JP2017059386A - 電池パックおよび充電制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チタン含有酸化物を含んだ負極を備えた非水電解質二次電池と、測定部と、演算部と、充放電コントローラとを具備した高いサイクル性能を実現できる電池パックを提供する。【解決手段】電池パックは、非水電解質二次電池1の充電もしくは放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定する測定部2と、測定部から出力される出力値に基づいて、充電もしくは放電に際する時間当たりの電圧変化を算出し、この電圧変化に基づいて充電に際する充電曲線もしくは放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置を算出する演算部3と、その電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を規定値より低下させる充放電コントローラ4を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電池パックおよび非水電解質二次電池の充電制御方法に関する。
二次電池は、充電と放電を繰り返して使用できるため、廃棄物の低減に役立つとともに、交流(AC)電源を取ることのできないポータブル機器や、AC電源が切断・停止した場合のバックアップ用の電源として、広く用いられている。近年、車載用途や太陽電池等のバックアップや電力平準化用途など、二次電池の利用範囲の拡大が検討されている。それに伴い、二次電池に対する容量、温度特性、安全性などの性能向上要求はますます大きくなっている。
二次電池の中でも、非水電解質二次電池はリチウムイオンの正負極間の移動により充放電を行う二次電池である。こういった非水電解質二次電池は、電解質に有機溶媒を用いることから水溶液を用いるニッカド二次電池やニッケル水素二次電池よりも大きな電圧を得ることができる特徴がある。現在、実用化されている非水電解質二次電池は、正極活物質としてリチウム含有コバルト複合酸化物やリチウム含有ニッケル複合酸化物を用い、負極活物質としてカーボン系材料やチタン含有酸化物を用い、電解質としてLiPFやLiBF等のリチウム塩を環状カーボネートや鎖状カーボネートなどの有機溶媒に溶解して用いている。前記正極活物質は、リチウム金属電位に対して平均作動電位が3.4〜3.8V程度、充電時の最大到達電位が4.1〜4.3Vである。他方、前記負極活物質であるカーボン系材料の場合は、平均作動電位がリチウム金属電位に対して0.05〜0.5V程度ある。また、チタン含有複合酸化物で最も代表的なチタン酸リチウム(LiTi12)では1.55Vである。これらの正負極材を組み合わせることにより、電池電圧が2.2〜3.8V、最大充電電圧が2.7〜4.3Vとなる。
チタン含有酸化物を負極に用いた二次電池は充放電サイクル寿命を高めることができ、そうした電池が実用化されている。しかし、従来の携帯機器用途では2〜3年の寿命が要求されていることに対し、車載用途や発電関連の定置用に二次電池では、10年以上の寿命が求められつつある。それに対応して、これらの二次電池でもさらなる寿命向上が必要となっている。
寿命性能の中で最も代表的なサイクル性能は、充放電を繰り返したときの電池容量の低下で表される。前記の携帯機器用途の二次電池が寿命に達するまでの2〜3年において繰り返される充放電の回数は数百回程度になり、車載・定置用の二次電池が使用続けられる10年以上では、数千回から1万回以上の繰り返し充放電回数に達する。
前記のチタン含有酸化物を負極に用いた電池におけるサイクル劣化の主因は明らかではない。チタン含有酸化物を負極に用いた電池の場合は、従来のカーボン系材料を負極に用いた電池とは作動電位が異なり、充電末期での負極電位の急激な変化が存在し、炭素系活物質を含んだ負極にみられるような負極表面での顕著な被膜形成が報告されていない。これらのことなどから、負極活物質としてのチタン含有酸化物は、その劣化機構も異なる可能性が推測される。
また、チタン含有酸化物は、最も報告の多いスピネル型チタン酸リチウム(例えば、LiTi12;以下、LTO)のほかに、単斜晶型二酸化チタン(TiO)やニオブ−チタン複合酸化物(例えば、NbTiO;以下、NTO)などが存在する。これらのチタン含有酸化物は、上述したような炭素系の活物質材料とは異なった特徴を共有するものの、それぞれについて、結晶や元素構成の違いに由来する差異もまた存在すると考えられる。これまで、こうしたチタン含有酸化物のうちLTOを用いた電池で長寿命が報告され、数千回程度の繰り返し充放電が可能になりつつあるが、それでもなお、更なる向上が求められている。また、TiOやNTOでは、より大きな容量が得られるものの、LTOと比較するとサイクル寿命が劣る。そのため、TiOやNTOを用いた電池では、寿命性能の向上は、より重要な課題である。
特開2013−243823号公報
チタン含有酸化物を含んだ負極を含む非水電解質二次電池を含み、高いサイクル性能を実現できる電池パックを提供することを課題とする。
実施形態によれば、非水電解質二次電池と、測定部と、演算部と、充放電コントローラとを具備した電池パックが提供される。電池パックが具備する非水電解質二次電池は、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備する。測定部は、この非水電解質二次電池の充電もしくは放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定する。演算部は、測定部から出力される出力値に基づいて、充電もしくは放電に際する時間当たりの電圧変化を算出し、この電圧変化に基づいて充電に際する充電曲線もしくは放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置を算出する。充放電コントローラは、その電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を規定値より低下させる。
他の実施形態は、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備した非水電解質二次電池における充電制御方法が提供される。この充電制御方法では、最大充電電圧を規定値より低下させる。最大充電電圧は、非水電解質二次電池の充電に際する充電曲線もしくは放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置から低下した電圧低下量と同じ値だけ、低下させる。
実施形態に係る一例の電池パックの制御回路のブロック図。 実施形態に係る非水電解質二次電池の充電カーブを示すグラフ。 実施形態に係る非水電解質二次電池の充電カーブから算出した電流と電圧との微分曲線を示すグラフ。 実施形態に係る非水電解質二次電池を模式的に示す断面図。 図4のA部の拡大断面図。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
[電池パック]
実施形態の電池パックは、非水電解質二次電池と、測定部と、演算部と、充放電コントローラとを具備する。非水電解質二次電池は、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備する。測定部は、この非水電解質二次電池の充放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定し、その測定結果を出力値として演算部へと伝達する。演算部は、測定部より伝達された出力値に基づいて、充放電の際の時間当たりの電圧変化を算出し、この電圧変化に基づいて充放電曲線における電圧平坦部の電位位置を導出する。充放電コントローラは、基準として設定されている電位に対し、その電位位置が低下した量を算出し、その電位低下量と同じ分だけ規定値より低下させた値に最大充電電圧を再設定する。
