JP6453418B2 - 嗜好飲料原料エキスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換機などによる加熱殺菌時にもスケールを生じにくく、かつ、エキス自体またはエキスを容器詰嗜好飲料に配合した場合にも、濁りや沈殿の生じにくい嗜好飲料原料エキスの製造方法に関する。
近年、茶飲料(緑茶、ウーロン茶、紅茶)、コーヒー、麦茶などの容器詰嗜好飲料が飲料市場における大きな割合を占めるようになっている。これらの嗜好飲料需要の増大にしたがって、容器詰嗜好飲料の製造において、嗜好飲料原料から抽出したエキスを使用するケースも増加している。容器詰嗜好飲料の製造に際しては、このようなエキスを希釈し、エキス以外の原料を調合し、充填前に熱交換機を用いた加熱操作が行なわれている。かかる加熱操作において、しばしばスケールの発生によるトラブルが起こる。また、エキス自体の製造工程においても、熱交換機を用いた加熱操作が行なわれており、かかる加熱操作においても、しばしばスケールの発生によるトラブルが起こる。
従来より、スケールの発生を防止するために、スケール防止剤が用いられている。かかるスケール防止剤としては、例えば、ホスホン酸塩、重合燐酸塩、ポリアクリル酸またはその塩、ポリマレイン酸またはその塩、硼酸、ホスホン酸、カルボン酸/スルホン酸重合体、硫酸イオンなど各種のスケール防止剤が知られている。しかし、工業用の装置や設備に使用されているこの種のスケール防止剤は、嗜好飲料抽出液の製造ラインのような飲食品の製造ラインには使用することができない。
そこで、飲食品に使用する抽出液のスケール発生防止方法として、コーヒー抽出液の製造工程において、コーヒー抽出液をフィチン酸分解酵素処理することを特徴とするスケールの発生を防止したコーヒー抽出液の製造方法(特許文献1)が提案されている。
特開2010−166910号公報
特許文献1に記載の方法は、コーヒーエキスやその他のフィチン酸を多く含む植物原料の抽出液のスケール発生防止方法として有効である。しかしながら、この方法で得られた抽出液は、熱交換機などによる加熱殺菌時のスケールは発生しないものの、抽出液またはその濃縮液として保存した場合、また、このエキスを用いて容器詰飲料を調製した場合に、フィチン酸分解酵素処理を行わないものと比べ、むしろ、濁りや沈殿を生じやすいことが見いだされた。なお、このようにフィチン酸分解酵素処理した嗜好飲料用植物エキスはかえって濁りや沈殿が生じやすくなるという課題は従来知られておらず、本発明者らが初めて見出したものである。
本発明者らは、嗜好飲料原料エキスの製造工程およびその嗜好飲料原料エキスを用いた容器詰嗜好飲料の製造工程において、スケールが発生せず、また、エキスの保存中や、このエキスを用いて調製した容器詰嗜好飲料においても、濁りや沈殿を発生しない方法について鋭意探索した。その結果、嗜好飲料原料の抽出液の製造工程において、嗜好飲料原料の抽出液をフィチン酸分解酵素処理した後、さらに、陽イオン交換樹脂と接触処理するこ
とで、スケールが発生せず、また、エキスの保存中や、このエキスを用いて調製した容器詰嗜好飲料においても、濁りや沈殿を発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
また、従来、容器詰コーヒー飲料等の製造において、レトルト殺菌(121℃、10分程度)やUHT殺菌(135℃、1分程度)は必須の工程であり、この工程により発生する不快臭はいわゆるレトルト臭、加熱殺菌臭などと呼ばれており、好ましくない臭気とされてきた。したがって、嗜好飲料原料の抽出液を加熱したところで、いわゆる加熱臭が強まるのであって、有効な呈味改善剤ができるということは全く予想されていなかった。
ところが、驚くべきことに、嗜好飲料原料の抽出液を、飲用濃度よりも高い濃度において、高温加熱(Bx50°、130〜140℃、30分程度)を行い、その処理物を(容器詰)嗜好飲料に添加してみたところ、わずか1ppm程度の添加でも、極めて強い呈味増強効果がある風味素材が得られた。また、嗜好飲料原料エキスを調製する際、若しくは抽出後に糖質分解酵素処理を行ったところ、その効果はさらに強いものとなった。さらには、前記高温加熱する際に、pH6〜pH12に調整した後、加熱処理することにより得られる処理物が、特に、当該食品素材が有する味の厚み、ボディー感などを大幅に増強し、雑味がなく、バランスの改善をはかることができ、しかも製品の状態を改善することができることを見いだした。
かくして本発明は以下のものを提供する。
[1]嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含み、かつ、嗜好飲料原料が穀物、焙煎穀物、発芽穀物、焙煎発芽穀物、茶類およびコーヒーから選ばれる1種以上である、嗜好飲料原料エキスの製造方法。
(1)嗜好飲料原料を水抽出した後、固液分離し、水抽出液を得る工程、
(2)工程(1)で得られた水抽出液に対し、フィチン酸分解酵素処理を行い、酵素処理抽出液を得る工程、
(3)工程(2)で得られた酵素処理抽出液を陽イオン交換樹脂と接触させることにより前記酵素処理液中のカルシウムイオンを前記陽イオン交換樹脂に吸着させた後、陽イオン交換樹脂処理液を得る工程、
(4)工程(3)で得られた陽イオン交換樹脂処理液に対し不溶物除去処理を行う工程
[2]嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含み、かつ、嗜好飲料原料が穀物、焙煎穀物、発芽穀物、焙煎発芽穀物、茶類およびコーヒーから選ばれる1種以上である、嗜好飲料原料エキスの製造方法。
(1)嗜好飲料原料と水の混合物に、フィチン酸分解酵素処理を行い、酵素処理スラリーを得る工程、
(2)工程(1)で得られた酵素処理スラリーを固液分離し、酵素処理抽出液を得る工程、
(3)工程(2)で得られた酵素処理抽出液を陽イオン交換樹脂と接触させることにより前記酵素処理液中のカルシウムイオンを前記陽イオン交換樹脂に吸着させた後、陽イオン交換樹脂処理液を得る工程、
(4)工程(3)で得られた陽イオン交換樹脂処理液に対し不溶物除去処理を行う工程
[3]工程(1)〜(4)の後に、さらに、以下の工程(5)および(6)を含む、[1]または[2]に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
(5)工程(4)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
(6)工程(5)で得られたBx調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
[4]工程(1)〜(4)の後に、さらに、以下の工程(5)〜(7)を含む、[1]または[2]に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
(5)工程(4)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
(6)工程(5)で得られたBx調整液のpHを6〜12に調整する工程
(7)工程(6)で得られたpH調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
[5]穀物が米、麦、大麦から選ばれ、焙煎穀物が焙煎大麦、焙煎小麦、焙煎米から選ばれ、発芽穀物が麦芽、発芽小麦、発芽玄米から選ばれ、焙煎発芽穀物が焙煎麦芽、焙煎発芽小麦、焙煎発芽玄米から選ばれ、茶類が緑茶、ウーロン茶、紅茶から選ばれる、[1]〜[4]のいずれかに記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
[6]発芽穀物エキスの製造方法であって、以下の工程(1)〜(5)を含む、発芽穀物エキスの製造方法。
(1)発芽穀物を加熱処理して発芽穀物中の内在酵素を失活させ、酵素失活発芽穀物処理物を得る工程、
(2)工程(1)で得られた酵素失活発芽穀物処理物に対し、プロテアーゼ、糖質関連酵素およびフィチン酸分解酵素処理を行い、酵素処理発芽穀物スラリーを得る工程、
(3)工程(2)で得られた酵素処理発芽穀物スラリーを固液分離し、酵素処理発芽穀物抽出液を得る工程、
