以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
この実施形態では、加熱調理器として、グリル付きガスコンロに適用して説明する。
この実施形態のグリル付きガスコンロAは、図1に示すように、コンロ本体1の上部に、最大火力の異なるコンロバーナからなる3つのガスコンロ部2a〜2cを備え、コンロ本体1の左右中央には、グリルバーナ(図示せず)を内装すると共に、グリル扉3aを前方に備えるグリル皿(図示せず)を前面から出し入れ可能に装着したグリル3を備えている。
このグリル付きガスコンロAは、図示しないキッチンキャビネットに落とし込み装着されるビルトインタイプである。
コンロ本体1の上部は、天板4で覆われると共に、コンロ奥端の上面にグリル3の燃焼排ガスを排出するためのグリル排気口5が設けられている。
この実施形態では、天板4の手前側の左右に配設したガスコンロ部2a,2bの一方(左側)が、標準火力のガスコンロ部2aとなっており、他方(右側)が、高火力のガスコンロ部2bとなっている。また、奥側の中央部に配設したガスコンロ部2cが、小火力のガスコンロ部2cとなっている。各ガスコンロ部2a〜2cには、調理容器、例えば鍋の底部の温度を検出するサーミスタからなる温度センサ7a〜7cがそれぞれ装備されていると共に、対応する五徳6a〜6cがそれぞれ載置されている。
各ガスコンロ部2a〜2cには、図示していないが、コンロバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、コンロバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対とが設けられ、グリル3にも同様に、グリルバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、グリルバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられる。点火プラグは、後述する加熱状態調節部12a〜12cにおける点火操作によってマイクロコンピュータからなる制御部11(図2参照)により点火動作が行われ、熱電対において検出された着火(点火)情報は制御部11に認識されて、制御部11により点火プラグでの点火処理を終了する。
各コンロバーナ及びグリルバーナには、図2に示すように、都市ガス等のガス燃料を供給する燃料供給路8からそれぞれ分岐する分岐供給路8aが接続されている。なお、この図2では、ガスコンロ部2aのコンロバーナのみを代表的に示している。燃料供給路8には、電磁弁9が設けられると共に、各分岐供給路8aには、ガス燃料の供給量の調節を行うためステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁10と、前記弁体の開度位置を検出する位置センサ(図示せず)が設けられている。電磁弁9及び流量制御弁10は、制御部11によって制御され、位置センサにおける検出情報は、制御部11によって認識・処理される。また、流量制御弁10は、対応するコンロバーナ又はグリルバーナが使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように切り換えられる。
図1に示すように、コンロ本体1の前面の左右上部には、各ガスコンロ部2a〜2cのコンロバーナの点火、消火、火力調節の操作をそれぞれ行うための3つの加熱状態調節部12a〜12cが設けられている。この実施形態では、前面の左側に、標準火力のガスコンロ部2aの加熱状態調節部12aを配設し、前面の右側に、高火力のガスコンロ部2bの加熱状態調節部12b及び小火力のガスコンロ部2cの加熱状態調節部12cを配設している。
また、前面の右側上部には、制御部11をはじめ電磁弁9や流量制御弁10、グリル用調理設定入力部16、ガスコンロ用調理設定入力部17や加熱状態調節部12a〜12c等の各部への通電の入切を行う自動復帰型で押し釦式の電源スイッチ13が設けられている。
上記各加熱状態調節部12a〜12cは、前後方向に移動自在な押釦により構成され、ガスコンロ部2a〜2cの使用に当たっては、押釦よりなる加熱状態調節部12a〜12cを押圧して点火操作をすることで、後退していた加熱状態調節部12a〜12cが前方に突出して器具栓がONとなり、流出するガス燃料にスパーク放電がなされてガスコンロ部2a〜2cのコンロバーナに点火される。
この押釦よりなる加熱状態調節部12a〜12cが前方に突出した状態で加熱状態調節部12a〜12cを指で摘んで回動操作すると、前記回動角度がロータリーエンコーダにより検出されて制御部11に認識され、前記回動角度に応じた開度位置となるようにステッピングモータにより流量制御弁10の弁体が駆動されてガス流量が制御されて、ガスコンロ部2a〜2cの火力が、「1」〜「5」の5段階で制御できるようになっている。一方、消火にあたっては、前方に突出している加熱状態調節部12a〜12cを後方に押圧操作することで器具栓がOFFとなってガスコンロ部2a〜2cのコンロバーナが消火される。
