JP5981235B2 - 穀物含有飲食品用呈味改善剤 - Google Patents

穀物含有飲食品用呈味改善剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5981235B2
JP5981235B2 JP2012130721A JP2012130721A JP5981235B2 JP 5981235 B2 JP5981235 B2 JP 5981235B2 JP 2012130721 A JP2012130721 A JP 2012130721A JP 2012130721 A JP2012130721 A JP 2012130721A JP 5981235 B2 JP5981235 B2 JP 5981235B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roasted
tea
cereal
extract
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012130721A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013252113A (ja
Inventor
紫乃 中西
紫乃 中西
賢二 樋口
賢二 樋口
弘二 村井
弘二 村井
信輔 馬場
信輔 馬場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by T Hasegawa Co Ltd filed Critical T Hasegawa Co Ltd
Priority to JP2012130721A priority Critical patent/JP5981235B2/ja
Publication of JP2013252113A publication Critical patent/JP2013252113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5981235B2 publication Critical patent/JP5981235B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Seasonings (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は穀物含有飲食品用呈味改善剤に関する。さらに詳しくは、穀物含有飲食品、特に容器詰めの穀物飲料に極微量添加することで、穀物茶飲料が有する、濃厚感、味の厚み、ボディ感などのいわゆるコク味を増強させることのできる、呈味改善剤に関する。
麦茶飲料、玄米茶飲料、あるいは、茶類と焙煎した穀物類を混合したいわゆる混合茶類飲料は、渋味が少なく喉ごしの良いさわやかな風味と、微妙な苦味、コク味により、特に夏場の飲料として定着しており、これらを缶あるいはペットボトル等に充填した商品が提供され、消費者の甘味離れから高い支持を得て、その生産および消費量は高いレベルで推移している。しかしながら、これらの容器詰めの麦茶飲料、玄米茶飲料および混合茶飲料は、大量生産に適応させるため、工業的方法で抽出工程を行い、また長期保存に耐えられるように微生物安定性を高めるため、強い殺菌を行う必要がある。その結果、工業的製造工程および殺菌工程により、香気の散逸、加熱による香味の劣化を伴い、家庭や喫茶店でやかんや急須などで淹れた場合と比べ、十分に満足のできる風味の製品を得ることが極めて困難であった。
このような欠点を解消する手段として、穀物や焙煎穀物からの抽出物を飲料に添加する方法が提案されており、例えば、麦芽を25〜93重量%の濃度のエチルアルコール水溶液で抽出して得られる抽出物からなる、ビール様飲料のモルト感およびボリューム感を付与・増強するために用いられる香味改善剤(特許文献1)、麦芽を25〜93重量%の濃度のエチルアルコール水溶液で抽出して得られる抽出物からなる香味改善剤(特許文献2)、焙煎大麦を30〜95重量%のエタノール水溶液で抽出して得られる抽出物からなる、乳製品等の風味改善剤(特許文献3)、穀物の摩砕物を加熱した後、プロテアーゼ処理を行って抽出したエキス分を回収することにより、ビール系飲料および焙煎飲料用風味付与剤を製造する方法(特許文献4)、焙煎穀物を、第1段目の工程として水蒸気蒸留法により香気を回収し、第2段目の工程として残渣を糖質分解酵素処理して酵素処理エキスを得、第3段目の工程として第2段目の工程で得られた酵素処理エキスと第1段目の工程で得られた回収香を混合することを特徴とするビール風味飲料用風味改善剤の製造方法(特許文献5)、麦芽を加熱して内在酵素を失活させた後、プロテアーゼおよびアミラーゼを加えて処理して得られるエキスからなる、ビール風味飲料用風味改善剤(特許文献6)、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造方法において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することを特徴とする発酵アルコール飲料の製造方法(特許文献7)、水に懸濁させた粉砕大麦を90℃〜125℃で熱処理して得られた糊状の粉砕大麦と、麦芽とを混合して形成されるマイシェを用いて、麦芽アルコール飲料を得る方法(特許文献8)、麦芽などの植物を、0〜1μg/mLの酸素濃度下、140〜500℃の高温高圧の流体で処理して得られた植物加工品を用いてビールや発泡酒などを製造する方法(特許文献9)、大麦種子や大麦麦芽の抽出液を120℃〜150℃で処理して分子量6.0×103〜6.4×103に相当する化合物群を生成させ、この処理液を用いて酵母を加え発酵させる工程を含む、ビールテイスト飲料の製造方法(特許文献10)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法で得られた香気抽出物は飲料添加後の殺菌により劣化が進行してしまうという欠点があり、特許文献4〜6に記載した抽出物ではその力価は弱く、十分な効果を上げられるものではなく、特許文献7〜10の発明はビール風味飲料の風味改良方法に関する発明であるが、微量の添加により風味を増強する素材を提供するものではない。
特許第4214517号公報 特許第4122391号公報 特許第4444124号公報 特開2008−43231号公報 特開2010−252643号公報 特開2011−97855号公報 特許第3836117号公報 特開2005−348677号公報 特開2009−173670号公報 WO2009/078359号公報