(4)工程(3)で得られた酵素処理発芽穀物抽出液を陽イオン交換樹脂と接触させることにより前記酵素処理発芽穀物抽出液中のカルシウムイオンを前記陽イオン交換樹脂に吸着させた後、陽イオン交換樹脂処理発芽穀物抽出液を得る工程、
(5)工程(4)で得られた陽イオン交換樹脂処理麦芽抽出液に対し不溶物除去処理を行う工程
[7]工程(1)〜(5)の後に、さらに、以下の工程(6)および(7)を含む、[6]に記載の発芽穀物エキスの製造方法。
(6)工程(5)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
(7)工程(6)で得られたBx調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
[8]工程(1)〜(5)の後に、さらに、以下の工程(6)〜(8)を含む、[6]に記載の発芽穀物エキスの製造方法。
(6)工程(5)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
(7)工程(6)で得られたBx調整液のpHを6〜12に調整する工程
(8)工程(7)で得られたpH調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
[9]フィチン酸分解酵素処理を行う工程後のいずれかの段階で、熱交換機を用いて加熱殺菌工程を行う、[1]〜[8]のいずれかに記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法により得られた嗜好飲料原料エキスを配合することによる、容器詰嗜好飲料の風味増強方法。
本発明の方法によれば、本発明の嗜好飲料原料エキスの製造工程において、スケールが生じにくく、また、本発明の方法により得られた嗜好飲料原料エキスを用いて容器詰嗜好飲料を調製する場合において、その容器詰嗜好飲料の製造工程においても、スケールが発生しにくい。また、本発明の方法により得られた嗜好飲料原料エキスは、保存によっても濁りや沈殿が発生しにくく、また、このエキスを用いて調製した容器詰嗜好飲料は、濁りや沈殿を発生にくいという有利な効果を有する。
また、本発明の高温加熱処理された嗜好飲料原料エキスを容器詰嗜好飲料等に微量添加することにより、味の厚みやボディ感などの呈味を増強し、バランスの改善をはかること
ができる。したがって、呈味の強い容器詰嗜好飲料の製造に利用できる他、容器詰嗜好飲料製造時において、コストダウンのため嗜好飲料原料の使用量の減量を余儀なくされた場合の風味補強に利用できるものと考えられる。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明で用いることのできる嗜好飲料原料は、特に制限されるものではなく、いわゆる嗜好飲料に用いられる、広範囲の原料を挙げることができる。具体的なものとしては、例えば、穀物、焙煎穀物、発芽穀物、焙煎発芽穀物、茶類、コーヒーなどである。また、さらに穀物としては、米、麦、大麦など、焙煎穀物としては焙煎大麦(いわゆる麦茶)、焙煎小麦、焙煎米など、発芽穀物としては麦芽、発芽小麦、発芽玄米など、焙煎発芽穀物としては焙煎麦芽、焙煎発芽小麦、焙煎発芽玄米など、茶類としては緑茶、ウーロン茶、紅茶などを例示することができる。これらの嗜好飲料原料にはフィチン酸が多く含まれており、これらの原料を用いた飲料の製造工程において、しばしばスケールの問題が発生することがある。なお、麦芽や発芽玄米は、近年、非発酵のノンアルコールビール風味飲料の調合素材として用いられることもある素材である。
本発明で、嗜好飲料原料とは前記の穀物、焙煎穀物、発芽穀物、焙煎発芽穀物、茶類、コーヒーなどの嗜好飲料を製造するための主原料となる天然の植物素材またはその加工品を意味する。
本発明で、嗜好飲料原料エキスとは、前記嗜好飲料原料から水などにより抽出したエキスで、本発明の目的物(本発明品)であることを意味する。なお、発芽穀物エキス、麦芽エキスについても同様である。
本発明で、嗜好飲料原料抽出液とは、前記嗜好飲料原料から抽出した抽出液で、嗜好飲料原料エキスを調製する工程の途中の抽出液を意味する。なお、発芽穀物抽出液、麦芽抽出液についても同様である。
本発明で、容器詰嗜好飲料とは、本発明の嗜好飲料原料エキス、および/または、本発明以外の一般的な意味合いにおける前記嗜好飲料原料の抽出液、ならびに、その他の原料を混合し、飲用するのに適当な濃度とし、容器に充填して得られる飲料(容器に充填する前または後に殺菌を行うことが一般的である)を意味し、茶類飲料、穀物飲料、混合茶飲料、コーヒー飲料、ノンアルコールビール風味飲料などが包含される。
本発明の特徴は、嗜好飲料原料の水抽出による嗜好飲料原料エキスの製造において、フィチン酸分解酵素処理の工程後に陽イオン交換樹脂処理を行うことにある。本発明では、嗜好飲料原料の水抽出に際し、フィチン酸分解酵素処理を行うが、フィチン酸分解酵素は、嗜好飲料原料の水抽出液に対して作用させても良いし、水抽出を行っている工程中において作用させても良い。
水抽出液を得た後に、抽出液に対しフィチン酸分解酵素処理する場合は、嗜好飲料原料を、まず、水にて抽出して、固液分離し、水抽出液を得る。水抽出に使用する嗜好飲料原料は、必要に応じて適当な粒度に粉砕することもできる。例えば、抽出方法としてカラム抽出に供する場合は、平均粒径として0.5mm〜5mm程度、また、撹拌抽出に供する場合は0.1mm〜3mm程度を例示することができる。抽出に使用する水の量は、嗜好飲料原料に対し、質量を基準として5倍〜50倍、好ましくは7倍〜30倍、より好ましくは10倍〜20倍を例示することができる。また、抽出温度としては0〜110℃、好ましくは10℃〜100℃、より好ましくは20℃〜90℃を例示することができる。水
抽出の方法としては、撹拌抽出またはカラム抽出を例示することができ、抽出時間は、5分〜10時間、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは20分〜3時間を例示することができる。抽出後、嗜好飲料原料の残渣である不溶性の固形分を分離除去し、水抽出液を得る。
固液分離の方法は、撹拌抽出の場合は、遠心分離、フィルタープレスなどを用いて行うことができる。また、カラム抽出の場合は、カラムに水をカラム上部または下部から供給し、同一方向または反対方向から抜き取ることにより抽出残渣と抽出液を分離することができる。
かくして得られた水抽出液に対しフィチン酸分解酵素を作用させる。本発明において、フィチン酸分解酵素としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、又はムコール属由来のフィターゼを挙げることができる。特に、好ましい酵素としては、アスペルギルス・ニガー由来のフィターゼを挙げることができる。また、市販の酵素を使用することもでき、市販の食品用フィターゼとして、例えばアスペルギルス・ニガー由来のスミチーム(登録商標)PHY(新日本化学工業株式会社製)、フィターゼ(ディー・エス・エムジャパン株式会社製)などがある。
水抽出液のフィターゼによる分解処理条件は、適宜選択することができるが、例えば、pH2.0〜8.3、温度15〜75℃、反応時間、10分間〜48時間を例示することができる。例えば、スミチームPHY(新日本化学工業株式会社製)を使用する際には、抽出に使用した原料に対するスミチームPHYの添加量として0.005〜0.5質量%、pH4.5〜7.2、温度45〜60℃、反応時間10分間〜24時間程度とすることができる。
また、本発明では嗜好飲料原料の水抽出と同時にフィチン酸分解酵素処理を行う方法を採用することもできる。嗜好飲料原料の水抽出を行っている工程において作用させる場合は、水抽出時の水にフィチン酸分解酵素を溶解し、酵素を作用させながら抽出を行う。この場合は、嗜好飲料原料の粉砕粒度、抽出に用いる水の量、カラム抽出および撹拌抽出、酵素の種類および量、pH、ならびに抽出液と残渣の分離については、前記の水抽出液を得た後に、フィチン酸分解酵素処理を行う場合と同様の条件を適用できる。一方、抽出(および酵素反応)の温度および時間は、酵素反応に適切な条件であることが好ましく、温度45〜60℃、時間10分間〜10時間とすることができる。
なお、本発明の嗜好飲料原料エキスを製造するに際し、いずれかの段階の抽出液に熱交換器を用いた加熱処理(加熱殺菌など)を行う場合、フィチン酸分解酵素処理は、熱交換機を用いた加熱処理を行うよりも前の工程で行なうことが好ましい。