コンロ本体1の前面の左右の下部には、操作パネル14,15が収納自在に設けられている。右側の操作パネル15には、グリル3に関する操作を行うためのグリル用調理設定入力部16が設けられ、この操作パネル15がグリル側操作パネルとなり、左側の操作パネル14には、標準火力のガスコンロ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスコンロ用調理設定入力部17が設けられ、この操作パネル14がコンロ側操作パネルとなっている。
図3には、ガスコンロ用調理設定入力部17を示している。標準火力のガスコンロ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスコンロ用調理設定入力部17は、ガスコンロ部2aによる自動調理時間を設定するためのタイマスイッチ18、揚げ物、炊飯、湯沸しの自動調理のメニューをそれぞれ設定するための各メニュースイッチ19〜21、圧力鍋による自動加圧調理を設定するための圧力鍋スイッチ22、加圧調理時間を設定するための加圧タイマスイッチ23、蒸らし時間を設定するための蒸らしタイマスイッチ24、及び、前記各スイッチ18〜22を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ25等を備えている。
タイマスイッチ18の「+」スイッチ18a,「−」スイッチ18bを押すことにより、1分単位で1分〜120分迄のタイマ時間を設定することができ、設定されるタイマ時間が、表示部18cに表示される。タイマ時間が設定されない場合は、初期設定値として、60分が表示される。また、設定された調理モードの実行中は、表示部18cには、残り時間が1分となるまでは1分の時間経過と共にデクリメントされた分単位の残時間が、表示され、残り時間が1分未満になると、残り時間が30秒なるまでは、「1分」の値が表示され、残り時間が30秒以下になると、ブザーで報知すると共に、1秒単位で1秒の時間経過と共にデクリメントされた秒単位の残時間が、表示され、残り時間が0になると「0」が10回点滅し、ガスコンロ部2aが消火し、設定された調理モードは終了する。また、表示部18cには、後述のエラー表示も行われる。
なお、タイマ時間が設定された調理モードの実行中に、タイマスイッチ18の「+」スイッチ18a又は「−」スイッチ18bを押すことにより、タイマ時間の設定の変更ができ、設定可能な最大時間は120分迄であり、ガスコンロ部2aの連続使用可能時間は120分迄としている。
上記自動調理のメニュースイッチ19〜22の内、揚げ物用のメニュースイッチ19を押すことで揚げ物を自動調理で行う揚げ物モードとすることができ、この揚げ物用のメニュースイッチ19を何回押すかによって、200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げ物の調理の中から目的とする温度の揚げ物調理を設定することができる。また、炊飯用のメニュースイッチ20を押すことで炊飯を自動調理で行う炊飯モードとすることができ、この炊飯用のメニュースイッチ20を何回押すかによって、ご飯、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理を設定することができる。また、湯沸し用のメニュースイッチ21を押すことで湯沸しを自動調理で行う湯沸しモードとすることができ、この湯沸し用のメニュースイッチ21を何回押すかによって、自動消火、5分保温といった湯沸し後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯沸しを選択して設定することができる。
更に、この実施形態では、圧力鍋スイッチ22を、一回押すごとに、「高圧」または「低圧」の自動加圧調理を行う加圧調理モードをサイクリックに設定できるようになっている。また、圧力鍋スイッチ22を長押しすることにより、使用する圧力鍋の作動圧力に対応する圧力鍋の検出温度を、設定温度として後述のように制御部11に記憶させる圧力鍋記憶モードとなる。
また、圧力鍋スイッチ22を操作して「高圧」または「低圧」の加圧調理を設定した後、加圧タイマスイッチ23を押し、更に、「+」スイッチ23a,「−」スイッチ23bを押すことにより、自動調理のタイマ設定と同様に、自動加圧調理の加圧タイマ時間を設定することができ、設定される加圧タイマ時間等が表示部23cに表示される。
