JP6155680B2 - 太陽電池モジュールの製造方法及び該製造方法によって製造された太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュールの製造方法及び該製造方法によって製造された太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池モジュールに関し、詳細には、透明性、接着性、耐熱性等に優れた太陽電池封止材を用い、低熱量、短時間にて太陽電池モジュールの形成が容易となる太陽電池モジュールの製造方法及び該製造方法によって製造された太陽電池モジュールに関する。
太陽光発電は、発電時に石油などの燃料を燃やす必要がなく、燃焼による温室効果ガス(例えばCO2など)や有害な廃棄物(例えば原油灰や重油灰)を発生しない特徴を有することから、クリーンエネルギーの1つとして近年注目されている。太陽電池は太陽の光エネルギーを直接電気に換える発電装置である。具体的な形態として、結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、薄膜結晶シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池、銅・インジウム・セレナイド太陽電池などが挙げられる。
太陽電池は主に屋外に設置されることから、水分やほこりの影響を避け、雹や小石などの衝突、あるいは風圧に耐えるように、太陽電池素子を封止材(封止樹脂層)中に封じ込み、その外部をガラスやシートなどの保護部材で保護する構造となっており、このような構造を太陽電池モジュールと呼ぶ。
前述したように、太陽電池モジュールは主に屋外で長期間使用されるため、封止材(封止樹脂層)は、水蒸気バリア性、太陽電池素子を保護する為の柔軟性、太陽電池モジュール製造におけるプロセス適性のための流動特性、耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届く為の透明性(全光線透過率など)、ガラスやバックシート及びセルとの接着性、耐久性、寸法安定性、絶縁性等が主に要求される。
ここで、封止材の主な材料としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略称することがある)、ポリエチレン(以下、PEと略称することがある)、アイオノマー(以下、IOと略称することがある)およびポリビニルブチラール(以下、PVBと略称することがある)などが用いられている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、通常、使用する各種部材(フロントシート、封止樹脂層、セル、封止樹脂層及びバックシートなど)を重ね合せて、ラミネートする。ここで、バッチ式の二重真空室方式ラミネーター(真空ラミネーター)を用い、EVAからなる封止材(以下、EVAシートと呼ぶことがある)を使用した太陽電池モジュールの製造方法を例として工程毎に説明すると以下のようになる。
まず、フロントシート、EVAシート、セル、EVAシートおよびバックシートの順に重ね合せる(スタック工程)。次に上下2つのチャンバーを有する真空ラミネーター内にスタックした部材を下側のチャンバーに搬入する。上下のチャンバーはダイヤフラムシートで隔てられており、事前に上側のチャンバーは真空になっている。スタックした部材を投入した後、下側のチャンバーを真空吸引することで部材間のエアーを十分に脱気する(真空工程)。この時、真空工程にてEVAシートが加熱されると、架橋が進みゲル化するため、真空工程時には、加熱した熱板内にあるピン上にスタックした部材が乗せられ(ピンアップ工程)、熱板に直接接しないようにして真空吸引する。次の工程に入る直前にピンを下げ、スタックした部材を熱板上に乗せ、部材を加熱する。その後、熱板上にスタックした部材を載せた後に上側のチャンバー内に大気を注入することによりダイヤフラムシートを介して、下側のチャンバーを脱気しつつ大気圧にて加熱圧着する(プレス工程)。このとき、加熱圧着しながらEVAシートの架橋反応が進行し、耐熱性が付与される。具体的な加工条件としては、EVAシートの種類によって異なるが、一般的なファストタイプと呼ばれるEVAシートでは、熱板温度150℃程度で、上記工程完了まで数分〜十数分を要する。
しかしながら、EVAシートが溶融して太陽電池素子を封止する際、架橋温度の上昇が急激である場合、有機過酸化物の分解速度が速くなり、発生したガスが十分に脱気されることなく太陽電池モジュール内部に留まることにより気泡として残ってしまう懸念がある。また、架橋度にムラが発生しやすくなることで、溶融されたEVAシートが太陽電池素子周りの凹凸を充填する前に架橋反応が進行してしまい、太陽電池モジュールの充填不良を生じてしまう懸念がある。このような気泡残りや充填不良は、太陽電池モジュールの外観を大きく損なうばかりでなく、気泡残りや充填不良箇所を起点とした電流のリークなどの各種不具合を引き起こし、長期信頼性が得られない懸念がある。
さらに、EVAシートを用いて太陽電池モジュールを製造する場合、EVAの熱分解による酢酸ガスが発生し、作業環境および製造装置に悪影響を及ぼしたり、太陽電池の回路腐食や、太陽電池素子、フロントシートおよびバックシートなど各部材との界面で剥離が発生したりする等の問題があった。
これらの問題に対し、EVAシートを用いない、架橋工程が省略可能な太陽電池封止材として、例えば、特許文献1には、非晶性α−オレフィン重合体と結晶性α−オレフィン重合体を含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材が開示されており、具体的には、プロピレンを主成分とする重合体からなる樹脂組成物が用いられている。
また、特許文献2には、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と、少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンとからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイであることを特徴とする太陽電池封止材が開示されており、具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体と汎用の結晶性ポリエチレンとのポリマーブレンド(実施例2参照)や、エチレン−アクリル酸メチル共重合体と汎用の結晶性ポリプロピレンとのポリマーブレンド(実施例3参照)が用いられている。
また、特許文献3では、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変成樹脂(シラン架橋性樹脂)を含む封止材が開示されている(請求項1および実施例参照)。
特開2006−210905号公報 特開2001−332750号公報 特開2007−305903号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に記載のポリオレフィン系樹脂からなる封止材は、耐熱処方があらかじめ付与されているため、一般的にEVAシートに比べて剛性が高く、柔軟性に劣る。そのため、特に太陽電池素子と配線の重なりや、絶縁シート付近で生じる段差を封止材で十分に回り込ませ、間隙を埋めるには、封止材を十分に溶融させ、プレス工程中でのせん断弾性率を十分に下げる必要がある。したがって、上記封止材のプレス工程を実施する際、一般的に熱板温度150〜170℃程度が必要である。プレス工程の温度が高くなると、ランニングコストが高いことだけではなく、セルに対しても不具合が生じやすくなる。
また、特許文献3に記載の封止材は、前述したような封止材に対して、柔軟性が良好であることから100℃程度の低温領域でも十分な接着性を発現することが報告されている。
実施例には、融点が100℃付近である封止材(実施例3、5、6)とその他の部材を積層し、真空ラミネーターの熱板の設定温度が100℃の条件で太陽電池モジュールを作製する製造方法が開示されている。また、融点は、DSC曲線のピークトップ温度として定義されており、またDSC曲線が複数のピークを有する場合は、最も低温のピークトップ温度として定義されている(段落[0078]参照)。しかしながら、それらの封止材の融点、と真空ラミネーターの熱板の設定温度が極めて近いため、太陽電池モジュールを製造する際、封止材のせん断弾性率が低くない可能性があり、モジュール内部における配線、セル付近に生じる段差に対する回り込み性がよくないおそれがある。
以上の通り、従来の技術においては、特に低熱量で太陽電池モジュールの形成が容易で、かつ透明性、接着性および耐熱性等に優れた太陽電池モジュールの製造方法は提供されていなかった。
本発明の課題は、特に低熱量で太陽電池モジュールの形成が容易で、かつ透明性、接着性および耐熱性等に優れた太陽電池モジュールの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、特定の封止材を用い、特定のプレス工程を採用することにより、解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]に関する
[1] 少なくとも、上部保護材、太陽電池素子、太陽電池封止材及びバックシートを重ね合わせるスタック工程、スタックした部材間の空気を抜く真空工程、およびスタックした部材を加熱圧着するプレス工程を含む太陽電池モジュールの製造方法であって、前記太陽電池封止材は下記条件(1)〜(3)を満足し、かつ、前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
(1)架橋剤を含まない
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/gである
(3)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度を有する
(a)封止材のせん断弾性率が1×105Pa未満であるときにプレス工程を開始すること
(b)封止材のせん断弾性率が5×103Pa以上であるときにプレス工程を終了すること
[2] 前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
(a)封止材のせん断弾性率が1×105Pa未満であり、かつ5×103Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
(b)封止材のせん断弾性率が5×103Pa以上であり、かつ1×105Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
[3] 前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