すなわち、上記電池パックでは、そこに含む非水電解質二次電池に対し、測定部と演算部と充放電コントローラとの動作により、充電制御が実施される。ここで、測定部と演算部と充放電コントローラとは、充電制御を実施するための充電制御機構を構成しているといえる。電池パックにおいて実施される充電制御方法では、充電時に非水電解質二次電池が達し得る最大充電電圧を補正する。具体的には、最大充電電圧が、該非水電解質二次電池を充電もしくは放電した際に得られる充放電曲線における電圧平坦部の電圧が基準電圧と比較して低下した分だけ、規定値より低下するように補正される。こうすることで、非水電解質二次電池のその時々の状態に適した充電電圧を用いて充電を行うことができる。
このような充電制御方法を用いることにより、非水電解質二次電池に含まれているチタン含有酸化物を含んだ負極(以下、チタン含有負極)と正極とのバランス変動を最小にとどめることができる。それによって、その非水電解質二次電池のサイクル性能を伸長させることが可能となる。
電極と非水電解質との界面では、電極材料によるリチウムイオンの吸蔵および放出以外にも、電極表面と非水電解質との副反応などが生じ得る。炭素系の活物質を含んだ負極(以下、カーボン系負極)では、その表面に顕著な被膜が形成され、このような副反応を抑制する。しかし、チタン含有負極では、前述したとおりの炭素系活物質を用いた場合のような顕著な表面被膜が形成されない傾向がある。このため、チタン含有負極を含む電池では、副反応により正負極の容量バランスが変動しやすい。このような非水電解質二次電池において、正負極間の電圧を指標として充放電の制御を行うと、正極や負極に適用される個別の電位について、当初の設計範囲からのずれが生じることが想定される。
こういった挙動は、表面被膜が非常に少ない、もしくは生成しないと考えられているLTOを負極活物質として含んだ電池で顕著に表れると推測される。また、TiOやNTOでは、LTOよりも活物質表面の反応性が高いため、特に初期の充放電において顕著になると推測される。
また、カーボン系負極では充電末期において、負極での反応がカーボン系材料へのリチウム吸蔵からリチウム金属生成へと移行し、負極の電位はなだらかにリチウム金属電位に収束していく。一方、チタン含有負極では、充電末期に電位の急激な低下が存在する。そのため、正負極のバランスが崩れた場合には、負極電位の想定以上の低下や、逆に正極電位の上昇が起こり、これらによる正負極結晶構造の崩壊や別の副反応による劣化が生じる可能性がある。
こうしたチタン含有負極を用いた電池に特有の挙動を検討した結果、上記のような正負極バランスが崩れた場合に、電池の充放電における電池電圧の推移を示す充電曲線(充電カーブ)や放電曲線(放電カーブ)における電圧平坦部が移動することが分かった。また、電圧平坦部の移動量に応じて充電時の最大電圧を制御することは、実効的に正負極の個別の電位を制御することに相当することが判明した。これに鑑みてチタン含有負極を含んだ電池の充電制御を行うことにより、前述の正負極結晶構造の崩壊や別の副反応による劣化を抑制し、サイクル寿命を向上させることが可能となる。
図1に、電池パックの一例の制御回路のブロック図を示す。なお、実施形態の非水電解質二次電池の態様は、図1に限られない。例えば、図1に示す各部位の接続順は、必要に応じて変更できる。
図1に示す様に、複数の非水電解質二次電池1が直列配置で電気的に接続されている。非水電解質二次電池1の詳細については、後述する。図1では、3つの非水電解質二次電池1が直列に接続されているが、非水電解質二次電池1の数は1以上であればその数は限定されない。また、複数の非水電解質二次電池は、並列に接続されていてもよい。或いは、複数の非水電解質二次電池は、直列の配置と並列の配置とを組み合わせて接続されていてもよい。
測定部2は、図1に示すとおり非水電解質二次電池1の負極側と正極側とのそれぞれに配線8により電気的に接続されている。また、図示するように非水電解質二次電池1が複数ある場合は、各々の非水電解質二次電池の負極側と正極側とのそれぞれに測定部2が接続されている。また、図1では、一つの測定部2が複数の非水電解質二次電池1に対応するよう接続されているが、複数の非水電解質二次電池にそれぞれ対応した複数の測定部2を用いてもよい。測定部2は、充放電中の非水電解質二次電池1の各々の電池電圧や電流を測定できるように接続されている限り、その形態は限定されない。例えば、測定部2としては、電圧と電流を測定するための回路と、アナログ値(測定値)をデジタル値へと変換する回路とを具備する測定回路を挙げることができる。
演算部3は、測定部2より出力される出力値をシグナルS1として受信する。詳細については後述するが、測定部2がシグナルS1として出力する出力値には、測定部2が非水電解質二次電池について測定した電池電圧や電流の測定結果が含まれる。演算部3では、この出力値に基づいた、非水電解質二次電池についての電圧平坦部の電位位置の導出を含む演算処理が実行される。この演算処理の詳細については、後述するが、演算部3としては、例えば演算回路を挙げることができる。また、測定部2が複数ある場合は、一つの演算部3が複数の測定部2からのシグナルS1を受信してもよく、または複数の演算部3が複数の測定部2にそれぞれ対応してシグナルS1を受信してもよい。
充放電コントローラ4は、演算部3における演算処理によって得られた演算結果をシグナルS2として受信する。詳細については後述するが、充放電コントローラ4は、シグナルS2として受信した演算結果に基づいて、非水電解質二次電池の充電制御を実施する。
電池パックは、上記非水電解質二次電池1と、測定部2と、演算部3と、充放電コントローラ4とを具備し得る。また、電池パックは、AC/DC変換回路5を具備することができる。非水電解質二次電地を充電する際、多くの場合は直流(DC)を用いて充電する。外部電源として利用できるものは、多くの場合は交流(AC)であるため、充電の際にはこの交流を直流に変換する。電池パックの具備することのできるAC/DC変換回路5は、外部電源からの交流を直流に変換する。なお、電池パックがAC/DC変換回路5を有さない場合には、充電のために電池パックを交流の電源に接続する際、外部のAC/DC変換回路を介して接続させると良い。
電池パックを充電する際には、図1に示すように、充放電コントローラ4を介して、AC/DC変換回路5およびAC電源6と電気的に接続することが望ましい。充放電コントローラ4を介して外部電源と接続することにより、充電制御を容易に実施することができる。
電池パック自身を電源として使用する場合には、電池パックと外部負荷7とが電気的に接続される。外部負荷7は、電池パックの用途に応じて異なる。外部負荷7と電気的に接続されている非水電解質二次電池1は、放電され得る。
また、図1のブロック図では、AC電源6との接続および外部負荷7との接続を白丸で示しているが、AC電源6または外部負荷7とは、この接続点(白丸)で配線9、10を物理的に接続したり、切り離したりすることができ得る。または、電池パックを使用するにあたって、接続点(白丸)は電気的に接続したり、遮断したりすることができればよく、必ずしも物理的に配線9、10を切り離さなくともよい。
電池パックにおいて、測定部2と演算部3と充放電コントローラ4とによって、非水電解質二次電池1に対し実施される充放電制御方法について説明する。