また、蒸らしタイマスイッチ24を押し、更に、「+」スイッチ24a,「−」スイッチ24bを押すことにより、蒸らしタイマ時間を設定することができ、設定される蒸らしタイマ時間等が表示部24cに表示される。
このガスコンロ用調理設定入力部17において、標準火力のガスコンロ部2aによる調理の設定入力が行われると、制御部11により予め設定された制御内容に基づいて、ガスコンロ部2aにおける火力調整、調理時間等が制御される。この場合、鍋の底部の温度を温度センサ7aにより検出して、該温度センサ7aで検出した鍋の底部の温度を、制御部11に入力してフィードバック制御により火力調整を行うようになっている。また、制御部11は、タイマスイッチ18、加圧タイマスイッチ23及び蒸らしタイマスイッチ24によって設定されるタイマ時間を計測するタイマ計測部としての機能を有する。
各ガスコンロ部2a〜2cの使用に当たっては、手動により加熱を行う場合には、コンロ本体1の前面に露出している加熱状態調節部12a〜12cを直接指で操作して制御部11に指令を与えて点火、火力調整、消火を行うと共に、標準火力のガスコンロ部2aで自動調理や自動加圧調理を行う場合には、後述のように、主として制御部11によりガス流量及び火力が調整される。
また、自動調理や自動加圧調理の終了、タイマ機能、あるいは、安全装置により異常が検知されることで、自動消火される場合があり、この場合には点火、消火を行う各加熱状態調節部12a〜12cは器具栓をONとする状態であっても安全弁により燃料ガスが遮断されて消火される。
この実施形態では、製造メーカ等の異なる圧力鍋であっても、自動加圧調理を行う加圧調理モードを設定したときには、自動で加圧調理を行えるようにするものであるが、ここで、圧力鍋について、簡単に説明する。
圧力鍋の蓋体は、圧力調整装置、安全弁、等を備え、ゴムパッキンにより鍋本体を密閉し、圧力容器としている。材料や水分を入れて圧力鍋を密閉して、加熱すると、鍋の中で蒸気が発生し、内圧が高くなって沸騰温度が高くなり、高温で短時間に調理する事が出来る。なお、鍋の中の圧力は、圧力調整装置でバランスされる圧力である作動圧力に達するまで、蒸気加圧され、作動圧力に達すると、圧力調整装置により、蒸気を噴出して作動圧力を保つように設計されているが、火力を調整しなければ、過剰に水分が蒸発したり、逆に、蒸気が噴出する沸騰状態を維持することができないので、上述のように、使用者が、火力を手動で調節しながら加圧調理が行われる。
圧力調整装置は、蒸気を噴出する穴の上に、圧力調整おもりを載せており、内部の蒸気が一定になると、この圧力調整おもりを押し上げ、内部の蒸気を一定量だけ外へ逃がすことにより、圧力調整を行っている。圧力調整おもりは、高圧おもりと低圧おもりがあり、料理によって使い分けをする。圧力調整おもりの重さにより内部の圧力と均衡を保とうとし、隙間により、蒸気が逃げ出すと、シューッシューッという音のすることにより使用者は、加圧調理が始まったことを把握する。また、圧力調整装置に笛などが付いた仕様の場合は、笛の報知により、使用者は加圧調理が始まったことを把握する。
圧力調整装置が目詰まり等した場合、圧力鍋中の圧力は規定を越えて上昇し、温度も非常に高くなるため、異常圧力になった場合は、安全弁が作動し、蒸気を一気に外へ逃がすことにより、強制的に圧力を下げるようしている。
圧力鍋による加圧調理は、材料と水分を鍋に入れ、加熱を開始し、蒸気が出始めた時点から、加圧調理が始まり、料理によって加圧時間は違い、加圧時間経過後の加圧調理終了後は、消火し、その後、蒸らし時間が必要な料理の場合は、蒸らし時間を経過後、鍋内部が減圧し、空けられる状態になったら、圧力鍋を開けることができる。鍋内部が減圧した旨は、蓋把手に設けている内圧表示ピン(フロート)などの状態によって、使用者は把握する。なお、加圧調理が終わっていても、圧力鍋の内部は、100℃を超えており、調理が進むので、蒸らし時間も大事な調理時間となる。
以上のような圧力鍋は、その材質や構造などが、製造メーカによって相違し、圧力調整弁等によって、内部の圧力を所定の圧力、すなわち、作動圧力に保持するように設計されているが、この作動圧力は、製造メーカ等によって相違する。また、高圧と低圧の加圧調理を行える圧力鍋では、高圧と低圧とで作動圧力が相違することになる。
圧力鍋は、使用者の好みなどに応じて購入されるものであるから、加圧調理に使用される圧力鍋の作動圧力、したがって、作動圧力に対応する沸騰温度は、使用者毎に区々となる。また、高圧と低圧の加圧調理を行える圧力鍋では、使用者の、調理内容等に応じた高圧と低圧の選択によっても作動圧力に対応する沸騰温度は相違することになる。
そこで、この実施形態では、圧力鍋を用いた加圧調理を行う前に、上述の圧力鍋記憶モードを設定し、使用する圧力鍋の作動圧力に対応する沸騰温度を、圧力鍋の検出温度として検出し、その検出温度を、加圧調理モードにおける圧力鍋の温度制御の設定温度として加熱調理器の制御部11に予め記憶させるようにしている。
