JP2017059323A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐クラック性及び絶縁性を有する絶縁層を備える絶縁電線を提供する。【解決手段】導体(A)と、導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを備える絶縁電線であって、絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含み、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)が連続相を形成しており、フッ素樹脂(II)が分散相を形成しており、上記分散相のアスペクト比が4.5以上であることを特徴とする絶縁電線。【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁電線及びその製造方法に関する。
自動車、航空機、鉄道、家電、AV機器、産業機器、電気機器コイル、通信ケーブル、ロボットに使用される電線や、モーターに使用されるコイル用の巻き線には、優れた絶縁性とともに、導体と導体を被覆する絶縁層とが強固に接着していることが要求される。また、近年、高電圧・大電流化の動きが加速しており、部分放電による絶縁層の劣化を防止するため、比誘電率の低い絶縁層を有する電線やコイルが必要とされている。さらに、自動車に搭載されるモーターコイル用の巻き線には、高い耐熱性が求められている。
このような背景の下、電線の特性を向上させるため、種々の検討がなされており、例えば、下記のように、芳香族ポリエーテルケトン樹脂とフッ素樹脂とを用いて絶縁層を形成した電線が提案されている。
特許文献1には、導体(A)と、前記導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを有する絶縁電線であって、絶縁層(B)が、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から形成され、フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CFまたは−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であり、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)が0.3〜5.0であることを特徴とする絶縁電線が記載されている。
特許文献2には、導体(A)と、該導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを有する絶縁電線であって、該絶縁層(B)が樹脂組成物から形成される成形品からなり、該樹脂組成物が芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物であって、フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であり、フッ素樹脂(II)が芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)中に粒子状に分散しており、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)が50:50〜10:90であることを特徴とする絶縁電線が記載されている。
特許文献3には、芯線と、該芯線の表面に形成された耐熱電線用被覆材料からなる被覆と、を有する電線であって、該耐熱電線用被覆材料は、溶融成形が可能な含フッ素共重合体(A)と、非フッ素系熱可塑性樹脂(B1)とを(A)/(B1)=99/1〜60/40(体積比)で含有する含フッ素共重合体組成物からなり、上記非フッ素系熱可塑性樹脂(B1)が、平均分散粒子径8μm以下の微粒子として上記含フッ素共重合体組成物中に含まれ、上記含フッ素共重合体組成物の200℃での動的粘弾性率測定による貯蔵弾性率が、90MPa以上であることを特徴とする電線が記載されている。
国際公開第2013/088968号 国際公開第2014/024671号 国際公開第2014/189017号
しかしながら、耐クラック性及び絶縁性がさらに優れる絶縁層を有する絶縁電線が望まれる。
本発明は、上記現状に鑑み、優れた耐クラック性及び絶縁性を有する絶縁層を備える絶縁電線を提供することを目的とする。
本発明者らは、絶縁層の分散相が非常に特徴的な形状を有する場合に、従来の絶縁電線の絶縁層よりも、優れた耐クラック性及び絶縁性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導体(A)と、導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを備える絶縁電線であって、絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含み、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)が連続相を形成しており、フッ素樹脂(II)が分散相を形成しており、上記分散相のアスペクト比が4.5以上であることを特徴とする絶縁電線である。
上記絶縁電線の長手方向に直角な断面において観察される分散相の断面から算出される平均分散粒子径が3.0μm以下であることが好ましい。
絶縁層(B)は、30〜99質量%の芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)を含むことが好ましい。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)が0.002〜3.0であることが好ましい。
フッ素樹脂(II)は、融点が230〜320℃であることが好ましい。
フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であることが好ましい。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、ポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から形成されており、上記樹脂組成物は、メルトフローレートが0.1〜100g/10分であることが好ましい。
絶縁層(B)は、厚さが500μm以下であることが好ましい。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を溶融押出成形することにより形成されることが好ましい。
本発明は、上述の絶縁電線を得るための製造方法であって、単軸押出機を使用して、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を導体(A)上に押し出すことにより、導体(A)上に絶縁層(B)を形成する被覆工程を含み、上記単軸押出機のシリンダー内に芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)が滞留する時間が3分超12分以下であることを特徴とする製造方法でもある。
上記被覆工程において、ライン速度を8〜60m/分とすることが好ましい。
上記単軸押出機のシリンダーの温度を350℃超430℃以下とすることが好ましい。
上記単軸押出機のスクリューの回転数と上記単軸押出機のシリンダー径との積が80超500以下であることが好ましい。
上記単軸押出機のダイは、ダイ先端の平坦部の長さlとダイ内径dの比l/dが0.60以上5.0以下であることが好ましい。
