JP2017059350A - セラミックスラリー及びそれを用いた電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、
(1)無機フィラー、水溶性バインダー樹脂、添加剤及び溶媒を含み、前記添加剤がカチオン性もしくは両性を有する、無機フィラーを凝結させる化合物であり、セラミックスラリー中の無機フィラー凝結体の平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%未満であることを特徴とするセラミックスラリー、である。
(2)本発明のセラミックスラリーは、前記無機フィラーの平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%以上であることが好ましい。
(3)本発明のセラミックスラリーは、前記添加剤が重量平均分子量50,000以下であることが好ましい。
(4)本発明のセラミックスラリーは、前記水溶性バインダー樹脂が、ヒドロキシル基と、酢酸基、カルボキシル基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、スルホン酸基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種を有する第一高分子化合物と、主鎖がアルキル鎖であり、かつ側鎖にアミド基、カルボキシル基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種を有する第二高分子化合物であることが好ましい。
(5)本発明のセラミックスラリーは、前記第一高分子化合物が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル酸-ビニルアルコール共重合体またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、スルホン酸-ビニルアルコール共重合体またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(6)本発明のセラミックスラリーは、前記第二高分子化合物が、重量平均分子量50,000以下であることが好ましい。
(7)本発明のセラミックスラリーは、前記水溶性バインダー樹脂が、前記無機フィラー100質量部に対して0.8以上2.0質量部未満含有することが好ましい。
(8)本発明のセラミックスラリーは、前記無機フィラーがアルミナであることが好ましい。
上記課題を解決するために本発明の電池用セパレータは以下の構成を有する。
すなわち、
(9)無機フィラー、水溶性バインダー樹脂、カチオン性もしくは両性を有する添加剤を含み、無機フィラーの平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%未満であることを特徴とする電池用セパレータである。
(10)本発明の電池用セパレータは、非水電解液二次電池に用いられることが好ましい。
上記課題を解決するために本発明の電池用セパレータの製造方法は以下の構成を有する。
すなわち、
(11)多孔質膜上に前記セラミックスラリーを塗布し、溶媒を除去して多孔質層を形成する電池用セパレータの製造方法である。
1.セラミックスラリー
[1]無機フィラー
本発明で用いる無機フィラーは、充填材と一般的に呼ばれる無機フィラーを用いることができる。無機フィラーとしては、アルミナ、ベーマイト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどが挙げられる。特に、アルミナであることが好ましい。アルミナは本セラミックスラリーのpH領域(6〜9)において表面が負電荷となり、カチオン性、もしくは両性を有する凝結剤による粒径分布のコントロールが容易になる。
水溶性バインダー樹脂としては、多孔質膜への接着性及び、無機フィラーのバインダー効果を目的とした第一高分子化合物と、無機フィラーの分散安定効果を目的とした第二高分子化合物が必要である。
添加剤は、無機フィラーを凝結させるカチオン性もしくは、両性を有する化合物又は混合物である。なお、ここで言うカチオン性もしくは、両性を有する化合物とは、有機化合物、無機化合物、有機金属化合物のいずれかからなり、有機化合物であればカチオン性官能基、もしくはカチオン性官能基とアニオン性官能基を両方有する化合物であり、無機化合物もしくは有機金属化合物であれば多価金属イオンを有する水溶性化合物のことである。カチオン性を有することで負電荷に帯電した無機フィラー、及びその周囲に吸着した分散安定効果を目的としたバインダー電荷を中和し、効率よく無機フィラーを凝結させることが可能となる。
溶媒は、水溶性バインダー樹脂の溶解性及び、無機フィラーの分散性の観点から水を主成分とすることが好ましく、水であることがより好ましい。
本発明のセラミックスラリーは無機フィラー、水溶性バインダー樹脂及び水を含む水溶性化合物を混合・分散し、その後添加剤を加え、混合することで製造する。以下にその詳細を説明する。
本発明の電池用セパレータは多孔質膜と、その少なくとも片面に上記セラミックスラリーから形成される多孔質層とを備える。以下にその詳細について説明する。
多孔質膜を構成する樹脂としては、充放電反応の異常時に孔が閉塞する機能(孔閉塞機能)の観点から、樹脂の融点(軟化点)は、好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃、最も好ましくは100〜130℃である。
多孔質層はセラミックスラリーを多孔質膜の少なくとも片面に塗布し、溶媒を除去することで形成される。
セラミックスラリーを多孔質膜に塗布する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法が挙げられる。
本発明の電池用セパレータの水分率は、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは450ppm以下である。500ppm以下であれば電池構成材料と水との反応を抑制でき、電池性能を低下させることを防げる。
本発明の電池用セパレータは、水系電解液を使用する電池、非水系電解質を使用する電池のいずれにも好適に使用できる。具体的には、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。中でも、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。リチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレータを介して積層されており、セパレータが電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、従来公知の構造を用いることができ、例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、積層された帯状の正極及び負極が巻回された電極構造(捲回型)等にすることができる。リチウムイオン2次電池に使用される、集電体、正極、正極活物質、負極、負極活物質および電解液は、特に限定されず、従来公知の材料を適宜組み合わせて用いることができる。
平均粒径が1.5μm、1.0μm未満の体積分布が22vol%のアルミナ(A−1)100質量部に対して、ポリビニルアルコール(PVA)1.2質量部、ポリカルボン酸アンモニウム塩(重量平均分子量30,000)0.4質量部を加え、アルミナ固形分が50wt%になるように水で調整したセラミックスラリーを、高速せん断型攪拌機(DESPA、浅田鉄工株式会社製)を用いて混合、さらに連続型メディア分散機(NANO GRAIN MILL、浅田鉄工株式会社製)で分散した。その後、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体(重量平均分子量30,000)をアルミナ100質量部に対して0.3質量部添加し、プロペラ羽根付きスリーワンモーターを用いて混合し、セラミックスラリーを得た。
PVAを酢酸ビニル共重合体(EVA)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAをカルボン酸変性PVAアンモニウム塩とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAをスルホン酸変性PVAアンモニウム塩とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAをカルボキシメチルセルロース(CMC)アンモニウム塩とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAを0.8質量部とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