充電制御方法では、先ず、非水電解質二次電池1の充放電曲線(充電カーブまたは放電カーブ)における電圧平坦部が検出される。具体的には、充放電コントローラ4により非水電解質二次電池1の充放電が実施される。この充放電の際、測定部2が一定時間ごとに非水電解質二次電池1の電圧を測定および記録し、その測定結果を含む出力値を演算部3へと出力する。演算部3は、この出力値に基づいて、充放電に際する充放電曲線を算出し、その充放電曲線における電圧平坦部を検出するとともに、該電圧平坦部の電位位置を算出する。
続いて、得られた電圧平坦部の電位位置に基づいて、非水電解質二次電池1の充電に際する最大充電電圧を補正する。具体的には、演算部3は、算出した電圧平坦部の電位位置を含む演算結果を充放電コントローラ4へと出力する。充放電コントローラ4は、この電位位置について、電圧平坦部の基準電位からの電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を低下させる。
非水電解質二次電池1に対して実施される充放電制御方法の詳細は以下のとおりである。
非水電解質二次電池1の充放電は、充放電コントローラ4により制御される。ここで、充電については、電池に設定された最大充電電圧の規定値を充電電圧の上限として充放電を実施する。この充放電には、例えば100%の充電と100%の放電、すなわち満充電状態と完全放電状態の状態との間での充放電を繰り返すサイクル寿命試験を用いてもよい。ここで、満充電状態とは、例えばその電池に設定された定格容量まで充電された状態やSOC100%の状態であり得る。また完全放電状態とは、例えばSOC0%の状態であり得る。また、充放電は100%の充放電でなくても良い。
また、非水電解質二次電池1の充電は、定電流充電に引き続いての定電圧充電により実施することが望ましい。より具体的には、規定の電圧に到達するまでは定電流により充電し、その電圧に到達した後は定電圧充電を実施する。または、前述の定電圧過程を省略し、定電流充電のみとすることも可能である。定電圧充電は、定電圧充電時間や総充電時間が所定値に到達するまで、もしくは定電圧充電中の電流値が所定値まで収束するまで実施する。また、定電圧充電の際の電圧は、電池について設定されている最大充電電圧を上限とする。
非水電解質二次電池1に設定された最大充電電圧の規定値は、演算部3内または充放電コントローラ4内に記録され得る。また、最大充電電圧の規定値は、製造直後もしくは出荷状態や入手直後の初期状態の電池について設定された最大充電電圧であり得る。或いは、最大充電電圧の規定値は、後述するように、充電制御の実施後の補正された最大充電電圧であり得る。
この充放電において、測定部2は、一定時間ごとに非水電解質二次電池1の電圧を測定および記録する。ここで、電圧を測定する時間の間隔は、当該充電もしくは当該放電に要する時間の1/100以下であることが望ましい。さらに精度を高めるためには、時間間隔を1/1000程度まで短くすることが好ましい。なお、通常の充電条件では、好ましい時間間隔は1秒〜5秒程度に相当する。また、測定部2は、一定時間ごとに充放電の際の電流値をさらに測定してもよい。非水電解質二次電池1の電圧と電流値とは、同時刻に測定されることが望ましい。
充放電における測定の終了後、測定部2は、その測定結果を含む出力値をシグナルS1として演算部3へと出力する。この出力値には、測定した電圧および測定の時間間隔などの情報が含まれ得る。また、出力値には、充放電における電流値が含まれ得る。
演算部3は、測定部2からシグナルS1として出力された出力値に基づいて、非水電解質二次電池21の充電もしくは放電する際の時間当たりの電圧変化を算出する。例えば、演算部3は、非水電解質二次電池1の充電の際に一定時間ごとに測定部2が測定した電池電圧に基づいて充電カーブを算出する。または、演算部3は、非水電解質二次電池1の放電の際に一定時間ごとに測定部2が測定した電池電圧に基づいて放電カーブを算出する。そして、演算部3は、算出した時間当たりの電圧変化から、充放電における電圧平坦部の電位位置を算出する。
充放電における電圧平坦部とは、充放電曲線において、電位が急激に変化してなく、時間に対する電位の変化がなだらかな部分であり得る。また、電圧平坦部において、充放電曲線が上に凸(concave down)である形状から下に凸(concave up)の形状に変化する(もしくは下に凸から上に凸へ変化する)変曲点(inflection point)の位置する電位が、電圧平坦部の電位位置であり得る。
一例として、正極にリチウム含有リン酸鉄(LiFePO)、負極に単斜晶型二酸化チタン(TiO)を用いた非水電解質二次電池の充電カーブを図2に示す。図2では、該電池を組み立てた後の初回充放電を1サイクル目とした場合の、第3サイクル目における充電カーブを実線で示し、第100サイクル目における充電カーブを破線で示す。また、図2において、それぞれの充電カーブにおける電圧平坦部を矢印で示す。
測定部2からの出力値が充放電における時間ごとの電流値を含む場合は、演算部3は、電流量Qと電圧Vとの微分(dQ/dV)曲線を算出することができる。詳細については後述するが、非水電解質二次電池1の充放電曲線における電圧平坦部は、該充放電に対応するdQ/dV曲線から導出することも可能である。
演算部3において、dQ/dV曲線は、例えば以下のように算出される。まず、測定部2よりシグナルS2として出力された出力値に基づいて、dQ/dV値を算出する。第1の時間Aにおける電池電圧の値および電流値を、それぞれ電圧E(A)および電流I(A)とし、第2の時間Bにおけるこれらの値をそれぞれ電圧E(B)および電流値I(B)としたとき、電圧(E(B)+E(A))/2におけるdQ/dV値を次のように求めることができる。電圧(E(B)+E(A))/2におけるdQ/dV値は、時間間隔(B-A)における電流値差分として、下記式により計算することができる。なお、第1の時間と第2の時間とで測定された電圧が同じ場合は(E(A)=E(B))、下記式の分母がゼロとなるため、計算のためには、電圧が変化するまで第1の時間と第2の時間との間隔を広げることで対応する必要がある。なお、十分な精度を得るためには、時間間隔、つまりは第1の時間Aと第2の時間Bとの間隔は、当該充電もしくは当該放電に要する時間の1/100以下であることが望ましい。さらに精度を高めるため、時間間隔を1/1000程度まで短くすることが好ましい。通常の充電条件では、好ましい時間間隔は1秒〜5秒程度に相当する。
以上のような計算によりdQ/dV値を計算すると、電圧平坦部では分母にあたる電圧差分(E(B)-E(A))が小さくなる。そのため、電圧に対してdQ/dVをプロットして得られるdQ/dV曲線においては、電圧平坦部に対応する部分のdQ/dV値が大きくなり、電圧平坦部の電位位置に相当する電圧でピークを形成する。
図2に充電カーブを示す非水電解質二次電池について、前述の方法で求めたdQ/dVを電圧に対してプロットして得られるグラフ(dQ/dV曲線のグラフ)を図3に示す。図2と同様に、図3では第3サイクル目の充電におけるdQ/dV曲線を実線で示し、第100サイクル目の充電におけるdQ/dV曲線を破線で示す。図3からは、非水電解質二次電池の充電カーブにおける電圧平坦部が複数あることがわかる。また、複数のピークのうち、ピーク強度が最大であるものを矢印で示す。
以上のようにして、測定部2からの出力値に基づいて演算部3により算出された電圧平坦部の電位位置を、電圧平坦部の参照電位とする。