上記単軸押出機から吐出される芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)の合計の固体体積が1.0〜30cm/分となるように上記単軸押出機のスクリューの回転数が選択されることが好ましい。
本発明の絶縁電線は、上記構成からなるので、絶縁層の耐クラック性及び絶縁性が優れている。
本発明の製造方法は、上記構成からなるので、優れた耐クラック性及び絶縁性を有する絶縁層を備える絶縁電線を製造することができる。
本発明の絶縁電線の一例である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の絶縁電線は、導体(A)と、導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを備える。絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含み、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)が連続相を形成しており、フッ素樹脂(II)が分散相を形成している。本発明の絶縁電線は、上記分散相のアスペクト比が4.5以上である。
上記アスペクト比は、4.7以上が好ましく、5.0以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、13以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましい。
図1は、本発明の絶縁電線の長手方向に平行な断面の模式図である。図1の絶縁電線は、導体1と、導体1の外周に設けられた絶縁層2とを備えている。絶縁層2は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)から形成された連続相と、連続相中に形成された分散相3とから形成されている。分散相3は、略回転楕円体状の形状を有しており、上記絶縁電線の長手方向に平行な断面に略楕円形の断面を露出させている。各分散相の長軸方向は、絶縁層の長手方向におおよそ平行である。また、分散相3は、絶縁電線の長手方向に垂直な断面に略円形の断面を露出させている。本発明の絶縁電線は、分散相がフッ素樹脂(II)から形成されており、かつ、分散相のアスペクト比が4.5以上であるところに特徴がある。
上記アスペクト比は、次の式により算出される。
アスペクト比=(絶縁電線の長手方向に平行な断面において観察される分散相の断面から算出される、絶縁電線の長手方向の分散相の長さの平均値)/(絶縁電線の長手方向に直角な断面において観察される分散相の断面から算出される平均分散粒子径)
絶縁層(B)において、絶縁電線の長手方向に直角な断面において観察される分散相の断面から算出される平均分散粒子径が3.0μm以下であることが好ましい。上記平均分散粒子径は、3.0μm未満がより好ましく、1.5μm以下がさらに好ましく、1.0μm以下が尚さらに好ましく、0.50μm以下が特に好ましく、0.30μm以下が尚特に好ましく、0.20μm以下が最も好ましい。上記平均分散粒子径の下限は特に限定されないが0.01μmであってよい。上記平均分散粒子径が上記の範囲にあると、絶縁層(B)の耐クラック性及び耐電圧特性が一層優れる。
絶縁層(B)において、絶縁電線の長手方向に平行な断面において観測される分散相の断面の数が、0.20個/μm以上であることが好ましい。上記分散相の断面の数は、0.25個/μm以上であることがより好ましく、0.30個/μm以上であることがさらに好ましく、0.35個/μm以上であることが特に好ましく、0.40個/μm以上であることが最も好ましい。上限は、1.0個/μmであってよい。
上記分散相の平均分散粒子径及び数は、電子顕微鏡観察により求めることができる。絶縁層(B)の断面を観察するための試験片の作成方法としては、電子顕微鏡観察用試験片の作成方法として公知の方法を用いることができる。試験片作成方法としては、ミクロトームによる切削等が例示できる。なお、切削する前にあらかじめ絶縁層(B)をエポキシ樹脂等に包埋してもよい。顕微鏡としては、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)が例示できる。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む。従って、絶縁層(B)は、耐熱性、力学的強度、及び、引張伸びにも優れている。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、アリーレン基とエーテル基[−O−]とカルボニル基[−C(=O)−]とで構成された繰り返し単位を含んでいる限り特に制限されず、例えば、下記式(a1)〜(a5)のいずれかで表される繰り返し単位を含んでいる。
[−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a1)
[−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a2)
[−Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a3)
[−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a4)
[−Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a5)
(式中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基を表す)
Arで表される2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニレン基(o−、m−、又はp−フェニレン基など)、ナフチレン基などの炭素数が6〜10のアリーレン基、ビフェニレン基(2,2’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基など)などのビアリーレン基(各アリーレン基の炭素数は6〜10)、o−、m−又はp−ターフェニレン基などのターアリーレン基(各アリーレン基の炭素数は6〜10)などが例示できる。これらの芳香族炭化水素環基は、置換基、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(メチル基などの直鎖上又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基など)、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基など)、メルカプト基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、N−置換アミノ基、シアノ基などを有していてもよい。なお、繰り返し単位(a1)〜(a5)において、各Arの種類は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
好ましいArは、フェニレン基(例えば、p−フェニレン基)、ビフェニレン基(例えば、4,4’−ビフェニレン基)である。
