JP2017063753A - 加熱処理バニラエキスの製造方法 - Google Patents

加熱処理バニラエキスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バニラビーンズより得られたバニラ抽出液の香気・香味の熟成感、呈味感などを大幅に増強し、トップノートからラストノートまでバランス良く香味を発現させることのできる加熱処理バニラエキスの製造方法を提供すること。【解決手段】バニラ抽出液を、pH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理することを特徴とする加熱処理バニラエキスの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は加熱処理バニラエキスの製造方法に関する。さらに詳しくは、水およびアルコールを含有するバニラ抽出液を、pH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理することで、香気・香味の熟成感、呈味感などを大幅に増強し、トップノートからラストノートまでバランス良く香味を発現させることのできる、加熱処理バニラエキスの製造方法に関する。
バニラ抽出液は、洋菓子や果実酒など、様々な飲食品の香気香味付与剤として古くから広く利用されている重要な抽出液の1種である。天然バニラ抽出液は、バニラビーンズを含水エタノールなどの有機溶媒で抽出処理して得られるバニラエキスの形で市場に供給されている。このようなバニラエキスの中で最も多く流通しているものは、細断したバニラビーンズを約20質量%〜約95質量%の含水エタノールで抽出することにより、水溶性抽出液の形として得られたものである。
しかしながら、上述のようにして得られるバニラ抽出液は、バニラ抽出液特有の嫌な臭いとされるサヤ臭或いはビーンズ臭を有しており、また一般に該抽出液の香気香味付与能は比較的弱いために、飲食品にバニラ特有の香気香味を付与するには、かなりの量を添加しなければならないという欠点を有していた。更に、該抽出液の香気香味は単調で、バニラ抽出液として備えておかなければならないマイルドな熟成感に欠けるという欠点もあった。
このような課題を解消する手段として、例えば、バニラ豆原料を、アミノ−カルボニル反応性成分の添加存在下に、アミノ−カルボニル反応生起条件下で加熱処理してなる持続性バニラフレーバーが提案されている(特許文献1、2)。また、キュアリング処理後のバニラビーンズにエタノールを添加し、エタノールの全量が気化するまで加温して、バニラビーンズを所定時間保持するバニラビーンズの熟成方法(特許文献3)、バニラ豆材料を水および/または水溶性有機溶媒で抽出するにあたり、得られるバニラエキスのpHが7を超えない量のアルカリ存在下に行うバニラエキスの製法(特許文献4)、バニラ豆を50重量%以上のエタノール水溶液で抽出して得た抽出液に水を添加し、生成する水不溶物を除去、濃縮してバニラ豆水溶性エキスを製造する方法であって、糖類、その加熱反応物、糖・アミノ反応物等を添加するバニラ豆水溶性エキスの製法(特許文献5)、などが提案されている。
これらの提案はバニラ特有の嫌な臭いの低減や香気の増強などの点でそれなりの効果はみられるが、香気・香味の熟成感・呈味感などについて十分な効果があるとはいえず、現在の市場の要求に十分対応することまではできていなかった。
特公昭63−21460号公報 特許第2627804号公報 特許第2922687号公報 特許第3342234号公報 特許第3342235号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、バニラビーンズより得られたバニラ抽出液の香気・香味の熟成感、呈味感などを大幅に増強し、トップノートからラストノートまでバランス良く香味を発現させることのできる加熱処理バニラエキスの製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意研究を行ってきたところ、水およびアルコールを含有するバニラ抽出液を、pH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理することによって、香気・香味の熟成感、呈味感などを大幅に増強し、トップノートからラストノートまでバランス良く香気を発現させた加熱処理バニラエキスを得ることができることを見いだした。さらに、本発明により得られる加熱処理バニラエキスを飲食品に添加することにより、上記の格段に優れたバニラ香気および香味を飲食品にも付与できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
(1)バニラ抽出液を、pH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理することを特徴とする加熱処理バニラエキスの製造方法。