また、(1)嗜好飲料原料を水抽出する際、(2)嗜好飲料原料の抽出液にフィチン酸分解酵素を作用させる際、または、(3)嗜好飲料原料の水抽出中に嗜好飲料原料と水の混合液にフィチン酸分解酵素を作用させる際においては、いずれか1か所または複数の工程において、フィチン酸分解酵素を作用させるのと同時に、または、フィチン酸分解酵素を作用させるのとは別個に、タンナーゼ、プロテアーゼ、糖質分解酵素などの酵素を作用させても良い。特に原料が、緑茶、ウーロン茶、紅茶などの茶類である場合には、これらの原料の水抽出中にタンナーゼとプロテアーゼを同時に作用させることにより、茶葉組織中に存在している蛋白質が分解され、アミノ酸が増加し、旨味の強いエキスを得ることができる。また、糖質分解酵素としてはアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼなどが使用でき、多糖類を分解し、単糖、2糖、オリゴ糖などの糖類を生成させるため、甘味の増加したエキスを得ることができる。
なお、原料が麦芽などの発芽穀物である場合には、発芽穀物エキスを得る際には、発芽穀物中に含まれているアミラーゼやプロテアーゼを利用し、酵素分解させながら抽出液を得る方法を例示することができるが、発芽穀物を加熱して、一旦、内在酵素を失活させて酵素失活麦芽処理物とした後、プロテアーゼおよびアミラーゼを加えて処理して抽出液を得る方法も挙げられる。
なお、この際の発芽穀物中の内在酵素を加熱により失活する方法としては、特に制限はなく、いかなる方法でも採用することができる。例えば、乾燥した未焙煎の発芽穀物を焙煎するなどにより、直接加熱する方法を例示することができる。乾燥した未焙煎の発芽穀物の直接加熱方法としては、例えば、100℃以上の熱風で処理するか、あるいは、例えば、回転式焙煎器で100℃〜250℃でロースト(焙煎)処理する方法などを挙げることができる。これらの加熱処理された発芽穀物は、例えば、ミュンヘン麦芽、アンバー麦芽、ロースト麦芽、チョコレート麦芽、カラメル麦芽、焙煎発芽米などとして市販されているが、自ら処理することもできる。
また、別の加熱方法として、乾燥した未焙煎の発芽穀物を熱水中で加熱する方法を例示することもできる。このような加熱方法としては、例えば、乾燥した未焙煎の発芽穀物の粉砕物を水と混合してスラリーを得、これを加熱する方法を挙げることができる。スラリーとする場合は、前記乾燥した未焙煎の発芽穀物は水と混合する前に適当な大きさに粉砕または裁断することで、水との混合・撹拌状態を良好にすることができる。スラリーの加熱の条件は、加熱温度としては前記乾燥した未焙煎の発芽穀物の内在酵素を失活させることができる温度であれば特に制限はなく、65℃〜120℃が好ましく、さらには70℃〜110℃が好ましく、特に75℃〜105℃を好ましい範囲として挙げることができる。また、加熱時間としては0.1分〜180分を好ましく、さらには0.5分〜120分を好ましく、特に1分〜60分をより好ましい範囲として挙げることができる。また、加熱に際しては内在酵素がなるべく作用しないように、スラリーの調製後、できる限り速やかに前記の温度に昇温することが望ましい。
なお、すでに焙煎などの加熱方法により得られた発芽穀物(焙煎発芽穀物)も、前記の乾燥した未焙煎の発芽穀物と同様に粉砕し、水と混合してスラリーとした後加熱することで、その後の酵素反応を容易に行うことが可能となる。
加熱後、スラリーは酵素処理に適当な温度まで冷却する。冷却の温度は使用する酵素の種類により一概には言えないが、雑味の発生を避けるためには必ずしも酵素の至適温度で反応させる必要はなく、やや低めで反応させることが好ましい場合もある。冷却の温度としては、20℃〜70℃が好ましく、さらには25℃〜60℃が好ましく、特に30℃〜55℃を好ましい範囲として挙げることができる。
次いで、冷却したスラリーにプロテアーゼおよびアミラーゼを加えて酵素処理を行う。この酵素処理により、例えば、発芽穀物が麦芽の場合においてコク味、甘味、うま味に加えて、従来のビール製造などにおける麦汁とはタイプの異なる、独特の濃厚な風味が生成する。
スラリーに対するプロテアーゼおよび/またはアミラーゼ処理の方法としては、プロテアーゼとアミラーゼを同時に加えて反応を行っても良いが、プロテアーゼ処理を行った後、引き続きアミラーゼ処理を行う方が目的とする独特の濃厚な風味が強くなる傾向がある。プロテアーゼとアミラーゼを同時に加えて反応を行った場合、プロテアーゼ単独で処理した場合と比較して、甘みが増す傾向が見られる。しかしながら、プロテアーゼ処理を行った後、引き続きアミラーゼ処理を行った場合、プロテアーゼ単独で処理した場合と比較して、甘みが増すのみならず、雑味が減り、すっきり感が増し、切れが良くなる。プロテ
アーゼの使用量は、通常、発芽穀物の質量を基準として0.1質量%〜5質量%、好ましくは0.2質量%〜3質量%、より好ましくは0.5質量%〜2質量%の範囲内を例示することができる。また、アミラーゼの使用量は、通常、発芽穀物の質量を基準として0.01質量%〜1質量%、好ましくは0.02質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.05質量%〜0.2質量%の範囲内を例示することができる。さらにまた、プロテアーゼとアミラーゼの比率については、それぞれの質量を基準として1:0.01〜1:0.1の範囲内を例示することができる。
また、スラリーに対するフィチン酸分解酵素処理は、前記プロテアーゼ処理またはアミラーゼ処理と同時に行っても良いし、プロテアーゼおよびアミラーゼによる処理後、一旦、固液分離し得られた抽出液に対して行っても良い。しかしながら、酵素失活発芽穀物処理物にまず、プロテアーゼを作用させた後、引き続き、糖質分解酵素とフィチン酸分解酵素を同時に作用させる方法を好ましく例示できる。かくして得られる酵素処理発芽穀物スラリーは、発芽穀物原料の残渣である不溶性の固形分を、遠心分離、フィルタープレスなどにより分離除去し、酵素処理発芽穀物抽出液を得る。
以上の、前記工程により得られる、フィチン酸分解酵素処理された嗜好飲料原料抽出液は、熱交換機による加熱を行う際にもスケールの発生が極めて少ない。
ところが、前記フィチン酸分解酵素処理によりスケールの問題は解決されたが、前記フィチン酸分解酵素処理された抽出液またはその濃縮液を保存した場合、また、この抽出液を用いて調製した容器詰嗜好飲料は、フィチン酸分解酵素処理を行わないものと比べ、むしろ、濁りや沈殿を生じやすいことが判明した。この濁りや沈殿の原因として、本発明者らは、当初、次の反応機構を考え、リン酸カルシウムが濁りや沈殿の主要成分と予想した。フィチン酸分解酵素処理を行う前の抽出液中では、カルシウムイオンはフィチン酸によりキレートされた状態で存在し、抽出液中に溶解している。しかしながら嗜好飲料原料の抽出液に対し、フィチン酸分解酵素処理を行うと、フィチン酸が分解して、イノシトールとリン酸が生成する。遊離したリン酸とカルシウムは、結合してリン酸カルシウムを形成しやすくなり、濁りや沈殿の原因となる。そこで、本発明者らは、この推定の確認のため、前記濁りや沈殿を分析した。その結果、予想に反し、沈殿物は、ケイ酸カルシウムが主体であった。ケイ酸イオンの由来は明らかではないが、本発明者らはエキス自体やエキスを配合した嗜好飲料でも継時的な濁りや沈殿を防止ないし予防するためには、フィチン酸分解酵素処理により生成したカルシウムイオンを除去する方法が効果的と考えた。
本発明では、前記嗜好飲料原料のフィチン酸分解酵素処理された抽出液は、その後、さらに陽イオン交換樹脂と接触させ、本発明のエキスを得る。この工程により得られたエキスは、エキス自体が、または、エキスを配合した容器詰嗜好飲料でも、濁りや沈殿が生じにくくなる。陽イオン交換樹脂と接触させる工程により、フィチン酸分解酵素処理された抽出液中のカルシウムイオンが陽イオン交換樹脂に吸着し、減少する。その結果、前記濁りや沈殿が改善される。
使用することのできる陽イオン交換樹脂としては、特に制限はないが、ダイヤイオン(登録商標)SK1B、SK102、SK116、PK208、WK10、WK20(以上、三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)200CT、IR118、IR120B、IR124(以上、ダウ・ケミカル社製)などが例示される。強酸性陽イオン交換樹脂の官能基としては、スルホン酸基等が挙げられる。