具体的には、使用者は、後述の指定量の水を入れた高圧また低圧の圧力鍋を準備し、上述のガスコンロ用調理設定入力部17の圧力鍋スイッチ22を操作して圧力鍋記憶モードを設定する共に、高圧または低圧を設定する。次に、圧力鍋を標準火力のガスコンロ部2aにセットして点火し、圧力鍋の加熱を開始する。使用者は、圧力鍋の圧力が作動圧力に達して沸騰し、圧力調整おもり等がゆれ動いて蒸気が噴出し始めるのを目視確認し、ガスコンロ部2aを消火する。
加熱調理器では、消火された時点における、温度センサ7aで検出された圧力鍋の検出温度を、設定温度として記憶する。
なお、圧力鍋の圧力が作動圧力に達して沸騰し、圧力調整おもり等がゆれ動いて蒸気が噴出し始める時点は、加圧調理が開始された時点であって、以下の説明では、「加圧時」ともいう。
この加圧時は、圧力鍋の取扱い説明書等に記載されており、例えば、内圧表示ピン(フロート)が上がって、圧力調整おもりが緩やかにゆれ始めて蒸気が噴出する時点、あるいは、笛付の圧力鍋では、笛が鳴り始める時点などである。
作動圧力に達して沸騰するときの圧力鍋の検出温度を設定温度として記憶させる圧力鍋記憶モードでは、出来るだけ安定した正確な温度を記憶させる必要がある。
ここで、製造メーカ及び圧力鍋に入れられる水量によって、圧力鍋の加熱時における検出温度がどのように変化するかについて、実測値に基づいて説明する。
図4及び図5は、A社製の圧力鍋を使用して高圧及び低圧を選択し、圧力鍋に入れる水量を異ならせると共に、加熱調理器で火力を異ならせて加熱した場合の圧力鍋の上記加圧時における検出温度を示す図であり、図4が高圧の圧力鍋に対応し、図5が低圧の圧力鍋に対応する。また、横軸が水量(ml)を、縦軸が上述の鍋の底部の温度を検出する温度センサによる加圧時における検出温度(℃)をそれぞれ示している。
A社製の圧力鍋は、高圧の場合の作動圧力(相対圧力)が100kPa、沸騰温度=120 ℃であり、低圧の場合の作動圧力(相対圧力)が40kPa、沸騰温度=109℃である。
各圧力鍋は、片手式の4.5Lの圧力鍋であり、加熱は、上述のガスコンロ部の5段階の火力の内、火力「3」、「4」、「5」でそれぞれ行った。具体的には、実線で示す火力「3」は1500kcal/h、一点鎖線で示す火力「4」は1800kcal/h、破線で示す火力「5」は2100kcal/hである。
高圧及び低圧の圧力鍋に対応する図4及び図5に示すように、水量が少ないと、例えば、水量が600ml未満では、加圧時における圧力鍋の検出温度は、不安定であって、ばらついている。
これは、水量が少ないと、加圧時には気泡が多くなり、温度センサが検出する圧力鍋の底部の検出部位に、気泡が存在することによって、熱伝達が悪くなって正確な温度が検出できにくいためであると考えられる。
これに対して、水量が多く、1000ml程度になると、図4の高圧の圧力鍋では、火力「3」の加圧時の検出温度が124.5℃、火力「4」及び火力「5」の加圧時の検出温度がいずれも122.8℃であり、また、図5の低圧の圧力鍋では、火力「3」の加圧時の検出温度が112.9℃、火力「4」及び火力「5」の加圧時の検出温度がいずれも112℃であり、安定している。
このため、この実施形態では、圧力鍋記憶モードでは、圧力鍋に入れる指定水量を1000mlとしている。
図6及び図7は、A社製及びB社製の低圧の各圧力鍋に入れる水量を異ならせて、加熱調理器で火力を異ならせて加熱した場合の各圧力鍋の加圧時における検出温度を示す図であり、図4及び図5と同様に、実線は火力「3」を、一点鎖線は火力「4」を、破線は火力「5」をそれぞれ示している。
A社製の低圧の圧力鍋は、上記のように、作動圧力(相対圧力)が40kPa、沸騰温度=109℃であり、B社製の低圧の圧力鍋は、作動圧力(相対圧力)が55kPa、沸騰温度=112℃であり、作動圧力が相違している。
図6に示されるA社製の圧力鍋では、水量1000mlにおける加圧時の検出温度が、火力「3」では112.9℃、火力「4」及び火力「5」ではいずれも112℃であるのに対して、図7のB社製の圧力鍋では、水量1000mlにおける加圧時の検出温度が、火力「3」では116.7℃、火力「4」では115,7℃、火力「5」では113.9℃であり、A社製の圧力鍋とB社製の圧力鍋とでは、加圧時の検出温度は相違する。
次に、この加圧時の圧力鍋の検出温度を記憶させる圧力鍋記憶モードについて更に詳細に説明する。
使用者は、当該加熱調理器の取扱い説明書等に基づいて、指定水量、この実施形態では1000mlの水を入れた高圧または低圧の圧力鍋を準備し、上述のようにガスコンロ用調理設定入力部17の圧力鍋スイッチ22を、長押しすることによって、圧力鍋記憶モードを設定し、使用する圧力鍋が、高圧であるか低圧であるかに応じて、圧力鍋スイッチ22を押して高圧または低圧を設定する。