(2)バニラ抽出液が水およびアルコールを含有するものである(1)に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(3)アルコールがエタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれる1種または2種以上である、(2)に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(4)バニラ抽出液が、バニラビーンズの水およびアルコールの混合溶媒による抽出液またはその濃縮液である、(1)〜(3)のいずれかに記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(5)バニラ抽出液が、糖類が添加されたものである(1)〜(4)のいずれかに記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(6)糖類が単糖、二糖およびオリゴ糖からなる群から選ばれる1種または2種以上である、(5)に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(7)バニラ抽出液が、アミノ酸が添加されたものである(1)〜(6)のいずれかに記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(8)バニラ抽出液が酵素処理されたものである(1)〜(7)のいずれかに記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の方法により得られる加熱処理バニラエキスを飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の香味改善方法。
本発明によれば、香気・香味の熟成感、呈味感などが大幅に増強され、バランスが良い加熱処理バニラエキスを製造することができ、さらには該加熱処理バニラエキスを飲食品に極微量添加することで、上述の優れたバニラの香気および香味を飲食品にも付与できる。
本発明の実施の態様について更に詳しく説明する。本発明は、バニラ抽出液をpH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理して得られる加熱処理バニラエキスの製造方法である。
本発明で使用するバニラ抽出液の抽出原料となるバニラビーンズは、市場で一般的に入手できるものであれば、特に品種などは問わず、いずれのものを用いてもよい。このようなバニラビーンズとしては、例えば、マダガスカル(ブルボン)バニラビーンズ、メキシカンバニラビーンズ、インドネシアバニラビーンズ、タヒチバニラビーンズおよびその他のハイブリッド種などを挙げることができる。
バニラ抽出液は、バニラビーンズを水および/または水溶性有機溶媒を抽出溶媒として用いて抽出して得ることができる。抽出溶媒としては水あるいは水溶性有機溶媒を単独で用いることもできるが、水溶性有機溶媒と水とを混合して使用する方が好ましい。その場合、混合溶媒の水溶性有機溶媒含有率は、通常20質量%以上で、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、通常90質量%以下で、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であり、濃度の範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。水および/または水溶性有機溶媒の使用量は、一般的には、使用するバニラビーンズ1質量部に対して2〜50質量部程度、好ましくは5〜20質量部程度の範囲が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類;アセトンのようなケトン類;およびエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどの多価アルコール類の中から選ばれる一種もしくは複数種の混合物を例示することができる。または、超臨界炭酸ガスなどの超臨界ガスを抽出溶媒として用い、バニラ抽出液を得る方法が挙げられる。
抽出物中のバニラビーンズを中心とした不溶性固形分については、遠心分離、濾紙または濾布を用いた濾過などの固液分離操作によって除去することができる。濾紙濾過の際は、不溶性固形分の除去効率を向上させるため、セルロースパウダー、ダイヤフロックまたはケイソウ土などの濾過助剤を添加して濾過を行うのが好ましい。濾過は常圧で自然濾過することもできるが、作業時間を効率化するために減圧(吸引)濾過または不活性ガス等による加圧濾過を行うことも可能である。なお、この固液分離操作を行うタイミングは、次工程加熱処理を行う前でも後でもよいが、より清澄な溶液を得るために加熱処理の前と後の両方のタイミングで固液分離操作を行うことも好適である。なお、加熱に際しては、バニラ抽出液から必ずしもバニラビーンズの抽出残渣を除去する必要はなく、バニラビーンズの抽出残渣の一部または全部をバニラ抽出液に含めることもできる。
得られたバニラ抽出液は、そのまま加熱処理に供することもできるが、加熱処理に供するときの濃度を高くすることもできる。バニラ抽出液の濃度を高めるための方法としては、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮などの任意の濃縮手段を採用することができる。