本工程で用いる陽イオン交換樹脂としては、不純物の除去性の点から、プロトン型陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。プロトン形陽イオン交換樹脂としては、Na形の陽イオン交換樹脂をH形に置換した陽イオン交換樹脂が挙げられ、具体的にはSK1BHが
挙げられる。また、陽イオン交換樹脂は、予め水による洗浄を行い、陽イオン交換樹脂の原料モノマーや原料モノマー中の不純物を除去しておくのが好ましい。洗浄の条件としては、例えば、空間速度(SV:樹脂容積に対する移動相の一時間当たりの移動相の倍数)=1〜20の条件で、総処理量は陽イオン交換樹脂1質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
前記フィチン酸分解酵素処理された抽出液を陽イオン交換樹脂に接触させる方式は、バッチ式でもカラム式でもよい。カラム式の場合には、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに、抽出液を通液すればよい。カラムに抽出液を接触させる条件としては、例えば、空間速度(SV)=0.1〜50、好ましくは0.2〜10、より好ましくは、0.5〜8を挙げることができる。また、バッチ式の場合には、抽出液に陽イオン交換樹脂を加えた後、一定時間撹拌後、陽イオン交換樹脂を取り除く方法が例示できる。抽出液に陽イオン交換樹脂を接触させる条件としては、時間としては、10分から5時間、好ましくは20分から2時間を例示することができる。
また、抽出液と陽イオン交換樹脂との比率は抽出液中の可溶性固形分(抽出液の20℃におけるBxを固形分濃度として計算した値)1に対し、陽イオン交換樹脂(容量:ml)として0.01〜5、好ましくは0.02〜2、より好ましくは0.05〜0.5を例示することができる。
なお、処理後の陽イオン交換樹脂は、使用前の洗浄条件と同様に、水酸化ナトリウム水溶液、水、塩酸水溶液、水などを用いた常法による洗浄により、繰り返し再生して使用することができる。
かくして得られる陽イオン交換樹脂処理後の抽出液は、熱交換機による加熱を行う際にもスケールの発生が極めて少なく、かつ、前記抽出液またはその濃縮液を保存した場合、また、前記抽出液またはその濃縮液を用いて調製した容器詰嗜好飲料は、濁りや沈殿の発生が極めて少ない。
また、かくして得られる陽イオン交換樹脂処理液は、フィチン酸が分解されることによりリン酸が生成して増加しており、また、陽イオン交換樹脂処理によりカルシウムイオンが減少している。これらのリン酸およびカルシウムの可溶性固形分に対する比率は、例えば、嗜好飲料原料が麦芽であって、Bx(20℃)を可溶性固形分の濃度であるとして計算した値を用い、次の値を例示できる。可溶性固形分(Bx)に対するリン酸の比率:通常0.4%〜1.3%、好ましくは0.5%〜1.2%、より好ましくは0.6%〜1.1%。可溶性固形分(Bx)に対するカルシウムの比率:通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下。
本発明では、前記陽イオン交換処理嗜好飲料原料抽出液は、さらに不溶物除去処理を行う。不溶物除去処理方法としては、濾過や遠心分離を例示できる。濾過方法としては、濾紙による濾過、限外濾過、濾紙にセルロースパウダーやケイソウ土をプレコートしたヌッチェによる減圧または加圧式濾過などが例示できる。遠心分離としては、シャープレス(登録商標:アルファ・ラバル社製)処理、ウエストファリャセパレーター(登録商標:ウエストファリャ製)処理などが例示できる。かくして、本発明の嗜好飲料原料エキスを得ることができる。
不溶物除去処理後の抽出液(本発明の嗜好飲料原料エキス)は引き続き、必要に応じ濃縮することもできる。濃縮方法としては、例えば、減圧濃縮、逆浸透膜(RO膜)濃縮、凍結濃縮など適宜な濃縮手段を採用して濃縮することにより、酵素処理抽出液の濃縮物を得ることができる。濃縮の程度は特に制限されないが、一般には、Bx3°〜Bx80°
、好ましくはBx8°〜Bx60°、より好ましくはBx10°〜Bx50°の範囲内が好適である。
また、本発明では、前記の各工程、すなわち嗜好飲料原料の水抽出工程、フィチン酸分解酵素処理工程、酵素処理スラリーを固液分離し酵素処理抽出液を得る工程、酵素処理抽出液を陽イオン交換樹脂と接触させる工程、陽イオン交換樹脂と接触後の液に対し不溶物除去処理する工程、のいずれの工程後か、または、複数の工程後に加熱殺菌を行うことができる。また、加熱殺菌方法は、特に制限されないが、温度60〜120℃、で時間30秒〜30分程度で、プレート式熱交換機による殺菌またはバッチ式殺菌を例示することができる。また、殺菌後は適宜室温程度まで冷却することが好ましい。
なお、熱交換機による加熱殺菌は、フィチン酸分解酵素処理を行った後に行う。この順で工程を組むことにより、熱交換機中にスケールが生じることを防止できる。
かくして得られる、本発明の嗜好飲料原料エキスは、本発明の嗜好飲料原料エキスの製造工程においても、また、本発明の嗜好飲料原料エキスを用いた飲料の製造時においても、熱交換機による加熱を行う際のスケールの発生が極めて少なく、かつ、嗜好飲料原料エキスを保存した場合、また、嗜好飲料原料エキスを用いて調製した容器詰嗜好飲料は、濁りや沈殿の発生が極めて少ない。
また、かくして得られた本発明の嗜好飲料原料エキスは、高濃度に濃縮してから高温にて加熱することにより、飲食品に対し微量添加することで、コクを付与できる素材とすることもできる。
従来、容器詰嗜好飲料の製造において、レトルト殺菌(121℃、10分程度)やUHT殺菌(135℃、1分程度)は必須の工程であり、この工程により発生する不快臭はいわゆるレトルト臭、加熱殺菌臭などと呼ばれており、好ましくない臭気とされてきた。したがって、嗜好飲料原料の抽出液を加熱したところで、いわゆる加熱臭が強まるのであって、有効な呈味改善剤ができるということは全く予想されていなかった。
ところが、驚くべきことに、本発明の嗜好飲料原料エキスを、飲用濃度よりも高い濃度において、高温加熱(Bx50°、130〜140℃、30分程度)を行い、その処理物を容器詰嗜好飲料に添加してみたところ、わずか1ppm程度の添加でも、極めて強い呈味増強効果がある風味素材が得られた。また、高温加熱の際、pHをやや高めに調整してから加熱処理を行ったところ、その効果はさらに強いものとなった。
加熱処理に供するときの嗜好飲料原料エキスの濃度は、下限値としては、通常Bx1°以上、好ましくはBx5°以上、より好ましくはBx10°以上、さらに好ましくはBx20°以上、特に好ましくは30°以上、最も好ましくはBx40°以上であり、また、上限値としてはBx80°以下、好ましくはBx70°以下、さらに好ましくはBx65°以下、特に好ましくはBx60°以下、最も好ましくは55℃以下であり、濃度の範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。濃度が低すぎる場合は、加熱の効果が出にくい。また、通常の飲用程度の濃度(Bx0.3°程度)であると、いわゆるレトルト臭、加熱臭が発生することが知られているが、低濃度での加熱処理ではレトルト臭と同様な風味が生じてしまい、呈味改善剤として十分に有効な素材としては得られない。また、濃度が低いことにより、飲食品へ多量の添加が必要になってしまう可能性がある。一方、濃度が高すぎる場合は粘度が高く、均一加熱ができなくなり、焦げ付くなどの弊害が生じる可能性がある。
嗜好飲料原料エキスの濃度を高めるための方法としては、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結
濃縮などの濃縮手段を採用することができる。
また、濃度を高めるための別の方法として、嗜好飲料原料エキスに糖類を添加して濃度を高める方法を採用することもできる。使用する糖類としては、単糖、二糖またはオリゴ糖が好ましく、リボース、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ラムノース、ラクトース、マルトース、シュークロース、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、水飴などを例示することができる。糖類の添加量としては、Bx1°〜Bx10°程度の嗜好飲料原料エキス1質量部に対し、0.01〜2質量部を挙げることができる。
