JP2014187172A - 太陽電池モジュール用充填材シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用充填材シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】透明保護材、太陽電池素子及び裏面保護材との接着性、耐久性及び耐熱性に優れ、真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合にでも、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる太陽電池モジュール用充填材シートを提供する。
【解決手段】無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を含有するオレフィン系樹脂100重量部に対して特定構造を有するエポキシ基を有するシラン化合物0.1〜3.0重量部を含有する太陽電池モジュール用充填材シートであって、前記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、α−オレフィンの含有量が5〜25重量%であるα−オレフィン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであり、前記オレフィン系樹脂中の無水マレイン酸の総含有量が0.01〜0.1重量%である太陽電池モジュール用充填材シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明保護材、太陽電池素子及び裏面保護材との接着性、耐久性及び耐熱性に優れ、真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合にでも、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる太陽電池モジュール用充填材シート、及び、該太陽電池モジュール用充填材シートを用いてなる太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題やエネルギー問題に対する意識が高まる中、クリーンなエネルギー源として太陽電池が注目されており、現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。例えば、ガラス等を基材とするリジッドな太陽電池モジュールや、ポリイミドやポリエステル系の耐熱高分子材料やステンレス薄膜を基材とするフレキシブルな太陽電池モジュール等が知られている。
このような太陽電池モジュールは、一般に、透明保護材、充填材シート、光起電力素子としての太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材等で構成される。
そして、これらの部材を予め所望の形状に切断したうえで積層し、これらを静止状態にて真空ラミネートによって積層一体化する方法(真空ラミネート法)により製造される。真空ラミネート法は、特にガラス等を基材とするリジッドな太陽電池モジュールの製造に適している。
太陽電池モジュールにおいて、上記充填材シートは、太陽電池が太陽光を吸収して発電を行う太陽電池素子を保護するための層であり、かつ、太陽電池素子と、太陽電池モジュールの性能維持や強度、耐久性を保持するための透明保護材、裏面保護材とを接着させるための層である。このため、上記充填材シートは、太陽電池素子や透明保護材、裏面保護材との接着性や、充填材シート自体の耐久性及び耐熱性等が必要とされる。また、上記真空ラミネート法やロールツーロール法の製造工程で、シワ等が発生せず、太陽電池素子を好適に封止して太陽電池モジュールを製造できる、ラミネート適性も必要とされる。
このような充填材シートとしては、従来からエチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)が使用されてきた(特許文献1)。EVAは、太陽電池素子と接着させる工程において架橋させることにより優れた耐熱性を発揮することもできる。しかしながら、この架橋工程のために、製造時間が長くなってしまうという問題があった。また、EVA中に含まれる酢酸が、太陽電池素子の発光層や透明電極層、バス電極やそれに付属するフィンガー電極、更にはタブ線を汚染するという問題もあった。
このため、充填材シートとして、非EVA系の樹脂の使用が検討されていた。
例えば、特許文献2には、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体と、耐光材、紫外線吸収剤、及び熱安定剤からなる群から選択された1種ないし2種以上とを含む樹脂組成物による樹脂膜を、太陽電池素子の表面側と裏面側に積層する充填材シートとして用いることが記載されている。
本発明者らは、現在までに提案されている非EVA系の樹脂からなる充填材シートを検討した。しかしながら、これらの従来の非EVA系の樹脂からなる充填材シートでは、太陽電池素子への接着性と高い耐熱性(特に、加熱しながら応力をかけたときにズレが発生しない、いわゆる耐熱クリープ性)とを、短い製造時間の中で両立させることは困難であった。また、従来の非EVA系の樹脂からなる充填材シートを用いて真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生して得られた太陽電池モジュールの耐久性や外観が劣ったりすることがあるという問題があった。更に、ガラスからなる透明保護材、ガラス基材や、裏面保護材を構成する樹脂シート等に対して充分な接着性が得られないことがあるという問題もあった。
特開平7−297439号公報 特開2004−214641号公報
本発明は、透明保護材、太陽電池素子及び裏面保護材との接着性、耐久性及び耐熱性に優れ、真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合にでも、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる太陽電池モジュール用充填材シート、及び、該太陽電池モジュール用充填材シートを用いてなる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明は、無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を含有するオレフィン系樹脂100重量部に対して下記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物0.1〜3.0重量部を含有する太陽電池モジュール用充填材シートであって、前記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、α−オレフィンの含有量が5〜25重量%であるα−オレフィン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであり、前記オレフィン系樹脂中の無水マレイン酸の総含有量が0.01〜0.1重量%である太陽電池モジュール用充填材シートである。
