JP2017069290A - Pid劣化防止太陽電池モジュール用フィルム及びそれを用いたpid劣化防止太陽電池モジュール - Google Patents

Pid劣化防止太陽電池モジュール用フィルム及びそれを用いたpid劣化防止太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールのカバーガラスから放出されるアルカリ金属イオンのバリア性に優れ、かつ耐熱性、耐光性に優れるPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム及びそれを用いたPID劣化防止太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】太陽電池モジュール内におけるカバーガラスと太陽電池発電素子との間に積層するPID対策フィルムを、ガラス転移温度が75℃以上95℃以下である環状オレフィン系樹脂フィルムで、環状オレフィン系樹脂が、エチレンと、環状オレフィンとの共重合体であり、かつ、フィルム厚みが40μm以上125μm以下で構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子をカバーガラスから放出されるアルカリ金属からの劣化を防ぐPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム及びそれを用いたPID劣化防止太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールの代表的な構成として、太陽電池素子をその両面側から一対の接着フィルムで狭み、さらに太陽光受光側の接着フィルムにはガラス等の透明基材を固着し、背面側の接着フィルムには保護材(バックシート)を固着した所謂スパーストレート構造が知られている。あるいは、モジュールの両面をカバーガラスで挟み込んだ、所謂、ガラス/ガラス構造のモジュールがある。モジュール変換効率を向上させるため、両面発電セルを適用する場合がある。このような構成において、接着フィルムや発電素子保護フィルムは、接着性、耐候性などの諸特性が要求され、特に太陽光の受光側は、高い透明性が要求され、これらの要求を満足する接着フィルムが例えば、特許文献1〜特許文献3などで公知となっている。
これらの特性に加え、半年から数年でシステム発電量が数十パーセント低下する、所謂PID(Potential Induced degradation)現象発生による発電劣化対策が必要となっている。特許文献1には、セルとカバーガラスの間にフッ素系フィルムなどによる高絶縁フィルムを積層する技術が紹介されている。あるいは、特許文献2には、ガラスから放出されるアルカリ金属の影響を軽減するため、ガラス表面をシランカップリング剤で表面処理する技術が紹介されている。また特許文献3には、環状オレフィン系樹脂からなる層と、エチレン− 酢酸ビニル共重合体からなる層とを有し、少なくとも1層の前記エチレン− 酢酸ビニル共重合体からなる層が、前記環状オレフィン系樹脂からなる層を基準として太陽電池セルから遠い側に配置した太陽電池モジュールが開示されている。
しかしながら、PID現象発生メカニズムを明らかにしないまま、独自に組み上げたPID試験方法で、発電劣化率の低減が観られたとしている。認証試験が、20年間を保証するものとして85℃・85RH%・1000時間となっているにもかかわらず、高電圧下にさらされる発電所で使用されることを想定した条件は少なくとも1000時間であるが、これらの試験は、100時間であり、本来の目的の試験となっていない。フィールドで、20年間に対応するラボ試験条件下で、発電劣化しないかどうか、の結果を示す発明はこれまでなかった。
発明者は、PID現象となったモジュールの破壊分析結果より、PID現象の発生メカニズムを鋭意検討した結果以下のことが判明した。広く使用されているP型シリコン半導体において、白板ガラス側のシリコンセルの全表面積の15%程度をナトリウムイオンが堆積して覆うと、金属ナトリウム層を形成し、pn構造のn層がP化してしまう。その結果、量子力学的にpn接合により発現していた、半導体の性質を失い、光電効果が発揮されず、発電しなくなることが、実フィールドでPID現象を発症したモジュールの破壊分析により明らかにした。また、発電劣化は、シリコンセルの半導体としての劣化以外に、表面電極とインターコネクターの電子の集電能力の低下によっても引き起こされることが分かった。集電能力の低下とは、EVA封止材が劣化することによって放出される酢酸が、はんだ成分を溶かし、また表面電極とセルとの接着剤として、添加してあるガラス成分が溶けることによって引き起こされることが分かった。21年間稼働の国内太陽電池モジュールの下部の角部(角部のシリコンセルのモジュール角部側のエッジ部の受光面側)の酢酸量は120μg/gであることが分かった。ラボで、20cm角の同一の構造のモジュールで、三井化学社製EVAを用いた、セルのエッジ部の酢酸量は、85℃・85RH%のダンプヒート試験で、2500hに対応することが分かった。
よって、PID試験条件は、現在規格化で検討されている、60℃、85RH%・96h・−1000Vのような条件ではなく、ダンプヒート試験で、85%、85RH%、2500hで、−1000V印加の条件が20年に相当する試験条件であることが分かった。