かくして得られた高濃度の嗜好飲料原料エキスを、加熱処理する。加熱処理により、いわゆるメイラード反応の素材となる糖やアミノ酸の他に焙煎穀物由来の特有の成分(ポリフェノール類、フラボノール類、サポニン類など)が複雑に反応し、呈味増強成分が生成すると考えられる。
嗜好飲料原料エキスの加熱処理における反応温度は、下限値としては、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上であり、また、上限値としては、通常180℃以下、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、最も好ましくは140℃以下であり、温度の範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。温度が低すぎる場合は、加熱反応が進行しづらく、呈味改善剤としての効果が出にくい。温度が高すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができないものとなってしまう。
また、加熱処理における反応時間としては、反応に必要な時間を確保する必要があり、下限値としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上であり、また、上限値としては、通常5時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下であり、加熱時間の範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。反応時間が短すぎる場合は、反応が十分進行せず、呈味改善剤としての効果が出にくい。反応時間が長すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができないものとなってしまう。
また、前記加熱処理前の嗜好飲料原料エキスのpHとしては、未調整の場合は4〜6程度であり、そのまま前記加熱処理に供しても良いが、高温加熱の際、pH調整剤を添加して、加熱処理前の嗜好飲料原料エキスのpHをやや高めに調整してから加熱処理を行うことにより、より呈味改善効果の高い素材としての嗜好飲料原料エキスを得ることができる。
この際のpHの値としては、下限値通常6以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上であり、また、上限値としては、通常12以下、好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下であり、pHの範囲としてはこれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。
この範囲のpHに調整してから加熱処理を行うことにより、糖の分解を促進し、呈味改善剤としての効果をより高めることができるほか、加熱による沈殿の精製を抑制することができ、好適である。かかるpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを例示することができる。
本発明において、加熱処理には、密閉系にて内容物を加熱撹拌できるオートクレーブを使用することが好ましい。オートクレーブの操作としては、内容物として前記嗜好飲料原
料エキス液を仕込んだ後、容器を密閉にし、ヘッドスペースの空気をそのまま、あるいは、酸素または不活性ガスにより置換して、引き続き前記条件にて加熱処理を行い、冷却後、釜内から、加熱処理物を回収する。回収物に澱が生じているときは濾過や遠心分離などの処理により、澱を除去することもできる。
かくして得られた加熱処理物である嗜好飲料原料エキスは呈味改善剤として有用であり、各飲食品に0.1ppm〜1%程度添加することにより、濃厚感、味の厚み、ボディ感などのいわゆるコク味を増強することができ、かつ、バランスの改善をはかることができる。なお、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディ感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとは呈味バランスを意味し、苦味、渋味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディ感などが良好に調和した感覚を意味する。
以上の製造工程により得られる本発明の嗜好飲料原料エキスはこのまま使用することもできるが、所望により、さらに濃縮、あるいは、デキストリン、化工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形剤を添加して、ペースト状とすることができ、さらに、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥により粉末状とすることもできる。
また本発明の嗜好飲料原料エキスには、さらに、穀物フレーバーなどの天然または調合香料を添加することもできる。
本発明の嗜好飲料原料エキスが配合できる最終製品としては、特に限定されないが、例えば、ペットボトル、缶または紙容器に充填されたいわゆる容器詰嗜好飲料である、麦茶飲料、穀物茶飲料、玄米茶飲料、茶類と焙煎した穀物類を混合したいわゆる混合茶類飲料(ブレンド茶飲料)などの茶系飲料、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、紅茶飲料などの茶系飲料;コーヒー飲料;ビール、発泡酒、いわゆる第三のビール、ノンアルコールビール風味飲料などのビール風味飲料;アイスクリーム、ソフトクリームまたはシャーベットなどの冷菓;ビスケット、クッキー、せんべい、饅頭、チョコレート、クリーム内包菓子、パンなどを例示することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1
95℃に加熱した温水1170Kgに、市販の醸造用乾燥麦芽100Kg(ハンマーミルスクリーン1mmにて粉砕)を加え、95℃にて30分間保持し、麦芽中の内在酵素を失活させた。50℃に冷却後、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ)1.8Kgを添加し、50℃で30分間撹拌した後、50℃にて4時間静置した。その後、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ社製のα−アミラーゼ)90gおよびスミチーム(登録商標)PHY(新日本化学社製のフィターゼ)45gを添加し、50℃にて1時間撹拌反応を行った。反応系全体を72℃まで昇温して、加熱殺菌した後、50まで冷却し、脱水機型遠心分離機により残渣固形物を除去し、抽出液1160Kgを得た(Bx6.4°、pH5.78)。引き続き、熱交換機を用いて、95℃、30秒間加熱して殺菌をかねて酵素失活を行った後、30℃に冷却した。殺菌後、熱交換機は剥離剤を溶解した水溶液を満たし、一夜放置後、水2000Lを通液し、熱交換機の液出口にて200メッシュ濾布により、剥離する結晶物を集め、濾布上の結晶物の質量を測定した。得られた結晶物は0.8gであった。
一方、殺菌後の抽出液は冷却後、水素イオン型に洗浄再生処理した陽イオン交換樹脂で
あるダイヤイオン(登録商標)SK−1BH(三菱化学社製)7.44L(抽出液量×Bx/1000:可溶性固形分量の約10%量)を加え、35℃にて1時間撹拌した。セルロース粉末(ダイヤフロック:東京今野商店社製)12Kgとケイソウ土12Kgを混合してプレコートした加圧式濾過機にて加圧濾過し、濾液1157Kg(Bx6.15°、pH4.07)を得た。濾液を95℃、30秒間加熱殺菌後、Bx17°まで減圧濃縮し、濃縮液392Kgを得た。濃縮液を20℃に冷却後、遠心分離により不溶解物を除去し、上清液380Kg(Bx17.5°)を得た。上清液にイオン交換水を加え、Bxを15°に調整した後、95℃、20分間加熱殺菌した後、200℃に冷却し無菌的に密閉容器に充填し、本発明品1(460Kg、Bx15.0°、pH4.11)を得た。