また、演算部3には、電圧平坦部の基準電位が記録され得る。この電圧平坦部の基準電位は、製造直後もしくは出荷状態や入手直後の初期状態にある非水電解質二次電池1について求めた電圧平坦部の電位位置であり得る。この場合、初期状態にある非水電解質二次電池を用いて、上述した電圧平坦部の参照電位を算出すると同様の方法で電圧平坦部の電位位置を導出することで、電圧平坦部の基準電位を求めることができる。具体的には、初期状態にある非水電解質二次電池を充放電に供し、その充放電に際する充放電曲線における電圧平坦部を検出し、その電位位置を電圧平坦部の基準値とすることができる。ここで、初期状態にある非水電解質二次電池は、初期状態の電池パックに含まれている非水電解質二次電池1であってもよく、または、該非水電解質二次電池1と同型の初期状態にある電池であってもよい。或いは、演算部3に記録されている電圧平坦部の基準電位は、非水電解質二次電池1に対し充電制御を前に実施した際に算出された電圧平坦部の参照電位であり得る。
演算部3は、この電圧平坦部の基準電位との参照電位とを比較して、電圧平坦部の電位低下量を算出する。ここで、電位低下量の値は、電圧平坦部の基準電位と参照電位との差に該当する。つまり、演算部3は、非水電解質二次電地1を充放電した際に検出された電圧平坦部の電位位置が、基準電位から低下した分を電位低下量として算出する。
演算部3において、電圧平坦部の電位位置をdQ/dVから導出する場合は、dQ/dV曲線におけるピークトップの位置が電圧平坦部の電位位置に対応する。ここで、電圧平坦部の基準電位に対応するピークトップ位置を有するピークを基準ピークとする。また、電圧平坦部の参照電位に対応するピークトップ位置を有するピークを参照ピークとする。基準ピークのピークトップの位置と比較して、参照ピークのピークトップの位置がシフトした量(電位)は、基準電位からの電圧平坦部の電位低下量に相当する。
演算部3は、上述したように算出した電圧低下量を含む演算結果を、シグナルS2として充放電コントローラ4へと出力する。この際、演算部3は、算出した電圧平坦部の参照電位の値へと、演算部3内に記録されている電圧平坦部の基準電位を再設定し得る。また、非水電解質二次電池1について設定されている最大充電電圧の規定値が演算部3に記録されている場合は、この最大充電電圧の値がシグナルS2に含まれ得る。演算部3に記録されている最大充電電圧の規定値は、シグナルS2が出力されると同時に、電圧平坦部の基準電位と同じ値だけ低下させた補正後の規定値に再設定され得る。
電圧平坦部は、電池の充放電において、正極もしくは負極におけるリチウムイオンの吸蔵および放出量が多くなる特定の電位で現れる。そのため、チタン含有負極や正極の種類によって、電圧平坦部の位置と数は変動する。
また、非水電解質二次電池1における正極や負極に複数種の活物質を混合することも可能であり、その場合はさらに多くの電圧平坦部が現れる可能性がある。このように、電圧平坦部が数多く存在するケースでは、基準電位からの変化量(電位低下量)が最大となる電圧平坦部に着目して制御することが好ましい。こうすることにより最も忠実に正負極のバランスを反映した制御が可能になる。
正極由来の電圧平坦部と負極由来の電圧平坦部が重なると、電池全体について見られる電圧平坦部の電圧変化が小さくなったり、不明瞭になったりする傾向がある。しかし、複数の活物質を混合して正極や負極に用いることにより、上述したように複数の電圧平坦部を出現させることができる。そして、最大である電位低下量を用いることで、非水電解質二次電池1の状態に最も適した充電制御を実施することができる。そのため、複数の活物質を混合して用いることが望ましい。
特に、チタン含有負極で多くみられる、負極表面上での副反応によるバランス変動は、正極由来の電圧平坦部により大きく反映される。そのため、正極に複数の活物質を混合することが望ましい。中でもリチウム含有コバルト複合酸化物は、比較的高い電圧平坦部を有するため、他由来の電圧平坦部と区別しやすく、より望ましい。
電圧平坦部が複数ある場合には、演算部3は、複数の電圧平坦部の参照電位とこれらのそれぞれに対応する電圧平坦部の基準電位とに基づいて、複数の電位低下量を算出する。演算部3は、算出した複数の電位低下量が最大の値を充放電コントローラ4へと出力するように設定されていることが望ましい。或いは、初期状態の電池パックにおいて、演算部3が着目すべき電圧平坦部について、参照電位の予想範囲を予め設定してもよい。この場合、例えば電池パックに含まれている非水電解質二次電池1と同型の非水電解質二次電池を用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数と電圧平坦部の電位位置との相関を求める。充放電サイクル試験の結果に基づいて参照電位の予想範囲を設定することができる。
演算部3においてdQ/dV曲線を導出する場合は、そのdQ/dV曲線において複数の参照ピークが検出され得る。この場合は、演算部3は、これら複数の参照ピークについて、それぞれに対応する基準ピークからのピークトップ位置のシフト量を算出する。演算部3は、得られた複数のピークシフト量のうち、最も高い値のものを判別する。演算部3は、最も高かったシフト量に基づいて電圧平坦部の電位低下量を算出するように設定されていることが望ましい。或いは、初期状態の電池パックにおいて、演算部3が着目すべき参照ピークについて、ピークトップ位置の予想範囲を予め設定してもよい。この場合、例えば電池パックに含まれている非水電解質二次電池1と同型の非水電解質二次電池を用いて充放電サイクル試験を行い、サイクル数とdQ/dVピークのピークトップ位置との相関を求める。充放電サイクル試験の結果に基づいて参照ピークのピークトップ位置の予想範囲を設定することができる。または、dQ/dV曲線において複数の参照ピークが検出された場合は、どのピークを用いて制御を行ってもよい。特に、ピーク強度が最大である参照ピークは、その位置の検出精度が高いため、それに基づいて充電制御を実施することが望ましい。
実施形態の電池パックにおいて、非水電解質二次電池1に対して実施される充電制御方法では、演算部3よりシグナルS2として出力された演算結果に含まれている電圧平坦部の電位低下量を指標として、充放電コントローラ4が最大充電電圧を規定値から低下させる。具体的には、電池パックにおいて、充放電コントローラ4は、演算部3が算出した電位低下量と同じ値だけ、最大充電電圧を設定されている規定値から低下させる。このようにして、充放電コントローラ4は、非水電解質二次電池1のその時点での状態に対して適切な最大充電電圧となるように、充電の設定を補正する。つまり、実施形態の電池パックでは、電池について設定されている規定の充電電圧から、電圧平坦部が低下した分だけ下がるように充電電圧を補正する。このように、その時々の電池の状態に適した充電電圧に補正した状態で充電が実施されるように、非水電解質二次電池1の充電が制御される。
最大充電電圧を補正した後、充放電コントローラ4は、補正後の充電電圧を新たな最大充電電圧の規定値に設定し、これを記録し得る。次に充電制御を実施する際には、充放電コントローラ4は、電圧平坦部の新たな基準電位および最大充電電圧の新たな規定値を用いることができる。
上記のとおり、非水電解質二次電池1に対して実施される充電制御方法において、最大充電電圧を補正する値に基準電位からの電圧平坦部の変化量を反映させるには、単純に変化量を規定値から差し引いて、新たな規定値を算出すればよい。この方法は簡便であるため望ましい。
以上の説明では、非水電解質二次電池1に対して前に充電制御を実施した際に算出した電圧平坦部の参照電位を新たに基準値に設定できるとしたが、実施形態の非水電解質二次電池1において実施される充電制御方法では、電圧平坦部の基準値を再設定しなくてもよい。例えば、充電制御を実施する毎に用いる電圧平坦部の基準値を、初期状態の非水電解質二次電池について求めた電圧平坦部の電位位置としてもよい。この場合は、充電制御を実施した後でも電圧平坦部の基準値を再設定しない。また、充電制御を実施する毎に用いる最大充電電圧の規定値も、初期状態の非水電解質二次電池に設定したものとし、補正後の充電電圧を新たに規定値として再設定しない。
