毒にならない範囲で濡れ性改善剤を添加することができる。また、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤など、この種の組成物に通常添加されるものを本発明の効果が低下しない範囲で加えることができる。
(シリコーン吸着層)
保護フィルムXのシリコーン吸着層2に用いるシリコーンの性状としては、透明性が高く、ゴムのような柔軟性を持っていていることが求められる。そして、シリコーン吸着層2の性能としては、表面が被着体表面に追従し、被着体からの剥離の際には小さい剥離力で被着体表面から容易に剥離できることが求められる。また、シリコーン吸着層2に用いるシリコーンの加工上の性能としては、少なくとも膜厚10μm以上で、目付け加工の方法を用いることなく塗工及び加熱処理だけで、架橋したシリコーン吸着層2を設けられることが求められる。このようなシリコーンとしては、硬化反応に際して150℃以下の低温短時間で深部まで架橋し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプのものである付加型液状シリコーン樹脂の使用が好ましい。付加型液状シリコーン樹脂は、白金触媒等のもと、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンと架橋剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロキシル反応により熱架橋することができる。
このようなシリコーンとしては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端にのみビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなるものを用いると良い。
これらのシリコーンの1形態としては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンがあり、下記一般式(化1)で表せられる。
Figure 2017074701
(式中Rは下記有機基、nは整数を表す)
Figure 2017074701
(式中Rは下記有機基、mは整数を表す)
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で、好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンは、上記一般式(化1)中のRの一部がビニル基である化合物である。末端にのみビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンは、上記一般式(化2)で表せられる化合物である。末端及び側鎖にビニル基を有する分岐上ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンは、上記一般式(化2)中のRの一部がビニル基である化合物である。
ここで架橋反応に用いる架橋剤は公知のものでよい。架橋剤の例として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることがよい。
架橋反応に用いる白金系触媒は公知のものでよく、これには塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩などがあげられる。架橋反応したシリコーン層は、シリコーンゴムのような柔軟性を持ったものとなり、この柔軟性が被着体との密着を容易にさせるものである。
本発明に係るシリコーンの市販品の形状は、無溶剤型、溶剤型、エマルション型があるが、いずれの型も使用できる。なかでも、無溶剤型は、溶剤を使用しないため、安全性、衛生性、大気汚染の面で非常に利点がある。但し、無溶剤型であっても、所望の膜厚を得るために粘度調節のために、必要に応じてトルエン等の有機溶剤を添加することができる。
前述のごとく、シリコーン吸着層の性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体への貼着時に被着体の表面の凹凸に追従して密着力を確保することが求められる。画面の保護フィルムとして使用する場合、シリコーン吸着層の膜厚は、被着体に対するシリコーン吸着層の密着面方向の剪断力を確保するために少なくとも10μm以上、通常は20〜50μmが必要となる。10μm以下であると被着体に対する保護フィルムの密着面方向の剪断力が確保できず、特に長期貼りつけ時には、保護フィルムが被着体から剥がれ易い。