比較例1(陽イオン交換樹脂処理を行わない例)
実施例1において、陽イオン交換樹脂処理を行わない以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、比較品1(513Kg、Bx15.0°、pH5.73)を得た。
比較例2(フィターゼ処理を行わない例)
実施例1において、スミチームPHY(新日本化学社製のフィターゼ)を全く添加せずに、陽イオン交換樹脂処理前までの工程を行った。すなわち、95℃に加熱した温水1170Kgに、市販の醸造用乾燥麦芽100Kg(ハンマーミルスクリーン1mmにて粉砕)を加え、95℃にて30分間保持し、麦芽中の内在酵素を失活させた。50℃に冷却後、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ)1.8Kgを添加し、50℃で30分間撹拌した後、50℃にて4時間静置した。その後、コクラーゼ(三菱化学フーズ社製のα−アミラーゼ)90gを添加し、50℃にて1時間撹拌反応を行った。反応系全体を72℃まで昇温して、加熱殺菌した後、50まで冷却し、脱水機型遠心分離機により残渣固形物を除去し、抽出液1160Kgを得た(Bx6.2°、pH5.75)。引き続き、熱交換機を用いて、95℃、30秒間加熱して殺菌をかねて酵素失活を行った後、30℃に冷却した。殺菌後、熱交換機はスケール剥離剤を溶解した水溶液を満たし、一夜放置後、水2000Lを通液し、熱交換機の液出口にて200メッシュ濾布により、剥離する結晶物を集め、濾布上の結晶物の質量を測定した。得られた結晶物は5.5gであった。
実施例1において得られた結晶物は0.8gであることから、フィターゼ処理により、スケーリングの原因となる成分が、大幅に減少(0.8/5.5×100=14.5%)したことが認められた。なお、比較例2で得られた結晶物の成分を分析した結果、水分34.3%(乾燥減量法)、IR(近赤外分光分析)およびX線解析により、固形物の主成分はケイ酸カルシウムと同定された。
本発明品1と比較品1の評価
本発明品1と比較品1をそれぞれ30ml広口瓶に30gずつ充填し、冷凍庫(−20℃)にて1夜冷凍した後、翌日室温にて3時間自然解凍し、よく振って混合し、その後、静置し気泡がなくなった後、希釈せずに濁度(吸光度680nmの吸光度:Abs.)を測定した。
その結果、本発明品1:0.15、比較品1:0.84であり、本発明品1は比較品1と比べ、大幅に濁りが少なかった。
また、本発明品1と比較品1それぞれのカルシウム含量を常法(分析化学会編、機器分析実技シリーズ「ICP発光分析法」、第225頁、共立出版社、1988年)により定量した。
[カルシウム含量]
本発明品1:11.8ppm
比較品1 :60.3ppm
この結果により、本発明品1では比較品1と比べ、大幅にカルシウムが減少していることが確認された。
実施例2(フィターゼ使用量の検討)
2L3径フラスコを4個用意し、それぞれ市販の醸造用乾燥麦芽100gをハンマーミル(スクリーン1mm)にて粉砕し、95℃の熱水1300gを加え、95℃で30分間保持し、麦芽中の内在酵素を失活させた。スラリーを50℃に冷却後、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ)2gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、50℃にて4時間静置した。その後、コクラーゼ(三菱化学フーズ社製のα−アミラーゼ)0.1gおよびスミチーム(登録商標)PHY(新日本化学社製のフィターゼを添加し、50℃にて1時間撹拌反応を行った。4個のフラスコのスミチームPHYの添加量はそれぞれ(1)無添加(対麦芽0%)、(2)0.01g(対麦芽0.01%)、(3)0.03g(対麦芽0.03%)、(4)0.05g(対麦芽0.05%)とした。
それぞれのフラスコの内容物を72℃まで昇温して、加熱殺菌した後、50℃まで冷却し、脱水機型遠心分離機(濾過面さらし布、セルロースパウダー(ダイヤフロック:東京今野商店社製)を50gプリコート)により残渣固形物を除去し、抽出液をそれぞれ約1395g得た(Bx6.4°、pH5.8)。引き続き95℃、30秒間加熱して殺菌をかねて酵素失活を行った後、30℃に冷却した。セルロース粉末(ダイヤフロック:東京今野商店社製)12.5gとケイソウ土12.5gを混合してプレコートしたヌッチェ(No.2濾紙、12cm:アドバンテック社製)にて吸引濾過し、濾液約1390g(Bx5.7°、pH5.8)を得た。それぞれの濾液を95℃、30秒間加熱し、ロータリーエバポレーターにてBx17°まで減圧濃縮し、濃縮液約445gを得た。濃縮液を20℃に冷却後、遠心分離(1200×g、6分)により不溶解物を除去し、得られた上清液にイオン交換水を加え、Bxを15°に調整した後、95℃、20分間加熱殺菌した後、20℃に冷却し、200メッシュサラン濾布により濾過し、無菌的に密閉容器に充填し、麦芽エキス(参考品1〜4)を得た。
得られた麦芽エキスは、リン酸含有量を測定した(HPLC法)。
参考品1〜4のフィターゼ添加量、および、リン酸含有量を表1に示す。
Figure 0006453418
表1に示した通り、フィターゼを麦芽に対し、0.01%添加して処理することにより、フィターゼ未処理のエキスに対し、リン酸が2倍以上に増加し、さらにフィターゼ使用量を増加させても、リン酸生成量は変化しなかった。したがって、フィターゼを麦芽に対し、0.01%添加して処理することにより、フィチン酸はほぼ充分、分解されていると推定される。参考品4は、実施例1における、陽イオン交換樹脂処理前の液と製造量以外は同一の条件で調製されていることをかんがみて、リン酸の増加はスケールの生じにくさの目安として使用できると考えられる。参考品1〜4はBx(20℃)15°であるが、
可溶性固形分(Bx濃度による計算)に対するリン酸の質量比を計算すると。参考品1:0.355、参考品2:0.721、参考品3:0.703、参考品4:0.717である。したがって、可溶性固形分(Bx)に対するリン酸の比率:通常0.4%〜1.3%、好ましくは0.5%〜1.2%、より好ましくは0.6%〜1.1%程度であれば、フィチン酸分解酵素未処理の麦芽エキスと比べ、スケールを生じにくいといえる。
実施例3(陽イオン交換樹脂使用量の検討)
市販の醸造用乾燥麦芽300gをハンマーミル(スクリーン1mm)にて粉砕し、95℃の熱水3900gを加え、同温度で30分間保持し、麦芽中の内在酵素を失活させた。スラリーを50℃に冷却後、プロテアーゼM「アマノ」SD(天野エンザイム社製の麹菌由来プロテアーゼ)6gを添加し、50℃で30分間撹拌した後、50℃にて6時間静置した。その後、コクラーゼ(三菱化学フーズ社製のα−アミラーゼ)0.3gおよびスミチーム(登録商標)PHY(新日本化学社製のフィターゼ)0.15gを添加し、50℃にて1時間撹拌反応を行った。反応系全体を72℃まで昇温して、加熱殺菌した後、50まで冷却し、脱水機型遠心分離機(濾過面さらし布、セルロースパウダー(ダイヤフロック(登録商標):東京今野商店社製)を50gプリコート)により残渣固形物を除去し、抽出液3875gを得た(Bx6.4°、pH5.78)。引き続き95℃、30秒間加熱して殺菌をかねて酵素失活を行った後、30℃に冷却した。冷却後、抽出液を4等分し(各968g)、それぞれの液に、水素イオン型に洗浄再生処理した陽イオン交換樹脂であるダイヤイオン(登録商標)SK−1BH(三菱化学社製)を次の量加え35℃にて1時間撹拌した((5)無添加、(6)1.55ml(抽出液量×Bx/4000:可溶性固形分量の2.5%量)、(7)3.1ml(抽出液量×Bx/2000:可溶性固形分量の5%量)、(8)6.2ml(抽出液量×Bx/1000:可溶性固形分量の約10%量)。次いでそれぞれを、セルロース粉末(ダイヤフロック:東京今野商店社製)10gとケイソウ土10gを混合してプレコートしたヌッチェ(No.2濾紙、9cm:アドバンテック社製)にて吸引濾過し、濾液各約900g(Bxはそれぞれ約6.2、pHは(5)5.82、(6)5.27、(7)4.56、(8)4.05)を得た。それぞれの濾液を95℃、30秒間加熱し、ロータリーエバポレーターにてBx17°まで減圧濃縮した。それぞれの濃縮液を20℃に冷却後、遠心分離(1200×g、6分)により不溶解物を除去し、得られた上清液にイオン交換水を加え、Bxを15°に調整した後、95℃、20分間加熱殺菌した後、20℃に冷却し、200メッシュサラン濾布により濾過し、無菌的に密閉容器に充填し、麦芽エキス(5〜8)を得た。