電池パックにおいて、上述した電圧平坦部の電位低下量の検出とそれに基づく充電電圧値の補正を含む充放電制御は、電池の充放電について一定のサイクル数の経過後もしくは電池を一定の期間使用した後に実施するように設定する。つまり、非水電解質二次電池1についての電圧平坦部の参照電位または参照ピークのピークトップ位置は、一定の間隔毎に求められる。例えば、電圧平坦部の電位低下量の検出をあまりに短い間隔で実施すると、dQ/dVピークのシフト量が算出したdQ/dV曲線における誤差以下となり、充電電圧の補正を正確に実施することができない。一方、間隔が長すぎると、充電電圧が補正されないまま充放電サイクルを繰り返すこととなり得る。その結果、非水電解質二次電池1の電極の劣化を進行させてしまうことになるため望ましくない。具体的には、電圧平坦部の電位位置が5mV〜10mV程度低下する毎に補正が実施されることが好ましい。
充電制御が実施される間隔は、さまざまな基準で定めることができる。例えば、50サイクルもしくは100サイクルごとなど、予め定めたサイクル数ごとに電圧平坦部の電位低下量の検出と充電電圧値の補正が実施される。一般的なサイクル数は、10〜100サイクルである。または、充電量もしくは放電量、つまり非水電解質二次電池1の容量が一定量以上低下した場合に充電制御が実施されるように設定することも可能である。この場合は、前に充電制御を実施したときと比べて、電池容量が例えば5%もしくは10%程度減少したタイミングで実施されるのが適当である。また、一定の時間間隔ごとに充電制御が実施されるように設定することも可能である。この場合、その電池パックについて想定される使用状況において、50〜100サイクル程度の充放電が行われる期間を算出し、この期間を時間間隔とするのが望ましい。携帯機器用では1カ月から半年程度、車載用等であれば半年から1年程度が目安となる。
また、充電制御のために電圧低下量を算出する電圧平坦部は、非水電解質二次電池1の充電中における充電カーブのものでも、放電中における放電カーブのものであってもよい。電池の放電は、単純な定電流で実施可能であるのに対し、充電は定電流定電圧充電を行うため、放電での電圧平坦部を使用するほうがより簡便で望ましい。ただし、対象の電池が大きな放電電流を必要とする電池であって、充電電流が放電電流よりも小さい場合は、放電時よりも充電時のほうが電圧平坦部をより正確に測定することが可能である。そのため、電池パックにこのような電池が含まれている場合は、充電時の電圧平坦部を用いることが望ましい。
さらに、サイクル寿命試験における充放電とは異なり、その用途では電池が満充電状態と完全放電状態とを行き来しないようなケースでも、充電電圧の変化量を算出することができる。こういった電池では、初期の充放電において、着目する電圧平坦部を予め決めておく。着目すると決めた電圧平坦部が含まれる電圧範囲で電池を充放電したときに、その電圧平坦部の電位位置を参照電位として、基準電位からの変化量を算出する。この変化量を用いて充電制御を実施することで、電池のサイクル寿命を向上させることができる。
[非水電解質二次電池]
実施形態の電池パックが具備する非水電解質二次電池1について説明する。以下においては、スタック電極群を内包するラミネート外装の非水電解質二次電池を例とした図4および図5を用いて説明するが、非水電解質二次電池の電極群の形式や外装は、下記の例に限定されるものではなく、従来から知られている捲回式電極群や金属缶外装などであってもよい。
非水電解質二次電池は、正極端子15を接続した正極11と、負極端子16を接続した負極12と、セパレータ13とをつづら折り状に積層した電極群と、前記電極群に含浸させた非水電解質と、前非水電解質と前記電極群を収める外装材14を封じてつくられる外装容器とから構成される(図4)。正極11は、正極集電体11bの両側もしくは片側に正極活物質層11aを有し、同様に負極12は、負極集電体12bの両面もしくは片面に負極活物質層12aを有する(図5)。
(正極)
正極11は、正極活物質を含有し、他に炭素等の電子導電性を有する物質や、結着剤を含むことができ、電子導電性を有する金属等の基材を集電体として、その集電体に接して用いる。
正極活物質として、リチウム含有コバルト複合酸化物、リチウム含有ニッケル複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物などのカルコゲン化合物を単独もしくは混合して用いることができる。中でもリチウム金属電位に対して(vs. Li/Li+)3.8V以上の充放電電位を有するリチウム含有コバルト複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト複合酸化物、リチウム含有マンガン複合酸化物などを用いた場合は、高い電池容量を実現できるため望ましい。
導電材としては、炭素、金属等の電子導電性を有する物質を用いることができる。導電剤は、粉末、繊維状粉末等の形状を有していることが望ましい。
前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride;PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム等を用いることができる。
前記集電体としては、アルミニウム、ステンレス、チタンなどの金属からなる金属箔、薄板もしくはメッシュ、金網等を用いることができる。
前記正極活物質と前記導電材は、前記結着剤を加えて混練・圧延によりシート化することができる。あるいは、トルエン、N−メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone;NMP)等の溶媒に溶解、懸濁してスラリーとした後、前記集電体上に塗布、乾燥してシート化することも可能である。
正極端子15は、前記正極11に電気的に接続された金属リボン、金属板もしくは金属棒からなり、前記正極11に接続され、電池外部と正極11とを電気的に橋渡しする。図4に示したごとく、正極集電体11bを金属リボンに溶接し、前記金属リボンを外装材外部に引き出して正極端子としてもよい。正極端子15には、アルミニウム、チタン等を用いることができる。
(負極)
負極12は、負極活物質としてチタン含有複合酸化物を含み、この負極活物質を導電材や結着剤等を用いて、ペレット状、薄板状もしくはシート状に成形したものである。
チタン含有複合酸化物としては、スピネル型チタン酸リチウム(LiTi12;LTO)、単斜晶型二酸化チタン(TiO)やニオブ−チタン複合酸化物(NTO)などを挙げることができる。また、ニオブ−チタン複合化合物(NTO)としては、単斜晶系であるNbTiOや斜方晶系であるLiNa2−xTi6−xNb14などを用いることができる。
負極活物質としてLTOを用いた場合は、LTOの充放電カーブが平坦であるため電池の充放電カーブでは、LTO由来の電圧平坦部が顕著に観察される。このように、電圧平坦部について正負極の由来を判別しやすいという点からは、負極活物質にLTOを用いることが望ましい。
一方、TiOやNTOを用いた電池では、LTOを用いた場合よりも活物質の表面における副反応量が多いため、充放電を繰り返すことに伴う電圧平坦部の移動量がより大きい。そのため、TiOやNTOを用いた電池において、充電制御を実施することによって得られる効果がより顕著になることが期待できる。特に、NTOとして、単斜晶構造のLiTiMNb2±β7±σ(0<a<5,0<b<0.3,0<β<0.3,0<σ<0.3、MはFe,V,Mo,Taを少なくとも一種以上の元素)で表される化合物を用いた場合は副反応量が大きくなる傾向にあり、効果が特に顕著になることが期待できる。