特許文献3に記載の太陽電池モジュール用の保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂を使用しそのガラス転移温度は80℃〜250℃と広範囲であり、またフィルムの厚みも5μm〜200μmと広範囲である。このような公開公報に記載されている範囲では、フィルムとして成型性が悪く、また成型できてもひび割れするものが殆どで実用に供することは不可能であった。また太陽電池モジュールは大型化する傾向にあり、そのサイズは2m×4m(縦×横)以上の大きさとなっている。特許文献3に記載の太陽電池モジュ−ル用の保護フィルムは、このようなサイズの太陽電池モジュール用のフィルムとして成型は不可能である。
特表2013−502051号公報 特開2008−273783号公報 特開2006−198922号公報
本発明は、上記の問題を解決した、太陽電池モジュールのカバーガラスから放出されるアルカリ金属イオンのバリア性に優れ、かつ耐熱性、耐光性に優れるPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム及びそれを用いたPID劣化防止太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
<1>第1発明
上記課題を解決するための第1発明のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムは、太陽電池モジュール内におけるカバーガラスと太陽電池発電素子との間に積層されるPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムであって、ガラス転移温度が75℃以上95℃以下である環状オレフィン系樹脂フィルムで、前記環状オレフィン系樹脂が、エチレンと、環状オレフィンとの共重合体であり、かつ、フィルム厚みが40μm以上125μm以下であることを特徴とする。
本発明のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム(以下、「PID対策フィルム」と略称する)は、太陽電池モジュール内におけるカバーガラスと太陽電池発電素子との間に設けられる。本発明のPID対策フィルムは、ガラス転移温度が75℃以上95℃以下である。ガラス転移温度が75℃未満では、太陽電池モジュールを屋外で使用する場合にフィルムが部分的に流動化し、カバーガラスから放出される金属イオンを防御できない虞がある。また、ガラス転移温度が75℃未満では、太陽電池の架橋反応工程であるラミネート工程の成型熱によってフィルムが部分的に流動化し、モジュールの受光面側に丸い皺からなる痘痕が形成されるので好ましくない。一方、95℃を超えると、フィルムをロール状に巻く際に、側面部から割れが発生し、フィルムを巻き取ることができない。更に、太陽電池モジュール成型後、一週間程度後から、太陽電池モジュール内に無数のマイクロクラックが発生し、外観不具合となり、好ましくない。
また本発明のPID対策フィルムは、その厚みが40μm以上125μm以下である。フィルム厚みが40μmを下回ると、フィルム強度が著しく低下し、フィルムの巻き取り工程で加えるテンションで破断することがあるため好ましくない。また、厚みが125μmを超えると、フィルム巻の支管径に近い部分に割れが生じ易くなるため、好ましくない。また、厚みが125μmを超える厚いフィルムを用いると、フィルムを成型して24h後に、太陽電池モジュール成型体の受光面側に無数のマイクロクラックが発生する虞があり、製品外観不具合となるので好ましくない。
また本発明のPID対策フィルムは、環状オレフィン系樹脂が、エチレンと、環状オレフィンとの共重合体である。環状オレフィン系共重合体を使用することによりPID対策フィルムの耐候性を向上させることが可能となり、PIDを完全に防止するという効果以外に、フィルムの寿命が向上するという効果がある。従ってこのフィルムを使用した太陽電池モジュールの寿命が更に向上する。
本発明のPID対策フィルムは、太陽電池モジュールのカバーガラスから放出されるナトリウムイオンやカリウムイオンが太陽電池モジュール内の発電素子(結晶系セル、太陽電池セル等)の表面に移動することを防御することから、メガソーラー発電所で頻発している、PIDによる発電劣化を完全に防止することができる。また本発明のPID対策は、太陽電池モジュール用接着フィルムとして求められる、耐候性、耐熱性、透明性、防水性、防湿性に優れている。従って太陽電池モジュールの長寿命化を実現することができる。さらに太陽電池モジュール内の太陽電池セルとカバーガラス間の封止部分に割れ等がまったく無い外観良好な太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明のPID対策フィルムは、割れ易い傾向にあり、ポリエチレン素材のような伸縮性と強度を兼ね備えた保護フィルムを貼り付けした状態で、フィルム巻を行うことができる。あるいはシリカ等の微粒子のパウダーを使用してフィルムロールの巻皺を防止することも可能である。
<2>第2発明
第2発明のPID対策フィルムは、第1発明において、環状オレフィン系樹脂フィルムのガラス転移温度が75℃以上78℃以下であり、かつ、フィルム厚みが40μm以上100μm以下であることを特徴とする。