Figure 2014187172
式(I)中、Rは、3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を示し、Rは、炭素数が1〜3であるアルキル基を示し、Rは、炭素数が1〜3であるアルキル基を示し、かつ、nは0又は1である。
以下に本発明を詳述する。
図1に一般的なリジッドな太陽電池モジュールの断面を表す模式図を示す。図1に示したリジッドな太陽電池モジュールでは、ガラス基材からなる透明保護材5、充填材シート8、太陽電池素子B、充填材シート8、裏面保護材6の順に積層した積層体を、真空ラミネート法により熱圧着している。ここで、リジッドな太陽電池モジュールにおいては、太陽電池素子Bの厚さは、基材を用いない結晶シリコン太陽電池等では200μm程度であるものの、薄膜シリコン太陽電池や化合物系太陽電池では約2mm程度と、比較的厚い。従来の非EVA系の樹脂からなる充填材シート8を用いて真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合、熱圧着時における充填材シートの流動性が不足して充分に太陽電池素子に追従できないことから空隙7が発生したものと考えられた(図1)。
本発明者らは、太陽電池モジュール用充填材シート(以下、単に「充填材シート」ともいう。)を構成する樹脂として無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を用いることを試みた。無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、加熱することにより溶融して太陽電池素子に密着し得ることから、EVAのように架橋工程を要することなく効率的に太陽電池モジュールを製造することができる。また、EVAを用いた場合のように、含有される酢酸によって太陽電池素子の発光層や透明電極層、バス電極やそれに付属するフィンガー電極、更にはタブ線が汚染されることもない。しかしながら、単に無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を用いても、上記空隙の発生の問題は解決することができず、また、ガラスからなる透明保護材、ガラス基材や裏面保護材を構成する樹脂シート等に対する接着性等の問題も依然として解決しなかった。
これに対して本発明者らは、α−オレフィン−エチレン共重合体を無水マレイン酸でグラフト変性した無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を含有し、全体としての無水マレイン酸の総含有量を特定の範囲に調整されたオレフィン系樹脂に、エポキシ基を有するシラン化合物を配合することにより、太陽電池モジュール製造時の空隙の発生を防止するとともに、ガラスからなる透明保護材、ガラス基材や裏面保護材を構成する樹脂シート等に対する接着性に優れ、かつ、耐久性、耐熱性及び透明性等の基本性能に優れる充填剤シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の充填材シートは、オレフィン系樹脂を含有する。オレフィン系樹脂を含有することにより、本発明の充填剤シートは、加熱により溶融して太陽電池素子に密着し、これを封止することができる。
上記オレフィン系樹脂は、無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を含有する。上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は無水マレイン酸を側鎖に持つことから、上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物と反応することにより樹脂中に架橋が導入され、高い耐熱性を発揮することができる。一方、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を構成するα−オレフィンの含有量を一定範囲とすることにより、耐熱性を確保しながら、段差への追従性を高めて太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる。
上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、α−オレフィン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性された樹脂である。
上記α−オレフィンは、樹脂の非晶性向上による低融点化、柔軟化のため、炭素数が3〜10であることが好ましく、炭素数が4〜8であることがより好ましい。
上記α−オレフィンは、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。なかでも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。即ち、上記α−オレフィン−エチレン共重合体は、ブテン−エチレン共重合体、ヘキセン−エチレン共重合体、オクテン−エチレン共重合体が好適である。
上記α−オレフィン−エチレン共重合体は、α−オレフィン含有量が5〜25重量%である。上記α−オレフィン含有量が5重量%未満であると、太陽電池素子の封止を低温で行うときの流動性が低く、充分に段差に追従することができずに太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生したり、製造時間が長くなってしまったりする。上記α−オレフィン含有量が25重量%を超えると、充填材シート自体の融点が低くなりすぎるため、太陽電池素子の封止のときに充填材がはみ出して外観を損ねたり、得られる太陽電池モジュールの耐熱性が劣ったりする。