アンカー層塗液、シリコーン吸着層塗液の塗工方法としては、3本オフセットグラビアコーターや5本ロールコーターに代表される多段ロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、バーコーター、エアナイフコーター等公知の方法が適宜使用される。
(セパレーターA)
セパレーターA1は、シリコーン吸着層2の表面の汚れや異物付着を防いだり、保護フィルムXのハンドリングを向上させるための樹脂フィルム製のセパレーターである。セパレーターA1は、シリコーン吸着層2の表面に貼り合わされて使用される。セパレーターAとしては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン、ポリプロピレン等よりなる剥離性の高い樹脂フィルムよりなり、所望により、表面にシリコーン系材料等の剥離剤を塗工したものが使用される。
(ウレタン系傷修復層)
ウレタン系傷修復層4の材料としては、柔軟性と復元力がある材料であればよく、公知のポリウレタン系樹脂が使用可能である。ポリウレタン系樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂ともに用いることができる。ウレタン系修復層4においては、耐薬品性、耐汚染性、耐久性から、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリオール類は、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等を挙げることができる。耐久性、強度、自己修復性の点からは、ポリエステル系のポリオールが好ましく、環状エステル(特にカプロラクトン)を開環して得られるポリエステル系ポリオールがより好ましい。また、ポリオールの官能基数は、強度、伸張性、自己修復性のバランスの点から、2〜3であることが好ましい。上記ポリオール類はトリオール単体、2種以上のトリオール混合物、又はトリオールとジオールの混合物が好ましい。また上記ポリオール類は、鎖延長剤を含んでいてもよい。この鎖延長剤としては、短鎖ポリオール、短鎖ポリアミン等を挙げることができる。これらの中でも、透明性、柔軟性、反応性の観点から短鎖ポリオールが好ましく、短鎖ジオールが特に好ましい。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリイソシアネートとしては、透明性の観点から、耐久黄変性を有する無黄変性ポリイソシアネートが好ましい。無黄変性ポリイソシアネートは、芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネートであり、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
上記ポリウレタン系樹脂の原料は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤、シリコーン系やフッ素系のレベリング剤等の添加剤を添加してもよい。
ウレタン系傷修復層4の厚さは、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上30μmがより好ましい。ウレタン系修復層4の厚さが5μm未満の場合、十分な自己修復性を発揮せず、50μmを超えても自己修復性が向上せず、50μmを超えるとウレタン系修復層4自体が剥離しやすくなる。
(セパレーターB)
セパレーターB5は、ウレタン系傷修復層4の表面の汚れや異物付着を防いだり、保護フィルムXのハンドリングを向上させるために用いられる。樹脂フィルム製のセパレーターB5をウレタン系傷修復層4の表面に貼り合わせることもできるが、保護フィルムXでは、樹脂フィルム製のセパレーターBにウレタン系傷修復層塗液を塗工乾燥して、ウレタン系傷修復層4を積層することが好ましい。セパレーターB5としては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン、ポリプロピレン等よりなる剥離性の高い樹脂フィルムよりなり、所望により、表面にシリコーン系材料等の剥離剤を塗工したものが使用される。
保護フィルムXは、ウレタン系傷修復層4をセパレーターB5上に塗工することによって積層した後、仮支持体6を剥がしたエラストマー基材3とウレタン系傷修復層4を貼り合せることによって、作製することが好ましい。
