JP6608189B2 - n型シリコン半導体を使用した太陽電池モジュールのPID対策太陽電池モジュール - Google Patents

n型シリコン半導体を使用した太陽電池モジュールのPID対策太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池素子としてn型シリコン半導体を使用した太陽電池モジュールにおいてカバーガラスから放出されるアルカリ金属により発電劣化を防止するためにPID対策フィルムを用いたPID対策太陽電池モジュール、およびその対策に用いるPID対策フィルムに関する。
太陽電池モジュールの代表的な構成として、太陽電池素子をその両面側から一対の接着フィルムで狭み、さらに太陽光受光側の接着フィルムにはガラス等の透明基材を固着し、背面側の接着フィルムには保護材(バックシート)を固着した所謂スーパーストレート構造が知られている。あるいは、モジュールの両面をカバーガラスで挟み込んだ、所謂、ガラス/ガラス構造のモジュールがある。モジュール変換効率を向上させるため、両面発電セルを適用する場合がある。このような構成において、接着フィルムや発電素子保護フィルムは、接着性、耐候性などの諸特性が要求され、特に太陽光の受光側は、高い透明性が要求され、これらの要求を満足する接着フィルムが例えば、特許文献1〜特許文献3などで公知となっている。
これらの特性に加え、半年から数年でシステム発電量が数十パーセント低下する、所謂PID(Potential Induced Degradation)現象発生による発電劣化対策が必要となっている。特許文献1には、セルとカバーガラスの間にフッ素系フィルムなどによる高絶縁フィルムを積層する技術が紹介されている。あるいは、特許文献2には、ガラスから放出されるアルカリ金属の影響を軽減するため、ガラス表面をシランカップリング剤で表面処理する技術が紹介されている。また特許文献3には、環状オレフィン系樹脂からなる層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層とを有し、少なくとも1層の前記エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層が、前記環状オレフィン系樹脂からなる層を基準として太陽電池セルから遠い側に配置した太陽電池モジュールが開示されている。
しかしながら、PID現象発生メカニズムを明らかにしないまま、独自に組み上げたPID試験方法で、発電劣化率の低減が観られたとしている。認証試験が、20年間を保証するものとして85℃・85RH%・1000時間となっているにもかかわらず、高電圧下にさらされる発電所で使用されることを想定した条件は少なくとも1000時間であるが、これらの試験は、100時間であり、本来の目的の試験となっていない。フィールドで、20年間に対応するラボ試験条件下で、発電劣化しないかどうか、の結果を示す発明はこれまでなかった。
発明者は、PID現象となったモジュールの破壊分析結果より、PID現象の発生メカニズムを鋭意検討した結果以下のことが判明した。図6は、PID現象についてP型シリコン半導体とN型シリコン半導体について説明したものである。
広く使用されているP型シリコン半導体において、PID現象は図6(a)に示すように、白板ガラス側のシリコンセルの全表面積の15%程度をナトリウムイオンが堆積して覆うと、金属ナトリウム層を形成し、pn構造のn層がP化し、その結果、量子力学的にpn接合により発現していた、半導体の性質を失い、光電効果が発揮されず、発電しなくなることが、実フィールドでPID現象を発症したモジュールの破壊分析により明らかにした。
一方、N型シリコン半導体の場合は、出願人の種々の研究により、PID現象のメカニズムは以下のように推定している。図6(b)に従って説明する。P層のホールは、n型シリコンセルの表面に堆積したナトリウムイオンとの電気的反発により、pn界面に押しやられる。この影響で、n層の電子も界面に引き寄せられる。結果として空乏層が薄くなりダイオード特性が悪化する。これにより発電機能が低下する。
また、発電劣化は、シリコンセルの半導体としての劣化以外に、表面電極とインターコネクターの電子の集電能力の低下によっても引き起こされることが分かった。集電能力の低下とは、EVA封止材が劣化することによって放出される酢酸が、はんだ成分を溶かし、また表面電極とセルとの接着剤として、添加してあるガラス成分が溶けることによって引き起こされることが分かった。21年間稼働の国内太陽電池モジュールの下部の角部(角部のシリコンセルのモジュール角部側のエッジ部の受光面側)の酢酸量は120μg/gであることが分かった。ラボで、20cm角の同一の構造のモジュールで、三井化学社製EVAを用いた、セルのエッジ部の酢酸量は、85℃・85RH%のダンプヒート試験で、2500hに対応することが分かった。
よって、PID試験条件は、現在規格化で検討されている、60℃、85RH%・96h・−1000Vのような条件ではなく、ダンプヒート試験で、85℃、85RH%、2500hで、−1000V印加の条件が20年に相当する試験条件であることが分かった。
特許文献3に記載の太陽電池モジュール用の保護フィルムは、環状オレフィン系樹脂を使用しそのガラス転移温度は80℃〜250℃と広範囲であり、またフィルムの厚みも5μm〜200μmと広範囲である。このような公開公報に記載されている範囲では、フィルムとして成形性が悪く、また成形できてもひび割れするものが殆どで実用に供することは不可能であった。また太陽電池モジュールは大型化する傾向にあり、そのサイズは2m×4m(縦×横)以上の大きさとなっている。特許文献3に記載の太陽電池モジュ−ル用の保護フィルムは、このようなサイズの太陽電池モジュール用のフィルムとして成形は不可能である。
特表2013―502051 特開2008―273783 特開2006―198922