特にブテン−エチレン共重合体の場合、ブテン含有量の好ましい下限は12重量%、好ましい上限は18重量%である。
特にヘキセン−エチレン共重合体の場合、ヘキセン含有量の好ましい下限は14重量%、好ましい上限は20重量%である。
特にオクテン−エチレン共重合体の場合、オクテン含有量の好ましい下限は17重量%、好ましい上限は24重量%である。
上記α−オレフィン−エチレン共重合体における上記α−オレフィンの含有量については、13C−NMRのスペクトル積分値により求めることができる。具体的には、例えば1−ブテンを用いた場合、重ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン中で10.9ppm付近や26.1ppm付近、39.1ppm付近に得られる1−ブテン構造由来のスペクトル積分値と、26.9ppm付近、29.7ppm付近、30.2ppm付近、33.4ppm付近に得られるエチレン構造由来のスペクトル積分値を用いて算出する。スペクトルの帰属については高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編、朝倉書店発行、2008年)等の既知データーを利用するとよい。
上記α−オレフィン−エチレン共重合体を無水マレイン酸でグラフト変性する方法は、公知の方法が用いられ、例えば、上記α−オレフィン−エチレン共重合体と無水マレイン酸とラジカル重合開始剤とを含有した組成物を、押出機に供給して溶融混練して、上記共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させる溶融変性法や、上記α−オレフィン−エチレン共重合体を溶媒に溶解させて溶解液を作製し、この溶解液に無水マレイン酸及びラジカル重合開始剤を添加して上記共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させる溶液変性法等が挙げられる。なかでも、押出機で混合でき生産性に優れることから、上記溶融変性法が好ましい。
上記グラフト変性する方法において使用するラジカル重合開始剤は、従来からラジカル重合に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
上記オレフィン系樹脂は、無水マレイン酸の総含有量の下限が0.01重量%、上限が0.1重量%である。上記無水マレイン酸の総含有量が0.01重量%未満であると、充分な耐熱性を発揮することができず、0.1重量%を超えると、溶融時の流動性が低下して、太陽電池素子の封止時に充分に段差に追従することができず、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生したり、裏面保護材を構成する樹脂シート等に対する接着性が劣ったりする。上記無水マレイン酸の総含有量の好ましい下限は0.02重量%、好ましい上限は0.09重量%である。
ここで無水マレイン酸の総含有量とは、上記オレフィン系樹脂が上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂のみからなる場合には、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂の無水マレイン酸変性量を意味し、上記オレフィン系樹脂が上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の他のオレフィン樹脂との混合物である場合には、オレフィン系樹脂全体に占める無水マレイン酸の含有量を意味する。
なお、上記無水マレイン酸の総含有量は、上記オレフィン系樹脂を用いて試験フィルムを作製し、上記試験フィルムの赤外吸収スペクトルを測定して、1790cm−1付近の吸収強度から算出することができる。具体的には、上記オレフィン系樹脂中における無水マレイン酸の総含有量は、例えば、FT−IR(フーリエ変換赤外分光装置 Nicolet 6700 FT−IR)を用いて高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編、朝倉書店発行、2008年)等に記載された既知の測定方法で測定することができる。
上記オレフィン系樹脂は、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂のほかに、低密度ポリエチレン樹脂又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の他のオレフィン樹脂を含有してもよい。上記オレフィン系樹脂が低密度ポリエチレン樹脂又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含有することにより、配合量の制御が困難である無水マレイン酸総含有量の小さい充填剤シートでも精度高く製造することが可能となる。
本明細書において低密度ポリエチレン樹脂とは、繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐を持って結合した結晶性の熱可塑性樹脂を意味する。上記低密度ポリエチレン樹脂は、その分岐構造から結晶化があまり進まず、比較的融点が低く柔らかい性質を有する。
本明細書において直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とは、繰り返し単位のエチレンと若干量のα‐オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテン等)を共重合させた熱可塑性樹脂を意味する。
上記他のオレフィン樹脂としては、具体的には例えば、α−オレフィンの含有量が5〜25重量%であるα−オレフィン−エチレン共重合体等が好適に用いられる。
なお、低密度ポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とは、単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
上記オレフィン系樹脂が、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂のほかに、低密度ポリエチレン樹脂又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の他のオレフィン樹脂を含有する場合、該他のオレフィン樹脂の含有量の好ましい上限は80重量%である。他のオレフィン樹脂の含有量が80重量%を超えると、充填材シートの太陽電池素子に対する接着性が低下したえ、耐熱性が劣ることがある。