保護フィルムXをタッチパネルなどに貼り付ける際には、セパレーターA1をシリコーン吸着層2から剥がして、シリコーン吸着層2をタッチパネルなどの表面に貼り付ける。セパレーターA1を保護フィルムXから剥がす時に、セパレーターB5がウレタン系傷修復層4から剥がれると、保護フィルムXの貼り付けが困難になる。保護フィルムXでは、曲面に貼り付けるために、セパレーターA1、セパレーターB5以外は非常に柔らかい層となっている。このため、セパレーターA1を剥がす際に、保護フィルムXからセパレーターB5も剥がれると、残った部分の保護フィルムXは柔らかくて形状が安定せず、タッチパネルの表面に“しわ”無く貼り付けることが困難になる。
保護フィルムXからセパレーターA1を剥がすときに、セパレーターB5が剥がれないようにするためには、セパレーターA1とシリコーン吸着層2との剥離力をMとし、セパレーターB5とウレタン系傷修復層4との剥離力をNとすると、NはMの3倍以上の値となることが好ましく、5倍以上の値となることがより好ましい。
セパレーターB5とウレタン系傷修復層4を貼り合せることによって積層すると、剥離力NはMと比較して十分に大きな値を確保することができず、保護フィルムXからセパレーターA1を剥がすときに、セパレーターB5も剥がれるおそれがある。
一方、ウレタン系傷修復層4とエラストマー基材3とは、貼り合せによって積層することが好ましい。エラストマー基材3上にウレタン系傷修復層4を塗工するためには、溶剤に溶解したウレタン系傷修復層塗液をエラストマー基材3上に塗工する必要があるが、この際にエラストマー基材3が溶剤に侵食されるおそれがある。
また、ウレタン系傷修復層4とエラストマー基材3とは、ウレタン系傷修復層4中の未反応のイソシアネートがエラストマー基材3中の水酸基と反応することによって接着される。このため、ウレタン系傷修復層4とエラストマー基材3とは、貼り合せによって、十分な接着力を得ることができる。
ウレタン系傷修復層4は、塗液をグラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷、ディップコート法、ブレードコート法、ロールコート法、バーコート法などの方法で、セパレーターB5上に設けることができる。
以下、実施例と比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各実施例、比較例中の「部」は特に断ることのない限り重量部を示したものである。
実施例および比較例で使用されるポリエステル系樹脂の製造例を示すが、樹脂の酸価の測定は、酸価ポリマーの水性液を1/10規定のKOH水溶液により、指示薬としてとしてフェノールフタレンを用いて滴定し、ポリマー1gを中和するのに要したKOHのmg数を求めた。
<ポリエステル系樹脂の製造例P1>
多価カルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)36.0モル部、アジピン酸(ADA)4.0モル部、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)36.0モル部、ネオペンチルグリコ−ル(NPG)11.5モル部、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加体6.0モル部を原料成分として反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、圧力0.3MPa、温度260℃で、3.5時間エステル化反応を行った。得られたエステル化物に、三酸化アンチモンを2.5×10−4モル/多価カルボン酸成分1モル添加し、0.5hPaに減圧し、280℃で3時間重縮合反応させポリエステル樹脂を得た。次いで、解重合剤として、無水トリメリット酸(TMA)5.5モル部、イソフタル酸(IPA)1.0モル部を添加し、常圧下、250℃で2時間解重合を行い、テレフタル酸(TPA)/アジピン酸(ADA)/無水トリメリット酸(TMA)/イソフタル酸(IPA)/エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコ−ル(NPG)/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加体=36.0/4/5.5/1.0/36.0/11.5/6.0(モル比)のポリエステル樹脂を得た。上記のポリエステル樹脂をその酸価と当量のアンモニア水及びブチルセロソルブ5%を含む水に溶解して、ポリエステル樹脂20%濃度の水溶液を調製し、回転速度7,000rpmで撹拌した。次いで、撹拌機のジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、撹拌翼の回転速度を5,000rpmに下げて撹拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却し、ポリエステル樹脂水性液(固形分20重量%)を得た。該ポリエステル樹脂の酸価は99mgKOH/gであった。