本発明は、上記の問題を解決した太陽電池モジュールのカバーガラスから放出されるアルカリ金属イオンのバリア性に優れ、かつ耐熱性、耐光性に優れる環状オレフィン系樹脂フィルム(以下、太陽電池用PID対策フィルム又は単にPID対策フィルムという)及びそれを用いたPID対策太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
<1>第1発明
上記課題を解決するための第1発明の太陽電池モジュールは、カバーガラスとn型シリコンセルとの間に、カバーガラス、封止フィルム、環状オレフィン系樹脂フィルムの順番で積層される、スーパー・ストレート構造の太陽電池モジュールにおいて、前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、チレンおよび/またはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であ前記共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上、95℃以下であり、前記環状オレフィン系樹脂フィルムのフィルム厚みが40〜125μmであり、カバーガラス全面とn型シリコンセル直列回路との間に−1000Vの電圧を1000時間加えた後の発電性能が、前記電圧を加える前の98%以上に保持されることを特徴とする。
第1発明によれば、太陽電池モジュールのn型シリコンの発電部分が環状オレフィン系樹脂フィルムにより覆われる構成となっている。従って太陽電池モジュールの使用中にカバーガラス内のナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリイオンがn型シリコン上に堆積することを防止することができる。従って太陽電池モジュールのカバーガラス全面とn型シリコンセル直列回路との間に−1000Vの電圧を1000時間加えた後でも、その発電性能が前記電圧を加える前の98%以上に保持される。すなわち太陽電池モジュールがメガソーラーという形態で使用された場合にその使用中に発電劣化する現象(PID現象)が発生しているが、そのような発電劣化を完全に防止することができる。
また、その太陽電池モジュール内に使用される環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、エチレンおよび/またはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であり、共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃から95℃であって、環状オレフィン系樹脂フィルムのフィルム厚みが40〜125μmである。従って太陽電池モジュールを環状オレフィン系樹脂フィルムを含む構成部材を積層し、ラミネート装置で一体成型しても、環状オレフィン系樹脂フィルムに割れなどは一切発生しない。従ってPID現象の発生は一切無い。
また、環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、エチレンおよび/またはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体となっている。環状オレフィン系共重合体を使用することによりPID対策シートの耐候性を向上させることが更に可能となる、PIDを完全に防止するという効果以外に、フィルムの寿命が向上するいう効果が発現する。従ってこのフィルムを使用した太陽電池モジュールの寿命が更に向上する。
<2>第2発明
第2発明の太陽電池モジュールは、第1発明において、前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、チレンまたはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であ前記共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上、95℃以下であることを特徴とする。
第2発明の太陽電池モジュールは、前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、チレンまたはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であり、前記共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上、95℃以下である。環状オレフィン系共重合体を使用することによりPID対策シートの耐候性を向上させることが更に可能となる、PIDを完全に防止するという効果以外に、フィルムの寿命が向上するいう効果が発現する。従ってこのフィルムを使用した太陽電池モジュールの寿命が更に向上する。
<3>第3発明
第3発明の太陽電池モジュールは、第1発明または第2発明において、両面にカバーガラスを配置する太陽電池モジュールにおいて、受光面側からカバーガラス、封止フィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム、n型シリコンセル、封止フィルム、カバーガラスの順番で積層されることを特徴とする。
第3発明の太陽電池モジュールによれば、第1発明及び第2発明と同様の効果が発現する。
<4>第4発明
第4発明の太陽電池モジュールは、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記環状オレフィン系樹脂フィルムが、前記n型シリコンセルの面積の少なくとも80%以上を覆っていることを特徴とする。
上記のように本発明のフィルムは、少なくとも、太陽電池セルの上部に積層されていればよく、しかも結晶系セル面積の少なくとも80%以上が覆われていれば良い。本発明のPID対策フィルムで結晶系セルの面積を覆う面積がその80%未満となるとカバーガラスに含まれるナトリウムイオンやカリウムイオンが太陽電池セルに付着しPIDが発生してしまう。