本発明の充填材シートは、上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物を含有する。上記シラン化合物は、ガラスからなる透明保護材やガラス基材に対する接着性を向上させるだけでなく、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂に対する架橋剤としての役割も果たす。即ち、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂に上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物を配合すると、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂中の無水マレイン酸基と、エポキシ基を有するシラン化合物のエポキシ基とが反応してシラン化合物が樹脂の側鎖に取り込まれる。更に、該側鎖のシラン化合物同士が加水分解縮合によりシロキサン結合を形成して、樹脂間に架橋構造が形成される。樹脂間に架橋構造が形成されることにより、本発明の充填材シートの高温での弾性率が向上して、高い高温高湿耐久性を実現することができる。
上記式(I)中、Rは、3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を示す。なかでも、より高い高温高湿耐久性を実現できることから、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好適である。
上記式(I)中、Rとしては、炭素数が1〜3であるアルキル基であれば、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記式(I)中、Rとしては、炭素数が1〜3であるアルキル基であれば、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、メチル基が好ましい。
上記一般式(I)で示されるエポキシ基を有するシラン化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン等が挙げられる。上記一般式(I)で示されるエポキシ基を有するシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の充填材シートにおいて、上記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂100重量部に対する上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物の含有量の下限は0.1重量部、上限は3.0重量部である。上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物の含有量が0.1重量部未満であると、充分な耐熱性が発揮できず、また、ガラス等に対する接着性が劣ったものとなる。上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物の含有量が3.0重量部を超えると、溶融時の流動性が低下して、太陽電池素子の封止時に充分に段差に追従することができず、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生する。上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物の含有量の好ましい下限は0.2重量部、好ましい上限は1.0重量部である。
本発明の充填材シートは、その物性を損なわない範囲内において、他の添加剤を更に含有していてもよい。上記他の添加剤としては、例えば、UV安定剤、可塑剤、充填剤、着色剤、顔料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤、調色液、屈折率マッチング用添加剤及び分散助剤等が挙げられる。
本発明の充填材シートは、厚みの好ましい下限が120μm、好ましい上限が1000μmである。上記厚みが120μm未満であると、太陽電池素子モジュールの製造工程における熱圧着時において、図1の7に示す空隙が発生しやすく、圧着圧力による太陽電池素子への負荷も大きくなることから、接着性及び耐久性不足や発電性能低下のおそれがある。1000μmを超えると、太陽電池素子モジュールの製造工程における熱圧着時において、樹脂のはみ出しが発生するおそれがある。上記厚みのより好ましい下限は150μm、より好ましい上限は700μmである。
本発明の充填材シートは、引張破断伸びが700%以上であることが好ましい。上記引張破断伸びが700%未満であると、凝集破壊によって接着強度低下することがある。上記引張破断伸びは、1000%以上であることがより好ましい。
本明細書において引張破断伸びは、JIS K7162に規定されている測定方法により得られる値である。
本発明の充填材シートは、引張引弾性率の好ましい下限が50MPa、好ましい上限が150MPaである。上記引張引弾性率が50MPa未満であると、剥離しようとする応力が、充填材シートと太陽電池素子の界面、又は、充填材シートと透明保護材との界面に集中して、凝集破壊による剥離が生じやすくなる。上記引張引弾性率が150MPaを超えると、脆くなって、剥離しようとする応力に対して割れ破壊による剥離が生じやすくなる。上記引張引弾性率のより好ましい下限は60MPa、より好ましい上限は130MPaである。
本明細書において引張破断弾性率は、JIS K7162に規定されている測定方法により得られる値である。
本発明の充填材シートを製造する方法としては、上記オレフィン系樹脂、上記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物、及び、必要に応じて配合する添加剤等を所定の重量割合にて押出機に供給して溶融、混練し、押出機からシート状に押出して形成する方法等が挙げられる。
本発明の充填材シートを用い、太陽電池素子を封止して、太陽電池モジュールを製造することができる。
上記太陽電池素子は、一般に、受光することで電子が発生する光電変換層、発生した電子を取り出す電極層、及び、ガラス基板から構成される。