次に、標準火力のガスコンロ部2aを点火し、指定水量の水を入れた圧力鍋の加熱を開始する。圧力鍋記憶モードでは、ガスコンロ部2aが点火されると、所定の火力、例えば、火力「3」で加熱される。
使用者は、目視によって圧力鍋の加圧時を把握すると、例えば、上述のように、内圧表示ピンが上がって、圧力調整おもりが緩やかにゆれ始めて蒸気が噴出するのを確認すると、加圧時であるとして、消火操作を行ってガスコンロ部2aを消火する。
制御部11は、圧力鍋記憶モードによる加熱が開始された後、消火操作が行なわれた時点、すなわち、加圧時点における温度センサ7aによる検出温度を、圧力鍋の設定温度として記憶する。
圧力鍋の水量が少ない場合には、上述のように、加圧時の圧力鍋の底部の検出温度は、不安定となってばらつき、正確な温度を記憶することができない。
そこで、この実施形態では、制御部11は、圧力鍋記憶モードにおいて、圧力鍋の検出温度の温度勾配を算出し、上昇時の温度勾配が、所定の温度勾配より大きい場合には、指定水量の水が入っていないとして、上述のガスコンロ用調理設定入力部17のタイマスイッチ18の表示部18cに、水量が不足している旨のエラー表示を行うようにしている。なお、エラー表示は、ブザーや音声で報知してもよく、それらを組合せて報知してもよい。この温度勾配の算出は、圧力鍋の検出温度が所定の検知温度、例えば、70℃に到達してから開始する。
図8は、この圧力鍋記憶モードにおける高圧の圧力鍋の検出温度の変化の一例を示す図であり、横軸は時間を、縦軸は圧力鍋の検出温度を示している。また、火力を、太い実線で示している。この図8では、過熱を防止するために加熱を停止させるハイカット温度c、圧力鍋の内部の圧力が減圧したことを示す後述の減圧報知のための温度dを併せて示している。
使用者が、ガスコンロ用調理設定入力部17の圧力鍋スイッチ22を操作して、圧力鍋記憶モード及び高圧を設定してガスコンロ部2aを点火して圧力鍋記憶モードが開始されると、火力「3」による加熱が開始され、圧力鍋の検出温度は、徐々に上昇し、100℃付近で傾斜が緩やかとなった後、更に上昇する。
そして、使用者が、加圧時になったと判断すると、その時点tにおいて、消火操作が行われ、ガスコンロ部2aが消火されると共に、その時点tにおける圧力鍋の検出温度aが、高圧の設定温度aとして記憶される。
なお、この図8の検出温度の変化において、「△」のマークは、圧力鍋が加圧時の挙動を示した時点、例えば、内圧表示ピン(フロート)が上がって、圧力調整おもりが緩やかにゆれ始めて蒸気が噴出する時点を示している。
圧力鍋記憶モードは、消火操作によってその時点の圧力鍋の検出温度を、設定温度として制御部11に記憶することによって終了となるが、圧力鍋の検出温度が、100℃に到達した後、所定時間、例えば、10分が経過したにも拘らず、使用者による消火操作が行われなかったときには、自動的に終了し、圧力鍋記憶モードは、未完了となり、タイマスイッチ18の表示部18c等によって水量不足の場合と同様にエラーを報知する。
使用者が、低圧の圧力鍋を使用する場合には、圧力鍋記憶モードにおいて、上記高圧に代えて低圧を設定し、同様の操作を行い、低圧の設定温度を記憶する。
以上のようにして、使用する圧力鍋に応じて、高圧、低圧の作動圧力に対応する設定温度を1回記憶させる。その後、圧力鍋を用いて加圧調理モードを設定して自動加圧調理を行う。
圧力鍋を用いた加圧調理モードでは、圧力鍋記憶モードで記憶した設定温度に基づいて、ガスコンロ部2aの火力を切替えて圧力鍋の温度制御を行うものである。
すなわち、加圧調理モードを開始した後、圧力鍋の検出温度が、圧力鍋記憶モードで記憶した設定温度に達したとき、または、圧力鍋の検出温度に基づいて、所定の温度範囲で後述のように平衡状態を検出したときには、適度な沸騰状態を維持するように、前記設定温度を上側設定温度とし、この上側設定温度と、それよりもやや低い下側設定温度とに基づいて、火力を切替え制御し、圧力鍋の検出温度が、前記両設定温度に基づく温度範囲なるように温度制御するものである。
この温度制御では、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度まで上昇すると、火力を弱め、下側設定温度まで下降すると、火力を強め、上側設定温度まで上昇すると、再び火力を弱め、下側設定温度まで下降すると、再び火力を強め、以下、両設定温度になる度に、火力を、弱め又は強めに切替え制御し、これによって、圧力鍋の検出温度を、両設定温度に基づく温度範囲に制御するものである。