本発明のPID対策フィルムを使用し太陽電池モジュールのn型シリコンセルの表面積の80%以上を覆うことにより太陽電池モジュールのPIDを確実に防止することができる。
<5>第5発明
上記課題を解決するための第5発明の環状オレフィン系樹脂フィルムは、太陽電池モジュール内におけるn型シリコンセルとカバーガラスとの中間に積層してなる環状オレフィン系樹脂フィルムであって、前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上、80℃未満であり、フィルム幅が80cm以上であり、フィルム厚みが40μm以上、125μm以下であることを特徴とする。
第5発明の環状オレフィン系樹脂フィルム(PID対策フィルム)は、太陽電池モジュール内におけるn型シリコンとカバーガラスとの中間に設けられている。本発明のPID対策フィルムは、ガラス転移温度が70℃以上、95℃以下である、好ましくは、75℃以上80℃未満である。ガラス転移温度が70℃未満では、太陽電池の架橋反応工程であるラミネート工程の成型熱によってフィルムが部分的に流動化し、モジュールの受光面側に丸い皺からなる痘痕が形成されるので好ましくない。95℃を超えると、フィルムをロール状に巻く際に、側面部から割れが発生し、フィルムを巻き取ることができない。更に、太陽電池モジュール成型後、一週間程度後から、太陽電池モジュール内に無数のマイクロクラックが発生し、外観不具合となり、好ましくない。
また本発明のPID対策フィルムは、その厚みが40μm以上125μm以下であり、好ましくは60μm以上90μm以下であり、さらに好ましくは、70μ以上80μ以下である。フィルム厚みが40μmを下回ると、フィルム強度が著しく低下し、フィルムの巻き取り工程で加えるテンションで破断することがあるため好ましくない。また、厚みが125μmを超える厚いフィルムを用いると、フィルムを成形して24h後に、太陽電池モジュール成型体の受光面側に無数のマイクロクラックが発生し、製品外観不具合となるので好ましくない。
また本発明のPID対策フィルムは、そのサイズが2m×4m(縦×横)以上と大型化した太陽電池モジュールに対して使用可能なサイズ(幅80cm以上)のものを製造可能である。このように大きなサイズのPID対策フィルムでも割れ等はまったくなく提供することができる。またこのような大きなサイズのPID対策フィルムは、従来の技術では実現できなかったものである。
本発明のPID対策フィルムは、太陽電池モジュールのカバーガラスから放出されるナトリウムイオンやカリウムイオンが太陽電池モジュール内の発電素子(n型シリコン)の表面に移動することを防御することから、メガソーラー発電所で頻発している、PIDによる発電劣化を完全に防止することができる。また本発明のPID対策は、太陽電池モジュール用接着フィルムとして求められる、耐候性、耐熱性、透明性、防水性、防湿性に優れている。従って太陽電池モジュールの長寿命化を実現することができる。さらに太陽電池モジュール内の太陽電池セルとカバーガラス間の封止部分に割れ等がまったく無い外観良好な太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明のPID対策フィルムは、割れ易い傾向にあり、ポリエチレン素材のような伸縮性と強度を兼ね備えた保護フィルムを貼り付けした状態で、フィルム巻を行うことができる。あるいはシリカ等の微粒子のパウダーを使用してフィルムロールの巻皺を防止することも可能である。
>第発明
発明の環状オレフィン系樹脂フィルムは、第5発明おいて、前記環状オレフィン系樹脂フィルムと封止フィルムが一体となったことを特徴とする。
発明によれば、PID対策フィルムと封止フィルムが一体化しているので、太陽電池モジュールを製造する工程において、太陽電池セルに各部材を積層する工程を簡単にすることができる。
>第発明
発明の環状オレフィン系樹脂フィルムは、第5発明または発明記載の環状オレフィン系樹脂フィルムが、封止フィルムとカバーガラスと間に設けられることを特徴とする。
発明によれば以下のような効果が発現する。本発明の太陽電池太陽電池モジュールは、カバーガラスと既存太陽電池用封止フィルムの間に第5発明または発明のPID対策フィルムを設けた構成としている。本発明のPID対策フィルムを使用した太陽電池モジュールは、カバーガラス、既存封止フィルム、本発明のPID対策フィルム、既存封止フィルム、太陽電池セル、既存封止フィルム、裏面材の順にこれら部材を積層する。積層後、130℃以上の熱で真空プレス成型することによって、それぞれの界面が接着することによって、PID対策用の太陽電池モジュールとなる。既存封止フィルムとしては、一般にはEVA封止材を用いるのが好ましい。カバーガラスは、ナトリウムイオンを放出する白板ガラスであっても良いし、ガラス表面をカリウムイオンで置換した、化学強化ガラスであってもよい。化学強化ガラスは強度が高いので薄肉化が可能であり、軽量化太陽電池モジュールを容易に製造できる。
この第1発明から第4発明の構成によって得られた太陽電池モジュールは、PID現象はまったく発生することが無く、製品としての防水性が高まり、また、超長期間に亘り、耐候性が担保されたものとなり、太陽電池モジュールの長寿命化が可能となる。
本発明の太陽電池モジュールの構成例1を示す模式断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの構成例2を示す模式断面図である。 本発明の太陽電池モジュールと従来の太陽電池の劣化の度合い説明図。 従来の太陽電池モジュールの構成を示す模式断面図である。 実施例5の太陽電池モジュールの構成を示す模式断面図である。 P型シリコンセルとN型シリコンセルのPID現象の説明図。
以下図1から図3を使用し、本発明のPID対策フィルム及びそのフィルムを用いた太陽電池モジュールの実施形態について説明する。
<1>太陽電池用PID対策フィルム
本発明の太陽電池用PID対策フィルムは、太陽電池モジュール内における太陽電池発電素子にアルカリ金属を移動させない防御する接着フィルムであって、非晶性の環状オレフィン系共重合体をフィルム状に成形してなることを特徴としている。以下に本発明に係る太陽電池用PID対策フィルムについて詳述する。