第2発明のPID対策フィルムは、ガラス転移温度が75℃以上78℃以下である。また、フィルム厚みが40μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上90μm以下である。第2発明によればフィルムの成型性および太陽電池モジュールの成型性が更に向上する。
<3>第3発明
第3発明のPID対策フィルムは、第1発明または第2発明において、環状オレフィン系樹脂フィルムには、少なくとも片面に凹凸が形成され、凹凸の10点平均粗さが0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする。
第3発明のPID対策フィルムは、少なくとも片面に凹凸が形成され、凹凸の10点平均粗さが0.5μm以上2.0μm以下、好ましくは1.0μm以上1.5μm以下である。10点平均粗さが0.5μm未満では、フィルムの表面がほぼ平滑であるためにフィルムをロール状に巻く際にフィルム同士の間ですべりが生じずに密着してしまい、フィルムが破断してしまい、フィルムを巻き取ることができない虞がある。一方、2.0μmを超えると、凹凸差が大きいために、このフィルムを太陽電池モジュールに用いた場合、温度サイクルの伸縮により凹部に応力集中が生じて、クラックが発生してしまう虞がある。
第3発明によれば、10点平均粗さを最適な範囲にすることで、フィルム同士の密着を防止できるために、保護フィルムや、シリカ等の微粒子のパウダーの必要がない。また、10点平均粗さを最適な範囲にすることで、フィルムと、太陽電池モジュール内の封止材との間の接着性が良好となり、温度サイクルを繰り返しても、クラックが発生せず、このフィルムを使用した太陽電池モジュールの寿命が更に向上する。なお、一方の面に限られず、他方の面の10点平均粗さも上述した範囲にすることができる。
<4>第4発明
第4発明の太陽電池モジュールは、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記のPID対策フィルムをカバーガラスと太陽電池発電素子との間に積層されていることを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、カバーガラスと太陽電池素子との間に第1発明から第3発明のPID対策フィルムを設けた構成としている。本発明のPID対策フィルムは、カバーガラスから放出される金属イオンが太陽電池モジュールの発電素子(結晶系セル、太陽電池セル等)の表面に移動することを防御することから、PID対策用の太陽電池モジュールとなる。カバーガラスは、ナトリウムイオンを放出する白板ガラスであっても良いし、ガラス表面をカリウムイオンで置換した、化学強化ガラスであってもよい。化学強化ガラスは強度が高いので薄肉化が可能であり、軽量化太陽電池モジュールを容易に製造できる。
この本発明の構成によって得られた太陽電池モジュールは、PIDはまったく発生することが無く、製品としての防水性が高まり、また、超長期間に亘り、耐候性が担保されたものとなり、太陽電池モジュールの長寿命化が可能となる。
<5>第5発明
第5発明の太陽電池モジュールは、第4発明において、前記のPID対策フィルムをカバーガラスに接着されるEVAを用いた第1封止材と、前記太陽電池発電素子に接着されるEVAを用いた第2封止材との間に積層されていることを特徴とする。
第5発明の太陽電池太陽電池モジュールは、カバーガラスに接着される第1封止材と、太陽電池発電素子に接着される第2封止材との間に前記のPID対策フィルムを設けた構成としている。本発明のPID対策フィルムを使用した太陽電池モジュールは、例えば、カバーガラス、第1封止材、本発明のフィルム、第2封止材、太陽電池セル、第3封止材、裏面材の順にこれら部材を積層する。積層後、130℃以上の熱でプレス成型することによって、それぞれの界面が接着することによって、PID対策用の太陽電池モジュールとなる。第1封止材および第2封止材にはEVAを用いている。
第5発明によれば、前記のフィルムがEVAを用いた第1封止材と第2封止材との間に積層されることで、前記のフィルムと各封止材との間での接着性に優れる。したがって、温度サイクルを繰り返しても、前記のフィルムにクラックが発生せず、太陽電池モジュールの長寿命化が可能となる。また、長期間に亘り、耐PID特性が保持できる。
<6>第6発明
第6発明の太陽電池モジュールは、第1発明から第3発明のいずれかのPID対策フィルムが、結晶系セル面積の少なくとも85%以上を覆っていることを特徴とする。
上記のように本発明のフィルムは、少なくとも、太陽電池セルの上部に積層されていればよく、しかも結晶系セル面積の少なくとも85%以上が覆われていれば良い。本発明のPID対策フィルムで結晶系セルの面積を覆う面積がその85%未満となるとカバーガラスに含まれるナトリウムイオンやカリウムイオンが太陽電池セルに付着しPIDが発生してしまう。
本発明のPID対策フィルムを使用し太陽電池モジュールの結晶系セルの表面積の85%以上を覆うことにより太陽電池モジュールのPIDを確実に防止することができる。
また本発明のPID対策フィルムは、そのサイズが2m×4m(縦×横)以上と大型化した太陽電池モジュールに対して使用可能なサイズ(幅80cm以上)のものを製造可能である。このように大きなサイズのPID対策フィルムでも割れ等はまったくなく提供することができる。またこのような大きなサイズのPID対策フィルムは、従来の技術では実現できなかったものである。