この実施形態では、圧力鍋記憶モードで記憶した設定温度を、上側設定温度とし、下側設定温度は、上側設定温度よりも数℃、例えば5℃低い温度としている。したがって、圧力鍋記憶モードで記憶した設定温度が、例えば125℃であるとすると、上側設定温度は125℃、下側設定温度は120℃となる。
なお、上側設定温度は、記憶した設定温度そのものでなく、記憶した設定温度より低くてもよく、あるいは、高くてもよい。
上側設定温度と下側設定温度との温度差は、高圧及び低圧のいずれも同じ数℃としているが、この温度差は、高圧と低圧とで異ならせてもよく、例えば、高圧では5℃とし、低圧では2℃としてもよい。
また、この実施形態では、圧力鍋の検出温度が安定する平衡状態は、例えば、次のようにして検出する。すなわち、一定の判定期間毎、例えば30秒毎に、その30秒の判定期間の終了時点の圧力鍋の検出温度Teから開始時点の圧力鍋の検出温度Tbを差し引いた温度差ΔT(=Te−Tb)が、所定温度範囲、例えば−2℃以上であって+2℃以下の温度範囲(−2℃≦ΔT≦+2℃)となったときに、平衡状態であると判定する。この平衡状態の判定は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度以上であって、上側設定温度未満の温度範囲にあるときに行われる。これは、後述のように、圧力鍋の温度が、100℃付近において、安定する場合があり、この安定した状態を平衡状態として誤検出しないようにするためである。
以下、この加圧調理モードにおける動作を、高圧の圧力鍋を使用する場合と、低圧の圧力鍋を使用する場合とに分けて詳細に説明する。
先ず、高圧の圧力鍋による加圧調理モードについて説明する。
この高圧の加圧調理モードによる加圧調理を行う前に、上述の圧力鍋記憶モードによって、高圧の設定温度aが加熱調理器の制御部11に予め記憶されている。
図9は、この高圧の圧力鍋による加圧調理モードの検出温度及び火力の変化の一例を示す図であり、横軸は時間を、縦軸は圧力鍋の底部の検出温度を示している。また、火力を、太い実線で示している。この図9の検出温度の変化において、「○」のマークは、圧力鍋の検出温度が上側設定温度aになった時点を示し、「●」のマークは、圧力鍋の検出温度が下側設定温度a´になった時点を示している。
先ず、使用者は、ガスコンロ用調理設定入力部17の圧力鍋スイッチ22を押して加圧調理モードを設定すると共に、高圧を設定し、加圧タイマスイッチ23を押し、更に、「+」,「―」スイッチ23a,23bを押して加圧調理時間を選択する。その後、蒸らしタイマスイッチ24を押し、更に、「+」,「―」スイッチ24a,24bを押して蒸らし時間を選択する。
次に、材料や水分が入った圧力鍋を、標準火力のガスコンロ部2aにセットして、点火することにより、高圧の加圧調理モードが開始される。あるいは、ガスコンロ部2aを点火し、その後、圧力鍋スイッチ22を上記のように押して設定しても、高圧の加圧調理モードが開始される。
この加圧調理モードでは、圧力鍋の検出温度が100℃を超える時点t1までは、火力eを使用者が自由に設定することができ、100℃を超えた時点t1で、制御部11によって、第1の加熱力としての固定火力f、例えば、1000kcal/hに火力が調整される。
圧力鍋の検出温度が、圧力鍋記憶モードによって記憶した設定温度aである上側設定温度aよりも低い下側設定温度a´に達すると、平衡状態の判定が開始され、平衡状態が検出されると、あるいは、平衡状態が検出されることなく、上側設定温度aに達すると、圧力鍋の温度制御を開始する。なお、図9では、上側設定温度aに達する前に平衡状態が検出された例を示している。
圧力鍋の検出温度が、上側設定温度aに達する前に、平衡状態が検出されると、制御部11は、この検出時点t2で、火力を固定火力fから、それよりも弱い火力g、例えば700kcal/hに切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度aに達すると、火力gから、それよりも弱い第2の加熱力としての火力h、例えば330kcal/hに切替え、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度a´まで下降すると、火力hから、それよりも強く、かつ、固定火力fと同じか弱い第3の加熱力としての火力gに再び切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度aまで上昇すると、火力gから、それより弱い火力hに再び切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度a´または上側設定温度aになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替える。