繰り返し単位(a1)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトン(例えば、Victrex社製「PEEK−HT」)などが例示できる。繰り返し単位(a2)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトンケトン(例えば、Arkema+Oxford Performance Material社製「PEKK」)などが例示できる。繰り返し単位(a3)を有する樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(例えば、Victrex社製「VICTREX PEEK」、Evonik社製「Vestakeep(登録商標)」、ダイセル・エボニック社製「Vestakeep−J」、Solvay Speciality Polymers社製「KetaSpire(登録商標)」)、ポリエーテル−ジフェニル−エーテル−フェニル−ケトン−フェニル(例えば、Solvay Speciality Polymers社製「Kadel(登録商標)」)などが例示できる。繰り返し単位(a4)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(例えば、Victrex社製「VICTREX ST」)などが例示できる。繰り返し単位(a5)を有する樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトンケトンなどが例示できる。
アリーレン基とエーテル基とカルボニル基とで構成された繰り返し単位において、エーテルセグメント(E)とケトンセグメント(K)との割合は、例えば、E/K=0.5〜3であり、好ましくは1〜2.5程度である。エーテルセグメントは分子鎖に柔軟性を付与し、ケトンセグメントは分子鎖に剛直性を付与するため、エーテルセグメントが多いほど結晶化速度は速く、最終的に到達可能な結晶化度も高くなり、ケトンセグメントが多いほどガラス転移温度及び融点が高くなる傾向にある。
これらの芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)のうち、繰り返し単位(a1)〜(a3)のいずれかを有する芳香族ポリエーテルケトン樹脂が好ましい。例えば、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらには、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂がより好ましい。
特に、ガラス転移温度及び融点の高さと、結晶化速度の速さとのバランスに優れる点から、繰り返し単位(a3)を有する芳香族ポリエーテルケトン樹脂がさらに好ましく、ポリエーテルエーテルケトンが特に好ましい。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、60sec−1、390℃における溶融粘度が0.01〜4.0kNsm−2であることが好ましい。溶融粘度が上記範囲であることにより、加工特性が向上し、さらに、引張強度に優れた絶縁層(B)が得られる。溶融粘度の好ましい下限は0.05kNsm−2であり、より好ましくは0.10kNsm−2であり、さらに好ましくは0.15kNsm−2である。溶融粘度の好ましい上限は2.5kNsm−2であり、より好ましくは1.5kNsm−2であり、さらに好ましくは1.0kNsm−2であり、特に好ましくは0.5kNsm−2であり、最も好ましくは0.4kNsm−2である。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)の溶融粘度は、ASTM D3835に準拠して測定する。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましい。より好ましくは、135℃以上であり、さらに好ましくは、140℃以上である。上記範囲のガラス転移温度であることによって、耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることができる。上記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、融点が300℃以上であることが好ましい。より好ましくは、320℃以上である。上記範囲の融点であることによって、絶縁層(B)の耐熱性を向上させることができる。上記融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される。
フッ素樹脂(II)は、例えば、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位を有する重合体である。フッ素樹脂(II)は、溶融加工性のフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂(II)としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フッ素樹脂(II)としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/HFP/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、エチレン(Et)/TFE共重合体、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、CTFE/TFE/PAVE共重合体、Et/CTFE共重合体、TFE/フッ化ビニリデン(VdF)共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/HFP共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。また、溶融加工性であれば、低分子量のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることも可能である。
上記PAVEとしては、炭素数1〜6のアルキル基を有するものが好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられる。
フッ素樹脂(II)としては、テトラフルオロエチレン(TFE)及び下記の一般式(1):
CF=CF−Rf (1)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体であることがより好ましい。上記Rfが、−ORfである場合、上記Rfは炭素数が1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。フッ素樹脂(II)を用いることによって、引張強度に優れた絶縁層(B)を得ることができる。
一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物としては、耐クラック性、成形安定性、耐電圧特性等に一層優れた絶縁層(B)を得ることができることから、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ヘキサフルオロプロピレン及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
フッ素樹脂(II)としては、TFEとHFPとの共重合体、又は、TFEとHFPとPPVEとの共重合体であることがさらに好ましい。
フッ素樹脂(II)は、60〜99.5質量%のTFE及び0.5〜40質量%の一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物から構成されることが好ましい。フッ素樹脂(II)を構成するTFEの含有量の下限は、68質量%がより好ましく、72質量%がさらに好ましく、77質量%が特に好ましく、83質量%が殊さらに好ましい。フッ素樹脂(II)を構成するTFEの含有量の上限は、98質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましい。