導電材としては、炭素、金属等の電子導電性を有する物質を用いることができる。導電剤は、粉末、繊維状粉末等の形状を有していることが望ましい。
前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride;PVdF)、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)等を用いることができる。
前記集電体としては、銅、ステンレス、ニッケル等などの金属からなる金属箔、薄板もしくはメッシュ、金網等を用いることができる。
負極活物質と前記導電材は、前記結着剤を加えて混練・圧延によりペレット化もしくはシート化することができる。あるいは、水、N−メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone;NMP)等の溶媒に溶解、懸濁してスラリー化した後、前記集電体上に塗布、乾燥してシート化することもできる。
負極端子16は、前記負極12に電気的に接続された金属リボン、金属板もしくは金属棒からなり、前記負極12に接続され、電池外部と負極12を電気的に橋渡しする。図4に示したごとく、負極集電体12bを金属リボンに溶接し、外装材外部に引き出して負極端子16としてもよい。負極端子16としては、アルミニウム、銅、ステンレスなどを用いることができる。軽量かつ溶接接続性に優れたアルミニウムが望ましい。
(セパレータ)
前記セパレータ13としては、ポリオレフィン多孔質膜、セルロース不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布、ポリオレフィン不織布を用いることができる。水やアルコール系の不純物の持ち込みを防止できることから、ポリオレフィン多孔質膜やポリオレフィン不織布が望ましい。また、不織布は粘度の高いスルホン系非水電解質の含浸性に優れるために望ましい。ただし、セルロース不織布は低価格であるという利点を有するものの吸湿性が高く、不純物として水を電池内に持ち込みやすいため、使用する場合は真空乾燥による水の除去が望ましい。異種の膜を積層したセパレータや、上記セパレータ3に非伝導性物質の層を形成して短絡防止機能や含浸性向上機能を持たせたセパレータを用いることもできる。
(非水電解液)
非水電解液は、溶媒にリチウム塩を溶かしたものである。溶媒としてエチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate;MEC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate;DEC)、γ−ブチロラクトン (gamma-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、酢酸エチル(ethylacetate;EA)、トルエン、キシレンまたは酢酸メチル(methylacetate;MA)などを用いることができる。
前記リチウム塩としては過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CFSO);TFSI)、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CSO))などのリチウム塩を用いることができる。より良好なサイクル性能を得ることができることから、LiPFやLiBFが望ましく、これらの混合塩であってもよい。
(外装材)
外装材14として金属や樹脂製の缶もしくはラミネート外装を用いることができる。金属缶としては、アルミニウム、鉄、ステンレス等の角型の容器を用いることができる。また、プラスチック、セラミック等の角型容器を用いることもできる。ラミネート外装としては、アルミニウムや銅、ステンレスなどの金属に樹脂層を合わせたラミネート材を熱融着により袋状にして用いる。特に、ラミネート外装は、内部ガス発生時に、電池外観の変化として測定可能であるため、望ましい。
実施形態によれば、チタン含有負極を含む非水電解質二次電池と、測定部と、演算部と、充放電コントローラとを具備した電池パックが提供される。この電池パックでは、非水電解質二次電池の充電に際する充電曲線、或いは放電に際する放電曲線における電圧平坦部の電位低下量と同じ値だけ、該非水電解質二次電池の最大充電電圧を規定値より低下させる充電制御方法が実施される。この充電制御方法を用いることにより、該非水電解質二次電池を具備した電池パックのサイクル寿命を向上させることができる。
(第2の実施形態)
実施形態に係る充電制御方法では、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備した非水電解質二次電池の充電時に、最大充電電圧を変動させる。ここで、該非水電解質二次電池を充電もしくは放電した際に得られる充放電曲線における電圧平坦部の電圧が、電圧平坦部の基準電圧と比較して低下した分と同じ値だけ、最大充電電圧を規定値より低下させる。具体的には、充電制御方法では、対象の非水電解質二次電池の充電もしくは放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定することと、測定した電圧の値に基づいて前記充電もしくは放電に際する時間当たりの電圧変化を算出し、前記電圧変化に基づいて前記充電に際する充電曲線もしくは前記放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置を算出することと、前記電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を規定値より低下させることとを含む。
この充電制御方法には、例えば第1の実施形態の電池パックにおいて、測定部と、演算部と、充放電コントローラとからなる充電制御機構により実施される充電制御の方法が挙げられる。この充電制御方法は、電池パックに含まれている非水電解質二次電池だけでなく、単体の電池セルとしての非水電解質二次電池に対しても実施することができる。
充電制御の対象となる非水電解質二次電池は、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と非水電解質と、セパレータとを具備している。非水電解質二次電池の詳細としては、第1の実施形態の電池パックの具備する非水電解質二次電池1の詳細を挙げることができる。
また、実施形態の充電制御方法の詳細としては、第1の実施形態の電池パックにおいて非水電解質二次電池1に対して実施される充電制御の詳細を挙げることができる。
ただし、第1の実施形態の電池パックのように、測定部と演算部と充放電コントローラとを具備している場合などは、自動で充電制御を実施可能であるが、そのような充電制御機構(測定部、演算部、および充放電コントローラ)を具備していない電池を用いる場合は、例えば手動で実施形態の充電制御方法を実施することができる。
電池の充放電曲線における電圧平坦部の電位位置を手動で検出する場合は、dQ/dV曲線から導出することが望ましい。図3に示すとおり、dQ/dV曲線におけるピークトップの位置は明瞭であるため、電圧平坦部の電位位置を容易に判別することができる。また、電圧平坦部が複数ある場合には、ピーク強度が最大であるピークを明瞭に判別することができる。
以上の実施形態によれば、非水電解質二次電池の充放電に際する充放電曲線における電圧平坦部の電位低下量と同じ値だけ、最大充電電圧を規定値より低下させる充電制御方法が提供される。この充電制御方法を用いることにより、正極と、チタンを含有する複合酸化物を含有する負極と、非水電解質と、セパレータと、を具備した非水電解質二次電池のサイクル寿命を向上させることができる。
[実施例]