また、平衡状態が検出されることなく、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度aに達したときには、制御部11は、火力を固定火力fから、それよりも弱い火力hに切替え、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度a´まで下降すると、火力gに切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度aまで上昇すると、火力hに再び切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度a´または上側設定温度aになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替える。
加圧タイマスイッチ23によって設定された加圧調理時間は、平衡状態が検出されたとき、あるいは、平衡状態が検出されることなく、上側設定温度aに達したときに、加圧時になったとして、その時点t2で計測が開始される。この加圧調理時間の終了時点t3で自動消火し、加圧調理時間が終了する旨を知らせるブザー等による報知音を鳴らす。自動消火後、蒸らし時間の計測が開始され、蒸らし時間の終了時点t4で蒸らし時間が終了する旨を知らせるブザー等による報知音を鳴らす。その後、圧力鍋の検出温度が、所定温度である減圧報知温度d、例えば、90℃まで下降した時点t5でブザー等による減圧報知音を鳴らし、圧力鍋内が減圧したことを報知する。
なお、蒸らし時間は、料理によって設定していない場合があり、その場合は、加圧調理時間の終了する旨を知らせる報知音を鳴らした後、圧力鍋の検出温度が減圧温度dまで下降したら、減圧報知音を鳴らし、圧力鍋内が減圧したことを知らせる。
次に、低圧の圧力鍋による加圧調理モードについて説明する。
この低圧の加圧調理モードによる加圧調理を行う前に、圧力鍋記憶モードによって、低圧の設定温度bが加熱調理器の制御部11に予め記憶されている。
図10は、この低圧の圧力鍋による加圧調理モードの検出温度及び火力の変化の一例を示す図であり、高圧の場合の図9に対応する図である。
使用者は、ガスコンロ用調理設定入力部17の圧力鍋スイッチ22を押して加圧調理モードを設定すると共に、低圧を設定し、更に、加圧タイマスイッチ23及び蒸らしタイマスイッチ24を操作して加圧調理時間及び蒸らし時間を設定する。
次に、圧力鍋を、標準火力のガスコンロ部2aにセットして、点火することにより、低圧の加圧調理モードが開始される。
圧力鍋の検出温度が100℃を超えると、固定火力fに火力が切替えられ、圧力鍋の検出温度が、圧力鍋記憶モードによって記憶した設定温度bである上側設定温度bよりも低い下側設定温度b´に達すると、平衡状態の判定が開始され、平衡状態が検出されると、あるいは、平衡状態が検出されることなく、上側設定温度bに達すると、圧力鍋の温度制御を開始する。なお、図10では、上側設定温度bに達する前に、平衡状態が検出された例を示している。
圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bに達する前に、平衡状態が検出されると、この検出時点t2で、火力を固定火力fから、それよりも弱い火力gに切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bに達すると、火力gから、それよりも弱い火力hに切替え、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´まで下降すると、火力hから、それより強い火力gに再び切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bまで上昇すると、火力gから、それより弱い火力hに再び切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´または上側設定温度bになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替える。
また、平衡状態が検出されることなく、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bに達したときには、火力を固定火力fから、それよりも弱い火力hに切替え、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´まで下降すると、火力gに切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bまで上昇すると、火力hに再び切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´または上側設定温度bになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替える。 その他は、図9の高圧の場合と同様である。