(a)封止材のせん断弾性率が8×104Pa未満であり、かつ2×104Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
(b)封止材のせん断弾性率が2×104Pa以上であり、かつ8×104Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
[4] 前記工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
(a)封止材のせん断弾性率が7×104Pa未満であり、かつ5×104Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
(b)封止材のせん断弾性率が3×104Pa以上であり、かつ5×104Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
[5] 前記太陽電池封止材が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[6] 前記太陽電池封止材が、エチレン−α−オレフィンランダム共重合を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[7] 前記太陽電池封止材が、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[8] 前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体がエチレン−オクテンマルチブロック共重合体であることを特徴とする前記[7]に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[9] 封止材の振動周波数10Hz、温度20℃における貯蔵弾性率(E´)が1〜100MPaであることを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[10] 少なくとも前記プレス工程を、真空ラミネーターを用いて行い、前記プレス工程における真空ラミネーターの設定温度が110℃以上150℃未満であることを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
[11] 前記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法によって製造された太陽電池モジュール。
本発明によれば、特に低熱量で太陽電池モジュールの形成が容易で、かつ耐熱性等に優れた太陽電池モジュールの製造方法を提供できる。さらに、酢酸による配線腐食や、水蒸気浸透による太陽電池素子の劣化の懸念がなく、作業環境および製造装置への悪影響や、太陽電池モジュールの劣化や発電効率の低下も防ぐことができる。
本発明にて製造された太陽電池モジュールの一例を示す図である。 真空ラミネーター内にて、太陽電池モジュールを製造する状態を示す図である。 設定温度を130℃とした際の封止材の温度の推移を示した図である。 設定温度を150℃とした際の封止材の温度の推移を示した図である。
以下、本発明の実施形態としての、太陽電池モジュールの製造方法、およびそれに用いる太陽電池封止材について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、本発明の太陽電池モジュールの各部材を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、樹脂組成物の構成成分全体の50質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって100質量%以下の範囲を占める成分である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、少なくとも、上部保護材、太陽電池素子、太陽電池封止材及びバックシートを重ね合わせるスタック工程、スタックした部材間の空気を抜く真空工程、およびスタックした部材を加熱圧着するプレス工程を含む太陽電池モジュールの製造方法であって、太陽電池封止材として、下記条件(1)〜(3)を満足する太陽電池封止材を用い、下記条件(a)及び(b)を満足するような条件で行うプレス工程を有することを特徴とするものである。
(1)架橋剤を含まない
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/gである
(3)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度を有する
(a)封止材のせん断弾性率が1×105Pa未満であるときにプレス工程を開始すること
(b)封止材のせん断弾性率が5×103Pa以上であるときにプレス工程を終了すること
本発明の製造方法により得られる太陽電池モジュールの一例を図1に示す。図1に示される太陽電池モジュール1は、上部保護材(ガラス2)、その上に封止樹脂層3と、太陽電池素子4と、封止樹脂層5と、下部保護材(バックシート6)との順に積層されているものである。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本発明の製造方法は、少なくとも、スタック工程、真空工程、およびプレス工程を含む太陽電池モジュールを製造する方法である。太陽電池モジュールを製造する装置としては、通常用いられる真空ラミネーターなどを用いて行うことができる。
次に、具体的な太陽電池モジュールの製造方法をバッチ式の製造設備(以下、真空ラミネーターと呼ぶことがある)を例に、太陽電池モジュールを製造する状態を示す図2を用いて工程毎に説明する。
図2は、真空ラミネーター21内における太陽電池モジュールを製造する状態について示している。真空ラミネーター21は、上側のチャンバー22と、下側のチャンバー24とダイヤフラムシート23を有している。上側のチャンバー22は給排気口25を、下側のチャンバー24は給排気口26を有し、内部には熱板27が備えられている。熱板27の上に、太陽電池モジュール11に用いられる上部保護材(ガラス12)と、封止樹脂層13と、太陽電池素子14と、封止樹脂層15と、下部保護材(バックシート16)の順に重ね合せられている。なお、参照符号23′は、変形した状態にあるダイヤフラムシート23を示している。
真空ラミネーターは、減圧できるチャンバーを上下に2つ有しており、チャンバーはダイヤフラムシートで隔てられている。下側のチャンバー24には封止材を溶融させ、重ね合せられた太陽電池を構成する各種部材をラミネートするための熱板27を有している。上下のチャンバーの圧力差により、ダイヤフラムシートを変形させ、太陽電池を構成する各種部材をプレスすることにより、ラミネートを実施する。
(1)スタック工程
まず上部保護材(ガラス12)、封止樹脂層13、太陽電池素子14、封止樹脂層15及びバックシート16の順に重ね合わせる。
(2)搬入工程
真空ラミネーター21内の熱板27を有する下側のチャンバー24に、スタックした部材を搬入する。搬入時、上側のチャンバー22を事前に減圧し、真空状態にすることにより、下側のチャンバー24の空間が広がり、容易にスタックした部材を搬入することができる。
(3)ピンアップ工程
EVAシートを用いてラミネートを実施する際には、スタックした部材をプレスする前に、EVAシートに含まれる架橋剤(有機過酸化物など)の架橋開始温度以上に到達すると、架橋反応が進行し、封止材がゲル化、発泡する懸念がある。そこで、熱板27内に埋め込まれているピンを10mm程度上げ、スタックした部材が熱板27に接触しないようにした後、次の真空工程を実施している。
しかしながら、本発明にて使用する太陽電池封止材は、後述するように架橋剤を含まないため、後述する真空工程において封止材がゲル化する懸念がなく、ピンアップ工程は必要ではない。これにより太陽電池封止材は熱板27により加熱され、太陽電池封止材のせん断弾性率が昇温に応じて低下するため、モジュール内部の段差回り込み性が向上するため好ましいものとなる。
(4)真空工程
次に搬入後、スタックした部材間の空気を抜く真空工程を行う。本発明においては、次の工程であるプレス工程に要する時間を短縮させ、生産性を向上させるために、熱板27を加熱しながら真空工程を行うのが好ましい。即ち、熱板27上で下側のチャンバー24を減圧させることにより、スタックした部材間の空気を抜きながら、封止材を溶融させ、ガラス12、太陽電池素子14及びバックシート16を融着させる。
なお、真空工程を行う際、熱板27を加熱しなくてもよく、加熱しない真空工程を用いて、太陽電池モジュールを作製することも当然本発明の範囲内である。
本発明における真空工程に要する時間は、熱板27の設定温度に依存する部分もあるが、一般的には3分〜5分程度が好ましい。該範囲であると、モジュールの面方向に対する温度分布差の抑制や、封止材のせん断弾性率の低下によるモジュール内部における配線、セル付近に生じる段差に対する回り込み性が良好であり、かつ、セルの破損が起こらず好適である。また、真空工程時間を従来よりも短くすることにより、タクトタイムの短縮が可能となり生産性が向上するため好適である。
(5)プレス工程
次いで、下側のチャンバー24の真空状態(100Pa以下、好ましくは70Pa以下、特に好ましくは30Pa以下)を保持したまま、上チャンバー22内に大気を注入することによりダイヤフラムシート23を介して、スタックした部材を加熱圧着(プレス)する。
本発明において、封止材の1Hzにおけるせん断弾性率が1×105Pa未満の状態でプレスを開始し、かつ、封止材の1Hzにおけるせん断弾性率が5×103Pa以上の状態でプレスを終了することが重要である。
なお、上記のプレス工程時のせん断弾性率の構成要件は、以下、「プレス工程のせん断弾性率要件」と呼ぶこともある。
本発明におけるプレス工程開始時の後述する封止材の温度に対する、封止材の1Hzにおけるせん断弾性率は、1×105Pa未満、好ましくは9×104Pa未満、より好ましくは8×104Pa未満、さらに好ましくは7×104Pa未満である。封止材の1Hzにおけるせん断弾性率の下限は、特に限定されるものではないが、通常5×103Paであり、好ましくは2×104Paであり、さらに好ましくは5×104Paある。該範囲内であれば、せん断弾性率が低いことにより、モジュール内部における配線、セル付近に生じる段差に対する回り込み性が良好であり、かつ、セルの破損が起こらず好適である。
本発明におけるプレス工程終了時の後述する封止材の温度に対する、封止材の1Hzにおけるせん断弾性率は、5×103Pa以上、好ましくは1×104Pa以上であり、より好ましくは2×104Pa以上、さらに好ましくは3×104Pa以上である。封止材の1Hzにおけるせん断弾性率の上限は、特に限定されるものではないが、通常1×105Pa未満であり、好ましくは8×104Pa未満であり、さらに好ましくは5×104Pa未満ある。該範囲内であれば、せん断弾性率が高いことにより、モジュール端部より溶融した封止材が流出しにくいので好適である。
