以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態にかかる小便器装置の要部構成を表すブロック図である。
すなわち、図1は、小便器装置10の水路系と電気系の要部構成を表している。
小便器装置10は、給水機能部100と、を備える。小便器装置10は、小便器210をさらに備えてもよい。小便器210は、男性用小便器である。小便器210は、ボウル部211(図2参照)と、トラップ部213と、を有する。トラップ部213は、ボウル部211の下部に設けられ、トラップ部213自身の内部において封水を形成する。これにより、トラップ部213は、小便器装置10の後方に設けられた図示しない横引排水配管などから悪臭や害虫類などがトイレ室に侵入することを防止することができる。トラップ部213には、尿および水が流れ込む。
給水機能部100は、制御部110と、人体検知部120と、流路切替弁130と、洗浄水供給部140と、機能水生成部150と、洗浄水散水部160と、を有する。給水機能部100は、小便器210と別に形成され、小便器210に取り付けられてもよいし、小便器210と一体に形成されてもよい。
流路切替弁130は、制御部110から送信された信号に基づいて、図示しない給水源(例えば水道あるいはタンクなど)から供給された水が洗浄水供給部140へ導かれる状態と、給水源から供給された水が洗浄水散水部160へ導かれる状態と、を切り替える。流路切替弁130は、洗浄水供給部140への給水と洗浄水散水部160への給水とを個別に切り替える。流路切替弁130は、洗浄水供給部140及び洗浄水散水部160のいずれか一方のみに給水することができるとともに、洗浄水供給部140及び洗浄水散水部160の双方に給水することができる。
洗浄水供給部140は、スプレッダ141を有する。洗浄水供給部140は、流路切替弁130を介して給水源から供給された水を、スプレッダ141から小便器210のボウル部211に向けて吐水する。図1に表したように、給水源から洗浄水供給部140に供給される水は、機能水生成部150を通過しない。そのため、洗浄水供給部140は、給水源から供給された水であって機能水ではない水(以下、この水を「真水」と称する。)を小便器210のボウル部211に吐水する。つまり、図1に表した例では、機能水は、洗浄水供給部140がボウル部211に吐水する水としては利用されない。真水は、給水源から供給される水道水や雑用水である。
洗浄水散水部160は、散水部161を有する。散水部161には、散水孔161aが設けられている。散水孔161aの数は、図1に表したように1つには限定されない。洗浄水散水部160は、機能水生成部150において生成された機能水であって液滴化された機能水を散水部161の散水孔161aから小便器210のボウル部211の内部空間に供給する。散水孔161aから小便器210のボウル部211に供給された機能水は、アンモニアを溶解することができる。洗浄水散水部160が散水する液滴化された機能水の径は、例えば約10マイクロメートル(μm)以上1200μm以下程度である。洗浄水散水部160の散水する水は、機能水に限ることなく、真水でもよい。例えば、小便器210の使用前に数μmの径を有する真水をボウル部211に向けミスト状に散水すれば、ボウル部211の内部空間に漂う臭気を抑制することができる。また、小便器210の側面や周辺の床に真水が付着した場合でも、散水時間が短ければ極微量であるため比較的早く乾き、使用者へ不快感を与えない。
ここで、アンモニアの発生のメカニズムは、例えば次の通りである。
すなわち、小便器210に排尿がなされると、尿は、小便器210の表面に付着したり、トラップ部213の封水(滞留水)に滞留する。滞留した尿に、空気中や便器表面等に存在する一般細菌が付着する。一般細菌は尿から栄養を吸収し、ウレアーゼ酵素を出す活動が活性化され、ウレアーゼ酵素より尿素の分解抑制が促進される。尿素はアンモニアと二酸化炭素に分解され、そのアンモニアが悪臭の一因となる。また、発生したアンモニアにより、分解物の水素イオン濃度(pH)がアルカリ性に偏り、pHが8.0から8.5を超えてアルカリ性に偏ると、尿中に溶解していたカルシウムイオンが、難溶性のカルシウム化合物(リン酸カルシウム等、また一般的に尿石と呼ばれる)になる。この尿石が菌の温床となり、加速度的にこれまでの過程を繰り返し、一層のアンモニアを発生させることとなる。
小便器210の表面に付着した尿やトラップ部213の封水に滞留した尿の菌が活性化するには、所定の時間がかかる。「所定の時間」とは、例えば約2時間以上である。そのため、尿が小便器210の表面に付着したり、トラップ部213の封水に滞留してから2時間未満であれば、pHの上昇を抑え、臭いや尿石(汚れ)の発生を抑制することができる。
機能水生成部150は、洗浄水散水部160の上流の側に設けられている。図1に表した給水機能部100では、機能水生成部150は、流路切替弁130と、洗浄水散水部160と、の間に設けられている。機能水生成部150は、制御部110から送信された信号に基づいて、流路切替弁130を介して給水源から供給された水により機能水を生成することができる。機能水は、アンモニアを溶解および分解することができる。
例えば、機能水生成部150は、電解槽を有する。電解槽の内部には、陽極板および陰極板が設けられている。機能水生成部150は、制御部110から送信される信号に基づいて、電解槽の内部を流れる水道水や雑用水を電気分解する。ここで、水道水は、塩化物イオンを含んでいる。塩化物イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に例えば食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)などとして含まれている。そのため、塩化物イオンを電気分解することにより次亜塩素酸が生成される。その結果、機能水生成部150において電気分解された水(電解水)は、次亜塩素酸を含む液(機能水)に変化する。
