JP6107369B2 - 太陽電池用積層体及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、保護樹脂層と封止材層との層間接着性、耐久性、および耐湿性にも優れた太陽電池モジュール用積層体、及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールに関する。
太陽光発電は、近年、クリーンで、地球温暖化防止に役立つエネルギー源として非常に注目を集めており、既に普及しつつある。この太陽光発電の代表として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等の半導体を使った太陽電池を挙げることができる。太陽電池は、半導体に太陽光が当たると電流を取り出せるという原理を実用化したものである。近年注目されているものの一つに、比較的大型の太陽電池がある。この太陽電池は、設置される場所が、砂漠や荒地などの未利用地や、家屋あるいは大型建造物の屋根など、いずれも太陽があたる場所であり、かつ屋外で自然環境に晒されるものである。太陽電池の心臓部である半導体セルに水分が及ぶと、その性能が著しく低下するために、太陽電池には強度や耐水性が過酷な自然環境に長期間耐えるパッケージが要求される。
このような観点からパッケージとしては主に透明で強固なガラス基板を用いて太陽電池素子を封止した形態で使用される。しかしながら、近年は施工性の観点からガラス基板に替わる軽量な部材を用いた太陽電池モジュールが求められている。
これに対し、特許文献1には、透明高防湿フィルムと耐紫外線に優れた高耐光フィルムとを積層一体化したなる太陽電池カバー材、及びこの太陽電池用カバー材を用いた太陽電池が提案されている。
また、特許文献2には、少なくとも透明性基材の片面に、架橋剤成分を入れずに金属への接着性を有する封止材料層を積層してなるフレキシブル太陽電池用シートが提案されている。
特許文献3には光起電力素子の光入射側表面に設けられた透明な有機高分子樹脂層と、それに接してその外側の最表面に位置する透明な表面保護フィルムとを少なくとも2層以上を含む被覆材、及びその被覆材により被覆される太陽電池モジュールが提案されている。また、被覆材の表面に凹凸が形成されることより、表面保護フィルムと有機高分子樹脂層との間接着力が向上することが開示されている(特許文献3、請求項1及び0014参照)。
特許文献4には、耐候層と封止材層と積層してなる太陽電池カバーフィルムが開示されている。
特開2000−174296号公報 特開2012−195491号公報 特開平8−139347号公報 特開2012−54365号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、カバー材に耐湿性や透光性、耐候性、耐UV特性を持つ層を積層しているため、複数の機能フィルムを作製する必要があり、また、それらのフィルムの接着工程等の追加工程が必要となる。
特許文献2では、セルと封止材料層との接着性についての記載はあるが、透明性基材と封止材料層との接着性に関する記載はなく、透明性基材と封止材料層との接着には接着剤を別途塗布する工程が必要となっている。
特許文献3では、被覆材の表面保護フィルムに凹凸が形成されており、さらにコロナ処理による表面処理により、接着力はある程度向上できるが、製造工程において表面保護フィルムにおける凹凸の制御技術を要する。
特許文献4は、軽量化、耐衝撃性、及び耐久性の向上に有効な太陽電池用カバーフィルムに着眼するものであるが、太陽電池用カバーフィルムを構成する耐候層と封止材層との層間接着性が不十分となるおそれがある。
本発明の課題は、上記に示した受光面側保護材層における機能層の多層化のための接着工程や凹凸制御等の工程を行うことなく、保護樹脂層と封止材層との層間接着性、耐久性、および耐湿性にも優れた太陽電池モジュール用積層体、及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定される保護樹脂層と封止材層を用いることで、保護樹脂層と封止材層との層間接着性、耐久性、及び耐湿性にも優れた太陽電池用積層体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[9]に関する。
[1]保護樹脂層、および該保護樹脂層に接して配される封止材層を有する太陽電池用積層体であって、該保護樹脂層が下記条件(1)を満足し、該封止材層が下記条件(2)を満足し、かつ、該保護樹脂層と該封止材層との最大層間剥離強度が40N/10mm巾以上であることを特徴とする太陽電池用積層体。
(1)厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が10g/m/24h以上
(2)アルコキシシラン基を有する化合物を含有するオレフィン系樹脂組成物からなる
[2]前記保護樹脂層の封止材層に接する面のぬれ指数が50mN/m以上であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池用積層体。
[3]前記保護樹脂層を構成する樹脂組成物の主成分が、ポリカーボネート系樹脂又はポリエステル系樹脂であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の太陽電池用積層体。
[4]前記保護樹脂層の23℃、1MHzにおける誘電率が2.7以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
[5]前記オレフィン系樹脂組成物が下記条件(i)及び(ii)を満たすことを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
(i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以下の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以下の結晶融解熱量が10J/g以上100J/g以下
(ii)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以上の結晶融解熱量が0.1J/g以上70J/g以下
[6]前記封止材層の厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が30g/m/24h以下であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
[7]前記封止材層の厚さ450μmにおける全光線透過率が85%以上であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
[8]前記封止材層が多層構成であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
[9]上記前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体を有する太陽電池モジュール。
本発明によれば、保護樹脂層における機能層の多層化を必要とせず、保護樹脂層と封止材層との接着工程や凹凸制御等の工程を行うことなく、保護樹脂層と封止材層との層間接着性、耐久性、及び耐湿性にも優れた太陽電池用積層体が提供できる。
100℃以上の結晶融解熱量ΔHm(≧100℃)の計算方法を示す図である。 耐熱性を評価する際のクリープ測定用サンプルを示す図である。
以下、本発明の実施形態としての、太陽電池用積層体、及びそれを用いて作製される太陽電池モジュールについて説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、本発明の太陽電池用積層体の各部材を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、樹脂組成物の構成成分全体の50質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって100質量%以下の範囲を占める成分である。
本発明の太陽電池用積層体は、保護樹脂層、および該保護樹脂層に接して配される封止材層を有するものであって、該保護樹脂層が下記条件(1)を満足し、該封止材層が下記条件(2)を満足し、かつ、該保護樹脂層と該封止材層との最大層間剥離強度が40N/10mm巾以上であることを特徴とするものである。