上記光電変換層としては、例えば、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、多結晶シリコン、微結晶シリコン等の結晶系半導体、アモルファスシリコン等のアモルファス系半導体、GaAs、InP、AlGaAs、Cds、CdTe、CuS、CuInSe、CuInS等の化合物半導体、フタロシアニン、ポリアセチレン等の有機半導体等から形成されたものを挙げることができる。
上記光電変換層は、単層又は複層であってもよい。
上記光電変換層の厚みは、0.1〜200μmであることが好ましい。
上記ガラス基板としては、光電変換層や電極材が積層されるプロセスに耐え得るガラス基板であって、太陽電池として用いたときに上記光電変換層を汚染するような物質を含まないガラス基板であれば特に限定されず、例えば、ソーダーライムガラス等が挙げられる。
上記ガラス基板の厚みは、0.1〜3mmであることが好ましい。
上記電極層は、電極材料からなる層である。
上記電極層は、必要に応じて、上記光電変換層上にあってもよいし、上記光電変換層とガラス基板との間にあってもよいし、上記ガラス基板面上にあってもよい。
また、上記太陽電池素子は、上記電極層を複数有していてもよい。
受光面側(表面)の電極層は、透明である必要があるため、上記電極材料としては、金属酸化物等の一般的な透明電極材料であることが好ましい。上記透明電極材料としては、特に限定されないが、ITO又はZnO等が好適に使用される。
透明電極を使用しない場合は、バス電極やそれに付属するフィンガー電極を銀等の金属でパターニングしたものであってもよい。
背面側(裏面)の電極層は、透明である必要はないため、一般的な電極材料によって構成されて構わないが、上記電極材料としては、銀が好適に用いられる。
上記太陽電池素子を製造する方法としては、公知の方法であれば、特に限定されず、例えば、シリコンウェハにpn接合面を作成して電極を印刷後焼成する方法や、上記ガラス基板上に上記光電変換層や電極層を配置する方法等の公知の方法により形成することができる。
なお、本発明の充填材シートは、特に大きな段差が生じやすい、ガラス基板上に光電変換層が設けられている、いわゆるCIGSタイプや、薄膜シリコンの太陽電池素子を封止して太陽電池モジュールを製造する用途に特に好適である。
ただし、いわゆる結晶シリコンタイプの太陽電池素子であってもセルや電極材料の部位に段差が生じて太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生することがあり、このような結晶シリコンタイプの太陽電池素子を封止して太陽電池モジュールを製造する用途にも好適に用いることができる。
本発明の充填材シートを用いて、太陽電池素子を封止する方法としては、例えば、透明保護材、本発明の太陽電池モジュール用充填材シート、太陽電池素子、本発明の太陽電池モジュール用充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層して得られた積層体を、静止状態で、減圧下で、その厚み方向に押圧力を加えながら加熱して、太陽電池素子に太陽電池モジュール用充填材シートを圧着させる方法(真空ラミネート法)が挙げられる。なお、光電変換層の受光面側に透明保護材を積層する一方、裏面側には裏面保護材を積層しない態様も挙げられる。
上記積層体を、減圧下で、その厚み方向に押圧力を加えながら加熱する工程は、真空ラミネータ等の従来公知の装置を用いて行うことができる。
上記太陽電池素子、及び、上記太陽電池モジュール用充填材シートは、予め、所望の大きさに調整された矩形状のものを用いるとよい。
上記積層体を、減圧下で、その厚み方向に押圧力を加えながら加熱する工程は、1000Pa以下の減圧雰囲気下で行うのが好ましく、80〜1000Paの減圧雰囲気下で行うのがより好ましい。
上記加熱する工程は、上記積層体を好ましくは100〜170℃、より好ましくは120〜160℃に加熱する。また、その加熱時間は、1〜15分が好ましく、2〜10分がより好ましい。
上記透明保護材は、太陽電池モジュールの光電変換層の受光面側の最外層となり得る層である。
上記透明保護材は、透明性、耐熱性及び難燃性に優れる点で、ガラスからなることが好ましい。
上記透明保護材がガラスからなる場合、上記透明保護材の厚みは0.1〜5mmであることが好ましく、1.0〜3.5mmであることがより好ましい。
上記裏面保護材は、太陽電池モジュールの裏面側(即ち、光電変換層の受光面とは反対側)の最外層となり得る層である。
上記裏面保護材は、水蒸気バリア性や耐候性に優れる点で、ガラスや、ステンレスや、ポリフッ化ビニル/ポリエステル/ポリフッ化ビニル積層シート、ポリエステル/アルミ/ポリエステル積層シート等の樹脂シートからなることが好ましい。なお、上記裏面保護材は、特に透明である必要はない。
上記裏面保護材がガラスやステンレスからなる場合、上記裏面保護材の厚みは0.1〜5mmであることが好ましく、1.0〜3.5mmであることがより好ましい。
上記裏面保護材が積層シートからなる場合、上記裏面保護材の厚みは10〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。
上記透明保護材は、最外層となる表面にエンボス形状を有することが好ましい。上記エンボス形状を有することにより、太陽光の反射ロスを低減したり、ギラツキを防止したり、外観を向上させたりすることができる。
上記エンボス形状は、規則的な凹凸形状であっても、ランダムな凹凸形状であってもよい。
上記エンボス形状は、上記透明保護材を太陽電池素子に貼り合せる前にエンボス賦型しても、太陽電池素子に貼り合せた後でエンボス賦型しても、又は、太陽電池素子と貼り合せる工程で同時に賦型してもよい。
透明保護材、本発明の太陽電池モジュール用充填材シート、太陽電池素子、本発明の太陽電池モジュール用充填材シート及び裏面保護材がこの順に積層一体化されてなる太陽電池モジュールもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、透明保護材、太陽電池素子及び裏面保護材との接着性、耐久性及び耐熱性に優れ、真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合にでも、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる太陽電池モジュール用充填材シート、及び、該太陽電池モジュール用充填材シートを用いてなる太陽電池モジュールを提供することができる。
一般的なリジッドな太陽電池モジュールの断面を表す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