なお、せん断弾性は、封止材自体を別途、レオメーターにより測定し、真空ラミネーターによりプレスする際の封止材の温度を後述のようにして求め、その温度に対応するせん断弾性率を求めたものである。
本発明の製造方法において、プレス工程時の真空ラミネーターの設定温度は、110℃以上150℃未満であることが好ましく、120℃以上145℃未満であることが更に好ましい。本明細書において、「設定温度」とは、真空ラミネーターの設定温度であり、即ち、真空ラミネーター装置内の熱板の温度である。本発明の製造方法において、真空工程およびプレス工程ともに加熱することが好ましく、生産性を向上させる観点から、真空工程の設定温度と、プレス工程の設定温度が同じであることがさらに好ましい。また、「封止材の温度」とは、設定温度とは異なり、プレス工程(及び真空工程)を行う際の、装置内にある封止材自体の実際の温度である。
ここで、真空ラミネーターの設定温度と封止材の温度との関係は、真空工程とプレス工程の累積時間に依存する。累積時間が長いほど、熱板と封止材との間にあるガラスを介して封止材が温められ、設定温度と封止材の温度はより近づく。したがって、本発明における封止材のせん断弾性率を正しく把握するためには、太陽電池モジュールの封止材の温度の把握が重要である。
参考までに、熱板の上に、厚さ3mmの白板ガラス、厚さ0.45mmの封止材、厚さ0.263mmのバックシートを順に積層し、白板ガラスと封止材の間に温度センサーを挟みこみ、温度ロガーを用いて評価した。設定温度130℃に対し、真空工程を10分間実施した後、プレス工程を10分間実施した(計20分)際の封止材の温度の推移を示したグラフを図3に、また、設定温度150℃に対し、真空工程を10分間実施した際の封止材の温度の推移を示したグラフを図4にそれぞれ示した。
図3より、設定温度130℃に対し、例えば真空工程5分後の封止材の温度は105℃であり、設定温度に対し、25℃程度低いことが分かる。また、真空工程10分、プレス工程10分後の封止材の温度は125℃であり、設定温度に対し5℃程度低いことが分かる。また、図4より、設定温度150℃に対し、真空工程5分後の封止材の温度は130℃であり、設定温度に対し、20℃程度低いことが分かる。
上記のように、封止材の温度は、ラミネート時間を延ばすほど設定温度に近似する。本発明における封止材のせん断弾性率については、封止材に密接するように温度センサーやサーモラベルを用いることにより、設定した真空ラミネーターの各種条件(レシピ)に対する封止材の温度を測定し、その温度に対する封止材のせん断弾性率を採用している。
従来、例えばファストタイプのEVAシートを用いた場合では、プレス工程開始時までは、架橋反応によりゲル化し、気泡が発生することを抑制するため、ピンアップ工程などを用いて架橋温度(120℃程度)以下を保ち、プレス工程終了時までには、耐熱性付与のために架橋反応を進行させるために、一般的なプレス工程の設定温度である150℃により近づけるようにプレス時間を設定する必要があった。また、スタンダードタイプのEVAシートを用いた場合では、プレス工程の設定温度は130℃程度の比較的低温でプレスしてから、150℃程度の熱炉に入れて後でキュアさせる手法を用いて耐熱性を付与させていたため、更なる時間と熱を必要とする。
すなわち、工程を通してまとめると、従来使用のEVAシートでモジュールを作製するには耐熱性をモジュール製造工程中に付与させるために架橋反応を一定以上完結させる必要があり、それには架橋剤の反応温度以上の温度を一定時間かける必要がある。低温でプレス工程を実施する場合では、時間を要して更に熱量を得るか、後キュア工程が必要である。反応温度のより低い架橋剤を含む封止材ならば、熱量を下げることができるが、製膜温度をさらに下げる必要があり、封止材の生産性が大きく低下する問題点が新たに生じる。
しかしながら、本発明の製造方法においては、架橋剤を含まず、特定の結晶融解熱量と結晶融解ピーク温度とを有する封止材を使用することにより、架橋工程が不要であり、後キュア工程も不要であるため、生産性の向上、ランニングコストの低減などに寄与するものとなる。
次に、太陽電池モジュールの製造に用いる各種部材について説明する。
(封止材)
本発明における太陽電池モジュールの製造において、封止樹脂層に用いられる封止材は、架橋剤を有しておらず、昇温と共にせん断弾性率が低下する傾向を有することを特徴としている。具体的には、後述の条件(1)〜(3)を満足するもので、前述した「プレス工程のせん断弾性率要件」の条件、すなわち、プレス工程を実施する際のプレス工程開始時における封止材のせん断弾性率が1×105Pa未満であり、プレス工程終了時における封止材のせん断弾性率が5×103Pa以上となるようなものであれば、特に制限されるものではない。
本発明で用いる封止材には、下記の(A)〜(D)の各々に示されるオレフィン系重合体を主成分とする封止材が好適に用いられる。ここで、主成分としては、得られる封止材の柔軟性、フィッシュアイ(ゲル)の少なさ、回路の腐食性物質(酢酸など)の少なさおよび経済性などの観点から(A)や(B)に示されるものが好ましく、中でも低温特性に優れる点で(A)に示されるものが特に好適に用いられる。
オレフィン系重合体(A)
オレフィン系重合体(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1および4−メチル−ペンテン−1等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセンおよび1−オクテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量としては、特に制限されるものではないが、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、エチレンと共重合する単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)およびポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体中の全単量体単位を100モル%とした場合、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは15モル%以下である。
また、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(A)の立体構造、分岐、分岐度分布、分子量分布や共重合形式(ランダム、ブロックなど)は、特に制限されるものではないが、例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械物性が良好であり、また、シートを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなりカレンダー成形性が向上するなどの利点がある。
本発明で封止材に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは1〜50g/10min、より好ましくは2〜50g/10min、さらに好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い値、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、1〜50g/10minが好ましく、2〜50g/10minがより好ましく、さらに好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明で封止材に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
封止材に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、0〜70J/gであることが好ましい。該範囲内であれば、得られる封止材の柔軟性や透明性(全光線透過率)などが確保されるため好ましい。また、夏場など高温状態での原料ペレットのブロッキングの起こり難さを考慮すると、該結晶融解熱量は、5〜70J/gであることが好ましく、10〜65J/gであることがさらに好ましい。
上記の結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明で封止材に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(A)の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、「インフューズ(Infuse)」、エクソンモービル(株)製の商品名「エグザクト(Exact)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーH(TAFMER H)」、「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、LG化学(株)の商品名「LUCENE」および日本ポリエチレン(株)製の商品名「カーネル(Karnel)」等を例示することができる。
オレフィン系重合体(B)
オレフィン系重合体(B)は、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体である。但し、これらの共重合形式(ランダム、ブロックなど)、分岐、分岐度分布や立体構造には特に制限がなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体とすることができる。
共重合可能な他の単量体としては、エチレンや1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンおよびジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエンおよびエチリデンノルボルネン等のジエン類等が例示される。
本発明で用いる封止材においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンや1−ブテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。プロピレンと共重合する単量体は1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、プロピレンと共重合可能な他の単量体の含有量としては、特に制限されるものではないが、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、プロピレンと共重合可能な他の単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