(1)厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が10g/m/24h以上
(2)アルコキシシラン基を有する化合物を含有するオレフィン系樹脂組成物からなる
以下、本発明を詳しく説明する。
<保護樹脂層>
本発明における保護樹脂層は、定量の水蒸気透過率を有することを特徴としている。具体的には、厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が10g/m/24h以上である。
(条件(1):水蒸気透過率)
本発明に用いられる保護樹脂層の水蒸気透過率(JIS K7105:温度40℃、湿度90RH、厚み100μm)は、10g/m/24h以上である。好ましくは、15g/m/24h以上である。太陽電池用積層体の耐湿性を考えると、上限は、通常、200g/m/24h程度である。水蒸気透過率が上記の範囲内あれば、後述する封止材層に含有するアルコキシシラン基を有する化合物のシラノール基などの極性基と保護樹脂層の表面との水素結合や共有結合などの相互作用を積極的に促進でき、保護樹脂層と封止材層との層間接着性が向上でき、さらに相互作用の保持、進行により経時で維持または漸増することができる。
また、水蒸気透過率が上記の範囲あれば、表面処理における改質効果が大きく、表面処理する際に保護樹脂層の変質や劣化を抑制しながら、後述するぬれ指数の向上が可能となり、好ましい。
また、本発明の保護樹脂層は、以下の物性を満たすのがより好ましい。
(ぬれ指数)
本発明に用いられる保護樹脂層は、封止材層に接する面のぬれ指数が50mN/m以上であることが好ましい。当該ぬれ指数を50mN/m以上とすることより、保護樹脂層と封止材層との接着力の向上に有利となる。当該ぬれ指数が小さい過ぎる場合、保護樹脂層と封止材層との層間接着性が不十分となり、太陽電池モジュールに使用した際に外部からの衝撃や温度環境に伴う膨張、収縮などの要因による保護樹脂層と封止材層の界面での剥離が生じる恐れがある。
当該ぬれ指数は、保護樹脂層と封止材層との層間接着性向上の観点から、より好ましくは60mN/m以上、更に好ましくは65mN/m以上である。また、上限については、特に制限されるものではないが、ぬれ指数を向上するため、通常、後述する表面処理方法が用いられる。この際、処理時において、保護樹脂層に高いエネルギーを照射することが必要となり、材質の分解、劣化等を生じさせない観点から、ぬれ指数の上限は75mN/m程度であることが好ましい。
前記「ぬれ指数」とは、保護樹脂層と封止材層とを積層する前における保護樹脂層の面のぬれ指数であり、例えば、表面処理後、保護樹脂層と封止材層とを積層する前のぬれ指数をいう。
保護樹脂層におけるぬれ指数が50mN/m以上の場合は表面処理を実施せずに使用してもよく、また更に接着性を向上させる目的で表面処理を行ってもよい。
また、保護樹脂層の封止材層に接する面と反対の面のぬれ指数は、目的や用途に応じた対応となることから特に限定されないが、例えば撥水性を要求する用途の場合は40mN/m未満が好ましい。
尚、ぬれ指数は後述する実施例に記載の方法より測定できる。
前記ぬれ指数を向上するための表面処理方法としては、例えば、エネルギーを与えて改質する表面改質処理や、有機層を形成させる有機処理などが代表的に用いられる。
表面改質処理としてはコロナ放電処理、プラズマ放電処理、UV処理、フレーム処理などが好適に用いられる。本発明で規定するぬれ指数とするためには、処理時の光線強度、処理時間、照射距離等により照射エネルギー量を調節する必要がある。また、前記表面改質処理の種類や用いる保護樹脂層の材質や表面状態により同一量のエネルギーを与えた場合であっても同じぬれ指数を示さないため、それらの条件においても適宜エネルギー量を調節する必要がある。例えば、コロナ放電処理を使用して表面改質処理を行う場合は、照射エネルギー量は通常は100W/m〜4000W/m程度であり、好ましくは、500W/m〜3000W/mであり、より好ましく、1000W/m〜2000W/mである。
有機処理としてはプラズマ放電有機処理、プライマーコーティング処理等が好適に用いられ、本発明においてはぬれ性、接着性を考慮し、高い極性や反応性の官能基等を有するアミン系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の有機層を形成させることが好ましい。
(誘電率)
本発明に用いられる保護樹脂層の誘電率(温度23℃、周波数1MHz)は、特に限定されるものではないが、2.7以上であることが好ましく、2.9以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されるものではないが、通常5.0以下であり、好ましくは4.5以下である。誘電率は絶縁材料における分極能力であり、上記の範囲であれば、保護樹脂層の極性基割合が多く表面改質効果の向上や改質後における分極状態の維持が良好となり、保護樹脂層と封止材層との層間接着性を向上又は維持させることができる。
尚、誘電率は後述する実施例に記載の方法より測定できる。
本発明に用いられる保護樹脂層を構成する樹脂組成物の主成分は、上記条件(1)を満すものであれば、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。
本発明に用いられる保護樹脂層において、定量の水蒸気透過率を有しながら、耐候性を有する観点から、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等樹脂が好ましく用いられ、その中でも、ポリカーボネート系樹脂又はポリエステル系樹脂がより好ましく用いられる。
また、本発明の保護樹脂層を構成する樹脂組成物は、後述する紫外線吸収剤、耐候安定剤、シランカップリング剤、酸化防止剤などの添加剤を更に含有してもよい。
本発明の保護樹脂層の厚みは、特に限定されるものではないが、太陽電池モジュールでの構成の場合においてモジュール剛性や耐衝撃性を考慮すると、通常、500μm以上、好ましくは、1000μm以上である。上限について、特に限定されるものではないが、通常、5000μm程度であり、好ましくは、2000μm程度である。フレキシブル性能を有するモジュール構成を考慮した場合は、保護樹脂層の厚みは、通常、20μm以上、好ましくは30μm以上であり、上限について、特に限定されるものではないが、フレキシビリティを考慮すると、通常、1000μm程度であり、好ましくは、500μm程度である。
<封止材層>
本発明に用いられる封止材層は、保護樹脂層に接して配され、アルコキシシラン基を有する化合物を含有するオレフィン系樹脂組成物からなるものである。封止材層にアルコキシシラン基を有する化合物を含有することによって、封止材層に接する保護樹脂層の面と、封止材層との相互作用が形成され、保護樹脂層と封止材層との層間接着性を向上することができる。
また、本発明に用いられる封止材層は、単層の構造でもよく、アルコキシシラン基を有する化合物を含有する接着に寄与する層(接着層)を有する多層構造でもよい。しかしながら、封止材層が接着層を有する多層構造の場合、該接着層が保護樹脂層に接して配されることが重要である。
本発明に用いられる保護樹脂層は、ガラスなどの一般的な保護層より線膨張係数が大きいため、ラミネート後の冷却や屋外環境における温度変化に伴う膨張と収縮によりセルの破損や内部配線の断線が生じるおそれがある。この現象を抑制するため、封止材層には柔軟性の高い樹脂組成物の選択が要求される。また、保護樹脂層の水蒸気透過率を考慮した場合、封止材層は水蒸気透過率が低い樹脂組成物であることが重要となる。これらの観点より、本発明の積層体に用いられる封止材層はオレフィン系樹脂組成物であることが重要となる。
(オレフィン系樹脂)
本発明の封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物としては、特に限定されるものではないが、具体的には下記の(B−1)〜(B−4)の各々に示されるオレフィン系重合体を主成分とするオレフィン系樹脂組成物が好適に用いられる。得られる封止材層の柔軟性、水蒸気バリア特性、フィッシュアイ(ゲル)の少なさ、回路の腐食性物質(酢酸など)の少なさおよび経済性などの観点から(B−1)や(B−2)に示されるものが好ましく、中でも低温特性や耐候性に優れる点で(B−1)に示されるものが特に好適に用いられる。