<ポリエステル系樹脂の製造例P2>
製造例1と同様にして、テレフタル酸(TPA)/アジピン酸(ADA)/無水トリメリット酸(TMA)/イソフタル酸(IPA)/エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコ−ル(NPG)/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加体=34.5/6.0/2.0/2.0/29.5/18.5/7.5(モル比)のポリエステル樹脂水性液(固形分20重量%)を得た。該ポリエステル樹脂の酸価は49mgKOH/gであった。
<ポリエステル系樹脂の製造例P3>
製造例1と同様にして、テレフタル酸(TPA)/アジピン酸(ADA)/無水トリメリット酸(TMA)/イソフタル酸(IPA)/エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコ−ル(NPG)/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加体=36.0/4.5/0.1/2.4/36.0/15.0/6.0(モル比)のポリエステル樹脂水性液(固形分20重量%)を得た。該ポリエステル樹脂の酸価は12mgKOH/gであった。
<ポリエステル系樹脂の製造例P4>
解重合剤として、5−ソジオスルホイソフタル酸7.0モル部を用いる以外は製造例1と同様にして、テレフタル酸(TPA)/アジピン酸(ADA)/5−ソジオスルホイソフタル酸(IPA)/エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコ−ル(NPG)/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加体=37.0/4.0/7.0/37.0/15.0/0(モル比)のポリエステル樹脂水性液(固形分20重量%)を得た。該ポリエステル樹脂の酸価は3mgKOH/gであった。
<アクリル変性ポリエステル系樹脂の製造例P5>
解重合剤として、無水トリメリット酸1.1モル部およびをネオペンチルグリコ−ル3.8モル部用いる以外は製造例1と同様にして、テレフタル酸(TPA)/イソフタル酸(IPA)/無水トリメリット酸(TMA)/エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコ−ル(NPG)=31/13.3/1.1/37/16.6(モル比)のポリエステル樹脂水性液を得た。固形分10重量%の水性溶液90重量部に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を溶解し、さらにメタクリル酸メチル7重量部、メタクリル酸エチル1重量部、メタクリル酸グリシジル2重量部を添加し窒素パージした後70〜80℃で3時間重合反応を行いアクリル変性ポリエステル水性液(固形分20重量%)を得た。該ポリエステル樹脂の酸価は16mgKOH/gであった。
(実施例1)
(ウレタンエラストマー基材)
シーダム社製XUS2086をウレタンエラストマー基材として使用した。XUS2086は厚さ50μmと75μmのPETシートで挟み込まれた厚さ150μmのウレタンエラストマーである。XUS2086の引張伸度(破断時の伸び率)は510%(カタログ値)である。
(アンカー層)
水90重量部、前記製造例P1の樹脂溶液(固形分20重量%)50重量部を加え、ハイスピードミキサーにより充分に攪拌混合した後、攪拌しながらメタノール50重量部を徐々に添加しアンカー層塗液とした。該塗液を厚さ50μmのPETシートを剥がした前記ウレタンエラストマー基材表面上に、塗工、乾燥して、厚み0.3μmの仮支持体PETシート付きのアンカー層を形成した。塗工、乾燥にあたっては、厚さ75μmのPETシートをウレタンエラストマー基材の仮支持体として利用した。
(シリコーン吸着層)
前記のアンカー層の上に、25℃85%RHの環境下で、下記シリコーン吸着層塗液の成分を塗工厚み30μm(乾燥後)で塗工後、オーブンにて150℃、100秒で架橋させて、シリコーン吸着層を得た。
(シリコーン吸着層塗液)
両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサン 68.3部
(無溶剤型)/(Mw:80,000)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.7部
(無溶剤型)/(Mw:2,000)
白金触媒(商品名:PL−56、信越化学工業(株)製) 1.0部