また、フッ素樹脂(II)を構成する一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の含有量の下限は、1.5質量%がより好ましく、2.5質量%がさらに好ましい。フッ素樹脂(II)を構成する一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の含有量の上限は、32質量%がより好ましく、28質量%がさらに好ましく、23質量%が特に好ましく、17質量%が殊さらに好ましい。
フッ素樹脂(II)は、TFE及び一般式(1)で表されるパーフルオロエチレン性化合物のみからなる共重合体であることが好ましい。
フッ素樹脂(II)は、60sec−1、390℃における溶融粘度が0.2〜4.0kNsm−2であることが好ましい。溶融粘度が上記範囲であることにより、加工特性が向上し、耐クラック性、成形安定性、耐電圧特性等に一層優れた絶縁層(B)を得ることができる。溶融粘度のより好ましい下限は0.25kNsm−2であり、さらに好ましくは0.30kNsm−2であり、特に好ましくは0.35kNsm−2であり、最も好ましくは0.40kNsm−2である。溶融粘度のより好ましい上限は3.0kNsm−2であり、さらに好ましくは2.0kNsm−2であり、特に好ましくは1.5kNsm−2である。
フッ素樹脂(II)の溶融粘度は、ASTM D3835に準拠して測定する。
フッ素樹脂(II)は、メルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であることが好ましく、0.5〜80g/10分であることがより好ましく、0.5〜70g/10分であることがさらに好ましい。MFRが上記範囲であることにより、耐クラック性に一層優れた絶縁層(B)を得ることができる。MFRのさらに好ましい下限は0.7g/10分であり、特に好ましい下限は1.0g/10分であり、殊さらに好ましい下限は1.5g/10分であり、最も好ましい下限は2.0g/10分である。MFRのさらに好ましい上限は60g/10分であり、特に好ましい下限は50g/10分であり、殊さらに好ましい下限は45g/10分であり、最も好ましい上限は40g/10分である。
フッ素樹脂(II)のMFRは、ASTM D1238に準拠し、メルトインデクサーを用いて測定する。測定温度・荷重等の設定値は、個別のフッ素樹脂の規格(例えばASTM D 2116)を参照して決定する。
フッ素樹脂(II)の融点は特に限定されないが、成形する際に用いる芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)が溶融する温度で既にフッ素樹脂(II)が溶融していることが成形において好ましいため、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)の融点以下の温度であることが好ましく、融点未満の温度であることがより好ましい。例えば、フッ素樹脂(II)の融点は、230〜320℃であることが好ましく、240〜310℃であることがより好ましく、240〜305℃であることがさらに好ましく、240〜300℃であることが特に好ましい。フッ素樹脂(II)の融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めたものである。
フッ素樹脂(II)は、公知の方法によりフッ素ガス処理したものであってもよいし、アンモニア処理したものであってもよい。
絶縁層(B)は、30〜99質量%の芳香族ポリエーテルケトン(I)を含むことが好ましい。芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)の含有量は、85質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下が尚さらに好ましく、55質量%以下が特に好ましく、45質量%以下が最も好ましい。また、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)の含有量は、32質量%以上がより好ましく、34質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上が特に好ましく、36質量%以上が最も好ましい。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との質量比(I):(II)が30:70〜99:1であることが好ましい。フッ素樹脂(II)の比率が高いほど電気特性に優れ、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)の割合が高いほど機械特性に優れる。上記質量比としては、電気特性の観点より85:15以下がより好ましく、75:25以下がさらに好ましく、65:35以下が尚さらに好ましく、55:45以下が特に好ましく、45:55以下が最も好ましい。また、機械特性の観点より、上記質量比は32:68以上がより好ましく、34:66以上がさらに好ましく、35:65以上が特に好ましく、36:64以上が最も好ましい。
絶縁層(B)において、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)(芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)/フッ素樹脂(II))が0.002〜3.0であることが好ましい。溶融粘度比(I)/(II)を上記範囲とすることで、耐クラック性、成形安定性、耐電圧特性等に一層優れた絶縁層(B)を得ることができる。溶融粘度比(I)/(II)の下限は、0.01がより好ましく、0.03がさらに好ましく、0.05が特に好ましく、0.1が最も好ましい。溶融粘度比(I)/(II)の上限は、2.0がより好ましく、1.5がさらに好ましく、1.0が特に好ましく、0.8が殊さらに好ましく、0.5が最も好ましい。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から形成されていることが好ましい。芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)がポリエーテルエーテルケトンであり、フッ素樹脂(II)が融点が230〜320℃のフッ素樹脂である組み合わせがより好ましい。
上記樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であることが好ましい。上記MFRとしては、1〜90g/10分がより好ましく、5〜70g/10分がさらに好ましく、10〜60g/10分が特に好ましく、15〜50g/10分が最も好ましい。
上記MFRは、ASTM D1238に準拠し、メルトインデクサーを用いて、380℃、5000g荷重の条件下で測定する。
絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を溶融押出成形することにより形成されるものであることが好ましい。芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)がポリエーテルエーテルケトンであり、フッ素樹脂(II)が融点が230〜320℃のフッ素樹脂である組み合わせがより好ましい。
絶縁層(B)は、厚さが500μm以下であることが好ましく、500μmを超える場合、電線の外形寸法が大きいため、配線スペースを大きくとる必要に迫られるおそれがある。このため、電線を設置する装置の小型化を妨げる、限られた配線スペースに設置することができない、などの不具合を生じるおそれがある。上記厚さは、250μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましく、130μm以下が特に好ましく、100μm以下が最も好ましい。下限は特に設けないが、30μm以上であってよく、50μm以上であってもよい。