本発明の太陽電池モジュールの構成例1を示す模式断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの構成例2を示す模式断面図である。 本発明の太陽電池モジュールと従来の太陽電池の劣化の度合いを説明するための図である。 従来の太陽電池モジュールの構成を示す模式断面図である。 実施例5の太陽電池モジュールの構成の説明図である。
以下図1から図3を使用し、本発明のPID対策フィルム及びそのフィルムを用いた太陽電池モジュールの実施形態について説明する。
<1>PID対策フィルム
本発明のPID対策フィルムは、太陽電池モジュール内における太陽電池発電素子にアルカリ金属を移動させない防御する接着フィルムであって、非晶性の環状オレフィン系共重合体をフィルム状に成型してなることを特徴としている。以下に本発明に係るPID対策フィルムについて詳述する。
<1−1>環状オレフィン系樹脂
環状オレフィン系樹脂とは、ガラス転移温度が75℃以上95℃以下のものであって、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む重合体又は共重合体であれば、特に限定されない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとの付加共重合体、又はその水素添加物等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂は、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。また、本発明に使用する環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、JISK7121「プラスチックの転移熱測定方法」に従って、昇温速度10℃/分の条件でDSCで測定を行った。
環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む上記重合体又は上記共重合体においてさらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したものを含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、さらに環状オレフィン成分を出発原料にしてメタセシス触媒で開環重合し、水素添加して製造され市販されている環状オレフィン系ポリマーとしては、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、特に環状オレフィン系共重合体が好ましく用いられる。環状オレフィンの開環重合体又はその水素添加物では残存する二重結合により加熱環境下で変色する可能性がある。また、環状オレフィン系共重合体は、EVAとの加硫接着において、環状オレフィンの開環重合体又はその水素添加物よりも親和性がよく接着性が優れる。
環状オレフィン系共重合体は、エチレンおよび/またはα−オレフィンと、下記一般式(I)で示される環状オレフィンに由来する構造単位と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 2017069290
(式中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
α−オレフィンとしては、特に制限はないが炭素数2〜20のα−オレフィンが好ましい。例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。
エチレンおよび/またはα−オレフィンの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
一般式(I)で示される環状オレフィンについて、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。一般式(I)で示される環状オレフィンの具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
また、環状オレフィンは、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の製造方法は既に公知であり、例えば、特開平3−45612、特開昭60−168708、特開昭62−252406に環状オレフィンの付加重合体の製造方法が、特開昭63−145324、特開昭63−264626、特開平1−240517に環状オレフィンの開環重合とその水添物の製造方法が報告されている。これらの製造方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造することができる。
例えば、エチレンとノルボルネンからなる環状オレフィン共重合体においては、ノルボルネン含有量を変更することによって、様々なガラス転移温度(Tg)の環状オレフィン系共重合体を合成することができる。ノルボルネン含有量を減少させ、エチレンを増加すると、それに応じてTgが低下する。