(B−1)
(B−1)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量は、特に制限されるものではないが、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)中の全単量体単位に対して、炭素数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体が、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、エチレンと共重合する単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)中の全単量体単位を100モル%とした場合、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは15モル%以下である。
また、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の立体構造、分岐、分岐度分布、分子量分布や共重合形式(ランダム、ブロックなど)は、特に制限されるものではないが、例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械物性が良好であり、また、シートを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなりカレンダー成形性が向上するなどの利点がある。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは1〜50g/10min、より好ましくは2〜50g/10min、さらに好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い値、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、1〜50g/10minが好ましく、2〜50g/10minがより好ましく、さらに好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、「インフューズ(Infuse)」、エクソンモービル(株)製の商品名「エグザクト(Exact)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーH(TAFMER H)」、「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、LG化学(株)の商品名「LUCENE」、日本ポリエチレン(株)製の商品名「カーネル(Karnel)」等を例示することができる。
(B−2)
(B−2)は、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体である。但し、これらの共重合形式(ランダム、ブロックなど)、分岐、分岐度分布や立体構造には特に制限がなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体とすることができる。
共重合可能な他の単量体としては、エチレンや1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンおよびジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンや1−ブテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。プロピレンと共重合する単量体は1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、プロピレンと共重合可能な他の単量体の含有量は、特に制限されるものではないが、(B−2)中の全単量体単位に対して、プロピレンと共重合可能な他の単量体に基づく単量体単位が、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、プロピレンと共重合可能な他の単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
本発明に用いられる(B−2)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明に用いられるプロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体(B−2)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明に用いられる(B−2)の具体例としては、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などが挙げられ、具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「タフマーXM(TAFMER XM)」、「ノティオ(NOTIO)」、住友化学(株)商品名「タフセレン(TAFFCELLEN)」、プライムポリマー(株)製の商品名「プライムTPO(PRIME TPO)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「バーシファイ(VERSIFY)」、エクソンモービル(株)製の商品名「ビスタマックス(VISTAMAXX)」等を例示することができる。
(B−3)
(B−3)は、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンと不飽和脂肪族カルボン酸とからなる共重合体の金属塩(好ましい金属はZn、Na、K、Li、Mg等である)である。
具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「ハイミラン(HIMILAN)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「アンプリファイIO(AMPLIFY IO)」等を例示することができる。
(B−4)
(B−4)は、エチレンと、酢酸ビニルエステル、不飽和脂肪族カルボン酸および不飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステルより選ばれる少なくとも1つの単量体とからなるエチレン系共重合体である。
具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、該エステル成分としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭素数1〜8のアルキルエステルが挙げられる。本発明においては、上記2成分の共重合体に制限されることなく、さらに第3の成分を加えた3成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと不飽和脂肪族カルボン酸および不飽和脂肪族カルボン酸エステルより適宜選ばれる3元以上の共重合体等)であってもよい。ここで、共重合体中の全単量体単位に対して、エチレンと共重合される単量体の含有量が、通常5〜35質量%である。
(アルコキシシラン基を有する化合物)
本発明に用いられるアルコキシシラン基を有する化合物とは、珪素が有機樹脂と反応又は相容の可能な有機官能基と、無機材料と結合可能な加水分解性基とを有するアルコキシシラン化合物や、このアルコキシシラン化合物が共重合、又はグラフト化などすることにより得られるシリコーン化合物又はシラン変性樹脂等である。その中で、工業的な入手し易さや経済性の観点から、シランカップリング剤やシラン変性樹脂などが好適に用いられる。
上記のアルコキシシラン基を有する化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等の有機官能基とともに、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基のような加水分解性基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。これらシランカップリング剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