絶縁層(B)は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては特に限定されないが、チタン酸カリウム等のウィスカ、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、アラミド繊維、その他の高強度繊維等の繊維状の強化材;炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレイ、カーボン粉末、グラファイト、ガラスビーズ等の無機充填材;着色剤;難燃剤;酸化防止剤等通常使用される無機又は有機の充填材;ミネラル、フレーク等の安定剤;シリコーンオイル、二硫化モリブデン等の潤滑剤;顔料;カーボンブラック等の導電剤;ゴム等の耐衝撃性向上剤;その他の添加剤等を用いることができる。
導体(A)の形成材料としては、導電性が良好な材料であれば特に制限されず、例えば、銅、銅合金、すずめっき銅、ニッケルメッキ銅、銀メッキ銅、銅クラッドアルミニウム、アルミニウム、銀、金、亜鉛めっき鉄等が挙げられる。導体(A)は、その形状に特に限定は無く、円形であっても平形であってもよい。また導体(A)の構成は、単線であっても撚線であってもよい。導体(A)の断面積は特に限定されないが、0.05mm以上60mm以下であってよい。
絶縁層(B)は、絶縁破壊電圧が9kVp以上であってよい。また、絶縁層(B)は、部分放電開始電圧が700Vp以上であってよい。上記絶縁破壊電圧及び上記部分放電開始電圧の測定方法は、後述するとおりである。
絶縁電線は導体(A)および絶縁層(B)以外の構成要素を有していてもよい。たとえば、導体(A)と絶縁層(B)の間に接着層を有していてもよいし、導体(A)の上に形成された絶縁層(B)のさらに外側に保護層を有していてもよい。
本発明の絶縁電線は、電線被覆成形法により製造することができる。絶縁電線の製造方法としては、あらかじめフイルム状に成形した樹脂組成物を巻付けた後に加熱溶融させて固定させる横巻線方式や、押出機を用いて樹脂組成物を導体(A)上に溶融押出する溶融押出し成形方式が例示できる。
本発明は、上述の絶縁電線を得るための製造方法であって、単軸押出機を使用して、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を導体(A)上に押し出すことにより、導体(A)上に絶縁層(B)を形成する被覆工程を含み、上記単軸押出機のシリンダー内に芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)が滞留する時間(押出機滞留時間)が3分超12分以下である製造方法でもある。
上記製造方法では、上記単軸押出機を使用する。多軸押出機を使用すると、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)に剪断力が負荷されすぎて、所望のアスペクト比を有する上記分散相を形成することができないおそれがある。
上記単軸押出機は、シリンダーと、上記シリンダー内に収容されたスクリューと、上記シリンダーの先端に取り付けられたダイヘッドと、上記シリンダーに樹脂を投入するためのホッパーとを備える。上記ダイヘッドには、溶融樹脂の出口流路を形成するためのダイ及びニップルが装着される。上記押出機は、シリンダー中部に副原料を添加するためのサイドフィード機構を備えていてもよい。導体(A)および絶縁層(B)以外の構成要素を有する絶縁電線を製造する場合は、絶縁層(B)とその他の構成要素は同時に形成(同時押出)されてもよいし、逐次形成(タンデム押出)されてもよい。
押出機滞留時間は、3分を超え、12分を超えない範囲が好ましい。この範囲を上回ると、所望のアスペクト比を有する上記分散相を形成することができない。この範囲を下回ると、所望の寸法の電線を得るための成形速度が速くなり、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。上記押出機滞留時間は、10分を超えないことがより好ましく、9分を超えないことがさらに好ましく、8分を超えないことが特に好ましく、7分を超えないことが最も好ましい。
上記押出機滞留時間は、次の方法により確認できる。まず、ホッパー、シリンダー、ダイヘッド等の押出機の各部位にある全ての樹脂を押出機から取り除く。その後、予定する成形条件(シリンダー温度、ダイ温度、スクリュー回転数等)にて上記押出機の運転を開始し、上記押出機の運転が安定していることを確認の上、上記ホッパーに樹脂を投入する。上記投入の時から、上記ダイヘッドより上記樹脂が流出を開始する時までの時間を計測する。このときの経過時間を、「押出機滞留時間」とする。
絶縁層(B)は、溶融押出により形成されることが好ましい。絶縁層(B)の溶融押出に用いられる押出機への原料供給については、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)を所定の質量比で連続的に供給されてもよいし、公知の方法によりあらかじめ複合化された芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)からなる樹脂組成物のペレットが供給されてもよい。均一な混合状態が得られやすいことから、あらかじめ複合化されたペレットが供給されることが好ましい。
上記押出機のシリンダー径は、8mmを超え、51mmを超えない範囲が好ましい。8mmを超えない場合、一定時間あたりに吐出できる樹脂の量が少ないため、経済的な電線生産速度を達成することができないおそれがある。51mmを超える場合、押出機滞留時間を望ましい範囲とする回転数を選択した場合、望ましい被覆厚の絶縁層を得るための成形速度が速くなり、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。ピンホール状欠陥を回避するためには成形速度を遅くする必要があるが、このとき低い回転数を選択する必要があり、この場合は望ましい押出機滞留時間で樹脂を吐出することができないおそれがある。シリンダー径は、45mmを超えない範囲がより好ましく、40mmを超えない範囲がさらに好ましく、35mmを超えない範囲が特に好ましく、30mmを超えない範囲が最も好ましい。シリンダー径は、10mmを超える範囲がより好ましく、12mmを超える範囲がさらに好ましく、14mmを超える範囲が特に好ましい。
上記押出機のシリンダー長Lとシリンダー径Dの比L/Dは、18を超え、80を超えない範囲であることが望ましい。L/Dがこの範囲を下回る場合、シリンダー内で樹脂の溶融が十分になされず、不均一な絶縁層となりやすい。L/Dがこの範囲を上回る場合、押出機滞留時間を好ましい範囲にするために、高いスクリュー回転数を選択する必要に迫られるおそれがある。スクリュー回転数が高いことから、望ましい被覆厚の絶縁層を得るための成形速度が速くなり、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。ピンホール状欠陥を回避するためには成形速度を遅くする必要があるが、このとき低い回転数を選択する必要があり、この場合は望ましい押出機滞留時間で樹脂を吐出することができないおそれがある。L/Dは、20を超えることがより好ましく、21を超えることが特に好ましい。またL/Dは、50を超えないことがより好ましく、40を超えないことがさらに好ましく、30を超えないことが特に好ましい。