次亜塩素酸は、例えば、消臭成分あるいは殺菌成分として機能する。次亜塩素酸を含む液は、アンモニアを溶解したり、分解したり、あるいは一般細菌などを減らしたりすることができる。
なお、本実施形態の機能水生成部150は、次亜塩素酸を含む液を生成することに限定されるわけではない。機能水生成部150において生成される機能水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成部150において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む液であってもよい。あるいは、機能水生成部150において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。これらの中でも、次亜塩素酸を含む液は、アンモニアをより溶解および分解することができる。また、機能水生成部150は、電解槽と、陽極板と、陰極板と、を有する電解槽ユニットに限定されるわけではない。
機能水生成部150が制御部110から送信される信号に基づいて機能水を生成すると、洗浄水散水部160は、機能水生成部150において生成された機能水であって液滴化された機能水を散水孔161aからボウル部211の内部空間に散水する。
洗浄水散水部160の散水部161からボウル部211の内部空間へ向け散水される機能水の水量は、ボウル部211に向けて散水される機能水の水量に対して1〜3割程度が好ましく、比較的少流量の水で小便器210の衛生性を効率よく維持できる。
人体検知部120は、小便器210の前方にいる人体、すなわち小便器210から前方へ離間した位置に存在する人体の検知を行う。言い換えれば、人体検知部120は、小便器210の使用を検知する。
人体検知部120は、人体の検知を行い、検知情報を制御部110に入力する。制御部110は、人体検知部120からの検知情報を基に、小便器210の前に人体がいるか否かを判定する。制御部110は、人体検知部120からの検知情報に基づく人体の存在の判定結果に応じて、流路切替弁130、洗浄水供給部140、機能水生成部150及び洗浄水散水部160などの各部の動作を制御する。
ここで、給水源から供給される水として、飲用に適する水道水が利用される場合がある一方で、水道水を使用した後の水(排水)を原水とする雑用水や、雨水を原水とする雑用水が利用される場合がある。雑用水(例えば「中水」)においては、水道水と比較して、最小限の水質管理がなされる場合がある。そのため、雑用水に含まれる有機物が比較的多い場合がある。雑用水に含まれる有機物が多いと、その有機物を栄養源とする菌や微生物が増殖し集合体を生成することがある。菌や微生物の集合体は、例えばバイオフィルムなどと呼ばれる。
バイオフィルムのサイズが大きくなると、散水部161の散水孔161aがバイオフィルムの生成により詰まる場合がある。散水孔161aの直径は、例えば約0.5ミリメートル(mm)以上、3mm以下程度である。散水孔161aがバイオフィルムの生成により詰まると、散水孔161aから散水される機能水の吐水方向が定まらず、ボウル部211の内部空間に散水することができない場合がある。すると、小便器210から発生する臭いや、小便器210に発生する汚れを抑制する程度が低減する。
これに対して、本実施形態の洗浄水散水部160は、機能水生成部150において生成された機能水であって液滴化された機能水を散水孔161aからボウル部211の内部空間に散水する。これにより、雑用水中に含まれる菌や微生物を殺滅し、洗浄水散水部160の上流においてバイオフィルムが生成することを抑制することができる。そのため、洗浄水散水部160の散水孔161aがバイオフィルムの生成により詰まることを抑制することができる。また、水が洗浄水散水部160から意図しない方向に散水されることを抑制することができる。
洗浄水散水部160から散水された機能水は、ボウル部211の内部に生成されたアンモニアおよびボウル部211の周辺に存在するアンモニアの少なくともいずれかを溶解し分解する。ボウル部211の周辺に存在するアンモニアとは、例えば、ボウル部211の周辺に漂うアンモニアあるいはボウル部211の周辺に浮遊しているアンモニアをいう。これにより、洗浄水散水部160は、小便器210から発生するアンモニアによる臭いを抑制することができる。また、洗浄水散水部160が機能水を散水すると、例えばアンモニアを溶解した水が小便器210の周りに付着し蒸発しても、アンモニアによる臭いが再び発生することを抑制することができる。
洗浄水供給部140は、例えば、小便器210のボウル部211に真水を供給し、小便器210に付着した尿を除去し、例えば体毛などの異物を除去する。また、洗浄水供給部140は、小便器210のトラップ部213に真水を供給し、トラップ部213の内部の封水を新たに供給された真水で置換することができる。
前述したように、洗浄水散水部160が散水する液滴化された水の径は、約10μm以上である。これにより、洗浄水散水部160から散水された液滴が空間を浮遊し続ける程度が低くなり、意図しない空間まで飛散することを抑制することができる。そのため、洗浄水散水部160から散水された液滴により、使用者が濡れたり、小便器210の周りが濡れることを抑制することができる。また、洗浄水散水部160が散水する液滴化された水の径は、約1200μm以下である。これにより、洗浄水散水部160から散水された液滴が比較的早く落下し、アンモニアを溶解する効果が低下することを抑制することができる。