1−ヘキセン含有量が17重量%であるヘキセン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.02重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂100重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z−6040」)0.6重量部とを押出機に供給して250℃にて溶融混練し、押出成形して厚さ500μmの充填材シートを得た。
得られた充填材シートを用いて、以下の方法により太陽電池モジュールを製造した。
先ず、ガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に、薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートとを、所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネート(120℃、150秒で加温して120℃、600秒でプレス)して太陽電池モジュールを作製した。
(実施例2〜4、比較例1、2)
無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂として、表1に示した無水マレイン酸含有量のものを用いた以外は実施例1と同様にして充填材シート及び太陽電池モジュールを製造した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた充填材シート、太陽電池モジュールについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)加工適性の評価1
厚さ2mmのガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートを所定の形状に切断したものとを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして太陽電池モジュールを作製した。
得られた太陽電池モジュールを目視にて観察し、セル充填性について以下の基準で評価した。
◎:太陽電池素子の周辺部に空隙が認められなかった。
○:太陽電池素子の周辺部に4辺の内、空隙が1辺にのみ認められた。
△:太陽電池素子の周辺部に4辺の内、空隙が2辺に認められた。
×:太陽電池素子の周辺部の4辺の内、空隙が3辺以上に認められた。
××:この条件では十分なラミネート封止が出来なかった。
また、得られた太陽電池モジュールを目視にて観察し、はみ出し性について以下の基準で評価した。
◎:ラミネート終了後に装置から取り出したときに充填剤のはみ出しが認められず、はみ出した充填剤の装置へ付着も認められなかった。
×:はみ出した充填剤が装置へ付着していた。
(2)加工適性の評価2
タブ線が半田付けされた結晶シリコン系太陽電池素子4枚を準備し、その電極同士をつなぎ合わせた。一方、実施例、比較例で得られた充填材シートを所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、結晶シリコン系太陽電池素子を4枚電極でつなぎ合わせたもの、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして太陽電池モジュールを作製した。
得られた太陽電池モジュールを目視にて観察し、セル充填性について以下の基準で評価した。
◎:4枚の結晶シリコン系太陽電池素子の全てにおいて電極周辺部に空隙が認められなかった。
○:電極周辺部に空隙が認められた結晶シリコン系太陽電池素子が1枚あった。
△:電極周辺部に空隙が認められた結晶シリコン系太陽電池素子が2枚あった。
×:電極周辺部に空隙が認められた結晶シリコン系太陽電池素子が3枚以上あった。
××:ラミネート時に結晶シリコン系太陽電池素子に割れが発生した。
(3)耐熱性(耐熱クリープ性)の評価
実施例、比較例で得られた充填材シートを、2cm×2cmの大きさに切断したものを用意した。
次に、厚さ4mm、5cm×5cmの強化ガラス1(AGCファブリテック社製、白板型板熱処理硝子)、充填材シート、及び、厚さ4mm、10cm×10cmの強化ガラス2(AGCファブリテック社製、白板型板熱処理硝子)をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして積層体を作製した。
得られた積層体における強化ガラス1の位置を強化ガラス2にマジックで印を入れた後、120℃のオーブンに垂直に設置した。設置24時間後に、強化ガラス1の位置のズレを測定し、以下の基準で耐熱性を評価した。
◎:ズレが0.5mm未満であった。
△:ズレが0.5mm以上、2mm未満であった。
×:ズレが2mm以上であった。
(4)ガラス接着性の評価
厚さ3.2mmのフロートガラス板(AGCファブリテック社製、青板フロート熱処理硝子)と、保持基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、実施例、比較例で得られた充填材シートを所定の形状に切断したものとを準備した。
次に、フロートガラス板、充填剤シート、及び、保持基材をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして積層体を作製した。得られた積層体を85℃、85%の高温高湿槽中に500時間高温高湿処理した。
高温高湿処理の前後において、JIS K 6854に準ずる180°剥離試験法により、剥離速度300mm/分の条件で充填剤シートをフロートガラス板から剥離したときの剥離強度を測定し、以下の基準でガラス接着性を評価した。
◎:高温高湿処理後の剥離強度が150N/cm以上、かつ、高温高湿処理前後における剥離強度の保持率が90%以上。
○:高温高湿処理後の剥離強度が80N/cm以上、150N/cm未満、かつ、高温高湿処理前後における剥離強度の保持率が90%以上。
△:高温高湿処理後の剥離強度が80N/cm以上、かつ、高温高湿処理前後における剥離強度の保持率が90%未満、又は、高温高湿処理後の剥離強度が50N/cm以上、80N/cm未満。
×:高温高湿処理後の剥離強度が50N/cm未満、又は、高温高湿処理前後における剥離強度の保持率が50%以下。
××:ラミネート後にも接着せず、積層体が得られなかった。
(5)裏面保護材接着性の評価