本発明においては、加熱処理に供されるバニラ抽出液に、水およびアルコールを含有させることができる。この場合、前記抽出時に使用した水およびアルコールをそのまま残存させてもよく、抽出時に使用した溶媒を濃縮等の操作を行うことで除去したのち、改めて水およびアルコールを添加することもできる。バニラ抽出液または濃縮液中に含有させることができるアルコールとしては、例えば、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどがあげられる。加熱処理時にアルコールが存在することにより、バニラ由来の有機酸との反応でエステルが増加し、芳醇な香気成分の生成に寄与すると考えられる。なお、バニラ抽出液または濃縮液に存在するアルコールの濃度範囲としては5重量%〜95重量%が例示でき、水の濃度範囲としては5重量%〜95重量%が例示できる。
また、バニラビーンズからバニラ抽出液を調製する際には通常、その抽出効率を高めるため、例えば、バニラビーンズを約1mm〜約10mm程度に輪切りした細断物(短軸方向の細断物)や長軸方向の細断物を使用したり、ミキサー等の物理的手段により粉砕した粉砕物、または、凍結粉砕した粉砕物を使用する。一般的には、抽出方法が含水アルコールによる浸漬抽出である場合には細断物を使用し、撹拌しながら酵素処理等を行う場合には粉砕物を使用する。
以上に述べたように原料および溶媒を用いて本発明に使用するバニラ抽出物の調製を実施する際の一実施態様を例示すれば、例えば、バニラビーンズの長軸方向の細断物に水および/または水溶性有機溶媒を添加して開放系もしくは密閉系で、室温乃至90℃の温度において10分〜48時間、静置、撹拌もしくはカラム循環抽出し、冷却後、不溶性固形分を遠心分離、濾過などの固液分離操作によって除去することにより、バニラ抽出物を得ることができる。
なお、抽出後の細断物の残渣をさらに、新たな溶媒(最初の抽出溶媒と同一組成であっても良いし、異なる組成であっても良い)で前記と同様の抽出操作を行い抽出液を得ても良い。このような残渣の再抽出は複数回行っても良い。得られた複数の抽出液は任意の割合で混合してバニラ抽出液とすることができる。
また、バニラ抽出液には糖類を添加することもできる。使用する糖類としては、単糖、二糖またはオリゴ糖が好ましく、リボース、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ラムノース、ラクトース、マルトース、シュークロース、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、水飴などを例示することができる。糖類の添加量としては、バニラ抽出液1質量部に対し、0.01〜2質量部を挙げることができる。
また、バニラ抽出液にはアミノ酸を添加することもできる。使用するアミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、スレオニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、セリン、システイン、シスチン、アルギニン、アスパラギン酸、プロリンなどを例示することができる。アミノ酸の添加量としては、バニラ抽出液1質量部に対し、0.001〜1質量部を挙げることができる。
また、バニラビーンズの抽出時および/または抽出後のバニラ抽出液に対し、酵素処理を行うこともできる。酵素処理により、多糖類などが分解し、抽出液の粘度が低下し、後に記述する濃縮時においても加熱を均一に行うことができ、また、後の加熱反応の効果も高まり、好適である。この酵素処理に使用することのできる酵素としては、特に制限はなく、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、糖質分解酵素などを例示することができる。特に糖質分解酵素が効果的である。糖質分解酵素の具体例としては、例えば、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、アラバナーゼ、デキストラナーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。糖質分解酵素の使用量は、使用する酵素の種類やバニラビーンズ中の多糖類の存在量により一概にはいえないが、おおよそバニラビーンズの原料の質量を基準として通常0.1〜1,000U/g、好ましくは1〜100U/gの範囲内、または、製剤中に通常複数種類の酵素が含まれていて活性単位では表しにくいような場合は、バニラビーンズに対して通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%の範囲内を例示することができる。
酵素処理条件としては、バッチ式、ニーダーによる抽出などにおいて、バニラビーンズの抽出時に酵素を添加する場合は、例えば、バニラビーンズ1質量部あたり水を通常5〜50質量部、好ましくは10〜20質量部添加し、60℃〜121℃で2秒〜20分間殺菌した後冷却したものに対し、酵素を添加し、20℃〜60℃で30分〜24時間酵素処理を行う。酵素処理後、60℃〜121℃で2秒〜20分間加熱して酵素を失活させた後冷却し、固液分離、濾過することにより、酵素処理されたバニラ抽出液を得ることができる。また、バニラビーンズの抽出後の抽出液に対して酵素を添加し、同様の条件で酵素反応をすることもできる。