各組成のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーは、上述の重合によっても得られるが、市販のグレードの溶融ブレンドにより、得ることができる。一般に、ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂のブレンドによって、相容する系においては、ブレンド比率によって加成性が成り立つ。本発明の環状オレフィン樹脂を得るに当たり、上述の重合による方法に加え、押出し機による既存グレードの溶融ブレンドでも準備可能であって、発明の効果は全く変わらない。
<1−2>他の成分
本発明のPID対策フィルムには、耐候性向上の目的で、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤、耐光安定剤など、長期熱安定性向上の目的で、酸化防止剤など、フィルムの成型性を改善する目的で、滑剤などを配合してもよい。
<2>太陽電池モジュール
本発明の太陽電池モジュールは、上述の本発明の太陽電池用のPID対策フィルムを備えたことを特徴としている。
図1は、本発明の太陽電池モジュールの一例を示す模式断面図である。図1に示す太陽電池モジュール100は、受光側の表面基板である透明ガラス板(カバーガラス)11から順に、既存の封止フィルム(第1の封止材)18、本発明のPID対策フィルム14、既存の封止フィルム(第2の封止材)18、太陽電池素子15、既存の封止フィルム(第3の封止材)18、及びバックシート12を有してなる。バックシートの部分がカバーガラスでもよい。その場合は、図2のような太陽電池モジュール200である。すなわち太陽電池素子15に対して上下対称な構成となっている。以上の図1及び図2に示した太陽電池モジュールの構成は一例であり、本発明の太陽電池モジュールはその構成に限定されることはない。
本発明の太陽電池モジュールに使用する太陽電池素子としては、特に限定はなく、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、III−V族やII−VI族化合物(ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルルなど)などの化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
また、本発明の太陽電池モジュールにおいて、太陽光受光側の表面基板としては、透明基材としてガラスを使用する場合は、ナトリウムイオンを放出する白板ガラスであっても良いし、ガラス表面をカリウムイオンで置換した、化学強化ガラスであっても良い。ガラスから放出される金属イオンは本発明のPID対策フィルムにより防御され太陽電池セルは保護されPIDは発生しない。
尚、本発明のPID対策フィルムを太陽電池モジュールの透明基板としてアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを用いた太陽電池モジュールに使用することができる。
また、反対側のバックシートとしては、樹脂フィルムや金属フィルムなどの単層もしくは多層のフィルムが挙げられ、例えば、樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルム、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂フィルム等が挙げられ、金属フィルムとしては、アルミ、ステンレススチールなどのフィルムが挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例にて使用される環状オレフィン系樹脂としては、TOPAS Advanced Polymers社製TOPAS8007S−04(ガラス転移温度78℃)、TOPAS6013M−07(ガラス転移温度130℃)、及び、TOPAS9506F−04(ガラス転移温度65℃)を、あるブレンド比率で混合した混合物内に、微量の紫外線防止剤と耐光安定剤を配合し、所要のガラス転移温度(Tg)と厚さを有するPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し、以下の方法により図1の構成の太陽電池モジュール100を作製した。尚太陽電池モジュールを製造する際にはラミネート装置により行なうため、ラミネート装置の熱板には図1の上下を逆にして各部材を積層する。
なお、上述したTOPAS8007S−04、TOPAS6013M−07、及び、TOPAS9506F−04はいずれも、ノルボルネンとエチレンとをメタロセン触媒を用いて共重合した環状オレフィンコポリマーである。
[実施例1]
環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部に、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ4−n−オクトキシベンゾフェノン0.4重量部、耐光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.2重量部を、日本製鋼所製、二軸押出機TEX−30αを用いて溶融樹脂温度200℃で混練し、環状オレフィン系樹脂組成物ペレットを得た。次いでこのペレットを300mm幅T−ダイを備えた単軸押出し成型機に投入し、T−ダイ部での樹脂温度140℃としガラス転移温度が78℃で厚さ60μmのPID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)を作製した。得られたPID対策フィルムを使用し、以下の方法で太陽電池モジュールを作製した。