市販の裏面保護材(Coveme社製、商品名「dyMat PYE3000」、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含む積層樹脂シート)と、保持基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、実施例、比較例で得られた充填材シートを所定の形状に切断したものとを準備した。
次に、裏面保護材、充填剤シート、及び、保持基材をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして積層体を作製した。
得られた積層体について、万能試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1310A)を用いて、剥離速度300mm/分の条件でT字ピール試験を行い、剥離強度を測定し、以下の基準で裏面保護材接着性を評価した。
◎:剥離強度が50N/cm以上であった。
○:剥離強度が20N/cm以上、50N/cm未満であった。
△:剥離強度が5N/cm以上、20N/cm未満であった。
×:剥離強度が5N/cm未満であった。
××:ラミネート後にも接着せず、積層体が得られなかった。
(6)高温高湿耐久性の評価
厚さ2mmのガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートを所定の形状に切断したものとを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネータ(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVL1222S」)を用い、120℃、150秒間加温・脱気した後、120℃、600秒間の条件でプレスして太陽電池モジュールを作製した。
得られた太陽電池モジュールの初期発電特性(Pmax)を、ソーラーシミュレーター(日清紡メカトロニクス社製、商品名「PVS1222i」)を用いて測定した。次いで、高温高湿試験機(エスペック社製、商品名「SML−2」)にて85℃85%RHに保持し、所定時間後のPmaxを測定し、初期からの減衰が90%を切るまでの時間を得たうえで、以下の基準により高温高湿耐久性を評価した。なお、ソーラーシミュレーターによるPmax測定時には事前に光照射によるセルの回復を行った後に評価を行った。
◎:90%を切るまでに1000時間以上を要した。
○:90%を切るまでに500時間以上、1000時間未満を要した。
△:90%を切るまでに250時間以上、500時間未満を要した。
×:250時間未満で90%を切った。
Figure 2014187172
(実施例5)
1−ヘキセン含有量が17重量%であるヘキセン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.05重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂100重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z−6040」)0.2重量部とを押出機に供給して250℃にて溶融混練し、押出成形して厚さ500μmの充填材シートを得た。
得られた充填材シートを用いて、以下の方法により太陽電池モジュールを製造した。
先ず、ガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に、薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートとを、所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネート(80℃、150秒で加温して120℃、600秒でプレス)して太陽電池モジュールを作製した。
(実施例6〜9、比較例3〜5)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを表2に示したように変更、又は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えて2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z6043」)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SZ−6030」)を用いた以外は実施例5と同様にして充填材シート及び太陽電池モジュールを製造した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた充填材シート、太陽電池モジュールについて、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
Figure 2014187172
(実施例10)
1−ヘキセン含有量が5重量%であるヘキセン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.05重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂100重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z−6040」)0.6重量部とを押出機に供給して250℃にて溶融混練し、押出成形して厚さ500μmの充填材シートを得た。
得られた充填材シートを用いて、以下の方法により太陽電池モジュールを製造した。
先ず、ガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に、薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートとを、所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネート(80℃、150秒で加温して120℃、600秒でプレス)して太陽電池モジュールを作製した。
(実施例11〜19、比較例6、7)
無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を表3に示したように変更した以外は実施例10と同様にして充填材シート及び太陽電池モジュールを製造した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた充填材シート、太陽電池モジュールについて、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表3に示した。