以上のようにして高圧及び低圧の加圧調理が自動的に行われる。
加圧調理は、例えば、大気圧で調理を開始し、高温になった状態から引き続いて加圧調理を開始する場合も想定される。
図11は、圧力鍋の検出温度が100℃程度になった時点から低圧の加圧調理モードを開始した例を示しており、上述の図10に対応する図である。
圧力鍋の検出温度が100℃を超えた時点t1で火力eを固定火力fに切替える。圧力鍋の検出温度が100℃付近では、検出温度が安定し、平衡状態として誤検出する虞があるが、この実施形態では、上述のように、下側設定温度b´に到達して平衡状態の判定を開始するので、100℃付近で検出温度が安定状態となっても平衡状態として誤検出することがない。したがって、上述の図10の場合と同様に、平衡状態が検出された時点t2から火力が切替えられて圧力鍋の温度制御が行われる。
また、平衡状態の判定の開始温度を、下側設定温度よりも低い温度とし、仮に平衡状態を誤検出しても、加圧調理を行うことができる。
図12は、平衡状態の判定の開始温度を、下側設定温度b´よりも低くし、平衡状態を誤検出した場合の低圧の加圧調理モードの図10に対応する図である。この図12では、平衡状態の判定を行なう温度領域jには、斜線を付している。
本来の平衡状態の前の時点t2において、平衡状態と誤検出すると、火力を固定火力fから火力gに切替えるが、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bに達すると、火力gから、それよりも弱い火力hに切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´または上側設定温度bになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替えるので、加圧不足になることなく、加圧調理を行うことができる。
高圧または低圧の加圧調理モードでは、使用者は、高圧または低圧の設定を行うのであるが、この高圧と低圧の設定を誤ることが想定される。すなわち、圧力鍋は、高圧であるのに対して、加熱調理モードの設定を低圧にし、あるいは、圧力鍋は、低圧であるのに対して、加熱調理モードの設定を高圧にすることが想定される。
図13は、圧力鍋は高圧であるのに対して、加熱調理モードで低圧を設定した場合の例を示す図10に対応する図である。
平衡状態を検出する前に、低圧の上側設定温度bとなり、この時点t2で、火力を固定火力fから火力hに切替え、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´まで下降すると、火力gに切替え、圧力鍋の検出温度が、上側設定温度bまで上昇すると、火力hに再び切替え、以降は、圧力鍋の検出温度が、下側設定温度b´または上側設定温度bになる度に、火力を、火力gまたは火力hに切替える。この場合には、低圧の加圧調理モードで圧力鍋の温度制御が行われることになる。
図14は、圧力鍋は低圧であるのに対して、加圧調理モードで高圧を設定した場合の例を示す図である。
圧力鍋の検出温度が、例えば、所定温度である100℃に到達した時点t1から所定時間T、例えば15分経過しても高圧の下側設定温度a´に到達しなかった場合には、設定の誤りであるとして、その時点t3でエラーを報知すると共に、消火して加圧調理モードを終了する。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、上側設定温度と下側設定温度とに基づいて、圧力鍋の温度を制御したけれども、一つの設定温度に基づいて、圧力鍋の温度を制御してもよく、例えば、圧力鍋の温度が、設定温度になるように、例えば、PID制御によって加熱力を調整するようにしてもよい。
上述の実施形態では、低圧、高圧の2種類の加圧調理に適用して説明したが2種類の加圧調理に限らず、例えば、低圧、高圧、超高圧の3種類以上に適用してもよい。
上述の実施形態では、標準火力のガスコンロ部2aに適用して説明したが、高火力のガスコンロ部2bや小火力のガスコンロ部2cに適用することもできる。
上述の実施形態では、火力を5段階にしたが、5段階に限らず、任意である。
平衡状態の検出は、上述の実施形態に限らず、他の方法で検出してもよい。
上記実施形態では、ガスバーナによって加圧調理容器を加熱したが、ガスバーナに限定されるものではなく、電気ヒータ、IHヒータ等を用いるなどの種々の加熱調理器に適用可能である。
また、加熱調理器は必ずしもビルトインタイプに限られるものではなく、卓上型の加熱調理器であってもよい。