太陽電池モジュール100は、カバーガラス11上に封止フィルム18として三井化学社製450μmのファーストキュアタイプ(EVA−1)を用意した。その上に順次、本実施例で作成したPID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)14を積層し、その上に封止フィルム18(EVA−1)、太陽電池発電素子としての太陽電池結晶系セル、封止フィルム18(EVA−1)、裏面材(バックシート)12として東洋アルミ社製PET系バックシートを積層する。その積層体を真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス株式会社製、製品名:PVL1537N)を用いて、熱板温度:150℃、加工時間22分(内訳、真空引き:5分、プレス:2分、圧力保持:15分)にて、プレス加工を行った。端子ボックスと接続させる配線部分は、裏面材に予め切れ目を入れた部分から引出し、はんだで固定し、シリコーンポッティング材でダイオードが隠れるまで満たし、蓋をした。ポッティング材は、Dow−Corning社製、PV−7311を使用した。ガラスエッジ部には、エッジシールは適用せず、三井化学社製TPV:ミラストマー材を用いたガスケットで、アルミフレームとの隙間を埋めた。
[実施例2]
実施例2は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を90重量部とTOPAS6013M−07を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が80℃で厚さ75μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例3]
実施例3は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を72重量部とTOPAS6013M−07を28重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が90℃で厚さ100μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例4]
実施例4は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を67重量部とTOPAS6013M−07を33重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が93℃で厚さ125μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例5]
実施例5は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を72重量部とTOPAS6013M−07を28重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が90℃で厚さ75μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。実施例5では、PID対策フィルムを図5に示すように太陽電池セルを複数枚接続したストリングW上(カバーガラス側)のみに配置して太陽電池モジュールを製造した。従ってカバーガラス側のストリングWの列間にはPID対策フィルムは設けていない構成である。
[実施例6]
実施例6は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を79重量部とTOPAS9506F−04を21重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が75℃で厚さ60μmのPID対策フィルムを作製した。次に、フィルムの片面に10点平均粗さを0.8μmとする凹凸、いわゆるシボを形成した。
凹凸の形成は、作製したフィルムに対して、サイトウエンヂニアーズ株式会社製の「エンボスター」にて所定の凹凸加工を実施した。尚10点平均粗さは、JISB0601−1994に基づいた測定値であり、被測定物の断面曲線から基準長さを抜き取った部分の平均線に対し、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差である。ここでの基準長さは10mmである。このように片面の全面に亘って凹凸を施したPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例7]
実施例7は、実施例1の環状オレフィン系樹脂と同様として、ガラス転移温度が78℃で厚さ80μmのPID対策フィルムを作製した。次に、実施例6と同様の方法により、片面に10点平均粗さを1.5μmとする凹凸を形成した。このように片面の全面に亘って凹凸を施したPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例1]
比較例1は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を59重量部とTOPAS6013M−07を41重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が98℃で厚さ200μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例2]