かくして得られたバニラ抽出液をpH5〜pH12に調整した後、加熱処理する点が本発明の特徴の1つである。バニラ抽出液は、一般的にpHを調整しない場合、pH4.3〜pH4.9程度の範囲であるが、バニラ抽出液をpH5〜pH12に調整した後、加熱処理することにより、いわゆるメイラード反応の素材となる糖やアミノ酸の他にバニラ抽出液の特有の成分(水溶性植物繊維、ポリフェノール類、無機質など)が複雑に反応し、香気・香味増強成分が生成すると考えられる。
その際に、pH調整剤を添加して調製するバニラ抽出液のpHは、下限値としては、通常pH5.0以上、好ましくはpH6.0以上、より好ましくはpH6.4以上、さらに好ましくはpH6.8以上、特に好ましくはpH7.2以上、最も好ましくはpH7.6以上であり、上限値としては、通常pH12.0以下、好ましくはpH11.0以下、より好ましくはpH10.0以下、さらに好ましくはpH9.5以下、特に好ましくはpH9.0以下、最も好ましくはpH8.5以下である。pHの範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。このようにpHを調整して加熱処理することにより糖の分解を促進し、香味改善剤としての目的を達成することができ、好適である。かかるpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを例示することができる。
次いで、バニラ抽出液を加熱反応に供する。バニラ抽出液の加熱処理における反応温度としては、下限値としては、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上であり、また、上限値としては通常180℃以下、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。加熱温度の範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。温度が低すぎる場合は、加熱反応が進行しづらく、香味改善剤としての効果が出にくい。温度が高すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、香味改善剤としての目的を達成することができない。また、加熱処理における加熱時間としては、反応に必要な時間を確保する必要があるため、下限値としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは3時間以上であり、また上限値としては、通常10時間以下、好ましくは6時間以下、より好ましくは4時間以下である。加熱時間の範囲としては、これらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。加熱時間が短すぎる場合は、反応が十分進行せず、香味改善剤としての効果が出にくい。また、加熱時間が長すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、香味改善剤としての目的を達成することができない。
本発明において、加熱処理には、密閉系にて内容物を加熱撹拌できるオートクレーブを使用することが好ましい。オートクレーブの操作としては、内容物として前記の所定のpH範囲に調整した食品素材の抽出液を仕込んだ後、容器を密閉にし、所望により容器のヘッドスペースを不活性ガスにより置換して、または抽出液に不活性ガスを吹き込む方法により、脱酸素条件下に加熱処理を行い、冷却後、釜内から、加熱処理物を回収する。回収物に澱が生じているときは濾過や遠心分離などの処理により、澱を除去することもできる。
釜内から回収された加熱処理物はこのまま香味改善剤として使用することもできるが、所望により、さらに濃縮、あるいは、デキストリン、化工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形剤を添加して、ペースト状とすることができ、さらに、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥により粉末状の香味改善剤組成物として使用することもできる。
上記のようにして得られる香味改善剤または香味改善剤組成物は、さらにフレーバー、酵素処理エキス、溶媒抽出エキスなどから選択される香気付与剤を組み合わせた香味付与剤組成物とすることもできる。
かくして得られたバニラ香味改善剤あるいはバニラ香味改善剤組成物は、対応する飲食品に0.1ppm〜1%程度添加することにより、該飲食品に、熟成感、呈味感などが大幅に増強された、バランスの良いバニラ香味を付与することができ、しかも簡便に、安価に調製することができる。ここで、熟成感とは、バニラエキスを長期間熟成させたときに強化される洋酒香・乾燥果実香などを中心としたトップノートの芳醇な香りのことを指し、あたかも長期間に渡り熟成されたかのように味わい深いと感じさせるような感覚である。また、呈味感とは、含水エタノール等で抽出後に濃縮して力価を高めたバニラオレオレジンのように、ミドルノート・ラストノートのバルサミック感・キャラメリック感のある香気に甘味などの呈味も含めた香味全体に強さがもたらされたような感覚である。また、バランスとはバニラの香気および呈味のバランスを意味し、上述の熟成感を中心にしたトップノートの香りと、上述の呈味感のようなミドル〜ラストノートおよび甘味などを含めた呈味についても全体的な香気・呈味の力価のバランスが取れ良好に調和した感覚のことを指す。