環状オレフィン系樹脂とは、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む重合体又は共重合体であれば、特に限定されない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとの付加共重合体、又はその水素添加物等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂は、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。また、本発明に使用する環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、JISK7121「プラスチックの転移熱測定方法」に従って、昇温速度10℃/分の条件でDSCで測定を行った。ガラス転移温度は特に限定されるものではないが、耐熱性の観点から50℃以上、好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上がふさわしい。また、ガラス転移温度の上限としては、フィルム加工性の観点、柔軟性の観点から95℃以下、好ましくは88℃未満、さらに好ましくは80℃未満である。
環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む上記重合体又は上記共重合体においてさらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/ 又は共重合したものを含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、さらに環状オレフィン成分を出発原料にしてメタセシス触媒で開環重合し、水素添加して製造され市販されている環状オレフィン系ポリマーとしては、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、特に環状オレフィン系共重合体が好ましく用いられる。環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物では残存する二重結合により加熱環境下で変色する可能性がある。また、環状オレフィン系共重合体は、EVAとの加硫接着において、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物よりも親和性がよく接着性が優れる。
環状オレフィン系共重合体は、エチレンおよび/またはα−オレフィンと、下記一般式(I)で示される環状オレフィンに由来する構造単位と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0006608189
(式中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
α−オレフィンとしては、特に制限はないが炭素数2〜20のα−オレフィンが好ましい。例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。
エチレンおよび/またはα−オレフィンの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
一般式(I)で示される環状オレフィンについて、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。一般式(I)で示される環状オレフィンの具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
また、環状オレフィンは、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の製造方法は既に公知であり、例えば、特開平3−45612、特開昭60−168708、特開昭62−252406に環状オレフィンの付加重合体の製造方法が、特開昭63−145324、特開昭63−264626、特開平1−240517に環状オレフィンの開環重合とその水添物の製造方法が報告されている。これらの製造方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造することができる。
例えば、エチレンとノルボルネンからなる環状オレフィン共重合体においては、ノルボルネン含有量を変更することによって、様々なガラス転移温度(Tg)の環状オレフィン系共重合体を合成することができる。ノルボルネン含有量を減少させ、エチレンを増加すると、それに応じてTgが低下する。
各組成のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーは、上述の重合によっても得られるが、市販のグレード溶融ブレンドにより、得ることができる。一般に、ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂のブレンドによって、相容する系においては、ブレンド比率によって加成性が成り立つ。本発明の環状オレフィン樹脂を得るに当たり、上述の重合による方法に加え、押出し機による既存グレードの溶融ブレンドでも準備可能であって、発明の効果は全く変わらない。
<1−2>他の成分
本発明のPID対策フィルムには、耐候性向上の目的で、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤、耐光安定剤など、長期熱安定性向上の目的で、酸化防止剤など、フィルムの成形性を改善する目的で、滑剤などを配合してもよい。
<2>太陽電池モジュール
本発明の太陽電池モジュールは、上述の本発明の太陽電池用のPID対策フィルムを備えたことを特徴としている。