本発明が解決しようとする課題は、穀物含有飲食品、特に容器詰めの穀物茶飲料に対し、微量添加するだけで、濃厚感、味の厚み、ボディ感などのいわゆるコク味を大幅に増強することができる素材を焙煎穀物原料により調製することにある。
本発明者らは、前記課題に鑑み、焙煎穀物の抽出液そのものに何らかの処理を加えることにより、穀物含有飲料に対して有効な呈味改善剤を得ることができないかと考え、鋭意研究を行ってきた。
従来、麦茶、玄米茶や混合茶飲料等の製造において、レトルト殺菌(121℃、10分程度)やUHT殺菌(135℃、1分程度)は必須の工程であり、この工程により発生する不快臭はいわゆるレトルト臭、加熱殺菌臭などと呼ばれており、好ましくない臭気とされてきた。
したがって、焙煎穀物茶の抽出液を加熱したところで、いわゆる加熱臭が強まるのであって、有効な呈味改善剤ができるということは全く予想されていなかった。
ところが、驚くべきことに、麦茶の抽出液を、飲用濃度よりも高い濃度において、高温加熱(Bx50°、130〜140℃、30分程度)を行い、その処理物を穀物茶飲料に添加してみたところ、わずか1ppm程度の添加でも、極めて強い呈味増強効果がある風味素材が得られた。また、麦茶を抽出する際、若しくは抽出後にプロテアーゼ処理や糖質分解酵素処理を行ったところ、その効果はさらに強いものとなった。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
(1)焙煎穀物抽出液を100℃〜180℃にて10分〜5時間加熱処理して得られる加熱処理物からなる、穀物含有飲食品用呈味改善剤。
(2)焙煎穀物抽出液が固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°である(1)の呈味改善剤。
(3)焙煎穀物抽出液が、プロテアーゼおよび/または糖質分解酵素により処理された酵素処理物である、(1)または(2)の呈味改善剤。
(4)焙煎穀物抽出液が焙煎大麦、焙煎米、焙煎発芽玄米および焙煎小麦から選ばれる1種または2種以上の焙煎穀物の抽出液である、(1)〜(3)のいずれかの呈味改善剤。
(5)単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、(1)〜(4)の呈味改善剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の呈味改善剤を含有する穀物含有飲食品。
(7)穀物含有飲食品が、穀物茶である(6)の穀物含有飲食品。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の呈味改善剤を穀物含有飲食品に添加することを特徴とする、穀物含有飲食品の呈味増強方法。
本発明によれば、通常の焙煎穀物抽出液を原材料とし、これを加工することにより穀物含有飲食品の呈味増強に効果のある呈味改善剤を提供することができる。また、本発明の呈味改善剤を麦茶、玄米茶あるいは混合茶などの容器詰め飲料やビール風味飲料に微量添加することにより、濃厚感、味の厚み、ボディ感などの呈味を増強させることができる。したがって、呈味の強い麦茶、玄米茶あるいは混合茶やビール風味飲料の製造に利用できる他、これらの飲料製造時において、コストダウンのため原料とする穀物の使用量の減量を余儀なくされた場合の風味補正に利用できるものと考えられる。
本発明における焙煎穀物抽出液とは、焙煎穀物原料から水性溶媒にて抽出された液、または、その濃縮液をいう。
本発明に使用する焙煎穀物は、例えば、焙煎大麦(麦茶)、焙煎米(いわゆる玄米茶に使用される玄米)、焙煎玄米(玄米を焙煎したもの)、焙煎発芽米、焙煎小麦、焙煎ハトムギ(ハトムギ茶)、焙煎ソバの実(ソバ茶)、焙煎トウモロコシ、炒りごま、焙煎キヌア、焙煎アマランサス、焙煎キビ、焙煎ヒエ、焙煎アワ、焙煎大豆などを例示できる。これらの内、特に、焙煎大麦、焙煎米、焙煎発芽玄米および焙煎小麦が好ましい。
また、必要に応じて、副原料として、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、後発酵茶などの茶類;セージ、タイム、マジョラム、オレガノ、バジル、ペパーミント、シソ、レモンバーム、ベルベナ、セイボリー、ローズマリー、レモングラス、ブルーベリーリーフ、ベイリーフ、マテ茶、ユーカリリーフ、サッサフラス、サンダルウッド、ニガヨモギ、センブリ、レッドペッパー、シンナモン、カッシャ、スターアニス、ワサビ、ホースラディッシュ、ミズガラシ、マスタード、トンカ豆、フェネグリーク、サンショウ、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、オールスパイス、ナツメグ、メース、クローブ、セリ、アンゲリカ、チャービル、アニス、フェンネル、タラゴン、コリアンダー、クミン、ディル、キャラウェー、ガランガ、カルダモン、ジンジャー、ガジュツ、ターメリック(ウコン)、バニラ、ジュニパーベリー、ウインターグリーン、ジャーマンカモミール、ローマンカモミール、菊花、ラベンダー、ハイビスカスフラワー、サフラン、マリーゴールド、オレンジフラワー、マローフラワー、ローズヒップ、サンザシ、リュウガン、クコシ、サンデュー(モウセンゴケ)、オレンジピール、レモンピール、マシュマロールート、チョウセンニンジン、デンシチニンジン、エゾウコギ、ギムネマ、ルイボスティー、シイタケ茶、ドクダミ、ケツメイシ、杜仲茶、ハブ茶、アマチャヅル茶、オオバコ茶、桜茶、甘茶、柿の葉茶、昆布茶、松葉茶、明日葉茶、グァバ茶、ビワの葉茶、アロエ茶、ウコン茶、スギナ茶、紅花茶、サフラン茶、コンフリー茶、クコ茶、ヨモギ茶、イチョウ葉茶、カリン茶、桑の葉茶、ゴボウ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、メグスリノキ茶、羅漢果茶などの各種植物の葉、茎、根などを加えてもよい。
抽出溶媒は主として水であり、抽出時の水、あるいは抽出後の抽出液に対し、酸化防止剤として、ビタミンCまたはアスコルビン酸ナトリウムを焙煎穀物原料に対し、0.01〜5質量%程度添加してもよい。また、必要によっては、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの食品に使用し得る水混和性極性有機溶媒を、溶媒全体に対し、0.1〜60質量%の範囲内で混合して使用することもできる。