封止材に用いられるプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明で封止材に用いられるプロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明で封止材に用いられる(B)の具体例としては、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などが挙げられ、具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「タフマーXM(TAFMER XM)」、「ノティオ(NOTIO)」、住友化学(株)商品名「タフセレン(TAFFCELLEN)」、(株)プライムポリマー(株)製の商品名「プライムTPO(PRIME TPO)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「バーシファイ(VERSIFY)」およびエクソンモービル(株)製の商品名「ビスタマックス(VISTAMAXX)」等を例示することができる。
オレフィン系重合体(C)
オレフィン系重合体(C)は、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンと脂肪族不飽和カルボン酸とからなる共重合体の金属塩(好ましい金属はZn、Na、K、Li、Mg等である)である。具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「ハイミラン(HIMILAN)」およびダウ・ケミカル(株)製の商品名「アンプリファイIO(AMPLIFY IO)」等を例示することができる。
オレフィン系重合体(D)
オレフィン系重合体(D)は、エチレンと、酢酸ビニルエステル、脂肪族不飽和カルボン酸および脂肪族不飽和モノカルボン酸アルキルエステルより選ばれる少なくとも1つの単量体とからなるエチレン系共重合体である。
具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびエチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、該エステル成分としては、メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどの炭素数1〜8のアルコールのエステルが挙げられる。本発明で用いる封止材においては、上記2成分の共重合体に制限されることなく、更に第3の成分を加えた3成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと脂肪族不飽和カルボン酸および脂肪族不飽和カルボン酸エステルより適宜選ばれる3元以上の共重合体等)であってもよい。エチレンと共重合される単量体の含有量は、共重合体中の全単量体単位に対して、通常5〜35質量%である。
本発明に用いる封止材は、以上のようなオレフィン系重合体を主成分とし、必要に応じて後述する各種添加剤などを配合して成膜された、単層あるいは積層構成のものであるが、封止材に要求される特性をバランス良く達成させる為、積層構成であることが好ましい。ここで、封止材に一般的に要求される特性としては、太陽電池素子を保護する為の柔軟性や耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届く為の透明性(全光線透過率など)、各種被着体(ガラスやバックシートなど)への接着性、耐久性、寸法安定性、難燃性、水蒸気バリア性、経済性等が挙げられる。中でも柔軟性と耐熱性および透明性のバランスと経済性が重要視される。
本発明に用いる封止材は、柔軟性、透明性、耐熱性及び低温特性などの観点から、封止材が下記条件(1)〜(3)を満足する。
(1)架橋剤を含まないこと
(2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定され結晶融解熱量が0〜70J/gであること
(3)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度を有すること
ここで、条件(1)の架橋剤を含まないこととは、本発明に用いる封止材には、樹脂を架橋する際に用いる架橋剤や架橋助剤を実質的に含まないことであり、このような架橋剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等が例示できる。また、架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤などが例示できる。また、実質的に含まないとは、このような架橋剤や架橋助剤などが機能しない量以下であることを意味し、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部以下、好ましくは、0.03質量部以下、特に好ましくは0.00質量部である。
条件(2)は、封止材の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/gである。該範囲内であれば、得られる封止材の柔軟性や透明性(全光線透過率)などが確保されるため好ましい。また、夏場など高温状態での原料ペレットのブロッキングの起こり難さを考慮すると、該結晶融解熱量は、5〜70J/gであることが好ましく、10〜65J/gであることがさらに好ましい。
なお、上記の結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いる封止材は、上述した条件(2)を満足するために、主成分とするオレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度(Tm)は、100℃未満であることが好ましい。結晶融解ピーク温度を発現しない、すなわち非晶性の重合体も適用可能である(以下、非晶性の重合体を含めて、結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体と呼ぶ)。原料ペレットのブロッキングなどを考慮すると、該結晶融解ピーク温度が30〜95℃であることが好ましく、45〜80℃であることがより好ましく、60〜80℃であることがさらに好ましい。
しかしながら、本発明で用いる封止材においては、優れる耐熱性を有するため、条件(3)を満足することが重要であり、即ち、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有する。この為、本発明で用いる封止材においては、結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃以上のオレフィン系重合体が混合してあることが好ましい。
また、105℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有することが好ましく、110℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有することが更に好ましい。結晶融解ピーク温度(Tm)の上限値は、特に制限されるものではないが、太陽電池素子(セル)の熱劣化や太陽電池モジュール作製時の設定温度を考慮すると140℃程度である。本発明の太陽電池モジュールの製造方法に用いる封止材としては、太陽電池モジュールを作製する際の設定温度を低温化でき、太陽電池素子(セル)を熱劣化させにくいことから上限値は130℃であることが好ましく、125℃であることがさらに好ましい。
なお、結晶融解ピーク温度(Tm)は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
ここで、該結晶融解ピーク温度(Tm)の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)が100〜125℃程度、汎用のホモポリプロピレン樹脂が165℃程度、汎用のプロピレン−エチレンランダム共重合体が130〜150℃程度である。
本発明に用いる封止材は、上述したように結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃未満のオレフィン系重合体と結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃以上のオレフィン系重合体を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
ここで、樹脂組成物中における両オレフィン系重合体の含有量は、特に制限されるものではないが、得られる封止材の柔軟性、耐熱性、透明性等を考慮すると、両オレフィン系重合体の混合(含有)質量比(結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体/結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体)は、好ましくは99〜50/1〜50、より好ましくは、98〜60/2〜40、更に好ましくは、97〜70/3〜30、特に好ましくは、97〜80/3〜20、最も好ましくは、97〜90/3〜10である。但し、両オレフィン系重合体の合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が該範囲内であれば、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランスに優れた封止材が得られ易いため好ましい。
混合して用いるオレフィン系重合体として、結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体は、上記(A)のようなエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとをランダム共重合したエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が、柔軟性、透明性の点で好ましいものであり、また、結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体としては、所望の特性を考慮し適宜選択すれば良いが、耐熱性、柔軟性および低温特性などのバランスに優れることからエチレン−α−オレフィンブロック共重合体が最も好適に用いることができる。
<エチレン−α−オレフィンブロック共重合体>