ここで、水の径の数値の定義について述べる。洗浄水散水部160から散水される水の径は、一般的に一定の範囲を持っている。粒径の積算%の分布曲線が50%の横軸と交差するポイントの粒子径(50%径:一般的にメディアン径と呼ばれる)を、水の径とする。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態にかかる小便器装置を表す正面図及び断面図である。
図2(b)は、図2(a)に表した切断面A1−A1における断面図である。
図2(a)及び図2(b)に表したように、小便器210のボウル部211は、立位面211aと、ボウル面211bと、を有する。立位面211aは、小便器210の使用者と対向する。すなわち、立位面211aは、ボウル部211において前方を向く面である。ボウル面211bは、立位面211aの下方に設けられる。ボウル面211bは、凹状に形成され、使用者の尿などを受ける。
また、ボウル部211は、ボウル面211bの上方を開放させている。立位面211aは、ボウル面211bの後方から連続して上方に延びる。立位面211aとボウル面211bとの間には、段差などが形成されていない。また、小便器210では、立位面211aの上端が、小便器210の上端である。小便器210では、ボウル面211bの全体が、上方に開放されている。すなわち、ボウル部211では、立位面211aの上に天板などが設けられていない。ボウル部211では、ボウル面211bの上方が天板などで覆われない。天板などを支えるための側板を必要としないため、排尿時に使用者に与える圧迫感を抑えることができ、小便器210に対するアプローチ性を高めることができる。側板を有する小便器と比較すると、使用者がより小便器210のボウル面211bへ接近できるため排尿時に床へ飛散する尿汚れを軽減し衛生性、快適性の向上を図れる。
洗浄水散水部160の散水部161は、立位面211aの上部に設けられている。散水部161は、ボウル部211の下方へ液滴化された機能水を散水する。ここでいう「下方」とは、鉛直方向の下向きに限定されず、水平方向から下側の方向を含む。つまり、ここでいう「下方」とは、水平方向および水平方向よりも上側の方向を除く方向をいう。
散水部161から散水された機能水は、ボウル面211bの略全体にかかる。一方、立位面211aでは、散水部161よりも上側の部分などにおいて、散水された機能水のかからない領域が生じる。このように、立位面211aは、散水領域SAと非散水領域NAとを有する。散水領域SAは、立位面211aのうち、散水部161から散水された水がかかる領域である。非散水領域NAは、立位面211aのうち、散水領域SAの上方の散水された水がかからない領域である。
人体検知部120は、立位面211aの非散水領域NA又は非散水領域NAの裏側のボウル部211の背面211cに設けられる。換言すれば、人体検知部120は、ボウル部211のうち、前後方向において非散水領域NAと重なる位置に配置される。すなわち、人体検知部120は、立位面211aのうち、散水された水のかからない領域に配置される。人体検知部120は、例えば、散水部161の上方に配置される。人体検知部120の位置は、これに限ることなく、非散水領域NAと重なる任意の位置でよい。
この例において、人体検知部120は、立位面211aの背面211c側に設けられる。人体検知部120には、例えば、電波によるドップラー効果を利用したセンサ(マイクロ波センサ)が用いられる。ボウル部211には、一般的に陶磁器が用いられる。マイクロ波センサに用いられるマイクロ波は、陶磁器製のボウル部211を透過する。従って、マイクロ波センサを人体検知部120に用いた場合には、背面211c側に配置した場合でも、適切に人体を検知することができる。マイクロ波センサを人体検知部120として用いる場合、マイクロ波の周波数はGHz(ギガヘルツ)帯が好ましく、例えば、10.50GHz以上10.55GHz以下、24.05GHz以上24.25GHz以下である。
人体検知部120は、立位面211a側に設けてもよい。この場合、人体検知部120には、例えば、赤外線投受光式センサ(赤外線センサ)や、焦電方式センサ(焦電センサ)などを用いてもよい。
このように、散水部161は、ボウル部211の上部から下方へ液滴化された機能水を散水する。これにより、ボウル部211の内部には、散水部161から下方へ向かう気流が発生する。そのため、ボウル部211の内部で発生した気流は、アンモニアの上昇を抑えることができる。また、散水部161から散水された機能水は、アンモニアを溶解し、アンモニアを無臭物質に分解する。これにより、小便器210から発生するアンモニアによる臭いを使用者に感じにくくさせることができる。
また、散水部161が液滴化された機能水を散水することにより、ボウル部211の表面にあるアンモニア発生源付近のアンモニアによる臭いを抑制することができることに加え、液滴が空間を通過する際に、空間中に存在するアンモニアによる臭いをも抑制することができる。さらに、単位水量あたりの水の表面積については、洗浄水供給部140から供給されるボウル部211の表面を伝う水の状態よりも、液滴化された水において著しく広くすることができる。結果、機能水がアンモニアと接触する面積を増やし、効率的に臭いを抑制することができる。空間中に存在する臭いは、尿を起因とするアンモニアのみならず、使用者が排尿した後の尿そのものの臭い(例えばコーヒー臭などのような摂取した食物由来の臭い)もある。その臭いについても、液滴化された機能水の散水により臭いを抑制することが可能である。
図3(a)〜図3(c)は、実施形態の洗浄水供給部および洗浄水散水部の具体例を例示する斜視図および断面図である。
具体的には、図3(a)は、洗浄水供給部および洗浄水散水部の具体例を例示する斜視図である。図3(b)は、図3(a)に表した切断面A2−A2における断面図である。図3(c)は、図3(a)に表した切断面A3−A3における断面図である。