比較例2は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS6013M−07を100重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が142℃で厚さ100μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例3]
比較例3は、実施例1の環状オレフィン系樹脂として、TOPAS8007S−04のガラス転移温度が78℃で厚さ30μmのPID対策フィルムの作製を試みた。フィルムの巻き取りができず、PID対策フィルムが得られなかった。
[比較例4]
比較例4は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS6013M−07を100重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が142℃で厚さ250μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例5]
比較例5は、本実施例の環状オレフィン系樹脂を使用したPID対策フィルムを使用していない従来の太陽電池モジュール900である。図4に示す従来型の太陽電池モジュールであり、使用している部材は実施例1と同様であり、図1のPID対策フィルム14が無い構成である。
[比較例6]
比較例6は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を92重量部とTOPAS6013M−07を8重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が82℃で厚さ150μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例7]
比較例7は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を72重量部とTOPAS6013M−07を28重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が90℃で厚さ200μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
尚比較例1から比較例7まではいずれもPID対策フィルムには凹凸を形成しておらず、10点平均粗さが0μmである。
[PID対策フィルムの成型性(1)]
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例4で作成したPID対策フィルムのフィルム成型性を3インチ支管の最後尾から10mの面積(幅1m)についてマイクロクラックと皺について以下の指標で評価した。その評価結果を表1(a)に示す。
<マイクロクラック>
評価点 3点:マイクロクラックが全くない。
評価点 2点:モジュール面積トータルの20%以下の面積にマイクロクラックが有る。
評価点 1点:60%以上の面積にマイクロクラックが有る。
シートマイクロクラックとは、ガラスをハンマーなどで割った際にガラス内部に形成される無数の割れと同じ状態のものを指す。
<皺の存在箇所数>
皺の存在箇所数は、100m巻のPID対策フィルムの外観を観察した。皺とは肉眼で容易に認められる大きさで、幅1mm以上、長さ30mm以上とした。
評価点 3点:皺なく、平滑。
評価点 2点:皺が1箇所有る。
評価点 1点:皺が2箇所以上有る。
[PID対策フィルムのモジュール成型性]
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例4で作成したPID対策フィルムを使用した太陽電池モジュールの成型性を48直太陽電池モジュールを受光面側からの観察しマイクロクラックと痘痕について以下の指標で評価した。その評価結果を表1(a)に示す。
<マイクロクラック>
評価点 3点:マイクロクラックが全くない。
評価点 2点:全面積の5%以下にマイクロクラックが有る。
評価点 1点:全面積の10%以上にマイクロクラックが有る。
<痘痕の数>
痘痕とは、PID対策フィルムに円形状の皺で、半径500μm以上のものとした。
評価点 3点:痘痕は全く無い。
評価点 2点:痘痕は5個以下。
評価点 1点:痘痕は6個以上。
[PID対策フィルムの成型性(2)]
実施例6と実施例7、及び、比較例6と比較例7で作製したPID対策フィルムをフィルム巻の3インチ支管で巻き取ったときに良好に巻き取れるか否かを以下の指標で評価した。その評価結果を表1(b)に示す。
<巻き取り>
評価点 2点:巻き取れる。
評価点 1点:フィルムが密着して巻き取りが難しい。
[PID試験]
実施例1から実施例7、及び比較例1から比較例7で作製した太陽電池モジュールについて以下の様にPID試験を実施した。
予め作製した太陽電池モジュールの出力をソーラーシミュレータにより測定した。その後、エスペック社製PID試験装置にて、85℃、85%湿度のチャンバー中に入れて、−1000Vの電圧を2500時間印加した後、太陽電池モジュールを取り出し、再度出力をソーラーシミュレータにより測定した。太陽電池モジュールの発電保持率を以下の式にて算出した。