該シランカップリング剤の含有量は、単層構造の封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物、または多層構造の封止材層の接着層を構成する樹脂組成物100質量部に対し、0.5〜50質量部であることがこのましくは、1〜30質量部であることがより好ましい。このような範囲であると、接着層としての機能を発揮するとともに、封止材層としての柔軟性、透明性、封止性や耐熱性などの特性を容易に調整できる。
尚、多層構造の封止材層の場合、接着層の以外の他の層にも、シランカップリング剤を含有するができる。
(シラン変性樹脂)
本発明に用いられるシラン変性樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリウレタン等の樹脂とシランカップリング剤との重合により得られる樹脂が挙げられ、その中でも、工業的な入手し易さや経済性の観点から、シラン変性オレフィン樹脂が好適に用いられる。
シラン変性オレフィン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(B−1)〜(B−4)の各々に示されるオレフィン系樹脂(その中で、特に(B−1)が好ましい)、前述したシランカップリング剤及びラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
シラン変性樹脂の含有量は、特に限定するものではないが、単層構造の封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物、または多層構造の封止材層の接着層を構成する樹脂組成物100質量部中、1〜50質量部であることが好ましくは、5〜30質量部であることがより好ましい。このような範囲であると、接着層としての機能を発揮するとともに、封止材層としての柔軟性、透明性、封止性や耐熱性などの特性を容易に調整できる。
尚、多層構造の封止材層の場合、接着層の以外の他の層にも、シラン変性樹脂を含有するができる。
(オレフィン系樹脂組成物)
本発明に用いるオレフィン系樹脂組成物は、アルコキシシラン基を有する化合物、及びオレフィン系樹脂を含有するものである。
封止材層の柔軟性、透明性または耐熱性の観点から、オレフィン系樹脂組成物は下記(i)及び(ii)の条件を満足することが好ましい。
(i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以下の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以下の結晶融解熱量が10J/g以上100J/g以下
(ii)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以上の結晶融解熱量が0.1J/g以上70J/g以下
上記条件(i)の結晶融解ピーク温度(Tm)を、100℃以下に有し、好ましくは、80℃以下に有する。下限としては、特に限定されるものではないが、通常、40℃程度である。上記条件(i)の100℃以下の結晶融解熱量は、10J/g以上100J/g以下であり、好ましくは、15J/g以上80J/g以下であり、より好ましくは、20J/g以上70J/g以下である。結晶融解ピーク温度(Tm)及び結晶融解熱量が上記範囲内であれば、封止材層の柔軟性や透明度等が確保でき、また全ての材料を混合してペレットを作製する場合には、原料ペレットのブロッキング等が生じ難くなるため、好ましい。上記条件(i)を満たすために、通常、オレフィン系樹脂組成物には、結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃以下である前述した(B−1)〜(B−4)のオレフィン系樹脂(以下、「Tmが100℃以下の樹脂」と呼ぶことがある)を含む。
なお、結晶融解ピーク温度(Tm)及び結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物は、条件(ii)を満足することが好ましい。従って、本発明で用いるオレフィン系樹脂組成物には前述Tmが100℃以下の樹脂を含むことだけではなく、結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃以上である前述した(B−1)〜(B−4)のオレフィン系樹脂またはシラン変性樹脂(以下、「Tmが100℃以上の樹脂」と呼ぶことがある)を混合させることが好ましい。優れる耐熱性を確保するため、オレフィン系樹脂組成物は、100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有することが好ましく、110℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有することが更に好ましい。結晶融解ピーク温度(Tm)の上限値は、特に制限されるものではないが、太陽電池素子(セル)の熱劣化や太陽電池モジュール作製時の設定温度を考慮すると140℃程度である。
また、上記条件(ii)の100℃以上の結晶融解熱量が、0.1J/g以上70J/g以下であり、好ましくは0.1J/g以上30J/g以下であり、より好ましくは1J/g以上10J/g以下である。
ここで、100℃以上の結晶融解熱量ΔHm(≧100℃)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される融解ピーク面積中の、100℃以上の部分(図1に示すサーモグラムにおける斜線の部分)から計算される。
また、Tmが100℃以下の樹脂:Tmが100℃以上の樹脂の混合(含有)質量比(単位:質量%)は、好ましくは60:40以上98:2以下であり、より好ましくは70:30以上97:3以下である。ただし、Tmが100℃以下の樹脂とTmが100℃以上の樹脂との合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が上記範囲内であれば耐熱性及び透明性などのバランスに優れた封止材層が得られやすいため好ましい。
オレフィン系樹脂組成物に含有させるTmが100℃以下の樹脂とTmが100℃以上の樹脂との合計は、特に限定されるものではないが、オレフィン系樹脂組成物中、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがよりに好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
なお、上述したTmが100℃以下の樹脂とTmが100℃以上の樹脂とを、後述する多層構成の封止材層を構成する樹脂組成物に含有させる場合、Tmが100℃以下の樹脂とTmが100℃以上の樹脂との合計含有量、及び混合(含有)質量比が上記範囲であれば、Tmが100℃以下の樹脂とTmが100℃以上の樹脂とが同一の層内に含有されている必要はないが、好ましくは、同一層内に両樹脂が含有されている。また、多層構成の封止材層の各層を構成する樹脂組成物に両樹脂が含有されていることが更に好ましい。
(その他の樹脂)
オレフィン系樹脂組成物は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明度、接着性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、上述以外の樹脂を含むことができる。上述以外の樹脂として、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、粘着付与樹脂、各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系等)等が挙げられる。
(変性ポリオレフィン系樹脂)
変性ポリオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(EGMA)、アイオノマー樹脂(イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、イオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体)及び無水マレイン酸グラフト共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