ここで、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体のブロック構造は、特に制限されるものではないが、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランス化の観点から、コモノマー含有率、結晶性、密度、結晶融解ピーク温度(Tm)、又はガラス転移温度(Tg)の異なる2つ以上のセグメント又はブロックを含有するマルチブロック構造であることが好ましい。具体的には、完全対称ブロック、非対称ブロック、テ−パ−ドブロック構造(ブロック構造の比率が主鎖内で漸増する構造)などが挙げられる。該マルチブロック構造を有する共重合体の構造や製造方法については、国際公開第2005/090425号パンフレット(WO2005/090425)、国際公開第2005/090426号パンフレット(WO2005/090426)、および国際公開第2005/090427号パンフレット(WO2005/090427)などで詳細に開示されているものを採用することができる。
このようなマルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
また、本発明に用いる封止材の表面には、ハンドリング性やエア抜きのし易さと共に各種被着体(ガラスやバックシートなど)への接着性が重要な機能として要求される。この為、本発明においては、後述するシランカップリング剤の添加やシラン変性エチレン系樹脂が好適に用いられる。
このようなシラン変性エチレン系樹脂を含有する単層の封止材、またはシラン変性エチレン系樹脂を含有する接着に寄与する層(接着層)を有する多層構造の封止材は、好ましい例である。このような接着に寄与するシラン変性エチレン系樹脂を含む樹脂組成物は次のようにして、調製することができる。
(シラン変性エチレン系樹脂)
まず、シラン変性エチレン系樹脂について説明する。
本発明で用いる封止材に用いられるシラン変性エチレン系樹脂は、通常、ポリエチレン系樹脂とビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃〜220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させることにより得ることができる。
<ポリエチレン系樹脂>
上記ポリエチレン系樹脂としては、特に制限されるものではないが、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。これらは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。透明性や柔軟性と耐熱性のバランスが比較的容易に調整できるため、特には、前記オレフィン系重合体(A)で挙げたポリエチレン系樹脂を好ましく使用することができる。
<ビニルシラン化合物>
ビニルシラン化合物としては、上記ポリエチレン系樹脂とグラフト重合するものであれば特に制限されるものではないが、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシランおよびビニルトリカルボキシシランなどが挙げられる。これらビニルシラン化合物は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、反応性、接着性や色調などの観点からビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。
また、該ビニルシラン化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、用いるポリエチレン系樹脂100質量部に対し、通常、0.01〜10.0質量部程度であり、好ましくは0.3〜8.0質量部程度であり、より好ましくは1.0〜5.0質量部程度である。
<ラジカル発生剤>
ラジカル発生剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−パーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらラジカル発生剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、該ラジカル発生剤の添加量は、特に制限されるものではないが、用いるポリエチレン系樹脂100質量部に対し、通常、0.01〜5.0質量部程度であり、好ましくは0.02〜1.0質量部程度であり、より好ましくは0.03〜0.5質量部程度である。
さらに、該ラジカル発生剤の残存量は、本発明に用いる封止材を構成するシラン変性エチレン系樹脂を含有する単層の封止材または接着に寄与する層(接着層)を構成する樹脂組成物中に0.001質量%以下であることが好ましい。このようなラジカル発生剤が樹脂中に残存することにより、真空工程やプレス工程における加熱によりゲル化を起こすことがある。また、ゲル化は、封止材中のラジカル発生剤の存在ばかりでなく、封止材を製造する際にも一部ゲル化したものが混入することがあるが、ゲル化は、封止材の流動性を妨げ、太陽電池モジュールの信頼性を損なうものであることから、ゲル化は少ない方がよい。したがって、本発明に用いる封止材のゲル分率は30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、0%であることが特に好ましい。
また、本発明で用いられるシラン変性エチレン系樹脂やこれを含有する樹脂組成物中には、シラノール間の縮合反応を促進するシラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい。該シラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテートおよびジオクチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
ここで、実質的に含有していないとは、樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部以下、好ましくは0.03質量部以下、特に好ましくは0.00質量部である。
ここで、シラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい理由は、本発明においては、シラノール架橋反応を積極的に進行させず、用いるポリエチレン系樹脂にグラフトされたシラノール基などの極性基と被着体(ガラス、各種プラスチックシート(コロナ処理などの表面処理を適宜施し、濡れ指数が50mN/m以上のものが好適に用いられる)、金属など)との水素結合や共有結合などの相互作用により接着性を発現させることを目的としている為である。
本発明で用いる封止材に用いられるシラン変性エチレン系樹脂は、前述の通り、通常は上記ポリエチレン系樹脂とビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃〜220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させて得られるものである。よって、本発明に用いられるシラン変性エチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲については、上記ポリエチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲と同様となる。
このようなシラン変性エチレン系樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の商品名「リンクロン(LINKLON)」を例示することができる。
シラン変性エチレン系樹脂を含有する単層の封止材または接着に寄与する層(接着層)を構成する樹脂組成物は、好ましくは、(A)から(D)のようなオレフィン系重合体にシラン変性エチレン系樹脂を配合したものであり、より好ましくは、前記したオレフィン系重合体(A)のエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体にシラン変性エチレン系樹脂を配合したものである。配合比(質量比)は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体およびシラン変性エチレン系樹脂とが、それぞれ1〜99質量%と99〜1質量%、好ましくは、それぞれ30〜98質量%と70〜2質量%、より好ましくは、それぞれ60〜97質量%と40〜3質量程度のものである。このような範囲であると、接着層としての機能を発揮するとともに、封止材としての柔軟性、透明性、封止性や耐熱性などの特性を容易に調整できる。
(添加剤)
本発明で用いる封止材を構成する樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、放熱剤、造核剤、顔料(例えば、酸化チタン、カーボンブラックなど)、難燃剤、変色防止剤などが挙げられる。本発明においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、封止材の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や太陽電池素子等に対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。
シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないこと等から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。
該シランカップリング剤の添加量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜5質量部程度であり、好ましくは、0.2〜3質量部程度である。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。
モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
高分子型フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)などを挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。
上記の酸化防止剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる封止材においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からフェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることがさらに好ましい。該酸化防止剤の添加量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜1質量部程度であり、好ましくは、0.2〜0.5質量部程度である。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2− ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