上記シリンダーの温度を350℃超430℃以下とすることが好ましい。この範囲を上回ると、絶縁層(B)中のフッ素樹脂(II)のアスペクト比が4.5未満になり、耐クラック性や絶縁性が低下するおそれがある。この範囲を下回ると、樹脂の流動性が不足するため、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。上記シリンダーの温度は、410℃を超えないことがより好ましく、390℃を超えないことがさらに好ましく、385℃を超えないことが最も好ましい。上記シリンダーの温度は、360℃を超えることがより好ましく、365℃を超えることが最も好ましい。
上記スクリューの回転数と上記シリンダー径との積が80超500以下であることが好ましい。この範囲を下回る場合、押出機内滞留時間が好ましい範囲を超えるおそれがある。この範囲を上回る場合、望ましい被覆厚の電線を得るための成形速度が速くなり、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。スクリュー回転数とシリンダー径の積は、120を超えることがより好ましく、180を超えることが特に好ましい。スクリュー回転数とシリンダー径の積は、400を超えないことがより好ましく、350を超えないことが特に好ましい。
上記ダイヘッドに装着されるダイは、ダイ先端の平坦部の長さlとダイ内径dの比l/dが0.60以上5.0以下であることが好ましい。この範囲を下回る場合、絶縁層(B)中のフッ素樹脂(II)のアスペクト比が4.5未満となるおそれがある。絶縁層(B)中のフッ素樹脂(II)からなる粒子がダイ流入時に得るエネルギー弾性が十分に緩和される前に吐出されるため、フッ素樹脂(II)からなる粒子の形状がエネルギー的に安定な球体に戻ろうとする力が働くためである。上記の範囲を上回る場合、溶融樹脂がダイ先端部にて受ける背圧が大きくなるために流動が妨げられ、押出機滞留時間が12分を超えるおそれがある。l/dは、0.70以上がより好ましく、0.80以上が特に好ましい。l/dは、4.5以下がより好ましく、4.0以下が特に好ましい。
上記単軸押出機から吐出される芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)の合計の固体体積が1.0〜30cm/分となるように上記スクリューの回転数が選択されることが好ましい。この範囲を下回る場合、押出機内滞留時間が好ましい範囲を超えるおそれがある。この範囲を上回る場合、望ましい被覆厚の電線を得るための成形速度が速くなり、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。吐出量は、1.5cm/分以上がより好ましく、2.0cm/分以上がさらに好ましい。吐出量は、20cm/分以下がより好ましく、15cm以下/分がさらに好ましい。
上記製造方法において、ライン速度を8〜60m/分とすることが好ましい。上記ライン速度は、10m/分以上がより好ましく、15m/分以上がさらに好ましい。上記ライン速度は、55m/分以下が好ましい。上記ライン速度が上記範囲に無い場合、所望のアスペクト比を有する上記分散相を形成できないおそれがある。上記ライン速度が高すぎると、絶縁層にピンホール状の欠陥が生じるおそれが高まる。上記ライン速度が低すぎると、良好な外観を有する絶縁層(B)が形成できないおそれがある。
上記製造方法は、耐クラック性及び絶縁性が一層優れた絶縁層(B)を形成できることから、被覆工程の前に、さらに、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物を調製する調製工程を含むことが好ましい。
上記樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、2種以上の樹脂を混合するために通常用いられる配合ミル、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等の混合機を用いて、通常の条件により行うことができる。フッ素樹脂(II)の平均分散粒子径を小さくすることができることから、混合機としては二軸押出機が好ましく、特にL/Dの大きいスクリュー構成を有する二軸押出機が好ましい。二軸押出機のスクリュー構成はL/D=20以上が好ましく、より好ましくはL/D=25以上であり、さらに好ましくはL/D=30以上である。なお、L/Dは、スクリューの有効長さ(L)/スクリュー直径(D)である。
上記調製工程では、後の被覆工程を容易に実施できることから、上記樹脂組成物のペレットを調製することが好ましい。
上記樹脂組成物は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を、溶融状態で混合することにより製造してもよい。芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)とを充分に混練することによって、所望の分散状態を有する樹脂組成物を得ることができる。
上記樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を適切な割合で混合機に投入し、所望により上記他の成分を添加し、樹脂(I)及び(II)の融点以上で溶融混練することにより製造する方法等が好ましい。
上記溶融混練時の温度としては、用いる芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)、フッ素樹脂(II)の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、360〜400℃であることが好ましい。混練時間としては、通常、1分〜1時間である。
上記樹脂組成物において、絶縁層(B)の耐クラック性及び絶縁性が一層優れることから、フッ素樹脂(II)が芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂(II)の平均分散粒子径が3.0μm以下であることが好ましい。また、上記平均分散粒子径は、2.0μm以下がより好ましく、1.5μm以下がさらに好ましく、1.5μm未満が特に好ましい。下限は特に限定されないが0.1μmであってよい。
上記樹脂組成物において、絶縁層(B)の耐クラック性及び絶縁性が一層優れることから、フッ素樹脂(II)の最大分散粒子径が20.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは、10.0μm以下である。
上記樹脂組成物におけるフッ素樹脂(II)の平均分散粒子径及び最大分散粒子径は、上記樹脂組成物のストランドから切り出した切片の断面を共焦点レーザー顕微鏡にて顕微鏡観察を行ったり、透過電子顕微鏡(TEM)にて顕微鏡観察を行ったりして、得られた画像を光学解析装置にて二値化処理することにより求めることができる。
上記樹脂組成物は、絶縁層(B)の引張強度が優れることから、組成物中のナトリウムの量が上記組成物に対して120ppm以下またはカルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることが好ましい。
上記樹脂組成物は、カルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることが好ましい。
また、上記樹脂組成物は、組成物中のナトリウムの量が上記組成物に対して120ppm以下、かつカルシウムの量が上記組成物に対して15ppm以下であることも好ましい。
上記ナトリウムの量は、組成物に対して100ppm以下であることが好ましく、80ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましく、40ppmであることが特に好ましく、30ppm以下であることが殊更に好ましく、20ppm以下であることが最も好ましい。下限は0ppmであってよいが、0.5ppmであってもよい。