これらの変性ポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。変性ポリオレフィン系樹脂の含有量が上記範囲内であると、封止材層の諸物性(柔軟性、耐熱性、透明度、接着性等)、成形加工性等を容易に調整することができる。
(粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体等が挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂が例示でき、テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が例示でき、クマロン−インデン樹脂としては、例えば、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体が例示でき、また、ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。また、粘着付与樹脂は、主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、上述のポリオレフィン樹脂と混合した場合の相溶性、経時的なブリード性、色調または熱安定性等の観点から、軟化温度が好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体を用いることが特に好ましい。また、粘着付与樹脂の含有量は、封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
(各種エラストマー)
各種エラストマーとしては特に制限されるものではないが、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。中でも、透明性や耐加水分解性の観点から、スチレン系エラストマーが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、SEBS(Styrene−Ethylene−Butylene−Styrene)、SEBC(Styrene−Ethylene−Butylene−Crystalline Block Copolymer)、HSBR(水添スチレンブタジエンラバー)等が上げられる。スチレン含有量については特に制限されるものではないが、耐候性の観点から、20モル%以下が好ましい。また、各種エラストマーの含有量は、封止材層を構成する樹脂組成物100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
(添加剤)
オレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤等が挙げられる。
また、本実施形態においては、オレフィン系樹脂組成物に架橋剤や架橋助剤を添加する必要はないが、添加することを排除するものではなく、例えば、高度の耐熱性が要求される場合は押出成形時の樹脂圧の増加やゲル、フィッシュアイ等の異物の発生を抑制できる範囲であれば、架橋剤及び/または架橋助剤を配合することができる。
本実施形態においては、封止材層は、実質的に架橋しないことが好ましい。ここで、実質的に架橋しないとは、ASTM 2765−95で測定したキシレン可溶物が、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは95質量%以上であることをいう。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、種々の市販品が適用できる。酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系等のフェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の各種タイプのものを挙げることができる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ]5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等を挙げることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/またはジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
本実施形態においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等の観点から、フェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが、添加量に対する酸化防止剤としての効果を高めることができるため、さらに好ましい。
酸化防止剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物100質量部に対し、通常0.1質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上0.5質量部以下の範囲であることがより好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、例えば、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物100質量部に対し、通常0.01質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。
(耐候安定剤)
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を有する。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材層を構成するオレフィン系樹脂組成物100質量部に対し、通常0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.3質量部以下の範囲であることがより好ましい。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(封止材層)
本発明の封止材層(以下、封止材と略称することがある)は、上述したオレフィン系樹脂組成物からなる。
本発明の封止材層は、以下の物性を満たすのがより好ましい。
(耐熱性)
本発明の封止材の耐熱性は、オレフィン系樹脂組成物に含まれる樹脂の諸特性(MFR、分子量など)により影響され、これらを適宜選択することで調整することができる。また一般に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで85℃程度まで昇温するため、オレフィン系樹脂組成物が100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以上の結晶融解熱量が0.1J/g以上70J/g以下であれば、耐熱性を確保できるため好ましい。耐熱性の評価は、後述するクリープ測定において、評価した。
(水蒸気透過率(WVTR))
本発明の封止材の厚さ100μmあたりのWVTRは、規定される樹脂組成物を使用している限りにおいては特に限定されるものではないが、太陽電池用積層体の優れる耐湿性及び耐久性を確保するため、好ましくは、30g/m/24h以下であり、より好ましくは、20g/m/24h以下である。下限については、特に制限されるものではないが、通常、1g/m/24h程度である。
(透明性)
本発明の封止材の全光線透過率は、セルの背面側として使用する場合や適用する太陽電池の種類、例えばアモルファスの薄膜系シリコン型などや太陽電子素子に届く太陽光を遮らない部位に適用する場合には、あまり重視されないこともあるが、太陽電池の光電変換効率を考慮し、450μmにおける全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、89%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(常温柔軟性)
本発明の封止材の常温における柔軟性は、特に制限されるものではない。適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整することができる。