図1は、本発明の太陽電池モジュールの一例を示す模式断面図である。図1に示す太陽電池モジュール100は、受光側の表面基板である透明ガラス板11から順に、既存の封止フィルム18、本発明のPID対策フィルム14、既存の封止フィルム18、太陽電池素子15、既存の封止フィルム18、及びバックシート12を有してなる。バックシートの部分がカバーガラスでもよい。その場合は、図2のような太陽電池モジュール200である。すなわち太陽電池素子15に対して上下対称な構成となっている。以上の図1及び図2に示した太陽電池モジュールの構成は一例であり、本発明の太陽電池モジュールはその構成に限定されることはない。
本発明の太陽電池モジュールに使用する太陽電池素子としては、特に限定はなく、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、III−V族やII−VI族化合物(ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルルなど)などの化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
また、本発明の太陽電池モジュールにおいて、太陽光受光側の表面基板としては、透明基材としてガラスを使用する場合は、ナトリウムイオンを放出する白板ガラスであっても良いし、ガラス表面をカリウムイオンで置換した、化学強化ガラスであっても良い。ガラスから放出される金属イオンは本発明のPID対策フィルムにより防御され太陽電池セルは保護されPIDは発生しない。
尚、本発明のPID対策フィルムを太陽電池モジュールの透明基板としてアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを用いた太陽電池モジュールに使用することができる。
また、反対側のバックシートとしては、樹脂フィルムや金属フィルムなどの単層もしくは多層のフィルムが挙げられ、例えば、樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルム、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂フィルム等が挙げられ、金属フィルムとしては、アルミ、ステンレススチールなどのフィルムが挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例にて使用される環状オレフィン系樹脂としては、TOPAS Advanced Polymers社製TOPAS8007S−04(ガラス転移温度78℃)及びTOPAS6013M−07(ガラス転移温度130℃)の2種類をあるブレンド比率で混合した混合物内に、微量の紫外線防止剤と耐光安定剤を配合し、所要のガラス転移温度(Tg)と厚さを有するPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し、以下の方法により図1の構成の太陽電池モジュール100を作製した。尚太陽電池モジュールを製造する際にはラミネート装置により行なうため、ラミネート装置の熱板には図1の上下を逆にして各部材を積層する。
[実施例1]
環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部に、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ4−n−オクトキシベンゾフェノン0.4重量部、耐光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.2重量部を、日本製鋼所製、二軸押出機TEX−30αを用いて溶融樹脂温度200℃で混練し、環状オレフィン系樹脂組成物ペレットを得た。次いでこのペレットを300mm幅T−ダイを備えた単軸押出し成形機に投入し、T−ダイ部での樹脂温度140℃としガラス転移温度が78℃で厚さ60μmのPID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)を作製した。得られたPID対策フィルムを使用し、以下の方法で太陽電池モジュールを作製した。
太陽電池モジュール100は、以下の部材を下から積層したものである。カバーガラス11上に封止フィルム18として三井化学社製450μmのファーストキュアタイプ(EVA−1)を用意した。その上に順次、本実施例で作成したPID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)14を積層し、その上に封止フィルム18(EVA−1)、太陽電池結晶系セル(n型シリコンセル半導体:台湾AUO社製)、封止フィルム18(EVA−1)、裏面材(バックシート)12としてリンテック社製バックシートを積層する。尚n型シリコン半導体としては、台湾のAUO社製n型シリコンセル48枚を直列に配置したものとした。上記の構成部材を積層した積層体を真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス株式会社製、製品名:PVL1537N)を用いて、熱板温度:155℃、加工時間22分(内訳、真空引き:5分、プレス・圧力保持:15分)にて、プレス加工を行い、太陽電池モジュールを作成した。
[実施例2]
実施例2は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を90重量部とTOPAS6013M−07を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が80℃で厚さ75μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例3]
実施例3は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を72重量部とTOPAS6013M−07を28重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が90℃で厚さ100μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例4]