上記カルシウムの量は、組成物に対して10ppm以下であることが好ましく、8ppm以下であることがより好ましく、6ppm以下であることが更に好ましく、5ppm以下であることが特に好ましく、4ppm以下であることが最も好ましい。下限は0ppmであってよいが、0.5ppmであってもよい。
上記樹脂組成物に含まれるナトリウム及びカルシウムの量は、試料1gを600℃で灰化したのち、残渣を塩酸に溶解し、その溶液についてICP発光分析を行うことにより測定することができる。
特に、上記樹脂組成物を調製する際に、フッ素樹脂(II)を芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)中に予め充分に分散させておき、上記樹脂組成物における高度な分散状態を損なうことのないように、単軸押出機を使用して、できるだけ短い時間で剪断力をあまりかけずに、シリンダー内で上記樹脂組成物を充分に溶融させ、比較的高い速度で導体(A)を送り出しながら、比較的多量の上記樹脂組成物を導体(A)上に押し出すと、所望のアスペクト比を有する上記分散相を含む絶縁層(B)を形成することが一層容易である。本発明者らが見出したこの知見に基づけば、当業者は、絶縁層(B)における上記分散相の上記アスペクト比を容易に調整可能である。
本発明の絶縁電線は、自動車、航空機、鉄道、家電、AV機器、産業機器、電気機器コイル、通信ケーブル、ロボット用電線等に好適に使用できる。また、コイルの巻き線(マグネットワイヤー)としても好適に使用でき、本発明の電線を使用すれば巻線加工での損傷を生じにくい。上記巻き線は、モーター、回転電機、圧縮機、変圧器(トランス)等に好適であり、高電圧、高電流及び高熱伝導率が要求され、高密度な巻線加工が必要となる、小型化・高出力化モーターでの使用にも充分に耐えうる特性を有する。また、配電、送電又は通信用の電線としても好適である。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
<押出機滞留時間の測定>
ホッパー、シリンダー、ダイヘッドの樹脂をすべて取り除いた上、成形を実施する運転条件(温度・スクリュー回転数)にて押出機を運転した。押出機の運転が安定していることを確認の上、ホッパーに樹脂を投入した。樹脂投入からダイヘッドより溶融樹脂が流出を開始するまでの経過時間を計測した。このときの経過時間を、「押出機滞留時間」とした。
<電子顕微鏡による観察>
絶縁層(B)の断面を観察するため、電子顕微鏡観察を行った。
絶縁層(B)の切片をエポキシ樹脂に包埋した試験片の作成は、次のように行った。無水ドデセニルコハク酸2.82g、無水メチルナディック酸0.36g、エポキシ樹脂(Quetol−812)2.54gをよく混ぜ合わせた後、架橋剤(DMP30)を二滴加えさらによく混ぜ合わせ、その後1時間室温で静置して硬化前のエポキシ樹脂液を得た。観察対象の電線より導体(A)を取り除き、絶縁層(B)のみにしたものを5mm長に切り取り、これを樹脂型にセットした。樹脂型にエポキシ樹脂液を流し込んだ後、70℃の電気炉で15時間加熱することでエポキシ樹脂を硬化させ、エポキシ樹脂包埋サンプルを得た。
エポキシ樹脂に包埋した絶縁層(B)を−60℃に冷却下にてミクロトームを用いて切削し、顕微鏡観察に適した切片を得た。このとき、切削により包埋切片表面に現れる部分が、観察する断面(絶縁電線の長手方向に垂直な断面、または、平行な断面)となるよう、切削方向を調整した。上記試験片のうち、顕微鏡観察を行う箇所は、絶縁層(B)の導体(A)に接する側の表面から外表面に向かって、絶縁層(B)の厚さの70%場所とした。上記試験片の上記箇所を、走査型電子顕微鏡を用いて観察倍率10000倍で観察した。このとき、エネルギー分散型X線分光法を用いて、得られた顕微鏡画像の中でフッ素元素が多く検出される箇所を特定し、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)からなる部分とフッ素樹脂(II)からなる部分を、それぞれ特定した。
<平均分散粒子径の算出>
絶縁電線の長手方向に垂直な断面の顕微鏡画像を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて解析した。分散相を選択し、円相当径を求めた。分散相20個分の円相当径を算出し、これを平均して平均分散粒子径とした。
<分散相数の算出>
絶縁電線の長手方向に平行な断面の顕微鏡画像を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて解析した。分散相とは、フッ素樹脂(II)又は芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)からなる領域であり、かつ、画像の四方の端部のいずれにも接していない領域とした。画像は、倍率10000倍で撮影して得られた画像であり、12μm×9.0μmの範囲を観察した長方形である。観察範囲全域において分散相の数を数え、観察範囲の面積で除して単位面積当たりの分散相数を算出した。
<分散相の長手方向の長さの算出>
絶縁電線の長手方向に平行な断面の顕微鏡画像を、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて解析した。上記のように特定したそれぞれの分散相について、絶縁電線の長手方向の長さを求め、平均値を算出した。
<アスペクト比の算出>
上記分散相の長手方向の長さの平均値を、上記の平均分散粒子径で除した値を、アスペクト比とした。
<耐クラック試験>
電線を15cmにカットし、絶縁電線と同じ直径をもつ巻き付け棒に1回/秒を超えない速さで10回巻き付けた。巻き付け後、1回/秒を超えない速さで巻き戻した。巻き戻し操作の後、絶縁層の剥離や割れ等の異常の有無を確認した。実施例1つにつき5本の試験を行い、異常が生じた本数を記録した。
<絶縁破壊試験>
絶縁破壊試験はJIS C 3216−5に準拠し、株式会社安田精機製作所 絶縁破壊試験器No.204を用いて測定した。20cmにカットした絶縁電線の末端から7.5cmの部分に1×2cmの銅箔テープを巻きつけ、末端1cmの絶縁層を剥がし導体を露出させ、試料とした。試験機の電極の片方を銅箔テープ部に、もう片方を端部の導体露出部に接続した。測定時の雰囲気は室温25℃、相対湿度50%とした。昇圧速度は500Vp/秒とした。実施例1つにつき試料5本を測定し、その平均値を絶縁破壊電圧とした。
実測により得られた絶縁破壊電圧の値を、絶縁層(B)の厚さが100μmである場合の値に換算した。換算にあたっては、絶縁破壊電圧は絶縁層(B)の厚さに比例するものとした。すなわち、実測により得られた絶縁破壊電圧の値に(100/t)を乗じた値を絶縁破壊電圧の換算値とした。ただしtは絶縁層(B)の厚さ(μm)を表す。
<部分放電開始電圧測定>
部分放電開始電圧は、総研電気株式会社 部分放電測定器DAC−PD−7を用いて測定した。電線を20cmにカットし、末端から7.5cmの部分に1×2cmの銅箔テープを巻き付け、末端1cmの部分の絶縁層をワイヤーストリッパーで剥がし導体を露出させ、試料とした。試験機の電極の片方を銅箔テープ部に、もう片方を端部の導体露出部に接続した。測定時の雰囲気は室温25℃、相対湿度50%とした。昇圧速度は14Vp/秒、部分放電検出しきい値は10pCとした。同一サンプルについて連続6回の測定を行い、2〜6回目の平均値を当該サンプルの部分放電開始電圧とした。