トルエン 30.0部
(セパレーターA)
前記のシリコーン吸着層に対して、表面を保護するために厚みが50μmの透明PETフィルムをセパレーターAとして貼り合わせた。
(セパレーターB)
厚みが25μmの透明PETフィルムをセパレーターBとして準備した。
(ウレタン系傷修復層)
前記のセパレーターB上に、下記ウレタン系傷修復層塗液をグラビアコーターで塗工、乾燥して、厚み15μmのウレタン系傷修復層を形成した。
(ウレタン系傷修復層塗液)
ポリオール成分 40部
(トクシキ製、AUP−818、固形分:50%)
イソシアネート化合物 8部
(トクシキ製、UAX−700、固形分:100%)
MEK 45部
トルエン 7部
前記のウレタン製エラストマー基材上の仮支持体PETフィルムを剥離し、ウレタン製エラストマー基材の表面に、前記セパレーターB上のウレタン系傷修復層を貼り合せた後、室温環境下で24時間エージングして、セパレータ−A(50μm)/シリコーン吸着層(30μm)/アンカー層(0.3μm)/ウレタンエラストマー基材(150μm)/セパレーターB(25μm)よりなる実施例1の保護フィルムX1を得た。
(実施例2)
実施例1において、水90重量部、ラポナイトJS(合成スメクタイト、ロックウッドアディティブ社製)4重量部よりなる合成スメクタイト分散液に、前記製造例P3の樹脂溶液(固形分20重量%)50重量部を加え、ハイスピードミキサーにより充分に攪拌混合した後、攪拌しながらメタノール50重量部を徐々に添加しアンカー層塗液とした。該塗液を前記実施例1のウレタンエラストマー基材上に、塗工、乾燥して、ポリエステル樹脂100重量部/帯電防止剤40重量部よりなる厚み0.3μmのアンカー層を形成した。その後、23℃60%RHの環境下で、シリコーン吸着層塗工液の成分を塗工し、実施例2の保護フィルムX2を得た。
(実施例3)
実施例2において、ポリエステル樹脂P3に代えてP2を、ラポナイトJSに代えて、ソマシフME−1000(膨潤性マイカ、コープケミカル(株)製)用いてアンカー層を作製し、実施例3の保護フィルムX3を得た。
(実施例4)
実施例2において、ポリエステル樹脂P3に代えてP5を用いてアンカー層を作製し、実施例4の保護フィルムX4を得た。
(比較例1)
実施例2において、ポリエステル樹脂P3に代えてP4を用いてアンカー層を作製し、比較例1の保護フィルムY1を得た。
(比較例2)
実施例1において、ウレタンエラストマー基材上にアンカー層を設けることなく、シリコーン吸着層を設け、比較例2の保護フィルムY2を得た。
Figure 2017074701
各実施例、比較例の評価結果を表1に、各評価方法を下記に示す。
<評価方法>
<アンカー層塗液の安定性>
1.各実施例、比較例のアンカー層塗液をスクリュー管にいれ、10分間静置した後、各塗液の状態を下記の基準で目視にて評価した。また調整後1週間経過した各塗液を上記と同様に評価した。
○: 均一に分散されている。
△: 一部ゲル化が観られ、流動性が低下している。
×: ゲルが発生しており、塗工に適さない状態である。
<帯電防止性(アンカー層表面抵抗率)>
1.各実施例、比較例においてアンカー層までを形成したフィルムを適宜の大きさにカットしたサンプルを準備する。これらのサンプルを、JIS K 6911に準拠し、2重リングプローブ法にて測定した。 測定機器として、(株)三菱アナリテック製、型番:ハイレスターIPを用いた。
<シリコーン吸着層の塗工ムラ>
1.各実施例、比較例においてシリコーン吸着層塗工後のサンプルのシリコーン吸着層の塗工部の表面状態を下記の基準で目視にて評価した。
○:塗工面が均一で、凹凸が見られない。
△:一部に帯電ムラに起因する塗工ムラや塗工面の凹凸が見られる。
×:塗工ムラや塗工面の凹凸が多数見られる。
<エラストマー基材(アンカー層)とシリコーン吸着層との接着性評価>
1.各実施例、比較例においてシリコーン吸着層まで塗工したフィルムを適宜の大きさ
にカットしたサンプルのシリコーン吸着層面を透明ガラスに貼着する。
2.このガラス面に対して、カーボンアークを照射。カーボンアーク100時間照射 の耐光性試験後のガラスに貼着したカットサンプルを用意した。
3.次に、カットサンプルのエッジ部を指で擦りシリコーン吸着層の剥がれ度合いを下記の基準で評価した。
○: 全く剥がれが生じない。
△: 基材から部分的に剥がれる。
×: 完全に剥がれる。
<ガラス貼着時のシリコーン吸着層の剥離性評価>
1.上記と同じく耐光性試験後のガラスに貼着したカットサンプルを用意した。
2.次に、該カットサンプルの保護フィルムを180°ピールにより剥がした。