実施例4は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を67重量部とTOPAS6013M−07を33重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が93℃で厚さ125μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[実施例5]
実施例5は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を72重量部とTOPAS6013M−07を28重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が90℃で厚さ75μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。尚この時、PID対策フィルムを図5に示すように太陽電池セルを複数枚接続したストリングW上(カバーガラス側)のみに配置して太陽電池モジュールを製造した。従ってカバーガラス側のストリングWの列間にはPID対策フィルムは設けていない構成である。
[比較例1]
比較例1は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS8007S−04を59重量部とTOPAS6013M−07を41重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が98℃で厚さ200μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例2]
比較例2は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS6013M−07を100重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が142℃で厚さ100μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例3]
比較例3は、実施例1の環状オレフィン系樹脂として、TOPAS8007S−04ガラス転移温度が78℃で厚さ30μmのPID対策フィルムの作製を試みた。フィルムの巻き取りができず、PID対策フィルムが得られなかった。
[比較例4]
比較例4は、実施例1の環状オレフィン系樹脂としてTOPAS8007S−04の100重量部を、TOPAS6013M−07を100重量部に変更した以外は、実施例1と同様とし、ガラス転移温度が142℃で厚さ250μmのPID対策フィルムを作製した。得られたPID対策フィルムを使用し実施例1と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
[比較例5]
比較例5は、本実施例の環状オレフィン系樹脂を使用したPID対策フィルムを使用していない従来の太陽電池モジュール900である。図4に示す従来型の太陽電池モジュールであり、使用している部材は実施例1と同様であり、図1のPID対策フィルム14が無い構成である。
[比較例6]
比較例6は、本実施例の環状オレフィン系樹脂を使用したPID対策フィルムの代わりに三井化学社製オレフィン樹脂封止シートに置き換えし、それ以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作成した。
[比較例7]
比較例7の太陽電池モジュールは、比較例6の太陽電池モジュールに対して、三井化学性オレフィン樹脂封止シートを、デュポン社製アイオノマー封止材に置き換え、それ以外は比較例6と同様に太陽電池モジュールを作製した。
[PID対策フィルムの成形性]
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例4で作成したPID対策フィルムのフィルム成型性を3インチ支干の最後尾から10mの面積(幅1m)についてマイクロクラックと皺について以下の指標で評価した。その評価結果を表1に示す。
<マイクロクラック>
評価点 3点:マイクロクラックが全くない。
評価点 2点:モジュール面積トータルの20%以下の面積にマイクロクラックが有る。
評価点 1点:60%以上の面積にマイクロクラックが有る。
シートマイクロクラックとは、ガラスをハンマーなどで割った際にガラス内部に形成される無数の割れと同じ状態のものを指す。
<皺の存在箇所数>
皺の存在箇所数は、100m巻のPID対策フィルムの外観を観察した。/皺とは肉眼で容易に認められる大きさで、幅1mm以上、長さ30mm以上とした。
評価点 3点:皺なく、平滑。
評価点 2点:皺が1箇所有る。
評価点 1点:皺が2箇所以上有る。
[PID対策フィルムのモジュール成形性]
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例4で作成したPID対策フィルムを使用した太陽電池モジュールの成型性を48直太陽電池モジュールを受光面側からの観察しマイクロクラックと痘痕について以下の指標で評価した。その評価結果を表1に示す。
<マイクロクラック>
評価点 3点:マイクロクラックが全くない。
評価点 2点:全面積の5%以下にマイクロクラックが有る。
評価点 1点:全面積の10%以上にマイクロクラックが有る。
<痘痕の数>
痘痕とは、PID対策フィルムに円形状の皺で、半径500μm以上のものとした。
評価点 3点:痘痕は全く無い。
評価点 2点:痘痕は5個以下。
評価点 1点:痘痕は6個以上。
[PID試験]
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例7で作製した太陽電池モジュールについて以下の様にPID試験(発電劣化試験)を実施した。