抽出に用いる溶媒(水)の量は任意に選択できるが、一般には焙煎穀物原料の5〜50倍量(質量)であり、好ましくは10〜20倍量である。抽出の温度及び時間についても任意に定めることができ、特に限定されるものではないが、10〜100℃にて30分〜12時間、特に1〜2時間が好適である。本発明の抽出液を得る操作の方法としては、カラム抽出、バッチ式、ニーダーによる抽出などのいずれでも行うことができる。
また、抽出時および/または抽出後の抽出液に対し、酵素処理を行うこともできる。酵素処理により、澱粉などの多糖類が分解し、抽出液の粘度が低下し、後に記述する濃縮時においても加熱を均一に行うことができ、好適である。この酵素処理に使用することのできる酵素としては、特に制限はなく、例えば、プロテアーゼ、糖質分解酵素、リパーゼ、タンナーゼ、クロロゲン酸エステラーゼなどを例示することができる。
焙煎穀物中には焙煎後であってもある程度の量のタンパク質が残存しており、プロテアーゼ処理を行うことにより、後の加熱反応の効果が特に高まる。プロテアーゼは、蛋白質やペプチドのペプチド結合を加水分解する酵素である。本発明で使用可能なプロテアーゼとしては、市販の各種プロテアーゼを挙げることができる。プロテアーゼの使用量は、力価などにより異なり一概には言えないが、通常、焙煎穀物原料の質量を基準として通常、0.01〜100U/g、好ましくは1〜80U/gの範囲内を例示することができる。
焙煎穀物中には、焙煎後であってもかなりの量の多糖類が含まれており、この多糖類を糖質分解酵素によりあらかじめ加水分解しておくことにより、後の加熱反応の効果が特に高まる。糖質分解酵素としては、具体的には、例えば、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、アラバナーゼ、デキストラナーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼなどを例示することができる。これらの内、特に好ましい糖質分解酵素としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼを例示することができる。
糖質分解酵素の使用量は、使用する酵素の種類や焙煎穀物中の多糖類の存在量により一概にはいえないが、おおよそ焙煎穀物原料の質量を基準として通常0.1〜1,000U/g、好ましくは1〜100U/gの範囲内、または、製剤中に通常複数種類の酵素が含まれていて活性単位では表しにくいような場合は、焙煎穀物原料に対して通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%の範囲内を例示することができる。
また、リパーゼ処理を行うことでも、後の加熱反応の効果が特に高まる。本発明で使用可能なリパーゼとしては、特に制限されるものではなく、例えば、アスペルギルス属、ムコール属、キャンディダ属、リゾープス属等の微生物由来リパーゼ、豚の膵臓から得られるリパーゼ、子山羊、子羊、子牛の咽頭分泌線から採取したオーラルリパーゼなどを適宜利用できるが、好ましくは、カカオ脂に構成されている脂肪酸組成からパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を遊離するリパーゼを使用することが好ましい。リパーゼの使用量は力価などにより異なり一概には言えないが、通常、焙煎穀物原料に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内を例示することができる。
また焙煎穀物にはタンニンやクロロゲン酸を含むものもあるためタンナーゼやクロロゲン酸エステラーゼで分解することも効果的である。タンナーゼは、タンニン中の水酸基に没食子酸がエステル結合しているデプシド結合を加水分解する酵素、例えば、エピガロカテキンガレートをエピガロカテキンと没食子酸に加水分解する酵素である。本発明で使用することのできるタンナーゼとしては、具体的には、例えば、タンナーゼ(500U/g;キッコーマン社製)、タンナーゼ(5,000U/g;キッコーマン社製)、タンナーゼ(500U/g;三菱化学フーズ社製)などを用いることもできる。タンナーゼの使用量は、力価などにより一概には言えないが、通常、焙煎穀物原料の質量を基準として通常0.1〜50U/g、好ましくは0.5〜20U/gの範囲内を例示することができる。
酵素処理条件としては、バッチ式、ニーダーによる抽出などにおいて、焙煎穀物原料の抽出時に酵素を添加する場合は、例えば、焙煎穀物原料1質量部あたり水を通常5〜50質量部、好ましくは10〜20質量部添加し、60〜121℃で2秒〜20分間殺菌した後冷却したものに対し、酵素を添加し、20〜60℃で30分〜24時間酵素処理を行う。酵素処理後、60〜121℃で2秒〜20分間加熱して酵素を失活させた後冷却し、固液分離、濾過することにより、酵素処理された焙煎穀物抽出液を得ることができる。また、カラム抽出、バッチ式、ニーダーによる抽出などにおいて、焙煎穀物原料の抽出後の抽出液に対して酵素を添加する場合は、抽出液に対し酵素を添加し、20〜60℃で30分〜24時間酵素処理を行う。酵素処理後、60〜121℃で2秒〜20分間加熱して酵素を失活させた後冷却し、固液分離、濾過することにより、酵素処理された焙煎穀物抽出液を得ることができる。
また、焙煎穀物抽出液は、前記酵素処理と併せて、または、酵素処理とは別に、抽出時および/または抽出後の抽出液に対し、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)および/または活性炭による接触処理を行ってもよい。
PVPPはポリフェノール類を吸着する性質があり、焙煎穀物抽出液をPVPPと接触処理することにより、焙煎穀物抽出液中のポリフェノール類含量を低減させることができる。かかるPVPPの使用量は、一般には、焙煎穀物原料の質量を基準として、15〜300質量%、特に30〜150質量%の範囲内とすることができる。PVPPによる接触処理は、焙煎穀物原料の抽出中または抽出液にPVPPを添加し、例えば、10℃〜60℃程度の範囲内の温度で10分〜2時間攪拌処理することにより行うことができる。その後、遠心分離、ろ過等適宜の分離手段を採用して清澄な抽出液とすることができる。これにより、ポリフェノール類を低減させた焙煎穀物抽出液を得ることができる。