図3(a)〜図3(c)に表したように、洗浄水供給部140及び洗浄水散水部160は、互いに一体化されている。図3(b)に表したように、洗浄水供給部140は、スプレッダ141を有する。スプレッダ141の内部には、スプレッダ流路143が設けられている。図3(b)および図3(c)に表したように、スプレッダ流路143の一端には、吐水口145が形成されている。スプレッダ流路143を通して導かれた水は、吐水口145から吐水され、小便器210のボウル部211に供給される。
このように、洗浄水供給部140は、洗浄水散水部160とともに、立位面211aの上部に設けられる。洗浄水供給部140から吐出された水は、立位面211aに沿って下方に流れ、ボウル面211bに至る。
立位面211aは、洗浄水供給部140から吐出された水が流れる吐水領域WAをさらに有する。吐水領域WAは、散水領域SAよりも狭い。吐水領域WAは、散水領域SAの中に含まれる。すなわち、人体検知部120は、散水領域SA及び吐水領域WAのそれぞれと重ならない位置に配置される。人体検知部120は、洗浄水供給部140から吐出された水、及び、洗浄水散水部160から散水された水のそれぞれがかからない位置に配置される。洗浄水供給部140及び洗浄水散水部160は、個別に小便器210に設けてもよい。
洗浄水散水部160は、散水部161と、チューブ163と、を有する。散水部161は、例えばノズルなどを有し、チューブ163の一端に接続されている。散水部161は、散水孔161aを有する。散水部161は、液滴化された水を散水孔161aから散水する。例えば、散水孔161aは、散水部161の内部から外部へ向かって径が広がった形状を有する。例えば、散水孔161aの第1の直径D1は、約0.5mm以上0.8mm以下程度である。例えば、散水孔161aの第2の直径D2は、約2.7mm以上3.0mm以下程度である。チューブ163を通して導かれた機能水は、液滴化された機能水として散水部161から散水され小便器210のボウル部211に供給される。
図4は、実施形態にかかる人体検知部及び制御部の動作を例示する平面図である。
図4に表したように、人体検知部120は、左右方向に広がりを持つ所定の範囲(以下、便宜的に「検知範囲DR」と称す)において、人体Mを検知する。これにより、例えば、小便器210の側方から近づく人体Mを早期に検知することができる。人体検知部120の検知範囲DRの左右方向の幅は、例えば、ボウル部211の左右方向の幅よりも広い。
検知範囲DRの広がり角は、例えば、±50°(±10°以上±60°以下)である。検知範囲DRの半径は、例えば、0.5m以上1.5m以下である。これにより、人体検知部120の検知範囲DRの左右方向の幅を、ボウル部211の左右方向の幅よりも広くすることができる。
例えば、複数台の小便器装置10がトイレルームTRの壁面WSに並べて設けられる場合、隣接する2つの小便器装置10の配設間隔(中心間距離)は、例えば、700mm以上1000mm以下である。従って、上記のように検知範囲DRの広がり角及び半径を設定することにより、側方に隣接する別の小便器装置10の前方付近まで検知範囲DRを広げ、人体Mを早期に検知することができる。このように人体検知部120は、上述のように、マイクロ波センサを用いることによって実現可能である。
制御部110は、人体検知部120の検知情報を基に、人体Mが検知範囲DRにいるか否かを判定する。人体検知部120がマイクロ波センサである場合、検知情報は、人体Mからの反射波の受信電圧の振幅、又は周波数差から求めた速度や移動距離の積算値などである。
制御部110は、例えば、人体検知部120から入力された検知情報が所定の閾値以上の時に、人体Mが検知範囲DRにいると判定する。制御部110は、例えば、人体検知部120から入力された検知情報が閾値未満の時に、人体Mが検知範囲DRにいないと判定する。
ここで、人体Mが「検知範囲DRにいる状態」とは、例えば、手や足など人体Mの少なくとも一部が検知範囲DRの中に入っている状態である。人体Mが「検知範囲DRにいない状態」とは、例えば、人体Mの全体が検知範囲DRに入っていない状態である。
制御部110は、例えば、人体検知部120の検知状態が、検知範囲DRにいない状態からいる状態に切り替わった時に、人体Mが検知範囲DRに入ったと判定する。そして、制御部110は、例えば、人体検知部120の検知状態が、検知範囲DRにいる状態からいない状態に切り替わった時に、人体Mが検知範囲DRから出たと判定する。
このように、検知範囲DRは、換言すれば、制御部110における人体検知部120の検知情報の閾値である。人体検知部120が光電センサ(赤外線センサ)である場合、人体検知部120の検知情報は、受光部の電圧である。人体検知部120が焦電センサである場合、検知情報は、人体Mから放出された赤外線の入射量に応じた電圧である。閾値は、人体検知部120の種類などに応じて適宜設定すればよい。
次に実施形態にかかる小便器装置10の動作について説明する。
図5〜図9は、実施形態にかかる小便器装置の動作を例示するフローチャートである。
小便器装置10は、検知範囲DRに人体Mが入ると、初期待機状態から少流量洗浄モードに移行する。
少流量洗浄モードでは、人体Mが検知範囲DR内で検知されている間、待機状態が継続される(ステップS01およびS02)。
人体Mが検知範囲DR内で検知されなくなると、洗浄水供給部140のスプレッダ141からボウル部211への吐水が行われ、小便器210の洗浄が開始される(ステップS03)。
小便器210の洗浄は、洗浄開始から所定時間Xの間、継続される(ステップS04)。
洗浄開始から所定の時間が経過すると、洗浄水供給部140による洗浄が停止される(ステップS05)。一例として、ステップS03〜S05の、洗浄水供給部140による洗浄の開始から停止まで、約0.5Lの真水がボウル部211に吐水される。