以下、実施形態に係る実施例を、図表を用いて詳細に説明する。以下の実施例における非水電解質二次電池は図4に示した電池構造を採用している。
(実施例1)
正極活物質としてリチウム含有コバルト複合酸化物(LiCoO)粉末20重量%とリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)粉末70重量%を用い、導電剤としてアセチレンブラック2重量%およびグラファイト3重量%を用い、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%を用いた。N−メチルピロリドン(NMP)を溶媒としてこれら正極活物質と導電剤とバインダーとをスラリー化した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥、圧延して幅67mm、長さ92mmの正極シートを複数作成した。各正極シートにおいて、アルミニウム箔の長さ方向末端5mm部分をスラリーの塗布されていない未塗布部分とした。この未塗布部分に幅5mm厚さ0.1mmのアルミニウムリボンを3箇所溶接して正極タブとした。こうして帯状正極シートを作製した。
負極活物質としてスピネル型チタン酸リチウム(LiTi12)粉末90重量%、導電材として人造黒鉛5重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%を、N−メチルピロリドン(NMP)溶液に加えて混合してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さが25μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延した。得られた負極シートを幅68mm、長さ93mmに切出した。切り出した負極シートの各々について、アルミニウム箔の長さ方向末端5mm部分をスラリーの塗布されていない未塗布部とした。この未塗布部分に幅5mm厚さ0.1mmのアルミニウムリボンを3箇所溶接して、負極タブとした。こうして帯状負極シートを作製した。
セパレータには幅93mmのポリエチレン多孔質膜(ポリオレフィン多孔質膜の一種)を用いた。
前記帯状正極シート、前記セパレータ、前記帯状負極シート、前記セパレータをそれぞれこの順序で10回、積層して電極コイルを作成した。正極タブを重ねて厚さ0.1mm幅30mm長さ50mmのアルミニウムシートに溶接して正極端子5とした。同様に負極タブを重ねて厚さ0.1mm幅30mm長さ50mmのアルミニウムシートに溶接して負極端子6とした。
前記電極群を、アルミニウムラミネート外装に収めた。プロピレンカーボネート(PC)にLiPFを1M溶解して非水電解液を得た。前記電極群を収めたアルミニウムラミネート外装内に非水電解質を9g加え、前記アルミニウムラミネート外装を熱封止して閉じ、非水電解質二次電池を作製した。この非水電解質二次電池に、第1の実施形態について説明したと同様の測定部と演算部と充放電コントローラとを実装して、電池パックを作製した。こうして得られた電池パックを、実施例1の電池パックとした。
(実施例2)
正極活物質としてオリビン型リチウム鉄複合リン酸化合物(LiFePO)粉末90重量%、導電剤としてアセチレンブラック5重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして帯状正極シートを作製した。
負極活物質として単斜晶型二酸化チタン(TiO)粉末90重量%、導電材として人造黒鉛5重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして帯状負極シートを作製した。
非水電解質として、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:2に混合したものにLiPFを1M溶解したものを用いた。
帯状正極シート、帯状負極シートおよび非水電解質として上記の物を用いた以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。また、この非水電解質二次電池を用いて、実施例2の電池パックを作製した。
(実施例3)
負極活物質としてニオブチタン複合酸化物(NbTiO)粉末を用い、非水電解質として、プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:2に混合したものにLiPFを1M溶解したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。また、この非水電解質二次電池を用いて、実施例3の電池パックを作製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。この非水電解質二次電池には、測定部と演算部と充放電コントローラとの充電制御機構を実装しないこと以外は、実施例1と同様な構成の電池パックを作製した。これを比較例1の電池パックとした。
(比較例2)
実施例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。この非水電解質二次電池には、測定部と演算部と充放電コントローラとの充電制御機構を実装しないこと以外は、実施例2と同様な構成の電池パックを作製した。これを比較例2の電池パックとした。
(比較例3)
実施例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。この非水電解質二次電池には、測定部と演算部と充放電コントローラとの充電制御機構を実装しないこと以外は、実施例3と同様な構成の電池パックを作製した。これを比較例3の電池パックとした。
(充放電サイクル試験)
実施例1〜3並びに比較例1〜3の電池パックに対し、充放電サイクル試験を実施した。充放電サイクル試験における通算サイクル数は200サイクルだった。それぞれの電池パックについてのサイクル試験の詳細は、以下のとおりである。
実施例1の電池パックについては、先ず、初期の最大充電電圧(規定値)を2.8V、放電終始電圧を1.5Vとして、1C相当電流(1時間率電流)で45℃での充放電サイクルを実施した。また、1回の充電と1回の放電とを1サイクルとした。3サイクル目の充放電における電圧平坦部の電位位置を充電制御に用いる電圧平坦部の基準電位とした。その時の充電カーブにおける電圧平坦部の電位位置は、2.386Vと2.212Vであった。これら2つの電圧平坦部の電位位置の充放電サイクル毎の移動量を検討したところ、100サイクル目での移動量は、いずれについても5mVであった。そのため、実施例1の電池パックについては、3サイクル目から100サイクル目にかけての電圧平坦部の電位低下量は、5mVであると判定された。次の100サイクルにおいては、最大充電電圧を初期の規定値2.8Vから5mVを差し引いた2.795Vに設定し、充放電サイクルが実施された。
実施例2の電池パックについては、温度条件を60℃とした以外は、初期の充放電サイクル(最初の100サイクル)の条件を実施例1の電池パックと同様に設定した。3サイクル目の充電カーブにおける電圧平坦部の電位位置は、1.874Vと1.934Vであった。これらのうち、dQ/dVピークがより大きく、サイクルに伴うピークトップの移動量の大きい1.874Vの電位に対応するピークに着目して充電制御を実施して、充放電サイクル試験を行った。具体的には、100サイクル目での1.874Vの電位に対応するピークのシフト量は8mVであったため、101サイクル目から200サイクル目の充放電では、最大充電電圧を初期の規定値2.8Vから8mVを差し引いた2.792Vに設定して充放電が実施された。