本発明により得られる加熱処理バニラエキスが添加される飲食品としては、例えば、ペットボトル、缶、瓶または紙容器に充填された牛乳、加工乳、コーヒー牛乳、乳酸菌飲料などの乳飲料類;アイスクリーム、ソフトクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓またはシャーベットなどの冷菓;プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類;ヨーグルト、チーズなどの乳製品;キャラメル、キャンディー、ビスケット、クッキー、チョコレート、パイ、錠菓、クラッカー、ケーキ、クリーム内包菓子などの洋菓子類;ペットボトル、缶、瓶または紙容器に充填されたココア飲料、チョコレートドリンクなどの飲料類、ミルクティーなどの茶飲料、無糖コーヒー、加糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、キャラメルコーヒーなどのコーヒー系飲料;ペットボトル、缶、瓶または紙容器に充填されたチューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、リキュールなどのアルコール飲料類などを例示することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)含水エタノール抽出バニラ抽出液に糖を加えて加熱したもの(濃縮しないタイプ、酵素反応なし)
(1)調製方法
軟水2000gと95%エタノール2000gを混合し、バニラビーンズ(マダガスカル産、10mm短軸細断品)500gを投入し、80℃で6時間カラム循環抽出し、30℃まで冷却した。No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、30cm)にセルロースパウダー300gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄なバニラ抽出液3750gを得た(比較品1:pH4.7)。
バニラ抽出液(比較品1)300gを1Lオートクレーブに仕込み、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖300g(バニラ抽出液と同重量)を加え、密閉した後、撹拌しながら加熱し、140(±2)℃にて2時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(比較品2)。
バニラ抽出液(比較品1)300gに砂糖混合果糖ぶどう糖液糖300g(バニラ抽出液と同重量)を加え、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、140(±2)℃にて2時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(本発明品1)。
(2)官能評価
次に、下記処方(表1)に従って、乳脂肪約10質量%のアイスクリーム生地を調製した。次いで、このアイスクリーム生地に、本発明品1、比較品1および比較品2をそれぞれ表2に示す濃度添加して、常法に従いバニラアイスクリームを調製した。
Figure 2017063753
これらのバニラアイスクリームについて、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、バニラの熟成感、呈味感についてはそれぞれ、感じられない:0点、明らかに弱い:2点、やや弱い:4点、普通:6点、やや強い:8点、明らかに強い10点、また、バランスについては、悪い:2点、やや悪い:4点、普通:6点、やや良い:8点、良い:10点とした。その平均点および平均的なコメントを表2に示す。なお、バニラの熟成感とは、前記の通り、バニラエキスを長期間熟成させたときに強化される洋酒香・乾燥果実香などを中心としたトップノートの芳醇な香りのことを指し、あたかも長期間に渡り熟成されたかのように味わい深いと感じさせるような感覚である。また、バニラの呈味感とは、含水エタノール等で抽出後に濃縮して力価を高めたバニラオレオレジンのように、ミドルノート・ラストノートのバルサミック感・キャラメリック感のある香気に甘みなどの呈味も含めた香味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとはバニラの香気および呈味のバランスを意味し、甘味の他前述の熟成感・呈味感などの全体的な力価のバランスが取れ良好に調和した感覚を意味する。
Figure 2017063753