ステップS05の後、直近の多流量洗浄モードの実行後における少流量洗浄モードの実行回数と、予め設定されていた回数と、の比較が行われる(ステップS06)。少流量洗浄モードの実行回数が所定回数を超えている場合、多流量洗浄モードに移行する。少流量洗浄モードの実行回数が所定回数以下である場合は、第1散水洗浄モードに移行する。
なお、ステップS06を省略し、少流量洗浄モードの実行回数に関する判定を行わずにステップS05の後に第1散水洗浄モードに移行してもよい。
一方で、初期待機状態において検知範囲DR内において人体Mが検知されず、所定時間が経過した場合、多流量洗浄モードに移行する。なお、多流量洗浄モードへ移行する際の所定時間との比較には、小便器210が使用されていない時間の合計や、小便器210が連続して使用されていない時間などを用いることができる。
多流量洗浄モードでは、まず、洗浄水供給部140からボウル部211への吐水が行われ、小便器210の洗浄が開始される(ステップS11)。洗浄水供給部140を用いた洗浄は、所定時間Yの間、継続される(ステップS12)。
所定時間Yが経過すると、検知範囲DR内に人体Mが存在しないか、判定が行われる(ステップS13)。人体Mが検知された場合、第1待機モードまたは第2待機モードに移行する。人体Mが検知されない場合は、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が終了する(ステップS14)。
このとき、洗浄水供給部140からボウル部211へ吐水される総水量は、ステップS03において洗浄水供給部140からボウル部211へ吐水される総水量よりも多い。具体的な一例を挙げると、多流量洗浄モードと少流量洗浄モードでは、洗浄水供給部140から吐水される単位時間あたりの水量を同じであり、多流量洗浄モードにおいて吐水される所定時間Yが、少流量洗浄モードにおいて吐水される所定時間Xよりも長い。一例として、ステップS11〜S14の、洗浄水供給部140による洗浄の開始から停止まで、約2.0Lの真水がボウル部211に吐水される。
あるいは、ステップ13に代えて、ステップS14の後のステップS15において、検知範囲DR内に人体Mが存在しないか判定が行われてもよい。人体Mが検知された場合、第1待機モードまたは第2待機モードに移行する。人体Mが検知されない場合は、第2散水洗浄モードに移行する。
次に、図6を用いて、第1散水洗浄モードについて説明する。
第1散水洗浄モードに移行すると、まず、散水部161からボウル部211の内部空間への散水が行われる(ステップS21)。続いて、散水が行われてから所定時間Aが経過したか、判定される(ステップS22)。所定時間Aが経過すると、散水を停止する(ステップS23)。そして、第1散水洗浄モードを終了し、初期待機状態に移行する。
一方で、所定時間Aが経過する前に検知範囲DR内に人体Mが検知されると、散水が停止される(ステップS24およびS25)。散水が停止された後は、所定時間が経過したか否かの判定(ステップS26)および検知範囲DR内における人体の有無の判定(ステップS27)が行われる。検知範囲DR内に人体Mが検知された状態のまま、所定時間が経過すると、第1散水洗浄モードを終了し、初期待機状態に移行する。
所定時間が経過しないうちに、検知範囲DR内において人体Mが検知されなくなった場合、再度ステップS21が実行され、散水部161から散水が行われる。
次に、図7を用いて、第2散水洗浄モードについて説明する。
第2散水洗浄モードに移行すると、まず、洗浄水散水部160からボウル部211の内部空間への散水が行われる(ステップS41)。
続いて、散水を開始してから所定時間経過したか判定される(ステップS42)。所定時間が経過すると、機能水生成部150が駆動され、機能水が生成される(ステップS43)。このとき、洗浄水散水部160による散水は継続して行われているため、ステップS43の実行後は、洗浄水散水部160から機能水が散水される。
なお、ステップS42を省略し、ステップS41とS43を同時に実行することも可能である。
続いて、機能水生成部の駆動から所定時間Bが経過したか判定される(ステップS44)。所定時間Bが経過した(所定時間Bの間機能水が散水された)場合、機能水生成部150を停止し(ステップS45)、散水を停止する(ステップS46)。そして、第2散水洗浄モードを終了し、初期待機状態に移行する。一例として、ステップS43〜S45の、機能水生成部150の駆動から機能水生成部150の停止までの間、約0.5Lの機能水がボウル部211に散水される。
なお、ステップS45およびS46は、同時に実行されてもよい。
所定時間Bは、例えば、図6に表した第1散水洗浄モードのステップS22の所定時間Aよりも長く設定される。これは、ステップS21における洗浄水散水部160からの散水は、ボウル部211の洗浄を目的として行われるのに対して、ステップS43における洗浄水散水部160からの機能水の散水は、ボウル部211やトラップ部213、トラップ部213と連通した配管の除菌を目的として行われるためである。
また、所定時間Bは、例えば、図5に表した多流量洗浄モードのステップS12の所定時間Yよりも短く設定される。これは、ステップS11における洗浄水供給部140からの吐水は、大流量の水によりボウル部211の汚れを流すのに対して、ステップS43における洗浄水散水部160からの機能水の散水は、前述のとおり除菌を目的としており、大流量の機能水を必要とするものではないためである。また、所定時間Bを所定時間Yよりも短く設定することで、機能水生成部150の寿命を長期化することも可能である。
所定時間Bが経過する前に検知範囲DR内で人体Mが検知されると、機能水生成部が停止される(ステップS47およびS48)。続いて、散水が停止される(ステップS49)。