例えば、封止材の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護や柔軟性を考慮すると、1〜200MPaであることがより好ましく、5〜100MPaであることがさらに好ましい。なお、封止材が後述する多層構成の場合は、前記貯蔵弾性率(E´)は封止材の多層構成全体の貯蔵弾性率をいう。また、シート形状などで封止材を採取した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止、あるいは、太陽電池モジュールにおける軽量化(通常3mm程度に対して、薄膜ガラス(1.1mm程度)が適用可能、あるいはガラスレスの構成が適用可能)などを考慮すると、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜200MPaであることがより好ましい。該貯蔵弾性率(E´)は、粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzで所定温度範囲を測定し、温度20℃における値を求めることで得られる。
(封止材層の製造方法)
次に、本発明の封止材層(以下、封止材と略称することがある)の製造方法について説明する。
封止材の形状は、限定されるものではなく、液状であっても、シート状であってもよいが、取り扱い性の観点からシート状であるのが好ましい。
また、本発明の封止材は、単層あるいは多層構成であるが、封止材に要求される特性をバランスよく達成させる為、組成内容や組成比が異なる複数の層からなる多層構成が好ましい。多層構成の場合において、その層構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、(I)層及び(II)層からなる2種2層構成や、(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなる2種3層構成などを挙げることができる。
シート状の封止材の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができ、特に制限されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面から複数の押出機を用いる共押出法が好適に用いられる。Tダイを用いる共押出法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。
シート状の封止材の厚みは特に限定されるものではないが、通常0.03mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、かつ、通常1mm以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。また、シート状で得られた封止材の表面及び/または裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子のラミネート工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行ってもよい。
また、各種被着体への接着性を向上させる目的で表面にコロナ処理やプラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。ここで、表面処理量の目安としては、ぬれ指数で40mN/m以上であることが好ましく、50mN/m以上であることがより好ましい。ぬれ指数の上限値は一般的に70mN/m程度である。
<太陽電池用積層体>
本発明の太陽電池用積層体は、前記保護樹脂層と、保護樹脂層に接して配される封止材層を有するものである。なお、封止材層に接する保護樹脂層の面と、封止材層に含まれるアルコキシシラン基を有する化合物との相互作用を阻害しない範囲において、層間接着性を更に向上するために、保護樹脂層と封止材層との間に、例えば、非連続的な易接着層、アンカー層など別の層を設けることができる。
(太陽電池用積層体の製造方法)
本発明の太陽電池用積層体は、前記保護樹脂層と封止材層とを積層することにより得ることができる。例えば、予めシート状に製造された前記保護樹脂層と前記封止材層とを熱ラミネーション等の公知の方法によって積層してもよい。また、予め製造された前記保護樹脂層の上に前記封止材層を溶融押出しながら積層してもよい。
(保護樹脂層と封止材層との層間接着性)
本発明の太陽電池用積層体における、保護樹脂層と封止材層との層間接着性については、後述する実施例に記載の層間剥離試験により、評価した。
本発明の積層体の保護樹脂層と封止材層との最大層間剥離強度は、40N/10mm巾以上である。その最大層間剥離強は、より好ましくは、50N/10mm巾以上である。ここで、最大層間剥離強度とは、本発明の作製直後の積層体を後述する層間剥離試験の測定を行って得られたチャートにおける層間剥離強度の最大値である(以下、これを「初期最大層間剥離強度」ということもある)。なお、「作製直後」とは、本発明の積層体を作製した後、温度25度、湿度50%の環境中に5時間以内に置いた後を意味する。
本発明の太陽電池用積層体においては、保護樹脂層を透過した水蒸気と封止材が含有するアルコキシシラン基を有する化合物とが反応することより、層間接着性の安定化や向上を期待することができる。本発明の太陽電池用積層体を温度25度、湿度50%の環境中120時間置いた後における層間接着性の保持率(120時間後の層間接着性の保持率=120時間後の最大層間剥離強度/初期最大層間剥離強度×100%)が70%以上となることが好ましく、80%以上となることがより好ましく、100%以上となることが更に好ましい。
本発明の積層体の保護樹脂層と封止材層との120時間後の最大層間剥離強度は、40N/10mm巾以上であることが好ましく、50N/10mm巾以上であることがより好ましく、60N/10mm巾以上であることが更に好ましい。
また、本発明の太陽電池用積層体を温度25度、湿度50%の環境中300時間置いた後における層間接着性の保持率(300時間後の層間接着性の保持率=300時間後の最大層間剥離強度/初期最大層間剥離強度×100%)が、70%以上となることが好ましく、80%以上となることがより好ましく、110%以上となることが更に好ましい。
本発明の積層体の保護樹脂層と封止材層との300時間後の最大層間剥離強度は、40N/10mm巾以上であることが好ましく、50N/10mm巾以上であることがより好ましく、60N/10mm巾以上であることが更に好ましい。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池用積層体を用い、例えば、太陽電池素子の上部を本発明の太陽電池用積層体で固定し、太陽電池素子の下部を封止材層及び下部保護材(バックシート)で固定することにより太陽電池モジュールを作製することができる。また、太陽電池素子の上部を透明基材(フロントシート)及び封止材層で固定し、太陽電池素子の下部を本発明の太陽電池用積層体で固定することもでき、さらには太陽電池素子の上部及び下部とも本発明の太陽電池用積層体を用いて太陽電池モジュールを作製することもできる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。
なお、本発明の太陽電池モジュールにおいて、封止材層(該封止材層は、本発明の積層体を構成する封止材層を含む)が2箇所以上の部位に使用される場合、同じ樹脂組成物からなる封止材層を用いてもよいし、異なる樹脂組成物からなる封止材層を用いてもよい。当該封止材層を、光透過性を必要とする部位に使用する場合は透明でなくてはならないが、バックシート側の封止材層として用いられる場合は、透明でなくてもよい。
具体的な例としては、太陽光受光側から順に、本発明の太陽電池用積層体(この場合は、前記太陽電池素子側に封止材層が配置される)、太陽電池素子、封止材層、下部保護材(バックシート)が積層されてなり、さらに、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、封止材層及びバックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