活性炭は低極性成分やポリフェノール類などを吸着する性質があり、焙煎穀物抽出液を活性炭と接触処理することにより、焙煎穀物抽出液中のポリフェノール類含量を低減させることができる。かかる活性炭の使用量は、一般には、焙煎穀物原料の質量を基準として、15〜300質量%、特に30〜150質量%の範囲内とすることができる。活性炭による接触処理は、焙煎穀物原料の抽出中または抽出液に活性炭を添加し、例えば、10℃〜60℃程度の範囲内の温度で10分〜2時間攪拌処理することにより行うことができる。また、抽出液に対する処理であれば、粒状態の活性炭を充填したカラムに、SV(空間速度)=1〜100、好ましくは5〜20の範囲内で通液し、処理することもできる。その後、遠心分離、ろ過等適宜の分離手段を採用して清澄な抽出液とすることができる。これにより、ポリフェノール類を低減させた焙煎穀物抽出液を得ることができる。
かくして得られた焙煎穀物抽出液はBx1°〜10°程度であり、そのまま加熱処理に供することもできるが、加熱処理に供するときの濃度はある程度高いことが好ましい。
加熱処理に供するときの焙煎穀物抽出液の濃度としては、Bx1°〜Bx80°、好ましくはBx5°〜Bx80°、より好ましくはBx10°〜Bx70°、さらに好ましくはBx20°〜Bx60°、最も好ましくはBx30°〜Bx55°とすることができる。濃度が低すぎる場合は、加熱の効果が出にくい。また、通常の飲用程度の濃度(Bx0.3°程度)であると、いわゆるレトルト臭、加熱臭が発生することが知られているが、低濃度での加熱処理ではレトルト臭と同様な風味が生じてしまい、呈味改善剤として十分に有効な素材としては得られない。また、濃度が低いことにより、穀物含有飲食品へ多量の添加が必要になってしまう可能性がある。一方、濃度が高すぎる場合は粘度が高く、均一加熱ができなくなり、焦げ付くなどの弊害が生じる可能性がある。
焙煎穀物抽出液の濃度を高めるための方法としては、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮などの濃縮手段を採用することができる。
また、濃度を高めるための別の方法として、焙煎穀物抽出液に糖類を添加して濃度を高める方法を採用することもできる。使用する糖類としては、単糖、二糖またはオリゴ糖が好ましく、リボース、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ラムノース、ラクトース、マルトース、シュークロース、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、水飴などを例示することができる。糖類の添加量としては、Bx1°〜Bx10°程度の茶類抽出液1質量部に対し、0.01〜2質量部を挙げることができる。
かくして得られた焙煎穀物抽出液を、加熱処理する点が本発明の特徴である。加熱処理により、いわゆるメイラード反応の素材となる糖やアミノ酸の他に焙煎穀物由来の特有の成分(ポリフェノール類、フラボノール類、サポニン類など)が複雑に反応し、呈味増強成分が生成すると考えられる。
焙煎穀物抽出液の加熱処理における反応温度としては、100℃〜180℃、好ましくは110℃〜170℃、より好ましくは120℃〜150℃、さらに好ましくは130℃〜140℃とすることができる。温度が低すぎる場合は、加熱反応が進行しづらく、呈味改善剤としての効果が出にくい。温度が高すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができないものとなってしまう。
また、加熱処理における反応時間としては、反応に必要な時間を確保する必要があり、10分〜5時間、好ましくは20分〜3時間、より好ましくは30分〜2時間とすることができる。反応時間が短すぎる場合は、反応が十分進行せず、呈味改善剤としての効果が出にくい。反応時間が長すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができないものとなってしまう。
本発明において、加熱処理には、密閉系にて内容物を加熱攪拌できるオートクレーブを使用することが好ましい。オートクレーブの操作としては、内容物として前記焙煎穀物抽出液を仕込んだ後、容器を密閉にし、ヘッドスペースの空気をそのまま、あるいは、酸素または不活性ガスにより置換して、引き続き前記条件にて加熱処理を行い、冷却後、釜内から、加熱処理物を回収する。回収物に澱が生じているときは濾過や遠心分離などの処理により、澱を除去することもできる。
釜内から回収された加熱処理物はこのまま呈味改善剤として使用することもできるが、所望により、さらに濃縮、あるいは、デキストリン、化工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形剤を添加して、ペースト状とすることができ、さらに、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥により粉末状の呈味改善剤組成物とすることもできる。
また呈味改善剤組成物とするに際し、組成物中に穀物フレーバーなどの天然または調合香料を添加することもできる。
かくして得られた呈味改善剤あるいは呈味改善剤組成物は、各種穀物含有飲食品に0.1ppm〜1%程度添加することにより、濃厚感、味の厚み、ボディ感などのいわゆるコク味を増強することができ、かつ、バランスの改善をはかることができる。なお、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディ感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとは焙煎穀物の呈味バランスを意味し、苦味、渋味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディ感などが良好に調和した感覚を意味する。
本発明の呈味改善剤あるいは呈味改善剤組成物が添加される穀物含有飲食品としては、例えば、ペットボトル、缶または紙容器に充填された、麦茶飲料、玄米茶飲料、茶類と焙煎した穀物類を混合したいわゆる混合茶類飲料などの茶系飲料;ビール、発泡酒、いわゆる第三のビール、ノンアルコールビール風味飲料などのビール風味飲料;麦茶、玄米茶、混合茶またはビールなどの風味を付与したアイスクリーム、ソフトクリームまたはシャーベットなどの冷菓;麦茶、玄米茶、混合茶またはビールなどの風味を付与したビスケット、クッキー、せんべい、饅頭、チョコレート、クリーム内包菓子、パンなどを例示することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
水9000gに粉砕した麦茶(六条大麦をL値34となるように焙煎したもの)1000gを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)20g(対麦茶2%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により麦茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液8225gを得た。この抽出液を減圧濃縮しBx50°の濃縮液1234gを得た。
濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品1:488g、Bx50°)を調製した。
(実施例2)
市販麦茶飲料(1L紙容器入り)(参考品1)に対し、本発明品1を下記表1に示す量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は参考品1をコントロールとして、10点満点で採点し、コク味については、コントロールと比べ変化なし:0点、わずかに強い:2点、やや強い:4点、強い:6点、明らかに強い8点、非常に強い10点として、また、麦茶飲料としてのバランスの良さについて、コントロールと比べ差無し:0点、わずかに良い:2点、やや良い:4点、明らかに良い:6点、非常に良い:8点、極めて良い10点として官能評価を行った。その平均点を表1に示す。
Figure 0005981235
表1に示した通り、参考品1(市販麦茶)に本発明品1を添加したものは、わずか0.2ppmの添加でもコク味およびバランスがわずかに改善された。また、さらに添加量を増やし10ppm〜100ppmの添加では添加量の増加と共に、コク味、バランス共に良好となり、100ppmの添加では明らかに良いとの評価であった。
(実施例3)
5Lカラムに未粉砕の麦茶(六条大麦をL値34となるように焙煎したもの)1000gを仕込み、90℃熱水9000gをカラム上部から送り込み、2時間かけて抽出し(2250gずつ、4回に分けて、仕込み後30分ホールディング後抜き取りを繰り返す)カラム下部より抽出液を抜き取り、抽出液8235g(Bx5.2°)を得た。この抽出液を、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行った後、減圧濃縮しBx20°の濃縮液(参考品2)2125gを得た。
参考品2(500g)を1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品2:491g、Bx20°)を調製した。
(実施例4)
参考品2(600g)に、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)3g(参考品3に対して0.5%)を加え、45℃にて16時間酵素処理を行った後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にて濾過し酵素処理液595g(参考品3)を得た。
参考品3(500g)を1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品3:491g、Bx20°)を調製した。
(実施例5)
参考品2(600g)に、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)3g(参考品2に対して0.5%)およびプロテアーゼM(アマノエンザイム社製:5500U/g)0.6g(参考品2に対して0.1%)、を加え、45℃にて16時間酵素処理を行った後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布に濾過し酵素処理液595g(参考品4)を得た。
参考品4(500g)を1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品4:491g、Bx20°)を調製した。
(実施例6)
参考品2(600g)に、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)3g(参考品2に対して0.5%)、プロテアーゼM(アマノエンザイム社製:5500U/g)0.6g(参考品2に対して0.1%)およびスミチームC(登録商標:新日本化学工業社製のセルラーゼ)0.12g(参考品2に対して0.02%)を加え、45℃にて、45℃にて16時間酵素処理を行った後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にて濾過し酵素処理液595g(参考品5)を得た。
参考品5(500g)を1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品5:492g、Bx20°)を調製した。
(実施例7)
参考品1に、参考品2〜5または本発明品2〜5を25ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表2に示す。
Figure 0005981235
表2に示した通り、参考品1(市販麦茶)に対し、高温加熱処理を行っていない参考品2〜5を添加したものは、いずれも無添加品と比べ差がなかったが、高温加熱処理を行った本発明品2〜5を添加したものは、いずれもコク味、バランスの評価が良好であった。酵素処理を全く行っていない本発明品2を参考品1に25ppm添加したものでは、無添加の参考品1よりはコク味、バランスともやや改善されていたが、酵素処理を行ってから加熱処理を行った本発明品3〜5を添加したものの方が、酵素処理を行っていない本発明品2と比べさらにコク味、バランスが改善された。これらの内では、特に、酵素処理としてアミラーゼ、セルラーゼおよびプロテアーゼを併用して処理した本発明品5が最も良好であった。
(実施例8)
水9000gに粉砕した麦茶(六条大麦をL値34となるように焙煎したもの)1000gを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)20g(対麦茶2%)、プロテアーゼM(アマノエンザイム社製:5500U/g)4g(対麦茶0.4%)およびスミチームC(新日本化学工業社製のセルラーゼ)0.8g(対麦茶0.08%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により麦茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液8458g(Bx7.9°)を得た。
この抽出液を希釈し、Bx5°の希釈液、またこの抽出液を減圧濃縮し、Bx10°、Bx30°、Bx50°およびBx70°の濃縮液をそれぞれ調製した。それぞれの希釈液または濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、以下の呈味改善剤を調製した。