なお、ステップS48およびS49は、同時に実行されてもよい。
散水が停止された後は、検知範囲DR内に人体Mが検知された状態で、所定時間が経過したか判定される(ステップS50)。所定時間が経過したと判定されると、第2散水洗浄モードを終了し、初期待機状態に移行する。
所定時間が経過していない間は、検知範囲DR内で人体Mが検知されるか判定される(ステップS51)。検知範囲DR内で人体Mが検知されない場合、再度ステップS41が実行され、洗浄水散水部160から散水が行われる。
なお、ステップS51の後にステップS41が再度行われる場合、ステップS44における所定時間は、例えば予め設定された時間Bである。あるいは、時間Bから、以前のステップS43〜S48までの間に機能水が散水された時間を減じた時間を、ステップS44における所定時間として用いても良い。
次に、第1待機モードおよび第2待機モードについて、説明する。
図5に表したフローチャートにおいて、ステップS13の判定結果またはステップS15の判定結果に基づいて、第1待機モードまたは第2待機モードが実行される。
まず、第1待機モードについて、図8を用いて説明する。
第1待機モードでは、最初に、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄を終了する(ステップS61)。ステップS15から分岐して第1待機モードへ移行した場合は、ステップS61において、洗浄水供給部140からの吐水の停止が継続される。続いて、人体Mが検知された状態で所定時間が経過したか判定される(ステップS62)。
所定時間が経過していない間は、検知範囲DR内において人体Mが検知されるか判定される(ステップS63)。検知範囲DR内で人体Mが検知されない場合、第1待機モードを終了し、第2散水洗浄モードへ移行する。
ステップS62で所定時間が経過したと判定された場合、初期待機状態へ移行する。その後、図5のフローチャートに表した少流量洗浄モードが実行されたか判定される(ステップS64)。少流量洗浄モードが実行されると、少流量洗浄モードの実行回数に関わらず(ステップS06の判定結果に関わらず)、第2散水洗浄モードに移行する。
この第1待機モードは、例えば、小便器が複数台併設されるトイレルームに、小便器装置10が設置される場合に有効である。小便器が複数台併設される場合、人体Mが、他の小便器を使用するために、小便器210の前を通り過ぎるだけの場合がある。
第1待機モードによれば、ステップS52およびS53において、人体Mが所定時間の間、検知範囲DR内に検知された場合は、人体Mが小便器210を使用している可能性が高いため初期待機状態に移行する。その一方で、所定時間が経過しないうちに検知範囲DR内に人体Mが検知されなくなった場合は、人体Mは小便器210の前を通り過ぎただけである可能性が高いため、再度、第2散水洗浄モードを開始する。
従って、第1待機モードによれば、小便器210の前を通り過ぎるだけの人体が存在する環境においても、第2散水洗浄モードの実行間隔が延びることによる菌の繁殖を抑制し、効果的に除菌を行うことが可能となる。
次に、第2待機モードについて、図9を用いて説明する。
第2待機モードでは、まず、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄を終了する(ステップS71)。ステップS15から分岐して第2待機モードへ移行した場合は、ステップS71において、洗浄水供給部140からの吐水の停止が継続される。ステップS71の後は、初期待機状態へ移行する。
その後、図5のフローチャートに表した少流量洗浄モードが実行されたか判定される(ステップS72)。少流量洗浄モードが実行されると、少流量洗浄モードの実行回数に関わらず、第2散水洗浄モードに移行する。
第2待機モードは、例えば、小便器が1台、あるいは小便器および大便器が1台ずつ設置されているような、小規模なトイレルームに適している。すなわち、そのようなトイレルームでは、検知範囲DR内に入った人体Mが小便器210を使用する可能性が高い。そのため、洗浄水供給部140による洗浄を終了して初期待機状態に移行した後は、少流量洗浄モードに移行する可能性が高い。少流量洗浄モード後に、第2散水洗浄モードが実行されることで、機能水の散水間隔が長くなり、ボウル部211において菌が繁殖することを抑制できる。
次に、図10〜図13を用いて、各構成要素の動作タイミングの一例を説明する。
図10〜図13は、実施形態にかかる小便器装置の動作を例示するタイミングチャートである。
図10は、第1散水洗浄モードのステップS21〜S26が実行され、少流量洗浄モードのステップS01〜S06が実行された後に、第1散水洗浄モードのステップS21〜S23が実行された場合を表したタイミングチャートである。
図10に表した例では、時刻T0おいて、第1散水洗浄モードのステップS21が実行されている。同時に時刻T0において、人体Mが検知されている。人体Mは、そのまま、所定時間検知されたため、時刻T0´において散水が停止される(ステップS25)。散水が停止されたまま、所定時間が経過したため、初期待機状態に移行する。
続いて、検知範囲DR内に人体Mが存在するため、初期待機状態から少流量洗浄モードに移行する。時刻T1において、人体Mが検知範囲DR内で検知されなくなると、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される(ステップS03)。
洗浄水供給部140による洗浄開始から所定時間Xが経過すると、洗浄水供給部140による洗浄が終了する(ステップS05)。ここでは、少流量洗浄モードが所定回数を超過しておらず、ステップS06においては条件を満たさないものとする。従って、洗浄水供給部140による洗浄後、第1散水洗浄モードに移行する。