それぞれの麦芽エキスは、冷凍庫(−20℃)にて1夜冷凍した後、翌日室温にて3時間自然解凍し、よく振って混合し、その後、静置し気泡がなくなった後、希釈せずに濁度(吸光度680nmの吸光度:Abs.)を測定した。また、カルシウム含量を常法(分析化学会編、機器分析実技シリーズ「ICP発光分析法」、第225頁、共立出版社、1988年)、リン酸含有量を(HPLC法)、により測定した。また、可溶性固形分(Bx濃度による計算)に対するリン酸の質量比、および、可溶性固形分(Bx濃度により計算)に対するカルシウムの質量比も算出した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006453418
表2に示した通り、フィターゼ処理した麦芽抽出液に対し、陽イオン交換樹脂を対固形分2.5%添加して処理したエキス(6)では、陽イオン交換樹脂未処理のエキス(5)に対し、濁度は1/2以下(0.835 → 0.357)となっており、大きな濁度低減効果がみられた。陽イオン交換樹脂添加量をさらに増加するにつれて、表2の(7)、(8)に示す通り、カルシウム含有量は低下し、また、エキスの濁度も低減した。なお、陽イオン交換樹脂による処理は、リン酸含有量には影響を及ぼさないことが認められた。表2より、可溶性固形分(Bx)に対するカルシウムの比率として、通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下であれば、フィターゼ処理のみによる麦芽エキスと比べ、冷・解凍を行った場合の濁りが低減しているといえる。
実施例4 コーヒーエキス
焙煎、粉砕したコーヒー豆(コロンビア;L値22)100kgに水900kgを加えスラリー状態とし、気−液向流接触抽出法により下記条件にて回収フレーバー40kg(対コーヒー豆40%)を得た。
処理条件:
原料供給速度:700L/hr
蒸気質量:55kg/hr
カラム下部温度:100℃
カラム上部温度:100℃
真空度:大気圧
得られた回収フレーバーは窒素封入後約4℃に冷却して、密封保存した。気−液向流接触抽出装置から排出されたスラリーを撹拌機付き釜に採取し、45℃に冷却後、セルロシン(登録商標)GM5(HBIエンザイム社製のガラクトマンナン分解酵素)2000g(対コーヒー豆2%)、スミチーム(新日本化学工業株式会社製のグルコアミラーゼ)2000g(対コーヒー豆2%)および、スミチーム(登録商標)PHY(新日本化学社製のフィターゼ)50g(対コーヒー豆0.05%)を添加し、45℃にて30分間撹拌した後、同温度にて16時間静置した。静置後、再び撹拌しながら、バスケット型遠心分離機にて固液分離し、分離液(抽出液)773kg(Bx4.9°)を得た。得られた、分離液(抽出液)を熱交換機を用いて90℃、1分間加熱殺菌後、25℃まで冷却した。殺菌後、熱交換機は剥離剤を溶解した水溶液を満たし、一夜放置後、水2000Lを通液し、熱交換機の液出口にて200メッシュ濾布により、剥離する結晶物を集め、濾布上の結晶物の質量を測定した。得られた結晶物は0.5gであった。
一方、殺菌後の抽出液は冷却後、水素イオン型に洗浄再生処理した陽イオン交換樹脂で
あるダイヤイオン(登録商標)SK−1BH(三菱化学社製)3.79L(抽出液量×Bx/1000:可溶性固形分量の約10%量)を加え、35℃にて1時間撹拌した。次いで、分離板型遠心分離機により固形残渣と油分を除去し、水平濾板型濾過器を使用してケイソウ土を用いて濾過を行い清澄な濾液767kgを得た。得られた濾液を回転薄膜型減圧濃縮機にて濃縮しBx30°の清澄化濃縮コーヒーエキス124.1kgを得た。得られた清澄化濃縮コーヒーエキスと回収フレーバーを5:2(質量比)の割合で混合し(回収フレーバーを全量使用し、エキスの一部を廃棄)、さらに水にてBx20°に調製し、Bx20°の濃縮コーヒーエキス(本発明品2)150Kgを得た。
比較例3(フィターゼ処理を行わない例)
実施例4において、スミチームPHY(新日本化学社製のフィターゼ)を全く添加せずに、陽イオン交換樹脂処理前までの工程を行った。熱交換機による殺菌後、熱交換機は剥離剤を溶解した水溶液を満たし、一夜放置後、水2000Lを通液し、熱交換機の液出口にて200メッシュ濾布により、剥離する結晶物を集め、濾布上の結晶物の質量を測定した。得られた結晶物は2.6gであった。
比較例4(陽イオン交換樹脂処理を行わない例)
実施例4において、陽イオン交換樹脂処理を行わない以外は、実施例4と全く同様の操作を行い、比較品2(150Kg、Bx20°)を得た。
本発明品2と比較品2の評価(1)
本発明品2と比較品2をそれぞれ30ml広口瓶に30gずつ充填し、冷蔵庫(5℃)にて1か月間静置保存し瓶底の沈殿発生の様子を観察した。その結果、比較品2は多少沈殿が生じていたのに対し、本発明品2は全く沈殿が生じていなかった。
本発明品2と比較品2の評価(2)
本発明品2と比較品2について、それぞれのエキス500gずつにイオン交換水9500gを加え、よく混合溶解し、希釈液を調製した(Bx1°)。それぞれの希釈液を熱交換機により135℃、30秒間加熱殺菌を行った後、88℃まで冷却し、500mlの耐熱性ペットボトルに500mlずつ充填し、密封した後、20℃まで冷却した。それぞれの飲料を冷蔵庫(5℃)にて1か月間静置保存し瓶底の沈殿発生の様子を観察した。その結果、比較品2は多少沈殿が生じていたのに対し、本発明品2は全く沈殿が生じていなかった。
実施例5(本発明品1を加熱処理した嗜好飲料用エキスの調製)
本発明品1(Bx15°、5000g)を減圧濃縮しBx50°の濃縮液1500gを得た。濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、140±2℃にて30分間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、加熱処理物(本発明品3:488g、Bx50°)を得た。
実施例6(本発明品1のpHを上げてから加熱処理した嗜好飲料用エキスの調製)
実施例5で得られた本発明品1の濃縮液(Bx50°)500gを、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH10.5にしたものを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、140±2℃にて30分間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、加熱処理物(本発明品4:488g、Bx50°)を得た。
実施例7(官能評価)
市販麦茶飲料(1L紙容器入り)(参考品5)に対し、本発明品3または本発明品4を
下記表3に示す量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は参考品5をコントロールとして、10点満点で採点し、コク味については、コントロールと比べ変化なし:0点、わずかに強い:2点、やや強い:4点、強い:6点、明らかに強い8点、非常に強い10点として、また、麦茶飲料としてのバランスの良さについて、コントロールと比べ差無し:0点、わずかに良い:2点、やや良い:4点、明らかに良い:6点、非常に良い:8点、極めて良い10点として官能評価を行った。その平均点を表3に示す。
Figure 0006453418
表3に示した通り、参考品5(市販麦茶)に本発明品3または4を添加した麦茶飲料は、わずか0.2ppmの添加でもコク味およびバランスがわずかに改善された。また、さらに添加量を増やし10ppm〜100ppmの添加では添加量の増加と共に、コク味、バランス共に良好となり、100ppmの添加では明らかに良いとの評価であった。
また、本発明品3と本発明品4との比較では、pHを10.5としてから加熱した本発明品4の方が、本発明品3よりもコク味付与効果、バランス改善効果共に高く、良好であるとの評価であった。
実施例8(本発明品2を加熱処理したコーヒーエキスの調製)