ガラスに対するシリコーン吸着層の剥離度合いを下記の基準で評価した。
○: ガラスからシリコーン吸着層が全てきれいに剥離された。
△: 部分的にシリコーン吸着層の凝集破壊によるガラスへの移行が発生した。
×: 貼着部全面でシリコーン吸着層の凝集破壊によるガラスへの移行が発生した。
<セパレーターAの剥離評価>
1.各実施例、比較例の保護フィルムを50mm×100mmの大きさにカットしたフィルム各3枚を準備する。
2.項目1で準備したフィルムをセパレーターA側が上になるようにして机上に置き、
フィルムの四隅のうちの1箇所のセパレーターAをシリコーン
吸着層から少しだけ(一辺が5mm程度の三角形状)浮き上がらせる。
3.セパレーターAの浮き上がった部分を摘んで、一気にセパレーターAをシリコーン吸着層から引き剥がす。
4.セパレーターBのウレタン系傷修復層から浮き上がりの有無を、目視確認する。
○:3枚すべてで、セパレーターBの浮き上がりは無かった。
△:3枚のうち、1枚又は2枚で、セパレーターBの浮き上がりがあった。
×:3枚すべてで、セパレーターBが浮き上がっていた。
<曲面追従性>
1.各実施例、比較例の保護フィルムを50mm×50mmの大きさにカットしたフィルム各3枚を準備する。
2.項目1で準備したフィルムのセパレーターAを剥離した後、シリコーン吸着層をスマートフォンに貼り付ける。シリコーン吸着層とスマートフォンの間には気泡が入り込まないように、フィルムを貼り付ける。
3.スマートフォンの形状にフィットするように加工した発砲スチロール性の治具を準備
し、この治具を使用して10Nの力で60秒間、貼り付けたフィルムをスマートフォンに押し付ける。
4.治具の押し付けを解除した後、60分後にスマートフォンの曲面部分でのフィルムの
浮き上がりの有無を確認する。
評価基準
○:3枚すべてが、60分後でも浮き上がり無し。
△:少なくとも1枚は、60分後でも浮き上がり無し。
×:60分後には、3枚すべてが浮き上がっている。
本発明の実施形態の保護フィルムXの層構成を示す模式図である。 本発明の実施形態の保護フィルムXの製造方法を示す図である。
X、X1〜X4、Y1〜Y2:保護フィルム
1:セパレーターA
2:シリコーン吸着層
2A:アンカー層
3:エラストマー基材
4:ウレタン系傷修復層
5:セパレーターB
6:仮支持体

Claims (7)

  1. セパレーターA、シリコーン吸着層、アンカー層、エラストマー基材、ウレタン系傷修復層、セパレーターBを順次積層した保護フィルム。
  2. 前記エラストマー基材が、ウレタンエラストマー基材であることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム。
  3. 前記エラストマー基材の厚みが50μm〜200μm、かつ、前記エラストマー基材の破断時伸び率が120%を超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護フィルム。
  4. 前記アンカー層が酸価7〜100mgKOH/gの範囲にあるポリエステル系樹脂よりなる水性塗液を塗工することにより設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護フィルム。
  5. 前記ポリエステル系樹脂がアクリル変性ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の保護フィルム。
  6. 前記ウレタン系傷修復層がポリオール成分とイソシアネート化合物を主成分とする塗液を塗工乾燥および硬化してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護フィルム。
  7. 仮支持体フィルム上の前記エラストマー基材に積層した前記アンカー層表面に、前記シリコーン吸着層及び前記セパレーターAを順次積層してシリコーン吸着層積層フィルムを製造し、前記セパレーターBに前記ウレタン系傷修復層を積層してウレタン系傷修復層積層フィルムを製造し、前記シリコーン吸着層積層フィルムの前記仮支持体フィルムを剥離した前記エラストマー基材表面に、前記ウレタン系傷修復層積層フィルムの前記ウレタン系傷修復層を貼り合わせることによって、
    前記セパレーターAと前記シリコーン吸着層間の剥離力よりも前記ウレタン系傷修復層と前記セパレーターB間の剥離力の方を大きくしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の保護フィルム。
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