第1散水洗浄モードに移行し、時刻T2において、洗浄水散水部160からボウル部211の内部空間に向かって散水が開始される(ステップS21)。その後、人体Mが検知されないまま、所定時間が経過すると、時刻T3において、洗浄水散水部160からの散水が停止される(ステップS63)。
図11は、多流量洗浄モードのステップS11〜S13が実行された後に、第2散水洗浄モードのステップS41〜S50が実行され、初期待機状態に移行する場合を表したタイミングチャートである。
図11に表した例では、時刻T0おいて、多流量洗浄モードのステップS11が実行され、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される。その後、人体Mが検知されないまま所定時間が経過し、T1において洗浄水供給部140による洗浄が終了する。
続いて、人体Mが検知されないため、第2散水洗浄モードに移行し、洗浄水散水部160からボウル部211の内部空間に向かって散水が開始される(ステップS41)。図11に表した例では、ステップS42における所定時間がゼロに設定されているため、洗浄水散水部160による洗浄開始と同時に、機能水生成部150が駆動され、機能水が生成される(ステップS43)。機能水が洗浄水散水部160より散水され、人体Mが検知されないまま、所定時間が経過すると、洗浄水散水部160による洗浄および機能水生成部150が停止し、初期待機状態に移行する。
図12は、多流量洗浄モードのステップS11〜S13が実行された後に、第1待機モードに移行し、その後、第2散水洗浄モードのステップS41〜S50が実行され、初期待機状態に移行する場合を表したタイミングチャートである。
図12に表した例では、時刻T0おいて、多流量洗浄モードのステップS11が実行され、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される。その後、時刻T1において人体Mが検知されると、第1待機モードに移行する。第1待機モードでは、時刻T2において、洗浄水供給部140による洗浄を終了する(ステップS61)。
所定時間が経過せずに、時刻T3において人体Mが検知されなくなると、第2散水洗浄モードに移行する。第2散水洗浄モードでは、図11に表した例と同様に、洗浄水散水部160から散水を行うと同時に、機能水生成部150を駆動させる。これにより、ボウル部211の内部空間へ、機能水が散水される。人体Mが検知されないまま、時刻T4まで所定時間散水が行われると、第2散水洗浄モードを終了し、初期待機状態へ移行する。
図13は、多流量洗浄モードのステップS11〜S13が実行された後に、第1待機モードへの移行、少流量洗浄モードへの移行、および第2散水洗浄モードへの移行がこの順で行われた場合を表したタイミングチャートである。
図13に表した例では、時刻T0おいて、多流量洗浄モードのステップS11が実行され、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される。その後、時刻T1において人体Mが検知されると、第1待機モードに移行する。
第1待機モードでは、時刻T2において、洗浄水供給部140による洗浄を終了する(ステップS61)。そして、人体Mが検知されたまま所定時間が経過すると、初期待機状態に移行する。
初期待機状態においては、人体Mが検知されているため、少流量洗浄モードに移行する。時刻T3において、人体Mが検知されなくなると、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が行われる(ステップS03)。時刻T4において洗浄水供給部140による洗浄が終了すると、ステップS64において、少流量洗浄モードが実行されたと判定され、第2散水洗浄モードへ移行する。
その後、第2散水洗浄モードにおいて、洗浄水散水部160からボウル部211の内部空間に向かって散水が開始されるとともに、機能水生成部150が駆動される(ステップS41およびS43)。人体Mが検知されないまま、時刻T5まで所定時間散水が行われると、第2散水洗浄モードを終了し、初期待機状態へ移行する。
以上で説明した実施形態によれば、少流量洗浄モードにおいて、真水が洗浄水供給部140からボウル部211に吐水され、尿石などの汚れの付着が抑制される。また、第2散水洗浄モードにおいて、機能水が洗浄水散水部160からボウル部211の内部の空間に散水される。このため、ボウル部211における汚れの付着が抑制されるとともに、ボウル部211の内面に広範囲に機能水を付着させ、効果的に除菌することができる。
加えて、第2散水洗浄モードは、小便器210が使用される度に実行される少流量洗浄モードとは異なるタイミングで実行される。第2散水洗浄モードは、例えば、一定時間ごと、あるいは小便器210が所定回数使用された後に実行されるため、第2散水洗浄モードが実行される頻度は、少流量洗浄モードが実行される頻度よりも低い。
すなわち、本実施形態によれば、汚れの付着を抑制し、除菌することで、ボウル部211の汚れや悪臭およびトラップ部213における異物の体積を抑制し、小便器の衛生性を向上させることができる。また、機能水を散水することでボウル部211の内部空間の臭いを抑制するとともに、所定の除菌効果を有するために必要な機能水の濃度を長期間にわたって維持することが可能となる。
第2散水洗浄モードにおいては、洗浄水散水部160から機能水が散水される所定時間B(ステップS44)を、第1散水洗浄モードにおいて、洗浄水散水部160から洗浄水が散水される所定時間A(ステップS22)よりも長くすることが望ましい。第2散水洗浄モードにおいて機能水が散水される時間を長くすることで、ボウル部211を十分に除菌することができる。また、機能水の散水時間を長くすることで、トラップ部213の内部や、トラップ部213と連通する配管内部における機能水の濃度を高め、これらの内部も効果的に除菌することが可能となる。