表2に示したとおり、含水エタノール抽出し、未加熱のバニラ抽出液である比較品1をアイスクリームに0.1%添加しても効果はほとんど認められなかったが、比較品1に糖を添加して140℃にて加熱した比較品2を0.1%添加したアイスクリームは、バニラの熟成感、呈味感がある程度感じられ、添加効果が確認された。それに対し、比較品1のpHを7.0に調整してから糖を添加して140℃にて加熱した本発明品1を0.1%添加したアイスクリームでは、バニラの熟成感と呈味感が格段に強く感じられ、全体的にもバランスの取れた香気・呈味を有して非常に良好という評価であった。
また、比較品1および比較品2については添加量を0.2%に増やしたアイスクリームについても評価した。その結果、添加量を増やすと、バニラの熟成感・呈味感は増えることが認められたが、本発明品1を0.1%添加した場合よりも低い評価であった。
以上の結果から、pHを7.0に上げてから加熱することは、バニラエキスの熟成感および呈味感増強に、著しく良好な効果をもたらすことが認められた。
(実施例2)pHの検討
本発明品1において、バニラ抽出液(比較品1)300gに砂糖混合果糖ぶどう糖液糖300g(バニラ抽出液と同重量)を加えてから30%水酸化ナトリウム水溶液で調製するときのpHを表3の値とし、1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、140(±2)℃にて2時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(本発明品2〜4)。
それぞれの加熱品を実施例1と同一処方(表1)のアイスクリームに添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、実施例1と同様に行った。
その結果を表3に示す。
Figure 2017063753
表3に示した通り、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを上げてから加熱した本発明品1〜4は、いずれも、バニラの熟成感・呈味感が強く感じられ、全体的なバランスも良好であるという評価であり、pH未調整のまま加熱した比較品2より、アイスクリームに添加したときの効果が大きかった。pHの違いにより、ややタイプが異なり、pH9付近では甘い感じが強く、pH11付近では香ばしさが感じられた。バランスの点ではpH7付近が最も良好であった。
(実施例3)酵素処理後濃縮したバニラ抽出液を加熱したもの
(1)調製方法
イオン交換水15Kgに凍結粉砕したバニラビーンズ(マダガスカル産)3Kgを投入した。これに、セルラーゼT「アマノ」4(天野エンザイム社製のセルラーゼ)15g(対バニラビーンズ0.5%)およびペクチナーゼG「アマノ」(天野エンザイム社製のペクチナーゼ)15g(対バニラビーンズ0.5%)を加え、45℃にて3時間撹拌して酵素処理を行った。酵素処理後、90℃になるまで加熱して酵素を失活させ、そこに95%エタノール15Kgを加え、62℃で3時間撹拌抽出した。30℃まで冷却し、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、30cm)にセルロースパウダー350gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液30.21Kgを得た。この抽出液に840gのグリセリンを加えた後、減圧濃縮を行い、濃縮液1680gを得た(比較品3:pH4.3、グリセリン濃度50.0%)。
濃縮液(比較品3)500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、130(±2)℃にて4時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(比較品4)。
また、濃縮液(比較品3)500gを30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整したものを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、130(±2)℃にて4時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(本発明品5)。
(2)官能評価
実施例1と同一処方(表1)に従って、乳脂肪約10質量%のアイスクリーム生地を調製した。次いで、このアイスクリーム生地に、本発明品5、比較品3および比較品4をそれぞれ100ppm添加して、常法に従いバニラアイスクリームを調製した。
このバニラアイスクリームについて、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、実施例1と同様に行った。その結果を表4に示す。
Figure 2017063753
表4に示したとおり、未加熱のバニラ抽出液である比較品3をアイスクリームに100ppm添加しても効果はほとんど認められなかったが、バニラ抽出液を130℃にて加熱した比較品4を100ppm添加したアイスクリームは、バニラの熟成感、呈味感がある程度感じられ、添加効果が確認された。それに対し、pHを7.0に調整してから130℃にて加熱した本発明品5を100ppm添加したアイスクリームでは、バニラの熟成感と呈味感が非常に強く感じられ、全体的にもバランスの取れた香気・呈味を有して非常に良好という評価であった。