前記下部保護材としては、金属、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層又は多層のシートであり、例えば、錫、アルミニウム、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層又は多層の保護材を挙げることができる。
別の具体的な例としては、太陽光受光側から順に、上部保護材、封止材層、太陽電池素子、本発明の太陽電池用積層体(この場合は、前記太陽電池素子の裏側に封止材層が配置される)さらに、本発明の太陽電池用積層体の下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、本発明の太陽電池用積層体に設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
上部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本実施例における保護樹脂層、封止材層、又は太陽電池用積層体について種々の物性の測定及び評価は次のようにして行った。
(ぬれ指数)
本発明における保護樹脂層及び封止材層のぬれ指数は、ぬれ張力試験用混合液(30mN/m〜70mN/m)を用いて、JIS K6768に基づき、綿棒にぬれ試薬を含浸させ、保護樹脂層または封止材層の表面に線状に塗布し2秒後における試薬のぬれ状態より求めた。
(誘電率)
本発明における誘電率測定はプレシジョンLCRメーター(横川HP製 4284A)を用いJIS K6911に基づきサンプルサイズ100mm×100mmとし、電極径(φ)4.5cm、真空の誘電率8.854×1012として温度20℃、湿度65%の条件下で評価した。
(全光線透過率)
厚み2mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)2枚の間に厚み0.45mmの各封止材層を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、JIS K7105に準じて全光線透過率を測定した。
(水蒸気透過率測定)
本発明における水蒸気透過率測定は水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、製品名:PERMATRAN−W)を用いて、保護樹脂層又は封止材層をサンプルとして、温度40℃、RH90%の条件下において24時間での水蒸気透過量を測定し、水蒸気透過率を求めた。また、封止材層の水蒸気透過率を、下記の基準で評価した。
〇:厚み100μm換算における封止材層の水蒸気透過率が30g/m/24h未満
×:厚み100μm換算における封止材層の水蒸気透過率が30g/m/24h以上
(層間剥離試験)
本発明における層間剥離強度は万能引張試験器(インテスコ社製、型式:200X)を用いて測定した。剥離しろとして離形フィルム(ルミラー)を各実施例に記載されている積層体を作製する際に、保護樹脂層と封止材層の界面部分に挿入し、裏打ち材として易接着層を有するバックシート(COVEME社製 300μm)を用いて保護樹脂層/封止材層/バックシートの構成でラミネートしてサンプルを作製した。その後のサンプルを10mm幅の短冊状に切出し、所定時間(サンプル作製直後、120時間後、300時間後)放置後、万能引張試験器を用いて層間剥離試験(180度剥離、テストスピード50mm/分)を行った。層間剥離強度の測定結果よりチャートにおける最大値(最大層間剥離強度)を読み取り、層間接着性及び層間接着性の保持率を次の基準で評価した。
<層間接着性の評価基準>
◎:最大層間剥離強度が50N/10mm巾以上
○:最大層間剥離強度が40N/10mm巾以上、50N/10mm巾未満
×:最大層間剥離強度が40N/10mm巾未満
<層間接着性の保持率の評価基準>
(a)120時間後の層間接着性の保持率
◎:120時間後の層間接着性の保持率が100%以上
○:120時間後の層間接着性の保持率が80%以上100%未満
△:120時間後の層間接着性の保持率が70%以上80%未満
×:120時間後の層間接着性の保持率が70%未満
(b)300時間後の層間接着性の保持率
◎:300時間後の層間接着性の保持率が110%以上
○:300時間後の層間接着性の保持率が80%以上110%未満
△:300時間後の層間接着性の保持率が70%以上80%未満
×:300時間後の層間接着性の保持率が70%未満
(クリープ測定)
本発明におけるクリープ測定用サンプルは図2(a)及び図2(b)に示した。板ガラス101(50mm×150mm×2mm)の上端側の中央に、封止材層102(切り出したサイズ:25mm×75mm)とスライドガラス103(25mm×75mm×1mm)を用い、板ガラス101/封止材層102/スライドガラス103の順に積層した後に150℃でラミネートし、クリープ測定用サンプルを2枚作製し、その後2枚のサンプルを下記(i)の測定条件の条件A及び条件Bに準じて、スライドガラス側に所定重量のステンレス板104(サイズ:縦75mm、横25mm)を貼り合わせ、所定の角度に設置し、所定温度の恒温槽において24時間放置した。その後、それぞれのサンプル中のスライドガラス103のズレ量を求めた(図2(c))。
その後、得られたスライドガラス103のズレ量のパーセンテージ(スライドガラス103のズレ量/75mm(最大ズレ量)×100%)を求めた。封止材層の耐熱性は、ii)耐熱性基準で評価した。
(i)測定条件
条件A:100℃、ステンレス板104質量28g、角度60°におけるクリープ
条件B:120℃、ステンレス板104質量56g、角度90°におけるクリープ
(ii)耐熱性基準
○:条件Aおよび条件Bでのスライドガラス103のズレ量のパーセンテージが10%未満
△:条件Aのみでのスライドガラス103のズレ量のパーセンテージが10%未満
×:条件Aでのスライドガラス103のズレ量のパーセンテージが10%以上
(MFR測定)
本発明におけるメルトマスフローレイト(MFR)測定はJIS K7210(温度:190℃、荷重:21.18N)により実施した。
(結晶融解ピーク温度(Tm))
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に得られたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)を求めた。
(結晶融解熱量(ΔHm))
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に得られたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)及び100℃以上の結晶融解熱量(ΔHm(≧100℃))(J/g)を求めた。
以下に本発明における封止材層の作製方法を記載する。
<封止材層1>
エチレン−オクテンランダム共重合体(三井化学(株)製、商品名:タフマーH5030S、MFR:5、Tm:59℃、ΔHm:56J/g、ΔHm(≧100℃):0J/g)(以下、(PE−1)と略する)80質量部と、変性シラン系共重合体(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンSL800N、MFR:1、Tm:54℃及び116℃、ΔHm:45J/g、ΔHm(≧100℃):5J/g)(以下、(SiR−1)と略する)20質量部の割合で混合した樹脂組成物(以下、樹脂組成物(C−1)と略する)を、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより厚み450μmの封止材を得た。また、得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果は表1に示す。
<封止材層2>
封止材層2は(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなる2種3層構成である。(I)層として、上記樹脂組成物(C−1)、また、(II)層として、上記(PE−1)95質量部と、エチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ D9100.05、MFR:1、Tm:119℃、ΔHm:45J/g、ΔHm(≧100℃):41J/g)(以下、(PE−2)と略する)5質量部の割合で混合した樹脂組成物(以下、樹脂組成物C−2と略する)をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温度180℃〜200℃で共押出成形した後、20℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚み450μmの封止材((I)層/(II)層/(I)層=45μm/360μm/45μm)を得た。また、得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果を表1に示す。