予め作製した太陽電池モジュールの出力を日清紡製ソーラーシミュレータにより測定した。その後、エスペック社製PID試験装置にて、85℃、85%湿度のチャンバー中に入れて、−1000Vの電圧を1000時間印加した後、太陽電池モジュールを取り出し、再度出力をソーラーシミュレータにより測定した。太陽電池モジュールの発電劣化度を以下の式にて算出した。
発電劣化度(%)=[(オリジナル最高出力−PID試験後の最高出力)/(オリジナル最高出力)]×100
なお、モジュールからの電極の取り出しは、上面フロントガラス全面に1mm厚のアルミプレートを置き、その上から、硬度(JISA)60の3mm厚のEPDM製ゴムシートを載せ、10mm厚の木製の板を押し付けて、ガラスとアルミプレートを全面圧着し、プラス電極とした。セルに繋がるプラスとマイナスの電極のコードを束ねて、マイナス電極に繋げ、−1000V印加した。
尚、PID試験中に太陽電池モジュールのカバーガラス上にアルミ板を配置し、アルミ板と太陽電池モジュールの出力端子との間に発生する漏れ電流を測定した。表1には、PID試験結果として各実施例及び比較例のPID試験開始1000時間後の漏れ電流の測定結果を記載した。
実施例1から実施例5、及び比較例1から比較例7で作製した太陽電池モジュールの上記PID試験の結果を表1に示す。表1から分かるように、本発明のPID対策フィルムを使用した実施例1から実施例5の太陽電池モジュールは、まったくPIDによる発電劣化が無いことが分かる、これを発電劣化が時間経過と共にどのように変化するかを示したものが図3である。図3の横軸はPID試験時間であり、縦軸は発電能力保持率(%)を示している。この発電能力保持率とは、100%から発電劣化度(%)を指し引いた数値であり、100%であればまったく発電劣化が発生していないことを表している。比較例5のPID対策フィルムを使用していない太陽電池モジュールは、短期間で出力ゼロになっていることが分かる。また比較例6及び比較例7の他社製のオレフィン樹脂封止シートを使用した場合は、30から40%の発電劣化が有ることが分かった。
本発明によれば、少なくともフィールド20年間は太陽電池の発電所において、PID現象による発電劣化を防げるため、火力発電所や水力発電所と同様の寿命を有する発電所として、発電することができる。
100:太陽電池モジュール
200:太陽電池モジュール
11:カバーガラス
12:裏面材(バックシート)
14:PID対策フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)
15:n型シリコンセル(太陽電池セル)
18:封止フィルム(EVA等)
900:従来型の太陽電池モジュール
Figure 0006608189

Claims (7)

  1. カバーガラスとn型シリコンセルとの間に、カバーガラス、封止フィルム、環状オレフィン系樹脂フィルムの順番で積層される、スーパー・ストレート構造の太陽電池モジュールにおいて、
    前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、チレンおよび/またはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であ
    前記共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上、95℃以下であり、
    前記環状オレフィン系樹脂フィルムのフィルム厚みが40〜125μmであり、
    カバーガラス全面とn型シリコンセル直列回路との間に−1000Vの電圧を1000時間加えた後の発電性能が、前記電圧を加える前の98%以上に保持されることを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、チレンまたはα−オレフィンと、環状オレフィンとの共重合体であり、
    前記共重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上、95℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 両面にカバーガラスを配置する太陽電池モジュールにおいて、受光面側からカバーガラス、封止フィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム、n型シリコンセル、封止フィルム、カバーガラスの順番で積層されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムが、前記n型シリコンセルの面積の少なくとも80%以上を覆っていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 太陽電池モジュール内におけるn型シリコンセルとカバーガラスとの中間に積層してなる環状オレフィン系樹脂フィルムであって、
    前記環状オレフィン系樹脂フィルムの樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上、80℃未満であり、
    フィルム幅が80cm以上であり、
    フィルム厚みが40μm以上、125μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールに使用する環状オレフィン系樹脂フィルム。
  6. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムは、封止フィルムが一体となったことを特徴とする請求項5に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
  7. 前記環状オレフィン系樹脂フィルムは、封止フィルムとカバーガラスとの間に設けられることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム。
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