本発明品2(Bx20°、3750g)を減圧濃縮しBx50°の濃縮液1500gを得た。濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、130±2℃にて2時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、加熱処理物(本発明品5:486g、Bx50°)を得た。
実施例9(本発明品2のpHを上げてから加熱処理した嗜好飲料用エキスの調製)
実施例8で使用した本発明品2の濃縮物(Bx50°)500gを、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH10.5にしたものを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、撹拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、130±2℃にて2時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、加熱処理物(本発明品6:485g、Bx50°)を得た。
実施例10(官能評価)
市販無糖ブラックコーヒー飲料(1L紙容器入り)(参考品6)、および、参考品6の希釈液(8質量部の参考品6と2質量部の水を混合したもの:参考品7)を調製し、参考品7に対し、本発明品5または6を下記表4に示す量添加し、良く訓練された10名のパ
ネラーにて官能評価を行った。評価基準は、コーヒー豆感、味の厚みについてそれぞれ、参考品5をコントロールとして、明らかに弱い:−2点、やや弱い:−1点、同程度:0点、やや強い:+1点、明らかに強い+2点として、また、コーヒー飲料としてのバランスの良さについて、悪い:−2点、やや悪い:−1点、差無し:0点、やや良い:+1点、良い:+2点として官能評価を行った。その平均点を表4に示す。なお、コーヒー豆感とは、コーヒー豆独特の呈味を形成する感覚であって、添加することにより、実際に使用したコーヒー豆の量より多くコーヒー豆を使用したと感じさせる飲み応えのある感覚である。また、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディ感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとはコーヒーの呈味バランスを意味し、苦味、渋味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディ感、コーヒー豆感などが良好に調和した感覚を意味する。
Figure 0006453418
表4に示した通り、市販無糖ブラックコーヒー(参考品6)を希釈した参考品7は参考品6と比べコーヒー豆感、味の厚み・ボディ感などの呈味が明らかに弱く、またバランスも悪かったが、参考品7に本発明品5を添加したものは、わずか0.1ppmの添加でもバランスが改善された。また、さらに添加量を増やし1ppm〜10ppmの添加では参考品6の風味とほぼ同程度となり、20〜100ppmの添加では参考品6よりもむしろコーヒー豆感、味の厚み・ボディ感などの呈味、バランス共に評価が高く、良好であった。
また、参考品7に本発明品6を添加したものは、本発明品5を添加したものより、同一濃度の添加でもさらに、コーヒー豆感、味の厚み・ボディ感なおよびバランスの改善効果が高く、非常に良好であるとの評価であった。

Claims (10)

  1. 嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含み、かつ、嗜好飲料原料が米、小麦、大麦、焙煎大麦、焙煎小麦、焙煎米、麦芽、発芽小麦、発芽玄米、焙煎麦芽、焙煎発芽小麦、焙煎発芽玄米およびコーヒーから選ばれる1種以上である、嗜好飲料原料エキスの製造方法。
    (1)嗜好飲料原料を水抽出した後、固液分離し、水抽出液を得る工程、
    (2)工程(1)で得られた水抽出液に対し、フィチン酸分解酵素処理を行い、原料がコーヒーである場合には併せて糖質分解酵素処理を行い、原料がコーヒー以外である場合には併せて糖質分解酵素およびプロテアーゼ処理を行って、酵素処理抽出液を得る工程、
    (3)工程(2)で得られた酵素処理抽出液をプロトン型陽イオン交換樹脂と接触させることにより前記酵素処理液中のカルシウムイオンを前記陽イオン交換樹脂に吸着させた後、陽イオン交換樹脂処理液を得る工程、
    (4)工程(3)で得られた陽イオン交換樹脂処理液に対し不溶物除去処理を行う工程
  2. 嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含み、かつ、嗜好飲料原料が米、小麦、大麦、焙煎大麦、焙煎小麦、焙煎米、麦芽、発芽小麦、発芽玄米、焙煎麦芽、焙煎発芽小麦、焙煎発芽玄米およびコーヒーから選ばれる1種以上である、嗜好飲料原料エキスの製造方法。
    (1)嗜好飲料原料と水の混合物に、フィチン酸分解酵素処理を行い、原料がコーヒーである場合には併せて糖質分解酵素処理を行い、原料がコーヒー以外である場合には併せて糖質分解酵素およびプロテアーゼ処理を行って、酵素処理スラリーを得る工程、
    (2)工程(1)で得られた酵素処理スラリーを固液分離し、酵素処理抽出液を得る工程、
    (3)工程(2)で得られた酵素処理抽出液をプロトン型陽イオン交換樹脂と接触させることにより前記酵素処理液中のカルシウムイオンを前記陽イオン交換樹脂に吸着させた後、陽イオン交換樹脂処理液を得る工程、
    (4)工程(3)で得られた陽イオン交換樹脂処理液に対し不溶物除去処理を行う工程
  3. 請求項1または2に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、嗜好飲料原料が麦芽、発芽小麦、発芽玄米、焙煎麦芽、焙煎発芽小麦および焙煎発芽玄米から選ばれる、製造方法
  4. 請求項1または2に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、嗜好飲料原料が米、小麦、大麦、焙煎大麦、焙煎小麦および焙煎米から選ばれる、製造方法
  5. 請求項1または2に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、嗜好飲料原料が麦芽、発芽小麦および発芽玄米から選ばれる、製造方法
  6. 請求項1または2に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法であって、嗜好飲料原料がコーヒーである、製造方法
  7. 工程(1)〜(4)の後に、さらに、以下の工程(5)および(6)を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
    (5)工程(4)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
    (6)工程(5)で得られたBx調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
  8. 工程(1)〜(4)の後に、さらに、以下の工程(5)〜(7)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
    (5)工程(4)で得られた不溶物除去処理液を、屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°に調整する工程
    (6)工程(5)で得られたBx調整液のpHを6〜12に調整する工程
    (7)工程(6)で得られたpH調整液を100℃〜180℃にて5分〜5時間加熱する工程
  9. フィチン酸分解酵素処理を行う工程後のいずれかの段階で、熱交換機を用いて加熱殺菌工程を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の嗜好飲料原料エキスの製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られた嗜好飲料原料エキスを配合することによる、容器詰嗜好飲料の風味増強方法。
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