また、第2散水洗浄モードは、多流量洗浄モードの実行開始以降に実行されることが望ましい。すなわち、第2散水洗浄モードは、多流量洗浄モードと同時、または多流量洗浄モードが実行された後に、実行されることが望ましい。こうすることで、洗浄水供給部140からの吐水により、ボウル部211やトラップ部213の汚れを流した後に、機能水を散水することができるため、より効果的に除菌することが可能となる。
この効果は、第2散水洗浄モードを、多流量洗浄モードが完了した後に実行することでより顕著となる。洗浄水供給部140からの洗浄水の吐水が完了した後に、機能水を散水することで、機能水が洗浄水供給部140からの洗浄水で流されてしまうことを回避することができる。これにより、ボウル部211の内面により長い時間機能水を散水することが可能になるとともに、ボウル部211の内面を機能水によりコーティングするとともにトラップ部213の内部を濃度の高い機能水で封止することが可能となる。このため、第2散水洗浄モードが完了した後においても、ボウル部211およびトラップ部213における菌の繁殖が抑制される。
また、第2散水洗浄モードにおいて、人体Mが検知された場合に、洗浄水散水部160からの散水を行わない(ステップS49)ことで、水が人体Mに掛かってしまう可能性を低減することが可能となる。
このとき、人体Mが検知範囲DR内で検知されなくなった場合は、再び、洗浄水散水部160からの散水が開始されることが望ましい(ステップS41)。散水を再度行うことで、ボウル部211およびトラップ部213の除菌を十分に行うことができるためである。
図14は、実施形態の変形例にかかる小便器装置の要部構成を表すブロック図である。
変形例にかかる小便器装置11は、図1に表した小便器装置10との比較において、機能水生成部151をさらに備える点で相違する。
機能水生成部151は、流路切替弁130と洗浄水供給部140との間に設けられている。機能水生成部151を駆動させることで、洗浄水供給部140に機能水を供給することができる。機能水生成部151の構成は、機能水生成部150の構成と同じでも良いし、異なっていても良い。また、機能水生成部151で生成される機能水の機能は、機能水生成部150で生成される機能水の機能と同じでも良いし、異なっていても良い。
小便器装置11の動作として、図5〜図9のフローチャートで表されるプログラムを実行することができる。
また、小便器装置11の場合、図5に表したフローチャートの、ステップS13の判定結果およびステップS15の判定結果に基づいて、第1待機モードおよび第2待機モードに変えて、図15に表した洗浄継続モードを実行することも可能である。
この洗浄継続モードについて、図15を用いて説明する。
図15は、実施形態の変形例にかかる小便器装置の動作を例示するフローチャートである。
洗浄継続モードでは、まず、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される(ステップS81)。あるいは、ステップS13から分岐して洗浄継続モードへ移行した際は、洗浄水供給部140による洗浄が継続される。
続いて、機能水生成部151を駆動する(ステップS82)。これにより、機能水が洗浄水供給部140からボウル部211へ吐水される。その後、機能水による洗浄を開始してから所定時間が経過したか判定される(ステップS83)。
所定時間が経過した場合、機能水生成部151を停止させ(ステップS84)、洗浄水供給部140による洗浄を終了する(ステップS85)。そして、洗浄継続モードが終了し、初期待機状態に移行する。
ここで、図16は、実施形態の変形例にかかる小便器装置の動作を例示するタイミングチャートである。
具体的には、図16は、多流量洗浄モードのステップS11〜S13が実行された後に、洗浄継続モードに移行する場合を表したタイミングチャートである。
図16に表した例では、時刻T0おいて、多流量洗浄モードのステップS11が実行され、洗浄水供給部140によるボウル部211の洗浄が開始される。その後、時刻T1において人体Mが検知されると、洗浄継続モードに移行する。
洗浄継続モードでは、洗浄水供給部140による洗浄が停止せずに継続される(ステップS81)。そして、洗浄水供給部140からの吐水が行われたまま、時刻T2において機能水生成部151が駆動される(ステップS82)。洗浄水供給部140からの機能水による洗浄が行われ、時刻T2から所定時間が経過して時刻T4になると、機能水生成部151の停止および洗浄水供給部140による洗浄が停止される(ステップS84およびS85)。その後は、洗浄継続モードを終了し、初期待機状態へ移行する。
洗浄継続モードは、例えば、小便器装置10が、使用される頻度が高いトイレルームに設置される場合に適している。本実施形態では、図7のフローチャートのステップS47に表されるように、小便器210の近くに人体Mが検知される場合は、機能水の散水が行われない。従って、小便器210の近くに人体Mが高い頻度で存在する場合、機能水の散水が十分に実行されず、ボウル部211およびトラップ部213の除菌が不十分となる可能性がある。
この洗浄継続モードによれば、機能水生成部151を駆動させ、洗浄水供給部140から機能水を吐水させることが可能となる。洗浄水供給部140から機能水を吐水させることで、洗浄水散水部160から十分に散水できない環境においても、ボウル部211およびトラップ部213を効果的に除菌することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、小便器が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。