<封止材層3>
封止材層2において、(I)層として、エチレン−オクテンランダム共重合体(プライムポリマー(株)製、商品名:エボリューP 9018、MFR:1、Tm:88℃、ΔHm:65J/g、ΔHm(≧100℃):2J/g)(以下、((PE−3)と略する)60質量部と、汎用LLDPE((株)製、商品名:NEOZEX 0234N、MFR:2、Tm:118℃、ΔHm:122J/g、ΔHm(≧100℃):66J/g)(以下、(PE−4)と略する)20質量部と、前記(SiR−1)20質量部の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、前記(PE−3)80質量部と、前記(PE−4)20質量部の割合で混合した樹脂組成物に変更したこと以外は封止材層2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<封止材層4の作製>
封止材層1において、上記樹脂組成物(C−1)を上記(PE−1)のみからなる樹脂組成物に変更したこと以外は封止材層1と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
以下に本発明における実施例および比較例を記載する。
<実施例1>
保護樹脂層として、ポリカーボネートフィルム(三菱瓦斯化学(株)製、商品名:ユーピロン FE−2000S、厚み100μm、水蒸気透過率:45g/m/24h、誘電率3.0)を用い、封止材層としては作製した封止材層1を用いた。保護樹脂層及び封止材層の片面に照射エネルギー量1000W/mのコロナ処理を行った。その後、処理面同士を合わせて積層した後にラミネート温度150℃により真空加熱5分、加圧5分により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<実施例2>
封止材層を封止材層2としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<実施例3>
保護樹脂層の片面のコロナ処理において、照射エネルギー量を2000W/mに変更したこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<実施例4>
保護樹脂層をポリエステルフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:DIAFOIL、厚み125μm、水蒸気透過率25g/m/24h、誘電率2.9)としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<実施例5>
封止材層を封止材層3としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<比較例1>
保護樹脂層のコロナ処理を未実施としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<比較例2>
保護樹脂層の片面のコロナ処理において、照射エネルギー量500W/mのコロナ処理に変更したこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<比較例3>
封止材層を封止材層4としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<比較例4>
封止材層をEVA系封止材層(三井東セロ(株)製、商品名:Solar EVA、熱処理後620μm、水蒸気透過率24g/m/24h)としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
<比較例5>
保護樹脂層をETFE(旭硝子(株)製、商品名:アフレックスETFE、厚み:25μm、水蒸気透過率28g/m/24h、誘電率2.6)としたこと以外は、実施例1と同様の手法により積層体を作製した。保護樹脂層及び作製された積層体の各種評価結果を表1に示した。
Figure 0006107369
表1の結果から明らかなように、本発明で規定した特性の太陽電池積層体は、優れた層間接着性、層間接着性の保持率、耐湿性(水蒸気バリア性が優れる封止材層により確保)、及び耐久性(層間接着性、層間接着性の保持率、及び耐湿性により確保)を有する(実施例1〜5)。また、本発明の要件を満足しない構成では、層間接着性、層間接着性の保持率、または耐湿性のいずれか1つ以上の特性に劣ることが確認された(比較例1〜5)。従って、本発明の積層体を用いることで吸湿による発電効率低下や接着性低下が少なく、透明保護樹脂層を用いた軽量な太陽電池モジュールを実現できるものである。
本発明によれば、保護樹脂層における機能層の多層化を必要とせず、保護樹脂層と封止材層との接着工程や凹凸制御等の工程を行うことなく、保護樹脂層と封止材層との層間接着性、耐久性、及び耐湿性にも優れた太陽電池用積層体が提供できる。
101・・・板ガラス
102・・・封止材
103・・・スライドガラス
104・・・ステンレス板

Claims (9)

  1. 保護樹脂層、および該保護樹脂層に接して配される封止材層を有する太陽電池用積層体であって、
    該保護樹脂層が下記条件(1)を満足し、該封止材層が下記条件(2)を満足し、かつ、該保護樹脂層と該封止材層との最大層間剥離強度が40N/10mm巾以上であることを特徴とする太陽電池用積層体。
    (1)厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が10g/m/24h以上
    (2)アルコキシシラン基を有する化合物を含有するオレフィン系樹脂組成物からなる
  2. 前記保護樹脂層の封止材層に接する面のぬれ指数が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用積層体。
  3. 前記保護樹脂層を構成する樹脂組成物の主成分が、ポリカーボネート系樹脂又はポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池用積層体。
  4. 前記保護樹脂層の23℃、1MHzにおける誘電率が2.7以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
  5. 前記オレフィン系樹脂組成物が下記条件(i)及び(ii)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
    (i)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以下の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以下の結晶融解熱量が10J/g以上100J/g以下
    (ii)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解ピーク温度(Tm)を有し、かつ、100℃以上の結晶融解熱量が0.1J/g以上70J/g以下
  6. 前記封止材層の厚さ100μmあたりの水蒸気透過率が30g/m/24h以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
  7. 前記封止材層の厚さ450μmにおける全光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
  8. 前記封止材層が多層構成であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体。
  9. 上記請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池用積層体を有する太陽電池モジュール。
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