(実施例4)酵素処理した含水エタノール抽出バニラ抽出液に、糖を加えて加熱したもの(濃縮しないタイプ)
(1)調製方法
イオン交換水4000gに凍結粉砕したバニラビーンズ(マダガスカル産)1000gを投入し、95℃にて30分間加熱殺菌し、45℃まで冷却した。これに、セルラーゼT「アマノ」4(天野エンザイム社製のセルラーゼ)5g(対バニラビーンズ0.5%)およびペクチナーゼG「アマノ」(天野エンザイム社製のペクチナーゼ)5g(対バニラビーンズ0.5%)を加え、45℃にて3時間酵素処理を行った。3時間経過後、95%エタノール4000gを加え、80℃でさらに3時間撹拌し、抽出を行った。30℃まで冷却し、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液7749gを得た(比較品5:pH4.3)。
バニラ抽出液(比較品5)400gを1Lオートクレーブに仕込み、グルコース200g(対抽出液50%)を加え、密閉した後、撹拌しながら加熱し、150(±2)℃にて1時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(比較品6)。
また、バニラ抽出液(比較品5)400gを30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整したのち1Lオートクレーブに仕込み、グルコース200g(対濃縮液50%)を加え、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、150(±2)℃にて1時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、100メッシュサランにて濾過して加熱処理物を得た(本発明品6)。
(2)官能評価
実施例1と同一処方(表1)に従って、乳脂肪約10質量%のアイスクリーム生地を調製した。次いで、このアイスクリーム生地に、本発明品6、比較品5および比較品6をそれぞれ0.1%添加して、常法に従いバニラアイスクリームを調製した。
このバニラアイスクリームについて、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、実施例1と同様に行った。その結果を表5に示す。
Figure 2017063753
表5に示したとおり、バニラビーンズの含水エタノール抽出液の未加熱品である比較品5をアイスクリームに0.1%添加しても効果はほとんどみられなかったが、バニラ抽出液に糖を添加したのち150℃にて加熱した比較品6を0.1%添加したアイスクリームは、バニラの熟成感、呈味感がある程度感じられ、添加効果が確認された。それに対し、pHを7.0に調整してから糖を添加して150℃で加熱した本発明品6を0.1%添加したアイスクリームでは、バニラの熟成感と呈味感が非常に強く感じられ、全体的にもバランスの取れた香気・呈味を有して非常に良好という評価であった。

Claims (9)

  1. バニラ抽出液を、pH5〜pH12に調整した後、100℃〜180℃にて10分〜10時間加熱処理することを特徴とする加熱処理バニラエキスの製造方法。
  2. バニラ抽出液が水およびアルコールを含有するものである請求項1に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  3. アルコールがエタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項2に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  4. バニラ抽出液が、バニラビーンズの水およびアルコールの混合溶媒による抽出液またはその濃縮液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  5. バニラ抽出液が、糖類が添加されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  6. 糖類が単糖、二糖およびオリゴ糖からなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項5に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  7. バニラ抽出液が、アミノ酸が添加されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  8. バニラ抽出液が酵素処理されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱処理バニラエキスの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により得られる加熱処理バニラエキスを飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の香味改善方法。
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