発電保持率(%)=100−[(オリジナル最高出力−PID試験後の最高出力)/(オリジナル最高出力)]×100
発電保持率が100%では、発電劣化が発生していないことを表している。
尚、PID試験中に太陽電池モジュールのカバーガラス上にアルミ板を配置し、アルミ板と太陽電池モジュールの出力端子との間に発生する漏れ電流を測定した。表1(a)には、PID試験結果として実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例5のPID試験開始1000時間後の漏れ電流の測定結果を記載した。
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例5で作製した太陽電池モジュールの上記PID試験の結果を表1(a)に示す。表1(a)から分かるように、本発明のPID対策フィルムを使用した実施例1から実施例5の太陽電池モジュールは、まったくPIDによる発電劣化が無いことが分かる。これを発電劣化が時間経過と共にどのように変化するかを示したものが図3である。図3の横軸はPID試験時間であり、縦軸は発電能力保持率(%)を示している。比較例5のPID対策フィルムを使用していない太陽電池モジュールは、短期間で出力ゼロになっていることが分かる。
実施例6から実施例7、及び比較例6から比較例7で作製した太陽電池モジュールの上記PID試験の結果を表1(b)に示す。表1(b)から分かるように、実施例6から実施例7、及び比較例6から比較例7の太陽電池モジュールは、まったくPIDによる発電劣化が無いことが分かる。但し、比較例6,7の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール内のPID対策フィルムにクラックが存在するので、実施例1から7と同様の太陽電池モジュールの長期寿命は保証できない。
[温度サイクル試験]
実施例6から実施例7、及び比較例6から比較例7で作製した太陽電池モジュールについて以下の様に温度サイクル試験を実施した。
JISC8990またはEC6215に従って、−40℃から85℃までの温度サイクルを200回、繰り返し行った。その後、太陽電池モジュールを受光面側から観察して、フィルムに存在するクラックの数を評価した。ここでのクラックとは、肉眼で容易に認められる線状のクラックであって、大きさで1cm以上をいう。その評価結果を表1(b)に示す。
表1(b)から分かるように、実施例6から実施例7の太陽電池モジュールのPID対策フィルムはクラックが無く、外観性に優れている。また、温度サイクルによってもクラックが生じないことから、太陽電池モジュールの寿命が更に向上する。
本発明によれば、少なくともフィールド20年間は太陽電池の発電所において、PID現象による発電劣化を防げるため、火力発電所や水力発電所と同様の寿命を有する発電所として、発電することができる。
100:太陽電池モジュール
200:太陽電池モジュール
11:カバーガラス
12:裏面材(バックシート)
14:PID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)
15:結晶系セル(太陽電池セル)
18:封止フィルム(EVA等)
900:従来型の太陽電池モジュール
Figure 2017069290

Claims (6)

  1. 太陽電池モジュール内におけるカバーガラスと太陽電池発電素子との間に積層されるPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムであって、ガラス転移温度が75℃以上95℃以下である環状オレフィン系樹脂フィルムで、
    前記環状オレフィン系樹脂が、エチレンと、環状オレフィンとの共重合体であり、
    かつ、フィルム厚みが40μm以上125μm以下であることを特徴とするPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムは、ガラス転移温度が75℃以上78℃以下であり、
    かつ、フィルム厚みが40μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムは、少なくとも片面に凹凸が形成され、凹凸の10点平均粗さが0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルム。
  4. 請求項1ないし3の何れか1項に記載のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムをカバーガラスと太陽電池発電素子との間に積層されていることを特徴とするPID劣化防止太陽電池モジュール。
  5. 前記PID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムは、前記カバーガラスに接着されるEVAを用いた第1封止材と、前記太陽電池発電素子に接着されるEVAを用いた第2封止材との間に積層されていることを特徴とする請求項4に記載のPID劣化防止太陽電池モジュール。
  6. 請求項1ないし3の何れか1項に記載のPID劣化防止太陽電池モジュール用フィルムを用いて、結晶系セル面積の少なくとも80%以上を覆っていることを特徴とするPID劣化防止太陽電池モジュール。
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