Figure 2014187172
(実施例20)
1−ブテン含有量が15重量%であるブテン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.05重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂50重量部と、1−ヘキセン含有量が17重量%であるヘキセン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.05重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂50重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z−6040」)0.6重量部とを押出機に供給して250℃にて溶融混練し、押出成形して厚さ500μmの充填材シートを得た。
得られた充填材シートを用いて、以下の方法により太陽電池モジュールを製造した。
先ず、ガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に、薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートとを、所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネート(80℃、150秒で加温して120℃、600秒でプレス)して太陽電池モジュールを作製した。
(実施例21)
1−ブテン含有量が15重量%であるブテン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性され、かつ、無水マレイン酸の含有量が0.3重量%である無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂30重量部と、1−ヘキセン含有量が17重量%であるヘキセン−エチレン共重合体、70重量部と、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z−6043」)0.6重量部とを押出機に供給して250℃にて溶融混練し、押出成形して厚さ500μmの充填材シートを得た。
得られた充填材シートを用いて、以下の方法により太陽電池モジュールを製造した。
先ず、ガラス基材(旭硝子社製、青板フロートガラス)上に、薄膜状のCIGSからなる光電変換層が形成された太陽電池素子と、実施例、比較例で得られた充填材シートとを、所定の形状に切断したものを用意した。
次に、ガラスからなる透明保護材、充填材シート、太陽電池素子、充填材シート、及び、裏面保護材をこの順に積層し、これを真空ラミネート(80℃、150秒で加温して120℃、600秒でプレス)して太陽電池モジュールを作製した。
(評価)
実施例で得られた充填材シート、太陽電池モジュールについて、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表4に示した。
Figure 2014187172
本発明によれば、透明保護材、太陽電池素子及び裏面保護材との接着性、耐久性及び耐熱性に優れ、真空ラミネート法によりリジッドな太陽電池モジュールを製造した場合にでも、太陽電池素子と充填材シートとの間に空隙が発生するのを防止することができる太陽電池モジュール用充填材シート、及び、該太陽電池モジュール用充填材シートを用いてなる太陽電池モジュールを提供することができる。
B 太陽電池素子
5 透明保護材
6 裏面保護材
7 空隙
8 充填材シート

Claims (5)

  1. 無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂を含有するオレフィン系樹脂100重量部に対して下記一般式(I)で表されるエポキシ基を有するシラン化合物0.1〜3.0重量部を含有する太陽電池モジュール用充填材シートであって、
    前記無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、α−オレフィンの含有量が5〜25重量%であるα−オレフィン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであり、
    前記オレフィン系樹脂中の無水マレイン酸の総含有量が0.01〜0.1重量%である
    ことを特徴とする太陽電池モジュール用充填材シート。
    Figure 2014187172
    式(I)中、Rは、3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基を示し、Rは、炭素数が1〜3であるアルキル基を示し、Rは、炭素数が1〜3であるアルキル基を示し、かつ、nは0又は1である。
  2. 無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、1−ブテンの含有量が12〜18重量%であるブテン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用充填材シート。
  3. 無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、1−ヘキセンの含有量が14〜20重量%であるヘキセン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用充填材シート。
  4. 無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂は、1−オクテンの含有量が17〜24重量%であるオクテン−エチレン共重合体が無水マレイン酸でグラフト変性されたものであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用充填材シート。
  5. 透明保護材、請求項1、2、3又は4記載の太陽電池モジュール用充填材シート、太陽電池素子、請求項1、2、3又は4記載の太陽電池モジュール用充填材シート及び裏面保護材がこの順に積層一体化されてなることを特徴とする太陽電池モジュール。
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