実施例3の電池パックについては、初期の充放電サイクル(最初の100サイクル)の条件を実施例1の電池パックと同様に設定した。3サイクル目の充電カーブにおける電圧平坦部の電位位置は、2.095Vと2.265Vであった。100サイクル目での電位低下量は、いずれについても1.3mVであったため、3サイクル目から100サイクル目にかけての電圧平坦部の電位低下量は、1.3mVであると判定された。101サイクル目から200サイクル目の充放電では、最大充電電圧を初期の2.8Vから1.3mVを差し引いた2.7987mVに設定して充放電が実施された。
比較例1の電池パックには、測定部と演算部と充放電コントローラとが実装されていなかったため、充電制御を実施せずに、200サイクルの充放電が実施された。具体的には、実施例1の電池パックについての初期の充放電と同様に、各サイクルにおける最大充電電圧を2.8V、放電終始電圧を1.5Vとして、1C相当電流で45℃での充放電サイクルを実施した。
比較例2の電池パックには、測定部と演算部と充放電コントローラとが実装されていなかったため、充電制御を実施せずに、200サイクルの充放電が実施された。具体的には、実施例2の電池パックについての初期の充放電と同様に、各サイクルにおける最大充電電圧を2.8V、放電終始電圧を1.5Vとして、1C相当電流で60℃での充放電サイクルを実施した。
比較例3の電池パックには、測定部と演算部と充放電コントローラとが実装されていなかったため、充電制御を実施せずに、200サイクルの充放電が実施された。具体的には、実施例3の電池パックについての初期の充放電と同様に、各サイクルにおける最大充電電圧を2.8V、放電終始電圧を1.5Vとして、1C相当電流で45℃での充放電サイクルを実施した。
得られた実施例1〜3および比較例1〜3の電池パックについて、充放電を200サイクル実施した後の放電容量を測定し、それを初期状態とした3サイクル目での放電容量で除した値を200サイクル放電容量維持率とした。実施例1〜3および比較例1〜3の電池パックについて得られた200サイクル放電容量維持率を下記表に示す。
表1に示すとおり、電池パックが具備した充電制御機構(測定部、演算部、および充放電コントローラ)により充電制御が実施された実施例1〜3の電池パックにおける放電容量維持率は、それぞれが充電制御機構を備えず充電制御が実施されなかった比較例1〜3の電池パックの放電容量維持率よりも高かった。また、充電制御が実施された電池パックと充電制御が実施されなかった電池パックとの放電容量維持率の差は、負極活物質としてLTOを用いた実施例1と比較例1との差に対して比較すると、TiOを用いた実施例2と比較例2との差並びにNTOを用いた実施例3と比較例3との差において、より大きいことが示された。
以上の結果、電圧平坦部の移動量に基づいて最大充電電圧を制御することにより、非水電解質二次電池の充放電サイクル寿命を向上させられることが分かった。
以上に示した実施形態および実施例によれば、非水電解質二次電池と、測定部と、演算部と、充放電コントローラとを具備した電池パックが提供される。電池パックが具備する非水電解質二次電池は、正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備する。測定部は、この非水電解質二次電池の充電もしくは放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定する。演算部は、測定部から出力される出力値に基づいて、充電もしくは放電に際する時間当たりの電圧変化を算出し、この電圧変化に基づいて充電に際する充電曲線もしくは放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置を算出する。充放電コントローラは、その電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を規定値より低下させる。この電池パックは、高い充放電サイクル寿命を示す。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1・・・非水電解質二次電池、2・・・測定部、3・・・演算部、4・・・充放電コントローラ、5・・・AC/DC変換回路、6・・・AC電源、7・・・外部負荷、11・・・正極、11a・・・正極活物質層、11b・・・正極集電体、12・・・負極、12a・・・負極活物質層、12b・・・負極集電体、13・・・セパレータ、14・・・外装材(ラミネート外装)、15・・・正極端子、16・・・負極端子

Claims (8)

  1. 正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備する非水電解質二次電池と、
    前記非水電解質二次電池の充電もしくは放電の際に、一定時間ごとに該非水電解質二次電池の電圧を測定する測定部と、
    前記測定部から出力される出力値に基づいて前記充電もしくは放電に際する時間当たりの電圧変化を算出し、前記電圧変化に基づいて前記充電に際する充電曲線もしくは前記放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置を算出する演算部と、
    前記電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ最大充電電圧を規定値より低下させる充放電コントローラとを具備する電池パック。
  2. 前記充放電コントローラは、前記1以上の電圧平坦部のうち、前記電位低下量が最大である電圧平坦部の電位低下量と同じ値だけ前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項1に記載の電池パック。
  3. 前記測定部は一定時間ごとに測定される前記電圧ごとの前記非水電解質二次電池の電流値をさらに測定し、前記演算部は前記測定部から出力される出力値に基づいて前記電流値と前記電圧との微分曲線をさらに算出し、前記充放電コントローラは前記微分曲線における1以上のピークの何れかのピーク位置のシフト量と同じ値だけ、前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項1に記載の電池パック。
  4. 前記充放電コントローラは前記1以上のピークのうち、ピーク強度が最大であるピークのピーク位置のシフト量と同じ値だけ、前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項3に記載の電池パック。
  5. 正極と、チタン含有複合酸化物を含む負極と、非水電解質と、セパレータとを具備した非水電解質二次電池の充電制御方法であって、該非水電解質二次電池の充電に際する充電曲線もしくは放電に際する放電曲線における1以上の電圧平坦部の何れかの電位位置が基準電位から低下した電位低下量と同じ値だけ、最大充電電圧を規定値より低下させる充電制御方法。
  6. 前記1以上の電圧平坦部のうち、前記電位低下量が最大である電圧平坦部の電位低下量と同じ値だけ、前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項5に記載の充電制御方法。
  7. 前記充電もしくは放電に際する時間当たりの電流値と電圧との微分曲線とを算出し、前記微分曲線における1以上のピークの何れかのピーク位置のシフト量と同じ値だけ、前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項5に記載の充電制御方法。
  8. 前記1以上のピークのうち、ピーク強度が最大であるピークのピーク位置のシフト量と同じ値だけ、前記最大充電電圧を前記規定値より低下させる請求項7に記載の充電制御方法。
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