本発明品6:Bx5°
本発明品7:Bx10°
本発明品8:Bx30°
本発明品9:Bx50°
本発明品10:Bx70°
(実施例9)
実施例2と同様に、参考品1に、本発明品6〜10を可溶性固形分として5ppm(Bxを可溶性固形分濃度として換算)となるように添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表3に示す。
Figure 0005981235
表3に示した通り、加熱処理における濃度が高いものほど麦茶飲料への添加による、コク味、バランスの改善効果が高いが、Bx5°の低濃度(本発明品6)でもかなりの改善効果がみられた。
(実施例10)
水27Kgに粉砕した麦茶(二条大麦をL値32となるように焙煎したもの)3Kgを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)60g(対麦茶2%)、プロテアーゼM(アマノエンザイム社製:5500U/g)12g(対麦茶0.4%)およびスミチームC(新日本化学工業社製のセルラーゼ)2.4g(対麦茶0.08%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により麦茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、30cm)にセルロースパウダー450gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液25.3Kg(Bx7.9°)を得た。
この抽出液を減圧濃縮し、Bx40°の濃縮液、Bx50°の濃縮液、Bx60°の濃縮液をそれぞれ調製した。それぞれの濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、下記温度にて下記時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、以下の呈味改善剤を調製した。
本発明品11:Bx40°、加熱温度:140±2℃、30分
本発明品12:Bx50°、加熱温度:130±2℃、1時間
本発明品13:Bx60°、加熱温度:120±2℃、2時間
(実施例11)
実施例2と同様に、参考品1に、本発明品11〜13を可溶性固形分として5ppm(Bxを可溶性固形分濃度として換算)となるように添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表4に示す。
Figure 0005981235
表4に示した通り、原料として、二条大麦(L値32)を使用した本発明品11〜13も、麦茶として6条麦茶(L値34)を使用した本発明品1と同様に、麦茶飲料への添加による、コク味、バランスの改善効果が見られた。また、Bx40°の濃度で、140℃、30分加熱のもの(本発明品11)、Bx50°の濃度で、130℃、1時間加熱のもの(本発明品12)およびBx60°の濃度で、120℃、2時間加熱のもの(本発明品13)の呈味改善効果の差はそれほど大きくはないが、高濃度であれば、やや低温でも長時間の反応により高い効果が得られることが認められた。
(実施例12)
水45Kgに粉砕した麦茶(六条大麦をL値34となるように焙煎したもの)5Kgを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)100g(対麦茶2%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により麦茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、30cm)にセルロースパウダー500gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液40.9Kgを得た。この抽出液を減圧濃縮しBx50°の濃縮液6.7Kg(比較品1)を得た。
濃縮液(比較品1)を500gずつ小分けし、それぞれ1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、110±2℃、120±2℃、135±2℃、150±2℃、170±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、各呈味改善剤を調製した。
本発明品1:135±2℃
本発明品14:110±2℃
本発明品15:120±2℃
本発明品16:150±2℃
本発明品17:170±2℃
(実施例13)
実施例2と同様に、参考品1に、比較品1、本発明品1または14〜17を10ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表5に示す。
Figure 0005981235
表5に示した通り、参考品1に未加熱の麦茶抽出液である比較品1を10ppm添加した飲料の官能評価は、参考品1と全く差がなかった。それに対し、参考品1に加熱処理品である本発明品をそれぞれ10ppm添加した飲料は、いずれも参考品1と比べ、コク味、バランスとも明らかに改善善された。これらの中で、特に本発明品1は良好であり、次いで本発明品16、17が良好であった。また、本発明品15、14のいずれにも効果が見られたため、加熱温度としては100℃〜180℃程度の範囲内で加熱による効果が出るものと考えられる。
参考品1のBxが0.3°であるのに対し、比較品1、本発明品1または15〜17はそれぞれBx50°あるため、それぞれ10ppm添加した場合のBxの増加は0.0005°の計算になる。したがって、参考品1に、これらの発明品等を添加した場合のBxの増加は元のBxに対しわずか0.17%の増加にしかならない。したがって、単なる麦茶のエキスである比較品1を参考品1に10ppm添加しても、無添加品と官能的に差がないことは、十分予想される範囲内であると考えられる。
それに対し、本発明品を添加したものではいずれもコク味、バランスが改善されており、高温での加熱による作用により、風味改善に極めて有効な新たな成分が生成しているものと考えられる。
(実施例14)
水9000gに粉砕したハトムギ茶(中国産原料をL値32に焙煎したもの)1000gを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)20g(対ハトムギ茶2%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機によりハトムギ茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液8225gを得た。この抽出液を減圧濃縮しBx50°の濃縮液941gを得た。
濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品18:489g、Bx50°)を調製した。
(実施例15)
水9000gに粉砕した焙煎米(いわゆる玄米茶に用いる玄米;白米をL値64に焙煎したもの)1000gを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)20g(対焙煎米2%)、プロテアーゼM(アマノエンザイム社製:5500U/g)4g(対焙煎米0.4%)およびスミチームC(新日本化学工業社製のセルラーゼ)0.8g(対焙煎米0.08%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により焙煎米残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、20cm)にセルロースパウダー150gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液7856gを得た。この抽出液を減圧濃縮しBx50°の濃縮液1139gを得た。
濃縮液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品19:489g、Bx50°)を調製した。
(実施例16)
水900gに粉砕した麦茶(六条大麦をL値34となるように焙煎したもの)100gを投入し、80℃にて5分間殺菌し、45℃まで冷却した。これに、コクラーゼ(登録商標:三菱化学フーズ株式会社製のα−アミラーゼを主体としたアミラーゼ製剤)2g(対麦茶2%)を加え、15分間攪拌した後、45℃にて16時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて10分間殺菌した後、30℃まで冷却し、さらし布にてバスケット型遠心分離機により麦茶残渣固形物を除いた後、No.2濾紙(ADVANTEC社製 保留粒子径5μ、7cm)にセルロースパウダー15gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な抽出液825g(Bx7.5°)を得た。この抽出液に無水結晶ぶどう糖701g(対抽出液85%)添加し、加糖麦茶抽出液(Bx50°)を得た。
この加糖麦茶抽出液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、135±2℃にて1時間加熱した。30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品20:492g、Bx50°)を調製した。
(実施例17)
85℃に加熱したイオン交換水30kgに焙煎六条大麦(L値35)粉砕物500g、焙煎玄米(L値54)粉砕物400g、焙煎トウモロコシ粉砕物300g、ウーロン茶(色種S−303)200gおよび焙煎ハトムギ(タイ産:L値32)粉砕物100gを投入し、ゆっくり5分間攪拌した後、ネル濾過フィルターにて熱時濾過し、濾液を20℃まで冷却し、さらにNo.26濾紙(300mm)(ADVANTEC(登録商標)東洋濾紙株式会社製)にセルロースパウダー250gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し混合茶抽出濾液22.12kgを得、重曹にてpHを6.5に調整し、水を加えて、全体を200kgとした(Bx0.4°)。これを小分けし、無添加のものと、本発明品1または本発明品18〜20をそれぞれ10ppmずつ添加したものを調製し、137℃、30秒間加熱殺菌後、88℃まで冷却し500mlペットボトルに充填し、2分保持後、室温(25℃)まで冷却し、ペットボトル入り混合茶飲料とした。それぞれの混合茶飲料はエキス無添加のものをコントロールとして良く訓練された10名のパネラーにて評価した。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表6に示す。
Figure 0005981235
表6に示した通り、麦茶、ハトムギ茶、焙煎米および加糖麦茶抽出液それぞれの加熱処理品である本発明品1、18〜20をそれぞれ10ppm添加した飲料は、いずれも無添加品と比べ、コク味、バランスとも明らかに改善善された。加糖麦茶抽出液の加熱処理品は、麦茶抽出液のみを濃縮し加熱した本発明品1と比べて、添加による風味改善効果はやや劣るものの、明らかに改善効果が見られた。

Claims (6)

  1. 焙煎大麦、焙煎米、焙煎発芽玄米および焙煎小麦から選ばれる1種または2種以上からなる焙煎穀物の水による抽出液であって、固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°である抽出液を110℃〜180℃にて10分〜5時間加熱処理することによる、穀物含有飲食品用呈味改善剤の製造方法
  2. 抽出液が、プロテアーゼおよび/または糖質分解酵素により処理された酵素処理物である、請求項1に記載の呈味改善剤の製造方法
  3. 単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、請求項1または2に記載の呈味改善剤の製造方法
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られる呈味改善剤を含有させることを特徴とする穀物含有飲食品の製造方法
  5. 穀物含有飲食品が、穀物茶飲料である請求項に記載の穀物含有飲食品の製造方法
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られる呈味改善剤を穀物含有飲食品に添加することを特徴とする、穀物含有飲食品の呈味増強方法。
JP2012130721A 2012-06-08 2012-06-08 穀物含有飲食品用呈味改善剤 Active JP5981235B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012130721A JP5981235B2 (ja) 2012-06-08 2012-06-08 穀物含有飲食品用呈味改善剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012130721A JP5981235B2 (ja) 2012-06-08 2012-06-08 穀物含有飲食品用呈味改善剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013252113A JP2013252113A (ja) 2013-12-19