上記紫外線吸収剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜2.0質量部程度であり、好ましくは、0.05〜0.5質量部程度である。
<耐候安定剤>
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明に用いる封止材には好ましくない。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。
該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜0.5質量部程度であり、好ましくは、0.05〜0.3質量部程度である。
また、本発明で用いる封止材の考慮すべき特性としては、次のようなことがあげられる。
本発明に用いる封止材の柔軟性は、前述した「プレス工程のせん断弾性率要件」を満足すれば、特に制限されるものではない。適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整することができる。
例えば、封止材の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護や柔軟性を重要視すると、1〜100MPaであることが好ましく、5〜50MPaであることがより好ましく、5〜30MPaであることがさらに好ましい。なお、封止材が積層構成の場合は、前記貯蔵弾性率(E´)は積層構成の封止材の貯蔵弾性率を言う。
また、シート形状などで封止材を入手した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止、あるいは、太陽電池モジュールにおける軽量化(通常3mm程度に対して、薄膜ガラス(1.1mm程度)が適用可能、あるいはガラスレスの構成が適用可能)などを考慮すると、100〜800MPaであることが好ましく、200〜600MPaであることがより好ましい。
該貯蔵弾性率(E´)は、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzで所定温度範囲を測定し、温度20℃における値を求めることで得られる。
本発明に用いる封止材の耐熱性は、用いるオレフィン系重合体の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響され、これらを適宜選択することで調整することができるが、特に、オレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度(Tm)と分子量が強く影響する。一般的に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで85℃程度まで昇温するが、本発明に用いる封止材が100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有するため、耐熱性を確保することができる。
本発明に用いる封止材の全光線透過率(JIS K7105)は、適用する太陽電池の種類、例えばアモルファスの薄膜系シリコン型などや太陽電子素子に届く太陽光を遮らない部位に適用する場合には、あまり重視されないこともあるが、太陽電池の光電変換効率や各種部材を重ね合わせる時のハンドリング性などを考慮し、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
次に、本発明に用いる封止材の製造方法について説明する。
封止材の形状は、限定されるものではなく、液状であっても、シート状であってもよいが、取り扱い性の観点からシート状であるのが好ましい。
シート状の封止材の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができ、特に制限されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。
封止材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常0.03mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、かつ、1mm程度以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。また、シート状で得られた封止材の表面及び/または裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子のプレス工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行ってもよい。また、各種被着体への接着性を向上させる目的で表面にコロナ処理やプラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。ここで、表面処理量の目安としては、濡れ指数で50mN/m以上であることが好ましく、52mN/m以上であることがより好ましい。濡れ指数の上限値は一般的に70mN/m程度である。
本発明に用いられる封止材をシート状に作製する際に、さらに、別の基材フィルム(例えば、延伸ポリエステルフィルム(OPET)、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)およびアクリル系などの各種耐候性フィルムなど)と押出ラミ、共押出やサンドラミなどの方法で積層することができる。
本発明で用いる封止材と各種基材層とを積層することによりハンドリング性の向上や積層比(封止材と別の基材フィルムとの厚みの比)に応じて必要な特性や経済性などが比較的容易に調整することができる。
最後に、太陽電池モジュールの製造に用いる他の部材について説明する。
(上部保護材)
本発明に用いられる上部保護材としては、特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびフッ素含有樹脂などの板材やフィルムの単層もしくは多層の保護材が挙げられる。本発明においては、経済性や力学強度などからガラス板材、また、軽量性や加工性などからアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂の厚みが5mm程度の板材が好適に用いられる。
(太陽電池素子)
本発明に用いられる太陽電池素子(セル)は、特に制限されるものではないが、一般的に少なくとも一面は封止材と密着して配置され配線されるものである。
例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型および有機薄膜型等が挙げられる。本発明においては、単結晶シリコン型及び多結晶シリコン型の太陽電池が好適に用いられる。
(下部保護材(バックシート))
本発明に用いる下部保護材(バックシート)は、特に制限されるものではない。
具体的には、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)など)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、各種α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)及びエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)など)、環状オレフィン系樹脂(COP、COCなど)、ポリスチレン系樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA)及びシンジオタクチックポリスチレン(SPS)など)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES) 、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)およびバイオポリマー(ポリ乳酸、イソソルバイド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマー及びポリオレフィン系ポリマーなど)等の電気絶縁性を有する材料によって基材シート、または、基材フィルムが形成される。
本発明においては、封止材との接着性、機械的強度、耐久性、経済性などの観点からポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびフッ素系樹脂が基材シート、または、基材フィルムの材料として好適に用いられる。
ここで、基材シート、または、基材フィルムの製造方法は、特に制限されるものではないが、代表的には、押出キャスト法、延伸法、インフレーション法および流延法などが挙げられる。また、基材シートには、ハンドリング性や耐久性および光反射性などの向上あるいは経済性などを目的として、必要に応じて、他の樹脂や種々の添加剤を混合することができる。該添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラックなど)、難燃剤、変色防止剤、加水分解防止剤、放熱剤などが挙げられる。さらに、基材シートの表面及び/または裏面には、ハンドリング性や接着性および耐久性などを向上させる為、必要に応じて、エンボス加工や各種処理(コロナ処理、プラズマ処理など)およびコーティング(フッ素系樹脂コーティング、加水分解防止コーティング、ハードコーティングなど)などを行うことができる。
本発明に用いる下部保護材(バックシート)は、前記基材シートを含む単層あるいは積層構成であるが、バックシートに要求される特性をバランス良く達成させる為、積層構成であることが好ましい。ここで、バックシートに一般的に要求される特性としては、封止材との接着性、機械的強度、耐久性(耐候性、耐加水分解特性など)、光反射性、水蒸気バリア性、難燃性、意匠性、経済性およびラミネート後の外観などが挙げられ、中でも結晶シリコン系太陽電池モジュールの場合には、封止材との接着性、機械的強度、耐久性、経済性およびラミネート後の外観が重要視される。
本発明に用いるバックシートの総厚みは、特に制限されるものではない、所望する性能を考慮して適宜選択すれば良いが、概ね50μm以上、600μm以下、好ましくは、150μm以上、400μm以下である。また、絶縁破壊電圧1kV以上を満足させる為には、200μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがより好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら制限を受けるものではない。