絶縁層(B)の厚さが異なる実施例どうしを比較するため、Dakinの式:PDIV(Vrms)=163×(t/ε0.46を参考にした測定値の換算を行った。ただしtは絶縁層(B)の厚さ(μm)、εは絶縁層(B)の比誘電率を表す。上記Dakinの式によれば、材料が同一、すなわち誘電率が同一の場合の部分放電開始電圧は、絶縁層の厚さの0.46乗に比例する。この関係を用いて、実測により得られた部分放電開始電圧の値に(100/t)0.46を乗じた値を部分放電開始電圧の換算値とした。
<樹脂組成物の製造方法>
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を表に示す割合(質量部)で予備混合を行い、二軸押出機(φ15mm、L/D=60)を使用して、シリンダー温度375℃、スクリュー回転数500rpmの条件下で溶融混練した。押出機より吐出されたストランドをペレタイザーを用いて細断し、樹脂組成物のペレットを製造した。
実施例および比較例では、下記の材料を用いた。
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I):ポリエーテルエーテルケトン(溶融粘度;0.31kNsm−2
フッ素樹脂(II−1):テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(溶融粘度;1.10kNsm−2、融点255℃)
フッ素樹脂(II−2):テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(溶融粘度;0.55kNsm−2、融点255℃)
フッ素樹脂(II−3):テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(溶融粘度;2.23kNsm−2、融点265℃)
(実施例1)
芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)40質量部およびフッ素樹脂(II−1)60質量部を、二軸押出機(φ15mm、L/D=60)を使用して、シリンダー温度390℃、スクリュー回転数300rpmの条件下で溶融混練し、MFR29g/10分の樹脂組成物を製造した。
絶縁層(B)の押出に用いた単軸押出機は、シリンダー径20mm、L/D=24、ダイ内径3.5mm、ダイl/d=0.86、ニップル外径2.3mmとした。上記単軸押出機をシリンダー温度380℃、スクリュー回転数12rpmにて運転し、ホッパーより上記手順により得られた樹脂組成物を供給した。吐出された溶融樹脂組成物により、導体(A)(直径0.5mm、断面積0.20mm、軟銅線単線)上に厚さ100μmの絶縁層(B)を形成し、絶縁電線を得た。このときのライン速度は18m/分とした。
(実施例2〜10、比較例1〜7)
使用する芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)およびフッ素樹脂(II)の種類および量、絶縁層(B)の押出に用いる単軸押出機の装置および運転条件、導体(A)の形状、絶縁層(B)の厚さ、ライン速度を表の通りに変更した他は、実施例1と同様の方法にて絶縁電線を得た。
結果を表に示す。
Figure 2017059323
Figure 2017059323

Claims (16)

  1. 導体(A)と、導体(A)の外周に形成される絶縁層(B)とを備える絶縁電線であって、
    絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含み、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)が連続相を形成しており、フッ素樹脂(II)が分散相を形成しており、前記分散相のアスペクト比が4.5以上である
    ことを特徴とする絶縁電線。
  2. 絶縁電線の長手方向に直角な断面において観察される分散相の断面から算出される平均分散粒子径が3.0μm以下である請求項1記載の絶縁電線。
  3. 絶縁層(B)は、30〜99質量%の芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)を含む請求項1又は2記載の絶縁電線。
  4. 芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)とフッ素樹脂(II)との溶融粘度比(I)/(II)が0.002〜3.0である請求項1、2又は3記載の絶縁電線。
  5. フッ素樹脂(II)は、融点が230〜320℃である請求項1、2、3又は4記載の絶縁電線。
  6. フッ素樹脂(II)は、テトラフルオロエチレン及び下記一般式(1):
    CF=CF−Rf (1)
    (式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体である請求項1、2、3、4又は5記載の絶縁電線。
  7. 芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、ポリエーテルエーテルケトンである請求項1、2、3、4、5又は6記載の絶縁電線。
  8. 絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を含む樹脂組成物から形成されており、前記樹脂組成物は、メルトフローレートが0.1〜100g/10分である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の絶縁電線。
  9. 絶縁層(B)は、厚さが500μm以下である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の絶縁電線。
  10. 絶縁層(B)は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を溶融押出成形することにより形成される請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の絶縁電線。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の絶縁電線を得るための製造方法であって、
    単軸押出機を使用して、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)を導体(A)上に押し出すことにより、導体(A)上に絶縁層(B)を形成する被覆工程を含み、
    前記単軸押出機のシリンダー内に芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)が滞留する時間が3分超12分以下であることを特徴とする製造方法。
  12. ライン速度を8〜60m/分とする請求項11記載の製造方法。
  13. 単軸押出機のシリンダーの温度を350℃超430℃以下とする請求項11又は12記載の製造方法。
  14. 単軸押出機のスクリューの回転数と単軸押出機のシリンダー径との積が80超500以下である請求項11、12又は13記載の製造方法。
  15. 単軸押出機のダイは、ダイ先端の平坦部の長さlとダイ内径dの比l/dが0.60以上5.0以下である請求項11、12、13又は14記載の製造方法。
  16. 単軸押出機から吐出される芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)及びフッ素樹脂(II)の合計の固体体積が1.0〜30cm/分となるように単軸押出機のスクリューの回転数が選択される請求項11、12、13,14又は15記載の製造方法。
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