JP5981235B2 true JP5981235B2 (ja) 2016-08-31

Family

ID=49950185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012130721A Active JP5981235B2 (ja) 2012-06-08 2012-06-08 穀物含有飲食品用呈味改善剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5981235B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6128769B2 (ja) * 2012-07-23 2017-05-17 アサヒ飲料株式会社 麦茶飲料の製造方法、大麦抽出液添加用香味改善剤の製造方法及び大麦抽出液添加用色調補正剤の製造方法
JP6320553B2 (ja) 2014-10-23 2018-05-09 長谷川香料株式会社 飲食品用呈味改善剤
TWI649036B (zh) * 2014-10-28 2019-02-01 日商長谷川香料股份有限公司 飲食品用呈味改善劑、香味賦予劑組成物及飲食品的香味改善方法
JP5954758B1 (ja) * 2015-05-28 2016-07-20 長岡香料株式会社 呈味増強剤の製造方法
JP6467656B2 (ja) * 2015-07-29 2019-02-13 日油株式会社 製パン用油脂組成物
JP7109154B2 (ja) * 2015-12-14 2022-07-29 アサヒ飲料株式会社 茶飲料、茶飲料のおいしさの向上方法、茶飲料の苦み又は渋みの抑制方法、及び茶飲料の甘さの向上方法
JP6928466B2 (ja) * 2017-03-17 2021-09-01 ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 麦茶飲料
JP6675428B2 (ja) * 2018-02-28 2020-04-01 長谷川香料株式会社 飲食品用呈味改善剤
JP7088698B2 (ja) * 2018-03-13 2022-06-21 株式会社 伊藤園 容器詰麦茶飲料及びその製造方法
JP6921052B2 (ja) * 2018-12-27 2021-08-18 アサヒ飲料株式会社 飲料の製造方法
WO2021144829A1 (ja) * 2020-01-14 2021-07-22 株式会社Crd 起泡剤、及び、呈味改善剤
JP7480923B2 (ja) 2022-03-31 2024-05-10 不二製油グループ本社株式会社 風味剤

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5672674A (en) * 1979-11-13 1981-06-16 Kanebo Shokuhin Kk Production of high-concentration ptisan
JPS596867A (ja) * 1982-07-02 1984-01-13 Hitachiya Honpo:Kk 冷水用麦茶の製造法
GB8703718D0 (en) * 1987-02-18 1987-03-25 Dalgety Uk Ltd Colour production
JP2520287B2 (ja) * 1988-10-14 1996-07-31 長谷川香料株式会社 香味の優れた麦茶エキスの製造法
DK0406598T3 (da) * 1989-07-07 1994-07-04 Nestle Sa Proteinhydrolyse
WO2004039936A1 (ja) * 2002-10-30 2004-05-13 Suntory Limited 植物加工品の製造方法
CN103484277B (zh) * 2007-12-14 2016-03-02 三得利控股株式会社 香味赋予剂及含有其的啤酒风味饮料
JP5057526B2 (ja) * 2009-04-22 2012-10-24 長谷川香料株式会社 ビール風味飲料用風味改善剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013252113A (ja) 2013-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5981235B2 (ja) 穀物含有飲食品用呈味改善剤
JP5868787B2 (ja) カカオ風味飲食品用呈味改善剤
JP5981234B2 (ja) 茶含有飲食品用呈味改善剤
JP5868786B2 (ja) コーヒー含有飲食品用呈味改善剤
CN106793818B (zh) 饮食品用呈味改善剂
GB2483311A (en) Method of producing fermented tea drink
KR20110115124A (ko) 차 엑기스 및 그 제조 방법
JP5472092B2 (ja) テアフラビン類を豊富に含む発酵茶飲料の製造方法
JP6675428B2 (ja) 飲食品用呈味改善剤
TWI610629B (zh) 加熱處理香草萃取物之製造方法
JP6453418B2 (ja) 嗜好飲料原料エキスの製造方法
CN102984950B (zh) 茶类提取物
WO2013035860A1 (ja) 茶酵素処理エキス及び茶飲料
JP6675429B2 (ja) 飲食品用呈味改善剤
JP6654211B2 (ja) 飲食品用呈味改善剤
JP6675430B2 (ja) 飲食品用呈味改善剤
JP7039142B2 (ja) 飲食品の風味付与ないし増強剤
JP2018102243A (ja) ビールテイスト飲料およびその製造方法
TWI649036B (zh) 飲食品用呈味改善劑、香味賦予劑組成物及飲食品的香味改善方法
JP2013138636A (ja) 苦味抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160726

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160728

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5981235

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150