<封止材の評価>
本実施例における封止材についての種々の測定および評価は次のようにして行った。
(せん断弾性率の評価)
レオメーター(Rheology社製、型式:レオメーターMR−300T)を用いて、振動周波数:1Hz、昇温速度:3℃/分、歪0.5%の条件で、φ20mmパラレルプレート上にのせたシート(厚さ0.45mm)のせん断弾性率(G´)の温度分散を80℃からして昇温して200℃まで測定した。
(封止材の到達温度の評価)
封止材のプレス開始時およびプレス終了時における封止材の到達温度は、前述した図3および図4で示した封止材の温度の推移を測定した方法と同様によって、具体的には、熱板の上に、厚さ3mmの白板ガラス、厚さ0.45mmの封止材、厚さ0.263mmのバックシートを積層し、白板ガラスと封止材の間に温度センサーを挟みこみ、温度ロガーを用いて封止材の温度を測定した。
なお、各実施例及び比較例の真空工程の時間は、上述図3および図4と異なるので、測定した封止材の温度は図3又は図4と異なる場合がある。
(結晶融解ピーク温度(Tm)の評価)
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7121に準じて、封止材試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(結晶融解熱量(ΔHm)の評価)
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7122に準じて、封止材試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
(貯蔵弾性率(E´)の評価)
動的粘弾性測定機(アイティ計測(株)製、商品名:粘弾性スペクトロメーターDVA−200)を用いて、振動周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分、歪0.1%の条件で、貯蔵弾性率(E´)を−100℃から150℃まで測定し、得られたデータから、25℃における貯蔵弾性率(E´)を求めた。
(全光線透過率の評価)
厚み2mmの白板ガラス(SCHOTT社製、商品名:B270、サイズ:縦50mm、横50mm)2枚の間に厚み0.45mmのシート状の封止材を重ね、真空ラミネーターを用いて、真空工程およびプレス工程の設定温度150℃、真空時間5分、プレス時間30秒の条件で積層プレスした試料を作製した後、JIS K7361に準じてヘーズメーター(日本電色工業(株)社製、商品名:NDH−5000)を用いて全光線透過率を測定した。
(耐熱性(クリープ試験))
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.5mmのシート状の封止材を重ね、真空ラミネーターを用いて後述する太陽電池モジュールの作製条件(レシピ)にあわせた条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し、500時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを(○)、ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したものを(×)として評価した。
<太陽電池モジュールの評価>
本実施例における太陽電池モジュールについての種々の評価は次のように行った。
(エアー残り:面積が0.2cm2以上の気泡の数)
太陽電池モジュールの外観として、モジュール(直×列=10セル×6セル)における4セル分(315mm×315mm)あたりの気泡の数:気泡の面積は、スケールで測定し、気泡数は目視にて、315mm×315mmあたりの個数を求めn=5で平均化した個数を判定し、次の3段階で評価した。
(○)気泡数0〜1未満/315mm×315mm
(×)気泡数1〜5未満/315mm×315mm
(××)気泡数5以上/315mm×315mm、又は段差に沿って連続した気泡がある
(端部のはみ出し)
太陽電池モジュールの端面部の外観を以下の基準で評価した。
(○)側面部の封止材がモジュール内部に内包されており、極端に厚みが薄くなっていない。
(×)側面部の封止材が大量に流出し、モジュール端部に空隙が発生している。
封止材を構成する材料を以下に記載する。
(オレフィン系重合体(X))
(X−1)エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8200G、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:49J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):5g/10min)
(X−2):エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8100G、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:49J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):1g/10min)
(X−3):エチレン−オクテンランダム共重合体(三井化学(株)製、商品名:タフマーH−5030S、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:60J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):12MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):5g/10min)
(X−4):エチレン−オクテンランダム共重合体(三井化学(株)製、商品名:タフマーH−1030S、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:64J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):1g/10min)
(X−5):エチレン−オクテンランダム共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKJ640T、密度:0.880g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:60℃、ΔHm:49J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):30g/10min)
(シラン変性エチレン樹脂)
(Y−1):シラン変性ポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンXLE815N、密度:0.915g/cm3、Tm:121℃、ΔHm:106J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):321MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):0.5g/10min)
(Y−2):シラン変性エチレン−オクテンランダム共重合体(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンSL800N、密度:0.868g/cm3、Tm:54℃と116℃、ΔHm:26J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):15MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):1.7g/10min)
(エチレン−α−オレフィンブロック共重合体)
(Z−1);エチレンーオクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ9000、密度:0.875g/cm3、エチレン/1−オクテン=65/35質量%(88/12モル%)、Tm:122℃、ΔHm:44J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):27MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):0.5g/10min)
実施例で使用した封止材(A)を以下に記載する。
(A−1):(I)層として、上記(X−1)50質量部と、(X−2)35質量部と、(Y−1)2質量部と、(Y−2)13質量部の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、(X−1)60質量部と、(X−2)35質量部と、(Z−1)5質量部の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の積層構成となるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180〜200℃にて共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚みが0.45mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.045mm/0.36mm/0.045mmである封止材を得た。
得られた封止材の結晶融解ピーク温度は、57℃と118℃とにあり、結晶融解熱量は46J/gであった。また、封止材の20℃における貯蔵弾性率は14MPaであり、全光線透過率は90%であった。
(A−2):(I)層として、上記(X−3)35質量部と、(X−4)50質量部と、(Y−1)2質量部と、(Y−2)13質量部の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、(X−3)35質量部と(X−4)60質量部と(Z−1)5質量部の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いた以外は(A−1)と同様にして、総厚みが0.45mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.045mm/0.36mm/0.045mmである封止材を得た。
得られた封止材の結晶融解ピーク温度は54℃と118℃とにあり、結晶融解熱量は37J/gであった。また、封止材の20℃における貯蔵弾性率は14MPaであり、全光線透過率は90%であった。