実施例7
PVAを1.4質量部とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ポリカルボン酸アンモニウム塩の重量平均分子量を10,000とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ポリカルボン酸アンモニウム塩の重量平均分子量を50,000とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
平均粒径が2.4μm、1.0μm未満の体積分布が18vol%のアルミナ(A−2)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体を硫酸アルミニウム(重量平均分子量342)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体をチタンラクテート(重量平均分子量260)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体の重量平均分子量を50,000とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体をジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体(重量平均分子量30,000)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAをカルボン酸変性PVAナトリウム塩とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ポリカルボン酸アンモニウム塩をポリカルボン酸ナトリウム塩とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAを0.4質量部とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
PVAを1.8質量部とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
平均粒径が0.8μm、1.0μm未満の体積分布が70vol%のアルミナとした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体をアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム重合体物(重量平均分子量30,000)とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ポリカルボン酸アンモニウム塩の重量平均分子量を70,000とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体の重量平均分子量を70,000とした以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩・アクリルアミド共重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にセラミックスラリーを得た。
1.平均粒径D50測定
レーザー散乱粒度分布計(マイクロトラックベル(旧日機装)社製「MT3300EXII」)を用い水に添加後、流速45%で3分間循環させた後10分以内に測定した体積基準の積算分率における50%での粒径を平均粒径(D50)とした。
レーザー散乱粒度分布計(マイクロトラックベル(旧日機装)社製「MT3300EXII」)を用い水に添加後、流速45%で3分間循環させた後10分以内に測定した粒径1.0μm未満の粒子の体積基準の積算量を1.0μm未満の体積分布とした。
各セラミックスラリーの評価結果を表1に示す。
1.水分率評価
電池用セパレータを1g切り出し、露点−30℃環境下に12時間静置した。該サンプルをカールフィッシャー法水分率測定器へ投入し、窒素雰囲気下150℃、5分間処理し、発生した水分率を下記式によって算出した。算出した値で水分率450ppm以下を○とし、450ppmより大きく500ppm以下を△、500ppmより大きい範囲を×と評価した。
水分率(ppm)=測定水分率−窒素含有水分率
電池用セパレータを5cm×5cmに切り出し、130℃に加熱したオーブンに入れた。1時間後、オーブンから電池用セパレータを取り出し、冷却した後、より短い方の辺の長さd(mm)を計測する。そして、下記式によって熱収縮率(%)を算出する。算出した値により、2%未満を○、2%以上3%以下を△、3%より大きい値を×と評価した。
熱収縮率(%)={(50−d)/50}×100
表1に水分率評価及び加熱時の形状安定性評価の結果を示す。
本発明の範囲内であるセラミックスラリーを用いた実施例1〜18は評価結果が優れていたが、本発明の範囲外であるセラミックスラリーを用いた比較例1〜5では評価結果が劣る結果となった。
Claims (10)
- 無機フィラー、水溶性バインダー樹脂、添加剤及び溶媒を含み、前記添加剤がカチオン性もしくは両性を有する、無機フィラーを凝結させる化合物であり、セラミックスラリー中の無機フィラー凝結体の平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%未満であることを特徴とするセラミックスラリー。
- 前記無機フィラーの平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミックスラリー。
- 前記添加剤が重量平均分子量50,000以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセラミックスラリー。
- 前記水溶性バインダー樹脂が、ヒドロキシル基と、酢酸基、カルボキシル基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、スルホン酸基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種を有する第一高分子化合物と、主鎖がアルキル鎖であり、かつ側鎖にアミド基、カルボキシル基またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種を有する第二高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックスラリー。
- 前記第一高分子化合物が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル酸-ビニルアルコール共重合体またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、スルホン酸-ビニルアルコール共重合体またはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアミン塩からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックスラリー。
- 前記第二高分子化合物が、重量平均分子量50,000以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックスラリー。
- 前記水溶性バインダー樹脂が、前記無機フィラー100質量部に対して0.8以上2.0質量部未満含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミックスラリー。
- 前記無機フィラーがアルミナであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックスラリー。
- 無機フィラー、水溶性バインダー樹脂、カチオン性もしくは両性を有する添加剤を含み、無機フィラーの平均粒径が1.0μm以上2.5μm以下、かつ1.0μm未満の体積分布が17vol%未満であることを特徴とする電池用セパレータ。
- 請求項9に記載の電池用セパレータを有する非水電解液二次電池。
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