(A−3):(I)層として、上記(X−3)20質量部と、(X−4)50質量部と、(Y−2)30質量部の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いた以外は(A−1)と同様にして、総厚みが0.45mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.045mm/0.36mm/0.045mmである封止材を得た。
得られた封止材の結晶融解ピーク温度は55℃と118℃とにあり、結晶融解熱量は35J/gであった。また、封止材の20℃における貯蔵弾性率は14MPaであり、全光線透過率は90%であった。
(A−4):(I)層として、上記(X−5)95質量部と(Z−1)5質量部の割合で混合し、更にシランカップリング剤(信越シリコーン(株)製、商品名:KBM−303、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)を0.5質量部添加した樹脂組成物をそれぞれ用いた以外は(A−1)と同様にして、総厚みが0.45mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.045mm/0.36mm/0.045mmである封止材を得た。
得られた封止材の結晶融解ピーク温度は56℃と116℃とにあり、結晶融解熱量は44J/gであった。また、封止材の20℃における貯蔵弾性率は12MPaであり、全光線透過率は90%であった。
(実施例1)
<太陽電池モジュールの作製>
エンボスガラス、封止材(A−1)、セル、封止材(A−1)、バックシート(Madico社製、商品名ProtectHD、厚み0.265mm、層構成:(封止材側)EVA/接着層/PET/接着層/PVF、白色、Tm(EVA層):103℃)の順に重ねたのち、以下のレシピ(真空工程およびプレス工程の設定温度:130℃、真空時間:3分、プレス圧力:低速(30kPa)、中速(60kPa)、高速(100kPa)、保持時間:5分、ピンアップ:なし)にて真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー社製、商品名:NLM−230×360)を用いてプレス工程を実施し、太陽電池モジュールを作製した。プレス工程開始時及び終了時における、封止材の到達温度及びせん断弾性率の測定結果、並びにその他評価結果を、以下の実施例と比較例とともに表1に示した。
(実施例2)
真空ラミネーターのレシピを、真空工程およびプレス工程の設定温度:120℃に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(実施例3)
封止材を(A−2)に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(実施例4)
封止材を(A−3)に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(比較例1)
真空ラミネーターのレシピを、真空工程およびプレス工程の設定温度:100℃、真空時間:5分に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(比較例2)
封止材を(A−4)に変更し、真空ラミネーターのレシピを、真空時間:5分に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(比較例3)
太陽電池封止材として、EVA(HangzhouPVMaterials社製、商品名:F806、厚み:0.50mm、ファストタイプ)を用い、真空ラミネーターのレシピを真空工程およびプレス工程の設定温度:110℃、真空時間:5分に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(比較例4)
太陽電池封止材として、EVA(HangzhouPVMaterials社製、商品名:F806、厚み:0.50mm、ファストタイプ)を用い、真空ラミネーターのレシピを、真空工程およびプレス工程の設定温度:150℃、真空時間:5分に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
(比較例5)
太陽電池封止材として、EVA(HangzhouPVMaterials社製、商品名:F806、厚み:0.50mm、ファストタイプ)を用い、真空ラミネーターのレシピを、真空工程およびプレス工程の設定温度:150℃、真空時間:5分、ピンアップ機構:有り(4分50秒))に変更した以外は実施例1と同様に太陽電池モジュールを作製した。
表1より、本発明で規定した太陽電池モジュールの製造条件は、エアー残り、端部のはみ出し、耐熱性の全てに優れていることが確認できる(実施例1〜4)。これに対して、本発明で規定する太陽電池モジュールの製造条件を満たしていないものは、エアー残り、端部のはみ出し、耐熱性のいずれか1つ以上の特性が不十分であることが確認できる(比較例1、2)。具体的には、プレス工程開始時における封止材のせん断弾性率が1×105Paより大きいために、太陽電池モジュール内部の段差を埋めきれずにエアー残りが発生したり(比較例1)、プレス工程終了時における封止材のせん断弾性率が5×103Paよりも小さいために、プレス工程中に封止材が流出し、モジュール端部における封止材のはみ出しが発生したり(比較例2)することが確認できる。
なお、EVAシートについては、設定温度が架橋剤の反応開始温度よりも低い温度でプレス工程を実施することにより、耐熱性が不十分であることが確認できる(比較例3)。また、プレス工程開始時の内部温度が架橋剤の反応開始温度よりも高い状態でプレス工程を行うことにより、架橋剤が反応し、ゲル化、発泡による外観不良が発生することが確認できる(比較例4)。さらに、プレス工程開始時の内部温度を架橋剤の反応開始温度(120℃)以下とし、かつ、プレス終了時の内部温度を架橋剤の反応開始温度以上にてプレス工程を実施することにより、エアー残り、端部のはみ出し、耐熱性の全てに優れていることが確認できる(比較例5)。
以上のことから、本発明の製造方法は、設定温度を低くしても、プレス開始時と終了時のせん断弾性率を適切な範囲のものとすることにより、エアー残りなどのない太陽電池モジュールを作製することができるとともに、真空工程やプレス工程などの加熱されている時間を短くすることができ、低熱量、短時間にて太陽電池モジュールを効率よく製造できることがわかる。
11 太陽電池モジュール
12 上部保護材
13 封止樹脂層
14 太陽電池素子
15 封止樹脂層
16 下部保護材
21 真空ラミネーター
22 上側のチャンバー
23 ダイヤフラムシート
24 下側のチャンバー
27 熱板

Claims (10)

  1. 少なくとも、上部保護材、太陽電池素子、太陽電池封止材及びバックシートを重ね合わせるスタック工程、スタックした部材間の空気を抜く真空工程、およびスタックした部材を加熱圧着するプレス工程を含む太陽電池モジュールの製造方法であって、
    前記太陽電池封止材は下記条件(1)〜(3)を満足し、かつ、前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
    (1)架橋剤を含まない
    (2)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が0〜70J/gである
    (3)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度を有する
    (a)封止材のせん断弾性率が1×10Pa未満であるときにプレス工程を開始すること
    (b)封止材のせん断弾性率が5×10Pa以上、1×10 Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
  2. 前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
    (a)封止材のせん断弾性率が1×10Pa未満であり、かつ5×10Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
    (b)封止材のせん断弾性率が5×10Pa以上であり、かつ1×10Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
  3. 前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
    (a)封止材のせん断弾性率が8×10Pa未満であり、かつ2×10Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
    (b)封止材のせん断弾性率が2×10Pa以上であり、かつ8×10Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
  4. 前記プレス工程は、下記条件(a)及び(b)を満足することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
    (a)封止材のせん断弾性率が7×10Pa未満であり、かつ5×10Pa以上であるときにプレス工程を開始すること
    (b)封止材のせん断弾性率が3×10Pa以上であり、かつ5×10Pa未満であるときにプレス工程を終了すること
  5. 前記太陽電池封止材が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  6. 前記太陽電池封止材が、エチレン−α−オレフィンランダム共重合を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  7. 前記太陽電池封止材が、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  8. 前記エチレン−α−オレフィンブロック共重合体がエチレン−オクテンマルチブロック共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  9. 封止材の振動周波数10Hz、温度20℃における貯蔵弾性率(E´)が1〜100MPaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  10. 少なくとも前記プレス工程を、真空ラミネーターを用いて行い、前記プレス工程における真空ラミネーターの設定温度が110℃以上150℃未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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